翌日、私はダクネスと共に屋敷に来ていた。時間はお昼。ゆんゆんは庭のベンチで日向ぼっこをしていたため、すぐに見つける事が出来た。彼女は、私とダクネスを見つけると嬉しそうに駆け寄ってくる。そんな呑気そうな様子が無性にムカついて仕方がなかった。
「めぐみん遅いじゃない! えっと、ダクネスさんはお久しぶりですね!」
「遅くなったのは素直に謝ります。それにしても、随分とご機嫌ですね……」
「ふふっ、良く分かったわね。実はカズマさんがこれからは三日に一回は捜索を休んで私と一緒に過ごしてくれるそうなの! だから明日はカズマさんと一日中一緒に……」
気が付いたら、私はゆんゆんの頬を思いっきり叩いていた。頬を手で押さえて唖然とした表情を浮かべる彼女を見て、何だか私の心もスッキリする。
「そんな話、今はどうでもいいんです。私とダクネスはあなたに聞きたい事があるんですよ」
「いきなりどういうことよ! 友達でも怒りたい時が……!」
「うるさいですね。とにかく、私の質問に答えてください。あなたは、カズマに嘘をついているのではないですか?」
「っ……!?」
私の質問に、ゆんゆんは驚愕の表情を浮かべて固まった。そんな彼女の様子に私とダクネスは確信する。彼女は“嘘”をついていると。自然と、笑いがこぼれてしまう。もう、こんな奴に遠慮する必要はないのだ。無自覚な惚気話に付き合う必要もなければ、カズマとコイツの関係を見せつけられて歯ぎしりする事もない。この瞬間から、ゆんゆんは友達でも親友でもライバルでも恋敵でもなくなった。
この女は醜くて嘘つきでカズマを傷つけた私達の敵……人類の敵だ!
ゆんゆんはというと、私達の方を見て困惑の表情を浮かべて狼狽えている。その顔がおかしくてたまらなかった。
「た、確かに私はカズマさんに嘘をついているわ! でも、そんな事は当たり前の事でしょう!?」
「そうですね。でも、ついてはいけない嘘というものがある事は分かっていますよね?」
「そんなの分かってるわよ! というか、めぐみんはさっきから何のつもり? 昨日のめぐみんと雰囲気が全然違うわ!」
「覚悟を決めた女は今までとは違うものなんですよ。まぁ、それは一先ず置いておきましょう。本題はあなたがカズマについた嘘の事。実は、私達は追っていた7人目の犯罪者の死体を先日発見しました。死亡時期はなんと事件前。聡明であるあなたなら、これが何を意味するか分かりますね?」
「えっ……?」
彼女は何が何だか分からない様子であったが、数十秒後には青白い顔を更に青白くする。そして体をぶるぶると震わせながら後ずさる。私達はそんな彼女にゆっくりと詰め寄った。
「ち、違うの! 私はカズマさんのためを思って……! そもそも私がどんな嘘をついたかなんてめぐみんには分からないでしょう!?」
「いいえ、分かりますよ? あなたはカズマに―――という嘘をついたのでしょう?」
ゆんゆんが転ぶようにして膝から崩れ落ちた。そして、涙を流しながら私達を見つめてくる。恐怖と絶望に歪んだ表情は私に暗い喜びと上位者としての優越感、彼女に対する嗜虐心を与えてくれた。私がそんな感情で表情を歪ませている間に、ダクネスはゆんゆんに素早く蹴りを入れる。軽々と蹴り飛ばされ、近くの木の幹に体を叩きつけられる彼女の姿は見ていて本当に滑稽だった。
「がふっ……けほっ……! なんで……なんでこんな事に……」
「何をほざいているんですか? 全部あなたのせいでしょう?」
「うっ……あっ……違うの……私のせいじゃない……私のせいじゃないの……! ねぇ信じて……信じてめぐみん……!」
「白々しい。全部あなたのせいです」
「いやっ……! いっ……ああっ……!」
縋り付いてきた彼女を躱した後、勢い余って倒れ伏すゆんゆんの右肩を私はグリグリと踏みつける。そして、彼女はうわ言のように同じ言葉を繰り返し始めた。私はそんな彼女を見て、思わず笑みがこぼれてしまう。そう……私はこんな彼女の姿を見たかったのだ。
まぁ、これで“証拠”が得られた。私達の推論に確証はなかったが、ゆんゆんの表情と様子を見れば推論が正しかったという事は分かる。推論が正しいという事は、カズマは深く傷つくに違いない。そして、私達は彼を癒し、立ち直らせ、新たな幸せを教えてあげるのだ。そうするためには、ゆんゆんはやっぱり邪魔だ。いらない。彼女を滅ぼす理由になるのならば最早なんでもいい。
こうして私が幸せな未来について夢想している間に、ダクネスはゆんゆんに大剣の切っ先を向けていた。
「まぁ、そういう事だゆんゆん。大人しく死を受け入れろ」
「ダクネス……さん……」
「安心しろゆんゆん。お前がカズマと体を重ねなかったのは、自分の事が許せなかったからだろう? 罪悪感は人に躊躇いを覚えさせ、自らの罪を自覚させる。そして、罪人である自分が幸せになる資格はないと悔い、一方で罪がバレてしまった時の周囲の反応が怖いと恐怖する。罪悪感というものは時に自分自身を幸せから遠ざけようとするんだ。その姿勢は罪人としては称賛するが、事実は取り消せない。お前は最低の嘘つき女だ」
「あぅ……」
諦めたように体を伏せるゆんゆんの首筋に、ダクネスが大剣の切っ先を向ける。どうやらゆんゆんにトドメを刺すつもりのようだ。だからこそ、私はそんなダクネスの服を引っ張って止める。これ以上はやるべきではないと思ったのだ。
「何故止める?」
「これ以上の独断行動は禍根が残ります。殺すとしても、カズマや証人の前でやるべきでしょう。一番良いのは私達が手を汚さない事です」
「ふむ……」
「ここは私に任せてください」
剣を鞘にしまうダクネスを見届けてから、私は地に伏せるゆんゆんの前にしゃがみこむ。そして、頭を撫でながら言い聞かせるように語り掛けた。
「ゆんゆん、一日だけ猶予を与えます。そして、カズマに真実を自分で伝えるのです」
「無理……私には無理よ……!」
「いいえ、出来ます。これはあなたが伝えるべき事です。そして、全てが終わった後は大人しく死を受け入れてください。そうするべきだと私も思います。まぁ、事実を告げずカズマとの最後の一日を過ごすという選択をしても私は別に構いません」
「…………」
「逃げる事は絶対に許しませんよ」
項垂れるゆんゆんの肩を優しく叩いた後、私は彼女から背を向ける。そしてダクネスと共に帰還した。足取りは思った以上に軽い。表情も自然と笑顔になってしまった。
その日の夜、私はなかなか眠りにつく事が出来なかった。帰宅した私が一番最初にした事は下着を履き替えた事だ。そんな自分が気持ち悪くて仕方がない。私はゆんゆんを傷つける事に悦びを感じた。彼女が弄ばれる姿に私は興奮すら覚えてしまったのだ。もっと、彼女に責苦を与えたかった……もっと……!
