※この作品はR-18です。

金雷公は白疾風と幸せになるそうです   作:指ホチキス

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集団乱交って、どう思います?
シチュを考えると個人的に、あまり好ましくないのですが―――

……でもガララアジャラの乱交ならちょっと見たいかも(ドゴォ
ではでは謝罪は後程、14話が始まります。


十四夜 新天地

空が紺から青へと変わり始めた時間帯。

太陽がそろそろ顔を出そうかと言う早朝に、奇妙なシルエットが孤島近海にて確認できた。

白疾風が金雷公を尻尾で巻き、海面すれすれを飛んでいるのだ。

 

 

「おい金、そろそろ見えるぞ」

 

 

白疾風が、尻尾で運ぶ金雷公に声を掛けた。

“金”と呼ばれた金雷公は、白疾風のバランスを崩さないよう、体を動かさずに口だけ動かす。

 

 

「…結構前から起きてる。白は大丈夫?」

 

 

どことなく謝意を感じさせる声の抑揚に、“白”と呼ばれた白疾風は羽ばたきを休めず返答する。

 

 

「大丈夫…だが、着いたら何か適当に狩ってきてくれ」

 

 

謝意よりも飯が欲しい。

白の望みはそのようなものだった。

金を持ち上げて運ぶのはそこまで苦ではない。

が、流石に翼を動かし続けるというのは辛かった。

本来ならば空の高い位置で風に乗り、滑空するように翼刃を広げ、緩やかに角度をつけて高速で飛ぶのだが、このような状態ではバランスが取れない。

羽ばたきが苦手と言う訳ではないが、やはり長時間は応える。

 

 

「適当なのでいいなら」

「腹が満たせるものなら何だっていい」

 

 

頷く金に、白は満足気に息を吐き出す。

と、白の目に見覚えのあるシルエットが見えた。

まだ薄暗い為に黒く見えるが、もう少し近付けば見え方も変わるだろう。

 

 

「見えた」

「…本当、綺麗ね」

「見えるのか?」

「夜目は効く方なの」

 

 

白も夜目は効く方だが、一定条件を除けば金の方が鮮明に見えている。

 

 

「あそこが俺の巣のある場所。人間は孤島なんて呼んだりしてるけど」

「…海に浮かんでる?」

「そう見えるかもな。渓流なんかと違って地繋ぎじゃねぇし」

 

 

―――それは、そんな雑談をしていた時だった。

 

ピッ

 

何かが白の頬を掠め、切れ目が入る。

血が毛を伝う感覚に、白の動きが引き攣った。

 

 

「…白?これ、血…」

 

 

上から降ってきた液体が口に入り、金も異常に気付く。

対して白は尻尾を更にきつく締めると、翼刃にて空を思い切り叩いた。

 

 

「気付かれた、か。速度上げるぞ!」

 

 

と、言い終わるかどうかと言うところで、加速。

その速度に、金が後方へと持っていかれる。

そのせいで一瞬パラシュートのように減速するが、金も馬鹿ではない。

面へと直撃する空気を受け流す為に、グッと身を丸める。

 

 

「岸へ着いたらすぐに雷を纏え!!」

「…m、しg……ッ!!」

「言いたいことは分かる!出来る限りでいい!!」

 

 

耳に入って来る強風によって金の声は聞き取れないが、指示は通っているみたいなので気にしない。

 

ヂッ

 

翼刃に“高圧で放たれた水”が掠って来るが、この程度ならバランスは崩れない。

―――ここ一帯は、孤島を囲むように海竜の巣が密集している。

強い海竜は極度に刺激しない限り動かないが、弱い奴はすぐ吼える。

弱者は、餌を得るにも必死なのだ。

 

……今日は随分と早起きですねぇ、魚共ッ!!

 

睡眠中なら気付かれずに巣に戻れると踏んだのだが、そう簡単な話でもないらしい。

本来、白一匹ならば高速で飛空できるため、海竜達に気付かれる前に巣の上空を通り抜けられるのだが、さすがに金を抱えてとなるとそこまでの速度は出せない。

背後から放たれる高圧水流ブレスをいなしながら、全力をもって浜へ向かう。

 

 

「金!もうそろそろ岸だ!!」

 

 

残り500メートル前後。

一分もしないうちに、浜辺へ到着するだろう。

 

 

「しr、後ろ!!」

 

 

背後が見えている金から警告が発せられるが、何が来ようと今更どうすることも出来ない。

浜に届くまで、200メートル半ば。

 

 

「振り向けねぇ!どうにかしてくれ!!」

「hう電s、tも!?」

「ダメだ!飛べなくなる!!」

 

 

残り100メートルを切った。

 

ギッ

 

 

「ヤ―――――バッ!!」

「おおう!?」

 

 

左翼刃の面にブレスが直撃。

速度を上げていたためか、この衝撃は、バランスを崩すに十分すぎた。

金を尻尾に巻き付けたまま前方向に縦回転。

スレスレを飛行していた所為か、海面に顔が叩き付けられた。

 

……ガッ!?

