今回どうしても出したいキャラがいたため、超展開と超理論が出ます。ご了承ください。
「進軍せよッ!!!」
王の声が響き渡る。どんなに大きな声を出したとしても、この巨大すぎる軍勢の隅々までその声が届くことはあり得ない。だが1つの生き物のように統一された動きを見せる
「AAAALaLaLaLaLaie!!」
対するアーチャーは腕を組んだままだ。しかし攻撃をしないというわけではない。アーチャーの背後が黄金に輝き、数えきれないほどの宝具の切先が顔を見せる。
光の雨が軍勢に降り注いだ。その光一つ一つが値打ちも付けられないほどの宝物だ。この世界で何よりも豪華な死の雨。その中を突き進む。
一騎当千の勇者が何人も存在する
ライダーの戦車を抜き去る脚力。降り注ぐ宝物に匹敵するほどの聖剣を携えた、
「アーチャーッ!!」
「フッ! セイバー! このような不毛の大地にあってなお、貴様は美しいな」
セイバーの剣圧は、砂漠の大地に大きな爪痕を残すが、アーチャーは軽く回避する。
セイバーは
「あの犬畜生と貴様が生前縁があったことには驚いたが、おかげで面白いものが見れたぞ。バーサーカーのマスターには褒美を取らせなければいけないやもしれんな。あそこまで心を震わせる見世物は久しぶりだった」
「……」
アーチャーはバーサーカーに嬲られ、過去の後悔に歪められたセイバーの顔を思い出して笑った。
「我はな、セイバー。貴様のそういった顔が何よりも美しいと思っているのだぞ?」
「その不快な口を今すぐに閉じろ、アーチャー。油断すれば、次の瞬間には貴様の首を刎ねる」
「強がるなよ、セイバー。そういうところが好みだと言っているんだ。だが、いいぞ、ますます気に入った。やはり我の伴侶にふさわしい女はセイバーを置いてほかにない」
「ライダーに話は聞いたが意味が分からない。気でもふれたのか」
あまりにも場違いなセリフに思わず質問を返してしまう。
「疑問に思う必要も理解する必要もない。これは王の決定だ。貴様はただ、首を縦に振るだけでよい」
「断る――――」
セイバーの声は着弾の轟音によってかき消された。足を狙った宝剣は、セイバーの聖剣によって正確に跳ね返された。
「あまりの嬉しさに口がうまく動かないか? 良いぞ。何度でも言い直せ」
威嚇するだけだった黄金の砲門が、明確な意思を持ってセイバーに向けられる。2人の距離は決して遠くない。セイバーの足ならば無いも同然だ。しかしどう頑張ってもアーチャーには届くことはない。セイバーには直感でわかった。
それでもセイバーは笑った。
「貴様こそ、何か忘れているのではないか? 貴様の相手は私だけではないということをッ!」
「むっ」
2人のいるところに、大量の武器が降り注いだ。
流石のアーチャーも、ピクリと眉を動かした。撃ち込んだ宝の分だけ、返ってくる攻撃も多くなり、強くなる。
少し横に飛んだ程度では到底避けきることは出来ない量だ。それはセイバーも同じだったが、彼女はまるで見えているかのように最小限の動作で躱していく。
アーチャーはいくつもの盾を取り出して展開する。盾はそれ自体が意思を持ったように動き、飛来する武器を自動で防ぎ始めた。
「略奪の王の臣下は、やはり同じ穴のムジナという訳か。王の宝物に気安く触れてくれる」
アーチャーは軽く右腕を上げた。すると、先ほどまでとは比べ物にならないくらいのサイズの歪みが出来上がった。
「あ、れは……ッ!?」
軍勢の誰かが呟いた。
「焼き払え。
溶岩塊じみた峰と火の刀身で形作られた巨剣が顔を覗かせる。肌を焼く熱気に、これまでの攻撃とは違うことを1人残らず覚悟する。次のアクションは容易に想像できた。
太陽がそのまま落ちてきたような熱波が襲い掛かってきた。
『水平線』の概念を持つ神造兵装。『空の青と海の青が溶け混じり合う領域』が暁の方向性を持って現出し、すべてを溶かし焼き払う。
別名は『斬海剣』。
砂の大地が2分される。とんでもない熱量によって砂は融解し、彼方にまで熱のラインが引かれる。歴戦の英傑も神造兵装の前では為す術がない。直接下敷きになった者は跡形も無くなり、そうでなくても手が無くなっている者、足が無くなっている者、半身が無くなっている者までいる。
「―――――ッ!! ――――ッ!!」
2撃目が来る。
その威力を一度目の当たりにした兵士たちは浮足立つ。いくら歴戦の勇者と言えど、神の御業を向けられたとあっては、弱腰になるのも仕方がないと言える。
その攻撃に対してできることなど存在しない。神の一撃に抗うことなどできない。
同じ神造兵器でなければ。
水平線に対抗するように輝きを増すのは――――地上の星。
星の聖剣の封印を解き、風の鞘から抜き放った騎士王は迫りくる
