※この作品はR-18です。

てぃーちんぐゆんゆん   作:ルイ提督

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過激な描写注意!



諦めの悪い女 後編

ダクネスとの間に子供を作っていいか?

 

 

 そんな最低最悪な問いかけをした俺に、ゆんゆんは朗らかに笑いながら肯定ともとれる答えを返した。だが、言葉通りに受け取れるわけがない。言葉を告げる一瞬、彼女の顔が歪んだのを見てしまったからだ。それを“見なかった”事にするのも一つの手だが、嫁さんに対してそこまで非情になる事などできるわけがなかった。

 

「ゆんゆん、それは肯定という事か?」

 

「はい、そうです。貴方が悩んだ末に出した結論なら、私は受け入れます」

 

「お前は本当にそれでいいのか……?」

 

「いいですよ。こうなる事は貴方がダスティネス邸から朝帰りした時……1年前からダクネスさんと浮気をし始めた時から覚悟していましたから」

 

 変わらぬ笑顔でそんな事を言い放つゆんゆんに対して、俺は唖然とするしかなかった。今回の俺の最低発言はゆんゆんにとっては寝耳に水な事だと思っていた。しかし、どうやら彼女にとってはすでに既知の出来事だったようだ。

 

「あれは浮気じゃ……いや言い訳はよそう。まさかゆんゆんにバレてるなんてな。必死に隠していたっていうのに……」

 

「私は貴方の妻なんですよ? 貴方の表情を見れば何を考えているかなんて言わなくても分かります。一年前……カズマさんが私に無断で朝帰りをした時、貴方は罪悪感に苛まれた表情をしていました。それを紛らわせるためなのか、とってもお高い高級プリンのお土産まで買っていましたよね?」

 

「おおう、全部ばれてーら……」

 

 何だか力が抜けてしまう。ダクネスとの浮気の隠蔽工作には様々な気苦労と費用をかけていた。しかし、ゆんゆんは俺の表情で全てを察していたらしい。我が嫁さんながら、色んな意味で怖い女性だ。

 

「でも、浮気が分かったなら何故俺を責めなかったんだ? いくらお前が寛容だからと言っても限度があるだろ」

 

「ええ、私は内心怒り狂っていましたよ。でも、一方で嬉しくもあったんです。カズマさんの様子を見れば、浮気といってもダクネスさんの方から何かされた事は理解できました。それを必死に隠そうとするカズマさんが可愛かったんです。そして私を裏切った事で罪悪感に押し潰されそうになっている姿が愛おしくてたまらなかった……!」

 

 薄暗い部屋の中で、ゆんゆんの紅い両目が怪しく光り輝いていた。何やら少し興奮しているらしい。にじり寄るように近づいてくる彼女に俺は少し気圧された。しかし、彼女の瞳には興奮だけでなく不安も渦巻いている事を俺は見抜いていた。どうやら、俺も彼女の事については言葉にしなくても理解できる部分があるようだ。

 

「だから、浮気なんて私にとっては些細な事なんです。子供を作りたいっていうなら私は別に構いませんよ?」

 

「嘘をつけバカゆんゆん。悪いのは全部俺だ。お前が我慢する必要なんてない。殴ったり蹴ったりしても構わない。本当の思いを……お前の本心が聞きたいんだ……!」

 

「…………」

 

 そう言い放った俺を、ゆんゆんは無表情で見つめていた。しかし、徐々に彼女の顔に赤みがさし、手が震え始める。そして、ぴしゃりと俺の頬を叩いた。ひりひりと頬が痛むが、黙って受け入れるしかない。それで彼女の心が少しでも楽になるなら御の字だ。

 

「先ほどのカズマさんが可愛くて愛おしかったというのは私の本心です。ある意味では、私は貴方の浮気を楽しんでいました。貴方が家族に罪悪感を持ってとるぎこちなくて申し訳なさそうな態度、私とさよりを一番に考えているからこそ、ご機嫌を取ろうと必死に頑張る姿。私やさよりの笑顔を見て、我に返ったかのように心からの笑顔を見せるカズマさんの夫として……父親としての姿がたまらなく好きで……! 本当に浮気なんて私にとって些細な事でした」

 

「ゆんゆん……」

 

「でも、次第にカズマさんが一番に考える相手が私からダクネスさんに切り替わっていると感じました。それに、私とさよりと過ごしている時にも上の空になっている貴方を見るのが辛かった……とても悲しかった……!」

 

 俺に突きだそうとする手を自分自身で押さえ、唇をギリギリと噛み締めるゆんゆんの姿は見ていてとても心苦しかった。俺はゆんゆんにぎこちなく手を伸ばし、そっと抱き寄せる。彼女の体は生まれたての小鹿のように震えていた。

 

「カズマさん、私に愛想が尽きたというなら……死にたいほど嫌ですけど受け入れます。でも、ダクネスさんと一緒になっても私を傍に……さよりだけでも……いみゅ!?」

 

「そんな思いをさせて誤解させた俺が全面的に悪いが、やっぱりお前もバカだ。悲観的になりすぎだ。俺の一番はいつもお前とさよりだからな」

 

「う、うひょいはないでくらはい……あにゃたはだくねすひゃんを……」

 

 不安げな表情を浮かべるゆんゆんの頬をぐにぐに摘みながら、溜息を吐く。コイツの不安を取り除くには、今回の事を包み隠さず全て話してしまうのが一番だ。正直、気は進まないがこれもゆんゆんのため。そう自分自身を納得させながら、俺は重い口を開いた。

 一年前、ダクネスに昏睡レイプされた事、妊娠したと言い寄られた事、彼女の妊娠を“無かった事”にしようと必死だった事、不本意とは言え俺が新たに宿した命に愛情を持ってしまった事、ダクネスの想像妊娠が分かり全てが徒労に終わった事……こんなどうしようもない話を、ゆんゆんは最後まで真剣に聞いてくれた。

 

「少し信じがたい話ですけど納得は出来ました。一時期、カズマさんが必死に調べ物をしている姿を目にしましたけど、この世界が怖いとか言いながら妊娠を“なかった事”にするなんて物騒な事を調べていたんですね……」

 

「仕方がなかったんだ……お前にこの事がバレて愛想を尽かされるのがたまらなく怖かった! だから、必死に隠蔽しようとしたんだ!」

 

「それは嬉しい言葉です。でも、あの時の貴方はとても辛そうでした……妻である私を頼ってくれなかったのは悲しいです……」

 

「妻だからこそ頼れなかったんだ。分かってくれ……」

 

 渾身の土下座をかます俺に、ゆんゆんは呆れたように溜息をつく。まさか、本当に彼女に愛想を尽かされてしまったのかと全身の血の気が引き始めた時、ゆんゆんにそっと押し倒された。

 

「カズマさんは私にバカバカって言いますけど、貴方の方が私よりも数倍バカです! 私がどれだけ貴方を愛しているか今一度教えてあげます! あむっ!」

 

「いでぇっ!? 急に噛み付くな! いだだだだっ!?」

 

「んっ……今夜は寝かせません! でも、えっちな事もなしです! 私はカズマさんのモノです……でもカズマさんは私のモノでもあるんです! 貴方がそんな馬鹿げた不安を持っているというのなら、私がその不安を取り除くのが妻の務め……私の愛を刻みつけてあげます! んっ……ちゅるっ……!」

 

「おほっ……耳はやめっ……ほああああああっ!?」

 

 

 その日の夜、俺は全身のあらゆる所を舐められた挙句噛み付かれ、おまけに穴という穴も舌で弄られた。反撃しようとも考えたが、俺はゆんゆんの好きにさせる事にした。好き放題にされながらも、内心では安心してしまう。彼女の俺に対する愛を“痛い”ほど確認できた。それだけで俺は十分だった。

 

 

 翌朝、俺は全身に感じる痛みと寝不足による気怠さを噛み締めながら身を起こす。ゆんゆんはというと、俺が起き上がった姿を満足気に見た後、申し訳なさそうに苦笑した。

 

「ふふっ、全身に噛み跡と私のキスマークをつけてるカズマさんを見るのは、やっぱり気分が良いものですね……」

 

「そうかい……俺も慣れたもんだぜ……」

 

「私の変わった癖になんだかんだ付き合ってくれるカズマさんは好きですよ……大好きです!」

 

 俺の胸板に飛び込んでくるゆんゆんを受け止める。さらさらとして彼女の髪を弄びつつ、過去との決別をつけるために強く決意した。

 

「ゆんゆん、昨日の俺のバカ発言は取り消してくれ。俺はお前一筋で生きていくつもりだ。ダクネスとは男女の関係は今後一切なしだ」

 

「はい……? なんでそんな結論になるんですか? ダクネスさんと子供を作っても私は構いませんって言ったじゃないですか!」

 

「でも、お前は……」

 

「もう、私のスキンシップにどういう意味があったのか分かってくれなかったんですね? こういう時だけ察しが悪い人ですね」

 

 そう言ってクスクス笑うゆんゆんを俺はじっと見つめる。どう考えても、嫉妬や怒りも込められた噛み付きであったのに、それ以外の意味があったかと言われても良く分からない。だから素直に聞く以外の選択肢は俺になかった。。

 

「つまりはどういう事なんだ……?」

 

「簡単です! 私がカズマさんを愛しているって事です!」

 

俺の顔を上目遣いで見ながら力強く抱きしめるゆんゆんの瞳は相変わらず真紅に輝いていた。そして、俺の胸板に頬を擦り付けながら小さな声で言葉を紡いだ。

 

「カズマさんは私に愛想を尽かされるのが怖いって言っていましたよね? でも、そんな事は絶対ありません。貴方が浮気をしたとしても、とんでもない罪を犯してしまったとしても、私は貴方の傍を離れません。私の生ある限り、貴方に尽くします。もし道を踏み外したとしても、私が更生させてあげます!」

 

「おう……」

 

「だから、カズマさんが不安に思う必要は何一つないです。私の方から貴方の傍を離れる事は絶対にありませんから! それこそ、ダクネスさんと子供を作る……“その程度”の事で私は愛想を尽かしたりしません!」

 

 あまりに大胆な発言に呆気にとられて茫然とする俺に、彼女は更に強く体を押し付ける。それから、若干怒気が込められた視線で俺の事を見つめてきた。

 

「むしろ、その程度の事で私が愛想を尽かすとカズマさんが思っていた事に怒りすら覚えます。私がどれだけ貴方を愛しているか、それを理解してもらうために昨夜は貴方に“愛”を刻み付けたんです!」

 

「ええ……」

 

「なんで、困り顔なんですか? 不安ならもう一度……あうっ!?」

 

 ニヤつきながら口を開けたゆんゆんにチョップをかまして口を閉じさせる。それから、俺はため息をついた。彼女の言葉が本心からのものなのか正直分からない。しかし、全くの嘘というわけではないようだ。