「私は何を考えているのでしょうか……」
自分自身に呆れて溜息をつく。今日の自分は何かおかしかった。自分に対する違和感に吐き気すら覚える。確かに、ゆんゆんはもう許せない相手だ。でも、私の大切な人の一人であった事は変わりない。当初は彼女に優しく死を受け入れるように説得するというプランも頭にあった。でも、彼女の呑気な顔を見た途端に怒りと憎悪で頭がはじけ飛びそうになった。気が付いた時には、彼女の頬をはって辛くあたっていた。しかも、そんな彼女を見て私は“性的興奮”すら覚えてしまったのだ。
「違う……私は違う……」
自分でも、何を言っているか分からなくなってきた。とにかく、寝てしまったら、私が“私”でなくなるかもしれない。意味不明の恐怖心に囚われて、ちっとも眠る事が出来ない。
そんな時、ノックもなしに私の部屋に侵入してくるものがいた。それはバスローブ姿のダクネスだ。彼女は頬を染めながらゆっくりと私の元へ歩いてくる。そして、謎の危機感を反応させ、ベッドの上で身構えていた私の上に覆いかぶさってきた。
「ちょっ……!? 何をするんですかダクネス!? いきなりその……!」
「めぐみん……私と一緒に寝てくれ……」
「うえっ……!? えと……あの……あなたとそういう事をするのは……嫌じゃないですけど……準備とか色々……!」
「お前は何を勘違いしている」
ぐちゃぐちゃになった思考回路が、ダクネスのチョップによって修正される。そして、ジト目で睨んでくるダクネスを私はまともに見る事が出来なかった。何だか、とんでもない勘違いをした上に、変な事を口走った気がする。
「まぁ、落ち着けめぐみん。実は最近眠りが浅くてな。お前と一緒ならぐっすり眠れる気がしたんだ」
「そうならそうと言ってくださいよ! まったく……!」
「変な勘違いをしたのはめぐみんだろう?」
「う、うるさいですね!」
クスクスと笑うダクネスを小突きつつ、私は恥ずかしさでいっぱいになる。私は別にそっちの気はない。変態のダクネスに勘違いして貰っては困るのだ。それからぶつくさ文句を言う私の話を、彼女は苦笑して聞き入れる。そして、会話がふと途切れた時、彼女がぽつりと話しかけてきた。
「なぁ、めぐみん。私にどこかおかしい所はないか?」
「妙な質問ですね。ダクネスはいつも通りですよ」
「そうか……そうだよな。私がどうかしていた。その質問は忘れてくれ」
悲しそうに笑うダクネスをじっと見つめる。もしかして、彼女も自分に対して何か違和感を覚えているのだろうか。そうだとすると――
ふと、胸元に違和感を覚える。チラリと視線を送ると、ダクネスが私の胸を大胆にも揉みしだいていた。思わず呆気にとられる私を見て、彼女は微笑んだ。
「そうだな。めぐみんもいつも通りだよな」
「ちょっと待ってください!? 何を見ていつも通りですって!?」
「胸」
「ぶっ殺しますよダクネス!」
反撃とばかりに私もダクネスの胸に手を伸ばすが、一揉みしてやめる。なんだか、むなしくなってしまったのだ。そんな諦観の気持ちの私を、ダクネスは押し倒すようにして胸をまさぐってくる。じわじわと嫌な予感がし始めた。
「めぐみん……お前可愛いな……」
「なななっ!? なにを言っているんですか!? 私は決してそっちの気は……ひゃあああああああっ!?」
思わず体がビクリと反応してしまう。それもそのはず、ダクネスの膝がいつの間にか私の股の間に侵入し、軽く小突いてきたのだ。これは生理的反応だ。だから仕方ない……仕方ない……!
「ほぉ、随分と“熱い”な。もしかして感じているのか?」
「バカですかあなたは! ただの生理的な反応です! だからこれ以上は……やめっ……やめろーっ!」
「めぐみん、大丈夫だ……大丈夫だからな……」
「ちっとも大丈夫じゃありません! 今すぐ離れないと……ふみゅっ!?」
何かで口が塞がれる。必死に抵抗していたのに、力がどんどんと抜けていく。何だか、もうどうでもよくなってきた。このまま、彼女に身を任せてしまおう。ダクネスの事は嫌いじゃない。だから別に……うん……
その後の事は、ほとんど覚えていない。確かな事は、“ぐっすりと眠ってしまった”という事だけだ。
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「ええっ!? 明日から来ないって本当ですか!?」
「そうッスよエリス様。この爛れた関係はもうやめましょう」
「そんな……!」
泣きそうな表情であるエリス様が体を震わせる。俺はそんな彼女を見ながら、吸い終えた煙草を灰皿に突っ込む。非常に悪い事をしている気分になるが、今後に必要な事なのだと割り切った。
「そんなに悲しそうな顔をしないでくださいよ。俺はエリス様に何度も救われました。もちろん、滅茶苦茶感謝してます。でも、こんな関係を続ける事はよくない。めぐみんに忠告を受けて、今更になって実感しました」
「カズマさん……私は……あなたのために……ひぅ……!」
「泣かないでくださいエリス様」
ぐすぐすと泣き出したエリス様を俺は強く抱きしめる。腕の中の彼女は暖かくて柔らかい。そして、とても小さかった。こんな女性に俺は支えられていたわけだから、随分と自分が情けなく思える。まぁ、それも今更な事だろう。
「今のゆんゆんは爆発寸前です。俺に出来る事は彼女と一緒にいてやる事だけ。彼女を不安にさせる要因はできるだけ排除したいんです」
「っ……!」
「それに、もうすぐアクアが帰ってくるかもしれないんです。きっと俺と女神二人の力を合わせれば、さよりもゆんゆんも何とかなります。だから、アクアが来るまではゆんゆんに時間を割くつもりです」
「カズマさんは楽観的すぎます……」
「これくらいで楽観的でいいんです。きっと何とかなります。俺はエリス様と……まぁ……アクアの事も信じていますから」
エリス様は俺の顔を上目遣いで見つめてくる。そんな可愛くて健気な姿に、ぶち犯したくなる気持ちが湧き起る。それを必死に我慢して冷静を装った。そして、覚悟を決める。何故なら、俺は今からいつも以上に最低な事を提案するからだ。
「エリス様、浮気はいけない事なんです。だから、今日でこの関係は終わりです。でも、あなたという女性を離したくない」
「えっと……はい……?」
「まぁ、ぶっちゃけるとですね。俺はエリス様の事が好きです。何というか……こう……愛してる……愛していますエリス様……!」
「ええっ!? う、嬉しいですけど……いきなりそんな……!」
俺のスカスカに軽い愛の言葉に、彼女は顔を真っ赤に染めて体をもじもじとさせる。ああ、本当にこの女神様は可愛くて可愛くて仕方がない。彼女との関係をここで終わらせるなんて無理な話だ。こうして俺は自分の思いを再確認する。エリス様の事が好きだと……愛おしくてしょうがないと自覚させられてしまった。
「今の俺はゆんゆんとさよりの事で手一杯です。でも、全てを取り戻して平穏になったら、またエリス様の事を愛したい……また抱いていいですか……?」
「もちろん構いませんよ! でも、カズマさんってもの凄く最低な事を言っているって自覚しているんですか!?」
「そりゃあ自覚してますよ。なんせ、俺は鬼畜のカズマですから」
「そんな事は自分で言うものじゃありません……!」
ジト目で睨んでくるエリス様に俺は悪びれもせずに言い切った。むしろ、最低のクズじゃなければ、ゆんゆんとさよりとエリス様、全てを手にいれる事はできないのだ!
