「お待ちしていました、翔」
「クローディア」
次の部屋にいたのはクローディア・エンフィールドだった。
いつかの時のようにバスローブに身を包み柔らかな笑みを浮かべている。すでに身を清めて準備万端らしいが、聞いておかなければいけないことがある。
「クローディアはどうしてここに?」
「それはみんなに聞いてるんですか?」
「ん、まあ、恋人じゃない子にはな」
感覚がマヒすると大変だが、普通女の子は、恋人や夫じゃない男とはセックスはしないのだ。男の場合は……チャンスがあればしてしまいそうだが。俺のように。
「ふふふ、そうかもしれませんね」
クローディアは微笑を浮かべながら、口を開いた。
原作のクローディアは死に触れ過ぎた結果、『理想の死に方』に取り憑かれていた。
パン=ドラの見せる悪夢によって原作主人公である天霧 綾斗に恋をして、その彼の腕の中で息を引き取るという『理想の死』のために動いていた狂人。すべてが夢の中で完結していた女の子だったが、綾斗に諭されて以降、未来に目を向けるようになった。
俺が原作の綾斗の立ち位置に入れ替わっていたのだとすれば、そのシナリオもなぞることになると思っていたのだが。
「はい、それは否定できません。実際、あなたが夢に出てくるようになってからしばらくは、その考えから抜け出せませんでした」
『理想の死』に憧れていたことを肯定するクローディア。だがその表情は笑顔だ。そしてセリフは過去形。
「今は違うのか?」
「ふふ、はい」
今度は困ったように苦笑するクローディア。
「皆さんの前では恥ずかしくて言えませんでした……パン=ドラが見せる夢―――大体最後は死んでしまうんですけれど、そうじゃない場合もあるんです」
「というと?」
「私があなたに恋をしたことを感じ取ったのでしょうね。単純に殺すだけでは満足しなくなった……夢の中で、あなたと性行為するようになったんです。そしてそのまま夢が終わる」
「ほ、ほう?」
所謂、幸せなセックスをして終了って奴か。別にそれは、まあ、死なないなら良いんじゃ……?
セックスの相手も、その……恋をしている相手なら、全然問題ないのでは?
「そう思うでしょう? そこで、
「うん?」
「死んで目覚める夢は、本当にリアルで……痛みも、自分の体が冷たくなっていく感覚も。もちろん現実で経験したことはないのでイメージに過ぎないのかもしれませんが、とにかく『リアルな死』を味あわされる」
それがパン=ドラを持つ代償だ。だからこそ、歴代のパン=ドラ所持者は、パン=ドラを御し切ることが出来なかった。毎晩の悪夢に耐えられなかったからだ。
「ただ、あなたとの性行為は別でした」
クローディアの張りつけたような笑みが段々と熱を帯びていく。
「死の経験とはまるで逆。まるで現実味の無い映画を見ているかのようでした。幽霊のようにふわふわとした意識。目の前では自分と同じ顔の少女が、自分の好きな人と性行為をしている。それも、今の自分がどんなに頑張っても出来ない表情をしながら」
「……」
クローディアの覇気に、俺は何も言えない。内容で言えば、『夢で見るセックスが気持ち良くない』というモノなのだが、そこにかける本気度が違う。
「何も感じなかったんです。
つまり、人は不味いものであっても、どんな苦渋であっても、生きる為なら我慢して食べることが出来る、飲み込むことが出来る。でも美味しいものをいつまでも美味しくない、いらない、なんて言うことは出来ない。そう言う事なんだろう。
脳内物質で快楽を出されてしまえば、それを我慢することは難しいということだ。
クローディアが受けていたのはそういう類の意地悪だった。最高のAVを見せられながら、自慰行為は禁止されるような拷問だ。
当然、俺に恋をしていたクローディアはお試しでも他の男に体を許すようなことはない。それすらもパン=ドラの計算通りだったのだろう。以来数年間、クローディアは満足できない欲求を抱えることになった。
死の悪夢を何とか乗り越えた少女に待っていたのは、解消されることの無い性欲の蓄積だった。
「ようやく、なんです……」
「っ」
クローディアは立ち上がり、バスローブの紐をほどいた。そのまま床に落ちる。クローディアの、女性ならば隠さなければいけない部位が全て顕わになる。
それは思わず息を呑むほどの色気を纏っていた。
均整の取れた体に、たわわに実った乳房。その頂点ですでに固くなっている突起。薄い線の浮かぶ腹筋に、真っ白なお腹の中央にあるおへそ。下の毛は綺麗にそろえられており、割れ目はしっとりと濡れていた。
「あの日、私達と病院であった日を覚えていますか?」
「あ、ああ。それはもちろん」
楯無さんとクローディア。ヤバい2人に会ったなって、戦々恐々としてたのを覚えている。
