「カズマさん、城壁が見えましたよ! ついに着きましたね!」
「んぐっ……そっすねー」
3日目の夜、ついに私達は王都へたどり着きました。窓から見える景色には、アクセルの防壁がゴミに思える程、立派な城壁が、見渡す限り続いていました。闇夜にかがり火で照らされる城壁は、私にかなりの威圧感を伝えてきます。
「カズマさん、聞いてるんですか!?」
「聞いてるって……お前も食うか? ビーフジャーキー」
「いりません!」
カズマさんは、この光景を見てテンションが上がらないのでしょうか……
「それにしても、カズマさん。本当に無報酬で構わないんですか?」
「ああ、金は有り余ってるしな。それより、名声を手に入れた方が、後々に便利になる。名声って簡単には得られないんだぞ。それに、道中のモンスターを無償で撃退なんて、よりいっそう、“蒼き稲妻を背負う者”の名が天下に轟くじゃないか。よかったな、ゆんゆん」
「勘弁してくださいよ……」
モンスター撃退後、私はとカズマさんは、商人と冒険者に感謝の言葉をいっぱい頂きました。しかし、今日の朝には、“蒼き稲妻を背負う者”の名が、護衛の冒険者に全員に広がっていました。お昼を共にした冒険者の方々が、故郷への土産話にすると言っているのを聞いて、私は頭を痛くしています。
これから、あの名が更に広がる事に頭をウンウン唸らせてる間に、馬車は王都の馬車停留所へと着きました。
「ほら、ゆんゆん、行くぞ!」
「あ、はい!」
私はカズマさんに手を引かれ、馬車の外へと降り立ちました。王都の荘厳な町並みが、街灯に照らされ、なんとも神秘的に光景になっていました。それに、夜中だというのに、多数の人たちが、通りを行き交っています。
「カズマさん、やっぱりアクセルとは違いますね」
「そりゃな、田舎娘には新鮮かもな」
「私、もう田舎娘じゃありません! アクセルに住んで結構経ってるんですよ!」
「そういう所が田舎娘っぽい」
「もうっ!」
そうです。もう私は田舎娘じゃないです。立派な都会人です。そんな私を、カズマさんは鼻で笑った後、さっさと歩きだしてしまいました。
「ゆんゆん、さっさと宿に行くぞ」
「ま、まってください!」
私はカズマさんの背中を慌てて追いかけました。そうして、しばらく歩いた後、お城と比べても、謙遜ないくらい豪華な建物にたどり着きました。
「カズマさん、ここは?」
「商人に事前に聞いておいた、王都一番の高級ホテルだ。今日からここに滞在するぞ!」
「そうですか……なんだかワクワクしますね!」
「そうだろう、そうだろう!」
そして、私達はホテルに突撃しました。今でこそ、宿屋に泊まる事に慣れてしまいましたが、子供の時はホテルで泊まる、ってだけで大はしゃぎしていました。カズマさんは、手早くロイヤルスイートの部屋を取り、ホテルマンの案内でこれから滞在する部屋へと行きました。
そして、部屋に入って、私は綺麗な内装に驚きました。リビングルームには、豪華な調度品で飾られ、奥に見えるベッドルームには、キングサイズの天蓋付きベッドも見えます。そして、このホテルの一番の売り、窓から見える街の風景に、私は見惚れました。
「カズマさん、夜景が凄い綺麗ですよ……」
「なんていうか、ゆんゆんも女の子なんだな」
「それは、バカにしてるんですか?」
むくれる私を、カズマさんは撫でてくれました。この夜景を見れただけでも、私は心から来て良かったと思いました。大量にあるお金で、世界一周旅行に出てもいいかもしれない。そんな事をちょこっと思いました。
「さて、風呂入るか」
「そうしましょうか!」
そして、私達は一緒にお風呂に入りました。一緒に入るのが当然と思っている私は、かなりカズマさんに毒されているなと感じます。こうして、お互い体を洗いあったのですが……
「カ、カズマさん? んぎっ……今日は、やけに念入りにそこを洗いますね……」
「ん? 今日、ついにヤるからな」
「なにを!?」
なんだか、とても嫌な予感がします。私のお尻の穴を、カズマさんが指で念入りに洗っています。そして、時節、中にシャワーでお湯をそそがれます。そんな事したら……!