「今までの俺は世間体とか、ゆんゆんが怖いとか、色々あって大胆な行動は出来ませんでした。でも、覚悟を決めます。ゆんゆんもエリス様も、めぐみんもダクネスも……ついでにアクアも俺の女だ! 他の男なんかに今更やれるか!」
「ええ……ハレーム宣言ですか……」
「いいじゃないですかハーレム! 本物のファンタジー世界なんだから許されるよな! ええおいっ!?」
「なんで私に逆ギレするんですか!」
プンスコ怒るエリス様を抱きしめながら、俺は極度の興奮と羞恥心を抑える。ついに、言ってしまった。でも、本心である事は確かだ。全員、俺の女にする。これはもう決定事項だ。
「つまりは逆転の発想ですよエリス様! ハーレムだったら別にあなたと愛し合っても浮気じゃないんです! よかった、これで解決ですね!」
「そんな無茶苦茶な!」
「うるせぇ! 無茶苦茶じゃないとハーレムなんかやってられるかバーカ!」
「だからなんで私に逆ギレするんですか! 流石に私にも許容限界というものがありますよ!」
思わず口が悪くなってしまう。しかし、悪態をつかなければ本当にやってられない。ゆんゆんとさよりに対して申し訳ないし、話すのが非常に怖い! だが、やると決めたからにはやり通すつもりだ。全部を手に入れ、取り返した上で俺も彼女達もさよりも幸せにする。これが俺の目標だ。
「エリス様、俺はさよりを取り返し、ゆんゆんをどうにかして幸せにする。そして、平穏を取り戻したら、あなたを迎えに行きます。その時まで待っていて貰えますか?」
「はぁ……カズマさんは本当に最低ですね……」
「最低じゃすまない気がしますけど、俺は謝りませんよ」
俺の言葉に彼女はクスリと笑う。そして、ギュっと抱きしめ返してくれた。そんな彼女の反応に深く安堵する。どうやら、了承してくれたらしい。
「ええ、私はあなたの事を待ち続けます。何日、何か月、何十年、何百年でも……私もカズマさんの事を愛しているんですから……」
エリス様が俺の唇を優しく奪う。“浄化”ではない、本当のキスが彼女との爛れた関係の終止符となった。いつか、彼女を再び愛せる機会が訪れる事を願いながら、ゆんゆんの待つ屋敷へとまっすぐ帰宅した。
帰宅したのはまだ日の高い時間帯、ちょうどおやつの時間といった所だろうか。少しだけ新鮮な気持ちになりながら玄関の扉を開ける。いつもなら、すぐさまゆんゆんが突撃してくるのだが彼女が来る様子はない。
そして、リビングに辿り着いた時、ソファーで虚ろな目をして横たわるゆんゆんの姿を見つけた。これほどにまで落ち込んだ様子の彼女は久しぶりだ。俺はゆんゆんがいるソファーに腰を下ろし、彼女をそっと抱き上げた。
「カズマ……さん……?」
「おう、カズマさんだぞ。どうした? また暗い顔して?」
「別にいつも通りです。私、いつも暗い顔してますから……」
「スネるなバカ」
「いたいっ!? ひ、ひどいですカズマさん! 今の私は……私は……」
俺に元に体当たりする勢いでゆんゆんが飛び込んでくる。そして、俺の胸元に縋り付きながら泣き始めた。ある意味いつも通りとも言える彼女をあやし続ける。幸いにも、時間はたっぷりとある。彼女の好きなようにさせる事にした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ゆんゆんさーん? そろそろ離れる時間じゃないかー?」
「嫌です。今日は絶対に離しません」
「腹が減ったから夕食作りたいんだが……」
「ダメです。一食くらい私のために我慢してください」
頑なに離れようとしないゆんゆんに少し呆れつつ、俺は彼女を引きずりながらキッチンへと移動する。そして、さっさと夕食を作る事にした。野菜を切ったり、肉を煮込んでいる間も彼女は俺の背中に顔を埋めてクンクンしたり、首筋に甘噛みしたりとやりたい放題だ。そんなひっつき虫なゆんゆんの妨害を乗り越え、何とか夕食を完成させた。
「カズマさん、昨日ビーフシチューを食べたじゃないですか……」
「コイツはクリームシチューだから問題なし! なんだ? いつもみたいに隠し味が入れられないのが不満か?」
「……!? か、隠し味なんていれてません!」
「お前も分かりやすい奴だな。まぁ、この料理に隠し味を入れるとしたら、母乳が一番だな! 久しぶりに搾ってやろうか?」
「っ……!」
顔を真っ赤にして頭をペチペチ叩いてくる彼女に俺は安心する。少しだけ気力を取り戻してくれたようだ。そして完成したシチューをテーブルに並べたのだが、彼女は対面の席ではなく俺の隣の席に腰を下ろした。それからは、じーっとこちらを見つめ始めた。
「おい、せっかく作ったのに食べてくれないのか?」
「今日は食欲がないんです。だから、カズマさんの食事風景を見てお腹をいっぱいにします」
「また、わけのわからない事を……」
真剣な表情でこちらを見つめるゆんゆんを、ひょいと持ち上げる。そして、俺の膝の上に彼女の体を乗せた。ゆんゆんは目を白黒させていたが、状況を理解してからは、いそいそと俺に背を預けてくる。そんな彼女に、俺はシチューの乗ったスプーンを差し出した。
「今日のゆんゆんは、いつにもまして甘えん坊だな。ほら、あーんだ」
「はむっ!」
「おっ、素直なのは良い事だ」
「んっ……やっぱりカズマさんは反則です……色んな意味で自信なくしちゃいます……」
「大丈夫だゆんゆん。お前が自信を持ってないと、めぐみんとかエリス様がなくぞ?」
「ひゃんっ!? そんなに胸をいじらないでください……私が言っているのはその自信じゃなくて……んっ……!」
俺はそのまま、彼女の素晴らしいおっぱいを揉みに揉んだ。彼女はぶつくさ文句を言ってくるものの、以前のような拒絶反応はない。なんだか、目が覚めた気分だ。
実はゆんゆんに拒絶された事は俺にとって結構なトラウマになっていた。それが原因で彼女に性的接触を行う事に苦手意識を持つようになった。でも、穴に突っ込む事だけがセックスではない。
そんな当たり前の事を思い出させてくれた。拒絶の原因は今も分からないが、俺は苦手意識を理由にして彼女の心を解きほぐす努力を怠って、すぐに快楽が得られるエリス様へ逃げたのだ。そんな事はもう許されない。しっかり、ゆんゆんと向き合おう。そう、強く決心した。
「よし! そうと決まればセクハラだ!」
「何が、“よし”なんですか!?」
「いいから久しぶりにおっぱい飲ませろ! どうせ有り余ってんだろ!」
「だからってそんな……ひゃっ……だめっ……! 私があなたとそんな事する資格は……んひぃっ!?」
それからは、膝の上に乗せたゆんゆんを逃がさないようにガッチリ抱きしめ、色々と吸いまくってやった。そして、ほのかに甘くてのどごし爽やかな味を楽しみながら、ひっそりと願った。どうか、早くさよりが見つけられますようにと。そうしないと、お父さんがお前の分のおっぱいを全部……
「おぶぁっ!? な、なにすんだゆんゆん! 急に蹴るなよ!」
「なんだかヒドイ悪寒がしたんです! 今のカズマさんはキモいです……最低です……!」