「私は必死に自分を律していました。目の前に、ずっと夢に見てきた男の子が現れて、現実であなたの声が聞けて、求めていた瞬間までのカウントダウンが始まったと思っていました」
クローディアは舌なめずりする。
「実は最速は、妹達事件の時の密会だったんですよ。何時でも良いようにって、翔と会うときは何時もシャワーを浴びた直後だったです。気づいてましたか?」
それは、まあ、いつも石鹸の香りがしてたからな。シャワーを浴びた直後だってことには気が付いてた。まさかその先まで考えていたとは思わなかったけど。
「あの時でも何人かの女の子と関係を持っていたのは知っていたので、そのまま襲ってくれても良かったんですよ?」
そんなことする訳ないだろうけどね、というのは口調でわかる。
最速というのはパン=ドラで見た悪夢の話だ。
「そして、一番確率が高いのは今日でした」
今日。みんなに事情を説明して、信用を得る日か。おまけに戦力増強と言ってたくさんの女の子とセックスする日だ。
「はしたないって思わないで下さい。あなたと会う時、私はずっと、下着を濡らしていたんです」
衝撃のカミングアウトをしてくるな。それほどまでに、溜め込まれた欲求というのはすさまじいものなのか。
「六課入隊の模擬戦の時もそうでしたし、妹達の事件の時は本当に危なかったんです。だって毎日夜遅くに2人きりになるんですから。実を言うとあの夜、翔が帰った後はすぐに下着を変えていたんですよ?」
どうして下着を変える必要があったのかなど、聞く必要は無い。確かにあの時は毎回毎回バスローブ姿で会っていたから色々と麻痺してたな。普通の女の子はバスローブ姿で異性に会ったりしないんだ。
「準備はいりません」
そんな思考をしている間に、一糸まとわぬ姿になったクローディアが自らベッドに向かう。
「来てください……」
卑猥にもM字に開いた足、ペニスを受け入れるために自ら開くおマンコ。ムーディな照明に照らされ、てらてら光る愛液。すべてがチンポを苛立たせる。
気が付けば、バキバキに勃起していた。
「翔のおちんちんを私に下さい」
待たせるわけにはいかないと、俺は服を乱暴に脱ぎ捨てていく。初手フル勃起の全裸。余計な前戯など必要なかった。なぜなら相手が今更まどろっこしい前戯など求めていないから。
「いくぞ……!!」
いきり立ったペニスを肉壺の入り口に添え、ずぶぷと挿入していく。
「ああ、あ、あぁ、あぁぁぁあぁぁぁ……っ」
「ぅ、く、締め付けヤバ……っ」
何年もかけて熟成されたおマンコは、俺の肉棒をじゅるじゅると飲み込んでいく。
俺の体ごと持っていかれそうな吸引力だが―――凄い締め付けなのは間違いないのだが、初めての女の子特有のキツさが無いように思える。
その疑問を感じ取ったのか、
「ごめん、なさい……」
クローディアが泣きそうな―――いや、泣きながら言った。流れ込んでくる恐怖と悲しみの感情。
「わ、たし、どうしても我慢出来なくて、おもちゃを使った時に……」
その言葉ですべてを理解した。
小さい頃からパン=ドラの性拷問に耐えてきたクローディア。だがいくら耐えても解消できない欲求は溜まる一方だ。ならば自分で発散させるしかない。
段々とその行為がエスカレートするうちに、大人の玩具を使って自分を慰め、その時に誤って膜を破ってしまったと。
「そんなこと気にする必要なんてないさ」
「あぅっ!?」
奥をこつこつと叩くことで具合を確かめる。いやらしく腰をくねらせるクローディアは自分の弱点をしっかり分かっているようだ。相当こなれているようだ。
「あぁ、翔……っ」
「ずっと求めてたんだろ? だったらつまらない事なんて気にしないで、気持ちよくなれ」
「はい……っ」
どんなに玩具で気持ちよくなっても、最後の最後、男汁を出すことは出来ない。最後の気持ち良さを体験できない。
今日はそれをたっぷりと味わってもらうことにしよう。
クローディアの身体に覆いかぶさり、マンコにチンポをずっぷりハメこんだ俺は、密着正常位で腰を振った。
互いに素っ裸の状態で、相手の背中に腕を巻き付け、クローディアも足を俺の腰に回し、硬く抱き合いながらのセックス。
「(夢にっ、夢にまで見た翔とのセックスっ!! おちんちん、本物の翔のおちんちん気持ちイイ!! 玩具なんかと全然違うっ、熱い、どくどく脈打って、私の体が喜んでるの分かる……っ!!)」
クローディアはとても素直に歓喜の感情を流してくれる。ここまで求められると勃起をあおられたチンポがさらに深くマンコを抉った。お゛ふっ、と少々汚い喘ぎ声が漏れる。
「どうだ、クローディア! 気持ち良いか!?」
「は、はいっ、もっと、もっと突いて下さい! お゛っ、ぁ゛、か、はっ……!!」
