描きたい事が多すぎるって言うのもあれよなぁ……。
糖分が欲しい。
「……はぁ」
寝返りを打つとベッドのフレームがギシッと軋む。
時刻は17:45と時計に映されていた。
二段ベッド故に近い天井を眺めながらつい先程迄の事を思い出す。
先程の女性兵士――コニーの事を。
「……うん?」
目の前で決死の覚悟と言わんばかりに力んで放った言葉の意味を理解出来なかった。
覚えていないか? だと?
いや……。
「悪いけど……君みたいな美人さんは知り合いにいない……と思うんだけど」と殆ど無意識に近い中で呟くように言った言葉に彼女はじわじわと綺麗な顔を赤く染め。
「あう……」と唸った。
こっちも唸りそうだよ。
「……お、おい、カイルお前……いつの間にフラグおったてていやがったんだ? あれか? 興味ないとか言いながらそれは実のところもう落としてるから知る興味がないというあれだったのか? カイル? なぁ?」
「ちょっと、軍曹、辞めてください、黙って」
軍曹が興奮した様子で俺に詰め寄る。むさくるしい。
軍曹の言葉の中に何か気に障ることでもあったのか、彼女が俺の左腕を掴む手の力が強まった。割と痛い。いたい。
「あー……」
痛みと軍曹のおかげで周りの状況を確認することが出来た。
殆どの兵士が俺と彼女を観ていた。
なんなら野次とか飛んできても何らおかしくない状況であるんだけど、きっと彼女が見せた(魅せた?)新たな1面の性で恐らく動けないのか、この先に放たれるであろう事実を待ちに待ち望んでいる。という所だろうか。
「……カイル軍曹」
底冷えする程の冷たい声色に思わず佇まいを直していた事に気付く。
「え? あ、はい?」
「六年前のカリフォルニアでの事件を覚えていますか?」と先程とは違う凛とした態度で言う彼女の頬はもう赤くは無かった。
「……あー?」
カリフォルニアでの事件のどれだよとは言えなかった。
言ってはいけない事くらいは何となくわかったし、何より六年前カリフォルニアで俺はある事件に巻き込まれている。
「銀行強盗……だっけ」
「はい!」と笑顔を浮かべて答える。
「……んー?」
そこまで考えて、「あー!」……となれば良かったんだけど、さっぱりわからない。
ええっと、確か、俺も友人と件の銀行に訪れた時に―友人が金をおろしたいと言うので―巻き込まれて、警報を押されたことに気づいた強盗団が狂ったかのように人質を撃ち殺し初めたので警察が来るまでの間に被害を抑えようとなんとか応戦した中で助けた女子高校生がいたような――?いや、まさか。
「……コニー?」
自信なんて全くない若干震える声で言うと。
本当に嬉しそうに笑った。
……ええ。
「久しぶり……だね?」
「ですね!」
「なんでここに?」
「いや、それは、その……」
とモジモジと俯いて「うう……」と可愛く唸るが、こっちは本当に唸りそうだ。
ちらりと軍曹に助けを求めると心底驚いた顔をしている顔をまた違う意味で驚いたようで「……はぁ」と心底呆れたようにため息をこぼした。
「あー、コニー? わりぃな、俺らこれから上に向かわなきゃならねぇんだ、込み入った話はまた今度にしてくれるか?」
と言うとコニーはしぶしぶ、と言った感じで分かりましたとやっとこ俺の腕を放してくれた。
そそくさとその場を離れて食堂を出て角を曲がった所で後ろから凄まじい兵士の声が(悲鳴と言っても良い)食堂から飛んできた。ああ、また、めんどくさい事になりそうだ。
そんな事を思いながら軍曹に「助かりました」と言うと「はぁ……」とまたため息を吐かれた。
「なんですか……、って、そうだ、上への面会って?」
「……なんでもねぇや、そんなもんねぇよ、お前はな」と言うと「じゃあな」と俺の肩を叩いてエレベーターの方へと歩いていった。
「……ううむ?」
それから2時間弱をトレーニングに費やして、シャワーを浴びて、今に至る。
「……はぁ」
何度目かのため息、このよく分からない感情に頭を悩ますのもいい加減疲れた。
糖分が欲しいな。
「……」
二段ベッドから降りて、甘味を求めてふらふらと基地内をさ迷い始めた。
うぬぅ……。
まぁ、うん。
いいや。
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