崩れた建物の中に黒いフードの男と眼鏡の女がいる
「なぁ...なんで死体が歩いてんだぁ?」
「それ3度目ッス」
「嘘ぉ~、まぁじかぁ~」
「可愛くいっても3度目ッス」
「で、何で歩いてんの?」
男が銃で窓の外を撃つと呻き声が聞こえ、黒い袖と手袋が血で汚れる
男が女の手を引いて走り出す
歩く屍を切り殺しながら、瓦礫を登り身を隠す
「でぇ...なんだっけ?」
「なんで死体が歩くのか?って話題だったッスよ」
「はは~、さては哲学だな?」
「科学ッスよ」
「なんでもいいから教えてくれよ、おッ!」
男が飛び出し、刀で歩く死体を切り倒す
「話は後だ!」
「えぇ!そっちが言い出したじゃないッスかぁ!」
屍を散らしながら街を二人が歩いていく
歩く屍を拳銃と刀で倒しながら男が話す
「それで?」
「え?何の事ッスか?」
「なんで死体が歩いてるんだ?って言ったろ、何度も」
「何度もは言ってなかったッス」
「いいから教えてくれよぉ~」
「えっ、今ッス かぁ!?」
建物の上から唸りを上げる屍が落下し
女の目の前で潰れる
「上にも居たのか、危なかったな」
「ハァ...ッ、心臓止まるかと思ったッス...」
「あ~、続けていいか?」
女の手を引きながら男が言う
「まずは何処かに隠れるッス!」
「任せろ!」
「彼処に入るぞッ」
二人が近くにあった建物に駆け込み、ソファで扉を塞ぎ
エントランスを闊歩する屍達を切り伏せ、射ち倒す
その建物の中は白を貴重とした"会社"といった雰囲気だった
「なんだ?病院か?」
「薬品か何かの会社じゃないでスか?」
「会社かぁ...なんで薬って解ったんだ?」
「それっぽいポスターが貼ってあるじゃないッスか」
「あとゾンビが白衣着てるッス」
女がポスターと血塗れの白衣を着た死体を指差す
「おぉ!本当だ、頭いいな」
「良いのは目ッス」
「メガネしてるのにか?」
「目の付け所が良いって事ッスよ」
「ああ!」
「”よく解らない”って顔でスね」
男が血で汚れたソファに座る
「なぁんか忘れてない?」
「"死体が何故歩くのか"じゃないでスか?」
「そうそう、そろそろ教えてくれや」
「ウダウダ言っても解らないと思うのでズバリいくッスよ」
「ズバリ、ウイルスが原因ッス」
「ウイルスか...俺は大丈夫なのか?」
「まぁ、スケルトンは空気中で生きていけないから平気だと思うッス」
「スケルトン?」
「ウイルスの名前ッスよ」
「もっとカッコイイ名前は無いのか?」
「正式名称はもっと長くてカッコイイッスよ」
「言わなくても良いぞ」
男が立ち上がる
「もっと奥まで見てみようぜ、おもしろそうだ」
「アンタの勘は当たるから嫌ッスね」
「悪い予感じゃないさ、良くもないかもしれんが」
女が廊下を歩く男を走って追い掛ける
「置いて行かないでほしいッス~」
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血のへばりつく白い廊下を歩く二人が立ち止まる
「立ち入り禁止だってよ、気にならない?」
「気になるッス...ッ」
「じゃあ入るか」
男が刀で蝶番を切断し、扉を蹴り倒す
「白っ」
扉の向こうは光沢のある白い素材で壁と天井が形成され、白い光で照らされていた
「これは...実験場ッスね」
「実験場ぉ?なんで解るんだ?」
「同じようなの使ったことあるッス、メーカーは覚えてないッスけど」
「メーカーとかあるのか...」
「結構便利なんでスよ~、これ~」
女が白い壁を叩く
「お前ってさぁ」
「なんスか?」
「結構胸大きいよな」
「あ~、今言われるとは思わなかったッス、それ」
「なぁなぁ、これはなんだ?」
男が設置された機械に手を置く
「ただの開閉スイッチッスよ、それにしても目移り早くないでスか」
「押しても閉まらないぞ」
「ドア壊したじゃないでスか」
二人のいる場所に機械音声のアナウンスが入る
"ハローフレンズ"
"ドアをノックして下さればお開けしましたのに"
「それは...申し訳ないでス...」
”いえ、お構い無く”
”ここを開閉する先生方はもう居ません”
「あんた誰だ?」
”この実験場の総合コンピュータです”
「ほぉ~凄いッスね、AIでスか?」
”イエス、そうですよ”
”凄いものでしょう?”
「コンピュータ?コンピュータさん?名前とか無いのか?」
”正式名称は長いですよ?”
「じゃあ短いのを教えてくれよ」
”ドドド、です”
「コンピュータさんの方がいいな」
"お好きなようにどうぞ"
男が女の手を引いて実験場を歩き出す
”ああ、駄目ですよ。勝手に歩き回っては”
「みたいですけど」
「お好きなようにって言ってたろ」
”困った人ですね”
「スみません」
”あなたは悪くありませんよ”
「一応、私の連れ添いでスから」
「勝手に着いて来たんだろ」
「冷たいッスね~、ここまで守ってくれたじゃないッスか~」
"んんー、愛ですね"
二人が黒い縁取りが去れた扉と開閉スイッチの並ぶ部屋を見つける
曇ってはいたが部屋の中を窺う為の窓もあった
”駄目です”
「まだ何も言ってないぞ」
”そこには入れません、ここから先は立ち入り禁止です”
話を聞かない男が窓の一つを覗いて驚く
部屋の中では小さな人影が長い髪を揺らしていた
「誰かいるな、入っていいか?」
"いけません"
「ロックが掛かってるな...ならコイツで...」
男が刀を構える
”ノー!ノー!駄目ですってば!”
「駄目ッスよ!実験場なんスよ!なにがあるか解らないッス!」
”oh...”
男が扉を切り倒す
『はて?どなたでしょうかー?』