「勘弁してください……! 恥ずかしすぎて、死にそうです……!」
「はいはい、もう十分だ。浴槽に入るぞ」
私達は浴槽を泡風呂にして、じゃれ合いました。いつもは、このスキンシップは私自身、好きなのですが、嫌な予感が止まりません。
そして、風呂を上がり、カズマさんの指示で、うつ伏せになった時、悪感が最高潮に達しました。
「マッサージするぞ。ゆんゆん、リラックスしろ」
「はい……」
私の背中に人肌に温められた粘液、ローションが大量に垂らされました。そして、カズマさんは、そのローションを塗り込むように、お尻と太ももへ広げました。
「ゆんゆんって男を誘うドスケベボティだよな」
「変な事言わないでください……あ…そこはっ……んぅ!」
カズマさんの指が、私のお尻の中に侵入してきました。当初は不快だったこの行為も、今ではかなり気持ちの良い行為と思えるようになってしまいました。カズマさんは、そのまま押し広げるように、指をゆっくりと動かしました。
「2本目だ」
「あう……!」
お尻に入る指が増えました。でも、実は指二本を入れられるのは、初めてではありません。ここのところ、毎日のように二本攻めをされています。
「ゆんゆん、四つん這いになれ」
「はい……」
私は屋敷での生活で、違和感なく染みついた体勢となりました。そして、私のお尻の穴に、カズマさんの固くて熱い性器を押し付けられるのを感じました。自分でも、秘所が濡れていくのを感じました。私も、随分とエッチな体にされてしまいました……
カズマさんは、先ほどのローションを注ぐようにお尻の穴周辺に垂らします。
「ゆんゆん、リラックスだ」
「でも……んっ……んあっ!?」
カズマさんの亀頭が私のお尻の穴に、にゅるりと侵入して来ました。でも、これには、私は慣れています。屋敷では毎日、これをやられ、精液を大量に注がれ続けました。だというのに、嫌な予感が止まらない……!
「ゆんゆんいくぞ!」
「え? あ……ああ!? カズマさん、それ以上は……んぎぃ!?」
カズマさんの性器がゆっくりと侵入してきました。亀頭だけでなく、竿の部分まで私のお尻が飲み込んでいきます。ダメです……! そこは私の不浄の部分で、決して、性器を入れる場所では……!
「んぐっ……! ん……あうううう!?」
「おほっ! 一ヶ月以上慣らした甲斐があったな。ゆんゆん、根本までズッポリだ!」
「い、いやあ……言わないでください……」
私のお尻は、カズマさんの性器を大した抵抗もなく受け入れてしまいました。おかしい行為のはずなのに、カズマさんの熱が私の中にある、そう思っただけで、私は幸福感と快感に支配されていきました。そして私は、羞恥心と、屈辱感に似た何かに、肩を震わせました。
「ゆんゆん、リラックスだ! そんなに、締め付けて、俺のチンポを食い千切る気か!」
「でも……そこは、入れるとこじゃなくて……!」
「安心しろ、これは愛のある行為だ。決して不潔じゃない」
カズマさんが、私の頭を撫でました。それをされると、私は逆らう気をどんどん失ってしまいます。そして、カズマさんは、私のお尻に挿入したまま、私の耳元で囁きました。
「ゆんゆん、俺はとっても気持ちいいぞ」
「……気持ちいいんですか?」
「ああ、最高だ。俺のチンポを受け入れてくれ。まぁ、外に出そうとしても、俺は余計に気持ちよくなるだけだがな」
気持ちいい。カズマさんが喜んでくれる、気持ちよくなってくれている。それは、私にとって最上の喜びです。そして、とどめを刺すように、カズマさんが再び囁きました。
「ゆんゆん、好きだ」
「あ……」
ダメです。その言葉は反則です……
私は、幸福感と、体に走る快感のせいで、もう何もかもがどうでも良くなってしまいました。カズマさんがしたいというなら、その希望に答えたい。
「安心しろゆんゆん、俺を信じろ。今から動かすからな?」
「はい、カズマさんの好きにしてください……」
「いい子だ」
カズマさんが私の頭を再び撫でました。それと同時に、カズマさんがゆっくりと動き始めました。お尻の穴に、特大の異物感と、鈍痛のような快感が、入口付近からズンズンとやってきました。
「あ……あう……ひぐぅ……いぎっ……!」
「ゆんゆん、滅茶苦茶気持ちいいぞ! お前のアナルが、俺のチンポ全体を咥えこんでいる! しかも、ギュウギュウと根本を締め付けてくるぞ!」
「言わないで…言わない……あううううう!?」