 だからと言って、彼女の甘言を真に受けてダクネスとの間に子供を作るのは本当に許される事なのか。しばらく閉口して考えていた俺を見ながら、ゆんゆんは機嫌良さそうにクスクスと笑っていた。

 

「カズマさん、深く考える必要はありませんよ。私だって愛しているからという理由だけで貴方の提案を受け入れたわけじゃありません。言葉じゃ説明できない部分も多々ありますけど、一番の理由は貴方と同じ思いをダクネスさんに抱いてしまったからだと思います!」

 

「…………」

 

「私はカズマさんほどダクネスさんと親しいわけではないですけど、思いは同じです。妻である私がこう言っているのですから、もう躊躇う必要はありませんよ? だって……」

 

 

ゆんゆんが俺の頬に自分の頬を擦り付ける。それから、思っていたとしても言ってはならない思いを俺の耳元でそっと囁いた。

 

 

 

 

「かわいそうでしょう?」

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

「というわけでダクネス、俺の子を孕め!」

 

「なっ……急に屋敷に来ていきなり何を言うんだ貴様は!」

 

「そのままの意味だ! お前の想像妊娠とめそめそ構ってアピールには俺もいい加減に嫌気がさしてるんだよ! 本当に面倒臭い女だなダクネスは!」

 

「わ、私は構ってアピールなんて女々しい事はしてないぞ! それに面倒臭くなんてない!」

 

「いいや、お前は超絶面倒臭いお嬢様だよ……」

 

 ダクネスは困ったような表情をしながらも、俺の様子を伺うようにこちらをチラチラ見てくる。瞳の色は爛々と輝き、若干目尻を下げている。どうやら、口では否定しているものの満更でもないらしい。そんなダクネスをベッドへと押し倒すと、彼女は観念したようにベッドの上で体を広げた。

 

「なあカズマ、私をからかっているわけじゃないんだな? 本当に……本当に良いのか……?」

 

「ああ、構わない。もちろん、ゆんゆんも了承済みだ。むしろ、俺の方が良いのかと聞きたい。俺は単に完全に縁を切って壊れかけのお前を見捨てるって選択を選べないヘタレだ。それに正直言って、今の時点でお前には“愛情”なんてものはない! おまけにお前が壊れて変な事をする前に俺の制御下に置いておこう……そんな打算を持つような奴の子供を本当に産みたいのか?」

 

「愚問だな……私はカズマの子が産みたい……! カズマじゃないとダメなんだ……!」

 

 大粒の涙を浮かべながら、彼女はいやいやと首を振る。その姿に俺は呆れる一方で、原因不明の罪悪感に胸を苦しめられた。この世界に来てから彼女とは随分と長い時間を共に過ごした。数年前には、もしかしたら将来は俺の隣にいるかもしれない……そんな事を夢想した女性だ。だからこそ、ダクネスのこんな姿を見たくはなかった。

 

 

いや、見ていられなかった。

 

 

 心の中でこんな事はやめろと叫んでいる自分がいる。俺がゆんゆんの愛とダクネスという女性を踏みにじって手にれるものは安息という自己満足。楽な思いになりたいから逃げてしまおうという最低な選択。本来なら絶対にすべきでない選択のはずなのに、周囲はそんな俺を受け入れてしまった。そんな事を無意識に考えてしまった俺に我ながら吐き気を覚える。この選択を周囲の責任にするなんて、クズやカスという言葉では足りないほどの最低野郎だ。

 

「本当に良いんだな?」

 

「いいんだカズマ。お前は私を孕ませるだけでいい……それ以外の感情は不要だ。私を孕ませる……それだけを……っ……!」

 

「ダクネス……」

 

 ついに溢れてしまった彼女の涙を俺はそっと指でふき取る。そして、罪悪感に苛まれている心の奥底からこみ上げてしまった感情を抑えつつ俺はダクネスを抱きしめる。そして、ギュッと目を瞑ったダクネスを確認してから、俺は彼女の唇に顔を近づけて……

 

 

 

その瞬間、寝室に甲高い笛の音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

「ダメですよカズマさん! 甘い雰囲気なんて絶対ダメです! はい、5m離れましょう!」

 

「おう、すまない。ちょっと我を失いかけちまった……」

 

 素直に反省してから、俺はダクネスから5m程の距離を取る。それから深く深呼吸して冷静さをいくらか取り戻す。うむ、これは作業……単なる作業……

 

「よしダクネス。子供作るぞ!」

 

「ちょっと待てカズマ! どうしてクローゼットの中からゆんゆんが出てくるんだ!? しかも何故それを当り前のように受け入れる!?」

 

「そりゃあお前……ゆんゆんに許可を取ったからって言ったろ……?」

 

「っ……!?!?」

 

 絶句しているダクネスにクローゼットから出てきたゆんゆんがおっほんと偉そうに咳払いをする。そして余裕が感じられる微笑みを浮かべながらベッド近くの椅子に腰を下ろした。

 

「つまりはそういう事ですダクネスさん。私は貴方と子をなしたいというカズマさんに“子作り”の許可を出しました。決して“セックス”の許可を出したわけではありません!」

 

「しかしだなゆんゆん……セックスをしなければカズマとの子は孕めないのだが……」

 

「私の話が理解できなかったのですか? 察しの悪いお嬢様ですね……このっ……このっ!」

 

「あいたっ!? こら、何故叩く!? うっ……んんっ……なかなかやるではないか……あうっ!?」

 

 ゆんゆんがどこからか取り出したおたまでダクネスをビシバシ叩き始める。それをどことなく嬉しそうに受けるダクネスを見て俺は小さく溜息をついた。この二人が仲良くなる姿はいまひとつ想像できないのだ。

 

「いいですかダクネスさん? 私は貴方とカズマさんの子作り監督官です! 子作りは新たな命を芽吹かせる神聖な行為です! ずこずこぱんぱん激しくやったり、いやらしい嬌声をあげるのも絶対にダメです! キスなんてもってのほかです! 絶対に許しません!」

 

「なっ……!?」

 

 再び絶句するダクネスに俺も気持ちは分かるとうんうん頷く。しかし、俺の最低な要求を受け入れたゆんゆんに文句など言えるわけがない。それに、彼女の主張も当然と言える。子作りの許可を貰えただけでも御の字というものだ。

 

「ゆんゆん、貴様の言い分は理解出来た。つまりは、見られながらシて良いという事だな? くっ……将来、我が子にどのようにして生まれてきたか説明する時困るではないか! ああっ、カズマ私はどうすれば……!」

 

「お前は自分の子に何故そんな事を説明するんだ……?」

 

 興奮で頬を染めてベッドに伏せるダクネスをゆんゆんが何故か嬉々としておたまでビシバシ叩いていた。何やら面倒臭くなりそうなので俺は彼女達には触れずにとりあえず準備だけでもしておこうと服を脱ぎ捨てた。その瞬間、ゆんゆんがまたホイッスルを鳴らした。

 

「“ピーッ!”カズマさん、裸でなんて許しません! これを着て行為をしてください! ほら、ダクネスさんも……!」

 

「おっ……おおう……なかなか刺激的な服だなこれは……」

 

「どうです、機能美に溢れているでしょう? 徹夜して作ったんですから!」

 

 えっへんと胸をはりながらゆんゆんが全身タイツのようなものを手渡してくる。青色タイツを受け取った俺と、赤色タイツを受け取ったダクネスはその機能美溢れるタイツを見て思わず引いてしまう。我が嫁さんながら、なかなかにキてるもの作ったものだ。しかし、これが俺に対する嫉妬の思いからであると考えると、途端にゆんゆんが愛おしくて可愛くてたまらない。ダクネスには悪いが、事実なのだからしょうがない。思わずご満悦な表情をする俺に対して、ダクネスは相変わらず戸惑いの表情を浮かべていた。

 

「なあ、ゆんゆん……貴様が私を嫌う気持ちは分かる。しかし、このタイツの股間部に空いた穴はちょっと風情がかけるというか、神聖な行為にドロを塗るような気がするのだが……」

 

「あれ、そのおまんこ穴の大きさでは足りませんか? しょうがないですね。ガバガバなダクネスさんのためにもう少し穴を大きく……」

 

「っ……!? なんて卑猥な! というか私はガバガバではない!」

 

「いいからそれを着てください。私が許したのは子作りだけです。本当はカズマさんが私以外の女性と肌を重ねるなんて絶対に嫌なんですから」

 

「…………」

 

 不機嫌そうなゆんゆんの言葉を受けてダクネスは小さくなりながら黙り込む。それから、俺とダクネスはお互いに無言のままゆんゆんの特殊タイツを身に着けた。そして、装着が完了して向き合った時、全身を赤色タイツで包んで大事な所だけ丸出しなダクネスを見て俺は思わず吹き出してしまった。何というか、シュールすぎる光景なのだ。

 

「ぶふっ!? ひでー恰好だなダクネス! いひひひっ!」

 

「う、うるさい! 貴様も同じ服を着てるんだ! お互い様だバカ!」

 

「もう、二人ともイチャつかないでください! さっさと子作りしてくださいよ!」

 

 横っ腹にキレ気味なゆんゆんの頭突きを受けて俺は再び真剣モードに切り替える。これは笑いや愛とは無縁な儀式なのだ。俺は若干不機嫌そうなダクネスを軽く押し倒し、両足を開かせて彼女の膣口に愚息をあてがった。

 

「カズマさん! ガッとやってビュルっと出してパッと離れてください! 3分以上の挿入はダメです!」

 

「そう言われてもな……」

 

「どうしたカズマ? 私なんか色々と屈辱的すぎて逆に興奮してきたぞ! 早く挿入してくれ!」

 

 何やら興奮気味なゆんゆんとダクネスに、俺は我が愚息を堂々と見せつけた。そこにはふにゃりと力なく垂れている愚息が鎮座していた。それを見てダクネスは更なる屈辱と興奮で頬を染め、ゆんゆんは少し嬉しそうに溜息をついた。

 

「安心してくださいカズマさん! 私が応援します! ほら、がんばれ♡ がんばれ♡」

 

「おいやめろ」

 

「がんばれ♡ がんばれ♡」

 

「ダクネス……」

 

 ゆんゆんとダクネスの若干トラウマを刺激するワードに俺はげんなりしたが、愚息はビキビキにいきり勃っていた。別に俺が変な性癖だからといわけではなく、ぴょんぴょんジャンプするゆんゆんの乳揺れと、俺の腰をダクネスが両足でロックして陰唇を裏筋に擦り付けるという連携プレイによるものである。

 もう何もかもがどうでも良くなった俺は早くこのカオスな状況を終わらせるため、勃起した愚息をすでにぐしょ濡れとなっていたダクネスの性器にぶち込んだ。火傷しそうなほどの熱さと程よい締め付けは想像以上に気持ち良いものであった。

