そして次の日。六課に出勤した俺は、今日も今日とて訓練で汗を流していた。
あの食人花の魔物が溢れかえった事件は島に大きな衝撃をもたらした。
日々摩訶不思議な出来事に襲われる学園島。そこに住んでいる住人はちょっとやそっとの事では動じない。だが、『足元に魔物が蠢いている』という事態は許容量を超えていた。
一晩経ち、表面上の道路の修復作業は終わったが、住民が覚えている不安は増すばかりだった。突発的な事故ならまだ良し。だが誰も予知していなかった未知の事態だとすれば……
そういった事情もあり、管理局は事態の早急な究明を求められていた。
なにやら八神さんが会議やなんやらで忙しくしているみたいだ。方針を固めているんだろう
俺に出来るのは自分のコンディションを整えておくことだけだ。
何故なら十中八九その仕事は六課に振られる。確信めいた予感がある。
どこかピリピリとした雰囲気の訓練も終わり―――はやてさんが顔を出した。
「みんな、お疲れ様」
「「「お疲れ様です」」」
俺達は整列し、はやてさんの言葉を聞く。
「みんなも気になってるとは思うけど、昨日の魔物騒ぎの件や。上の方と話し合って方針が決まったから共有したいと思う」
織斑先生やリヴェリアさん(今日、フィンさんはお休み)も耳を傾けた。
ロキ・ファミリアやIS組は外部協力者扱いなので、管理局の会議には参加していない。そのため、この2人にも初見の話になる。
「諸々の詳細は後で資料を送るとして結論だけ。地上の警備は島の本部の管理局が。地下の捜査は―――
隊員全体に『やはりか』という空気が広がっていく。俺だけでなく、みんなその想定だったらしい。
学園島の管理局の便利屋。理由さえこしらえればどんな捜査も可能な便利部隊。今回も便利に使われることになったのだ。最も、面倒な役割を押し付けられたともいえるが。
「調査ルートを設定するためにもう1日かかるらしいから本番は明後日や。出てくるもの次第では何日もかかる可能性がある」
学校がある俺達は、その間公休扱いで参加することになるらしい。
「で、シフトも何も滅茶苦茶になってしまうから―――これは上からの命令でもあるんやけど、六課は明日、お休みすることになりました」
「お、お休み、ですか?」
「そ。前線メンバーは全員休み。しっかり体調整えて本番! という訳や」
「でもこんな時に……」
スバルさんの懸念ももっともだ。落ち着かないんだろう。身体を動かしたくてたまらないという態度だ。
「こんな時だからこそ、や。まあこれは理由の半分。もう半分は、管理局も公務員やから。お休みの数とか厳しいんよ。だから、休みは取れるときに取って置けって。まったく、人命と規則、どっちが大切なんだか……」
はぁぁぁ、と長いため息をわざとらしくついたはやてさん。
「ちゅう訳で! 明日はお休み! 落ち着かなくても無理やりにでも休むこと! ええな!」
その言葉に返事し、俺達は解散になった。
―――――――――――――――――――――
「ちょっと、いい?」
更衣室に向かっている最中、声をかけられた。鈴だ。
アスナ達には先に行ってもらい、鈴に応じる。
「悪いわね。彼女に先に行ってもらっちゃって」
「気にするな」
「あ、やっぱ付き合ってんだ。あの中の誰と?」
「それは黙秘」
全員だし。俺の返答を深く突っ込むような真似はせず、鈴は話をつづけた。
「ふーん。ま、いいわ。本題それじゃないし」
「ほう、じゃあその本題って?」
「……あー、その」
覚悟は決めてきたのだろう。最後の一線を超えるのに手間取っているだけだ。
だがこればっかりは俺も手助けすることは出来ない。
何かに耐えるように口をもごもごさせ、顔を背けながらもその言葉を呟いた。
「昨日はごめん。アタシがどうかしてたわ」
自分の腕を抱きながら頭を下げて来た。
「織斑先生に叱られたか?」
あの人がその役割を他の人に譲るとは思えない。あの人、放任主義だけど締めるところはしっかり締める。そんなイメージがある。
「怒られたって言うより……や、怒られもしたけど……」
自分の中でうまく言語化できないのか唸っている。
「何か罰はあったのか?」
「それは無いって。何も無いから逆に張り合いがないって言うか……」
鈴の話では、今回のことは中国軍にも報告したらしい。鈴が自分で。というか織斑先生、報告義務無いからって任せるかよ……
「それアタシも思った。でもそれって試されてたんじゃないかって」
「何を?」
「今回のことでアタシが何するかって」
そ、そこまで考えてるか? あの人、結構行き当たりばったりだと思うぞ?