「男は皆そんなもんさ。という事で次は腋を舐めさせろ。リッチー化によって新陳代謝がどのように変化したか調べなきゃな……」
「ひぃっ!」
「こら、逃げるな!」
脱兎のごとく逃げ出したゆんゆんを捕獲し、欲望の限りを尽くす。残念ながら最後の一線はまだ超える事は出来なかったが、確かな手応えを感じた。ゆんゆんも途中から俺の要求に素直に答えてくれたのだ。人を超えた存在になった彼女だが、本質的には何も変わっていない。ゆんゆんは俺の可愛くてエッチな嫁さんなのだ。
数刻後、俺とゆんゆんはまったりとした時間を過ごしていた。夕食もお風呂も済ましたが、眠る時間にはまだ早い。俺はソファーに座って意味もなく暖炉の火を見つめ、ゆんゆんはそんな俺にピッタリくっついてホットミルクをちびちび飲んでいた。
「お前とこんな時間を過ごすのは久しぶりかもな」
「そうですね……カズマさんはさよりの捜索で毎日ヘトヘトになっていましたからね……」
「結局、さよりの手がかりはほとんど掴めてないけどな」
「そんな事……ないですよ……カズマさんはすっごく頑張ってます……」
ゆんゆんが俺の肩にもたれかかってくる。暖炉の前にいるからだろうか? 彼女から感じる暖かさでとても癒された。
「なぁ、ゆんゆん。俺は正直言って家に帰ってお前に会うのが辛かった。なんせ、さよりの捜索の成果はほとんどない。お前の落胆の顔を見るのが嫌だったし、そんなお前に気を遣わせるのが申し訳なかった」
「カズマさん……」
「つまり、俺はお前から逃げていたんだ。それで寂しい思いをしたというなら謝る。本当にすまない。これからはきちんとお前と向き合う。そして、良い夫婦関係をもう一度構築するんだ。これに関してはエリス様やめぐみんから忠告を受けていてな。俺達がちゃんとしてなければ、さよりを取り戻しても不幸にするだけだとよ」
暖炉の火を見つめながらゆんゆんの言葉を待つ。しばらく、居心地の悪い沈黙を過ごした後、隣にいるゆんゆんがクスリと笑った。そして、俺の腕にぎゅっと抱き着いてくる。そんなゆんゆんの反応に安心を覚えた。
「私はそんな事は考えもしませんでした。こうやってカズマさんに甘えてばっかりでしたからね。謝るべきなのは私の方かもしれません。だから、私も謝ります。ごめんなさいカズマさん……」
「謝るのはやめてくれ。とにかく、お前とはもう一度健全で幸せな関係を築く。そして、さよりを取り戻して全てを元通りにする! まぁ、今までと同じだ。一緒に頑張ろうな!」
ゆんゆんは俺に抱き着く力を強くする事で応える。それからは暖炉の前で再びまったりとした時間を過ごした。俺自身に渦巻いていたモヤモヤは、この時に綺麗さっぱりなくなった。そして、絶望に対する覚悟も決める。アクアが戻ってきたら全てが明らかになる可能性が高い。どんな結果になっても、俺は全てを受け入れよう。
そのまま怠惰な時間を過ごし、夜も深まっていく。隣にいるゆんゆんは俺に抱き着きながら首をこくこくと揺らしている。そろそろ眠る時間のようだ。
「なぁ、お前に言い忘れていた事があるんだ。そのまま聞いてくれ」
「んっ……なんでひゅか……?」
「実はエリス様とちょっと浮気してたんだ。ごめんな」
「んみゅっ……いいですよーそんなこと……」
「そうかそうか。よし、じゃあさっさと寝ような」
俺はゆんゆんをそっと抱き上げる。これで後顧の憂いもない! 明日は久しぶりの休日(?)だ。彼女の事をもっと可愛がってやろう……うん……そうしよう……!
「んっ……ん……んっ……!? カズマさん、今なんて言いました?」
「さっさと寝ようなって……」
「その前です」
「よし!」
「誤魔化さないでください。ぶっ殺しますよ?」
即座に土下座をする。やはり誤魔化し切れなかったようだ。チラリと彼女の表情を伺うと、今までに見たことがないような凄い顔をしていた。どうやら、俺はここまでの命らしい。ごめんなさより……悪いお父さんでごめ……
「えいっ」
「がはぁっ!?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
あれから、どれくらいの時間が経過したかはよく分からない。ただ、俺はずっと土下座をし続け、ゆんゆんの折檻を何とか耐えていた。
「私にあんな事を言っている裏でエリス様と……へぇ……ふーん……」
「すんません……性欲が抑えられずにエリス様を襲っちゃいました……それからずるずると爛れた関係に……」
「…………」
無言の彼女に頭を足で小突かれながらも、ひたすら土下座を続ける。なんだかんだ言っても、浮気をした方が100パーセント悪い。俺には謝る事しか出来なかった。そんな俺に彼女は大きな溜息をつく。本当に生きた心地がしなかった。
「もう俺には謝る事しかできない! こんなクズな俺だけど、お前への気持ちは変わらない! 好きだ……愛しているんだ……だから……!」
「ふーん……」
「うっ……すんませんすんませんすんません……!」
冗談抜きで涙が出てきた。こうなる事が分かっていたのに、なんで俺は誘惑に負けてしまったのだろうか。一瞬、エリス様に対して理不尽な怒りが湧いたが、即座にその感情を否定する。彼女は、俺を救おうとしてくれたのだ。それに縋った俺の意志が弱かっただけで、エリス様は全く悪くないのだ。
「はぁ……カズマさんが浮気をしていた事は知っていましたけど……改めて口にされると結構へこみますね……」
「ひょっ!? 知ってたっていつから!? いや、エリス様は絶対にバレないって……!?」
「屋敷に帰ってくるカズマさんの表情を見ていれば簡単に分かります。私はあなたの奥さんなんですよ?」
「うぐっ……!」
「それに隠蔽工作があだになりましたね。私がカズマさんにこっそりつけた噛み跡も綺麗さっぱり消えていますし、私の匂いも毎日リセット。まぁ、それがなくても私はあなたを“ずっと見て”いましたから……」
クスクスと笑うゆんゆんが、俺の前にしゃがみ込む。そして、土下座をする俺の頭をゆっくりと撫でる。俺はというと、冷や汗をだらだら流していた。彼女はエリス様との浮気を知っていながらも俺と接していたのだ。今思えば、あの“愛”のこもった料理は彼女なりの抗議の証だったのかもしれない。
「浮気をした事には当然怒っていますけど、素直に話してくれた事には感謝しています。色々と思い悩んで……怒りと苦しみで頭がどうにかなりそうでしたけど……カズマさんの情けない姿を見たら、何だかどうでもよくなっちゃいました。本当にカズマさんは最低ですね……」
「はい……最低のカズマさんです……」
「ふふっ、私が奥さんでよかったですね。普通なら即離婚です。でも、あなたがえっちな事に弱い事は理解していましたし、私にも原因がないとは言えませんから……」
笑い続けるゆんゆんを見て俺は顔を上げる。どうやら、最悪の危機は去ったようだ。土下座したら許してくれるじゃないかという、クズな打算もあったのだが、本当に生きた心地がしなかった。決して、やったぜとか、ゆんゆんはやっぱちょろいだなんて思っていない……思ってない!
