※この作品はR-18です。

異世界ハーレム奮闘記   作:文房具

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またまた遅れてしまいました。

そしてすこし短いです。


空中要塞での死闘⑧

「バカゾネスッ!!」

 

ベートが思わず叫ぶ。それほどまでに容赦のない、躊躇の無い一閃だった。

 

「だ、大丈夫!!」

 

大丈夫ではなかった。

 

アマゾネスらしく露出の多い服装、特に上半身は胸元に布を巻いただけの服装。露出している褐色の肌に、横一文字の赤い線が出来ている。

 

あと少し身を引くのが遅ければ、彼女の体は真っ二つになっていただろう。

 

「アイズ、どうしちゃったの!?」

「コノ、力は、手放サナイ。嫌ダ。セッカク手ニ入レタ、力ヲ……!!」

「ッチ、聞く耳持たねェか……!!」

「みたいだね!!」

 

アイズの異常な状態を見て、2人はすぐさま意識を切り替える。普段のアイズを知る者として、今のアイズがまともな状態ではないことをすぐさま理解する。

 

その上で、

 

「それで、さっきまでアイズも合わせた3人がかりで苦戦してた敵を、あのアイズはあっさり倒しちゃったんだけど! 私達だけで行けるのかなぁ!?」

「知るかよ、クソがッ!!」

 

絶望的な状況が何一つ変わっていないことも2人は理解していた。むしろ躊躇なく倒せなくなった分、悪化しているとさえ言える。

 

アナザー響鬼は完全に2人の事を敵として認識していた。

 

単純なパワーとスピードが上であり、アイズの剣術まで併せ持っている。2人には万に一つも勝ち目がなかった。

 

暴風のような剣戟を何とかいなすのがやっとだ。

 

その様子は卵の冠(アレクトール)の弾幕と泥の王(ボルボロス)の変幻自在の攻撃にさらされるフィン達にも見えていた。

 

単純に強い敵が現れるのではなく、仲間が怪物に変化して襲い掛かってくる。明らかな異常事態に、フィンが何も言わない。

 

その事実が他メンバーの心を搔き乱す。

 

「だ、団長!? このままだと……!!」

 

悲鳴のようなラウルの言葉は他のメンバーの心情を代弁していた。

 

「なんとか言えフィン。何か策はあるのか?」

「……正直言って、無い」

 

ガレスの問いかけに首を横に振るフィン。

 

策が無い。その一言に、絶望の空気が広がる。

 

実際には、何人かの犠牲を覚悟して、フィンが魔法を使い、強引に突破口を開くことは出来るかもしれない。本当に最終手段であり、それを実行するという事は『負け』を宣言するに等しいが。

 

だが、その策を実行するつもりは無かった。とはいえ、今のままでは事態は好転しない。耐えいていては先はない。

 

「いや―――」

 

フィンの親指が疼く。それは危険を知らせるものではなく、吉報を知らせるものだ。

 

「―――彼が来る」

 

フィンがそう呟いた瞬間。

 

「「「「!?!?!?!!?」」」」

 

凄まじい号と共に、外壁がぶち破られる。一瞬、通常は出あり得ないくらい巨大な腕が見えたような気がしたが、すでに消えていた。

 

土埃に紛れて、雷光が光る。

 

「―――!!!」

 

雷速瞬動にハイレインは全く反応出来ない。体の周りを周回していた魚型の弾丸を切り裂くのは、赤い長槍破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ)、そして天逆鉾だった。

 

どちらも魔力を無効化する武装。それを不意打ちで振るわれるのはたまったものではない。

 

ほとんど抵抗らしい抵抗も出来ないまま、ハイレインはズタズタに切り裂かれ、動かなくなった。

 

「ふぅ、皆さん、大丈夫ですか!?」

 

雷天大壮を纏った翔がそこに立っていた。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

「夜月 翔か! 待っていた……!」

「遅くなってしまって、すみません!」

「ギリギリだったけど問題ない。外の様子は?」

「はい、それでは……」

 

俺は外の様子と方針を説明する。

 

「ンー…うん。了解した。僕たちは君が転移させてくれるんだね。ただ問題がある」

「アイズさんですね?」

「知っていたんだね」

「はい。束さんに連れ去られた先がラボで、そこで映像を見せられてました」

 

俺が視線を向けると、ベートさん、ティオナさんとアナザー響鬼が戦闘を繰り広げていた。その戦闘は一方的だ。2人はほとんど回避しか出来ていない。あれでは長くはもたないだろう。

 

「アイズさんは俺がどうにかします。いや、俺じゃなきゃどうにもできない」

「君はあの怪人化についても詳しいんだね」

「……はい。知らない現象じゃありません」

 

と、答えるしかない。

 

よく分からないけどなんとかします。なんて言える状況ではないのだ。それにフィンさんも半ば予感していたみたいだ。

 

「……そうか。それじゃあ君に任せるよ」

 

余計なことは言われないが、このままうやむやには出来ないだろう。リヴェリアさんとの約束もあるしな。

 