私は、耐えるようにカズマさんの性器を受け入れました。確かに、快感は感じるのですが、異物感による不快感もまだあります。そんな時、カズマさんの性器が、ゴリゴリと私の下腹部をなぞるように動きました。その瞬間、今まで感じた事がない快感が私を襲いました。
「あひゅっ!? んぁっ! あ……カズマさん、そこです……!」
「ほう、ここか……」
「あああああっ!? 気持ちいいです! そこ、もっとこすってください……!」
カズマさんが、再び感じる所を性器で擦りました。ああ、勝ってしまいました。ついに、強い快感が不快感を吹き飛ばしました。私、お尻で感じちゃってます……
「ここは恐らく、子宮の裏側だ。お尻の穴から感じるなんて、ゆんゆんはエッチな子だな」
「そんな……私……あうううっ……えっちじゃ……ひゃぁ!?」
もうダメです。認めなければなりません。気持ちいい、頭の中が真っ白になるほど気持ちいです。私は、お尻の穴で感じるエッチな変態さんです……
「カズマさん! 私、エッチな子です! だから……だからもっと強く……あひぃ!?」
カズマさんが、私のおっぱいを揉みながら、子宮の裏側を削るように性器で擦りました。その一擦りごとに、私の頭の中で、光が明滅しました。気持ちいい! 気持ちいいです!
「あひゅっ……あはっ……んぁ……あ……あああああああっ!? いひゅまふ……」
「おおう、根本をキュウキュウと締め付けて……! そんなに俺のが欲しいのか! くっ……!」
「カズマさん……わたし……いひゅ……いひゅううううう!?」
「おおっ!?」
私は全身をガクガク震わせながら絶頂しました。そうですか、私、お尻で絶頂したんですか。エッチな子ですね。もうどうでもいいです。自然と全身の力が抜けていくのを感じました。
「あひゃ……あううううう……かじゅましゃんの……くらひゃい……」
「よくいった、覚悟しろよ?」
「ひゃい……」
そうして、カズマさんは、腰の動きを速めました。私の中に熱い物が出入りするたびに、私は鈍痛のような快感を感じます。そして、その快感に合わせて、私の秘所から愛液……というより潮が飛び散るのを感じました。これがイキっぱなしという奴ですか。
「はひゃ……ひぐぅ……あがっ……あう……んんんんん!?」
「さっきから、痙攣しっぱなしだな! 俺も出す……出すぞ……くっ!」
「ひゃ……あひゃ……ああああっ……ああっ!」
「ああっ! 出るっ! うっ……!」
「あ……あ……」
カズマさんの熱い物が、私の奥深くで発射されました。熱い、体内を焦がされそうです。でも、私幸せです。カズマさんの精液を注がれる事に幸せを感じちゃってます……
そして、カズマさんが性器を引き抜いた時、チュポンと下品な音が鳴りました。でも、それだけです。私のお尻の最奥で放たれた精液はその場にとどまり続けています。というか、逃がしません。このまま、私の体の一部となってもらいます。そうやって放心状態でそんなアホな事を思案していた私の横に、カズマさんが倒れこんできました。
そして、私を強く抱きしめてきました。
「ゆんゆん、気持ちよかったぞ」
「私で気持ちよくなってくれたんですか? それなら私嬉しいです……」
「処女より先に、アナル処女を失っちゃったな」
「お尻に処女膜なんてないです。ノーカンです……」
「しかも、お尻で感じてイキッぱなしになってたな」
「知りません……」
「ゆんゆんはエッチな子だなー」
「カズマさんのせいです……」
カズマさんに抱かれながら、私は彼から僅かに漂う精臭と、汗の匂いをクンクンと嗅ぎました。凄い匂いです。でも、大好きな匂いなんです。私はカズマさんの熱を全身で堪能しました。そして、幸せな思いを抱きながら、私は意識を手放しました。
翌日。私はカズマさんと、一緒に王都を散策していました。お尻に少し違和感を感じますが、屋敷で慣れてしまいました。歩行には支障ありません。
「カズマさん、これから何をするんですか?」
「とりあえず、食って飲んで、観光する! ランチは噂の定食屋、ディナーは有名高級レストラン! どうだ、ワクワクしてきたろ?」
「な、なんだか、胃もたれしそうです……」
「よっしゃいくぜ!」
そして、私はそれから3日間、カズマさんの暴飲暴食と愛欲の日々を過ごしました。かなりカロリーのあるものを毎日食べていますが、体重はむしろ減りました。だって、でカズマさんとの“運動”が激しすぎるんです……
