※この作品はR-18です。

骸の島『ヘロドトスの骸』   作:トウトウ@脳缶

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ヘロドトスの胎動

私...いや、俺はヘロドトスだ

ヘロドトス...らしい

 

少なくとも医者はそう思っている

俺もそう思うことにしている、記憶がないから

 

パッド入りの白い床や壁、格子の着いた白い扉

壁には血の様な赤で乱雑に364と数字が書かれている

 

俺はワイシャツの上に黒いパーカーを着て、老緑のズボンを履いていた

 

医者の話では俺は警備関係の仕事をしており、事件に巻き込まれたらしい

これはきっと嘘だ、俺には解る、あの医者は嘘をつくときの癖がある

それにこの病室は普通じゃない

 

俺はどこから来た?

誰かに拐われた?

それとも俺は気が付かない内に暴れるのだろうか

何にせよ俺は説明もなく閉じ込められている

この数字は私が書いたのか?何故?何時?何を伝えたい?

 

「なあ、先生」

ここに居ても何もわからない、自分の事すら知ることが出来ない

こんな所さっさとおさらばしてやる、この際自分の事が知れなくてもいい

ここじゃあ新しく記憶も作れやしない

 

「なんだい?」

「俺の仕事は何だったかな?」

「おいおい、まさか忘れたのかい?」

「忘れてない、だがもう一度教えてくれ」

 

「君の仕事は警備員だ名前は、君は勤務中に強盗に襲われて記憶を失ったんだ」

「何度も話したじゃないか」

嘘だこいつは嘘をついている

 

「俺の着ていた制服を持ってきてくれないか?」

「何か思いだすかもしれない」

医者が一瞬たじろいだ

「わかった...掛け合ってみるよ」

 

医者が部屋から出ようと後ろを向く

俺は座っていたベットに足を掛け、医者に背後から飛びかかる

首を抑えて声が出ないように絞め殺す、別に難しくなかった

医者の懐から鍵と自動拳銃を抜き取る

扉に鍵を差し込むと警報がなった、ノブに手を掛けて銃を構える

部屋の外から銃声と断末魔が聞こえる、俺が警報を鳴らした訳ではないらしい

扉を少し開ける、

すると黒い防弾チョッキとヘルメットを付けて赤レンズのゴーグルを着けた警備員がいる

何かに向けて短機関銃を射っていてこちらには気付いていない

手を伸ばせば何とか届く距離だ

 

弾倉を変えようとしたのが見える、手を伸ばすて部屋に引き摺り込む

警備員から銃を部屋の中に叩き落とし、警備員を壁に叩き付ける

俺が扉を閉めると警備員がナイフを抜く、男の首に手を掛けて骨を外す

小気味良い音が鳴り、男の口から小さな断末魔が漏れた

男の懐から無線機が落ちる

そこからの通信で騒動が"タイガーライト"なるものに引き起こされたことが解った

そいつが何かは知らないが丁度いい

 

警備員の装備を剥がし、装備する

ゴーグルは要らないだろう、好きじゃない

銃に新しい弾倉を入れ、部屋の外を見る

銃声が少し遠退いていた戦いの中心が離れたらしい

 

部屋から出て銃声とは逆の方向に走る

白い扉が並ぶ廊下を拳銃とナイフを構えて走る

廊下の角から何人かの警備が見えた、数は結構いるようだ

"タイガーライト"とやらを片す為だろう、重装備だ

 

「なにかあったのかッ」

「この混乱に乗じてヘロドトスが逃げた!」

 

俺を味方にでも見間違えたらしい、声を掛けてきた

テキトーに会話を合わせて歩み寄る

集団に近付き一人の首にナイフを刺し、その隣の男の肝臓に拳銃を二発

ナイフから手を離しさらに一人の左眼を拳銃で射つ

眼を射たれた男の腰からククリを抜き取る

残った奴らはようやく状況が呑み込めたらしい動きをする

一人が手斧を持って近付き、反対からも手が伸びてきた

斧を持った奴の首を切りつけると文字通り首の皮一枚になって倒れ

手を伸ばしてきた奴の腹に刃を上に向けたククリを刺し、背中に背負った盾を掠め取る

散弾銃を持った奴に盾を向け、拳銃でもう一人、ライフルを持った奴を撃ち殺す

盾から衝撃が伝わる

残る兵隊は三人、二人の銃撃は盾で遮っている

もう一人は手投げ弾のピンに手を掛けている

盾で銃撃を防ぎながら柱に隠れる

手から手投げ弾が放れる

俺はその手投げ弾に拳銃を投げ当て跳ね返す

跳ね返った手投げ弾が転がり炸裂、爆風と鉄片を撒き散らす

二人が辺りに血を撒き散らして絶命、残った一人もこちらから目を離している

床に落ちたライフルを一本拾い上げて残り一人に向ける

ソイツもこちらに銃を向けようと手を動かした、だが此方が射つ方が早い

その男は銃撃を受け、踊るように倒れ薬莢が跳ねて転がる

 

