※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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覇王と疾風迅雷 編
決闘の申し込み


「なんで私が学校に行かなければいけないんですか……」

 

この期に及んでまだ文句を言っているヤミ。いい加減に覚悟を決めてほしい。

 

クロとティナに待ち伏せされた翌日。本当に平和に、爽やかに寝て起きることができた。比較的に早い時間、力の抜ける運動をする、という好条件で眠りについたためか、ぐっすり眠れたにもかかわらず、早起きすることができた。

 

誰にも見られること無く後片付けできたよ。

 

そして昨日から言っていた通り学校に行く。ヤミと耀、ティナも一緒にな。ヤミは俺、耀は雪菜、ティナはクロの同じ学年、同じクラスに転入することになっている。

 

耀は召喚された時点で転入が決まるけど、他の2人はいろいろな人が手を回した結果の転入だ。

 

「そもそも高等教育なんて済んでいますよ」

「ばっちり制服着てんだからもうぐちぐちいうのやめろよ……」

「自分の意思で着たわけじゃありませんよ……」

「アスナと理子か……」

 

あの2人のパワーには目を見張るものがあるからな。戦闘じゃなくて、そっちの方面の。

 

「あの2人には、なんというか、逆らえないパワーのようなものが働いているように思うんです」

「抵抗しなかったんだ」

「えっちぃだけじゃなくて、本当に失礼ですね、あなたは。私は別に戦うのが好きなわけじゃありませんから。よほどのことがない限りは相手を傷つけたりしませんよ」

「……ふーん」

「あなたには別ですが」

 

ほんと、パンツのことがいつまでも尾を引きずってるな。覆水盆に返らず的な奴なんだろう。いつか笑い話にしてしまいたいです。

 

それでは、行ってきます、我が家よ。

 

まったく好感度が回復していないことを確認した俺はかなりの大所帯で学校に向かい始めたのだった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――

 

 

 

 

いくら暴力沙汰が日常的に発生している武偵高でも、転校生というものには学生らしく反応する。

 

具体的には「今日、転校生が来るんだって」とか、「男子かな、女子かな」とか。教室に来てからは好きな食べ物を聞いたり、彼氏彼女のことを聞いたり。

 

違うことといえば、転校生の情報が教室に入る前から写真付きで広まっていることかな。

 

ヤミを職員室に送り届けてから教室に入った瞬間、写真を突きつけられてどういう関係だって聞かれたときは、こいつら自分の能力を全力で使ってるなって感心したよ。

 

そんな具合なもんだから、当然暖かく迎え入れられたヤミ。ま、不愛想なのは相変わらずだけど。

 

転入初日でも手加減されることはない。バンバン指されるが難なく答えていく。どうやら高等教育が済んでいるというのは伊達ではないようだ。しかも、テスト期間だけ覚える的な一瞬の詰込みじゃなくてしっかり頭に入っている。

 

携帯にメールが来ていた。クロからだ。

 

《友達がどうしてもお兄ちゃん達に会いたいって言うの。時間があったら今日の放課後〇〇〇に来てくれない?》

 

ふむ。友達っていうのはあれだよな。名前だけ出てたVividのメンバーだよな。逃げられないもんだと理解してるし、断る理由は特に思い浮かばないな。ティナの様子も気になるし。

 

俺は了解の返信をして画面を閉じた。

 

「ヤミ、学校はどうだ」

「特にこれといって感想はありません」

 

「ちなみに今日の放課後、クロの友達に会いに行くんだけど―――」

「興味ありません」

 

即答するな。しょうがないけど。

 

「そもそも、なんで私の名前が『ヤミ』で登録されているんですか?」

「登録したの俺じゃないし」

「Dr.ミカド……っ」

 

御門先生、ほんとお茶目なんだから。

 

そもそも、偽名登録バッチ来いのこのシステムにも問題あるんだけど。正確なのかいい加減なのかはっきりしてほしいですね。

 

「俺と一緒に来ないのはわかったけど、放課後は何してるんだ?」

「あなたに関係ありますか?」

「一応、ヤミが何かしでかすと、俺がなんか言われる可能性がある」

「はぁ……今日は図書室で本を読んでます」

 

本好きなのは変わってないんだな。予鈴で席に戻りつつ、ヤミの横顔を見た。つまらなさそうな、寂しそうな、そんな顔。

 

俺は俺で動いた方がいいかもしれないな。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

クロはうんざりした様子で、白黒の双剣を構えていた。

 

