「…………」
多分、全員が今思っていることは同じだと思う。部屋に入るや否や扉が消失し、部屋の中央に獣が現れたんだけど私たちの目の前に現れたのは獣は獣でも最弱と呼ばれているあのスライムだった。
まぁ、巨大だからドン・スライムなんだけど……なんでよりにもよって初戦がスライムなわけ?
「巨大スライムによる複数同時プレイもいいかもな」
「良いわけないでしょっ!」
思いっきりジンの尻を蹴り飛ばすのとドン・スライムに炎が放たれたのはほぼ同時だった。
一瞬にしてスライムは炎で焼かれていき、物の数分で完全に蒸発してしまった。
まぁ、流石にあのサイズを斬るのは時間もかかるしね……なるべく体力は温存してお宝の下に行きたいし。
「よし、皆行こう!」
リーダーのその一言から新しい扉を開くと今度は下へ続く長い階段があった。どうやらこの迷宮は勝ち抜き戦に似た構図をしているらしい。
つまり下へ行けばいくほどお宝に近づくけどその分、獣も強くなる。
「気合入ってるねぇ」
「むしろあんたが気合入れなさすぎ……どうせ最後にお宝を取るんでしょうけど」
「酷ぇな。これでも組織じゃ特攻隊長って言われてんだ」
「特攻隊長?」
組織に属していることは分かったけど……相当大きな組織ってことかしら。でもそうなると限られてくるわよね……最近有名なのは高難度のお宝しか狙わないザクロっていう組織があったし……お宝の為なら人をも殺すって言われているリングっていう組織ね……こいつがどっちかに属しているなんては思えないわ。
前者は協会からは完全に独立していて完全依頼受注でやってる組織だし、後者はお宝回収の為なら人をも殺す最悪な組織だけどこいつからはそんな感じはしない。
「ま、戦いたくなったら戦うさ」
「あんたの場合、性欲が強そうだけど」
ちょろちょろと私の体を見てるあたり、本気で性欲が強いみたい……というか前に言ってた体に惚れたって何よ。要するにセフレになれってこと? 絶対に嫌。こんな男となんかごめんだわ。
「分かれているぞ」
そんな声が聞こえ、前を見ると確かに二つの扉があって道が分かれていた。
大体、こういう場合って片方が超強くて片方が弱いっていうパターンが多いわよね……つまりここでの選択が後々に影響して来るってことね。
「二手に分かれたらどうだ?」
「いや、そうなると戦力の分散が難しくなってくる。それにこの二つの扉のどちらかが弱いと決めつけるのも良くない」
確かにリーダーの言う通り、片方が弱いと決めつけて決めるのはダメね……それに分散させると後々、合流できるかも分からないし……やっぱり片方に全員、向かうしかないわね。
「ここは全員でどちらかの扉に行こう。どの道、進むにつれて獣は強くなるんだ。数は少ないよりも多い方が全員の生存確率も上がるだろう」
リーダーの提案に誰も文句は出さなかった。このチームで一番の実力者だってこともあるだろうけどやっぱりこういう緊急事態じゃ全員を引っ張ってくれる人に頼っちゃうのよね。
この男以外は――――。
「獣ってさ、戦闘型と性襲型の二種類いるよな?」
「まぁ……そうだね」
「で、後者の方が弱いわな」
「そうだね。で、君は何を言いたいのかな?」
「最初の敵ってスライムじゃん? スライムは両方に属してるけどもしかしたらこの先、どっちかの種類の獣しかいないんじゃね?」
性襲型――――つまりスライムのように女の愛液を好んでいたり、どんな生物のメスだろうが襲って犯す。そんな獣の事を指し示す。
獣は確かにその二つに分けることが出来てこいつが言ってるのも分かる。
「つまりこの選択によってどちらかの道に入ると」
「さあ? でも多分そうじゃね?」
「……一理ある。だがここは分散させるよりも一緒に行った方が確実だ。確実な方を取ろう」
つまり運任せってことね。性襲型の獣であればサクサク行けるだろうけど戦闘型の方に出くわしてしまえば激戦が待っているという事ね。
「……行こう」
そう言い、リーダーが右側の扉を開けた瞬間、全員がなだれ込むようにして奥へと入っていく。
そして全員が入った瞬間、入り口の扉が消える。そして私たち全員の視界にいくつもの枝を生やしている大木が生えている光景が目に入る
「……あ、あいつってまさか」
「スライムと同じように主に女の愛液を餌にしている性襲型の獣……ウィップツリーだね」
ウィップツリー――――その名の通り、枝ではなくて触手を生やした木で一定距離までどんな生物のメスでも近づくとその触手で絡めとって犯す。
その触手で愛液をたっぷりと吸収するとまた大きく成長する。
楽っちゃ楽だけど……中々面倒くさいパターンになっちゃったわね。
「あの触手にさえ気を付けていれば弱い獣ね」
「あ、じゃあ女を囮にして倒さね?」
「それ、犯されるところを見たいだけでしょ」
「とにかく! 女の人は触手の処理を頼む!」
ウィップツリーは女が一定距離まで近づかないと行動を起こさない獣だけど今回だけはその一定距離まで自分たちから近づかなきゃいけない。
流石に獣に犯されるのは嫌なのか中々、他の女の子たちは前に出ない。
たっく……そんなんじゃ男たちを信頼していないってばらしてるようなもんじゃない。
「ちょ、ちょっとあんたっ!」
「はいは~い。ウィップツリーさ~ん。貴方の大好きな女はここに居るわよ~」
そう言いながら近づいていくと枝がぶるぶると震えはじめたかと思いきや、勢いよく飛び出すと枝が鞭となって私に向かって放たれてくる。
ウィップツリーの攻略方法は至極簡単。こいつは女の愛液を好む。つまり愛液の場所を察知することが出来る特性があるという事。つまり――――。
「えい。やぁっ」
下からしか来ないムチの先端を踏みつけると同時にナイフで切断すると別の触手が放たれてくる。
それをバックステップで回避する私と入れ替えで男達がウィップツリー目がけて駆け出し、放たれている触手を各々の剣でばっさり切断していく。
「ラストっ!」
振り下ろされた剣によって最後の触手が切断されるとウィップツリーの動きが止まった。
全ての触手を切断、もしくは破壊されたりするとウィップツリーはそれを修復するために一定時間、動きを完全に停止する。
「今のうちにっ!」
その間に全員が出口を通過すると扉が消失した。
まぁ、誰かに無理やり犯されるのはあれだけどこの緊急事態にその抵抗感を露わにしてちゃ、チームの指揮に関わるって奴よ。
それに女性のトレジャーハンターは刻印を打ってあるから膣内に子だねを出されても妊娠することは無い。
例えそれが人間じゃなくても……まぁ、それが逆に人間以外の獣に犯される要因になりえるらしい。
「ありがとう。君のおかげで素早く倒せたよ」
「どうも~」
相変わらずジンは何もせず……こいつにだけは絶対、お宝を回収させないんだから。
「汗かいた女を見たら興奮してくるな」
「あんただけよ……じろじろ見ないでくれる?」
少し汗をかいたからそれをふき取っているとじろじろ見てくるジンから少し距離を取る。
というか若干、あいつのあそこ硬くなってるし……どんだけ欲望に忠実なわけ?