※この作品はR-18です。

密星 -mitsubosh-   作:杉原美衣

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片側二車線の道路に
車の気配はない

遠目に見えるのは
あの時と変わらないコンビニの光

静まり返った深夜
頭上には変わらず
星が3つ並んでいた

鼻をとおる夜の空気は
冷たい冬の匂いがする

空を見ながらもう一度
胸いっぱいに吸い込んた冬の匂いと一緒に

ふわり
あなたが香った気がした

甘くて強いわがままな香り


思わず口元に小さな笑みが浮かぶ
同時にチクリと胸の奥が痛んだ

まだあなたのかけらが
私の中に残っているのか…

また小さく笑みが浮かび
冷たくなった手を
コートのポケットにしまった





はじまり
★


早紀は信号待ちの交差点で

ふと空を見上げた

朝のオフィス街の空は

薄日が差して淡い水色だった

 

10月のはじめにしては気温が低く

足を止めると冷たい風が通る

 

トレンチコートの襟元を手でにぎり

赤く光る信号に視線を戻した

 

 

*間野 早紀*

短大を卒業してすぐ

求人募集をしていた

大手カード会社に入社した

 

 

《 職種は営業事務。

土日祝日休み。

賞与は年2回 》

 

 

特にやりたいことも

目指すものも無かった早紀は

条件欄にあったこの一文で

就職先を決め

今年で入社4年目になる

 

 

 

向かいの信号の下には

周りのビルへ出勤していく人や

乗り換えの地下鉄へ急ぐ人で

何列にも重なっている

 

その信号の奥

大きなビルにはめ込まれた

電子ビジョンに

今日の占いが流れているのが

目に入った

 

 

『今日のふたご座

出会いのチャンスがいっぱい

ラッキーアイテムは

お気に入りの靴』

 

 

早紀は足元に目をやった

買ったばかりのネイビーのパンプス

身長の低い早紀は高めのヒールのパンプスを

好んではいている

ヒールは7㎝

そのヒールの部分にはストーンが3つ

斜めに並んでいる

一目惚れで買った1足だった

 

 

「出会いと、…靴ねぇ…」

 

 

つぶやいたところで

信号の色が青に変わった

人の波に押されるようにして歩き出す

 

その時…

 

カツンっ!

 

音と同時に左足がもつれ身体が前に傾いた

 

 

 

ー あっ、転ぶっ ー

 

 

そう思った瞬間

 

甘くて我の強い香りとともに腕を掴まれて

身体がふわりと後ろに戻る

 

自由のきかない足元を見ると

横断歩道の真ん中にあったマンホールの溝に

ヒールを取られていた

 

 

「大丈夫?」

 

その声に掴まれた腕の方を見ると

少し褐色の顔が早紀を覗き込んでいた

 

ダークグレーのスーツに

黒のコート

少し褐色の顔

片方の目尻の少し下に小さなホクロ…

年齢は30代くらいだろうか

 

 

「あ、ありがとうございます

大丈夫です」

 

慌てて姿勢を戻す

 

「それなら良かった」

 

男性は口元だけ笑うと足早に横断歩道をわたり

人の波に見えなくなった

 

マンホールにハマったヒールを抜いて

早紀も急いでわたり終えさ

さきほどの黒いコートを探したが

もう姿はなかった

 

早紀は掴まれた腕をゆっくりとさすった

 

強い手の感触と

甘く、でも我の強い香水の香り

 

助けてくれた彼の香り

 

早紀の腕には少しだけ

その香りが残っていた

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

間野早紀

Saki Mano

 

BD. 6.15

Age 24

Bt A

Ht 154㎝

Wt 48kg

B.W.H 81.63.84

Hb ショッピング

 

根は真面目で一途

少しおっちょこちょい

男前なところもあるが

洋服や靴、お酒が好きな女性

 

 

 

 

 

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