「かな?」
「だと思う」
あの人、最初から俺に目をつけてたっぽいし、適当にぶん投げて何とかなれー! って感じの、もっと雑な感じだと思う。
「うぐっ、そう言われると、そうとしか思えなくなってきたわ……!!」
「完全に踊らされてるな」
だがなんと言おうが、効果が出ているのは間違いない。結果オーライ極まれり。臨機応変と言えば聞こえはいいが、実際すべてうまくいっている。
セシリアは代表候補性としての責務を思い出しIS学園での態度を改め、鈴もこうして自分の態度を顧み始めている。
ちなみに報告を受けた中国軍部も、目に見える損害があったわけではないため厳重注意という名のお咎めなしの判断をしたらしい。
候補生である以上、候補生になり切れなかった少女達が後ろに控えているのだろうが、この程度で交代するほどではないのだろう。
そう説明してくれる鈴の顔を見ると、やはりどこか吹っ切れたような表情をしている。俺の視線に気が付いた鈴が目を細める。
「なによ」
「いや、俺、結構拗れること覚悟で報告したんだけどね。告げ口しやがって、みたいな」
ああ、と鈴は笑う。
「そうね。普通に魔物倒せてたらそうなってたかも。だからむしろ、やられそうになったのが良かったかもしれないわね」
「やられそうになってよかったとか聞いたことないわ」
「アタシも。そんなこと考えるなんて思いもよらなかったわ」
俺達は笑い合う。2人の間には溝は残っていなかった。
「明後日からの捜査、よろしくね」
「ああ。こちらこそ」
そう言って俺たちは別れるのだった。
―――――――――――――――――――――
「あれ?」
急いで着替えた俺だったが、先に行ってたはずのみんなの姿が見えない。トイレ? ……にしては全員揃っていないっていうのは……
「蛇倉さん、アスナ達何処行ったか知りません?」
「は? 嬢ちゃん達ならさっき出てくの見たぞ? 帰ったんじゃないのか?」
「ええー……?」
帰っちゃったのぉ……?
「みんな神妙な顔をしてたが、喧嘩でもしたのか?」
「してないですよ?」
鈴のことについてはあるかもしれないって事前に言っておいたし。だからこそあんなスムーズに先に行ってもらえたんだし。
だから鈴に呼び止められても別に不機嫌になったりはしないはず。
「内心どう思ってんのか分からんぞ。彼女は大切にしておけよ。あんなかの誰かは分からんが」
「そっすね……」
俺は蛇倉さんの忠告に真剣に頷く。俺が彼女持ちであることは周知の事実。いまさらそこにツッコミは入らない。
まあ、帰っちゃったものはしょうがない。急ぐ理由もなくなったし、少し一服してから帰ろうかな。
そう考えた俺は、自販機に向かう。
適当に飲み物を買って―――
「あ」
「え?」
自販機のボタンを押そうとしたところで、横から声がした。
「……ラムか」
「まだ帰ってなかったのね」
そこにはピンク髪のメイド、ラムが立っていた。
「丁度いいわ。ちょっと来て」
「……だから、そういうのは別に良いって」
例の契約―――俺に体を差し出す代わりに身の安全の保障―――の履行かと思い抵抗すると、ゴミを見るような目で見られる。
「……いやらしいわね。いつもそんなことを考えているのかしら」
「じゃあ他に何かあんのかよ」
「ここで話す内容じゃないわ。だから来て」
ラムの表情は真剣そのものだ。決してからかっているようには見えない。
俺は連れられるままに建物の奥へと向かう。人気がなくなったところで、ラムは端末を見せて来た。メールの文面が映されている。
「これ、何?」
「ん、何々……え、何だこれ」
メールの差出人は何とアスナ。ラムとアスナに接点があったことにも驚き……でもないか。アスナはコミュ力高いし、ラムはラムで今後の生活のために自分たちの事情を知っている人と繋がりを持っておきたいだろうし。
で、肝心の内容だけど……
「明日あなたの家で何があるの?」
「いや、俺も何も聞いてないけど……」
要約すると、明日話したいことがあるので、家に来て欲しいとのことだ。それも、
「『私達の事について』話したいって、つまりそう言う事でしょう?」
「だろうな……」
『私達の事について』とわざわざ言うという事は、俺達特有の事情について話すという事だ。
俺の方も確認してみると、
「あ、俺にも来てる」
同じような文面のメッセージが俺にも送られてきていた。違うのはその話し合いの場に、ダイオラマ球のホテルを使いたいとのことなのだ。
「どんな内容になるのかは知らないけど……」
拒否する理由も無いのでOKと返信する。
「で、ラムは来るのか?」
「……まあ、わざわざ声をかけられたからには、行かないわけにはいかないわ。伝えておいてくれる?」
「了解」
重要な話はそれだけだったようで俺は帰ろうとするのだが、
「それで」
「ん?」
「私の用事はそれだけだけど、あなたの方はいいの?」
「はい?」
俺からの用事は何もないけど?