 

「おう……これはなかなか……あだぁ!? 叩くなゆんゆん!」

 

「カズマさんがだらしない顔をするからです! はい、ビュッと出してください! もちろん腰をスコバコ動かしたらダメですよ!」

 

「無茶言うなよ! 気を抜いたら今にも中折れしそうだってのによ!」

 

「んほおおおおっ!? しゅごい屈辱なのおおおっ! ララティーナおかしくなっひゃうううぅぅ~!」

 

 キレるゆんゆんと何故かアヘるダクネスに俺は頭がパンクしそうになる。もうどうにでも良くなった俺は、ダクネスのたわわなおっぱいを引きちぎるように鷲掴みにする。そして、ゆんゆんの指示を無視して力強くダクネスの膣を穿いた。

 

「うおおおおおおおっ!」

「いひいいいいぃぃぃ!? しゅごいのかじゅまああああっ! んひっあひっ!」

 

「いいからさっさっと孕めええええええええっ!」

 

「ひゃいいいいっ! ララティーナ孕んじゃいましゅううううっ!」

 

 ダクネスの子宮を正常位で強く穿つたびに結合部からは潮がピュッピュと下品に吹き出る。そして、だらしなく舌を出して涎を垂らす彼女は正にアヘ顔という他にないほど蕩けていた。俺はその姿に下衆な征服欲を覚えつつ、こみ上げる射精感に任せて腰を打ち付け続けた。

 

「あああああっ! 出るっ……! くううううう!」

 

「カズマさん、カズマさん……」

 

「なんだよゆんゆん!? 今良い所なんだよ!」

 

「カズマさん……」

 

 シーツをギュっと握って腰をくねらせて快感に酔いしれるダクネスの横で、ゆんゆんは顔を俯かせていた。だが、俺だってもう止まれない。この状況をさっさと終わらせたかったし、ここまで来たら射精したいというのが男の性だ。

 

「くっ……イクイクっ……!」

 

「あひっ……かじゅまあああっ!」

 

「うおおおおおおおっ!」

 

 獣のような咆哮を上げながら、俺は快楽に身を任せる。無論、この一発で孕ませてやるという気合も入れる。

 

「カズマさん」

 

 視界の隅でゆんゆんがゆっくりと顔をあげる。その表情は悲しみで歪み、目元には大粒の涙が浮かんでいた。でも、もう遅い。俺は射精をするためにダクネスへ腰をぐっと強く打ち付けて――

 

 

「カズマさん、愛してます……!」

 

 

 狂乱に満ちたカオスな状況が一瞬で凍り付いて静寂に包まれる。床にペタリと座り込んでぐすぐすと泣くゆんゆんを俺はまともに見る事ができなかった。そして、愛しさと罪悪感と少しの怒りの感情が湧き起る。

 

「はぁ……このタイミングで言うか……?」

 

「うるさいですっ……! 何もかも全部カズマさんがいけないんですっ……!」

 

「そりゃあそうだけどよ……」

 

 正論すぎて何も言い返せない俺は頭をガシガシ掻いて誤魔化す他はなかった。そして、これからどうしたものかと考え始めた時、微かな悲鳴がダクネスから漏れた。思わず目を向けると、彼女は絶望に打ちひしがれたような表情をしていた。そんなダクネスの視線の先のものを見て俺も呻いてしまった。

 

「おおう……」

 

「貴様っ……! この私とセックスしてたんだぞ!? それなのに……!」

 

「あんな事言われたらしょうがないだろ」

 

「っ……!」

 

 目を伏せるダクネスを見て、俺は事態を余計に面倒臭い事にしたのではと自己嫌悪に陥る。ダクネスの愛液に濡れてぬらぬらと光りながらも、ふにゃりとして元気なく垂れさがる愚息が無言の抗議を送ってくるが、射精感など何処かに吹き飛んでしまった。ダクネスの膣からずるりと抜けてしまった性器の意味するものは一つしかない。ふむ、これが“中折れ”というものか……

 

「ようやく理解できた。やはり貴様らは私をバカにして遊んでいるのだろう!?」

 

「そんなつもりはないが、今更信じろって言っても無理だわな」

 

「当り前だ。茶番はもういいから帰ってくれ……帰れ……! お願いだから帰ってくれ……!」

 

 ダクネスまで泣き始めてしまっては最早埒が明かない。俺は謎タイツを脱ぎ去り、さっさと服を着る。そして、泣き続けるゆんゆんをそっと抱き寄せてテレポートで我が家へと帰還した。

 

 俺はリビングにつくとぐすぐす泣くゆんゆんをとりあえずソファーに座らせる。それから、ゆんゆんが作り置いていたハーブティーを火にかけて温めた。室内にはぼそぼそとした微かな話声が聞こえてくる。どうやら、アクアがさよりの無限ループ絵本読みの餌食になっているらしい。その事に思わず笑みを浮かべてしまいながら、温めたハーブティーをゆんゆんへと差し出した。

 

「なんつーか、色々とすまんな」

 

「私こそごめんなさい……あんな大口を叩いておきながらこんな……」

 

「謝んなよクソバカ。俺はむしろ嬉しいからな」

 

「バカじゃないです……」

 

 俯くゆんゆんの頭を優しく撫でながら、俺は胸の中に広がる幸福感を堪能する。それを噛み締めながら、移り気な自分に対して溜息をつく。今となってはダクネスの事なんかどうでもいいと感じてしまっている。彼女が精神的に病もうが、何処かで野垂れ死にしようが関係ない。愛すべき家族を犠牲にするほどの価値は全くないのだから。それに、アクアもエリス様もいる。ダクネスが本当に最低最悪な事態に陥る事もないはずだ。

 

「やっぱり俺は浅はかだったよ。ダクネスを孕ませて精神的に楽になりたかったクズ男だ。でも、お前のおかげで目が覚めたさ。勝ち気で余裕で中々にキテるお前に慣れて忘れていたけど、元々お前ってかなり嫉妬深くて夢見がちな女の子だったよな」

 

「別に私は嫉妬なんて……」

 

「今更何言ってんだよ。エロ本にまで嫉妬して燃やしたりするくせに」

 

「そ、それとこれとは違います!」

 

 ぷんすか怒るゆんゆんを抱きしめて背中と頭をゆっくり撫でる。そうすると、彼女は途端に大人しくなった。そして、誠心誠意の謝罪の言葉を口にした。

 

「今まですまなかったなゆんゆん。俺の嫁さんはお前だけだ」

 

「カズマさん……」

 

「さっきの返事だ。俺も愛してるぞゆんゆん」

 

 

彼女と俺とでは言葉の重みが違う。

 

でも、それは俺の紛れのない本心からの言葉である事に変わりはなかった。

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「んみゅっ……カズマさん、寝ちゃったんですか?」

 

「んー……」

 

「カズマさん?」

 

「…………」

 

 私がカズマさんの肩をはみはみ噛みながら抱きしめるという至福の時間を終えて顔を離すと、彼は小さく寝息を立てていた。あのダスティネス邸を離脱した後、私とカズマさんはお互いの愛を深めていた。とはいっても、ひたすらにキスをしたり頭を撫でて貰ったり、嫌がる彼を無理矢理噛んだりと甘えに甘えまくっていただけでえっちぃ事はしていない。

 彼が寝てしまって手持無沙汰になった私はとりあえず下着を履き替える事にした。えっちぃ事はしていないが、下着はもちろん悲惨な事になっていたのだ。まぁ、仕方のない事である。

 

「ふふっ……ふふふふふ……! カズマさんの愛を改めて感じられました! こうなった私はもう無敵です! だから安心してくださいねカズマさん! ちょっとダクネスさんを虐めてきますから!」

 

 私の宣言にカズマさんは寝返りをうつ事で答える。そんな彼に穏やかな気持ちにさせられながらも、私はクローゼットの奥の小箱から懐かしいモノを取り出してバッグへと入れる。それから、彼への書置きを残してテレポートの魔法を発動させた。

風景が我が家から先ほどまで過ごしていたダスティネス邸の離れ前へと切り替わる。少し緊張しながら玄関の扉を押し開けると、何ともヒドイ光景が目の前に現れた。

 

「かなり暴れたようですね……」

 

 壁や床、豪華な調度品には大きな裂傷が出来てバラバラになっていたり、中に詰まっていた羽毛などが宙に舞っている。まるで盗賊にでも入られたかのように滅茶苦茶な光景に内心で笑い声をあげながらも、ゴスゴスという破壊の音が聞こえる寝室へと足を向ける。そこには、やはりというかダクネスさんの姿があった。彼女は下着姿で大剣を構え、目の前に置かれた抱き枕を執拗に切り付けていた。

 そして、大ぶりの一撃が抱き枕に命中して切り飛ばされた一部分が私の傍にふわりと落ちてきた。その抱き枕の一部には、私とカズマさんとさよりの写真が貼り付けられていた。

 

「趣味が悪い事をしていますねダクネスさん……」

 

「なっ……!? 貴様! 何故戻って来た!」

 

「そんな事も分からないのですか? 貴方を嘲笑うためです」

 

「っ……!」

 

 大ぶりな大剣の一撃が私に襲いかかる。でも、彼女の攻撃の精度は悪い。足を半歩引くだけで、大剣での攻撃は容易く避けられた。そのまま追撃してくるダクネスさんの剣を私は苦も無く避け続ける。しかし、いつの間にか追いつめられていたようだ。私の背中に、固い壁の感触が押し当たった。

 

「はぁ……はぁ……! この性悪女め! ぶっ殺してやる!」

 

「あら、物騒ですね。そんな事をするとカズマさんに嫌われますよ?」

 

「はっ! 私はすでに嫌われている! それに、もう何もかもがどうでもいいんだ! お前が……お前さえいなければこんな事には……!」

 

 滂沱の涙を流しながら彼女は今までとは比べものにならないほど鋭い一撃を叩きこんできた。しかし、ダクネスさんの大剣は彼の思いと温もりという最大の支援魔法がかかった私を捉える事は出来なかった。彼女の一振りをかわし、脇の下をくぐるように背後へ回る。そして、無防備すぎる背中に私は渾身の蹴りを入れた。

 

「ぐっ……!? くそっ……くそっ……!」

 

「ふふっ、無様ですね。何だか興奮してきちゃいます」

 

「貴様っ……!」

 

 顔面を壁に強く叩き付け、床にうつ伏せで這いつくばるダクネスさんを見て不思議と気分が高揚する。憤怒の表情で私を見上げる彼女はまだ諦めないとばかりに取り落とした大剣へと手を伸ばす。その手を思いっきり踏みにじり、短杖を彼女の眼前へと突き付けた。

 

「貴方がヤケクソになる気持ちも分かります。女としてのプライドをズタズタに切り裂かれ、挙句に思い人は私への愛を貫き通した。もし、私が貴方の立場ならば今すぐにでも自殺しますよ」

