SEX、交尾、まぐわい。これらの言葉と同じ意味ですが、
……どの言葉よりも、艶っぽく思います。
それでは夜明けの三夜、始まります。
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「……んぁ…?」
太陽が見え始めた早朝。
目を開けた先、目に入ったいつもと違う光景に、思わず困惑の声が漏れる。
「………あー…っれぇ……?」
起き上がって辺りを見回す。
いつも寝ている岸辺ではない。薄暗い…森の中だろうか。
…まだ頭が働いてくれない。
昨日何したっけ?などと思いつつ再度横向きに倒れ込み、そっと背を曲げ、寝惚けた状態のまま何となく爪を舐めた。
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雷狼竜は鋭い爪が前に三本、外側横に二本ある。
それは爪としての性質は違えど、亜種でも金雷公でも同じこと。
捻じれるような横爪の二本は複雑な動きの際、踏ん張る事と、高低差のある地を駆けまわる為。
鋭利な前爪の三本は狩りと捕食行動に使う為。
だが、この金雷公の内側の両前爪は“鋭くなかった”。
この金雷公は極端なまでに戦闘を避ける。
それは性格というより発育環境が特殊だったことに起因するものだ。
それにより、爪を狩りに使うという“発想自体があまりない”。
つまりこの金雷公にとって前爪は、動く為に使えど、それ以外にはほとんど使わないのだ。
――――自慰という、たった一つの事を除いては。
内側の前爪が丸いのはそのせいである。
敏感な秘部に爪が立ってはいけない。
その為、爪が伸びるたび、自ら岩などで“最も使用頻度の高い爪”を削り、整える癖がついていた。
それによって主に利き腕とする右腕の爪は上面が僅かに波打ち、全体としては丸く厚い形に。
逆腕、左腕の爪は淡い先の丸まった鉤爪状となり、小さなものが引っ掛かるような形をしていた。
それはどういうことか。
右は“秘部を弄るため”に、左は自慰の“補助をするためだけに特化した形”になっていると、そういう事なのだ。
昔から。それは最早記憶にも薄い幼竜の頃から没頭してきた自慰という“習慣”と“癖”は、爪の形状自体を長い年月をかけて変化させ、目的に最適な形を作り上げた。
雄をまだ知らぬこの雌は、仕組みも、その行動における意味すらも理解していない。
だが、それでも体の随所は変わっていく。自慰という、その行動によって。
まだ同種と会ったことのない金雷公は自分でも理解していないだろう。
幼き頃からのホルモン分泌によって、
異常な艶を持つ輝かしい甲殻と、他の追随を許さないほどに柔らかな帯電毛を持つ自らの事を。
だが金雷公はそれを自覚することが出来ない。
通常種にはトラウマから近寄れず、同種は出現情報が少なすぎたからだ。
○●○
「……ぅ、はぁ…」
横になり、アイルーのように丸くなるような体勢のまま、鉤爪のような爪で秘部の周りをゆっくりと擦る。
寝惚けたまま何となく爪を当ててしまうのは良くある事。
爪が性感帯である尻尾の付け根に近い露出した肌の部分を擦るたびに快感が積み重なるように増していく。
その蓄積に後ろ足が僅かに痙攣、腿に腕が当たり爪が逸れ、突出した陰核を引っ掻いてしまった。
「ぁ、ヒャン!!?」
予期していなかった刺激に、背を逸らして全身が跳ねる。
艶のある荒い息が口から漏れ、反射的に出た嬌声に頬が熱くなっていることが自覚できる。
「ん……ヴゥ……グ…」
先程の余韻に呻き声とも、堪えるような声ともとれる声が漏れ出した。
感情の昂りに合わせてなのか、耳元でパチパチと静電気が弾ける心地いい音が聞こえる。
じんわりと下腹部の気持ちよさが、切なく、もどかしいものへと変化した。
―――――理性が溶けて。
「ガゥ!!」
利き腕の爪を躊躇なく膣内へと突っ込む。
まだ十分に濡れていなかったことから引っ掛かるような痛みを感じるが、今はその痛みすらも快感に変わっていく。
体勢を楽に、腰を天に突き上げるような姿勢にし、更に動きの速度を上げた。
「ァグ、ヴウウ――――………!!」
遅れて溢れてきた愛液が爪を伝って地に染みをつくる。
肌を擦るような音が粘質な音へと変わり、開放感のある森に響く。
しかし“何故か”辺りの生物たちが目を覚ます気配は無い。
その事がさらに金雷公をヒートアップさせた。
腰をうねらせて爪の当たる位置を細かく変え、最も甘く痺れる部分を擦る。
「グゥ、ル…!ガゥゥ゛!!」
最早声を隠そうともしない。
むしろ、もしかして誰かに見られているかも…。などという考えに、蜜の量が更に増えた。
そして遂に―――
「…おーい」
「ぁえ!?ッ―――!」
足を痙攣させて絶頂を迎えた。
…気配の無い、昨日の竜に見られながら。
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「いやホント何かあんのかなって…気になっちゃってさ…?」
「……うぅ…」
背を向けて寝転がるこちらに謝罪の意を伝えてくる竜に、顔向けできない。
顔が燃えるほどに熱い。
言葉を紡ごうとしても喉が震える。
「その、えーっと…ごめん」
「…あ!………その、わた…」
謝ってきた竜に、「私の方が」と反射的に振り向くが言葉に詰まってしまう。
なんて言えばいいか分からない。
元々まともに会話した、というのも昨日が久しぶりなのだ。
唯一“知り合い”と呼べる竜もここ最近は見ていない。
無口な方ではないが、話すことも少なければ人見知りになるのは致し方ないような。
……しかし相手の方すら見れないなんて。
正直逃げたい。今すぐにこの場から立ち去りたい。
しかし久々に見つけた会話の出来る相手から逃げる、という事は自ら孤独へと身を投じるようで嫌だった。
―――独りは寂しい。
ずっと孤独で過ごしてきた私が言うのもおかしいのかもしれない。
それでも自分だけという空間は、空っぽな世界を思わせる。
ただ生きているという事が楽しくない。
本能のみで生き続ける日々はどこまでも寂しく、切なく。
独り言でも言って無ければきっと―――――
「…どうしてここに来たの?」
暗くなる思考を断ち切るように私は言葉を切り出した。
「あー上飛んでたら変な光が見えて、気になって降りたらここだった」
「?変な光…?」
「そ、例えるなら…金火竜の爆炎みたいな色の光」
……金火竜?
知らない竜の名が出てきた。
金という色と爆炎という事は…冷たい金の甲殻の持ち主のことだろうか。
しかしここら辺でそんな竜がいた気配など感じられなかったが…
「…その光、どんなの?」
「どんなのって…さっき言ったように金の光で…破裂音みたいなのがあったかな」
「破裂音、ね」
……心当たりですか?99%私でしょう。
興奮したときに無意識に放電した気がする。
普通と違う、私だけの金色の雷は遠くからでも良く目立つ。
「……それより一つ訊いてもいいかな」
「えっと…何?」
顔は見ていないので表情は分からないが、真剣な声音に思わず身を固めた。
後ろの竜が息を吸う音に謎の緊張を得る。
「―――竜?」
「…ん?」
――上手く聞き取れなかったので聞き返す。
すると後ろから「あー」とも「んー」とも取れる声が聞こえてきた。
そしてハッキリと、明朗な声でこう言われる。
「いやだからさ、お姉さん“何竜”?」
「―――――ッ」
素っ気ないその質問に、私は思わず息を詰めた。