ここは犯罪組織CTYOGENICS LABの研究所である
特殊防弾ガラスの向こうにはカプセルが並んでおり、中には様々動物達が凍結され眠っている。、
中にはヒトや様々な生き物を繋ぎ合わせた怪物も冷たく眠っていた。
普段は静かに眠る低温休眠室は銃声と断末魔に覆い尽くされ、
今にも怪物が冷たい眠りから目を覚ますのでは無いかという程に騒がしくなっている。
騒ぎの中心は2つ
一つの騒動の中心は昆虫のような鉄色の外骨格に身を包み四の複眼が付いた人型と
白に青の差し色が入ったスーツに身を包み、熊の意匠が付いたヘルムを被った人型だ
鉄色の人型、ファントムは両手に展開した剣で次々と駆けつける男達を切り殺していく
男達がいくら拳銃や短機関銃を撃ってもファントムは止まることはない
もう一人は特殊防弾ガラスの前に置かれた端末を弄っている
「ヒカリさん!まだですか!」
「まだだ!あとタイガベアだ!忘れんなッ!」
”まったく...”
そうファントムが呟く
「こいつもハズレだ!次行くぞ!」
タイガベアが端末から手を話す
その時だ、研究所の奥から重武装に身を包んだ兵隊達が駆け込んでくると
拳銃や短機関銃を持った男達が下がっていく
「なんだぁ?」
重武装の男達はグレネードランチャーを持ち
大きな鎚のような武器を背負っている
グレネードランチャーの気の抜けた発射音が鳴る
何人かが鎚も持って駆け込んでくる
爆発の合間を縫ってタイガベアが走りだす
振られる鎚を避けるとそのまま間を抜ける
煙の中からファントムが飛びでる
振り返った男達の一人の首が切断された
後方に居た男達にタイガベアが近付くとグレネードランチャーを下げ、
捕まえようと二人が手を伸ばす
タイガベアが一人の腕を切り飛ばし、もう一人の剣を振り下ろした
振り落とされた刃は肩から滑り込み身体を両断した
すると腕を失った敵のその断面から肉腫が広がる
欠けた手や頭を埋めるように新たにおぞましい肉の塊が現れ
新たな肉体となって立ち上がる
「寄生体ッ!?」
「ゲッ!こいつらカロンかよ!」
二人は触腕を切り落とし、頭に刃を突き刺し、
そのまま身体を下に真っ二つにするとやっと動かなくなった
「随分しぶといなぁ...」
「確かに面倒ですね...」
「片付けますか?」
「メンドクセーッ!無視だ無視!」
「あっちの奴らと合流するぞ!」
「了解です」
二人は近寄る敵を切り捨て、爆煙を払いながらもう一つの騒動の中心に向かっていく
________
こちらはもう一つの騒動の中心点
そこには潜水服と軍服を合わしたような服装の人物が二人いた
不思議なゴーグルを着けたのが”テル”もう一人のベレー帽を被ったのが”ハル”だ
「ヒャーッ!ブッ飛びやがれー!」
テルが担いだ紫色の巨大銃の引き金を引く
緑光の塊が発射されるとテルの身体が浮き、銃の反動で押されるように後方に飛んだ
テルは何とか着地すると担ぎ直し、小銃を腰から外す
テルが打ち出した光弾は敵の一人に当たり爆発を起こす
榴弾でも傷が付かなかった特殊素材の床がクレーターのように抉れ、
重武装の敵達をバラバラにする
「ヒヒッ!」
淡々と端末を操作していたハルが言う
「おいおい、頼むから目的のカプセルを割らないでくれよ」
「ヒヒッ!わあぁてる!」
聞いているのか居ないのか小銃と巨大銃を持ち替えながら現れる敵を屠っていく
銃弾と榴弾が飛び交う中で何度も緑の光が迸り、爆発する
ハルが合図を出す
「こいつもハズレだ、次の区画に行くぞ!」
「了解だゼぇ!フヒヒッ!」
テルが巨大銃で後方を爆発しハルに続く