 

あまりの速度によって、海面を顔面で滑る。

そしてここで気付いた。

 

尻尾に巻き付けた金の感覚が、無い。

 

 

「わぁあああ!!?」

 

 

金の叫び声が耳に入って来るが、自分の事で精一杯。

何とかしてくれと曖昧に望みながら、顔を後方に流して一回転、バランスを立て直し、浜へと羽ばたく。

その際、海面を背中で跳ね、見事浜へ着地した金を捉えた。

 

……何とかしたか。

 

感心しつつ、こちらも浜に着地。

既に雷光虫を集める雷を放っている金が、こちらにじっとりとした視線を向けてきた。

 

 

「痛い。投げるって酷くない…?」

「不本意だ。さて、面倒なのに見つかった」

 

 

右手から昇る日の光を受けた海面が、不自然に隆起する。

 

 

「…一応言っておく。弱いぞ」

 

 

ぬっと海面から顔だけ出したのは、一匹の竜。

 

 

「見たことはある、けど…?」

「ガノトトス、っていう名だ。覚えんでもいい」

「ガノ…トトス、ね」

 

 

名を確認するように呟くと同時、周囲の海面から背びれが飛び出した。

その数、1、2、3、4、5――――

 

 

「…多いって」

「数は気にするな」

 

 

しかしその無数のガノトトスたちは、海から二匹を囲むように威嚇、様子を見て来るだけで、飛び掛かったりはしてこない。

その様に、金が不思議そうに首を傾げ、白は不愉快そうに瞳を赤く染めた。

 

……これだから群れは見てて嫌な気分になるんだよ。

 

そのガノトトスたちの行動は、白の機嫌をかなり損ねさせることとなる。

 

 

「ギィイイ、ィイ!!」

 

 

顔を出していたガノトトスが、岸へと飛び出してきた。

 

バリッ

 

ガノトトスが浜に着地すると同時、金が虫に雷を受け渡し、金雷を纏う。

煌々と光る金色の明かりが、周囲を照らし出した。

薄暗くて分からなかった、まだ幼竜のような幼さを残すガノトトスの風貌に、白が金の聞いたことのないような唸り声を漏らす。

威嚇ではない。何かの感情が入り混じった、複雑な声音。

 

 

「ィイイイィイイッ!!」

 

 

突進を始めたガノトトスに、金は構え、白は欠伸をする。

 

 

「俺ちょっと寝るわ。疲れた」

「え…私にどうしろと……」

「力任せに暴れればいいんじゃないか?」

「あぁ、簡単ね」

 

 

会話を続ける金の目の前で方向転換、側面を見せたガノトトス。

 

 

「ギィッ!!」

 

 

空を切る音をたて、側面タックルをぶちかました。

 

 

     ○○○

 

 

……ホントに寝始めたし。

 

白を目端で捉えつつ、目の前のガノトトスを見た。

タックルはなかなかの速さだが、まだ甘い。

足の向き、重心の掛け方―――

渓流で見た成龍の動きより、全然キレがない。

 

 

「ゥ…ガァッ!!」

 

 

カウンターの要領で前足を叩き付ける。

雷を纏った強力な一撃は、いとも容易く鱗を焦がし、肉を焼く。

半ばまで埋まった腕を引き抜けば、ガノトトスが血を吐いた。

 

……柔らかすぎる。

 

先の戦闘で堅牢な甲殻を知っている身としては、濡れた土に等しく思えてしまう。

 

 

「―――ッ!」

 

 

こちらを真正面に向きを変え、血をまき散らして吼えるガノトトスに、ゆったりとした動きで逆の前足を顔へ叩き付けた。

硬い何かを砕く手応えに、ガノトトスが斃れる。

 

……弱いなぁ。

 

二発で沈んだガノトトスに、そんな感想を抱いた。

戦闘が得意な訳ではないので強くても困るのだが、こうもあっけないと調子が狂う。

 

 

「白ー」

「………」

「…よっと」

 

 

呑気に寝る白の目の前へ、雷光虫を飛ばした。

 

パン

 

 

「―――」

「ッ、あぶなぁ!?」

 

 

不意打ちだと思ったのか、右前脚を軸に回転して叩き付けてきた尻尾を躱し、非難の声を上げる。

その際、咆哮で背中にいた雷光虫達が散ってしまった。あぁ、勿体無い。

 

 

