※この作品はR-18です。

骸の島『ヘロドトスの骸』   作:トウトウ@脳缶

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黒猫は何度死ぬ


ヘロドドスの骸

ネオンサイン輝く夜の街、奇妙な黒い服に身を包む少女が歩く

その服はメイド服を折衷したような形をしているが、革とゴムの間のような材質で造られ

不気味な黒い生地には裂目のような青い線が下に向け等間隔に走っている

腰には嘘の様に白い帯布が巻かれており

帯布の下からヒレの様に青い線が走る大きなリボンの先端がはみ出している

暗闇に紛れる黒い生地は腰に巻かれた白い帯布とクリーム色の短い髪を浮かせていた

 

緑の目を光らせ、黒いフードの様な布を身に付けた黒猫がその少女に抱かれている

"にゃーん"

「そうですか?わかりました...」

 

猫の鳴き声に操られるように少女が向きを変える

オカッパ頭で軍服を思わせるワンピースの少女が歩いてきた

「よおモノ、そいつ抱えてるとやっぱり気味が悪りぃな」

「出会って最初がそれですか...失礼ですね.....」

「でもさ、黒猫と話しながら歩き廻るなんてかなり怪しいぜ」

「服まで黒いし、ソイツの目が怖いし...」

「別に怖くないと思いますけど...」

「お前ソイツと目合わせたことないだろ」

「まぁそうなんですけど...」

「あ、そうだ話があったんだよ」

「なんですか?」

"にゃー"

「おっと、急かされました...」

「オレには鳴き声の違いが解らないけど...」

「お話はまた今度に...」

「まぁいいけどさ...」

 

彼女と別れ、黒い一人と一匹は歩いていく

"ウニャ、ウニャニャ"

「こっちですか...」

"ニャーン"

「そういう訳ではありませんけど...」

 

細い路地に入っていく

街の路地にはボンヤリ光を放つ看板しか灯りはない

"にゃにゃにゃ..."

「ちゃんとどれか教えて下さいね...」

薄暗い路地を歩いていくと青い扉の前で黒猫が鳴く

「ここですか...」

”ニャ”

 

黒い少女が扉に手をかけ、押す

「あれ?」

”ウニャ”

「あ、引くんですね...」

 

扉の中には長い髪の女と黒尽くめの男達、赤い兵隊のような男がいる

「フィヒヒ...待ってたぜぇー!モノォ!」

「久しぶりです、テルさん...もう皆さん揃ってますか...?」

赤い男は白と赤を基調とした寒冷地の軍服を身に付け、

ゴーグルとマスク、フードで顔を隠している

「まだラインハルトがまだ来てないぞ」

 

長い髪の女が黒猫に手を伸ばす

「私にも触らしてくれ」

”ニャーン”

「そうですか...どうぞ...」

「ウェヘヘ...ヒヒッ!可愛い猫ちゃーん...」

髪の長い女が猫を抱き上げ、垂らし

伸びた胴に顔を埋めている

黒猫は驚く程に無反応で縦に伸びている

「フィヒヒ...お前らもどうだ」

猫の脇に手を入れ、黒服の男達に差し出す

”ニャ゛~”

「いえ、私達は結構です。」

「ケケケ...ヌフッ.....」

黒猫を引っ込め、抱き締める

”にゃ゛~”

「なんか苦しそうにしてないか?」

「フヒヒ...」

「お嬢様さま、余り力を込めては...」

「こうなったらテルさんは聞きませんよ」

 

 

扉が開く

キッチリとしたスーツを着た男が警備員のような集団を引き連れ入ってきた

「すまない、少々遅れた」

「遅かったじゃないか...なぁ!ラインハルトォ!イヒヒッ!」

「おせぇぞ!ドイツ人!」

「国は関係無いだろ!」

「ラインハルトさん...なにかトラブルですか...?」

「いや、道に迷ってしまった如何せん複雑でな」

「トルニがいなかったらたどり着けなかったかもしれん...」

 