目の前には動きやすい服装をしたクロよりも少し年上の少女が立っている。隙の無い構えは無手。つまり、格闘技の構えだ。

 

睨みつける目は左右で色が違う。それは獲物を狙う獣のような目だった。

 

なんでこんなことになっているかにはもちろん理由がある。

 

クロは学校で3人の娘と仲良くなった。ヴィヴィオ、リオ、コロナの3人とだ。この3人はノーヴェ・ナカジマという女性のコーチ(本人は否定しているが)の元、ストライクアーツという格闘技をしている。

 

そのためクロもその練習に参加するようになっていた。

 

クロの方も、魔力の節約のために刀剣や弓以外でも戦えるようにしたいと思っていたため、これには積極的だった。無限バンダナを翔に借りているので矢の方の心配はなくなったが。

 

この場所、正確には少し離れた屋外カフェに、クロやヴィヴィオ達に会わせたい人がいると言われて呼び出されたのも、てっきり格闘技の先生に会うものだと思っていた。

 

ヴィヴィオ、リオ、コロナの3人に、今日から学校に行くことになったティナを加えた4人で一緒に向かった待ち合わせ場所には、コーチであるノーヴェの他にノーヴェの姉妹を名乗る娘もいっぱいいたため、テーブル3つを使った超大所帯になってしまった。

 

そんなクロたちの前に現れたのがこの少女、アインハルト・ストラトスだ。

 

話を進めるうちに拳で語ろうという話になり、近くにあった屋外訓練スペースに来たという訳だ。

 

ヴィヴィオとアインハルトのスパーリングは、アインハルトがあっさり勝利するという結末になった。

 

クロの目から見ても、ヴィヴィオは決して弱くない。同年代から見ても突出していると言ってもいいくらいだ。

 

それをあっさり下したアインハルトは、ヴィヴィオの再戦の申し込みをこまったような顔で承諾した後、今度はクロに勝負を申し込んできたのだ。

 

アインハルトは鬼気迫る様子だったが、クロは応じるつもりはなかった。どんな理由であれ、魔力の無駄遣いは自分の命に関るからだ。

 

しかしそこで、集団の怖い所が働いてしまった。

 

リオ、コロナはもちろんの事、ノーヴェやその妹たち(ノーヴェ曰く勝手についてきた)がすっかり乗り気になってしまっていたのだ。

 

しょぼくれていたヴィヴィオも興味津々になってしまったため、引くに引けなくなってしまったのだ。

 

投影を使わなければいいか、なんて思っていたのもつかの間で、ヴィヴィオ達がペラペラとクロの投影の事についておしゃべりしてしまった。

 

こうなってしまえば全力で素早く片付けるしかない。

 

もしもの為に、しっかりと翔には連絡済だ。実は翔が到着する前に移動してしまっている。翔も、行くとは返信したが何時になるとは書いていなかったため、先についていた雪菜と耀に屋外カフェで待ってもらってクロたちは体を動かせるところに移動してきた。

 

「いきます」

 

アインハルトが光に包まれる。光が晴れるとしっかりとした大人の姿になったアインハルトが立っていた。

 

これは変身魔法と呼ばれるもので、自らの肉体すら変化させる極めて高度な魔法だ。

 

これはアインハルトの本気モードの証。

 

「……変身魔法、か。少し勉強しとこうかな……」

 

クロの中にあるアイディアが浮かんだが、審判役のノーヴェの言葉で現実に引き戻される。

 

「んじゃあ行くぞ。レディ……ゴー!!!」

 

模擬戦が始まった。

 

独特の歩法で瞬時に自分の間合いに入ったアインハルトは、拳を繰り出す。

 

それを干将で受け止め、回転させた莫邪で反撃するも、避けられてしまう。

 

白と黒の残像を残し、1秒間に何回も殺到する剣。それを全て危なげなく捌いていくアインハルト。

 

とても子供の物とは思えない戦いだ。そのレベルの高さに、外野は目を丸くしている。

 

もっとも、外野の事は今の2人の頭の中にはない。あるのは目の前の敵を倒すイメージだけだ。

 

つばぜり合いになったところで、クロが問う。

 

「そういえば、一つ聞きたいんだけど」

「なんですか?」

「なんで私に勝負を申し込んだの?」

「決まってます。あなたが強いからです」

 

即答するアインハルト。

 

「見ただけでわかるんだ」

「はい。少なくとも、今まで私が闘ってきた人の中では一番」

「あっそ!!」

 

このままでは埒があかないと悟ったクロは、会話を打ち切り距離を取ろうする。しかしアインハルトは、このまま攻めるつもりでいる。

 

クロが後ろに下がるスピードと同じ速度で前進することで、距離を取らせない。

 

(もらったッ!!)