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4日目、俺は観光名所、エリス大聖堂に来ていた。なんでも、かなりの歴史を持つ教会らしい。
「カズマさん、ステンドグラス、すごい綺麗ですよ!」
「ほーそうだなー」
「なんか、興味なさそうですね……」
「いや、王都って教育的な観光地ばっかだな。ちょっとマンネリ化してきた」
「そうですか? 私は楽しいですよ!」
ゆんゆんは、歴史とか好きなのだろうか、日本史なら分かるけど、こっちの歴史ってそういえば全然知らないな。俺は他に、見れるものはないかと、ガイドブックを開く。それによると、この教会には、常設の懺悔室と、世界一美しいというエリス像あるらしい。とりあえず行ってみるか。
「ゆんゆん、暇つぶしに、懺悔室を冷やかしに行こうぜ」
「冷やかしって……まぁ行きましょうか」
そして、俺達は懺悔室へ向かった。しかし、一人ずつしか入れないため、俺は仕方なく、先にゆんゆんを向かわせた。あいつは、懺悔室で何を相談しているのだろうか。しばらくして、ゆんゆんが懺悔室から出て来た。何やら満面の笑みを浮かべている。
「カズマさん、神様のお墨付きをもらいました! 私の裏切りも、神様が許してくれるそうですよ!」
「裏切りって、何を裏切ったんだよ」
「めぐみん」
「!?」
何故か、ゆんゆんが無表情になった。こ、これは放置しとこう。
「つ、次、俺行くから、待ってろよ!」
「カズマさん、何を告白するんですか?」
「単に冷やかすだけさ」
そして、俺は小さな懺悔室に入った。エリス教の神官は、頭が固い奴ばっかだ。おちょくってやろう。そんな覚悟を決め、懺悔室の仕切りの前でひざまづいた。
『ようこそ迷える子羊よ。あなたの罪を打ち明けなさい。神は許しを与えるでしょう』
若い女性の声が、仕切りの向こうから聞こえてきた。なるほど、なるほど……
「私は以前、罪を犯しました……冒険仲間の女性3人の下着を床に敷いて、そのうえで転げ回りました。私の行いを神は許してくれますか?」
『ええ? ちょ……神じゃなくて、仲間に懺悔するのが先だと思いますよ!』
「ちなみに、その後、盛大にアレして、ぶっかけました」
『アレってなんですか! バカですか!? あなたバカですよね! 神がそんな不徳を許すわけありません!』
ふむ、多分このシスターさんは経験が浅いな。スルーをマスターしないと、こんな仕事やってられないぞ。よし、もっとおちょくろう。
「友達がいない田舎娘を篭絡して、性欲のはけ口にしています。そんな私を……」
『去れ! 背教者め!』
「なんだよ、エリス様って、こんな事も許してくれない心が狭い神様だったの? こんなんじゃ、きっと胸も小さいな……」
「わあああああああああ!」
仕切りを蹴飛ばして、シスターが俺の方に突撃してきた。なんだ、ロリか。豊満なエロシスターだったらよかったのに……
「落ち着け、ほら飴ちゃんやるぞ」
「うるさい! お前、アクシズ教徒だな! さっさと去れ……!」
「あ? ひん剥いて犯すぞクソガキ」
「ひぃ!? ごめんなさいごめんなさい!」
つまらん、やっぱガキだな。俺は飴玉をシスターの口に放り込み、懺悔室を後にした。外では、ゆんゆんが椅子に座って待っていた。
「カズマさん、どうでした?」
「おもしろかった」
「なんですか、その子供みたいな感想……」
そして、俺達は次の目的であるエリス像を拝みに、中央聖堂へ向かった。置かれているエリス像を見て俺達は素直に感嘆の声をあげた。非常によく出来ている。でも所詮、想像で作ったものだとすぐ理解した。
「よくできてますね」
「そうだな、パンツもちゃんと履いてるし」
「え? あ、本当だ……」
二人して、エリス像のスカートの中をのぞきこむ。もし、この光景をエリス様に見られたら、直に天罰を下してきそうだ。
「でもな、ゆんゆん。こいつは偽物だ」
「偽物? 一体どういう意味ですか?」
「よく見ろ! 違和感に気付くはずだ!」
俺の言葉に従い、ゆんゆんがエリス像を観察し始めた。確か、ゆんゆんも、本物のエリス様を見た事あるはずだ。それならば、違和感にも気づくはずだ。
「どこもおかしいところは……あっ……」
「察してしまったようだな、ゆんゆん」
ゆんゆんの目線の先には、エリス像の豊満な双丘があった。おかしい、こんな事は許されない。俺はエリス像の胸をよく見る。PADでもない。やっぱ偽物だ。