「その……あれだゆんゆん。俺は最低の隠し事をしていたクズ男だ。お前も何か思い悩んでいる事があるなら俺に遠慮なくぶちまけてくれ。俺の浮気に比べたら、お前の悩み何て些細なもんさ」
「あっ、さりげなく話を逸らしましたね。本当に口が上手いです! まぁ、そうですよね。カズマさんが真実を話してくれたなら私も……私……も……」
「ゆんゆん?」
彼女がポタポタと涙を流し始めた。俺は少しビクビクしながらも彼女に手を伸ばしたが、拒絶される事は幸いにもなかった。だから、遠慮なく彼女を抱きしめる。ゆんゆんが何を思い悩んでいるかはまだ分からない。この様子を見た限り、俺の浮気以外にも原因がありそうだ。でも、きっと何とかなる。
「浮気をした最低のクズだけど、出来る事があるならなんでも言ってくれ。サンドバックくらいにはなれるさ」
「浮気の事はもういいんです……私を愛して……抱きしめてくれるらなら“それくらい”構いません……」
「お前って奴は……まぁ俺にとっちゃ都合がいいけどな。よーしゆんゆん、愛してるぞ~」
「本当にカズマさんって人は……んっ……」
俺の腕の中にすっぽりおさまる彼女の体をギュっと抱きしめる。そして彼女がこれ以上不幸になるような事はしないと固く決意した。
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翌朝、俺は朝日で気持ちよく目を覚ます。隣にゆんゆんの姿はなかったが、朝食でも作っているのだろうと思って気にもとめなかった。しかし、彼女の姿がリビングにも洗面所にもない。買い物にでも出かけたのかと思い、二度寝をしようか思い始めた時、外から何か言い争うような声が聞こえた。
慌てて庭先に出てみると、そこには涙を流して蹲るゆんゆんと、そんな彼女に杖と剣を向けるめぐみんとダクネス、無表情で立つエリス様とクリスの姿が確認できた。状況は理解出来なかったが、俺は即座に彼女達に駆け寄っていた。
「おい、なにしてんだお前ら!」
「ああ、ようやく来ましたかカズマ。あなたを待っていたのですよ?」
「別に進んで見せたいってわけじゃないんだが、この光景はお前も見るべきだと、めぐみんがうるさくてな」
「めぐみん、ダクネス、寝起きサプライズにしては全く意味がわからんぞ……」
寝起きのぼやけた意識の中で、俺はめぐみんとダクネスに疑問を投げかける。しかし、彼女達は暗い微笑みを返すのみだ。その表情を見て思わず息をのむ。彼女達の瞳に光がないのだ。これと同じ微笑みと瞳を俺は経験している。それは彼女達の感情が爆発した時に見せた“狂気”の表情。まさに狂人の微笑みだ。
「それじゃあカズマ、今からゆんゆんを滅ぼします。しっかり見届けてくださいね」
「滅ぼすだって!? 何の冗談だ!」
「冗談じゃありません。それに、これはゆんゆんも望んでいる事なんです」
クスクスと笑うめぐみんは杖でゆんゆんの頬をゆっくりと撫でた。その瞬間、どうしようもない怒りが湧きおこる。拳をギリギリと握って力を振り絞る。そして、いけ好かない微笑みにドロップキックを喰らわせてやろうと駆け出した。しかし、そんな無様な突撃はすぐさま阻止された。
「“バインド!”」
「なっ、急に何するんですかエリス様!?」
「ごめんね助手君……」
「こうなってしまったのならば、私は女神としての仕事を全うするしかないんです……」
俺をバインドで簀巻きにしたクリスは、居心地悪そうに答え、エリス様は悲しそうな表情で俺を見つめる。本当に意味が分からない。エリス様は無表情ながらも、瞳には理知的な光が宿っていた。だからこそ、俺は彼女に説明しろという視線を送る。この場には、彼女くらいしかまともな人物がいないのだ。
「カズマさん、見ての通り非常にマズイ事態になりました。あなたはゆんゆんさんが爆発寸前だとおっしゃっていましたが、それはダクネスとめぐみんさんにも言える事だったようです。そして先に爆発してしまったのは……見ての通りですね……」
「もう経験済みなので、その事は彼女達の表情を見れば何となく察せます。でも、エリス様まで俺に敵対的な理由が分からない……俺の味方じゃないんですか?」
「私は今でもあなたの味方です! でも、彼女達の事情と要請を加味すると、私はダクネス達につくべきなんです。女神として……カズマさんを愛するものとして……こうするしかないんです……!」
エリス様は涙を流しながらも俺から体を離す。そんな彼女の様子を見て、めぐみん達はニッコリと微笑んだ。そのおぞましさに耐えながら、今度は項垂れるゆんゆんに視線を向ける。彼女は、俺の視線に気づくと涙を流しながら見つめ返してきた。
「カズマさん、私の事はもういいんです……」
「はぁ? だから何言ってるんだよお前は!」
「混乱するのも無理ないですよね……でも……これでいいんです……」
「ふざけるな!」
朝起きたら、ゆんゆんが突然死ぬ覚悟を決めていた。そんな事を受け入られるなんて到底できない。バインドロープから何とか脱出しようと体を動かすが流石は本職による捕縛スキルだ。どれだけ頑張ってもビクともしなかった。そして、もがく俺の前にダクネスが現れる。俺はというと、彼女を睨み付ける事くらいしか出来なかった。
「カズマ、お前にとって突然の事態になった事は謝罪しよう。でも、ゆんゆんはお前に許す事ができないヒドイ嘘をついているんだ。お前が混乱しているという事は、ゆんゆんは真実を話さなかったようだな」
「だから意味が分からないって言ってんだろ! 本当に突然すぎるだろ! それにヒドイ嘘って……真実ってなんだよ!? 言え! 分かるように説明しやがれ!」
「突然ではない。私達はきちんとゆんゆんに猶予を与えたんだ。真実については……本人に直接聞くがいい」
そう言ってから、ダクネスは再び剣を構える。俺は今も続く混乱状態の中、視線をゆんゆんに戻す。何でもいいから説明して欲しかったのだ。ゆんゆんはそんな俺から目線を逸らす。何とも分かりやすい行動だ……
「ダクネスさんの言う通り私はヒドイ嘘をあなたにつきました……」
「俺が昨日話した隠し事よりもヒドイとでも言うのか?」
「ええ、そうです。ある意味、もっと残酷でヒドイ嘘です。きっと、あなたは絶望に顔を歪めますし、私の事が許せなくなるはずです。そんなカズマさんを見るくらいなら……私はここで人生を終えたいんです……」
諦観に満ちたゆんゆんの表情に俺は二の句が継げられなかった。これほどにまで彼女を追い詰める嘘とは一体何であろうか。だが、例えどんな理由があったとしても、彼女の人生を終わらせる理由にはならないのだ。
「大丈夫ですよゆんゆん。カズマは私達が支えます。安心して死んでください」
「死はお前に真の平穏をと安らぎを与える。これはお前のためでもあるんだ」
「ゆんゆんさんが望むなら、私は躊躇しません。死後の世界でも、最大限の便宜を図ります」
めぐみん、ダクネス、エリス様の言葉を受けて、ゆんゆんはそっと目を閉じる。だが、俺は彼女が無理をしている事は当然分かっていた。何が人生を終えたいだ。勝手に諦めるなんて許さない。俺を残していくなんて許したくない!