 

「そんな事……言われなくても分かってるっ……!」

 

「私だって相応にイラついているんです。だから、ダクネスさんの無様な姿は見ていてとても溜飲が下がる思いです。貴方って本当に可哀相な人ですね」

 

 額に青筋を浮かべたダクネスさんが踏みつけられた手に力をこめる。私はそれに対し更なる踏みつけで対応し、短杖で彼女の頭に中々に強烈な一撃を叩き込んだ。そして、頭部から流れた一筋の血が彼女の目に入った時、ダクネスさんの全身から力を抜ける。その反応を見て、私は彼女の手から足を外す。そうるると、彼女は体を丸めて子供みたいにわんわんと泣き始めた。

 

「なんで……なんで私がこんな目に……こんなはずじゃなかったのに……」

 

「少しやりすぎましたか……」

 

「うるさい! 本当にお前さえ……お前さえいなければ私は……私達は……!」

 

 両手で顔を覆って恨み言を述べるダクネスさんを鼻で笑いつつ、私は彼女の横に腰を下ろす。そんな私の行動にビクリとする彼女に何とも言いようがない罪悪感と、優越感で胸が満たされた。

 

「ダクネスさん、私は貴方の事が許せません。大っ嫌いです」

 

「知ってるさ……」

 

「貴方は私の愛する人に執拗に迫り、挙句の果てに逆レイプをしました。めぐみんやエリス様と同じようですが、彼女達と貴方には大きな違いがあります。つまり、私に隠れて行動を起こした事、肉体関係まで無理矢理持った事……何よりカズマさんを苦悩させて精神的に苦しめたことが許せません!」

 

「…………」

 

「彼を愛しているのなら分かるでしょう? あの人は自分に非があると思った事はつい隠してしまおうとする悪癖があります。それに悩みを一人で抱え込みやすい人でもあるんです。そして、貴方の無残な姿と懇願を受けて見捨てられるほど非情な人ではありません。貴方がした事で彼が苦悩する事はやる前から承知していたのでしょう?」

 

 私の質問に彼女は目を伏せて無言で答える。その姿に苛立って、私は短杖で軽く床を叩いてしまった。バンっという衝撃音に体を震わせ、不安そうな表情でこちらをチラチラ見てくるダクネスさんが何だか可愛かった。もう一度床に杖を叩きつけてみようか……なんて変な気分を吹き飛ばして、私は愚痴るように話を続けた。

 

「そして、そんなカズマさんの苦悩を真に理解できなかった私に腹が立ちます。何より許しがたい事は、彼が私よりも先にアクアさんを頼った事。それを知った時、私がどんな気分になったか貴方は分かりますか?」

 

「知るか……」

 

「知らないはずないでしょう?」

 

「…………」

 

 ダクネスさんが沈黙した事で室内は静寂に包まれる。そのまま、しばらくの時間をお互いに無言で過ごしてから私はため息をついた。

 

「ダクネスさん、私は貴方の事が許せませんけどある意味感謝の念を抱いています。貴方のおかげで私はカズマさんの良い所を更に知ることが出来ましたし、愛を再確認する事が出来ました。何故、カズマさんが私に貴方との浮気を隠したのか、単なる後ろめたさや罪悪感からというのもありますが、私に愛想を尽かされるのが怖かったからなんて理由もあったんです。ふふっ、カズマさんってどちらかというと私を無理矢理引っ張っていくような強情で我を押し通そうとする人ですけど、そんな彼が私に愛想を尽かされるのが怖い、不安だと考えて悩んでいたなんて可愛いと思いませんか? いくら彼が下衆の鬼畜になっても私は彼を捨てませんし、更生してあげる。これは私がめぐみんからカズマさんを奪う時に立てた建前的な誓いですけど、私の本心でもあるんです。それほど、私はカズマさんを深く愛しているんです。それなのに、彼は私に嫌われる事、愛想を尽かされる事にとても恐怖しているんです。よく聞いてみると、私が他の男に靡いてしまわないか心配で仕方がないのだとか。ふふっ、本当に可愛い……私の思いも肉体も何もかもが永遠に彼のモノなんですよ? 私がカズマさん以外の男に靡く、そんな幻想に彼は囚われて悩みを抱え込んでしまいました。これには私にも少しばかり落ち度があります。カズマさんがそんな悩みを持たないようにもっともっと愛を伝えて体に刻み付けるべきでした。そんな心配性で可愛いカズマさんはダクネスさんの事が見捨てられない様子。だから、私は貴方との子作りに許可を出しました。別にカズマさんが私以外の女と肉体関係を持つ事は嫌ですけど決して許せない事でもありません。その“程度”、私は全然気にしませんからね。何故かって? そんなの私がカズマさんを愛して、カズマさんが私を愛しているからに決まっているからじゃないですか。とにかく、私はそんな思いを胸に許可を出したんです。それでも、全てが許せるわけじゃない。だから、私は彼に同行して貴方に嫌がらせをするつもりでした。子供を作るための愛の営み……とても甘美で思い返すといつでも幸せになれちゃう思い出を汚してやろうと思いました。でも、子作りまで否定するつもりはありませんでしたし、私にはそんな事をしない“余裕”がまだありました。でも、カズマさんが貴方を孕ませようとしている姿を見た時、思わず涙が出ちゃったんです。これには私自身驚きました。今までに無かった感情が急に溢れたんですからね。端的に言えば、私もカズマさんと同じ気持ちになってしまったんです。愛するカズマさんが、もしかしてダクネスさんに靡いてしまうかもしれない。カズマさんに愛想を尽かされるかもしれない。私より貴方の体が気持ちいいとか言って私を蔑ろにして貴方の体を求めるかもしれない。そんな不安が一気に溢れちゃったんです。こうして無様に泣く私を、カズマさんは優しく抱きしめて慰めてくれました。そして、私の不安を彼の愛情で吹き飛ばしてくれました。あのスケコマシで性欲の強いカズマさんが明確に私以外の女性と関係を持たないって言った上に心のこもった愛の言葉を囁いてくれました。ああっ、幸せすぎて死んでしまいそうです! やっぱり彼は私を一番に愛している。その事を再確認するきっかけを貴方は与えてくれました。だから感謝したいのです。ありがとうダクネスさん」

 

 

 私の感謝の言葉を、ダクネスさんは呆けたような表情で受け止めていた。その姿にイラつきながらも、私は彼女に手を差し伸べた。そんな私を今度は目を白黒させながらチラチラ見てくる。その姿に私は更にイラついた。

 

「そんな愛するカズマさんにも落ち度はあります。彼はダクネスさんを孕ませて精神的に楽になろうとしていた。だから、今回のようなお願いを私にしてきたんです。子供さえ与えて捨ておけば壊れた貴方を見なくて済みますし、私との家族も維持できる。そんな事を短絡的に思っていた節があります。先ほど、彼の口から私への愛と一緒に貴方を完全に捨てるという意味の発言を聞いてある程度の確信は持てました」

 

「っ……」

 

「カズマさんが私以外の女性に手を出す事は別に許せない事ではありません。彼に一番愛されているのは私です。だから、私にとって貴方がカズマさんと肉体関係を持つ事は、彼が気まぐれに売女相手に性処理をした事と何ら変わりませんからね」

 

 私の発言にダクネスさんは恨みのこもった表情で見上げてくる。それでも、最初程の勢いもなければ力もない。全身は虚しく弛緩し、瞳には諦観と悲しみが込められていた。その姿で私もいくらか溜飲を下げた。この姿を見て、彼女より私が優位にある。それを確信していないと、正直やっていられないのだ。

 

「でも、子作りは性処理とは違います。新たな命の創造であり、愛すべき家族を受け入れる大事な儀式でもあります。もしカズマさんが貴方との子を成したならば、貴方とその子供を家族として受け入れるという意味合いを持つんです」

 

「だが、カズマは私と子供を作って私達を捨ておくつもりであったし、私からもそうお願いした。別にそこまで深く考えなくとも……」

 

「貴方もカズマさんと同じくらい楽観的なんですね。あのカズマさんが、自分の子供とその母親を完全に捨て置けるなんて無理に決まってるじゃないですか。きっと、私の家族と貴方達の間をふらふらして自爆するでしょうし、それでは私も幸せになれる気がしません。それに、子供達の将来も考えてあげてください。さよりと貴方の子供がギスギスする姿は見たくありませんし、彼が持ってる莫大な遺産をめぐって争いをするなんて事もありそうですし、考えると嫌な気分になるんです」

 

 カズマさんが私に持つ愛に嘘偽りがない事は理解している。だからこそ、彼が私以外の女性と作った子供を蔑ろにするなんて想像も出来ないし考えたくもない未来だ。だからこそ、私はあの瞬間に涙してしまったのだ。もしかしたら、私との家族以外をもっと愛してしまうかもしれない。それが怖くて怖くてたまらなかった。でも、今の私にはカズマさんが与えてくれた愛と余裕がある。だからこそ、彼女を私の“家族”に受け入れる事に大きな抵抗は覚えなかった。

 

「ダクネスさん、貴方がカズマさんとの子供を持ちたいというのなら、私と“家族”になってもらいます。私達から離れて子供と二人で暮らすなんて絶対に許しません!」

 

「ゆんゆん……?」

 

「もちろん、奥さんと嫁さんの座は絶対に許しません! でも、家族として、カズマさんの子供の母親になる事は認めてあげます! それが受け入れられないなら、すぐさま彼以外の男と結婚して子供を作ってください。そうすれば、カズマさんも諦めが付きますから……」

 

 私が差し伸べた手をダクネスさんは驚愕と期待のこもった目で見つめている。そして、彼女はおっかなびっくりと言った様子で私の手をそっと握って来た。

 

「正直言って、何故貴様がそんな提案をしてくるのか理解が出来ない。だが、私にもチャンスが残されているというのなら逃しはしない。私はお前の家族になる……いや……してください……」

 

「本当に良いのですか? 正直言って貴方の事は嫌いですし、家族になっても陰湿に虐めてやるつもりです。そんな嫌な女である私の家族に、貴方は本当になりたいのですか?」

 

「そんな事はカズマの子供を産むという褒美を前にしては些細な事にすぎないし、虐めも私にとってはむしろご褒美だ。それより、お前こそ本当にいいのか? お前の言葉を信じるなら、お前はカズマの独占も可能だったはずだ。それなのに、何故私を受け入れる?」

 

 どこか警戒するような目で私を見るダクネスさんを軽く嘲笑う。確かに彼女の言う通りだ。私はカズマさんの独占が出来る立場にある。しかし、それで得た幸せは長くは続かないそんな気がするのだ。無論、“彼女達”を見ているからこそより強くそう思ってしまう。ああっ、今更になってまた怒りがぶり返してしまった。本当に、貴方達さえいなければ……!

