※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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前に投稿ミスっちゃったお話になります。


空中要塞編
地下調査開始


長かった夜も終わり(実際、俺の体感では一ヶ月は経っていた)、とうとう調査当日になっていた。

 

島の四方にある地下点検用設備の入り口。機材搬入のために道路と地続きになったそこに、調査隊である俺達特務六課とその協力者の面々は集合していた。

 

これから俺達は車で入れるギリギリまで車両で移動。作業員が使う事務所のような場所があるので、そこを拠点として捜索を行うことになっている。

 

「いよいよだな……」

 

目を向けると、はやてさんが現場の指揮官から引き継ぎを行っていた。

 

昨日、六課はお休みだったが、他の部隊は今日のための準備をしてくれていた。

 

具体的には、ドローンのように情報を収集する魔法『サーチャー』を地下に放ち、図面と比べたり、おかしなものがないかの調査を行っていた。

 

結果は問題なし。あからさまな不審物も、あれだけ溢れた魔物も、今は影も形もないらしい。

 

「分かってたことですけど、やっぱり人の手による事件だったんですね」

「ああ、そうだな」

 

雪菜の言葉を首肯する。

 

自然に繁殖した魔物が原因なら、どこかに痕跡が残っている。あるいは地上にあふれた魔物のうち、地下に逃げ帰ったヤツが1匹や2匹は残っているはずだ。

 

だがどちらもなかった。自然ではありえないことだ。

 

つまり十中八九、この地下には何かある。それが部隊の共通認識になった。

 

「よーしみんな、聞いた通りや。気いつけていこか!」

 

はやてさんの掛け声で俺達は車に乗り込み、出発した。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

拠点には特に問題なく到着した。

 

ここからは迷路のように入り組んだ区画を調査するため、いくつかのグループに分かれて調査することになっている。

 

そうして調査を開始してわずか30分。

 

「これは……」

 

そこにあったのは直径10メートルほどの黒い板だった。板とは言ったが固体には見えない。むしろ液体のように表面が柔らかく波打っているようにも見える。明らかな不審物だ。

 

「いきなり当たりを引くなんてな……」

 

俺は自分の運命力に対して、そう呟くのだった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

調査の結果、この黒い穴は巨大なワープポータルだということが分かった。当然ながら、前日まではこんなものは存在していなかった。

 

さらにみんなが集まった後で、

 

『来るなら来てみろ、特務六課!!

我々はゲートの向こう側にいる!!』

 

と書かれた紙が、野球ボールに張り付けられて板の向こう側から飛んできたのだ。

 

分散しての調査どころではなくなった俺達は、全員でポータルの前に陣取り、今後の方針について協議していた。

 

もっとも、(一応は)平社員である俺は、ポータルの前で変なものが出てこないかの警戒に当たっている。実際に向こうで話しているのは隊長格の面々だ。

 

こっそり聞き耳を立てる。

 

「あからさまな挑発やね」

 

これははやてさん。わざわざ敵に『来い』と言われているのだ。そう捕らえるのが普通だろう。

 

「だね。しかもわざわざ名前入りだ。どこから情報が洩れているのかな?」

 

フィンはニヤリと笑いながら同意する。

 

魔物の発生に対して管理局が対応しているのはネットやTVを通して広く発信されているが、どの部隊が対応するかなどの詳細は伏せられている。通常の手段で突入部隊を知ることは出来ないはずだ。

 

明らかな罠。部隊を特定されているという事は、それより先の個人の情報も知られている可能性が高い。

 

それらを踏まえて。

 

「突撃、以外にはないかな」

「そやね」

 

虎穴に入らずんば虎子を得ず。多少危険を冒さなければ得られないものもある。

 

明らかに罠を構えているのは分かるが、いつまでも待ってくれているとは限らない。ちょっと体制を整えよう、などど暢気に構えている間に、スタコラと逃げられては目も当てられない。それを狙っての挑発という可能性もある。だがさらに裏をかき、焦って突入させる作戦かもしれない。