セイバーのとっておき。最強の武装の一撃を惜しみなく披露する。
「
その輝きが、頂点に達した。
「―――――
2つが激突する。
ジェット噴射の風圧を直接受けるよりも強い衝撃が世界を揺らした。無理矢理別世界を構築する
軍配が上がったのは、セイバーの聖剣だった。
永遠に続くかと思われていた拮抗状態は唐突に終わりを迎える。黄金の斬撃は
真っ二つになった
兵士の士気が再び高まった。反撃の時が来たと、鬨の声を上げる。
そんな有象無象を、アーチャーはつまらなさそうに一瞥し―――右手を上げた。
―――――――――――――再び巨大な剣が顔を見せた。
たかが1つ跳ね返したところで、英雄王の宝物を攻略できるわけがない。星の聖剣を振るっても、単純な力比べで勝てるほど甘くはないのだ。
手札は無限。武器も無限。どんな相手にも対応できる。まさに最強のサーヴァント。乗り越えるなど、倒すなど不可能だ。
「さあ、どうするセイバー。もう一度、貴様の聖剣を使ってみるか?」
「……っ!」
そんなことできる訳がない。あのレベルの宝具を連発するには令呪の助けが必須だ。現界するための魔力をすべて使えば話は別だが、そんなことをすれば今後の戦線が維持できない。しかし何か手を打たなければ、取り返しのつかないダメージを負うことになる。
俯くセイバーに、アーチャーは残酷に告げる。
「
振り下ろされる巨剣の
雄大な山々を切り裂くための刀身が人に向けば、それは切り裂くのではなく押しつぶす超質量兵器になる。
さしものライダーも苦い顔をする。とんでもない相手だということは理解していたが、これほどの攻撃は想像できていなかったのだ。自らの軍勢を、埃を吹き散らすように軽くふき飛ばす程だとは。だが、顔をしかめた理由はそれだけではない。セイバーが持っているものを見たからでもある。
「ライダー! 使います!」
(あ奴、もう使うつもりか? しかし、このタイミングを逃せば結界の維持が難しくなるか……)
ライダーは頭の中で計算する。そしてすぐに声を張り上げた。
「セイバー、ブチかませ!!」
「応ともッ!!」
今度はアーチャーが困惑する番だった。
アーチャーは最強のサーヴァント。倒すことは不可能だ。だがそこに、1人の
セイバーは手に持っている物体を掲げた。手のひらよりも少し大きいサイズ、握るところには1つのボタンがついている。本来はそれ単体で使う物ではない。ほかのアイテムと組み合わせて使うはずの物だ。
セイバーはボタンを押した。
《MightyBrothers XX!》
マイティブラザーズXXガシャット
仮面ライダーエグゼイドに登場する変身アイテム。使用することでダブルアクションゲーマーレベルXに、さらにレベルアップすることでレベルXXに変身することが出来る。
翔に託されたアイテム。それはベルトが無ければ使うことは出来ないはずだ。だが、ライダーはニヤニヤと状況を見ているだけだ。アーチャーが驚く姿を想像しているのかもしれない。
セイバーはガシャットを、自分に向けて差した。
その瞬間、セイバーは光に包まれた。
――――――――――――――――――――――――――――
「魔法が出てくれたのは本当にありがたい。これで大分強くなれたぞ」
最後の会議、翔は安心したように言った。色々とぼかして能力追加の仕組みを説明した翔は、最終決戦の戦力を確認していた。
アーチャーの力はまだまだ未知数。少しは知っているはずの翔でも、何が飛んでくるのか予想するのはかぐや姫の無理難題と同等以上だ。
「アーチャーにも勝てるのか?」
「それとこれとは話が違う」
「ダメじゃないか!」
「そうカリカリするなよ。相手が相手なんだ。確実な勝利なんて約束できない。負けるつもりはないとしか言えないな」
最善は尽くすと翔は言う。それはこの場の誰もが思うことだ。
「でもさ、もう1つ手に入れたんだろ? そっちは使えないのか? あんまり強くなかったのか?」
「そういう訳じゃないんだけど……」
ウェイバーに言われ、手に入れたもう1つの力――――マイティブラザーズXXガシャット――――を取り出す。
「使えないわけじゃないけど、爆発的に強くなれる訳じゃないんだよ」
《マイティブラザーズ・XX!!》
言いつつ翔はガシャットを起動させる。
「こいつを使うと、2人に分裂できるんだ。人数が欲しいならいいんだけど、強さ的にはこっちのほうがはるかに強いんだよ」
デュアルガシャットを取り出して並べる――――ことは出来なかった。突如浮かび上がったXXガシャットがセイバーの体に吸い込まれていき―――
「「「「は……?」」」」」
セイバーを除く全員が素っ頓狂な声を上げた。
《俺がお前で お前が俺で! We are! マイティ! マイティ! ブラザーズ!