「おい、ゆんゆん! 何を諦めているんだ!? 俺にはお前が未練タラタラに見えるぞ。本当はここで人生を終わりになんてしたくないんだろう? わがままなんて誰も言わないさ。だから、お前の本心を語れ!」
「私は……私は……まだ死にたくない……カズマさんと離れたく……」
「全く、しょうがないですね。それなら私が真実を話しましょう」
「えっ……? いや……だめっ……! お願いめぐみん……やめて……やめてやめてやめっ!? むぐっ!? んんっ!」
ダクネスがゆんゆんの口を塞いで黙らせる。そして、めぐみんが再び俺の前にしゃがみこんだ。めぐみんの表情は愉悦に歪んでいる。それが気に食わなかった俺は、彼女に唾を吐きかける。しかし、めぐみんはそれを嬉しそうに受け止め、ぺろりと舌で舐めとった。
「いずれは話しておくべき事なんです。ゆんゆんが話せないというのなら、私がその役目を継ぎましょう」
「いいから真実とやらを言え。お前達の様子からろくでもない事なのは察しがついてる。でも、知らないままでいるよりかは真実を受け入れる事の方が楽さ」
「そうですか。なら、遠慮はいりませんね。ゆんゆんも構いませんよね?」
「んーっ!? んっ……んっー! んっ……んっ……!」
「では、話しましょか。ゆんゆんのついた嘘……真実を……それは――」
涙を流しながら首をぶんぶん振るゆんゆんを、俺は視界にいれないように努める。そして、顎を引いてめぐみんに言葉を促す。彼女はコクリと頷いてから、そっと耳元に囁いた。
「さよりちゃんはもう死んでいるんです」
その言葉を聞いた時、一瞬わけが分からなかった。さよりは生きている。それは俺にとって当り前の事であった。でも、それがゆんゆんのついた嘘であるというのならば、めぐみんの言う通りさよりが死んでいる事が真実となる事を意味していて……
「めぐみん……こんな時に冗談はやめてくれ……」
「冗談じゃありません。これが真実です」
「嘘だ……そんなの嘘だ……!」
「嘘であったら良かったですね」
彼女の言った真実とやらを理解した瞬間、俺の心が何かに引き裂かれるような悲鳴をあげる。とめどない感情の爆発を抑えながら、ゆんゆんに視線を向ける。彼女はすでにダクネスの拘束から解放されていた。その表情は絶望に歪み、俺に対して恐怖の視線を送りながら滂沱の涙を流していた。そんなゆんゆんの姿を見て、俺の怒りや色んな感情が霧散する。怒りがなくなったというわけではない。むしろ、もうどうにでもよくなった。
「カズマ、実は探していた7人目の犯罪者の遺体が見つかりました。死亡時期は事件の一か月前。これにより、私が紅魔の里で話した仮説は破綻してしまいました。そして、同時にゆんゆんに対する疑いが生まれたんです。彼女が嘘をついているのではと……」
「どうしてそんな思考に飛躍したんだよ……」
「事件後のゆんゆんの様子は私から見てもおかしいものでした。でも、それらの不審な行動も、“カズマに娘が生きていると嘘をついた”と仮定すると納得できる点が多かったんです。試しに鎌をかけてみたら、あっさり薄情しましたよ。この嘘つき女が」
「ひゃぐっ……!?」
ゆんゆんがめぐみんに軽く蹴り飛ばされた。でも、そんな暴挙を見ても怒りが湧いてこない。そんな事より、この話が真実かどうかが重要だ。俺は助けを求める視線をエリス様に再び向ける。縋れる相手は彼女くらいしかいなかったのだ。
「エリス様、こんなの絶対嘘ですよね? さよりの魂は天界にない……だから死んでいないって……言ったじゃないですか……」
「ええ、確かに天界にはありません。でも、ゆんゆんさんが確かに娘の死を見たと言うのです。そして、事件現場では犯罪者達の魂は何者かに回収されていたようです。それにさよりちゃんが巻き込まれた可能性は否定できません……」
「…………」
顔を俯かせて肩を震わすエリス様を見ていられなかった。俺は彼女と一緒にさよりを探し続けていた。さよりの事を実の娘のように心配し、落ち込んでいる自分を後回しにして、俺の気力回復をしようと奉仕してくれた。そんな彼女の悲しむ様子は俺だって見たくない。だから、俺は涙を流し続けるゆんゆんに無様に這いよった。
「なぁ、ゆんゆん……本当にさよりは死んだのか……?」
「うぅ……! ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……!」
「謝らなくていい。だから嘘だと言ってくれ」
「ひっ……!? あっ……怒らないでカズマさん……私はあなたのために……ごめんなさい……!」
泣きながら縋り付こうとしてくるゆんゆんが、ダクネスに張り倒される。それでも、涙と泥に汚しながら、彼女は這いよってくる。そんな彼女の姿を傍目に俺はやっと現実を受け入れ始める。どうやら娘の生死は本当に絶望的らしい。ある程度の覚悟はしていたものの、こうして事実として娘の死を突き付けられるのはキツイものがある。何だか、鼻の奥がツンとしてきた。どうやら俺も限界らしい。ゆんゆん達の前だってのに、溢れ出る涙が止まらなくなってしまった。
「カズマ……いえ、そのままにしていてください。それより、ゆんゆんの処遇を決める方が先です。さよりちゃんが亡き今、あなたの存在は人類とカズマにとって害悪でしかありません。大人しく死を受け入れなさい」