「お! ゆんゆん、ここ見ろ!」
「なんですか、石像の胸なんて……随分とここだけツルツルですね」
「多分、これは触れまくってツルピカになったんだな。よし、俺も一撫でしてやろう!」
「カズマさん、あなたってヒトは……」
「やぁ助手君、こんなとこで奇遇だねぇ~」
「「!?」」
突然の声に俺達は振り返る。そこには見慣れた銀髪盗賊、クリスの姿があった。
「エリ……お頭ァ! なにやってんスか、こんなところで!」
「いいからキミは、その手を放そうか」
「うっす! これは手が滑ったんです! 不可抗力です!」
俺はエリス像の胸から手を放した。やべぇ、見られた!
「ちょっと話し合おうか、助手君?」
「へいお頭!」
俺は二つ返事で答え、俺達は近くの椅子に腰を下した。ゆんゆんはクリスをチラチラ見ている。なるほど……
「そういえば、お頭ってゆんゆんと面識あります?」
「あるよ、ギルドで暇そうにしてた時、何度かお話したよ」
「そうなのか、ゆんゆん」
「は、はい! でもそれだけの仲で……」
ゆんゆんが俯いて答えた。まったく、このぼっち紅魔族は。
「お頭、コイツと友達になってくれませんか?」
「いいよー」
「ほ、ほんとですか!」
軽く答えたクリスに、ゆんゆんが飛びついた。そんなにも、友達に飢えているのか。見てて悲しくなってきた。
「知らない仲じゃないしね! よろしく!」
「よ、よろしくお願いします!」
うん、やっぱりエリス様は女神だな。どっかの駄女神とは違う。ゆんゆんは、クリスの手を取ってぶんぶん振っている。そんなに嬉しいのか……
「で、お頭はなんでこんなところに?」
「王都にいるのは、とある目的があってね、でも、さっき君を見かけて追いかけて来ちゃった」
「なんか、俺に用事ですか?」
「そうだよ。でも、今はお邪魔みたいだね」
そんなクリスの声にゆんゆんが顔を赤くして俯く。やっぱゆんゆんは可愛いな……
「あの、クリスさん。それなら、これから私達と夕食でも食べに行きませんか? カズマさんへの用事はその後という事で……」
「おおー! いいの? じゃあ、しばらくよろしくー!」
そして俺達はクリスを連れて、レストランへ向かい食事を取った。毎日のように豪遊しているが、食事に関しては飽きが来る事はない。食事を終えると、俺達は酒とつまみを買い、ホテルへと戻った。
「で、お頭。俺に用事ってなんすか?」
「…………」
クリスは無言で目を瞑って思案した後、ゆんゆんに話しかけた。
「ねぇ、ゆんゆん。助手君ちょっとだけ貸してくれない?」
「どうぞどうぞ! 私達、友達ですから!」
「そう、じゃあ借りるねー! 30分くらいで戻るから」
何やら、物扱いされた事に、若干イラつきながらも、俺はクリスに手を引かれて部屋を出た。ゆんゆんに聞かれたくない用事なのだろうか。クリスはそのまま、隣の客室に俺を連れ込んだ。
「ん? お頭もここに泊まってるんですか?」
「そうだよ。偶然だねー」
なんとも珍しい偶然だ。まぁ、別に気にする事はない。しかし、用事か。エリス様の用事って言ったらアレしかないよな。
「で、用事っていうか頼みたい事なんだけど……」
「お断りします」
「ちょ、話くらい聞こうよ!」
「どうせ神器関連でしょ?」
「そ、その通りなんだけどさ……」
俺は断る理由を考えた。今は旅行中だ。面倒事はゴメンである。それに、ゆんゆんを一人にはできない。
「じゃ、エリス様。本日はご縁がなかったという事で」
「せめて、話くらい聞いてよ助手君!」
「はーしょうがないっすね」
それから、エリス様の話を要約するとこうだ。放棄されたダンジョンの最下層に神器と転生者の魂が残ったままである。神器は悪用されるような危険なものではないが、念のために回収し、ついでに転生者も成仏させようというものだった。
「ね? 助手君、手伝ってくれるでしょ?」
「お断りします」
「この薄情者―! って待って、待ってよ!」
出て行こうとする俺を、エリス様が飛びつくようにして強引に止める。結構しつこいな。
「エリス様、もう世の中平和だし、神器だって危険な奴じゃないんでしょ? いつか手伝ってあげますから、今日はこれで」
「そうだけど! お願いします。手伝ってくださいカズマさん……」
エリス様が目を潤ませて懇願してきた。心がグラつくが、ここは耐える。もうその手に乗らない。今回は緊急性ないし、俺の判断は妥当だろう。でも見捨てはできないか。