盾を背負い新たな散弾銃と弾、手投げ弾を手に入れて走りだした

走っていると前から他の警備が現れた

 

「居たぞッ!364だ!」

 

一人は盾から手を出しながら拳銃を撃ち

その後ろにはライフルを持った奴が二人

柱にも数人隠れている

 

後ろの一人の喉笛を横切るように短機関銃の弾を撃ち込み

柱の陰に飛び込む、陰に隠れると銃弾がそこから出るのを邪魔する

敵は迫って来ているはずだ

手投げ弾のピンを抜き、秒数を数える

コイツの爆発する時間はさっき見た

爆発の寸前で壁に投げつけて反射させる

跳ね返った手投げ弾が空中で炸裂し、爆発が破片を撒き散らす

破片の一つが自分の前を跳ねた、爆発と共に一瞬銃声がやんだ

陰から姿を現し、此方に姿を見せた銃と頭をライフルで狙い撃つ

 

廊下を走っていくとまだ息があったか拳銃に手をかけた奴が居た

そいつの頭をライフルで撃ち潰す

 

ライフルの弾倉を懐から引き抜きその場を後にする

これ以上はあまり騒ぎにしたくない

俺は隠れながら進む事にした

 

足音を聞いて近くの部屋に飛び込む、部屋の中には様々な銃が並んでいる

部屋に入って直ぐ、白衣を羽織い赤い縁の眼鏡をした女と目があった

「え~、どうしたんスか?」

コイツも警報に気付いている筈だ

女が机の上に置かれた銃にコソコソ手を伸ばした

すかさず女の手を蹴り弾き、押し倒す

机の上に乗っていた銃声や部品が床に落ちる

「いで!ッ!」

女が口を開けたので手で口を塞いだ

「お前ここの医者か?」

喉にナイフを当て空いた手で銃を物色しながら訊く

「あ、喋っていいんスか...?」

「喋れなくなりたいか?」

「あ~、喋らせて頂きまス...ええ、はい」

「自分、医者じゃないくて学者ッス...」

 

俺は何本か銃を調達しその内の一つを女にみせる

学者ならこの銃が何か判るだろう

「コイツはなんだ?」

「こ、こいつッスか?コイツはハンドレールガンの試作品ッス」

「ハンドぉ?片手で射てる様には見えねぇが」

「だから試作品なんスよ..」

 

部屋の外から誰かの声がする

「誰かいるのか...?」

女の口を抑え、ハンドレールガンを床に起き、片手で使えそうな散弾銃を拾う

警備が一人部屋に入って来た

そいつを散弾銃で撃つ

「グァっ!」

ハンドレールガンを拾い上げて女を突き飛ばし、出口に向かう

恐らくアイツの仲間に銃声が聞かれただろう

「待つッス、出ない方がいいッス、」

「あ?」

「ここらはポセイドンシリーズが2匹歩いてるッス」

「遮蔽物が少ない廊下は危険ッスよ」

 

ポセイドン?良く知らないが声のトーンに圧され廊下に出るのを止めた

すると足音が近づいて来る、すかさず机の陰に隠れる

部屋の中に警備員が二人入ってくる

「ナオ・ヒメノ!出てこい!もう逃げられないぞ!」

 

タイガーライトとやらの混乱に乗じて逃げたのは俺だけじゃないようだ

(な、なんとかして欲しいッスよ~···)

(お前の仲間じゃないのか?)

(姫野って私ッス...)

(ハァ~...)

 

机から手だけを出し、声と音の方に散弾をばら蒔く

断末魔が2つ聞こえる、入って来たのは二人だった筈だが足音が聞こえる

どうやら銃声に紛れて他の奴が入って来たようだ

ハンドレールガンを手に持って、跳び出す

 

視界に入ったものは異形

巨大な体躯に人ならぬ頭部、その頭部は赤いラインの走る棘々しいバイザーと

幾つもの黒い針状部品で覆われ、機械部品を寄せ集めたような大剣を片手に提げている

その異形が妙に尖った手を此方に向けると光が灯り、視界を白く染める

「来るッス!」

 

視界の白が取れない内に赤い光線が剣先から射ち出される

横に跳ぶ様に躱わすと光線は並んだ机や銃を黒く焼き焦がす

異形が銃の様に持った大剣を担ぐ様に構え直す

異形の足が床から離れ、飛び上がる

ハンドレールガンのサイトを異形に合わせて引き金を引く

炸裂音と青電が迸り、銃口から放たれた金属体が異形に衝突して拡散

拡がった金属が異形の体を引き裂き壁に突き刺さると黒い破片と血肉を撒き散らし、

床に滑り込み動かなくなった

「こいつがポセイドンか?」

臓物のはみ出す死体を指す

「そうッスよ、まだいるはずでスから気を付けるッス」

 