 

 

「理由なんて大したものではありませんよ。私が“嫌な女”だからです」

 

 

 私の言葉を聞いて彼女はしばらく押し黙る。そして、不敵な笑みを浮かべながら私の手を振り払った。そんな彼女はしっかりと自分の足で立ち、表情にも彼女らしさが戻っている。本当にいけ好かない女性だ。

 

 

「ならば容赦はしない。私は“諦めの悪い女”だからな!」

 

 

 ドヤ顔でそう言い放ったダクネスさんに私はとってもイラついた。でも、今回だけは許すとしよう。だって、彼女は私の家族なのですから……

 

「ダクネスさん、私は貴方の事が嫌いですけど、家族になったこれからはそうは行きません。嫌でも仲良くしましょう!」

 

「そんな事を言われては、私は仲良く出来る気がしないな」

 

「安心してください。私もそう思います。でも、仲良くするしかないんです。だからこそ、今の険悪な関係を一旦忘れましょう! そして、初心というものに戻ってみませんか?」

 

 そう言いながら、私は持ってきたブツをダクネスさんに見せつける。彼女はそれを懐かしさと驚きが混ざったような表情で見てきた。彼女と私は正直言って友達の友達という微妙な関係だ。その関係をこれはほんの少しだけ動かしてくれた大切な品だ。

 

「ダクネスさんも、まだ持っているでしょう?」

 

「愚問だな。ふふっ、そうか……面白くなってきたじゃないか……!」

 

 私とダクネスさんは思わずクスクスとお互いに笑う。先ほどまで殺し合って憎み合って大嫌いだったこの女と、少しだけ仲良くなれた。

 

そう思う事にした。

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 空が紅く染まる夕焼け時、俺とアクアはさよりと手を繋いで帰路へとついていた。どこか遊びにつれていってというお願いを叶えるため、俺はアクアとさよりを連れて寂れた森林公園に足を運んでいたのだ。むやみやたらに池ポチャさせようとするアスレチックに娘とアクアと毛玉は大はしゃぎであったが、俺は色んな意味で疲れてしまった。そんな俺を、娘は調子の外れた歌をアクアと口ずさみながらぐいぐいと引っ張っていた。

 

「お魚を焼く匂い~」

 

「晩御飯の……アクアお姉ちゃん! 今日のご飯はなに?」

 

「んーアンタは何が食べたい?」

 

「お肉が良い!」

 

「そうなの。それなら買い物して帰らなくちゃね!」

 

 更に速度の増した二人に引っ張られながら、俺はほっこりとした気分になる一方で、元気だなぁと素直に感心していた。かくいう俺は、娘達の遊びに付き合って疲労困憊である。本当に、どこからそのエネルギーが出てくるのだろうか。そんな事をとうとう娘に引きずられ始めて考えていた時、俺達の前によく見知った人物……ゆんゆんの親父が現れた。

 

「よう、カズマ君にアクアさん! そして、さより! 元気にして……ほぐっ!?」

 

「んーお爺ちゃん臭いー!」

 

「わははは! そうかそうかー!」

 

 我が娘は出会い頭に突進頭突きを叩き込み、それを腹で受けたお義父さんは呻きながらも嬉しそうにしていた。ちなみに、さよりはお義父さんの加齢臭をすんすんと嗅ぎ続けていた。誰に似たかは知らないが、匂いフェチの気があるらしい。早くも将来が心配な娘に俺は小さく嘆息した。

 

「なあカズマ君、今日はさよりちゃんをこのままウチで預かるつもりだ。というか、先ほどゆんゆんにお願いされてな!」

 

「そうなんですか? アイツってば朝から変な書置き残して行方を眩ませていたんですけど……」

 

「何だかかなり張り切っていたぞ。まぁ、二人目はいつでも大歓迎だぞカズマ君!」

 

 つまりはそういう事らしい。何だか気恥ずかしくてしどろもどろになる俺を、親父さんは満面の笑みで、アクアはジト目で見つめてきた。別にさよりが寝てからヤる事はやってる。しかし、娘を預けた時は割と過激なプレイをするのがゆんゆんの傾向だ。今夜が楽しみになって来たが、たまに妙なプレイも要求してくるので素直には喜べなかった。

 

「さより、そういうわけだから今日はお爺ちゃんの所にお泊りで構わないか? おばあちゃんも喜ぶぞー」

 

「んっ……いいよお父さん! じゃりめも一緒だし、お爺ちゃんの家には本がいっぱいあるもん! それに、老人と交流して喜ばせる事も子供の務めだってお母さんが言ってたしね!」

 

「ゆんゆんもキツイ事言うなー! 私はまだ老人って年齢じゃないぞ! まぁ、さよりのお爺ちゃんである事は確かだがな!」

 

 さよりの中々にヒドイ一言を受けても、お義父さんは相変わらずデレデレしていた。そんな有頂天な彼にさよりを預け、周囲の警戒を行っていた毛玉には遊び相手兼護衛の任を与えた。毛玉は面倒臭そうに鼻を鳴らしながらも、尻尾をふりふりしながらさよりを背に乗せる。なんだかんだで、この毛玉も面倒見が良い奴なのだ。

 そして、娘がいなくなって寂しくなった帰路をゆっくりと歩く。脳内では今夜ゆんゆんをどうしてやろうか、真剣に考えていた。

 

「つーかお前も来るのかよアクア。めぐみんの家に退避でもしたらどうだ? この前みたいに寝取られプレイにつき合わされたりするぞ?」

 

「何を今更って感じだわ。勝手にズッコンバッコンしてなさいな。私は編み物の続きをしたいし、ダクネスのために色々と作戦を練ろうと……って、この前の奴は私にとってプレイじゃないんですけど!」

 

「アイツも中々に意地が悪いからな。可愛いからいいけど」

 

「アンタも大概ね……」

 

 呆れるアクアを侍らせつつ、俺は目的地である我が家へとたどり着いた。そして、玄関扉を勢いよく開く。もしかしたら、前々回みたいに裸エプロンで迎えてくれるかもしれない。そんなワクワクした気分で帰宅した俺は、予想外の光景を前に唖然としてしまった。

 

「お帰りなさいませご主人様! ご飯にしますか? お風呂にしますか? それとも……」

 

「新米メイドである私に貴様の種で新たな命を注ぎ込みますか?」

 

 

俺は扉を勢いよく閉めた。

 

 

 そして、この状況に頭を抱え込む。メイド服姿のゆんゆんが出迎えた事は想定内であった。しかし、その横に昨夜に事実上の縁切りをしたダクネスが同じくメイド姿で待っていたのだ。ダクネスを連れてきたのはゆんゆんで間違いないはずだ。昨日の今日で一体どんな心境の変化があったのか、全くもって理解が出来なかった。

 

「とりあえず入りなさいなカズマ。ダクネスとの仲が今より良くなるなら私は大歓迎よ。それに、メイドとしてあの二人の存在が許せないんですけど!」

 

「いや、しかし……うーむ……」

 

 俺が躊躇っているうちに、アクアが再び玄関の扉を押し開けた。そして、再び目の前に飛び込んできた二人を見た後、俺はゆんゆんに歩み寄る。彼女は、変わらない微笑みを浮かべていた。

 

「なあ、ゆんゆん。俺の覚悟は信じられなかったか?」

 

「いいえ、信じています。信じているからこそ、こうすべきだと思いました」

 

「今度ばかりはお前の考えてる事が全く分からねえな……」

 

「分からなくていいんです。いや、分からないでいてください。貴方は私達を愛して幸せにしてくれるだけでいいのですから」

 

 蠱惑的な笑みを浮かべるゆんゆんに気圧されて俺は黙り込む。そして、今度は堂々とした態度で居座っているダクネスに胡乱気な目を向けた。しかし、彼女も一切動じないで挑発的な姿勢を崩さなかった。

 

「ダクネス、お前もいいのか? 俺やゆんゆんに散々な扱いを受けたはずだ。それなのに、俺の事がまだ好きだっていうのか?」

 

「もちろんだ。私は諦めの悪い女だ。貴様に愛してもらうチャンスがある限り私は屈しない」

 

 二人して余裕を崩さない姿に俺はどうしていいか分からず萎縮する。しかし、胸の奥底からふつふつと湧き上がってくる妙な感覚に、俺は懐かしい気持ちを覚えた。ああ、ダメだ。抑えが効きそうにない……

 

「おい、お前ら。俺は欲望に対しては素直な人間なんだ。やっていいと言うのなら、俺は本当に二人まとめて抱いちまうぞ?」

 

「いいですよ。カズマさんの欲望、全部解放してください!」

 

「んっ、思いっきりやってくれ。そして、私に新たな命を注いでくれ!」

 

 散々に苦悩して家族のためにと決意したのに、ゆんゆんの方からぶち壊されたのは正直いって少し頭に来ている。だが、二人の女性にここまで言われてしまったのならば最早引き下がる余地はない。何だか、何もかもがどうでも良くなってきた。もう、このまま快楽に身を任せる……そんなゲスな気持ちになってきた。

 そして、俺は上がり始めた口角をそのままに、ソファーの上にどっかりと座る。そしてどこか期待するかのように目を輝かせる二人を見据えて俺は退廃的な宴の始まりを告げた。

 

 

「おう、しゃぶれよ雌犬共」

 

 

「「はい、ご主人様!」」

 

 

 

 俺の言葉をうけたゆんゆんとダクネスの表情はだらしなく蕩けきっていた。そして、二人は四つん這いで俺に近づきズボンを脱がしてくる。無論、俺のペニスは勃起していた。色んな意味で準備万端なのだ。

 

「しかし、懐かしいものをつけてるじゃないか。ダクネスも捨てずに持っていたとはなぁ……」

 

「貴様が私にくれたプレゼントだ。捨てるわけないだろう? それに、今回の行為は私とゆんゆんの仲を深めるという意味もあるんだ。これをつけていたころは、割と仲が良かったんだぞ?」

 

「それに私はこのプレイを結構気に入っているんです。丁度良い機会ですし、私もこれを楽しみながら、これから長い付き合いになるダクネスさんと仲を深めるつもりです!」

 

 そんな事をのたまう二人の頭の上にはふさふさとした犬耳がついていた。おまけに、お尻からは尻尾が生え、首には犬用の首輪が取り付けられていた。これらは随分昔にやった犬耳メイドプレイをした際に俺がプレゼントしたものである。捨てずに持っていてくれた事は、俺としては素直に嬉しかった。そして、あの頃の退廃的な日常を思い返して少し和んだ。

 

「よし、それじゃあ先に俺をイかせた奴は撫でてやるぞ!」

 

 ご褒美という言葉を聞いた途端、二人は争うように勃起したペニスへの愛撫を開始した。ゆんゆんはちろちろと亀頭部を舐めながら、ちゅちゅうと鈴口を吸い、ダクネスは金玉を口に含んではむはむとしていた。何とも支配欲が満たされる光景に俺は高笑いをあげたくなった。