「ひぐっ……うぐっ……ごめんなさい……でも私は……」
「言い訳は無用だ。これ以上カズマを苦しませたくないなら、さっさと死ね」
「ひぅ……! うぁ……カズマ……さん……」
体は思うように動かない。バインドロープで身動きが取れないだけでなく、いつの間にかクリスが俺の事を抱きしめていた。彼女から離れようなんて思いも薄れていく。だが、ゆんゆんの嘆きの声が聞こえてくる。どうにかして彼女の嘆きを止めたかった。
「ゆんゆんさん、死を受け入れる事も一つの道です。死後の世界での安寧は、女神である私が保証しましょう」
「いや……やっぱりカズマさんを残していくなんて考えられない……!」
「大丈夫です。いつになるか分かりませんが、あなたも天国、もしくは転生の輪に戻れます。それまで私に彼を任せてください。あなたに憂いは残させません」
「大人しく死を受け入れるべきだって、本心では分かってます……でも、私の憂いはあなたの存在そのものよ……! 使い魔越しにあなたを見た時、何かの見間違いだって思うようにしてた……! でも今ならはっきり見える……! あなたに任せる事だけは絶対に嫌……あなただけは嫌なの!」
「ゆんゆんさん……」
視界の隅で、ゆんゆんがゆらりと立ち上がる姿が見て取れた。彼女の周囲には巨大な魔力が渦巻き始め、めぐみんやダクネス達も戦闘態勢へ移行する。クリスは俺を更に抱きしめるのみだ。残念ながら、この場にはストッパーになる人物がいない。このままでは大惨事になってしまう。俺はクリスにそっと目配せしてみるが、彼女はふるふると首を振るだけであった。
「めぐみんやダクネスさんも許さない! 私の友達や味方の振りをしといて、結局は虎視眈々とカズマさんを奪う機会を窺っている……! 本当は私が殺す理由が出来て嬉しくてたまらないんでしょう? そんな奴らにカズマさんは絶対に渡さない……渡すもんですか! 我が呼び声に答えよ!“サモン・アンデットナイト!” あなた達も力を貸して! “サモン・サーヴァント!”」
ゆんゆんの周囲を数十体の武装したスケルルトンが取り囲み、数えきれないほどの昆虫やなめくじがわき出るように出現してゆんゆん達を黒く染める。彼女の憎しみのこもった表情と合わさって見た目は完全に悪の魔法使いだ。対するめぐみんとダクネスはそのおぞましい光景を見ても不敵な微笑みを全く崩していなかった。
「へぇ、やっとあなたの本音が聞けました……この泥棒猫! 私達からカズマを奪っておきながら、よくそんな事が言えますね!」
「泥棒猫なんて可愛いものじゃない……お前は豚だ……醜くて役立たずの豚だ! カズマの為にもここでぶっ殺してやる!」
「っ……!」
アンデットナイトが剣を抜き、ゆんゆんも魔法の詠唱を開始する。そんな一触即発の状況はあっけなく終わってしまった。めぐみんが何かの呪文を呟いた瞬間、虫達は逃げ出し、アンデットナイトは跡形もなく浄化され、ゆんゆんも地に倒れ伏す。残るのはクスクスと笑うめぐみんとダクネスの笑い声だけであった。
「ふふっ、アクアの置き土産は効果抜群のようですね。かつてこの屋敷は私達の愛の巣でした。邪悪な者の動きを阻害する仕掛けは今も健在なんですよ。まぁ、この仕掛けがあるからこそ、貴方をここに移住させたのですけどね」
「許さない……絶対に許さない……! ずっと友達だと思っていたのに……味方だと思って……ふぇ……えっぐ……ひっぐ……ひゃぐっ……!?」
「ああっ……その表情が見たかったんですよ……! そのまま惨めに死んでくださいね?」
「ねぇやめて……もうやめてよめぐみん……殺すなら早く殺して……もう疲れちゃった……がふっ!?」
めぐみんとダクネスがゆんゆんを楽し気に踏みつけた。その光景には俺も言葉を失う。おかしいという言葉だけではすまない。笑いながら動けないゆんゆんをリンチにするなんて狂っているという他ない。俺はめぐみん達に対する嫌悪感で胸がいっぱいになってしまった
そして、自分の中の感情に整理はついていないが、俺が何をすべきかはもう分かっていた。だからこそ、俺はこの状況を打破できる奥の手を使う事にした。
「エリス様! めぐみん達を止めてください!」
「っ……! 女神としてそれは出来ません! ゆんゆんさんはここで浄化されるべきなんです!」
「お願いしますエリス様! 俺はここでゆんゆんの人生を終わらせたくないんだ!」
「でも……!」
「助けてくださいエリス様!」
エリス様は、俺の言葉を受けてそっと溜息を吐く。そして、悲しそうな微笑みを浮かべながら小さく指を鳴らした。その瞬間、俺を拘束するバインドロープは消し飛び、ゆんゆんの周囲に浮かび上がっていた魔法陣も力を失ったように光を失った。どうやら、俺のお願いを叶えてくれたらしい……流石は俺の愛する女神様だ!
「本当にカズマさんは……今回だけですよ?」
「エリス様……!」
クスリと笑うエリス様に心の中で盛大に感謝しつつ、俺は仏頂面のクリスから抜け出してゆんゆんの元へ駆け寄る。彼女は全身をボロボロにされながらも、俺の姿を見て安堵の表情を浮かべた。そして、めぐみんは憎しみのこもった表情で、ダクネスは茫然とした表情でエリス様に向き直る。その姿に俺はざまぁ見ろという思いを抱いてしまった。
「女神エリス! ここで……こんな所で裏切るのですか……!