 

だがどのパターンでも言えるのは、『突撃しなければ情報は得られない』ということだ。

 

現在ここにいるのは、この島で即座に招集できる最大戦力と言っても過言ではない。武器や体力の損耗もゼロ。その選択肢を取らない理由はなかった。

 

「ただ愚直に全員突入って訳にもいかないよね」

「せやね。私たちが入った後、地上に魔物を放つって可能性もあるわけやし」

「ン……リヴェリア、君をリーダーにして2軍の半分をここに残す。何かあればすぐに連絡してくれ」

「了解だ」

「なら、六課はライトニングに残ってもらおかな?」

「うん、了解、はやて」

 

こうして突入メンバは、

 

特務六課

・はやて

・なのは

・ヴィータ

・スバル

・ティアナ

・翔

・桜

・雪菜

 

ロキ・ファミリア

・フィン

・ガレス

・アイズ

・ティオナ

・ティオネ

・ベート

・レフィーヤ

 

IS学園

・セシリア

・鈴

 

という総勢17名(ロキ・ファミリアの2軍もいるので、実際には20人を超えている)となった。

 

2つの隊に分かれた俺達は非常時の簡単なサインを確認する。何かあればそのサインを出して、お互いに救援を求めろ、というやつだ。

 

そうして突入する寸前。

 

「あ、そうだ」

「え? どうしたの、翔?」

「フェイトさん、これを預かっててもらえますか?」

「これって……?」

 

俺が渡したのは飛雷神の術のクナイだ。何かあった時、これを目印に脱出できれば良いと思ったのだ。

 

「ん、了解。肌身離さず持っておくね」

 

術の仕組みを簡単に説明しただけでフェイトさんはすぐに納得してくれた。

 

「それじゃあ」

 

部隊長はやてと団長フィンが号令をかけた。

 

「突入や」

「突入だ」

 

俺達は一気にポータルをくぐった。その先は青空。自然の風も感じる。どうやら外のようだ。

 

「IS隊、周囲の警戒!」

「「了解ッ!!」」

 

はやてさんはすぐに指示を飛ばし、セシリアと鈴が飛び立つ。俺達も各々警戒するが、敵の気配はない。

 

《周囲に敵影、ありませんわ》

《魔力反応もありません》

 

静かだった。少なくとも、ポータルを出てすぐに奇襲されることはなかった。

 

「って、あー!! 消えちゃってるよ、アレ!!」

 

見ると俺達が入ってきたポータルが消えてしまっていた。

 

「……IS隊はそのまま周囲の警戒を続けて、方針が決まり次第伝えるから」

 

はやてさんとフィンさんが首をひねっている。

 

「まさかここまで静かとは思わんかったなぁ……私達を誘い込んだだけなんかな?」

「ンー……ここまで大掛かりなものを使い捨てにするとは思えないけどね」

「ん、そもそもここはどこや? リイン?」

「はいです! んー……異空間ではないようです。祖霊がは電波も魔法も遮断されてて分からないですね……結界が張られているみたいです」

 

ああ、言い忘れてたけど、今回はやてさんは初めからユニゾン(人型デバイスと融合して魔力や感応速度を上昇させること)している。

 

「という事は学園島(しま)で何か起きても、僕達には知る術がないし、助けにも行けないってことかな?」

「そう、ですね。外部施設との連絡は全く出来ないですぅ……」

「やっぱり、誘い込まれたと思ったほうがええなぁ」

「だね。学園島(しま)が心配だ。なるべく早く、情報を得て帰還しよう」

 

通信を遮断している結界は、最悪全員の一斉攻撃でどうにかなるだろうからね、とフィンさんは笑った。

 

《すみません、話が纏まったのならわたくしから報告いたしますわ》

 

セシリアの報告に導かれ、俺達は移動した。この場所の『外周部』に。

 

