※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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空中要塞での死闘②

束に向かって何の迷いもなく剣を振り上げる。

 

「あは、危ないなぁ」

 

その剣は黒いゲートから現れた老剣士に受け止められていた。

 

「~~~~~ッ!!」

 

ヘラヘラと笑う束に、普段は見せない激情を見せ、奥歯を噛みしめるアイズ。声なき絶叫を上げ、目の前の障害を突破しようとがむしゃらに斬りつける。

 

風を纏う乱舞が炸裂するが、その全てを老剣士は受け止められてしまう。

 

「うーん、ホントに黒竜のことを持ち出すと怒っちゃうんだねぇ」

 

という束の呟きは、我を忘れたアイズには届かない。

 

「うわああああああああああああああああっ!!!!!」

「うわ、怖~……でも、危ないんじゃない? そんな乱暴に攻撃してると―――」

「ッ!?」

 

ギロチンを振り下ろすように、超速の刃が老剣士とアイズの間を通り過ぎた。刃は床も切断する。滑らかな切断面はその切れ味を物語っていた。

 

「(あぶな、かった……!!)」

 

一瞬よぎった死のおかげで、少しだけ冷静さを取り戻すことが出来たアイズ。

 

回避できたのは斬撃の息継ぎのために一瞬体を引いたおかげだ。そうでなければ今頃、剣を握った右手は無くなり、武器を失ったアイズは老剣士に切り殺されていただろう。

 

「『黒トリガー部隊:ウィザ』。流石最強だね~。うーん、ホントは意識も残しておきたかったんだけど。ま、このレベルで動けて星の杖(オルガノン)使えるなら十分かな」

「(刃は透明なの? 全然見えなか、った……)」

 

透明の刃が襲ってきたのでは、と考えたアイズだったが、少し距離を取ったおかげで全体像を把握できた。

 

老剣士―――ウィザを中心として魔力のレールが円のように広がっている。そのレールの上に、緑色の刃がいくつも設置されていた。

 

「(見える? 攻撃の瞬間に透明になっている? それとも……速すぎて見えなかった?)」

 

その思考に辿り着いた時、猛烈な悪寒に襲われた。

 

レベル5の自分が全く視認できない攻撃。これが仲間に向けられたらとんでもない被害が出る。

 

せめて乱発できないことを願ったが、

 

「ッ!?」

 

全てを投げ捨てた全力の回避で命を拾う。

 

「(この連射速度、今は私に敵意(ヘイト)が向いてるからいいけど……何かの拍子に後ろを狙われたら……)」

 

奇しくもウィザの実力が合図に冷静さを取り戻させていた。それでも、相手が弱くなるわけではない。

 

「アレは、マズい……!!」

 

フィンの親指の疼きは痛みに変わっていた。

 

「(あの老剣士―――ウィザと言ったか、まるで生気を感じないが、実力は本物だ。この威圧感、オッタルに匹敵するか、それ以上―――!!)ベート、ティオナ、アイズの援護を!! あの老剣士を突破しなければ活路はない!!」

「―――ッチ!!」

「うん、分かった!!」

 

フィンの焦った声に、2人の団員が即座に走り出す。

 

さらに、黒いゲートが開いた。駆けだしていたベート、ティオナとフィンたちの本体の間に。

 

「止まるなッ!! こっちでどうにかするッ!!」

 

現れる人物の影を横目に捕らえつつ、団長の指示を守りアイズの元へ走る。

 

「うんうん、それで良いよ。その子には狙わせないから―――ハイレイン、制圧して」

 

『黒トリガー部隊:ハイレイン』。掌に卵のような物体を浮かべる男性だ。

 

その卵から、無数の魔力弾が生まれた。だがそれは一般的な球体ではなく、世にも奇妙な、魚の形。魚型の魔力弾だ。

 

空中を泳ぐようにして飛来する。

 

「ワシの盾をよこせッ!!」

「はいっ!!」

 