次の区画へ続く扉の鍵をハルが開け、その中に飛び込む
中に入ると散弾やライフルを持った兵が降りてくる
テルが小銃を抜き、ハルが短機関銃を撃つ
現れる敵を撃ち殺しながら端末を探していると踏み潰すような音が轟く
「嫌な音だ、寒気がするぜ」
「オーウ...こりゃキャタピラだぜぇ?ケヒヒッ!」
「勘弁してくれよ...」
角から小柄な戦車が機銃を撃ちながら現れる
「ぅおい!部屋の中だぞ!」
「ヒャッハー!邪魔だーッ!」
戦車が砲を鳴らすとほぼ同時に巨大銃の引き金が引かれる
ハルがテルを引っ張り、テルを砲弾が起こした爆発から遠ざける
テルが射ち出した光弾が戦車を押し潰す
「イェイ!フッー!」
テルが声を上げても踏み潰す音は止まらない
歪み、崩れた戦車に無限軌道が乗り上げた
「ヒヒッ、新しいお客様だ!」
「言ってる場合かよ!」
テルが冷却の終わっていない巨大銃を担ぎ直すと
戦車の砲が吠える
爆発が起き、黒煙が巻き上がる
後ろからやってきた兵達が黒煙の中に銃撃をする
煙が晴れる
するとそこに二人は居ない
「上だっ!」
誰かが言った、上には白い人型にぶら下がるテルの姿
上方から緑の光が歩兵達に落ち、ほとんどを赤いの煙と赤い飛沫に変える
次に兵達が見たのは戦車の上に乗り、橙に光る剣を突き刺すタイガベアであった
「ハル!ファントム!端末を見てこい」
「わかった!」 「了解です」
「アタシにはこっちの方が会ってるぜ」
「お前もそうだろ?」
「ケッケッケッ!勿論...」
テルの口角が高くつり上がり、尖った歯が露になる
タイガベアが更に深く剣、アリスを刺すと火花と共に戦車が沈黙する
タイガベア達が入ってきた所から兵が現れる
テルが引き金を引くと同時に戦車を蹴ってタイガベアは飛び上がる
テルの銃撃で足を止めたカロン達を貫くように魔方陣のような物が連なって並ぶ
「くだばれ
アリスを構え、連なった魔方陣の中をくぐりカロン達に急接近していく
魔方陣の中に捉えられたカロンが切り刻まれ絶命していく
壁の寸前で停まったタイガベアはアリスを鞘に納め、振り向く
カロン達がタイガベアに向かい走りだす
タイガベアが鞘に手を掛け、引き抜きざまにカロン達を両断する
切断されたカロン達の胴から得体のしれない肉塊がこぼれだし、絶命する
「こんなところでバッテリー使っちまったぜ...」
その後ろで爆発音が鳴る
タイガベアは自分の入ってきた扉に電子ロックを掛け、爆発音の方向
テルが戦っている方向に跳んでいく
爆発音の起きた場所に戻るとクレーターが増えていた
「派手にやってるねぇ!」
「イーヒッヒッヒッ!」
「カプセルだけは割らないでくれよ」
タイガベアがテルに合流する
奥から浮遊する機械がこちらに翔んできた
ARENAと呼ばれる警備会社が使うガストボットと呼ばれる自律兵器だ
クラゲや玉ねぎを思わせるガストボットが開き、銃弾を射ち出す
「ガストボットォ!?なんでCTYOGENICS LABが使ってんだ?」
「ケケッ!関係ねぇ!」
テルが小銃に取り付けられた散弾銃で撃ち落としていく
「もうちょっと気にしろよ」
タイガベアが床に転がっている銃を拾い上げ、射ち始めた
__________
ファントムとハルが走っていると黒い防弾チョッキの男達が立ち塞がる
その装備はCTYOGENICS LABの装備とかけ離れていた
ファントムが先行し足に着いた刃で兵達を切り裂く
「なんでARENAの連中が居んだ!」
「カローンにARENA...さっきの戦車はARENAの物でしょうね」
「カロン?LABORATORYのカローンまで居たのか!」