「空に浮かんでるのか……」

「空中要塞……」

 

見下ろすと青い海に白い雲。この要塞が雲よりも高い場所に浮かんでいるのが分かる。

 

「リイン、ここから外と通信出来る?」

「……ダメですぅ。どこにも繋がらないです」

「念入りだね。もう少し離れれば繋がるかな?」

《少し要塞から離れてみますわ》

 

フィンのつぶやきに反応したセシリアがどんどん要塞から離れていくが、

 

《報告します。一定範囲よりも外に出ようとすると、結界があって先には進めませんわ》

《こっちも同じよ。どうする? 攻撃して破れないか試してみる?》

「いや、やめとこか。下手につついてヘンなもんが飛び出してきても困るし」

 

はやての流し見に、フィンも同意の頷きを返す。

 

「さて、外に行けないなら……」

「中に行くしかないなぁ」

 

結界を解くには無理矢理破壊するか、それとも術者、もしくは核になっている動力源を破壊するか。

 

無理矢理破壊するのは一旦ステイすると今決めた。次に行うのは術者や動力源の捜索だ。

 

その為に、とりあえずの捜索対象になるのは外周部の反対、中央にそびえ立つ巨大なタワーだ。何かありそうな匂いがビンビンとしている。

 

「でも、全員で行く必要は無いよね?」

 

足が動く前に待ったをかけたのはフィンさんだった。

 

「この人数だし、部隊をさらに分けても問題ないと思う。最悪、『無理やりにでも結界を突破して脱出するメンバー』が必要になるかもしれないしね」

 

それはつまり、タワーに突入した部隊が全滅しても情報を受け取って脱出できるようにしておくという意味だ。

 

一見非常に見えるが、最も合理的な判断をしているのはフィンさんだった。

 

さらに落としどころとして、

 

「タワーへの突入はロキ・ファミリアが行うよ。空中要塞から脱出するなら飛べるメンバーがいた方が良いだろうし、言い出しっぺだからね」

 

自分のファミリアが一番危険な部分を受け持つと言ってきた。

 

この判断を瞬時に行えるのはフィンさんの経験の賜物だろう。

 

「(まったく、敵わんなぁ……JS事件の時もそうやったけど。あとどれくらいしたら、この人に追いつけるんやろな)……ん、了解や。六課とIS組は外で、脱出路の確保をしとく」

「任せるよ」

 

連携や数的バランスもある、六課+IS組とロキ・ファミリアで分けるのは妥当だった。

 

「ん、じゃあそれで決まりだ。すぐに始めよう―――」

 

そうして動き出そうとしているところに、

 

「あ、ちょっと待って下さい」

 

俺がストップをかけるのだった。

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

ストップをかけた理由を説明した数分後、

 

「それじゃ、行こうか」

 

俺はロキ・ファミリアに混じって中心部を捜索するチームに加わっていた。何人かからの視線を感じるが、ここはすでに敵地だ。つまらない言い争いを仕掛ける者はいなかった。

 

同じ高さの石造りの建物が乱雑に密集し、通路は迷路のように入り組んでいる。建物の高さは20メートルほどで、太陽が真上に来なければ日の光が届くこととはない石畳の通路は、薄暗くジメジメとしていた。

 

通路は見通しが悪いので、建物の屋上を移動することになった。

 

「全員、奇襲に注意しろ!」

 

高さが同じ屋上は、もう1つの通路のようだ。下とは違い中央まで見通しが良い。良すぎると言ってもいいくらいだ。なんたってすべての建物の高さがそろっているせいで、中央まで障害物がまるでないんだからな。

 

「ここで狙撃でもされたら怖いっすね……」

「そうね。その時は下の建物にでも隠れるしかないわ」

 

ラウルさんとアナキティさんの雑談が耳に入る。

 

不安を抱きつつも襲撃はなく、俺達は要塞中央のタワーまで進むことが出来た。

 

「さて、レフィーヤ、頼む」

「はいっ」

 

