「お兄さん、どうぞ」
「ありがとう、桜ちゃん」
空になった俺のお茶碗に、きらきらと輝くご飯がよそわれる。それを笑顔、と言うにはまだ足りない、微笑くらいで渡してくれる桜ちゃん。お礼を言って受け取る。
今日俺たちが囲んでいる食卓は、すべて俺が作ったものだ。
お腹がすいたと台所に向かった俺たちの前に現れたのは、壮絶な光景だった。流しにはめいいっぱいに食事の跡があったのだ。冷めたスープの残るカップ麺や、梅干しだけ残されたコンビニ弁当の抜け殻が。
俺が目覚めたのは午後の3時過ぎ。夜食や昼ご飯を考えれば、1人大体2食分くらいは食べたことになると思う。これはヒドイ。一人暮らしで自炊が面倒になった男の部屋みたいだ。
散乱したカップ麺やコンビニ弁当の殻をゴミ袋に叩き込んだ俺は、急いで晩御飯の準備に取り掛かった。幸い、
近くのスーパーで材料を買い足した俺は、こうして栄養バランスバッチリのご飯を作り上げることが出来たというわけだ。
『俺に無茶な令呪を使った罰』として、買い物から料理まで、桜ちゃんは積極的に手伝ってくれた。
落ち込んでいるときに何もやることがないと、人間はどんどん気分が落ち込んでしまう。大切なのは少しでも動くこと。こうしてみていると、それだけで少し明るくなったような気がする。
「ウェイバーはなんだかダルそうだな」
「ああ……今日は一日中、ライダーに魔力補充してたからな……もうクタクタだよ」
「一日中魔力補充? まさか……ッ!」
俺は分かっててからかう。
「一日中ライダーと××××を……!?」
「んなわけあるか!!!」
元気よく返してくれる。
「しかも外でなんて―――」
「してない!!」
「坊主。そこまで言うのなら、余も一肌脱がなければ―――」
「もうやめろこの馬鹿サーヴァント共!」
本気で怒りだしそうだったため、この辺で終わっておくとしよう。
「イレギュラー、食事の席でなんて下品なことを」
お堅いセイバーからもお叱りを受けてしまう。ケイネスも口には出さないがあまりいい感情は抱いてないみたいだ。いくら何でも、って奴か。イスカンダルのノリも好きだけど、ここは多数派の人たちの意見に従っておこう。
「今日外に行ってたのは、昨日消費したライダーの魔力を回復させるためだよ。召喚した霊脈なら効率がいいと思ってずっとそこにいたんだ」
「この坊主が、余計な気をまわしよってからに」
「うるさい! お前だって僕に気を使ってたじゃないか!」
サーヴァントと仲がよろしいようで。とてもよかったよ。
アイリさんが笑い、セイバーもやれやれといった具合に箸を口に運ぶ。和気あいあいとした食卓は、これだけで価値のあるものだ。
と、横にいる桜ちゃんが、
「お兄さん、××××って何ですか?」
「ぶッ!!」
「ちょッ!」
とんでもないことを聞いてきた。俺は口に入れていたご飯を危うく噴き出すところだったし、ライダーを言い争っていたウェイバーも高速でこっちを向いた。
セイバーは俺たちを咎めた。しかし、今日の桜ちゃんの前では迂闊としか言えない。
「見なさい。あなたたちがそんなことを言っているから、この子にまで悪い影響が及んでいるでしょう」
「悪いことなんですか?」
「あ、いえ、そういう訳では……」
バカめ。余計なことを口走るから、矛先がそっちに向いたぞ。その真面目な顔、存分にうろたえさせるがいい!
「食事中にしゃべるのはあまり良くないということですよ。少しならともかく、限度があります。言葉の意味については……言った本人に聞くのが一番でしょう」
キラーパスを返してきた。再び俺を見る無垢な瞳が、自覚なしに殺意を放っている。
「えと、それは……さ、桜ちゃんにはまだ早いんじゃないなかぁ。お酒とか、タバコみたいなものなんだ」
「そう、なんですか……?」
「うん、そう。もっと大人になったらね」
ウェイバーが良く切り抜けたとばかりに親指を立ててくる。俺もそれに答えた。
「じゃあ、魔力を効率良く? あげるにはどうすればいいんですか?」
「え、な、なんで?」
やけに積極的な桜ちゃん。人が変わったみたいだ。その真剣な目にはとても嘘をつけない。
「どうだろうなぁ……俺は魔術師じゃないし。それは本職のマスターに聞いたほうがいいと思うな(悪いねウェイバー)」
「おいっ! お前!(ふざけんな!)」
何もかも遅すぎるウェイバー。君にこの悪魔のバトンを渡すとしよう。
「ウェイバーさん、アイリさん、どうすればいいんですか?」
アイリさんに誤爆してしまった。悪気はなかったから許してほしい。
「うーん。そもそも今日は、どうしてそんなことを聞きたいの?」
「お兄さんの役に立ちたいんです。私のせいで怪我しちゃったから……」
「罪滅ぼししたいってことかしら?」
流石子持ちのアイリさん。優しい声でいとも簡単に理由を聞きだした。
「でも翔君は、桜ちゃんが戦うことは望んでないと思うわ。ね、翔君?」
「そうだな。別に一緒に戦って欲しいわけじゃないよ。俺は桜ちゃんが幸せに暮らせればいいんだから」
「お兄さん……わかりました。もっと別のことで頑張ります」
アイリさんの言葉に桜ちゃんも納得してくれたみたいだ。
「翔君も、そういうことは自分で言ってもらわないとね?」
「ア、ハイ。次から、気を付けます」
もうふざけるなよ、と念押しされてしまった。怖い。
―――――――――――――――――――――――――――――――――
「ふぅ~……今日は何もしてないはずなのに疲れたなぁ」
場面は飛んで風呂の中。後片付けはしてくれるとのことなので、俺は遠慮なく一番風呂を楽しんでいる。でもそもそも、風呂に入る習慣がある人って何人いるんだ?