「……っ、な、何が……?」
「い、いや……何がって、ねぇ……?」
「セイバー、その、横に……」
セイバーの問いに、翔とウェイバーは目を反らしつつ答える。2人が指さす先は、セイバー―――の横だ。
そこには信じられないことが起きていた。
シミ一つない、白い、白すぎる肌。それだけではない。上質の絹のような髪の毛も色素が抜け落ちてしまったようだ。しかし、それはひ弱そうだというイメージにはならない。冷たい威圧感と冷徹な瞳が今の自分の状況を理解しようとせわしなく動いている。
つまり。
―――――――――――――――――――――――――――――
《俺がお前で お前が俺で! We are! マイティ! マイティ! ブラザーズ!
光が晴れる。その光に
「なん、だと? セイバー、貴様どういうことだ……?」
アーチャーは聖剣を用いて
片方は今までも見た、見知った姿のセイバーだ。もう片方は今まで見たことのないセイバーだ。しかしまったくの初見ではない。その姿形は片割れにそっくりだ。双子と言われても納得できてしまう。色素が薄いということ以上に、纏う雰囲気が2人を決定的に分けていた。
「私はセイバー・オルタナティブ。もう1人のセイバーだ」
重戦車のごときパワーで、2人のセイバーは
黒くなった聖剣をアーチャーに向けた。
(分裂する宝具? そんなものを持っていたのか? いや、あの雑種か)
アーチャーも負けていない。素早く正解にたどり着く。
(分裂という言葉は正しくないな。新しく増えたあのセイバーは紛れもない1騎のサーヴァント)
宝具となったマイティブラザーズのガシャットは、本来の2人に分かれるという機能をセイバーの霊基自体に作用させた。セイバーの霊基を元に可能性がある姿を現世に顕現させた。
いうなれば、英霊自体を触媒にしてその英霊の別側面を呼び出すことに成功したのだ。その時の魔力は、当然聖杯のものが使われる。
「良いぞ。少し予想外だったがどちらも我好みだ。人数が増えようとも我の愛は変わらん。両方まとめて我の伴侶としてやろう」
「笑わせるな、アーチャー」
「我々の伴侶はもう決まっている」
青セイバーも同じように聖剣を向けた。オルタに続いて口上を述べようとして、ある単語に引っかかった。
「そうです。伴侶は……伴侶!?」
「何を驚いている。私の純潔と身体を許した男以外に、私にふさわしい伴侶がいるのか?」
「それは確かにそうですが……わざわざ宣言する必要は無いでしょう! いえ、それを言うならあなたは行為自体をしていない!」
「ほう……それは私に対する挑戦と受け取ってもいいな? 全て片付けたら、覚えとけよ青い方」
「青い方!?」
自分自身だからか他の人には見せられない低レベルなケンカを始めるセイバー達。
「な ん だ と?」
今までのお遊びとは違う、圧倒的な怒気が戦場を満たす。
「我のセイバーを……我の女をッ、どこぞの馬の骨が穢したというのか……ッ!!」
セイバーの相手が誰かは聞かずともわかった。聖杯問答でつまらない願いを口にしたあのイレギュラーサーヴァント。そいつしかいない。
固有結界の世界線を超えて何かが侵入してきた。
夜月 翔だ。
風と雷を伴ってセイバーとアーチャーの間に降り立つ。
「これで最後だな。英雄王」
「ちょうどいい……ッ! ちょうど我も貴様を殺したいと思ったところだッ!!」
さあ、本当の最終決戦が始まる。