銃の弾を補充し、部屋から出る

廊下に出て直ぐに音を聞き付けたであろう警備がやってきた

警備の撒いた銃弾の隙間を掻い潜り、拳銃で警備達の頭を撃ち抜いていく

幾つかの角を曲がり現れる警備を殺し、ある扉の前までたどり着いた

扉の取っ手に手を掛ける

「ちょ、待つッス!」

「あぁ?」

「進むの速いッスよ~」

「なんだ、着いてきてたのか?」

「他に頼るものが無いもんで...」

「好きにしろ...」

 

扉を開け放ち、部屋に転げ込む

部屋の中には自動販売機と幾つかのベンチがある

警備員達が慌てて銃を構える

 

天井に散弾銃を射ち部屋の電灯を全て破壊する

さっきまで警備員の立っていた場所に散弾銃を撃ち込み、部屋中を駆け回る

痛みの叫びと呻き、銃声が止むと空薬莢の音が部屋に響く

部屋の中を走り回ったせいで出口がわからない

 

拳銃を一発天井に射つ

薬莢が排泄され床に落ちて音を響かせる

耳を澄ましその響を聞き部屋の形の大体を確かめる

...出口はどっちだ?出入口が案外多い

当てずっぽうで一つの出口から出る

「お帰りッス」

「...ぁあ、ただいま」

 

入り口だった

部屋に戻り、真っ直ぐ反対の出口から出る

後ろから声がする

「そっちは大丈夫ッスか?」

「今の所はな」

後ろから懐中電灯の光が届き女が走ってくる

女が追い付くと再び走りだす

 

今までの警備よりも軽装備な連中が出口らしい扉の前に集まり扉を塞いでいる

強化プラスチックの盾とゴタゴタとオプションの付いたライフル銃

 

盾を前に構えて扉の前に走り込む

奴らの一人がオプションのグレネードランチャーに手を駆けた

拳銃を盾の横から出し、ソイツを射って手を反らす

あらぬ方向に榴弾が飛び、爆発で警備達の陣形が崩れる

煙の晴れる前にそこに飛び込み、相手の腰から拳銃を抜き取り

近くに立つ奴から接射で無力化する

残った二人が此方にライフルを向けていた

拳銃を離し射線に二人の警備を投げる

重なった二人をライフル弾がボロボロにしていく

死体に成った二人に隠れハンドレールガンを連射する

加速された金属体は二人の死体を裂き、形を変えながら残った二人の肉を潰す

扉を開け放つとポセイドンが剣先を此方に向けていた

すかさず飛び上がると自分の下を赤い光線が走る

ハンドレールガンが溶解され掻き消される、

溶けるハンドレールガンから手を離し拳銃を抜く

二発目の光線を体を傾けて回避し、ポセイドンの顔に拳銃を連射する

ポセイドンが血の流れる顔を押さえて唸る

 

ライフル弾を撃ち込みポセイドンの剣を手から引き離す

足と顔に銃弾を撃ち込んで動きを封じ、奴が手から落とした大剣を拾う

剣に放り回される様にポセイドンの身体に刃を食い込ませる

両断する途中で刃が止まる、ポセイドンの指が動く

剣に体重を掛けてポセイドンを押し倒し、身体を両断する

2つに分割されたポセイドンが痙攣を繰り返し死亡する

 

夜空に覆われた町に駆けていくと何者かが現れた

その男は緑色の布を身体中に巻き付けて手には無骨なカタナを持っている

「追手か?」

「ああ、名前は...そうだなオールドキング、オールドキングだ」

「皮肉が効いて良い名前だと思わないか?」

「俺は本当の名前が知りたいね」

「知らなくてもよい」

 

「貴殿の血もこのウシミツに吸わせよう」

カタナを傾け此方に向ける

自分も拳銃を構える

オールドキングが地面を蹴って跳んでくる

拳銃を撃ち込むと血が噴き出すが意に介さず振り下ろす

身を下げて躱わすと相手が一歩踏み込み、剣を振る

ナイフで防ぐがナイフがカタナに切断させ刃が腹に傷をつける

相手が剣先を突き出す、横に跳ねそれを回避する

カタナが振られるのに合わせて後ろに跳び退く

跳び退くと相手の左手に火が灯り、それを投げてきた

飛ばされた火球小さな爆発を起こす

火の向こうからカタナを突きだし、此方に滑り込んでくる

拳銃を構えるとカタナの先端がそれを奪い去る

 

相手を蹴って距離を離す

相手の手から火球が放たれる、それを避わしライフルの引き金を引く

ライフル弾がカタナに弾かれてる

急接近したオールドキングがナイフを二本投げる

ナイフの一本を掴み、もう一本でそれ弾き落とす

振り下ろされるカタナをナイフで受け流し、刃の無くなった柄を捨てる

下ろされた剣が切り上げられる

這うように身を低くして避わし、ナイフを拾って相手の腹に突き刺す

押し込んだ刃を引き抜き、カタナを持った手に突き刺す

ナイフの突き刺さる手からカタナを掠めとる

距離を取ろうと足を動かしたオールドキングにカタナを突き刺す

声を上げたオールドキングの腹を裂き、首を切り飛ばす

オールドキングの持っていたウシミツを腰に提げ、再び歩み始める

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