 

「おほっ! なかなかいいぞ二人とも!」

 

「んっ……ちゅるっ……れろっ……チンポおいひいですご主人様……んぶっ……!」

 

「んうっ……んはっ……ゆんゆん……そろそろ私にも竿を……あいたっ!? 抓る事ないだろう!」

 

 大好きなおもちゃを奪い合うように奉仕を行う彼女達を俺はソファーで大の字に座りながら見守った。そして、ダイニングテーブルに目を向けて不貞腐れたように足を組んでこちらを見るアクアに手招きをする。そうすると、彼女は途端に表情を明るくしていそいそと近づいて来た。

 

「何よカズマ。まさか私にもやって欲しいの? どうしてもって言うならやってあげなくもないのだけど……」

 

「おう、腹減ったから冷蔵庫から適当に食べ物持ってきてくれよ」

 

「っ……! っ……!」

 

 ピクピクと顔を引きつらせながらも、アクアは素直にパシリに応じた。長いメイド生活で彼女に丁稚根性が身についてしまったのかもしれない。そして、昨夜の夕飯の残りであるからあげが詰まったタッパーを持ってきた彼女に、食べさせてくれというアイコンタクトを送った。そうすると、彼女はため息をつきながらも、若干嬉しそうにソファーに近寄って唐揚げを指でつまんで差し出してきた。

 

「さんきゅーアクア……うむっ、あの時以来の酒池肉林だな!」

 

「アンタってばもう一児の父親でしょう? もう少し節度ってものを持ちなさいな……」

 

「うるせえ! 世の中のお父さんだってヤる事はヤってんだ! それに俺は誘われた方なんだ。もう、どうなったっていいだろうが!」

 

「ヤケクソになってるみたいね……んっ……」

 

 唐揚げの油と俺の唾液がついた自分の指をどこか恍惚とした表情で舐めとっているアクアは、ゆんゆん達の方をチラリと見る。それから、考え込む事数十秒後、彼女はパチンと指を鳴らした。

 

「カズマさん見て見てー私もケモミミ生えて来たんですけどー!」

 

「んっ!? ほぉ、中々似合ってるじゃないか」

 

「そ、そうなの!? えへへっ……それなら……ふぁっ……お尻ダメ……尻尾のお触りは禁止なんだから……んっ……」

 

 突如としてアクアの頭部に出現した狐耳を撫でながら、ふんわりもふもふとした尻尾にも手を伸ばす。軽く引っ張ったりしてみたが、どうやら紛い物ではなく本物のようだ。尻尾の根元をクニクニと揉み解し、狐耳を軽く口に含んでやると、アクアはビクビク痙攣しながら甘い吐息を吐いていた。か、かわいいじゃないか……!

 

「んぶっ……ちょっとご主人様!? なんでアクアさんとイチャついてる上にご褒美まであげているんですか!?」

 

「そうだぞ! というか本来は私がメインのはずだろう! 私も撫でて欲しいというか……その……!」

 

「いいからお前ら奉仕を続けろ。そうだな……次は二人でパイズリして貰おうか!」

 

 俺の一言に、二人は目線を合わせてからコクリと頷く。そして、二人して一気に服をずり下げてぷるりとしたおっぱいを丸出しにした。俺はそれを満足げに眺めながら、アクアの下着の中に手を潜り込ませた。そこはすでに熱く濡れそぼり、軽く指で突くだけで愛液がとろりと流れ出していた。

 

「んひっ……んぁっ……ダメっていってるじゃないカズマ……! あの子達が見てる……あうっ……!」

 

「ちょっ、カズマさん……!? ダクネスさん! 私達もやりますよ!」

 

「任せろ! これは私の物語なんだ!」

 

 ゆんゆんは俺の右ひざに形のいい巨乳を乗せ、ダクネスは俺の左ひざにだらしのない巨乳をどっしり乗せた。うん、素晴らしい。やはりおっぱいが大きい女の子が正義だ……

 

「ダクネスさん、このまま挟撃です! えいえいっ!」

 

「ふむ、いいだろう! そらっ……!

 

「ああっ……いいぞ……その調子だ……!」

 

 二つの巨乳に巨乳に押しつぶされて我が愚息も大喜びで硬度を増していた。柔らかいながらも張りのある巨乳がぎゅむぎゅむと押し当たり、時節擦れるコリコリとした乳首が新たな快感と彼女達の嬌声を引き出す。圧倒的な気持ち良さとは言えないが、ほどよい刺激と男を幸せにする光景を前にしてゾクゾクとした快感がせりあがってきた。

 

「はうっ……んふっ……ご主人様のえっちなお汁でおっぱいがテカテカしてきちゃいましたよ……!」

 

「ふふっ……良い表情だご主人様……このまま思いっきり射精するがいい。私達のはしたない胸をどろどろの精液で汚してくれ……んっ……んひっ……!?」

 

 上下左右にと巨乳が擦れて潰れ、それを一心に受けるペニスはビクビクと震えていた。その震えに合わせて彼女達が体をピクつかせる光景を見ていよいよ俺も射精感がこみ上げてくる。おまけに、悪戯していたアクアも横で声を押し殺しながら肩を震わせる。どうやら、俺の愛撫で気をやってしまったらしい。せわしなく動く狐耳がそれを如実に伝えていた。

 

「くっ……いくぞお前らっ……! おらっ! もっと激しくだ!」

 

「はいご主人様! んしょっ……んしょっ……!」

 

「ふむ……こうか……?」

 

「んっ……ひっ……もうやめてカズマ……! イッたばっかりで……んぁっ!? そこ……だめぇ……!」

 

「くっ……ふっ……イク……! う゛っ!?」

 

 彼女達の可愛い姿と、支配欲の満たされるこの光景が一押しとなって俺はとても気持ち良く射精した。勢いよくビュルビュルと放出された白濁はゆんゆんとダクネスのおっぱいを白く染め、一部は顔にまで飛び散る。二人はそれを嬉しそうに舐めとりながらも、少し納得いかないという表情で俺をジトっと見てきた。

 

「じゅるるっ……私達がイかせたのに、なんでアクアさんを可愛がっているんですか!」

 

「んっ……んむっ……私には散々躊躇ったくせにアクアとは気安く浮気するんだな」

 

「こ、これは悪戯だからノーカンなんだよ! 性器に挿入もしてないしな!」

 

「むぅ! 貴方にその変な価値観を植え付けちゃったのは私ですけど、ちょっと納得行きません……」

 

 むくれる彼女達に少したじろぎながらも、俺は引く気はない。俺にとって悪戯は趣味と実益を兼ねた重要な行為だ。悪戯の餌食になっているアクアやエリス様を散々にイカせたり、俺もイッたりしているのだが挿入していないのでノーカンである。うん、ノーカンノーカン!

 

「まぁ、それについて語るのはまた今度だ。それよか、ご褒美に挿入してやる。二人で抱き合いながら寝転べ」

 

「もう……まあいいでしょう。今日はダクネスさんの受胎が優先事項ですもんね!」

 

「受胎か……少し思い描いていた光景と違うが、悪くはない。それに、貴様も中々に良い趣味をしているな」

 

 そう答えた彼女達は俺の命令通り素直に抱き合って横になる。仰向けになったダクネスのマウントを取るように覆いかぶさるゆんゆん。そして、俺の目の前には重なるお尻と純白のパンツの下でヒクつく二つのマンコ……思わず歪んだ笑みが浮かんで涎がじゅるりと出てくる。正に、男のロマンを体現させた光景だ。

 

「さぁご主人様、どちらに先に挿入します……? 私……欲しいです……!」

 

「もちろん私が先だろ? なんせ私を孕ませるんだからな……!」

 

 ふりふりと揺れる二つの大きなお尻に自然とふらりと吸い寄せらせられてしまう。そして、どちらに先に挿入するのか、それとも間をとってW素股を楽しむのか、じっくりと悩んでから俺は復活して勃起しているペニスの狙いを定め、下着を横にずらして一気に挿入した。愛液で濡れそぼり、抵抗なく入ったペニスは最奥の子宮口近くまですぐさま到達する。締め付けの強さ、膣内のひだと挿入時の気持ち良さ、そのどれもがいつもとは違い非常に新鮮だった。

 

「ひぁ……んはぅ……! ふふっ、そうか私か! やっぱり私に挿入したかったんだろう? くうっ……いひっ!? その奥をゴリゴリするのは良い……んぁっ……ひゃんっ!?」

 

「むぅー!」

 

「怒るなゆんゆん。流石にこれ以上ダクネスを虐めるのは忍びないからな。代わりにお前には……んぐっ!」

 

「あうっ!? んふっ……んふふっ!  良いですよご主人様……もっと私を噛んで貴方だけの所有物だって刻み付けてください! んぁっ……痛いけど……嬉しい……!」

 

 俺が最初に挿入したのはダクネスだった。前回の逆レイプや種付け時は感情が乱れて気持ちよさなんて二の次であったが、今の余裕ある状態で彼女を抱いてゆんゆんとは違った気持ち良さがある事に気付いた。何気に、ゆんゆん以外の女性に挿入したのは5年ぶりとも言える。力強い締め付けと、最奥のコリコリ感がたまらなく気持ちがよかった。

 

「そらっ……オラっ……! くぅ~いい締まりだダクネス! 流石はお嬢様!」

 

「んひっ……あうっ……んっ……! お嬢様は……関係ない……あああああっ!?」

 

「あ゛あ゛~たまらんっ! やっぱお前には激しく……だよなっ……!」

 

「いっ……あひっ……!? んやぁ……激しすぎて……んっ……ふぁうっ……あっ……はうっ……!」

 

 俺はパンパンと子気味良い音を立てながら腰を前後に激しく振る。ペニスを叩き込むたびにゆんゆんとダクネスの尻が俺の腹と膝に触れるのがどうしようもなく気持ちが良かった。そのまま欲望のままに腰を振ってダクネスを喘がせ、余った手でゆんゆんを撫でながら優しく甘噛みする。

 こんな綺麗で可愛くておっぱいが大きくて俺を愛してくれる女性二人を同時に相手にする。そんな背徳的で夢のような状況に酔いしれた。しかも、片方は孕ませ希望ときたもんだ。理性よりか、本能的な部分が快楽と喜びの感情を後押しする。この迷惑お嬢様を孕ませて俺の女にしてやる。そんな支配的で獣染みた欲望が沸き上がってきた。

 

「オラッ! 孕めダクネス! それが望みなんだろ!」

 

「んひいいいいいいぃっ!? 奥にズンズン来るのいいっ……! もっと……もっとしてくれ……はひっ……あうっ!?」

 

「よし、ここかああああああっ!」

 