お望み通り、俺は長いストロークでチンポを出し入れした。そうすることで数年前から俺に差し出されることが決定していたマンコの感触を楽しむ。
青筋浮かべるチンポを絞る肉襞、亀頭をコリコリ甘噛みする子宮口、そしてこれから種付けされる子宮、そのすべてが俺のモノなのだ。
そう考えるだけで幸丸からで造られた精液が上がってくるのを感じる。
「クローディア、とりあえず一発目だ。行くぞ……!!」
「来てぇっ! 翔っ! んんぅうううっ!!?!?」
射精の瞬間に俺達はキスをする。ちゅぱちゅぱと舌を絡めながら、クローディアのおっきなおっぱいがぺちゃんこに潰れるくらい抱き合って、同時イきの快感に酔っていた。
チンポが抜けた後も、俺達はキスを続けていた。不意に唇を離したクローディアは、
「ねえ、翔、まだまだ出来ますよね?」
言いながらお尻を向けて来た。赤くとろんとした顔で、突き出した尻を自分の手で撫でまわしながら。その指先が秘部に触れると、湿っぽい吐息を漏らす。
「だって夢の中の翔は、1回くらいじゃ終わりませんでしたから」
こんなことを言っているが断れば逆に襲って来るだろう。
「当たり前だろ。満足するまで付き合うぞ」
俺は笑って、勃起し直したチンポを入り口に沿えて突き出した。
部屋に、再び艶声が響き渡る。
それからしばらくして、
体勢を変えて、今はクローディアが上になっている。
「ハァんっ、すご、いっ、おちんちんっ、翔のおちんちん。わたしの中、ゴリゴリ削られて……っ」
「う、ぐっ……! クローディア、その腰遣いヤバい……!」
綺麗な金髪を振り乱し、俺の上に跨って腰をグラインドさせている。バッキバキに勃起したチンポが右へ左へざらついた肉筒に翻弄されている。
クローディアの性欲は中々に底無しだった。今まで抑制されていた分が解放されたからなのか、おマンコの次はおっぱいと口で、その後は再び正常位で、何度も何度も俺のチンポを絞ってくる。
本当に時間ギリギリまで行為を行い、俺は合計5回の射精をするのだった。
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行為が終わった後、ピロートーク代わりに明日のことについて話した。
「翔、明日は気を付けて下さい。明日に何が起こるのかは、パン=ドラの夢にも全く出てきていませんから」
「意図的に隠されてるってことか」
「はい。ですが逆に言えば、わざわざ隠しているのなら、『何か起こるのは確定している』という事になります」
もしくは『何も起こらないから見せる夢が無い』ってことは……ま、ないか。
「何か起こるのは覚悟してんだ。問題ないさ」
だからこその今日なんだからな。
「はい……それで、なんですが」
「うん?」
「……んん。そうですね。流れで知られてしまったので、ここまでスルーしてしまいましたね。それでは改めて―――翔、あなたのことが好きです。これからはあなたの身内の一員として、あなたを支えていきたいです。良いでしょうか……?」
「あ……」
「もちろん、翔のハートも奪って見せますね♪」
確かに流れで忘れていたが、声に出しての確認をしていなかった。
「こちらこそ、これからよろしくな」
この段階で俺が好きと言っても説得力が無いだろう。今はまだ、クローディアが自分の気持ちを開示した段階なのだ。だから、まだこれで良い。
「ま、夢の中の王子様が、本当に俺と重なるのかは分からないけどな。もしかするとパン=ドラがカッコいいシーンだけを切り抜きしたのかもしれないし」
「ふふ、今まであなたの活躍を見ていましたが、都合の良い切り抜きではないと思いますよ? ……ああ、でも……」
「ん? な、なんだよ、急に不安にさせるなよ……」
「……いえ、だとするとあの修羅場も本当に起こるのかと思いまして……」
しゅ、修羅場!?
「今からそれなりに未来のことだとは思いますが……何か国かのお姫様と関係を持ってしまって、それが原因で一触即発に……」
俺は唾を飲み込む。
「事件には首を突っ込まずにはいられない性分なのは分かっていますが、安易にお姫様に手を出すのは控えたほうが良いかもしれませんね……」
「い、や、そんな、お姫様となんて、そんな、な? そんな機会あるわけないだろ?」
「本当ですか? 実は頭の中に浮かんでいるんじゃないですか?」
……否定は出来ない。
そんな感じで話も終わり、部屋を出ようとしたところ、
「それと、最後にもう1つ」
「ん? ―――ん!?」
いきなり唇を塞がれて面食らってしまう。
「シたくなったらいつでも呼んでくださいね。家でも外でも、翔の望みは出来るだけ叶えたいと思っていますから」
妖しい顔でそう告げられるのだった。