「んっ……っはああああっっ‼」
身体の奥を刺し貫かれるという行為。それも刃などのものではなく、ともすればそれらよりも凶悪な
下腹部から感じられるのは、微かな痛み。25年間守り続けていた純潔が散らされた証明であるその痛みすらも、今の彼女には愛おしく思えてしまう。
「あぁあんっ‼ ふぅあああっ……」
膣口から子宮まで至る道は、挿れる前から大洪水だったこともあり、破瓜の痛みは思っていたほどでもない。それでも結合部を見下ろしてみれば、処女膜を破った証である僅かな量の血が流れ落ちているのが見て取れた。
「ふ、ふふっ」
妖しい笑みが思わず零れてしまったのも仕方ない事だろう。漸く、愛した男と繋がって一つになる事ができたのだから。
「サラ、痛くないか?」
「ん、大丈夫、よ。思ったより痛くないし、それに……」
「?」
「気持ち良い、から。だから……」
動いて頂戴、とサラがレイの耳元で囁いた瞬間、レイが破瓜の血が付いた肉棒を一度引き抜き、そのまま再び力強く差し込んだ。
「んあ、ああああアアアアアっ‼」
嬌声が漏れ出るのと同時に、元々僅かしか感じられていなかった下腹部の痛みも完全に吹き飛んだ。
逃したくない、その愛情を余さず受け止めたいと、ただ一途にそう思うサラの感情とリンクするように、膣肉が蠢き、絡めとる。
獲物を捕らえた食虫植物のように貪欲に、しかしそこには紛れるものなど何もない愛がある。
「あ……」
「全てを受け止めてあげる」という、単純ながら最も深い愛。それを感じた瞬間、レイの腰つきが徐々に早く、激しくなっていく。
「サラっ、サラぁっ‼」
「んんっ、はぁっ、んああぁぁっ‼ ―――っ、ふふっ。やっぱり、んぁっ‼ アンタは、んっ、甘えてる姿の方が、可愛い、わよっ」
身体同士が触れ合う音、そして互いの凹凸が満たされ、抜かれる度に厭らしく響く粘っこい音が、優位性を譲っていなかった
とはいえ、理性が完全に吹き飛んだわけではない。腰を打ち付けている間にも舌をたっぷりと絡め合い、丹念に豊満な胸を揉んでいく。
その様子は、隅々までマーキングをしている子犬のようで、愛おしさが込み上げてくると共に女としても嬉しかった。
”コイツは俺の女だ。誰にも渡さないし、渡す気もない”―――と、言外にそう声高に叫ばれているよう。
その支配欲をぶつけられている事が、どうして疎ましく思えようか。男の嫉妬は見苦しいというが、少なくともサラは、彼の嫉妬ならば余さず受け止める覚悟はあった。
「んちゅ、れろぉっ、んんぁっ……もっと、もっときて‼」
「後悔、するなよっ‼」
ただ突き刺すだけではない。ピストンの速度は一回ごとに緩急がつけられ、異なる刺激がサラを襲う。
口が離れて滴る淫猥な涎を、もはや拭う事もできない。たぷんたぷんと大きく揺れる胸に顔を埋め、唾液まみれの口で乳首を吸い上げながら、それでも腰の振りは止まらない。
気づけば、サラの方からも淫らに腰を振っていた。
もはや、全身全てが性感帯。愛する男の体であれば、どこを触られてもイき狂う。
「んぁん‼ あはああぁぁっ、ふぁぁっ‼ す、好き‼ 大好き‼ レイ、愛してる‼」
「俺だって、お前が好きだ‼ 愛してる‼ もう絶対に離さない‼」
「んんんんんっっっ‼」
遂には愛を叫んだ言葉ですら、耳朶を通して感じて達してしまう。
すると、挿入されていたレイの肉棒が一瞬ビクンと跳ねた。
「っ、そろそろ、限界だ。
「‼―――」
何が、などとは聞かなくても理解できてしまう。