「エリス様……? 何故……何故ですか!」
「簡単な事ですよ? これがカズマさんの望みなんです。それに今の貴方達は正に“狂人”。狂気に堕ちてしまった貴方達を救うのも私の仕事です」
新たに発生した修羅場を放置して、俺は倒れ伏すゆんゆんを抱き起こす。そして、覚悟を決めて彼女の頭をそっと撫でる。ゆんゆんは不安気な表情を浮かべ、俺はそんな彼女に思わず苦笑した。
「ゆんゆん、一緒に逃げるぞ」
「でも私は……カズマさん……本当にいいんですか……?」
「詳しい話は後だ! とりあえず、めぐみん達からさっさとトンズラすっぞ! 逃げる場所は……お前に任せる!」
「っ……! 後悔しても知りませんよ……?」
期待に満ちた表情を浮かべるゆんゆんをギュっと抱きしめる。そして、テレポートの魔法で歪む周囲の光景とエリス様を眺めながら、俺は自分に言い聞かせた。
これが俺の進むべき道だと……
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バインドロープで地に転がされて気絶しているめぐみんさんとダクネスを見ながら、私は胸をほっと撫でおろす。これで私の出来る事はなくなったのだ。
「ねぇ、本当に良かったの? 運否天賦に任せるのは好みじゃないなぁ……」
「これでいいんです。ここまでやって天に見放されるようなら、私は幸運の女神の役目なんて放棄しますから」
「そう言われてもねぇ……」
不満げに足元の石ころを蹴るクリスを私は苦笑しながら見守る。彼女も“私”なのである。つまり、私も心の中では彼女と同じ思いを抱えているようだ。でも、今回ばかりは仕方がない。運に左右される事は最初から覚悟していた事だ。それに、ゆんゆんのリッチー化という“想定外”の事態を乗り越え、ここまで臨機応変に対応した事には自画自賛したい気分だ。
この賭けに勝つ事が出来たら、私はカズマさんの全てを手に入れる。逆に言えば、賭けに負ければ私は全てを失ってしまう。もちろん、私が勝てるように最善は尽くしたし、保険もかけている。それでも不確定要素は除去しきれない。何より……
「これで“二人”に私が望んでいる幸せを与える事が出来なくなりました……でも、絶対に幸せにしてみせますからね……」
幸運の女神は私自身だ。だから、絶対に大丈夫。そう信じて祈りを捧げ続ける。次にカズマさんと会えるのは何年後……それとも何百年後かも分からない。でも、出来るだけ早く再開したかった。
「待っているのは私だけじゃないのですから……」
そう独りごちながら、私はそっとお腹を撫でた。
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ゆんゆんのテレポートの魔法によって、周囲の光景が屋敷から謎の空間へと切り替わる。薄暗い空間内には、質素なベッドや衣装棚などの家具が並び、サボテンやら多肉植物が並べられていた。見覚えのない場所ではあるが、一休みくらいはできそうだ。少しだけ体をふらつかせるゆんゆんを支えながらベッドに腰を下ろした。
「さて、色々あって辛いだろうが……話してくれるか? さよりの事を……」
「はい……」
彼女についた泥を拭いながら、俺は真実とやらをじっくりと聞いた。曰く、彼女はゾンビの案内で到着した野営地で地獄を見たらしい。散らばる肉片と、それを食い漁る犬型モンスター、じゃりめの死体……
彼女はすぐさま犬型モンスターを追い払ったが、奴らの口からこぼれ出たものを見て何も考えられなくなったらしい。そして、アンデッドとして蘇ったじゃりめの負の感情を読み取って何もかもが嫌になってしまったようだ。
「じゃりめは私が関与していない自然発生のアンデッドです。死した体を動かす力は自分に対する激しい怒りと、守れなかったという深い悲しみの感情でした……それに犬型モンスターからはこれを……」
「…………」
そう言って、ゆんゆんは懐からボロ切れを差し出す。血に汚れた布の破片は俺にとっても見覚えのあるものであった。
「これはさよりの産着だな……」
「そうです……これをモンスターから取り返した所で、私の心は折れちゃいました……」
声を震わせる彼女をギュっと抱きしめる。俺自身も頭がどうにかなりそうであった。さよりはまだ生まれてから二か月くらいしか経っていないのだ。そんな小さな子供には残酷すぎる運命ではないだろうか。
「そして貴方にさよりの事を聞かれて思わず嘘をついてしまったんです。あの時は私自身、さよりの死を受け入れられませんでしたし、私の姿を見て絶望するあなたをこれ以上苦しませたくなかった。だから私は嘘をついた……楽な方に逃げたんです……!」
「ゆんゆん……」
「そのまま、私の嘘は真実として押し通ってしまいました。毎日さよりの事を報告するカズマさんが見ていられませんでしたし、月日が経つ事で嘘をついた自分がどんどん許せなくなる。あなたに対する申し訳なさと、真実が明らかになった時の周囲の反応が怖くてたまらなかった……」
「そうかい……」
ぶるぶると体を震わせるゆんゆんが嗚咽を漏らし始める。不思議と彼女に対する怒りは湧かなかった。むしろ、今までのゆんゆんの様子に納得がいった。事件後の数か月、彼女はひたすら塞ぎ込んでいた。恐らく、この期間はさよりを失った事をひたすら悲しんでいたのだ。
そして、俺との性的接触を嫌がったのは自分を許せないという葛藤が根底にあったのだ。でも、本心では俺に慰めてはもらいたい……何とも不器用な感情表現だ……
「そんな私も数か月後にはさよりの死を当然のものとして受け入れた。そして、カズマさんだけはもう奪われたくないと貴方の監視をし始めた。こんな浅はかな自分が嫌で嫌で仕方がなかったんです……」
「そんな事はないさ。俺も似たようなもんだからな」
浮気をして快楽を貪っている時だけは、俺は何もかもを忘れる事ができた。ヒドさでいったら、俺の方が上だ。何より、ゆんゆんの苦しみに俺が気付けなかった事が悔しくてたまらなかった。
「なぁ、ゆんゆん。もう一度言うが、俺はお前に対して怒ってなんかないさ。俺のために仕方なく嘘をついたって理解してるし、あんな状況に置かれていたんだ。仕方がない事なんだよ。だからこそ教えて欲しい。お前を幸せにするために俺は“どうしたら”いい?」
「そんな……やっぱり私は死んだ方がいい人間で……!」
「いいから言ってみろ」
ゆんゆんが流す涙を片手で拭いとる。そして、もう片方の手で彼女の頭を優しく撫でた。彼女はチラチラと俺の顔を見て、何度も躊躇って口を閉ざす。そんなやり取りがしばらく続いた後、彼女はぼそりと呟いた。
「カズマさんとずっと一緒にいたい……」
「そうか。なら、ずっとに一緒いようぜゆんゆん」
「え……? でも……私は最低な嘘つきで……さよりにも……んむっ!?」
彼女の口を自分の唇で無理矢理塞ぐ。これをすると、俺に好意を持ってくれている女性は押し黙って受け入れる。そんなスケコマシスキルを駆使しながら、ゆんゆんの唇をひたすら貪る。ちょっとだけ冷たいが、この感触は間違いなく俺の嫁さんで愛を誓った相手だ。だから問題なんて何もない。彼女とずっと一緒にいよう……改めて心にそう誓いなおした。
「安心しろ。俺はお前を幸せにするって誓っただろ?」
「っ……!」
「おふっ!? まったく、お前も相変わらずだな……」
彼女が俺の胸に飛び込んでくる。その勢いでベッドに押し倒されながらも、俺は彼女を撫で続けた。
そうだ。
俺は彼女を幸せにすると約束した。だからこれでいい。出来れば、ここにさよりがいる事が理想であったし、そうであって欲しかった。でも……もう……
「カズマさん……ずっと一緒にいましょうね……?」
「ああ、そうだな。お前が望む限りは一緒にいてやるさ」
彼女を抱きしめながら、俺はそっと目を閉じる。ちょっとくらい一休みしても構わないだろう。なんせ、時間はたっぷりある。ずっと……ずっと彼女と同じ時を過ごすのだから……
ふと目を覚ますと俺は薄暗い空間で椅子に腰かけていた。そして、目の前には愛しい女神様の姿があった。一瞬焦りを覚えてしまったが、状況を理解して深く溜息をついた。自分が情けなく思えて仕方がなかったのだ。
「カズマさん、“お久しぶり”ですね」
今年最後の投稿
今日はコミックマーケットの日でもありますし、リゼロとこのすばのコラボ雑誌の発売日でもあります。いやー買わなきゃなー!(エミリア衣装のアクア様は必見。可愛い)
また、あるい椋さんから頂いた挿絵の一部を公開しておきます。
件の挿絵は『愛憎渦巻く紅魔の里:結婚報告と名誉紅魔族への道』に掲載しています。
エリスルートもやっと消化試合ですねぇ……