「エリス様、これあげます」
「お金ですか……?」
「それで、冒険者雇ってダンジョン攻略してください」
「カズマさんの薄情者!」
エリス様が、俺に金貨を投げ返して来た。あ、今のアクア並にイラッときた。ちょっと傲慢すぎませんかね、この女神。
「じゃ、そういう事で」
「待ってください!」
「放せ駄女神!」
「駄女神!? 今、私の事を駄女神と呼んだのですか!?」
「そうですよエリス様! やっぱあなたってアクアの後輩なんですね!」
イラッと来ていたので、俺は思わず皮肉が出てしまった。それを聞いたエリス様が無表情になった。やばい、言い過ぎたか……?
「……………」
「あ、その、すいません言い過ぎました……」
「うええええええええん!」
「マジ泣きかよ!」
その後、エリス様を慰め、なんとか、平常を取り戻した。エリス様も結構、自由奔放な神だと実感した。
「カズマさん、どうしても手伝ってくれないんですか?」
「だから、お金渡しますから、誰か雇ってください。賢くやりましょうよ……」
「いやです! 私はカズマさんに手伝って欲しいんです!」
「はぁ……」
エリス様が親に見捨てられた子供のような顔で、そう答えた。そんな顔をするのは卑怯だと思います。
「俺に報酬もなしに、頼むんですか?」
そういった俺に対して、エリス様は、俺をじっと見つめてきた。そしてアホな事を口にした。
「カズマさんが、ゆんゆんさんにしている事と、同じ事をしていいですよ」
「…………」
エリス様が意味不明な事を言ってきた。ゆんゆんと同じ事ってなんだ。まったく見当がつかない。うんまったく。
「ちょっと意味が分かりません。エリス様」
そう言った俺を、エリス様は無表情見つめてくる。なんだか、全てを見透かされたような気がして、俺は体をブルリと震わせた。
「カズマさん、私はあなたをいつも見守っているんです。ゆんゆんさんを、こまして、好き放題している事を、私は知っています」
「ば、ばれてーら……」
俺は観念したように俯いた。よりによって、エリス様に知られてしまった事にショックを受けた。弁明しようがない。いやまて、さっきエリス様は、ゆんゆんと同じ事をしていいって……
「エリス様、なおさら意味が分かりません。俺がエリス様に好き放題していいって事ですか?」
「ええ、この、クリスは地上に降りるための、仮初めの肉体ですし、好きにしていいですよ。それこそ、肉便器にしてもいいです」
「は?」
エリス様から、肉便器という言葉が出た事に俺は固まった。頭が追い付かない。そんな俺に、エリス様が抱き着いてくる。クリスの体は、適度に引き締まっているが、女の子特有の柔らかさは健在だ。それに、クリスの薄い胸がふにふにと、俺の胸に当たる。ああ、理性が飛びそうだ。
「カズマさん、神器回収の暁には、スゴイ事してあげます」
「す、すごい事……」
「そうです。すんごい事です」
なんか、エリス様の清楚なイメージが崩れ始めた。今もなんか、蕩けた表情でこちらを見つめてくるし……
しかし、俺はゆんゆんと、逃亡という名の旅行デートの最中だ。さすがに、今は裏切れない。でも、こんな据え膳、断れるわけがない。俺は理性を働かせ、妥協案に口にした。
「エリス様、ダンジョン攻略は引き受けます。でも、エリス様に手は出しません。俺にセクハラして欲しいって言うなら、ゆんゆんの許可を取ってください……」
「そうですか、では許可を取って来ます!」
そう言うと、エリス様は部屋を飛び出していった。残された俺は茫然とするしかない。暗に、無償で引き受けると言ったのに、エリス様は俺の肉便器化の了承を、ゆんゆんに取りに行った。意味が分からない。
「まさか、夢か?」
俺は頬を思いっきり引っ張った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私が、カズマさん達の帰りを待っていると、クリスさんだけが私達の部屋に帰ってきた。
「クリスさん、カズマさんは?」
「ちょっと遅れるってさ。それより、ゆんゆんに頼みたい事があるんだけど」
「なんでしょうか! なんでもおっしゃってください!」
「おおう、凄い喰いつきだね……」
それから、私はクリスさんの頼み事を聞きました。なんでも、とある目的のために、一緒にダンジョンを攻略して欲しいとの事。そんなのお安い御用です!