精液。レイの種だ。膣内で受け止めれば妊娠してしまう可能性もあるモノであったが、その辺り、サラは抜かりがなかった。
震えっぱなしの両足を動かして、レイの背中で交差させる。この状況で足で体を絡めとられるという行為がどういう意味なのか、それが分からない程レイは鈍感ではない。
「サラ……」
「ちょう、だい。アンタの濃いのを、アタシの
「っ、ああ‼」
そう答えると同時に、肉棒が到達できる一番奥にまで突き入る。その瞬間、サラの
「んんっ‼ んんんああああああアアアアアっっっ‼」
まず感じたのは、これまでとは比べ物にならない程の熱。
放たれたドロドロとした白濁液が膣内を溺れる程に満たしていき、蹂躙される快感に酔う。これまでにない極大の快感に、射精が終わるまでに4、5回は連続してイった程だった。
「と、溶ける、溶けちゃ……ぁぁ……」
心の理性はもはやドロドロに。
きっと自分は今、だらしのない顔を晒しているのだろうと分かっていても、緩み切った頬の筋肉を引き締める事はできなかった。
しかしレイは、額に汗を浮かばせながら、サラの頬を優しく撫でた。
「綺麗だ、サラ。これ以上ない程に……」
「ん……いやぁ……」
意地悪な男だ、と思う。
緩み切ってだらしのない顔を、事もあろうに「綺麗だ」と、含みも持たせずにそう言っている。そう言われて、嬉しくないわけがない。
グチュ、クチュリ、という卑猥な音を立てて肉棒が引き抜かれると、少しして膣口から流し込まれた白濁液が漏れ出てくる。
同時に立ち込めた濃い雄の臭いが、本能的にサラの体を起き上がらせた。
「んぁ……んちゅ、れろぉっ……んんっ……」
愛液と精液の混合液が絡みついている肉棒に、サラは躊躇う事なく舌を這わせ、やがて咥え込んでいく。
誰にも、何も教わっていない筈なのに、雌の本能が奉仕の仕方を教えてくれる。愛している男を悦ばせる術を、心が理解し実践する。
「っ……ぁ……」
これには流石のレイも快楽に震えた。気の強いサラが四つん這いのまま自分のイチモツを咥え込んでいるという事自体もそうだが、まさかここまでしてくれるとは思わなかったからだ。
「ん……はぁぁっ。ふふっ、ごちそうさま」
「随分、エロいな」
「そりゃそうよ。アタシだって、んっ、好きな男にはとことん尽くしたいもの。それとも……こういう女は嫌い?」
「大好きに決まってるだろ」
ゴクリと、サラは口内に溜まった白濁液を嚥下する。
味そのものはお世辞にも美味しいとは言えない代物だ。だが、咀嚼し、飲み込む事に忌避感はない。
大好きな男の精だから。それもあるだろうが、思っていたよりも自分の淫らさが深かった事もあるのだろう。唾と共に食堂を通り、胃まで落ちるその過程にすら、形容し難い幸福感を感じてしまう。
優しげに下腹部をさすりながら微笑んでみせると、レイはそのまま、しだれかかるようにしてサラに体を預けて来た。
「……もし妊娠したら責任は取るからな。教えてくれよ」
「何言ってんの。アタシだって女なんだから、自分の生理周期くらい把握してるわ。今日は大丈夫よ」
「それでも、だ」
年上だから、というそれだけの理由で女性だけに責任を押し付けるのは、そもそもレイの矜持が許さなかった。
一度愛を告げて、肉体関係まで持ったからには、そうした責任を背負うのが男の義務だと、そう分かっていたからだ。
そんな事を思っていると、不意にサラの手がレイの後頭部に添えられ、そのまま優しく撫でられる。
「本当は、アタシから誘う筈だったんだけど……ダメね、こんなんじゃあ」