2軍メンバから盾を受け取ったガレスは先頭に立ち、その魚型の魔力弾を受ける。大盾を構え、数発その身に受けながらも、攻撃から仲間を守る。ロキ・ファミリアが誇る重傑(エルガルム)は倒れることはない。

 

そのはずだったが、その巨躯がぐらりと揺れる。

 

「ッ!? コ、コイツは……!!」

「ガレス! どうした!」

 

フィンの問いかけに対して、全体への注意を促すことで返す。

 

「全員! コイツの魔力弾は必ず武器で叩き落とせ! 当たった瞬間に魔力を削られるぞ!!」

 

ガレスの足元にはガレスの魔力光の色のキューブがいくつも転がっていた。

 

「まったく、頑丈が取り柄のワシとは相性が悪いわい……!!」

 

ハイレインが使っているデバイスには、卵の冠(アレクトール)という名前が付けられていた。

 

能力は魔力を卵生の生物型の魔力弾に変換し、発射するというモノ。問題はその魔力弾の性質だ。

 

ガレスが言った通り、『命中した対象の魔力を、キューブ状にして強制的に排出させる』というモノだ。

 

キューブ化は魔力で作られたものであればなんにでも有効で、BJも意味が無い。障壁や魔力弾もキューブにされる。ガレスは盾ではなく体で受けたため、魔力が削られてしまったのだ。

 

弱点として、弾速はそこまでではない事、物理的な破壊力が無い点が挙げられるが、卵の冠(アレクトール)の魔力弾数百体に群がられれば、よほどの馬鹿魔力でも一瞬で魔力切れ(マインドダウン)してしまう。弱点は大した問題ではなかった。

 

「ッチ!! うっとおしい……!! おい! お前らも武器を取れ!! 削られ過ぎると身動きとれんくなるぞ!!」

「は、はい―――!!」

 

ラウル以下2軍のメンバも各々の武器を使って魚を叩き落し始める。

 

一瞬混乱しかけたが持ち直す。一流のファミリアなら当然のことだ。

 

自信も槍を振るいながら思考するフィン。

 

「(よし、この弾幕、は何とか凌げそうだ。後はここからどう動かすか。幸い、この弾幕は

アイズ達には向かっていない。向こうも状況は良くなさそうだけど……なんだ? トカゲ?)」

 

宙を飛ぶ魚に目を奪われていたが、足元にはトカゲ型の魔力弾もいた。それらは攻撃に参

加するわけでも無く、わずかに被弾したことで出来たキューブを拾って、ハイレインの元

に帰っていく。

 

「おい、フィン。ありゃあ……」

 

ガレスも気づき、引き攣った声でぼやいていた。

 

「ああ、まさか……キューブにした魔力を本体に還元しているのか……!?」

 

それではいくら耐えても意味が無い。ウィザに苦戦する3人を助けに行けないまま、じりじりと削られて終わりだ。

 

「レフィーヤ、魔法の詠唱を。狙いは魔力弾を撃ってくる男だ。君の魔法で一点突破をかける」

「はい……っ」

「相手の魔力弾相殺後、僕とティオネで、無理やりにでもあの射撃手(シューター)を撃破する。押しきれない場合、最悪、僕が魔法を使うことも視野に入れる」

 

フィンの魔法―――戦意を高め、全能力を超強化する『ヘル・フィネガス』という魔法だ。しかしこれは冷静な思考が出来なくなる諸刃の剣。

 

フィンがこの魔法を使うという事は『司令塔が指示を放棄した』と同義であり、文字通り最後の手段だ。

 

「そうして今度は、全員がかりであの老剣士を突破か……さらにその奥にいる、篠ノ之 束はどうする?」

 

ガレスの問いに、フィンは一瞬思考する。

 

「……今回は情報を持って帰ることを考える。篠ノ之博士は無視しよう。とにかく、脱出を一番に―――」

「だ、団長……!!」

「っ!! どうしたっ!!」

 

ラウルの悲鳴のような声に、フィンが顔を跳ね上げる。

 

指さす方角には黒いゲート。そして1人の人影。

 

「3人目……!!」

 

『黒トリガー部隊:エネドラ』。

 

