俺が目を覚ますと、目の前に広がってきた光景は本部の医療施設の天井だった。
身体を起こそうとすると、全身に激痛が走った。
「くっそ、身体中がイテェ。」
俺が愚痴をこぼすと、右隣から声を掛けられる。
「全く、派手にやったもんだなぁ、あんたも団長も。」
首だけを動かして右隣を見ると、そこには神威と同じ第七師団所属の阿伏兎がいた。
阿伏兎の言葉に対して、俺は顔を不機嫌そうにしながらこう言った。
「阿伏兎、神威の奴はどうした?」
俺がそう言うと、阿伏兎は平然とした顔でこう言ってくる。
「あぁ、ウチの団長ならアンタの左側のベッドで寝てるよ。」
阿伏兎はそう言いながら向こう側のベッドを指差した。
それに合わせて俺が左側に目を向けると、そこにはベッドの上でもがき苦しんでいる神威の姿があった。
「団長、今は無理しない方がイイぜ?」
阿伏兎の言葉に対して、神威は体を動かそうとしながらこう言った。
「いやいや、俺はイッセーみたいに脆弱じゃないからもう動いて大丈夫だよ。」
「あ?」
俺はその言葉を聞いた瞬間、青筋が立つどころかブチ切れてベッドの傍に置かれていた自分の番傘で神威に殴り掛かる。
ドゴンという破壊音が響く病室だったが、血飛沫は飛び散らなかった。
「やれやれ、イッセーって短気だね。それに俺と戦ったのに、もうそんなにも動けるとか夜兎の中でも異常だね。」
傘を躱した神威は向かいのベッドに寝ころびながらそう言ってくる。
「るせぇ、てめぇが嗾けてきた事だろうが。それに俺の事言えた義理でもねぇだろうが。」
俺は床に減り込んだ番傘を引き抜き、埃を払う。
そして、俺は自分の服に着替えて番傘を手に外にへと向かう。
「あれ、イッセーどこに行く気だい?」
そう言ってくる神威の言葉に対して、俺は病室のドアを開けながらこう言った。
「自分の生まれ故郷だ。」
「えっ、それってどういう…。」
そう言った後、俺は神威の言葉を無視して病室から去っていく。
「さて、黒歌を探すか。」
俺はそう呟きながら黒歌のいそうな場所にへと歩いていく。
その頃、病室の中では…。
「ねぇ、阿伏兎。」
「何が言いてぇのか分かるが、止しておいたほうがいいぜ団長。」
神威が阿伏兎の名前を呼び、阿伏兎は団長の考えを見越したうえで待ったの声をかける。
だが、団長の神威にはそれは届かなかった。
「日本って強い奴がいるのかな?」
そう言いながら神威は愉しそうに笑う。
神威の言葉を聞いた瞬間、阿伏兎は深い溜息を吐く。
団長のいつもの悪い癖が始まった、と。
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