 

一瞬の隙を見つけるアインハルト。彼女の拳の速度なら、クロが防御する前にクリーンヒットを与えることが出来る。

 

「甘いわ」

 

クロとアインハルトの間に、大剣が突き刺さる。それが盾となるばかりではなく虚をつくことによって、アインハルトの勢いが弱まる。

 

アインハルトは大剣のせいでその向こう側にいるクロが見えなくなってしまう。急いで大剣の向こう側に回り込むが、そこにクロの姿はない。その代わり、3本の剣が地面に突き刺さっている。

 

「壊れた幻想(ブロークンファンタズム)」

 

一斉に起爆する剣。地面には小さなクレーターができる。クロも、自分の行動の分の魔力を計算に入れたため、そこまで威力が高くないのだ。

 

それでも、至近距離で喰らえば相当のダメージになる。

 

しかも、剣が爆発するなんて普通は考えない。よって防御をすることもなかったアインハルトは、爆炎に飲まれてしまう。

 

こうして勝敗が決したのだった。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「なんでお前は無意味な戦いを引き受けるんだ……?」

 

クロのメールで指定された場所に来ると、雪菜と耀がお茶をしていた。テーブルには山のようにお皿が積まれ、今なお、空のお皿が回転寿司のように増えていっていた。これがケーキのお皿だと思うと気が遠くなりそうだ。

 

俺を見つけるなり残っていたケーキを口に押し込んだ耀には店員さんも少し引いてた。

 

2人と合流してクロたちが向かった場所に行くと、今まさに戦いを終えたクロとリリカルなのはの原作キャラ達がいた。

 

話を聞くに、アインハルトが勝負を申し込んでクロと戦ったらしいんだけど。

 

「だってしょうがないじゃない。みんながやれって言うんだもん」

「だからってさ……もしものことが」

「まあまあ、先輩。もういいじゃないですか」

 

雪菜になだめられお小言をやめる。

 

「や、うん、悪いな。まさかこいつ、こんなに魔力量が少ないなんて思ってなかったからさ」

「あ、いえ、気にしないでください」

 

頭をかきながら申し訳なさそうに言ってくるノーヴェさん。

 

この世界の魔法使いは魔力を使いすぎると途轍もない疲労感に襲われるらしいのだ。クロの症状も、それだと思っているのだろう。

 

「それにしても、お前らホントに兄妹か? 悪いけど全然似てないな」

「アハハッハ。よく言われますよ」

 

あなたの姉妹も相当ですけどね。

 

口には出さないけど。

 

「実は血がつながってないのよね」

「やっぱりな」

「そうなんですよ」

「でも、血よりも深いところで繋がったから……」

「やめなさい」

 

洒落にならん。幸い相手は意味が分かってないみたいだけど、理解されたらどうするつもりなんだよ。

 

血よりも深い所ってなんだよ。あれしか思い浮かばねえよ。

 

これ以上この話を広げられる前にさっさと退散したいけど、そうもいかなそうだなぁ。時間あるなら来てほしいって言われたから来たのに、用事があるから失礼しますはおかしいもんな。

 

「それじゃあ、もう一回カフェに戻って……ん? アインハルト?」

「え?」

 

碧銀の髪をツインテールにしている女の子。俺のことをまっすぐに見ているその目は左右で色が違う。オッドアイってヤツだ。

 

なんでこんなに見られてるんでしょうか。初対面のはずなんですけど。

 

「あ、あの――――」

 

アインハルトが口を開いた時、周囲が静まり返るような破裂音が鳴った。しかし、爆弾が爆発したとか、そんなことではない。

 

竹刀袋を持った女の子が、体格のいい男性に平手打ちされた。それだけだ。

 

「それはお前が考えることではないと言った筈だぞ、綺凛」

 

少し離れた場所で行われているそれは当然周囲の人の注目を浴びる。

 

「ったく。こんな場所でよくやるぜ」

 

ノーヴェさんがやれやれといったように首を振る。

 