「んなことはない。どっちにしたって俺がお前を好きな事に変わりないしな」
「そのセリフ、シャロンやクレアにも言う事になるんでしょうね」
先程の意地悪の意趣返しと思って言った言葉だったが、胸の中で抱かれている当人がビクッと過敏に反応したのを見て、僅かばかり罪悪感を覚える。
責めるつもりなど、毛頭ないというのに。
「大丈夫よ。アンタがアタシ達全員を愛してくれてるのは知ってるから。そりゃあ劣ってると思われたくないけど? アンタを責めたりなんてしないから、ね」
「……ありがとう」
先程までの威勢はどこへやら。急にしおらしくなったレイを見て、更に深く抱きしめる。
一度抱かれてみて分かった。自分がこの男性に掛ける
既に溺れてしまったからには、身を委ねるしか他はない。依存と言っても差し支えはないが、それもいいかなと思えてしまう程には、この男が愛おしくてしょうがなかった。
「……サラ」
すると、むくりとレイが起き上がる。サラを覗き込むような体勢は、最初に押し倒した時と同じ構図だった。
「
ドクン、という脈動と共に、レイの右首筋が熱を持つ。しかし、口から紡がれる言葉は止まらない。
「嘗て―――俺に殺される事を望んだ
首筋に浮かび上がるのは魔法陣。稀代の魔女が彼の体内に仕込んだ呪いの魔術《
元よりこの程度では―――
「大事な、人達だった。そりゃああんな所に居た人達だから、どこか頭のネジ緩んでたり吹っ飛んでたししてたトコあったさ。―――それでも、大事だった。目の前でいなくなったから、尚更だ」
レイの右眼から、汗とは違う滴が滴り落ちる。煌々と光る首筋の魔法陣が齎す疼きと痛みなど、一切介さないと言わんばかりに。
「俺は、護ろうと思った大事な人を護れた経験の方が少ない。どれだけ強くなっても、どれだけ立場を変えても、斬り進む事しかできない俺じゃあ、必ずどこかから零れ落ちる」
無念があった。
弱さを見せれば弱くなる。涙を流せば流すだけ惨めな過去を思い出すから、せめて人前では流すまいと心に誓った。
「だから、
しかし、それは間違いだった。
リィン達も、サラ達も、レイが思っている以上に強い。実力もそうだが、何よりも精神が。
「馬鹿、だよな。馬鹿すぎる」
「―――えぇ、そうね。ホントに、バカ」
躊躇わずにそう言い返して、サラは今度は自分からレイの唇を奪った。
啄むだけの軽いキスを交わしてから、しかし言葉とは裏腹に優しい表情を浮かべた。
「あの子たちもアタシたちも、アンタがいない状況を嬉しいとは思わない。もしアンタが自分一人だけ行くような事があったら、アタシは学院の教官なんか辞めて地の果てまでアンタを追いかけ続けてやるわ」
「っ……」
「だから、アタシたちには弱みを見せて頂戴。アンタがどれだけ苦しい状況に立たされても、絶対に見捨てたりなんかしないんだから」
その言葉に、レイも微笑を浮かべ、涙を拭った。
それならばと再びサラに抱きつくと、彼女の顔が再び赤色に染まっていく。
「ちょ、ちょっと……ねぇ、まだする気?」
「当たり前。弱みを見せろって言ったんだから、俺が足腰立たなくなるまで付き合ってもらうぜ?」
「そ、それは構わない……っていうかむしろ望むところだけど……」
「どうやらアイツらは空気読んでくれてるみたいだし? 日が昇るまで、な」
「ちょっ、イキナリ―――んあぁぁぁっ‼」
再び膣道を抉る肉棒の硬さと熱さによがり始めるサラ。
結局レイの言葉通り、月が沈んで空が白み始めるまで、ベッドが軋む音と断続的な嬌声はやむ事がなかった。