※この作品はR-18です。

金雷公は白疾風と幸せになるそうです   作:指ホチキス

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露出シチュって、良いですよね。
顔などを隠して、自慢の肉体を――ッ!

……どこかでプロレスと混じった気がします。
ではでは、真夜中の八夜です。どうぞ。


八夜 夜明け前の襲撃

その音に気付いたのは、まだ日も昇らない時間だった。

一瞬にして意識が覚醒、すぐさま身構える。

その動作によって寄り添っていた金までもが目を覚ました。

 

 

「………おい金」

「…おはよう。と、言うのには早いよね。何かあった?」

 

 

寝惚けている訳ではなさそうだが、全力で動くにはまだ少し“足りない”。

逃げるのは不可能。

そう判断すると、五感を研ぎ澄ませた。

 

 

「面倒なのが来る。…あ、いやこれもう遅いわ」

「…は?」

「雷纏っとけ。逃げ切れるか分からんぞ、これ」

「……あ、出来た出来た」

 

 

辺りが金色の雷に照らさる。

 

……おいおい、いけるかこれ。

 

放電すらままならない金をどう役立てようか考えつつ、薄っすらと見える紫皮を月下に晒す竜を見据えた。

ここまで接近されたからには逃げる事など不可能に近い。

 

 

「コイツの吐く息には絶対に当たるな!」

「いや訳分かんないんだけど―――!?」

 

 

……説明してる暇もねえな。

 

その竜が発する不気味な音を聞きつつ、意識を切り替えた。

斃す事などは考えない。頭に浮かんだプランは全て、この霞龍からどうやって逃げるか、だ。

 

 

     ○○○

 

 

……訳が分からない―――っ!!

 

始めて見るその姿に、私は寝起きから混乱する事となる。

 

 

「ねぇ、ちょっとこの竜は何?なんで透けてんの―――!?」

「…金、死にたくなければ一旦落ち着いて、もう一度よく聞け」

「聞く!死にたくないから聞く!!」

「あいつ、強い、頑張って、逃げる。いいな?」

 

 

指示は簡潔だった。

非情に分かり易く、目的を瞬時に理解する。

 

……でも逃げるの?

 

見た感じではこの龍に強さを感じない。

威圧感や迫力、そう言ったものが存在しないかのように欠如しているからだ。

正直、頑張れば勝てる気がする。

だが、

 

 

「いいか?戦おうとは思うな。隙が出来たら逃げるぞ」

 

 

竜の指示は逃走を第一としたものだ。

まるで戦いたくは無いとでもいうように…

 

 

「戦わないの?」

「碌なことにならないからな。確実に」

「……ふぅん」

 

 

そんなに強いの…?

 

 

「ほら、来るぞ!」

「ッ!?」

 

 

パァンッ!

 

空気のはじける音が響く。

私はそれが物体が音速を超え、空気に激突した音だなんてまだ知らなかった。

音が鳴ったと同時に、前足に鋭い痛みが走る。

 

 

「金!!」

 

 

やばいやばい―――!

一瞬にして油断が消え去る。

“この竜は確実に格上の存在”だ。

それがたった一発の攻撃によって分からされた。

 

 

「くぅう……あぁ!」

 

 

……眠気覚ましには良い一撃だ――ッた!

 

必死に強がって、痛みを我慢。

逃げられなければ死が待っている。

今ここで立ち止まる訳にはいかない。

 

 

「金!大放電、出来るか!?」

「無理矢理でもやってやる…!」

 

 

雷光虫の好む雷を生成、周囲にばら撒く。

1秒もしないうちに、空気中を伝播した雷によって周囲にいた雷光虫と、背に潜んでいた雷光虫がざわめき出した。

後は蓄電殻を一気に緩めて――――――

 

ヂ――――ッ

 

始めはただの放電だった。

しかし集まっていた雷光虫が金雷に反応。

雷光虫体内の増幅器官によって雷が倍、倍、倍―――――

 

ガァン…

 

放電音に混じって硬い音が鳴る。

 

 

「隙が出来た!逃げるぞ!!」

 

 

竜の声に体が反応、走り出そうと―――

 

 

「―――ッ」

 

 

それは激痛。非常に熱い何かを押し当てられているような激痛。

攻撃を食らった前足から血が流れている。

“爪が足りない”。

いつもと違うのはそれだった。

足を止めたこちらに、竜が急かす。

 

 

「早く!」

「足が――」

「…くっそ!」

 

 

大放電が終わり、纏っていた金雷が収まる。

それに加えて月が雲に隠れ、辺りが暗闇に染まった。

 

ギギッ―――

 

そして硬質な音が鳴ったのは、次の瞬間だった。

音のした方向は、あの見たことも無い龍の方から。

振り向けば暗闇の中、一筋の青い残光があった。

 

何があったのか分からないまま呆然とする事3秒ほど、竜の落ち着いた声がすぐ横から聞こえてきた。

 

 

「――――もうゆっくりでいい。この場から離れるぞ」

「え?」

「…痛いならじっとしていろ。少しの距離だが飛んで運ぶ。いいな?」

「あの龍は――――」

「…逃げた。早く離れるぞ」

 

 

この場でもう一度寝ればいいのでは?とも思ったが、追撃を警戒するのは当然。

腹に巻かれる尻尾を抵抗せずに受け入れ、生まれて二度目の空を体験する。

雲も晴れ、また月が顔を出した。

 