「任せてください! 友達の頼み、達成してみせます!」
「心強いねー ありがとゆんゆん」
「はい!」
「ちなみに、もう一つお願いがあるの」
「なんでしょう!」
「助手君の性欲処理、手伝わせてよ」
「はい……?」
この方は、何を言っているのだろう。先ほどまでの、浮かれた気分が吹き飛びました。カズマさんの性処理? とんだ痴女ですね。
「意味が分かりません」
「分かってるでしょ? あたしは、助手君とゆんゆんが、どういう関係なのか知ってるんだから」
「………恋人です」
「ホントに?」
クリスさんが薄笑いを浮かべながら、こちらに近づいてきました。なんとなく分かりました。この女は敵です。
「本当です。それにしても、私とカズマさんの関係は秘密のはずです。何故知っているんですか?」
「そりゃ、ずっと見てたからね。そう、ずっと……」
何故か、背筋にゾワリと怖気が走りました。でも、負けるわけには行きません。
「ダンジョン攻略は手伝います。でも、カズマさんの相手は、私で十分です」
「ゆんゆんは、助手君の性欲を甘く見てるね。昨日も浮気してたよ」
「ええ!?」
とても気になる事をクリスが言いました。カズマさんが浮気? そんなはずは……そういえば、昨日はお尻を攻められて、気絶したまま寝ましたね。
「そもそも、なんでクリスさんがそんな事を知っているんですか? もしかして、ストーカーさんなんですか?」
「それは、私が全てを見通しているからです」
「っ……!? エ、エリス様!?」
私が突然の声に振り返ると、そこには、いつのまにか女神エリスの姿があった。そして、エリス様の隣に、クリスが並び立つ。
「あたしの正体はなんと! あの女神エリスなのでした! どう驚いた?」
「ゆんゆんさん、理解してもらましたか?」
二人に話しかけられて、私は頭を混乱させる。クリスがエリス様? でも、お二人は同時に存在していて……
「あたしも、エリスも精神と感覚を共有してるの」
「私は女神です。異なる体を別々に動かす事くらい、造作ない事です」
「…………」
私自身、もうお手上げでした。国教の女神が、カズマさんのストーカーですか。頭痛くなってきた。
「いっとくけど、あたしは別に助手君との結婚は“今”は望んでないよ?」
「そうです。ただ今世で、少しでも一緒にいたいだけです。あなたはどうぞ、カズマさんと結婚してください。祝福……はしません」
「はぁ……」
私の譲れない部分は、理解しているようです。しかし、私はカズマさんに、私だけを見てもらいたい。女なら、誰もが思う事です。だから、絶対に私は屈したりなんかしません!
