「暑い」
そんな一言から始まった私の一日だけどどうやらそれは私だけではなく、この町に住んでいる人々全員がその一言から始まったらしい。
なんでもあり得ないくらいに気温が上昇しているらしく、協会側もお宝を使って街を覆う薄い膜を貼ったりしているらしいんだけどそれでも暑い。
あまりの暑さで家畜が音を上げたりしているとか……まぁ、恐らくと言わずとも確実にどこかに眠っているお宝のせいなんでしょうけど……街一つの気温を変えるほどだからB辺りかしら。
最近、高レア度のお宝も取りに行ってないし、行ってみるのもアリ。
「お、やっぱりあった」
協会へ出向くとやっぱり今回の原因であるお宝が張り出されていて回収に成功した場合、協会に渡さなくても懸賞金まで出すと書いてある。
今回のお宝の能力は決められた範囲内の温度上昇かしら……それとも対象物の温度だけを上昇とか? まぁ、どちらにせよ今後、使えそうなお宝ね。
「場所は……この町の近くに突如現れた迷宮……迷宮構築しちゃったわけね。ま、回収しようじゃないの」
――――――☆――――――
という訳でお宝回収のために構築された迷宮の下へと向かった私だったけどどうやら私と同じような考えのハンターが多いらしく、そこそこ集まっている。
というか今回は男も多いけど女の人もチラホラ見える……まぁ、賭けられている懸賞金を貰えたら少なくとも一週間は暮らせるしね。
「あれが入り口ね」
まるで大きな生き物が口を大きく開ているかのような入り口が構成されていてお宝の能力なのか入り口の奥は離れた所からでは何かに隠されているかのように見えない。
離れた所からの観察も無理か……ま、準備はしてあるし、恐れることは無いわ。
入り口を入ると太陽光が遮断されたことで少し薄暗く感じるけど周囲には空中に漂っている小さな火の玉から真っ暗という訳じゃない。
チラホラと同業者の姿も見えるし……もしかしたら争奪戦になるかも。
そんなことを考えていると少し先で人が何人か集まっているのが見え、その近くに行くと何やらこっちだの、あっちだのと軽い言い合いをしていた。
ちょっと背伸びをしてみると先には水が引かれているらしく、どうやら川を歩いていくような感じらしいけど道が二つに分かれていた。
「右は空間の温度が高くて左は水の温度が高いらしい。どっちだ?」
「どっちでも良いだろ。影響受けてるし。それにさほど温度も高くないんだろ? だったら快適に行くために空間の温度が高い方に行こうぜ。水は冷たいし」
「そうだな。右行くか」
そう言い、男たちは空間の温度が高いという右の通路を歩いていく。
どうやらほとんどが右に行ってるけど……多分、さっきの人達が言っていたようにどっちも影響を受けているからさほど違いは無いんだろうけど……左に行こう。どうせ混んでるし。
そんなわけで左の通路に入ってみると確かに温度が高い……最初は熱いけど慣れたら大丈夫って程度の温度ね。
でもお湯に足をつけただけで私はこっちの道が正解だと確信した。
向こうへ行った場合、当然暑いから喉が渇く。
用意周到に水分を持ってきている人もいるだろうけど大部分はそんなに持ってきていないはず……だから恐らく引いている水を飲む。
でも足をつけた時点で水は足首の高さまでしかない……そんな量の水を一気に大人数が飲み始めたら……その分だけ水の高さは減っていき、最終的に水は無くなっていく。
「水の温度が高いだけなら喉も乾かないし」
「そうね。それ大正解」
「っっっ! ビックリした」
「あら、ごめんなさい」
突然、後ろから声が聞こえたから慌てて後ろを振り返ってみるとそこには同業者らしい女の人が立っていたけどその格好がもうエロいの一言に尽きる。
巨乳であることを見せびらかすように胸はバッサリ開いてるし、スカートも長いんだけど深くスリッドが入っているから結局、足全体が見える。
全体的に露出度高いわね……。
「貴方、中々良い勘を持ってるじゃない」
「はぁ、どうも」
「名前は?」
「アイリです」
「へぇ……私はリサ。よろしく」
なんだか含みのある返事だったけど……ま、いっか。一人で探すよりも複数人で探した方が効率も良いし……まぁ、最後は争奪戦になるんだろうけど。
「わぁっ!」
そんな悲鳴が聞こえ、そっちの方を見て見ると驚いた表情をしている気弱そうな男子がいた。
そりゃ、こんなエロい格好をしたお姉さんがいたらビックリするわよね。
「あら、貴方もハンター?」
「は、はい。お小遣い稼ぎに行って来いって」
「ふ~ん……」
なんだか値定めするように男の子を見てるけど……その目に厭らしさを感じるのは私だけ……よね?
「貴方、中々体鍛えているみたいだけど村暮らしかしら?」
「え? どうして」
「街に住んでいるとお金さえ払えば何でも手に入るわ。でも村暮らしだと多くが自給自足。街に暮らしている人間と比べたら筋肉が鍛えられてるのよ……私、男は好きだけど鍛えている男はもっと好きよ」
もう言葉遣いから一挙手一投足まで全てがエロイ……言い方を変えれば妖艶さがある……これまでにその体で何人の男を魅了してきたんだろ……というかもう男の子の方は堕ちかけてるし。
「あれ? でもなんで村で暮らしているのにお小遣い稼ぎなの?」
「最近、牛の調子があまりよくなくて……それでお医者様に見せるってことで」
「あぁ、なるほど」
そう言えば私も村で暮らしていた時は牛にお世話になったわね……牛乳、美味しかったな~……というか実姉は一体なにをしているのかしらねぇ。連絡もお母さんにやってないって聞くし。
「ま、私達で頑張りましょ。バカな男たちはあっちに行っちゃったみたいだし」
「は、はぁ」
確かにこうして喋っているのにこっちの道に入ってくる人はいない……やっぱりみんな、快適に進むために水が冷たい方に行ったのね。
「ま、とりあえずお宝を探しましょ? お金のことは後で考えればいいし」
「私はそれでも構わないけど」
「僕もそれで構いません。あ、僕はガリアです」
「私はアイリ。よろしく」
という訳で私達は限定的なパーティーを組むことで一致し、お宝探しを再開した。