「でもよくよく考えると、最後に入ったほうが女性陣の色々なものが溶け出している可能性があったり……気持ち悪ッ!」
自分の思考に吐き気がしてしまった。何も考えずにぼーっと頭を回転させていたせいか、変な方向に飛んでしまったよ。
「そもそもそんなこと言ったら、イスカンダルとかケイネスのあれやこれやも溶け出してることに……オエッ」
チョット胃酸が戻ってきてしまった。口の中にツンとした特有の風味が広がった。男子高校生の無駄に逞しい想像力がダメな方向に働いたな。特にイスカンダルの筋骨隆々とした姿がリアル。一度銭湯で見たのが大きかった。色々大きかった。
「体洗って上がろうかな――――ん? 脱衣所に誰かいるのか?」
小さい影が見える。この大きさから推測すれば、
「お兄さん、お背中流しますっ」
「桜ちゃん……」
予想通り、風呂の扉を開けて入ってきたのは桜ちゃんだった。予想出来ていればそこまで驚くことはない。これにセイバーが付いていれば、近所迷惑なくらいにびっくりした声を上げる自信があった。そんなことはなかったけどな。
まだまだ小さいせいか、タオルは巻いていない。手で隠してもいない。そのため、小さい体がすべて見えてしまっている。俺たちと生活するようになってずいぶんと血色がよくなった肌の中に小さい2つの蕾があるのも。その下にあるおへそも。さらに下にある、1本も毛が生えていない、ぴったりと閉じたところも。
桜ちゃん、あの時の夜は自分のアソコをずっと弄ってたんだよな。恐る恐るじゃなく、それこそ、媚薬を注入されたみたいに一心不乱に。
(呼んだ?)
(呼んでないぞ、我が愚息よ)
ピクリと持ち上がりそうになったが、しっかりと諫める。向かい合っているこの状態で大きくしたら桜ちゃんになんて思われるか。
「お兄さん? もう体洗っちゃいましたか? まだなら私が……」
「や、大丈夫だよ、桜ちゃん。自分で洗えるからね。もっと別のことを頑張ってほしいなぁ……」
アイリさんに言われたようにやんわりと断ろうとする。正直これがクロとかだったら別に断ってないんだけど。その手の知識が少ないであろう桜ちゃんなら心配は少ないと思うけど、間違いがあるといけないし。
「でもアイリさんに聞いたら、『じゃあ背中流したりするのがいいんじゃないか』って……」
「アイリさーん!?」
なんでそんなこと言っちゃうんですかー。
や、違うぞ。この年頃の子供が親の背中を流そうというのは、いたって普通のことなんだよ。小さい頃なら男の子ならママと、女の子はパパと一緒にお風呂に入ることはよくあるんだから。
悪いのは、それを邪な方向に考えてしまう思春期男子だ。
「じゃあ、お願いしようかな」
ならば、こちらも親の気持ちで迎え入れようじゃないか。フラグじゃないぞ。
「はいっ! 任せてください!」
暗かった顔が一気に明るくなる。
俺は透明な椅子に腰かけた。大事なところにはタオルをかけ、しっかりとガードしておく。桜ちゃんは手で泡立てて洗う準備をしている。
「じゃあ、洗いますね……」
「あ、手で洗うのね」
「え? いけませんでしたか?」
「いいよ、いいよ。好きに洗っちゃって」
スポンジかなんか使うのかと思ってた。女の子は使ってる印象があっただけ。俺は特にこだわりないからいいんだけど。
「んっしょ……」
「っ」
初めての感触に一瞬体に力が入った。小さい2つの手のひらが、俺の背中を……なんといえばいいのか。こすると言うには石鹸のせいで滑りが良いし、なぞると言うには力が入ってるし。正しく未知の感触だ。
前に一回、狂三のこと洗ってあげたことがあるけど、そういう気があったとしたら確かにヤバいですね。この段階でギンギンになる未来しか見えない。
後ろからおっぱいを押し付けられて、俺の背中が固くなった突起にこすられでもしたらすぐに振り向いて押し倒すまである。もしも俺の理性がそれに耐えられれば、今度は前に。かけられていたタオルをめくると、すっかり固くなった俺のモノが……
(呼んだ?)