「……クリス。私はそろそろ戻ります。許可なしの降臨ですしね。ゆんゆんさんには、アレをお見せください」
「言わなくても分かってるって!」
そして、女神エリスは光となって消えた。まぁ、クリスもエリス様なので、そんなに状況は変わっていないのですが。
「ゆんゆん、あたしのとっておきを見せてあげよう!」
「なんですか?」
「じゃーん!」
そう言って、クリスは虚空から、一冊のノートを取り出した。何の変哲もない、よくあるノートですが……
「これは助手君の最近の行動記録で……」
「詳しく」
私はクリスに掴みかかりました。そして、クリスに宥められながら、私は、二人でノートを観覧しました。それを見て確信しました。やっぱり、カズマさんは人間の屑です。
「ほら見て、助手君って、ゆんゆんに隠れて“ぴんさろ”っていうエッチなお店に最近通ってるの!」
「…………」
このストーカーの『助手君観察日記』は、丁寧にも隠し撮り写真がついています。私は、クリスさんに呆れました。でも、カズマさんにはもっと呆れました。写真には、両隣に女を侍らせ、酒を飲みながらゲス笑いをしているカズマさんが、写っていました。しかも、露出させた性器に、別の女が舌を這わせています。
「でもね、娼婦を買って本番はしないの。こういうとこ、可愛いよね」
「ヘタレなだけです……」
「あ、でも昨日は危なかったんだよ!」
そういってクリスが、最新の観察記録、昨日の出来事を記したページを見せてきました。何やら、たくさんの文字が、書き殴るように書いてありました。
「助手君が、お酒を買いに深夜外出した時、スリにあったの。でも、犯人はすぐに捕まえたよ」
「それで……?」
「犯人が少女だった事に気が付いた助手君は、お仕置きと称して、レイプしようとしたの」
「ええ!? しちゃったんですか!?」
「いや、下着剥ぎ取った所で、衛兵に見つかって逃げたよ。未遂だねー」
「カズマさん、あなたってヒトは……」
私が溜息を吐いていると、クリスが私の肩をポンポンと叩いてきました。慰めてくれているのでしょうか。
「助手君はね、ここまで外道になったのは最近の事なの。まだ更生のチャンスはあるよ!」
「クリスさんは、カズマさんが外道になった理由は分かりますか……?」
「単純だよ。お金と戦闘力を手に入れて、しかもゆんゆんみたいな美少女と、肉体関係を結んだ事で、完全に調子に乗っちゃってるの! スキあらばエロイ事しようとしてるよ!」
随分と納得の行く答えです。本当にありがとうございました。しかしどうしましょう。カズマさんの精力は、どんどん強くなっていますし……
「ねぇ、ゆんゆん。ダクネスと屋敷にいた時、助手君を制御できてたよね?」
「くっ……!」
痛い所を突かれました。あの時、私とダクネスさんで、カズマさんを満足させていました。カズマさんも、彼も他の女に手を出す事なく、私達をひたすら求めてきてくれました。完全制御には至りませんでしたが、私達に釘着けにはできました。
「ねぇ、ゆんゆん。あたしと、“共同戦線”をはろうよ」
「うぐぐ……!」
クリスは、結婚は私に譲ると言っている。それならばよいのではないか? しかし、カズマさんは、私だけを見て欲しくて……!
「ゆんゆん、神託を下します。このままだと、カズマさんは、“アクセルの種馬”になってしまいますよ」
「…………」
私はその提案を、しぶしぶ受け入れる事にしました。さすがに、エリス様が約束を破る事はないでしょう。結婚さえしてしまえば、意外と義理堅いカズマさんなら、クリスとの関係を打ち切ってくれるかもしれません。
「クリスさん、いえエリス様。カズマさんの性欲解消を手伝う事を許可します。でも、結婚はダメです!」
「分かっていますよ」
「くっ……」
「そんなに、睨まないでください。カズマさんを見守る戦友、いや“友達”として仲良くやりましょう」
「私、こんな友達望んでないです!」
しかし、私は差し出されたエリス様の手を取ってしまいました。こんな状況でも、友達が出来た事に嬉しく思っている自分が、非常に情けないです。
「あ、それとこっちの姿はクリスってよんでね」
「はい、クリスさん……」
「そんなに落ち込まない!」
クリスさんが、私の頭を撫でてきました。さすが、ストーカーですね。私がこれに弱いのをご存じでしたか…
「目指せ! 助手君、完全掌握!」
「はい、頑張りますか……」
今、ここに“共同戦線”が築かれました。でも、何故でしょう、「約束や同盟は破るためにある」という誰かの格言が、頭にチラつきました。しかし、私も負けるわけには行きません。カズマさんは私のものです!
「あ、クリスさん。参考程度に、一つ聞きたい事があるのですが」
「なになにーなんでも答えちゃうよー!」
「女神を殺す方法ってありますか?」
「!?」
次回もエロ回
これ以降、クズマさんが少しずつ更生するかも……?