「ノーヴェさんはあの手の奴には何とも思わない感じですか?」

 

俺は話題を変える意味を持って話しかける。

 

「ん? まあな。あたしのとこでも普通にあるからな。言葉だけでわかれば苦労しないってことだ。指導する奴は時には心を鬼にしなきゃいけないこともある」

 

体罰上等なのは結構だし俺も同じ考えだ。でもあれは……

 

「で、ですが伯父様」

「口答えを許したつもりもない」

 

もう一度、男性が腕を振り上げる。綺凛は次の瞬間頬に訪れる鋭い痛みに耐えるために目をきつく閉じた。

 

男性の腕が振り下ろされる。しかし、平手が綺凛を襲うことは無かった。男性の腕をつかんで止めていた人物がいたからだ。

 

「え……?」

「……」

 

綺凛が恐る恐る目を開くと、そこには無言で男の腕を掴む耀の姿があった。

 

いつの間に……仕事が速いよ。それって本来、俺がやるべきものだよね。ボケッとし過ぎてたか。

 

「……何だ、貴様は」

 

男性は敵意のこもった視線で耀を睨む。厳つい顔に睨まれても特に表情を変えることはない。代わりに小さい声で返した。

 

「それ以上の暴力はよくない」

 

周囲の人々が口を閉じて見守っているため、小さい声でも遠くまで聞こえてくる。男性はその言葉を嘲笑う。

 

「ふん、笑わせるなよ小娘が。金のために銃を手に取るお前等が、どの口でそんな綺麗事をほざく? そもそも今のはただの躾だ。こちらの事情も知らない部外者がしゃしゃり出てくるな」

 

耀の着ている制服で武偵と判断したためか、武偵にとって痛いところを突いてくる。

 

「それは違う。あなたの顔はしつけをしようって顔じゃなかった。自分の憎しみをぶつけている顔」

 

生命の目録(ゲノム・ツリー)で動物の観察能力を使ったな。動物っていうのは、人間が思っている以上に人間の表情を見ているらしいからな。

 

男性の顔が不快そうに歪んだ。

 

「貴様、目上の人間に対して失礼な物言いだな。貴様の親は貴様に碌な教育をしてなかったと見える」

 

耀の顔が一瞬固まるが、すぐに無表情に戻る。

 

「目の前にいる奴以外を貶めるのは、人として最低だと思いますが?」

「翔?」

 

耀をかばうように前に出て、言い争いに参加する。

 

「貴様、その小娘のツレか? 確かに今のは私の失言だったが、こちらの躾に口を出してきたのはそっちだ。今すぐ立ち去れば許してやろう」

 

男性は顎で失せろと伝えてくる。

 

(翔、行かないよね?)

(当たり前だろ)

 

小声で聞いてくる耀に迷いなく答えた。

 

「言葉を返すようですが、そうは思いません。あなたの暴力はただの暴力。相手を傷つけるためだけのモノでした。その娘も何かを学び取っている様子はありませんし、むしろあなたに恐怖している。恐怖による支配はもっとも単純で崩れやすいものです。歴史を見てもうまくいったことはありません。その子の事を思っているなら、考えを改めた方がいいと思いますが?」

 

「……学生の分際で生意気な。貴様、名前は?」

「夜月 翔です」

 

男性は端末を取り出し操作し始めた。俺の名前から情報を引き出すつもりだろう。しかし無駄だ。なぜなら俺の表向きの情報は……

 

「Fランクの雑魚か」

 

まったくのデタラメだからだ。

 

「っち、こんな雑魚に……ん?」

 

何かに気が付いたように口をゆがめる。

 

「いいだろ。小僧、貴様が物申したいというなら、言ってみろ」

「えぇ?」

 

何だ、何を発見したっていうんだ?

 

「聞いてやると言っているのだ。言ってみるがいい」

 

聞いてやるって言ってるんだし、言ってやるか。

 

「もう二度とこの娘に暴力を振るわないで下さい」

「あぁ、構わんさ……貴様が決闘に勝ったらの話だがな!」

 

ああ、うん。こうなるのは分かってたよ。

 




という訳で、次の原作はアスタリスク2巻とVivid1巻の複合になりました。


ちなみに、現在主人公が抱えているタスクは

①ブラド関係
②ゾンビゲーマー+ホワイトスネイク
③超電磁砲のレベルアッパー事件
④ヤミ関係
⑤今回の原作NEW

絶対主人公を休ませない。
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