(呼んでないから)
なんてことを考えているんだ。さっき邪なことは考えないって言ったばっかりなのに。でもこんなことを想像するっていうのはリラックスしてる証拠だからいいでしょ。とんでもない掌返しだな。
「ひょぁ!!」
わき腹を撫でられ、変な声を出してしまった。背中越しに桜ちゃんの声が聞こえる。
「くすぐったかったですか?」
「あ、ああ。ちょっとね」
いきなり触られたらそりゃびっくりする。男のあんな声、需要ないだろうに。それから俺はなるべく声を出さないように我慢することにした。
「んしょ、んしょ」
「っ」
これって女の人が気持ちいいの我慢してるみたいじゃん。ますます需要ないよ。でも桜ちゃんには全くそういうつもりはない。変に反応するのは避けねば。
「じゃあ、もっと上のほう洗いますね」
「はいよ」
俺が変な声を出したからか、次に洗うところをしっかりと報告してくれる。やっと終わった。そう安堵したのもつかの間だった。
「あ、れ……ちょっと届かない……?」
「ちょ、ちょっと、桜ちゃん!?」
桜ちゃんの次なる目標は俺の首回りだった。届かないと言いつつドンドン近づいてきた結果、背中とお腹がぴったりと密着することになってしまった。それはもう余すところなく。桜ちゃんの手で十分に泡立った石鹸が、ヌルヌルと柔肌を凶器に変える。その中にあっても、明らかに違う感触がある。
「さ、桜ちゃん? ちょっと離れたほうが……」
「大丈夫です。届きますから」
そういうことを言っているんじゃない。
手を動かすたびに体を左右に揺らすのは本当に卑怯だ。ちょっとコリコリとしたものが右に左に背中を刺激するたびに、ゾクゾクという刺激が走る。
その結果、
(呼んだな)
(口調変わってるじゃん)
まったく勝てなかったよ。
白いタオルがしっかりとテントを張ってしまった。でも、それでもリカバーは可能だ。
「終わりましたよ」
「あ、ああ。ありがとう、桜ちゃん。これで終わ―――」
「じゃあ、次は前を洗いますね」
「それはまずい!」
何の躊躇もない桜ちゃん。これは本当にまずいんだよ!
「な、何でですか? 私、何か悪いことを?」
「そういう訳じゃないんだけど、その……」
勃起してるから前にこられるのはまずいとは言えないし、理解してもらえるとも思えない。
「じゃあ、洗います」
ああ、無知って怖い!
さっと前に回り―――真っ先に目に飛び込んでくるのは当然不自然に盛り上がったタオル。
「?」
不思議そうに眉を寄せてタオルをめくろうと―――
「ストップ。そこはいいから」
「でもそこ、おち……んんっ! おしっこするところですよね?」
ノーコメント。ノーコメントだぞ俺は。言い直したこととか、顔を赤くしてるところとか!
「だったらしっかり洗ってきれいにしないと。お父さんに教えられましたよ」
時臣に教えられたのか。自分からその名前を出すなんて、割と平気なのね。
「お父さんとお風呂に入ったりしたの?」
「はい。よく体も洗ってもらって」
「お父さんに?」
「はい。お姉ちゃんと一緒に。洗ってあげたりもしたことあります」
「へ、へぇ~……」
ほーん。時臣、ほーん。
「だから任せてください。しっかり綺麗にしますから」
「あ、ちょ」
衝撃的な事実に一瞬放心したのがマズかった。最後の防壁が取り払われた。
SAO3期記念、未来予告
シャーロックホームズとの決戦によって昏睡状態になった翔
「彼を救うにはこれしかない」
彼の行き先は
「ここ……アンダーワールド!?」
いままでの味方はいない。積み重ねた能力も使えない。
「初めまして、ショウ」
「ユージオ……」
そこで出会う新しい戦友。
「どうしてスタンドだけが……」
「ゴールド・エクスペリエンス……僕にもスタンドが……!?」
その身に宿る切り札はスタンド。
「お前、或守 鞠亜か」
「はい。私はあなたを守るためにこの世界に派遣されました」
一人の少女を皮切りに世界に干渉する奇妙な変化。
全ての障害を乗り越え、2人のスタンド使いは世界の中心を目指す。すべてのカギを握る「アリス」を求めて。
異世界ハーレム奮闘記・アリシゼーション編
書き始めるのはいったい何時になるのか。
「エクスプロージョン!!!」