「どこからそんな金が出てきたんだ?まったく」
LABORATORY、Systems Corpの崩壊後そこから派生した組織の一つである
今ではSystems Corpの研究成果のほとんど引き継ぎ、裏社会で販売している
兵達を倒しながら進んでいくと端末が見えた
その周りにはガストボットが浮いていた
「あった!」
ガストボット達が口を開き、銃口を出す
ハルが短機関銃で開いた口の中を狙いその数を減らす
ファントムが散弾銃で兵を撃ち殺し、展開したブレードでガストボットを切り落とす
辺りの敵が一掃された端末にハルがアクセスする
奥から黒い男達がガストボットと共に接近する
「任せたぞ!ミカンちゃん!」
「そう呼ばないで!」
「おっと失礼、へへへ···」
「ほら、集中してください。」
ファントムが兵を切りつけ、蹴り上がりガストボットを蹴り落とす
床に激突したガストボットが爆ぜ、破片が兵の肉に食い込み、血を流す
端末を操作するハルの側を緑の光弾が通り過ぎる
思わずハルが目で追う、光弾が兵の中に飛び込んで爆発
兵隊たちが赤い欠片となって飛び散る
ファントムがガストボットを蹴って回避する
「ちょっと!ヒカリさぁん!」
「ハルぅ!余所見してる場合じゃないだろ!」
「ヒカリがいきなりプラズマキャノン撃つからだろ!」
「アタシじゃない!テルだ!」
「いやぁスマナイ..フヒヒッ...」
表れる敵を三人で倒し、ハルが端末を操作する
「そろそろアタシのバッテリーがきれるぞ!速くしろ!」
「まったく、節約が出来てないんだろ...お、有った」
ハルが言った
「読み上げるぞ、”No.134-アントワネットlV”だ」
「聞いたかお前ら!134-アントワネットlVを探せ!」
ハルが目的のカプセルに入った人間の解凍を開始する
四人が別れ、敵を排除しながら特殊防弾ガラスの向こうに並ぶカプセルの番号を確かめていく
(ここらだな...)
132-アイゲンlll
133-カイル
134-アントワネットlV
135-ケロイド
136-ヘロドトック
「有ったぞ!こっちだ!」
ハルがそう言う頃には敵は静かになり初めていた
そこにヒカリが飛んできた
「退いてろよ~ハルぅ」
タイガベアが脚をガラスに足を掛けると橙色の魔方陣が浮かび上がる
タイガベアが掛け声と共に防弾ガラスを蹴ると蜘蛛の巣状にヒビが広がる
「もう一発!ォラ!」
ヒビで白くなった防弾ガラスをタイガベアが殴り割る
防弾ガラスがカプセルの周りに飛び散る
その中にズカズカとタイガベアが入り、カプセルに着いた機械を操作する
白い冷気と共にカプセルの前側が開く、中には髪の多い少女が裸で眠っている
その体型は凸凹がかなりハッキリしており、どこかバランスが悪い
「おお、良いカラダのお姫様だ」
「キモいこと言ってないで何か着せてやれよ」
「アタシ何も持ってないぞ...、おーい!テル!タチバナ!!」
「何ですか...」
「ケケッ、なんだぁ?ヒヒヒ...」
タイガベアが少女を指差す
「なんか服ない?」
「おぉ...セクシー...ヒッヒッ...」
「服なんて持ってませんよ...」
「あ、あるぞ...コレ...」
テルが腰のポーチから長い布が出てきた
「これ止血材じゃねぇか」
「この際しょうがないだろ、胸とアソコだけでも隠すぞ」
4人が止血材を巻き付けていく
「なんか如何わしい...フフッ」
「何も言うな」
「ヒヒヒ...」
「なんか悔しくなって来ました」
「オマエ胸は遺伝しなかったからなー」
「...ッチ」
”やはり殺しておくべきでした...”
