白い壁と天井、向こうをまったく視認できない窓のある白い壁に囲まれた部屋
その中には白い材質で表面を被った機械とそれと繋がったゴーグルをした少女
少女は身の丈ほどある髪の毛を後ろで纏め、その先を緑色に染めていた
「...ほ!んんー、終わりましたー」
少女がゴーグルを外し
聴く人間など誰もいない部屋で喋る
それに答える様に機械音声が鳴る
"ご苦労様でした、よい手際でしたよ"
"少々休憩しますか?"
「お構い無くー、まだ疲れてはおりませぬゆえー」
「ポッポー!ですよー」
”ポッポーですか?”
「はい、ポッポー!」
"そうですか..."
「はい...ッ」
"では次のオペを始めましょうか?"
「こんぴゅーたー様ー」
"どうしましたか?"
「お姉さま達は大丈夫でしょうか?」
”...何故?”
「先生の姿も見ませんし...外で何か有ったのではないですか?」
”んんー、鋭いですね”
”実は先生方は南の島でバカンスをしてるんです”
「それはよいですねー」
"他の担当の先生方にはヒミツですよ、怒られてしまいます"
"HAHAHA...心配するような事はありませんよ"
"お姉さん達は貴女が一人前になる頃に来てくれますよ"
「ほ、早く一人前にならなくてはなりませんねー」
「がんばりませう、こんぴゅーたー様ー」
”ふふ、そうですね”
少女がゴーグルを着ける
少女の視界には手術台と患者が映っている
「ほ~、なにをしたら良いのでしょうー」
”眼球移植です”
少女が架空の手術台で手術を始める
手際よくメスを使う少女の耳に微かな音が届く
「誰か来ておるのですかー?」
”来客が二人ほど”
「先生方が居ないのでしょー、行ってくだされー」
"一人で大丈夫ですか?"
「お任せくだされー、もう子供ではありませぬゆえー」
”oh!それは違いますよ”
「あら?まぁ良しとしましょうー」
”あー、では行って来ます”
機械音声が途切れる
少女が淡々と手術を進め、手早く眼球を移植する
手術を終わらせた少女がゴーグルに手を掛ける
ゴーグルを外した寸前
少女の後ろにあった白い扉が切断され、黒いフードの男が押し入ってきた
「はて?どなたでしょうかー?」
少女がゆっくりと口を開く
「子供...?」
男が子供を漏らすと少女が空かさず返す
「子供ではございませぬ!うつけ者!」
「お、それはスマンな」
「ちゃんとレディとして扱ってあげないと失礼ッスよ」
男の後ろから眼鏡の女が入ってきた
「そうです!一人前のれでぇとして扱って下され!」
「な、落ち着こうな、ほら、俺が悪かったから」
男が少女を落ち着かせる
「はふっ、はふっ」
「おーよしよし」
"犬みたいですね"
「止めなくていいッスか?」
"二人とも楽しそうですし...ポッポーなので"
「ポッポー?なんスかそれ?」
”私にも解りません”
「そうでスか...」
「そういえば私達名乗りましたっけ?」
"んんー、まだですね"
「それは悪かったッス」
「私が姫野奈央、あっちがヘロドトスでス、ええ」
"私はDl型ドリックドローダ·ドリドライン·ドライブドーダDD、愛称はドドドです"
「だからドドドなんスね...」
話しを聴いていた少女が男に抱えられながら喋る
「あなた様はヘロドトスと申すのですかー?」
「名前を訊く前に名乗るのが道理ってもんだろ?」
「おろ、それは申し訳ありませぬー」
「私はユゥノ·フェロックでございますー」
男が腕を組む
「呼びづらいなぁ」
「そうでございますかー?」
「そうだ、呼びづらい」
「なら呼びやすい名前を考えてくだされー」
「ん~、難しいなぁ」
_
機械音声に女が訊いた
「そういえばあの子ここで何をしてるんですか?外は大変ッスよ」
”医療用シュミレータで訓練を受けているんです”
「あんなに小さいのにッスか」
”医療用シュミレータで彼女の才能を引き出す実験をしているのです”
「あんな子供にッスか?」
”これがあの子にとって一番いいのです”
「...とてもコンピューターとは思えないッスね」
”親もなく、二人の姉も行方が知れず”
"ここでなら衣食住の心配もなく、安全で、教育も受けれます"
「そうでスか...私にはどうしようもない話のようッスね」
_
楽しそうに話す少女の前でフードの男が目線を落として話を聴いていた
「ふーん、姉がいるのか」
「はいー、ここで待っているのでしてー」
「まだ待たせてるなんて随分と方向音痴なんだな」
「ほー」
「そうだ、二人の事教えてくれよ、名前とかさ、」
「ほ?」
「もし迷子になってるのを見掛けたら連れて来てやるよ」
「おー!それは真でございますかー!?」
「おお、本当、本当」
「あのですねー!あのですねー!」
少女が目を輝かせて男に飛びつき、生き生きと話し始める
「まぁ待て、待ちなさい」
「先ずは名前からだ」
「はいー!アスィア姉様とミェイス姉様でございますー!」
「姉の方が名前が呼びづらいんだな」
「それで!それで!」
少女が楽しそうに二人の姉について話をする
男は頷きながらそれを聴き、機械音声と女もそれを静かに聴いていた
少女の話が終わると男が立ち上がる
「楽しい話をありがとなユゥノ、簡単な呼び方は次までに考えとくぜ」
「もう行ってしまうのですか?」
「いろいろあってな」
「ではまた~でわでわでわ~」
「行くぞー、姫野」
「え、あ、はいッス」
_
男と女が部屋を出て並んで廊下を歩く
女が体を傾けて意地悪げに切り出す
「優しいッスね~、このこの~」
「でもいいんスか~?あんな約束しちゃってー」
「なんだか放っとけなくてなぁ...自分を見てるみたいでさ」
「ワハハ、あんなに可愛くないッスよ?」
「茶化すなよ」
「おっと、お出ましだぜ」
二人の前に皮の剥げた亡者達がゆらゆらと現れ、
男が刀を取り出す