”ニャーンニャーン”

「急かしてますよ...」

「フィヒ...可愛い...」

赤い男が手を叩く

「そうだな、早く始めよう」

「じゃあ俺からだ」

「とは言ってもこれといった変化はないな、いつも通り不安定だ」

「グリーンの奴も変わりないな」

「そうだな――

 

赤い男の話が終わるとキッチリしたスーツの男が次に声を上げる

「こっちの方はなかなか暇だよ」

「正規の兵を余り使いたくないみたいだ」

「余り大きな変化は無いが――

 

スーツの男が話し終えると髪の長い女が話を始める

「ザワザワはやっと落ち着いてきたぜ...ヒヒッ...」

「いまはアタシが頭だ...」

”ニャ、ウニャー”

「なんて言ったんだぁ?ェヒヒ...」

「シロさんの事が気になるそうですよ...」

「オォ!よくぞ!ヒャッハ!」

「シロはなぁ――

 

_____

 

 

「ヒヒッ...」

「何時もに増してノロケが長かったな」

「んフッ...ゴメン...」

「今日はこれで解散しましょうか」

”ナォー”

「じゃあ帰りましょう...」

 

クリーム色の髪をした少女が猫を抱き上げ頭を下げる

ゆっくりと扉を開けて薄暗い路地に出る

”にゃお...”

「そうですね...」

"ニャーン"

「モノも良かったです...へへ...」

 

 

「っへへ、嬢ちゃんこんな場所に一人は危ないよぉ」

「お兄さん達が安全な所まで送ってあげるぜぇ、イヒッヒ」

「へっへっへ...なかなか可愛いじゃ~ん」

”にゃーん”

「別に”一人”ではないんですが...」

「なんだぁ?友達の猫ちゃんの事いってるのか?」

「ぎゃはは!」

「気付いていないんですね...」

「あ?出鱈目抜かすんじゃねぇぞ!」

男の一人が手を伸ばす

手が少女の肩に触れようとした途端

三人の男の肩が同時に叩かれる

三人が振り向くとローブを身に付け顔すら視ることもできない何者かが立っている

「な、なんだこいつ...」

男の内の一人が顔を隠すフードを覗き込む

暗く何も見えない闇に四つの白い光が浮かび上がる

「ヒィッ!化け物!」

フードの袖がその男に伸び、肩をつかむ

その腕には指が四本しか着いていなかった

悲鳴を上げ男が逃げ出す

「情けないですね...」

残された二人が少女の声に反応したのか、逃げようとしたのか視線を戻す

抱えられた黒猫どころか少女の影すら消えていた

「なっ!」

振り向くとローブを着た何かすらも消えていた

「な、なんだったんだ...?」

「しし、知らねぇよ..」

 

 

"ナオー"

「モノも驚きました...」

「タチバナさん何してたんでしょう、それにあのローブ似合ってましたね」

”ウニャーン”

「それはないと思いますよ...流石に....」

"ニャ゛"

"ニャー"

「そうですか?私は猫もなかなか良いと思うんですけど...」

"シッー!"

「駄目ですか...そうですか......」

少女が黒猫をひび割れたアスファルトに降ろす

その時、後ろから声を掛けられた

 

「お!モノじゃん、終わったの?」

「ええ、ヒカリさんはお休みですしょうか...?」

妙な柄の服を着た少女だった

「まぁな、そういえばタチバナ見なかった?」

「さっき居ましたよ、迷子ですか...?」

「いやさっき歩いててさ何してんのかなぁ?って」

「プライベートの事に関わるのはどうかと思います...」

「でも気になるものはしょうがないさ」

”ニャー”

「おっと急かしてるな、引き留めて悪かったね」

黒い少女が黒猫と横に並びながら歩き出す

「それではまた明日....」

「おう!じゃあな」

 

黒い少女が人の中に消える

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