「ん?、そろそろ行くぞ!増援が来ても堪らない」
ファントムが少女を担ぎ上げ、走りだす
三人がそれに続く
5人が外に出ようとした途端
敵に囲まれる
「ッ!ヒカリさん!」
引き金が引かれる寸前に少女を上に投げ、敵兵の眼前に踏み込み、切り裂く
それを合図にするようにハルとテルが引き金を引いた
_________
月に照らされ、白い影が闇を切り裂く
その腕の中では白い布で僅かに肌が隠されただけの少女が眠っている
白い影が街の暗闇の中にに飛び降りる
暗闇の中に蒼い魔方陣が浮かび上がると中から
裸同然の少女を抱えた少女が出てきた
その少女が直ぐ側の扉を叩く
「博士ー!開けてくれー」
「ヒカリか、勝手に入って来てくれ」
「ん、じゃあ入る」
扉を開けると妙な機械が組み立てられている
作業をしていた白衣の人物がヒカリを見て微かに驚くような素振りを見せた
「おや、人拐いかい?」
「そんな訳ないだろ、助けてきたんだ」
「そうか」
”博士”は直ぐに作業に戻った
「なんか服とかないか?」
「ああ、そうゆう用事だったか」
「女物なら橘蜜柑のがまだあったと思うんだが...入らないだろうね...」
「入れば男物でもいいぞ、街を歩ける位にはしないとな」
「秘部が隠されてるなら問題はないと思うが...」
「博士...今は寒いぞ」
「ああ、そういうことか。まぁ適当に持っていってくれ」
ヒカリが登山にでも行くのではないかというほど分厚くふかふかの上着を着せる
裸に直接着せるのには明らかに適切ではない
後ろから扉が開く音が聞こえた
血染みと傷だらけのハルとテルを連れたタチバナだった
「久しぶりです。」
「お邪魔しまぁす」
「ヒッ...お邪魔します...フヒヒ...」
「おや、友人かい?あまり血で汚さないでくれよ?」
「あ、失礼します...」
「ぅぁ...気を付けます...フィヒ!」
テルが眠る少女に歩み寄る
「服着てる...へへ...ッ」
後からハルが少女の唇に指を当てる
「なにしてんだ?」
「王子様のキスで目覚めたり...」
「お前タマに女の子だよな」
「タマにってなんだよ、これでも将来の夢はお嫁さんだからな」
テルから乾いた笑いが漏れた
「はは...」
「なに笑ってんだよ。」
部屋が騒がしくなると少女が目を醒ます
「んん···ふぇあ?」
「起きた!」
「ふぁ?あれ?ふぇ!ここどこでしゅか?」
上手く喋れていないのか口の端から液体が垂れそうになる
「え?あ、うみゃっむぅ」
テルが液体を拭き取り、言葉が遮られる
「あ、ごめん...」
「ははは...」
「あー、取り敢えず落ち着いて?」
「あああ、がんばりますぅ!」
「あー、んー···まず自分の名前言える?」
「は、はい!え、えっと...ぁ...あれ?あれ?」
「どうしたんだ?」
「お、思い出せませんん!ぅ...ヒグッ...」
「うぉ!泣くなよぉ、まず落ち着こうな、な!」
「は、はぃ...ぐじゅ...」
(なぁヒカリ...叩き起こしたのがマズかったんじゃ...)
(まさかそんなハズないだろ....ないよな?)
(いや、知らない)
「それじゃあさ、年齢...は難しいか...」
「えっと...ここに来る前に何処にいたんだ?」
「お家にいました...」
「家の場所は...いや...家の何処にいたんだ?」
「え、えっと...キッチン...?あれ?...ぁ....ぁ....」
「思い出せましぇん...ヒグッ...」
「だ、大丈夫か?」
少女が大声で泣き初めてしまう
ヒカリがそれをあやしながら大変な事になった顔を拭く
声を上げて泣く少女をあやしながら話を聞いていく
何故あそこに居たか、自分が何者かまで解らないらしい
「まいったなぁ...」
「ぅ...ヒグッ...」
「お~よしよし...でも名前が解らないのは不便だよなぁ」
「名前なんかないかな~、アタシ苦手なんだよなぁ名前とか」
「ンフッ...」
「私もあまり得意では有りませんね...」
「責任重大だな、オレには無理だ、テルはなんかないの?」
「ンン...そうだな...」
「ウーベルなんてどうだ...?ンフッ...」
「なんで?」
「上半身が大きいから...ンフフッ」
「...まぁいっか」
「お前はそれでいいか?”ウーベル”?」
「ん...ん...ありぎゃッ、ありがとうございましゅ...」
「おぅ!ヨロシクな!」
_______
ヒカリがウーベルを着替えさせ長い髪を結ぶ
「ウーベル、いくぞ!」
「わわっ!まってくだしゃぁい!」
それをみていた一人
黒い服にクリーム色の髪が浮く少女がタチバナに言った
「かわいい妹ですね。余り似てないですけど...」
「ハァ...うるさいです」
タチバナが頭に手を当てる
「まったく...」
長くなぁい?