「よく躱せたな。結構当てるつもりでいったんだが」

「ワザとか!ワザとなんだね!?」

「―――で?斃したのか?」

「話を逸らしたな…。でもまぁ、そうだよ。見て分かるでしょ?」

「…うわ、よく見りゃ顔ぐっちゃぐちゃだったわ」

 

 

そう言って顔を引き攣らせる白。

しかしそんな表情とは裏腹に、なんの躊躇い無く屍に寄っていく。

 

 

「何してんの?食べるの?」

「こんな骨と肉の境界が無さそうな奴、絶対に食べたく無いわ…」

 

 

結局、何をしたのかと言えば、こちらに引き摺ってきただけである。

私の目の前にご丁寧に置いてくれると、今度は私の隣で寝始めた。

マイペースな白の頭を肉球でポスポス叩いて苛立ちを収めると、眼前の屍に目を移す。

 

……これを食べろと?

 

頭蓋破砕で脳漿散らしたガノトトスだ。食欲は湧かない。

これだったらまだ、全部ひき潰した方が美味しそうに思える。

 

 

「―――金、その屍を海に投げ込んでみ?」

「え?」

 

 

喜々としてそう呟く白の頭を疑うが、食べなくて済むならそれでいい。

一気に投げ込むほどの力は無い為、首、腕、胸辺り、腹、と爪で切り分け、海に投げていく。

するとどうだろうか、あれほどいたガノトトスが、一匹残らず退却していった。

 

残されたのは、ふてぶてしく寝転がる白と、呆然とする私。…あと血痕。

 

 

「…何アレ」

「あー多分、縄張りに侵入した奴を腹が減ってたから攻撃しただけ」

「八つ当たりじゃん!」

「言ってしまえば、そうだな。でも“腹が満たされたから帰った”」

 

 

瞼を上げ、白の紫の瞳が月を反射して怪しく光る。

―――共食い。

別に理解が無いわけではないが、理解したくはない。

共に過ごしていた仲間の屍を食欲に任せて喰らう?理解したくないのも当然だ。

 

……まぁ、その“仲間”っていうのが良く分からないけど。

 

概念は知っている。言葉の意味も知っている。けど、実感はしてない。

まず同族(ジンオウガ)。これは仲間じゃない天敵だ。

他には渡り竜。仲間というより、師匠?が一番近い。

で、白。これに至っては…私の体目当てな気がする。

結論、番い合う雄はいたけど、仲間なんていなかった。

 

 

「ふんぬ!」

「おうふぁ!?」

 

 

恥ずかしくなってきたので、白の頭にそこそこの威力で一撃。

足裏で叩いたので、痛みは無く、衝撃で揺さぶられるぐらいだろう。

 

 

「で?ここに来た理由は何だっけ」

「あれだ、俺の巣で一緒に住まないか?みたいな感じじゃなかったか?」

「もうちょっと控えめだった気がする」

「―――なら俺と一緒に住まないか?」

「今言う事?それ」

 

 

今更過ぎるその誘いに、思わず笑いが漏れ出た。

 

 

「あぁ、おもしろい。住むわ。私は白と一緒に住む」

 

 

口に出した言葉が不思議と胸に来る。

勢い任せに言ったは良いものの、恥ずかしさからか、口が震える。

 

 

「じゃあ改めてよろしく…」

「そうか。じゃあ大人しくするんだな」

 

 

白は私の反応を気付いていながら無視。からかってくれれば幾分か紛れたのだが、自分から催促するのは違う気がする。

と、身を固めた私の体へ、スルスルと尻尾が巻き付いてきた。

 

 

「お前を運ぶ。で、俺は寝る」

「…起こさないよ。流石に」

 

 

不思議と、蓄電殻の制御が楽になっている気がする。

寝起きに大放電なんてないと思うから、ゆっくり寝てほしい。

 

 

「着いた。意外と荒れてないもんだな」

「むぎゅ。…ゲフ」

 

 

白の声と同時に突然の停止。

尻尾でぶん投げられた私は背中で着地すると、舞い上がる埃に軽く咳き込んだ。

 

―――しばらくして咳が収まり、起き上がると、その不思議な光景に息を飲む。

 

 

「白の…巣?」

「まぁ、そうなるな」

 

 

まず目に入ってきたのは、小さな洞窟のような巣の壁に描かれた細かな絵だった。

 

 

「ようこそ、俺の巣へ。ここは人間も知らない、竜たちの遺産」

 

 

洞窟の端、大量の何かの毛が積まれた場所に寝転がった白は、疲れを息に混ぜて吐き出すと、瞳を青白く光らせる。

 

 

「これからはお前の巣でもある。ゆっくりしていけ」

 

 

その言葉に私はゆっくり息を吐き出すと、意味も無く白の方にすり寄ることにした。

理解するのは起きてからでいい。今は、何となく寝たい。

 

 

―――三分後、巣の中は静かな寝息の音で満たされた。

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