「私に会うなりあんなこと言ってきたから。ここならあんまり人はこないし、ヌいてあげてもいいわよ」
「いやいやいや! だから大丈夫だって!」
無表情で言われると本気か冗談か分からないな!
「本当に? 明後日から調査もあるんでしょ? 少しでも戦力を高めておいた方がいいんじゃない?」
「それは、そうだけど……」
だがそれは、
「これからどんな脅威と戦うか分からないのよ? あの時シてアイテムを入手しておけば―――なんて情けないこと考える羽目にならなければいいわね?」
「うぐ……っ」
その言葉に昨日のロキ・ファミリアとの食事会のことが思い出される。今のところ、俺の味方でいなくなってしまった人はいないが、これからは分からない。
だが未来の俺の世界では、確実に誰かが欠けている。その時に後悔しないようにと考えるなら。
「別に難しく考える必要は無いわ。カラダの取引の件だけじゃなくて、実際、少しでも強くなってもらわないと。あなたが死んだら、ラムは頼る相手をもう一度探さないといけないのよ?」
そこまで言われてしまえば、
「じゃあ、お願いする」
流石に廊下という事で、ズボンは下ろすことなくチャックを開ける。
「小さいわね」
「そりゃ普段はこうだろ」
「そんなコト、いくら疎明なラムでも知っているわけないでしょう」
まだ力なく萎んでいる俺の息子を見聞するように掌に載せる。
「粗末ね」
「おい!」
ふっ、と笑われ突っ込んでしまった。でも粗末と言われると、男のプライドが黙っていられなかった。
「うるさいわ。誰かが来たらあなたは犯罪者になるのよ?」
「そっちから誘ったんだから、せめて同罪になってくれ……」
「それで、どうすれば大きくなるの?」
「ちょっと待ってくれ……」
ラムの視線から逃げるように目を瞑る。ここは申し訳ないが誰かのことを思い浮かべて……
「ちょっと、目を瞑って何考えてるの?」
「準備が必要だからちょっと待ってくれ」
「誰かのいやらしい姿を想像しようとしてたのね。汚らわしいわ」
「今からそのいやらしいことをしようとしてるんだろ……」
「ラムのこの可憐な顔を見ても、まだ足りないって言うの?」
「顔見ただけでその気になる方がヤバいよ」
ラムもメイド服も可愛らしい事は事実なのだが、毎日見ていると見慣れるもので……
「贅沢ね」
やれやれと言った様子で力を抜くラム。
「せめて目の前の相手でその気になりなさい」
その意思表示はつまり、自分を使って興奮しろという意味だ。
原作で着ているものと同じメイド服。ゆえに首元と胸元には隙間があり、少しずり下げるだけで胸元があらわになる。
「っ」
ぷるんっ、とささやかな胸元があらわになった。なだらかな双丘の頂点にピンク色の蕾が添えてある。
胸元を見られた羞恥からかラムが赤くなる。思えば、無表情か嫌悪以外の表情を見たのはこれが初めてかもしれない。
「触っても?」
「……好きにして」
「嫌ならそう言ってくれ」
「必要なんでしょ。早くして」
指を伸ばす。女性の体は鍛えてあったとしても男性とは違った柔らかさがある。だがこの部位にはさらに特別な柔らかさがあった。
「……すぐに大きくなるわね。こんなことで」
ラムの乳房を揉む、のではなく指でなぞっただけで俺の下腹部にはしっかりと血液が集まってしまった。
口にためていた唾液を手に垂らし、潤滑油にする。撫でるようにペニスをコーティングし、少しずつ指先で弄び始めた。
「はっ、くっ……ちょっと」
「なんだ?」
「大きくなったんだから、もう触る必要ないでしょ」