俺達が話しているところに、離れた場所にいる兎と蛇の会話が聞こえてくる。

 

「は~、凄いもんだな。アレが術式兵装って奴か」

「そうみたいだね。魔法を体に装填してその効果を得る。装填する魔法を使い分ければいろんな状況に対応出来る……結構諸刃の剣っぽいんだけど普通に使いこなしてるね」

「さっきのスピードが兵装の効果ってことか?」

「そういうこと。じゃじゃーん、束さんスピードメーターによると、さっきの移動速度は……秒速150キロメートルだって!!」

「早すぎて制御できなくなりそうなもんだけどな?」

「ああ、それはね。多分本人にも制御できてないよ? あの移動の仕組みは―――あ、その前に、ぽちっと」

「うっ!?」

 

束さんが何かボタンを押したかと思うと、身体に重りをつけられたのかと錯覚してしまう。

 

これは……

 

「AMFか……」

 

俺の術式兵装は強力なAMFが張られていると不安定になり、状態を維持できなくなってしまうのだ。無理矢理魔力を込めれば少しはもつのだが、体に装填してる魔法の暴発もありうるからな。

 

「正解正解~。流石にその速度で動き回られたら、たまったもんじゃないからね」

「……ん? おい束。AMFを使うのはいいが、お前が出した兵隊にも影響があるんじゃないのか?」

 

ブラッドスタークの忠告と泥の王(ボルボロス)をうまく制御できなくなったエネドラ?がガレスさんにぶちのめされていた。剛腕による一撃はそれだけでエネドラを行動不能にしてしまった。

 

「あ、ヤバ。はいは~い魔物さん、出番ですよ~」

 

と、束さんが手を叩くと地面や壁から大量の食人花が生み出される。ついでに泥の王(ボルボロス)もワープゲートで回収されたみたいだ。

 

「邪魔をするつもりか……!!」

 

一瞬そう考えたのだが、食人花が狙うのはロキ・ファミリアだけだ。俺には一切見向きもしない。

 

「邪魔なんてしないよ。むしろ見せて欲しいな。君の力を」

「俺達も手は出さない。早くあの娘を開放してやれよ」

「……」

 

覇気がこの2人が本気でそう思っていることを伝えてくる。

 

ま、本気で俺達を殺すつもりなら、ブラッドスタークがもっと前線に出てくるだろうし、束さんはあのワープゲート―――見た目や流れ的に恐らく窓の影(スピラスキア)を攻撃に使って来る。

 

それが無い時点で手加減もりもりであることがわかる。

 

ここはお言葉に甘えるか。

 

だがロキ・ファミリアは……

 

「大丈夫だ。僕達の負担を減らすためにも、早くアイズを助けてほしい」

「纏まっていた方が転移しやすいじゃろう。相手がわざわざお前さんには何もしないと言っとるんじゃ。儂らが耐えている内に事を終わらせろ」

「……わかりました」

 

フィンさんとガレスさんがそう言って来るが、その裏には(束さんやブラッドスタークほどではないが)俺に対する興味が含まれていた。

 

しかし、全てを考慮しても俺のやるべきことは変わらない。いくつもの視線を向けられながら、俺は走った。

 

「ティオナさん、ベートさん!!」

「ッチ! やっときやがったのか!!」

「待ってたよー!!」

 

体中に切り傷ややけどを負いながらもここまでアナザー響鬼を押さえていた2人。そこに俺も加わる。だがここからは、押さえつけるのではなく反撃が必要だ。

 

「翔……!? 渡サ、ナイ……!! 誰ガ来テモ、コノ力は……!!」

 

そして俺はすでにアナザー響鬼には敵認定されていた。恐らく今は、目に映るものすべてが敵に見えているんだろう。

 

「時間がありません。説明します!!」

 

俺はこれからの動き、その為にやってほしいことを端的に伝える。

 

「それでは行きます!!」

 

俺が手を向けると、アナザー響鬼の体から光るものが分離し、俺の手に収まる。

 

2005と刻印された時計。響鬼ウォッチだ。無事回収は成功。そして、アナザーゴーストの件で明らかになったことだが、ここからはタイムリミットが存在する。

 

「よし……!! ティオナさん、ベートさん。ここからは時間との勝負です。いいですか?」

「うん!! もちろん!!」

「ッチ、しょうがねぇ……」

 

2人共態度は違うが、俺の言葉には素直に頷いてくれる。

 

「行きます……!!」

 

例えばアナザービルドやアナザーオーズ、ティアーユ先生や耀の時はこんな焦りはなかった。あの時は制限時間があるとは知らなかったからだ。

 

だが今回は違う。アナザーゴーストの件で『ウォッチの力の残り火の消滅』=『変身者の消滅』というタイムリミットを知った。モタモタしてはいられない。

 

ゲームのように数値化されていないせいで余計焦ってしまう。

 

《ZI-O!》

《HIBIKI》

 

「変身ッ!!」

 

撤退のための最終戦が始まった。




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