※この作品はR-18です。

骸の島『ヘロドトスの骸』   作:トウトウ@脳缶

11 / 45
朝は遠く


河虎の華

磨りガラスの向こう側タイル張りの床に湯が降り注ぎ、

白い湯気を立てる、磨りガラスの扉の隙間から水が流れる

 

水の流れを追うと磨りガラスと湯気にぼかされた肌色の輪郭が浮かび上がる

その輪郭は小さく、長い黒髪を濡らしながら鼻歌を溢している

 

キュッという音が鳴ると水音がピタリと止まる

磨りガラスの扉が音を立てて開き床を体から流れ落ちる水が更に濡らす

その幼気を感じさせる細躯には青緑色の鱗が斑に張り付いていた

 

「こんな時間に誰だ?」

「ぁ...」

「モモか...」

「...」

「なに黙ってんだ」

「え、えっと...」

「もしかしてコレか?」

 

彼女は一部が鱗に変質した胸に手を置いた

「やっぱり鱗は気味悪いよなぁ~」

「そ、そんなこと..ありませんわ...」

「そうか?」

 

「あ~、判ったぞ」

「チビのアタシの方が胸が大きいから妬いてんだろ!」

「!...」

「もう!ヒカリさんったら!そんなのじゃありませんわ!」

「本当か~?」

「もう!本当ですわ!ほら、早く服を着てくださいな!」

「へへ、悪いな」

置かれていた服を受け取ると無邪気に微笑み、

そそくさと服を着始めた

碌に体も拭かずに着たためか服は湿り、彼女を苦戦させていた

_________

 

 

「そういえば何でモモが居るんだ?」

「さっきまで作業が続いていまして...」

「その、目が冴えてしまい...散歩をしておりました」

「そうしたらシャワーの音が聞こえたので...」

「なんか大変だな」

 

「覗く様な事をしてしまい申し訳ありません。」

「いいってそんなの、アタシ気にしてないし」

「...」

「あ、あの...」

「なんだ?」

「その、幾らか質問させていただけますか?」

「もし答えづらいなら何も言わなくて結構ですわ」

「なんだい?」

 

「あの鱗のような物は...」

「...まあ病気みたいな物だよ、移ったりはしないから安心して」

嘘をついた

「病気ですか...」

「うん、遺伝子がね...でもこれ以上は増えないさ」

「原因は取り除いたから」

「そうなんですか...」

「うん」

「もう一ついいですか?」

「なに?」

 

「この事を知っている人はどれほど...?」

「さぁな、心配とかして欲しくないしあんまり公にはしてないけど...」

「結構いるんじゃないか?シロとかモノとか」

「...」

「私はどうしたら...」

「アタシ的には出来れば黙ってて欲しいかな」

「分かりました、もし何か困ったことがあれば言ってくださいまし」

「貴方のお力になれると思いますわ」

「ハハッ、ありがとな。」

「それじゃモモが困ったらアタシに言ってくれよ?」

「このタイガベアが直ぐに行って助けてやる」

「うふ、頼もしいですね」

「エヘヘ...」

 

「ふぅ~、サッパリしたしアタシはもう一眠りしてくるかな」

「そうですか、私はもう少し歩いてから眠ります」

「そっかぁ、おやすみ!」

「はい、お休みなさい...」

 

 

「...」

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。