レフィーヤさんの魔法で入り口を吹き飛ばし、中へ侵入する。

 

「何よ、これ……」

 

ティオネさんが全員のセリフを代弁した。石造りの建物、島の中央にあるタワーはてっぺん付近まで吹き抜けになっていたのだが、その内部は何かが寄生したような、生物的な血管のようなモノが張り巡らされていた。

 

「こういう装飾……な訳ないですよね……」

 

ラウルの引き攣った声に誰も答えない。

 

アイズさんが剣に手を添え、ポケットに手を入れたベートさんが苛立たし気に狼耳をぴくつかせる。俺も覇気にビンビンと嫌な気配を感じ取っていた。

 

何か来る。

 

誰もがそう予感し動けないでいると、

 

「固まっていてもしょうがない。手分けして手掛かりを探すとしよう。必ず2人1組以上で行動してくれ」

 

フィンさんの声が硬直を解かせた。

 

だが当のフィンさんも、

 

「親指が疼くな……」

 

そう呟いていた。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

広いように見えて、その空間にはめぼしい物は何もなかった。俺達は一度集合して今後について話し合っていた。

 

「どうする? 床をぶち抜いて一気に下に行ってみるか?」

 

というのはガレスさんだ。ドワーフ特有の分厚い胸板を押さえつけるように腕組みしている。これまでの調査では下に向かうための階段は見つけられなかった。エレベータの類も無かった。

 

「ンー……他に手段が無いのなら、それもやむなしだね。これだけの構造物だ。地下に空間があってもおかしくはない」

「よし……全員、下がっておれ」

 

ガレスさんがこぶしを握り締め、振り上げる。アレは手当たり次第に拳を叩きつけ、足元にある空間を見つける構えだ。

 

振り下ろす直前、

 

「あ~、そういう乱暴はやめた方が良いと思うよ? 自分達のためにもね?」

 

声の方向には、俺達がここに来たのと同じ、黒い空間の歪みを背にして、1人の女性が立っていた。

 

「ま、さか―――」

「嘘、だろ……」

「……っ」

 

フィンさんも俺も想定外だった。他のメンバーも固まっている。そこに立っている人物。

 

それは頭に、場違いなウサ耳型のデバイスを装着した女性だった。俺がラノベの挿絵で見た姿そのままだったし、フィンさんも写真か何かで顔を見たことがあるのだろう。あの勇者が固まっていた。

 

篠ノ之 束が、そこに立っていた。

 

「―――始めまして、篠ノ之博士。ロキ・ファミリアのフィン・ディムナです」

 

その中でも一番に冷静さを取り戻したのは、流石と言うべきかフィンさんだった。

 

「我々は管理局と連携してこの場所の調査をしているのですが―――」

「や~~~っと会えたねぇ! 夜月 翔君!!」

「ぇ、は!?」

 

ロキ・ファミリアの誰も反応出来なかったのだろうか。隊の、ほとんど最後列にいた俺は、いつの間にか篠ノ之 束に両手を祈るような形で握られていた。フィンさんは無視だ。

 

「篠ノ之博士、申し訳ないが質問に答えていただきたい。先ほどのあなたは、この場所について何か知って―――」

「うるさいな」

 

それはロキ・ファミリアの首領を踏みとどまらせるほどの、凍てついた声だった。

 

「今から大事な話をするんだからさ。チビは引っ込んでてくれない?」

「―――んだとテメェ!!」

 

激高するティオネさんを完全に無視した篠ノ之 束は、

 

「―――ちょーっと、2人きりで話そっか?」

「え?」

 

その視線は、俺をまっすぐ射抜いていた。

 

「翔!!」

 

アイズさんの焦った声。視線は俺のさらに後ろ。

 

俺の後ろにはこの場所に来た時と同じ、黒い空間の歪みがあった。

 

俺はその黒い歪みに吸い込まれ―――どこかに転移させられたのだった。

 




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