エネドラが纏う、黒い雲のようなモノ、それが広がっていく。

 

「こ、今度は何すか……!!」

「(挟撃は不味い。もし目の前の射撃手(シューター)のように、特異な魔法を使う相手なら……っ)」

 

フィンの嫌な予感は的中してしまう。広がった雲、それが一瞬で硬化し、刃となって襲い掛かってきたのだ。

 

卵の冠(アレクトール)の弾丸に対応していた2軍の団員達は、その不意打ちに何人も貫かれてしまう。

 

「だ、団長……!!」

「止めるなっ!! 詠唱を続けろ!! 僕が言うタイミングで、いつでも発動出来るようにしておくんだ!!」

「っ!! は、はいっ!!」

 

一喝のおかげで詠唱を続けることが出来たレフィーヤ。

 

「(とは言え厳しいのは事実だ)」

 

前と後ろ、両方に意識を配りながらフィンは思考する。

 

「(逆転出来るかは、彼の動きにかかっているな……)」

 

親指を舐めながら、そう考えるのだった。

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

《ETERNAL》

 

白を基調とした体に漆黒のマント。ウォッチで変身したにもかかわらず正規の変身なのは神(作者)の采配か。ベルトもロストドライバーの、まごうことなき仮面ライダーエターナルだ。

 

エターナルの変身を皮切りに、他の面々もメモリを起動させる。

 

《HEAT》

《LUNA》

《METAL》

《TRIGGER》

 

NEVERの面々がそれぞれドーパント化した。

 

「異形の怪物……怪人っちゅう奴か……!!」

「怪人か……良い表現だが、『奴』に言わせると、俺だけは違うらしい」

 

エターナルがマントをはためかせる。

 

「俺は仮面ライダー。仮面ライダーエターナル、というらしいぜ」

 

そして―――見せつけるようなサムズダウン。親指を下に向けて言い放った。

 

「さあ、地獄を楽しみな!」

「みんな、来るでぇ!! 気ぃつけぇ!!」

 

2人の声と共に、束に向いていたヘイトが分散する。

 

「行け、お前達」

「ええ」

「それじゃあ、行くわよぉ!!」

「GAME START」

「うおおおおおぉぉっ!!」

 

ヒートドーパント、ルナドーパント、トリガードーパント、メタルドーパントがそれぞれ行動を開始する。

 

「博士、アンタはさっさと下がれ。戦場をウロチョロされるのは目障りだ」

 

アーミーナイフ型の専用武器、エターナルエッジを逆手に持ちながら。近くに着地した束に言う。

 

「うーん、でも束さんももう少し遊びたいなぁって思うんだよねぇ」

「……はあ、分かった。好きにしてくれ。別にその体が破壊されようと問題ないんだろ?」

「そーいう事! ほーら、なのはちゃーん、束さんはここですよ~」

「ディバインバスター!!」

 

エターナルと束に桃色の光線が迫るが、

 

「ふんッ!!」

 

あらゆる攻撃を無効化するエターナルローブのひと薙ぎで搔き消されてしまう。

 

「それと、あの男はどうした? 何故いない? 大切なメモリを1本預けているんだぞ」

「ああ、井坂先生? ……あれ? 一緒に呼び出したはずなんだけど……」

「私ならここにいますよ」

 

建物の影から姿を見せる男性。その顔に見覚えのあったはやては思わず叫んでいた。

 

「い、井坂先生!? どうしてここに……?」

 

そこに居たのはユウキの姉、藍子の主治医だった男、井坂 深紅郎だった。見慣れた白衣ではなく漆黒のスーツに身を包んでいるが、見間違えるはずがない。

 

「すみませんねぇ、八神さん。わたしにも色々と秘密がありまして」

「何をこそこそ隠れている、井坂。貸しているメモリの分はきっちり仕事をしろ。ろくに仕事をしない奴に、持たせるメモリは無いぞ」

「それは困ります。それでは、一仕事するとしましょうかねぇ」

 

懐からメモリを取り出し、

 

《WEATHER》

 

ウェザードーパントへと変身した。

 