「ひゃああああああっ!? すごっ……んひっ……っ……!? んんんんんぅ! ひゃん……っ……んぅっ……!」

 

 正常位でガンガン突きながらも、彼女の反応が良い箇所を左右の動きをつけて抉るように刺激をする。それに対して、ダクネスは舌を出しながら嬌声をあげ、膣内と体をビクビクと痙攣させ、思いっきり体をのけ反らして深く絶頂をした。そんなダクネスに振り落とされそうになって慌てるゆんゆんにほっこりしつつ、俺もフィニッシュをするためズコバコとした激しいピストンを開始した。

 

「しゃあっオラ! 出すぞダクネス! 今から本当に孕ませてやるからな! 逃げるなら今のうちだぞ!?」

 

「おほっ……はひっ……あうっ……誰が逃げるか……子供……私の子供……!」

 

「せいやあああああああっ!」

 

「ひゃああああああああああああっ!?」

 

 

 最後の一押しをしながらも、俺はゆんゆんの首筋に顔を近づけてそっと囁いた。それに対して、ゆんゆんは苦笑しながら囁き返してきた。

 

「本当にいいのか……?」

 

「いいですよ。もう、彼女は私の“家族”の一員ですから」

 

「ふんっ、そうか」

 

 正直言って、ゆんゆんの思惑はいまだに分からない。だが、目の前の女を孕ませるという欲望を前に俺の憂いは快楽で霧散した。

 

「くあっ……出るっ……うう゛っ!?」

 

「んほおおおおおおおおおお!? 妊娠確実ゥぅうううううう」

 

「おいやめろ」

 

 盛大なアヘ顔を晒しながら体をビクビク痙攣させるダクネスから俺は逸物を引き抜く。そして、ヒクヒクとしている膣口からどろりと溢れるほど溜まっている精液を見て俺は満足げに頷く。そして、脱力してアヘるダクネスの上でこちらを振り返りながらお尻を揺らすゆんゆんに我慢が効くわけなかった。ゆんゆんは顔を蕩けさせ、眩しかった純白の下着も愛液で濡れて淫らな白色になっている。彼女の準備はすでに出来ているようだ。

 俺は再度フルチャージして硬度を取り戻したペニスをゆんゆんの秘所へと挿入する。いつものように俺を出迎えてくれたそこは、ペニス全体を優しく包み込むゆるふわゆんゆんまんこだった。

 

「あはっ……! ダクネスさんで出したばっかりなのに、まだ元気ですね……ひぅっ……!」

 

「当り前だ。少し衰えた気もするが、俺もまだまだ若いからな!」

 

「んひっ……んへへっ……やっぱりご主人様とのえっちは最高ですぅ……!」

 

「やっぱゆんゆんはえろい子だな!」

 

 俺の指摘に、彼女は困ったように表情になりながらも、ズンズンとペニスで突くたびに蕩けた表情に戻っていく。ゆんゆんが淫乱でおちんぽ大好きっ娘なのは最早否定出来ない事実だった。だからこそ少し心配なのだが……

 

「くっ、やっぱゆんゆんのアソコはゆんゆんだよな……!」

 

「意味……分かりません……! んっ……ふぅっ……ひゃんっ!?」

 

 ゆんゆんの締め付けは以前と比べれば少し落ちたし、膣内の硬さが取れて初期のような強すぎる刺激はない。だが、とろふわで全てを包み込む膣内は、継続的な気持ち良さと快感を与えてくれる名器に他ならなかった。何より、愛する子供産んでこのように膣内が変化したという事実が愛しくて仕方がなかった。

 

「ご主人様……もっと強く激しくしてください……! もっとっ……!」

 

「分かったよ……せいやあああああっ!」

 

「ひゃああああっ!? これっ……これが気持いんですううううっ! んぁっ……いくっ……っ……あうううううううっ!」

 

 精液を搾り取るように膣内を収縮させながら、ゆんゆんはダクネスの上に絶頂の快感と共に倒れ伏す。そんなゆんゆんに更なる追撃をしている時、視界の端で一人悲しくソファーの上で自分を慰めているアクアが目に付いた。そんな彼女に軽く手招きをすると、またもいそいそと近寄ってくる。そんな彼女を片手で抱き寄せ、有無も言わせず強引に唇へむしゃぶりつく。アクアは少しの抵抗を見せたもののすぐに口を開いて俺の舌を受け入れた。

 

「んじゅっ……じゅるっ……んっ……んんんんんぅ!?」

 

「ご主人様!? 私の番なのにアクアさんとキスするんですか!?」

 

「んむっ……いいんだよ! それに俺もそろそろ限界で……う゛っ!?」

 

「ひゃっ!? そんないきなり……んぅっ……暖かい……!」

 

 ドクドクと勢いよく射精された精液は全てゆんゆんの膣内へと注がれる。そして、ペニスを引き抜いてゆんゆんにもしっかり中出し出来ている事を確認する。二人の犬耳メイドが抱き合って精子を膣から垂れ流す光景は正に夢のようであった。

 

「さーて……おらっ!」

 

「んひいいいいいっ!? 妊娠確実ぅううううっ!」

 

「お前は壊れた玩具か……」

 

 俺は再びダクネスに挿入し、アクアをゆんゆんの上へと突き飛ばす。ダクネスとゆんゆんが押しつぶされてむぎゅっと鳴く声が聞こえたが、最早知った事ではない。そして、アクアの水玉綿パンツを無理矢理脱がして彼女の秘所にむしゃぶりつく。

 

 

もちろん、俺のペニスはすぐさま気力を取り戻した。

正に女神様様である!

 

 

「ヒャッハー! ダクネスが孕むまでエンドレスレイプだおらああああああああっ!」

 

「んほおおおおおおおおっ!? 孕むうぅ…! らぶらぶれいぷで赤ちゃん孕んじゃううううっ!」

 

「ご主人様……それは最早レイプじゃない気が……って私のおっぱい吸わないでくださいよダクネスさん!? ひゃあっ! まだ母乳が出てて……あぅ……!」

 

「ちょっとカズマ!? そこ吸っちゃダメで……んっ…もうっ!」

 

 

 

 

 

 

結局、この宴はアクアの口から直接受胎告知を受けるまで延々と続けられた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 とまぁ、今となっては思い出深いダクネスの受胎からどれほどの時がたったのであろうか。さよりのお母さんいっぱいる問題が勃発したり、彼女が学校に行きはじめて日中が少し寂しくなったりと、実に様々な事があった。

 気が付けばダクネスも臨月を迎え、俺は新しい命の誕生を今か今かと待ち続けている。また、ゆんゆんとじっくり二人目仕込んでいる最中だ。そんなド畜生である俺は天界にあるエリス様のお部屋に御呼ばれしていた。色んな意味で騒がしい我が家や、同じく色んな意味で落ち着かないダクネスの傍で過ごしていると、こうしてエリス様とまったりしたり、アクアと一緒に隠れて酒を飲みに行くのが丁度良い気晴らしになるのだ。

 

「それでダクネスの奴が胎教って奴にどっぷりハマってしまいましてね。それにゆんゆんも影響された教育ママって奴になりかけてるんすよ……」

 

「いいじゃないですか。教育は将来の子供のためにもなりますからね。まあ、何事もやりすぎは良くないですよね」

 

「そうなんですよ! この前なんか子供に騎士の手本を見せるとか言って臨月なのに大剣振り回したんですよ? 全くアイツは……」

 

「ふふっ、ダクネスらしいです」

 

 クスクスと朗らかに笑うエリス様に俺は思わず見惚れる。そんな自分に呆れながら、俺はお茶を口に含む。もうすぐ子供が生まれるってのに気が多い奴だ。

 そして、そのような状態にある俺に彼女はすぐさま気付く。さり気なく椅子をずりずりと動かして、俺の隣へとやってくる。鼻孔をくすぐる女神特有の甘くて安心できる匂いが俺の疲れ気味な心を深く癒してくれた。

 

「ところでカズマさん、私とは子供を作らないのですか?」

 

「ぶふぁっ!? いきなり何を言うんですか!?」

 

「いきなりも何も、そろそろ頃合いじゃありませんか。ゆんゆんさんはダクネスを受け入れた。貴方もゆんゆん以外の女性を受け入れる覚悟が出来たでしょう? そこに私を入れるなんて簡単な事じゃないですか」

 

「いや、でも……そんな……」

 

 思わず考え込んでしまう俺にエリス様はそっともたれかかってくる。彼女の柔らかくて控えめな躰が密着して、どうしようもなく彼女を意識してしまう。しかし、俺はゆんゆんに言った覚悟を自分から壊すのはまだ躊躇いがあった。

 

「カズマさん貴方の不安はよく分かります。貴方はとても嫉妬深い男性です。絶対に奪われたくない女性が、一人から二人に増えた。その事で毎日気が気でないのですよね……?」

 

「っ……!」

 

「近頃は私やアクア先輩、あの色ボケ小説を書いている紅魔族の少女に“悪戯”をする時、随分と余裕がなさそうですよね? それほどにまで貴方は必死になっている。ゆんゆんさんやダクネスも貴方を心底愛しているというのに、報われないものですね」

 

 苦笑しながら俺に体を擦り付けてくるエリス様を俺は横腕で抱き寄せる。この女神様には俺の全てが筒抜けになっている。本当に敵わない思いであった。

 

「貴方はあの淫乱悪魔の手ほどきを受けた事があると聞きました。そして、あの淫乱共の親玉にも会った事があるそうじゃないですか。少し癪ですが、あの淫乱悪魔が言った事は真実だと思いますよ。“愛”に勝るものはないってね……」

 

「何故それをエリス様が!?」

 

「ふふっ、私はいつだって貴方を見ているのですよ」

 

 クスクス笑うエリス様に俺は本格的にお手上げだ。今は昔、ゆんゆんと懇意になる前に俺はサキュバス達から性技についての講習を受けていたのだ。その合格率1%以下とも言われる最終試験で俺はサキュバスクイーンと対峙したのだ。あの時の絶望的な戦いを切り抜けたのは正に幸運だったとしか……

 

「というか、見てたって事は……」

 

「大丈夫です。悪さをしない限りは淫乱悪魔と言えども手を出しませんよ。今は」

 

「良かったぁ……」

 

 流石に俺のせいでサキュバスのお店が潰れたらお世話になったアクセルの冒険者達に申し訳が立たない。その事に安堵しながらも、俺はエリス様にまともに顔向け出来なかった。

 

「カズマさん躊躇っていては悪くなる一方です。私だってこのままだと貴方に冷める可能性があるんですよ? 正直言って、愛人もちで二人の子持ちの貴方は普通に考えれば魅力がありません」

 

「なっ……!?」

 

「いいんですか? 私が貴方以外の女になっても? まあ良い機会ですし、貴方の事は諦めましょうか。私だっていいなぁって思う人は……きゃっ!?」

 