胸の先端を指がかすめた時、一瞬だけ甘い吐息が漏れた。が、それを飲み込んで俺に文句を言って来る。
「嫌ならやめる。不快か?」
「……くすぐったいだけ」
嫌とは言わない。つまりはそう言う事だ。
「そのまましてくれ」
「分かったわ」
そうして始まる。
前回の様に人が来ないであろう男性シャワー室ではなく、奥とは言え建物の通路で。
ラムの手つきは前回と比べて大したことはない。
俺のペニスよりも自分の胸をなぞる指の方に注目しているからか。ペニスを扱く手は動いているが、目線は自分の胸を這いまわる俺の指に向けられている。
乳輪をなぞる俺の指。口を固く結び、不意の刺激が襲ってきても声を出すまいという意思が見えた。
「……最初よりも硬くなって、るっ!?」
ラムが睨んでくる。
ペニスの変化に気を取られて一瞬目を離した隙に、なぞるだけだった俺の指が同じく硬くなってきた乳首を引っ掻いたのだ。
「さっさと出させてやる……っ」
余程屈辱的だったのか手つきが激しくなる。同時に増大する快感。自分の胸を這う指の様子などもう気にしていない。
だが攻撃を行うという事は防御がおろそかになるという事だ。
「うっ!? く……っ」
両方の乳首を親指と人差し指で摘まむ。かくっと一瞬足から力が抜け、手も止まるが、すぐに何事もなかったかのように手淫を再開する。
快感のせいか、攻撃に集中しているのにその攻撃がおざなりになってしまう。
このままではまずいと思ったのか、口を半開きにしながらしゃがみこもうとするラム。
口でして攻め手を増やそうというのだろう。しかもしゃがめば俺が現在弄っている2つの突起からは手を放す必要がある。
攻撃と防御を兼ね備えた手だ。
だが、
「ちょ、っと……!!」
「そのままして欲しい」
「~~~~~っ!!」
もはややけくそになって俺のペニスを扱くラム。
お互い憎まれ口1つことなく、通路の片隅で情事に耽る。
「く、ぁ……っ」
「ラム?」
ラムが寄りかかるように頭頂部を俺の胸に押し付けて来た。
「なんでも、ない……っ」
そんな訳がない。零れた耳は赤く染まっているのだから。
ペニスに与えられる快感と、目の前の少女が俺の手で快感を享受しているという事実が、背中をゾクゾクと駆け抜ける。
「ラム、そろそろだ……っ」
「え、ぁっ!」
―――ごびゅっ! じゅぶぶっ、ゆゆびゅっ!!
むき出しになった胸に向かって、白濁がぶちまけられた。
「ぃ、ぁ―――っ!」
同時にラムの腰が揺れ、小ぶりなお尻がスカートを持ち上げる。
「ぅ、は―――っ、は、ぁ……っ!」
通路に響くのは2人分の荒い息遣いだけだ。
だがラムの立ち直りは早かった。
明らかに無理をしているのは分かるが、それを指摘すれば攻撃されてしまいそうだ。黙っておこう。
「は、ぁ、っ、どうするのよ、これ……」
ラムのシミの無い肌を穢す白濁。こんな状態では服を着ることは出来ない。その前に洗い流さなければ。
「シャワー室まで連れて行かせていただきます」
俺はラムをシャワー室まで送り届け、家路につくのだった。
―――――――――――――――――――
その日の夜。レムとラムが2人暮らしをしている部屋。並べられたベッドに横になった姉妹は就寝前の会話をしていた。
「レム、明日は少し出かけてくるわ。お土産は期待しないで」
「え? どこに行くんですか、姉様?」
「……ちょっと秘密の場所に。私達の今後について話をしないといけないの。レムには話がまとまったら言うから」
「―――はい。わかりました! おやすみなさい、姉様」
「ええ。おやすみ、レム」
優秀な姉の言う事に間違いはない。レムは疑問を放棄し、笑顔で頷く。