「やっぱり、怪人に……!!」

「ってっめぇぇぇぇえええ!!!」

「ヴィータ!!」

 

八神家は全員、井坂と顔見知りだった。お見舞いで何度も顔を合わせたことがあったし、言葉を交わしたこともあった。

 

今では家族である1人の少女、その姉の命を握っていたのが目の前の、敵の男なのだ。ヴィータが感情を爆発させてしまっても無理はない。

 

ハンマー型のアームドデバイス、アイゼンを振りかぶり、ウェザードーパントを攻撃する。

 

重い一撃を腕甲で受けながらも、ぺらぺらと口を開く。

 

「これはこれはヴィータさん。初めてBJを拝見しましたが、なるほど、ずいぶんと可愛らしいらしい姿じゃありませんか」

「ふざけやがってッ!! テメェ、ずっとアタシらのことを騙してたのかッ!!」

「騙すとは人聞きの悪いことを。少なくとも医者として、皆さんに嘘をついたことは1度もありませんよ? そして、手を抜いたこともありません」

 

もっとも、とウェザードーパントは続ける。

 

「私もライドウォッチに興味がありましてね。彼の指示もあったとはいえ、その成長の手助けをしたのは間違いありませんが……!!」

 

瞬間、ウェザードーパントの身体から冷気が放射される。

 

慌てて後ろに下がるヴィータ。

 

「ヴィータ! 1人で前に出たらアカン!!」

「でもはやて!! コイツは……ッ!!」

「ふむ、うまく釣れたようだ。それでは彼女と、ついでに八神はやては私が受け持ちましょう」

「お願いね~。うん、そーだね。この感じだと、そんな時間もかかんないでロキ・ファミリアを処理できると思うし。こっちもやっちゃおうか」

「そうだな。目の前の敵を殲滅するとするか」

 

エターナルが一歩前に出る。

 

そこにはヒートドーパントと近接戦を繰り広げる雪菜、ルナドーパントが生み出した戦闘員を影の刃で一掃する桜がいた。

 

《なのはちゃん! なのはちゃんはIS組と一緒に、とにかく束さんを押さえて!! ここで逃がすわけにはいかへん!!》

《了解!! セシリア、鈴、地上のことはみんなに任せて、このまま攻撃を継続!!》

()()()()

 

はやての指示で束への攻撃を再開するなのは達だが、

 

「じゃあ、もっと仲間を呼んじゃおうかな? ―――口寄せの術」

 

束が地面に両手をつけた瞬間、白い煙が爆発的に生み出された。

 

「仲間って言うか、兵器だけどね♪」

 

そして煙の奥に見える黒い影―――2機。

 

サイコガンダムとサイコガンダムMk-Ⅱだった。束を守る仁王像のように、両脇にそびえ立つ巨人。その全身から無座別にビームが放たれた。

 

周囲の建物が瞬く間に穴だらけになり、瓦礫の山と化す。

 

「確かに火力は凄まじいですが、その巨体なら良い的ですわ!!」

 

勇ましく吠えたセシリアはビットで取り囲んでビームの雨を降らせるが、

 

「バ、バリア、ですの……っ!?」

 

2機に備え付けられているIフィールドによって湾曲、全て明後日の方向に着弾してしまう。

 

「ディバイン……バスター!!」

 

なのはの砲撃が着弾するも、

 

「効いてない、か……」

「ど、どうすれば……鈴さん! 何とか近づいて攻撃出来ませんこと!?」

「うっさいわね!! あんなのにそう簡単に近寄れるわけないでしょ!!」

 

舌打ちすら聞こえてきそうな鈴の声に、なのはは落ち着いて、と返す。

 

「(でも、どうしよう。あの手ごたえ、単純に出力を上げれば攻撃が通るわけじゃなさそう。わたしとセシリアとは相性が悪い。流石、束さん。私達のこと分かってるな。他の所も手一杯みたいだし……)」

 

そう考えながら地上の束と見ると、

 

「ふふっ」

 

波紋の眼の束と、目が合うのだった。

 




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