 気が付けば、俺はエリス様を思いっきり突き飛ばしていた。そして、彼女に覆いかぶさって動きけないように拘束する。自分自身の行動に驚いたが、体が動いてしまったのだからしょうがない。

 

「へぇ……私をレイプするのですか? それでは私の離れかけている心は取り戻せませんよ?」

 

「うるさい」

 

「うくっ……!? くふふっ……乱暴なのも悪くありませんね。それじゃあ、貴方には一つ助言を与えましょう。体を支配するのは最も効率的な束縛と言えるでしょうね。でも、真に自分のものにしたいのなら、心と魂を奪うんです。どうすればいいかなんて、分かっているでしょう?」

 

「くっ……」

 

 俺に押し倒されているというのに彼女の余裕は変わらない。おまけに、今の自分にとってとてつもなく突き刺さる助言をしてくれた。だが、それをしてしまったら俺は……

 

「カズマさんって本当に最低な人ですよね。無意識のうちにというものでしょうが、貴方は“順位づけ”をしている。一番奪われたくないのはゆんゆんさん。次に奪われたくないのは……私……それともアクア先輩?」

 

「っ……!?」

 

「哀れなのはダクネスやめぐみんさん達です。自惚れでなければ彼女達の優先順位は私より下、彼女達は他の男に奪われても受け入れる覚悟をしていた。とてつもなく、どうしようもなく、とんでもなく最低なとある優越感を持っていた事、ゆんゆんさんの存在があったからこそそう思ったのですよね?」

 

 思わず耳を塞ぐ。しかし、彼女のクスクスとした笑いは微かに聞こえてくるし、全てを見透かしたような瞳と笑顔が俺を逃がしてはくれなかった。

 

「でも、その優越感は私にもアクアさんにも持っているものですよね?」

 

「うぐっ……!」

 

「それならば、私とダクネス達の違いは何だったのでしょうか? ダクネスの優先順位が上昇した今だからこそ、理解できるのではないですか?」

 

エリス様にそう言われて、俺は観念したように力を抜く。やっぱり、この女神には敵わない。そして、俺の思いが分かっているからこそ、彼女はこれだけ強気なのだ。

 

「エリス様、正直俺はこの言葉があまり好きじゃない。それほど俺はこの言葉を口にして来た。それほど俺の言葉はスカスカで中身がないんだ……」

 

「それならば、心を込めて言ってみてください。大丈夫ですよ……私は女神。言葉に乗せられた思いの真偽は見抜けます」

 

 朗らかに笑いながら、エリス様は俺の頭を両手で抱き寄せる。仰向けになった彼女の額に、俺の額がコツンとぶつかる。俺の本能と理性の両方が今すぐにでもこの女性を自分のモノにしたいと訴えかけてくる。その欲望に俺は勝てなかった。他の男のモノになるくらいなら、俺のモノにして奪われる恐怖に震えた方がマシだ。ああ、我ながらクズすぎる。ゆんゆんはきっとなくだろうなぁ……

 

 

 

 

 

 

「エリス様……愛してます……」

 

「ふふっ、よく言えましたねカズマさん」

 

 

 

 

俺の全てが決壊した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 紅魔の里のとある家の外で、私はアクアさんと二人で一緒に佇んでいた。屋内からは、喜びの喝采と微かな産声が聞こえてくる。どうやら、無事に終わったらしい。心のどこかで失敗すれば良かったのに……なんておぞましい事を考えていた事実を闇に葬り去る。うんうん、無事でよかった!

 

「アクアさんは行かないのですか?」

 

「別に後でいくらでも見られるわ。それこそ、アンタはどうなのよ?」

 

「私はもう少し心を落ち着けてから行きます」

 

 ぶっきらぼうに答えた私をアクアさんは苦笑しながら見ていた。そして、心配そうな表情で私の下へ近寄ってくる。その姿が、何だかとてもイラついた。

 

「ねぇ、ゆんゆん。本当に良かったの?」

 

「今更何を言っても事実は変わりません。それにこれは私が選択した道ですから」

 

「そうなの……貴方は強いわね……」

 

 どこか羨ましそうに私を見つめてくるアクアさんに、私は少し得意げに胸を反らしてみる。それだけ、この道を選んだ事とカズマさんに対する愛に自信があるのだ。

 

「だって、私がカズマさんに一番愛されている女性ですからね! それに、妻の役目は夫に憂いではなく安らぎを与える事。カズマさんには思い悩むような事はして欲しくないんです!」

 

 そう宣言した私を、アクアさんが突然抱きしめてきた。まさかソッチの気があるのかとギョっとしたが、実はそうではないらしい。彼女は、まるで子供を愛撫するように私の背中を撫でてきたのだ。

 

「無理しなくていいのよゆんゆん」

 

「私は無理なんか……!」

 

「今まで貴方に負けた女性達……めぐみん、ダクネス、エリス、そして私。4人全員の狂気と異常性を貴方はよく理解してる。だから貴方は……」

 

 アクアさんの言葉に私は深く溜息をつく。なるほど、流石は女神。人望も高いし友達は私より遥かに多い。だから、私の秘めたる思いを理解できたのだろうか。ああっ、本当に虫唾が走る。

 

 

でも、私の体はアクアさんの事を抱きしめ返していた。そして、彼女の耳元でそっと囁いた

 

 

 

 

 

「貴方達なんかいなければよかったのに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 日が落ちる前の夕暮れ時、私は再びとある家の玄関先へと来ていた。そして、ノックもなしに扉を開ける。扉の先には豪華な調度品と贈り物でごった返していた。そんな落ち着かない家の中央で、一人の女性が赤ん坊を抱いて幸せそうに椅子に座っている。

 

「んっ……ゆんゆんじゃないか。私の子を見に来たのか?」

 

「そんなところです。性別は……」

 

「カズマに聞いてなかったのか? ふふっ、元気な男の子だ! この子は将来大物になるぞ! なあカイズ!」

 

 ダクネスさんの呼びかけに、カイズという名前の赤ちゃんは鬱陶しそうに体を揺する。その姿を見て、私は思わず頬が緩んでしまった。

 

「それじゃあダクネスさん。我が家に帰りましょうか」

 

「……? 我が家はここなんだが……」

 

「そうですね。でも、私達“家族”の家はここではありませんよ」

 

 私の言葉にダクネスさんは困ったような表情を浮かべる。そして、申し訳なさそうに私に問いかけてきた。

 

「なあ、本当にいいのか? 私はここに居所を移してから声がかからないから、つまりはそういう事だと……」

 

「ああ、それは勘違いですよ。私も妊娠中は周りに構われすぎて鬱陶しい思いをしたんです。だから、貴方にはそんな事を思わず伸び伸びと過ごしてもらうつもりだったんです。でも、赤ちゃんが生まれたならそんな憂いともおさらばです。赤ちゃんって本当に大変なんですよ? それに、その子は家族の一員、私の子供でもあるんです。だから、帰りましょう? 私達のお家に」

 

 ダクネスさんは涙目になりながらコクコクと頷いた。そして、嬉しそうに子供に何かを囁いてから私の隣へと立つ。その姿を私はじっくりと眺める。まぁ、こういうのも悪くはない。そんな思いを私は持ってしまった。

 

「だから、ダクネスさん。家では私にしばらく好きにさせてくださいね? 家事を代わるとかもダメです!」

 

「ふふっ、どうした? さっそく虐めが始まるのか?」

 

「それもありますけど……私も鬱陶しい思いはしたくないんです」

 

 そう答えて、私は思わず愛おし気にお腹を撫でてしまう。その姿を見て、ダクネスさんは驚きながらも満面の微笑みを浮かべていた。そして、彼女を連れて愛すべき我が家へと帰り着く。カズマさんは驚きの表情で、アクアさんとさよりは笑顔で出迎えてくれた。

 

「なあ、ゆんゆん。本当にいいのか?」

 

「当り前です! ダクネスさんも、カイズ君も、父親がいるのに離れて暮らすなんてあってはならない事です! それに、彼女達も私の“家族”ですからね!」

 

「ゆんゆん……」

 

 申し訳なさそうにするカズマさんを私は小突く。彼はこの大きくて歪な家族の大黒柱だ。しっかりしてもらわないと私が困るのだ!

 

 

「それじゃあ今日は私がダクネスさんとカイズ君の歓迎会をしましょうか! ふふっ、料理は私が……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あら、ダクネスは歓迎するのに、私は歓迎してくれないのですか?」

 

 

 

 

 

 思わず声が止まる。いつの間にか、私のすぐ目の前にエリス様の顔があったのだ。そして、彼女は意味の分からない事を言い放った。

 

 

「だって、私も“家族”なんでしょう?」

 

 右手でお腹をさすりながら、右手で口元を抑えてクスクスと笑うエリス様に気圧されて私は押し黙る。そして、まさかと思って私はカズマさんの下へ振り返る。

 

それから、全てを理解した。

 

 カズマさんが、驚愕の表情を浮かべて体をガクガク震わせ、とてつもない量の冷や汗を流していたのだ。加えて、彼の横に控えていたアクアさんが強い嫉妬を瞳に宿らせていた。

 

 

気が付けば、私の両目からは涙が溢れていた。

 

 

 そんな私をカズマさんが悲痛な表情を浮かべて見つめてくる。そんな顔をするくらいなら、最初からしなければいいのに……

 

「カズマさん、私を抱きしめてください」

 

「いいのか……」

 

「いいから早くしてください!」

 

 彼にぎゅっと抱きしめられて、私のどうしようもない怒りや悲しみがいくらか霧散する。本当にこの人はどうしようもない人だ。でも、彼に愛想が尽きるなんて事はなかった。むしろ、より強い愛を心が渇望している。どうやら、彼はめぐみん達だけでなく私まで“狂わせて”しまったらしい。そして、彼の首元にある傷を指でなぞって安堵した。

 

 

 

今までも、そしてこれからも!

 

彼の一番愛する女性はこの私だ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「がるるるるるるるうううううっ!」

 

「ぎゃあああああああああっ!?」

 

「わっ!? アクアお姉ちゃん! お母さんがお父さん食べてる!?」

 

「目を瞑って見過ごしなさい。あれはゆんゆんお母さんの一種の愛情表現で……」

 

「ちょっ!? アクア先輩!?  血が……血があんなに……!? カズマさん……? カズマさーん!?」

 

 

 

 

 

 

 

うん、おいしい!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




カイズ(仮名)
カズマさんとダクネスの子供。男の子
原作でもカズマとダクネスの子供が出る可能性はあるかもなので仮名だ!
名前の元ネタはやはりというか魚

穴あきタイツ
The Last Man on Earthという海外ドラマのパク……オマージュ
中々に面白い期待のドラマだ! オススメだぞ!


次回からはほのぼの一辺倒です!
やったね!


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