※この作品はR-18です。

密星 -mitsubosh-   作:杉原美衣

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早紀が会社の入口を出たとき、林田と美加が横断歩道を渡ってこちらへ向かって歩いてくるのが見えた

美加も早紀に気づき、手を振りながら小走りでよってきた

 

「お疲れ間野ちゃん~

 これからお昼?」

 

「そう、今から行ってくる。

 美加さんは林田さんとランチ

 行ったの?」

 

「うん、エレベーターで会ったから

 マス屋行ってきた」

 

美加はそう言いながら振り返り、あとから追いついた林田に目をやった

 

「おう、お疲れ!今から昼か~?

 今日はマス屋が珍しくすいてた

 から今行けばまだランチあると

 思うよ。なっ?」

 

林田はそう言いながら美加の隣に並んだ

 

「そうだね、まだ間に合うと思う!

 日替わりのマグロの竜田揚げ定食が

 超~美味しかったよ」

 

美加の笑顔が定食の美味しさを物語っていた

 

「わかったマグロの竜田揚げね

 ありがと。行ってみるね~」

 

早紀は2人に手を振り、その場をあとにした

マス屋に入ると、美加と林田が言ったとおりいつもよりお客の数が少なかった

 

「いらっしゃーい!」

 

「マスターこんにちわ!

 まだ日替わりある?」

 

威勢のいい声で迎えた店主は早紀の顔を見て満面の笑顔になった

 

「早紀ちゃーん!

 いらっしゃい♪まだあるよ~

 テーブルにする?

 カウンターにする?」

 

「ん~私1人だから

 カウンターにする」

 

早紀はそう言って入口を入ってすぐ右側に並ぶカウンター席の一番奥に腰かけた

 

「今日は1人なんだね。

 さっき美加ちゃんと林田君が来て

 くれたよ」

 

「うん、2人からマグロ竜田定食

 勧められたの♪」

 

「そっかー!了解!

 すぐ出すからね~」

 

店主は水の入ったグラスを置いて、温かいおしぼりを手渡すと調理場へ入って行った

 

早紀がグラスに口をつけるのと同じタイミングで入口の戸があき、女性が2人組が入ってきた

そして2人は、空いていた早紀のすぐ後ろにあるテーブル席についた

 

「お待たせしました~!

 はい、マグロ竜田~♪

 ごゆっくりどうぞ」

 

店主が運んできた定食を受け取り、目の前に置いてみると

できたての香りがなんとも食欲をそそった

 

食べ始めて少ししたころ、早紀の後ろで同じ定食を食べる2人の女性の会話が耳に飛び込んできた

 

「それで、昨日の里緒さん主催の

 飲み会どうだった?楽しかった?」

 

「あぁうん。楽しかったよ~」

 

「管理部の人来たんでしょ?

 いい人いた?」

 

「うーん、一人よさそうな人がいた

 んだけど、好きな女がいるとか

 言っててー」

 

「えーほとんど合コンみたいな場で

 それ言っちゃうんだ~

 逆にすごいね~」

 

「うん。背も高いし顔も良かったから

 ちょっと残念~」

 

「へー。私も行きたかったな~

 渡瀬課長の家でやったんでしょ?

 どんな部屋に住んでるの?」

 

「広かったよ~きれいな感じ。

 物があんまりなくて」

 

「うわ~イメージぴったりだわ~。

 渡瀬課長はかっこいいもんね~」

 

「そうだね~ファイナンスにいた時、

 最初厳いかなって思ったけど

 実は女性には優しめにしてくれてた

 とこがまたカッコ良かったもんね~。

 …だけど昨日は機嫌が悪かったのか

 無口な感じだった

 それに途中で煙草買いに出て行っちゃ

 ってしばらく戻ってこなかったの」

 

「えーなにそれ里緒さんと喧嘩でも

 したの?」

 

「いや~里緒さんはそんな感じじゃ

 なかったよ

 戻って来てからは渡瀬課長もいつも

 の感じになってたような気もするし、

 私も出されたワインが美味しくて

 結構飲んでてよく覚えてなくて~」

 

「美味しいワインいいなぁ~

 姪っ子の子守なんて断ればよかった

 次は絶対行きたい~」

 

「そうだね次は一緒に行こうね!

 それでね~、

 その後の2次会でさー…」

 

早紀は気付けば箸を持ったまま時が止まったように背中越しに聞こえる2人の会話に聞き入っていた

 

会話の内容から、2人はファイナンス部で1人は昨日の飲み会に参加した女性ということがわかる

渡瀬の家での飲み会のことは、気にしないふりをしていてもやはり気になっていた

早紀はその場の様子を思わぬところで知ることができた

 

 

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