 

「…今更だけど重くない?」

「んー飛べるし重くは無い…のか?」

「疑問形…」

 

 

見上げてみれば、表情の読み取れない竜の顔が目に入る。

 

 

「…そういえばさ」

「んだよ」

「私は金でしょ?あなたは?」

「…は?」

「いや、なんて呼べば良いのか聞いてない。竜だとなんか…」

「寂しいってか?」

「うん、そんな感じ」

 

 

竜の顔が思慮に耽るように僅かに歪む。

 

 

「空…」

「?ごめん、聞こえなかった」

「ん、あぁ…じゃあお前と同じ、適当な色にしよう。えーっと」

「紅なんてどう?」

「…俺その色と関係なさそうな躰だって自覚してるが…」

「夕日の色が貴方の毛に反射していたのを思い出してね」

「せめて白か、紺とかを希望する」

「白…白か。良いわね白って!じゃあ貴方白ね!」

 

 

おう、という素っ気ない返事が返ってきた。

名前を呼んだ事なんて初めてかもしれない。

群れた過去の名は覚えがなく、誰かと関わったことすら記憶に薄い。

白からは色々な物を貰った。

 

……何だろうなぁ…こういうの?

 

表現出来ない感情が胸の中に生まれる。

負の感情は数え切れないほど抱いた。

しかし嬉しさや、楽しさといった正の感情を抱いたことは、負に比べるとずっとずっと少なかった。

だからこそ、この感覚が自分でも良く分からない。

 

……渡り竜なら教えてくれたのかもなぁ…

 

白以外の唯一の知り合いである竜の事を思い出す。

様々な知識を教えてくれた竜とはまた会えるのだろうか?

 

……そういえば一応私も渡り竜だよね。

 

なんてくだらないことを考えながら、白に身を任せる。

 

どうしてこんなにも警戒しないのか。

それは自分でも分からなかった。

ただその訳の分からぬ感情を自覚してから白の顔を見るたび、無性に秘部が熱くなる。

その快感に、思わず身を震わせた。

 

……何なんだろうな、これ?

 

 

●●●

 

 

……あーホント何なんだ…

 

発情した雌特有の匂いに昂る感情を抑えつつ、霞龍を“斃してしまった”事を後悔していた。

金が前足に霞龍からの攻撃を食らったことは分かっていた。

しかし甲殻ではなく、爪に食らっていたのは予想外だった。

 

正直、霞龍を本気で殺しにかかったのは本当に後悔している。

気絶で済ませば、こんなに悩むことも無かったのだから。

始めは大放電で怯んだ隙に、角を翼刃で叩き付けて脳を揺らし、まともに動けない隙に全力で逃げる作戦だった。

しかし金が動けず、加えて翼刃の当たり応えが良くなかったことで、本当に已むを得なく、“潰れていない左翼刃”を全力で振るった。

屍は確認していないが、恐らく首が半ばまで断裂しているだろう。

聞こえた硬質な音は、空気の刃と堅牢な首の骨がぶつかり合った音。

つまり骨に達するほどの深い傷を負った、という事だ。

 

―――しかし金にも言った“録でもないこと”を起こすのは霞龍ではない。

 

……古龍を倒せば、ハンターが調査に来る。

 

しかもかなり強いのが、だ。

出来るだけ早く離れたい理由はそれだ。

 

それにしても――――――

 

……なんで金の発情に俺が反応してんだよ…?

 

金が発情しかけているのに気が付いたのは昨日の夜だった。

発情出血で出る血の独特な臭いは、師の元で幾度か嗅いだことがある。

しかし、近種である師に発情せず、別種である金に発情するのは、いったいどういう事だろう?

―――更に雌の匂いが強くなった。

 

……うーあー

 

今すぐに地へと降り、金を犯したい衝動に駆られるが、今すべきことではないと、必死に耐える。

そのうち翼の動かし方まで意識が回らなくなってきた。

ゆっくりと高度を落とし、森をもう少しで抜けるところで、地に降りる。

 

 

「ありがとね」

「――――――あぁ」

 

 

金の声に何とか返答できたが、言葉の大半が頭に入ってこない。

深呼吸は匂いが入ってくるから逆効果。

落ち着くためには、この場をいったん離れるしかない。

 

 

「――――少し離れる」

「…帰ってくるよね?」

「―――――――――おぅ」

 

 

匂いに囲まれるような錯覚に陥り、段々と頭まで回らなくなってきた。

金の言葉に適当な言葉を返し、その場を離れようと―――

 

 

「あ、白が前やってたあの…傷に塗るヤツ、私の爪にやってくれない?」

 

 

金が不意にこちらの背に触れた。

その瞬間――――

 

 

カッ

「―――えぁ?」

 

 

金の顎を潰れた翼刃で軽く叩き、上手く力を入らないようにさせた。

怪我をしていない右前脚を押さえつけると、ゆっくりと上に乗った。

 

 

「え、あ…ぅ…白?」

「……」

 

 

呂律の回らない金を見下ろし、腰を押し付ける。

遂に雄としての堪忍袋が切れたらしい。

ここまできたらやめる事など頭に無く、本能に身を任せる事しか出来そうに無かった。

 

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