「こんにちは。」
「おや、大和。いらっしゃい。」
大和はこの日、辰子と一緒にお出かけする用があった。
「辰子さんいます?」
「ああ、辰子かい?実は急にお仕事が入ってねぇ…。」
「え?本当ですか?」
辰子はバイトのヘルプで仕事に行っている。
「辰子が大和に『今日は急に仕事入っちゃったからまた今度ね。』って言ってたよ。」
「そっか…。残念だな…。じゃあお邪魔しました。」
大和が板垣家をお暇しようとした時だった。
「待ちな。大和。今日は私、仕事がお休みでね…。辰子の代わりに私が相手しようか?」
「亜巳さんと?」
大和はびっくりしたであろう。
亜巳から誘われたのは初めてだ。しかし大和は。
「ん…。わかりました。一緒に行きましょう。」
「そうかい。じゃあ支度してくるから待ってな。」
『亜巳さんとお出かけか…。なんだか調子が狂うよ…。」
10分後。
「お待たせ。大和。」
「あ、亜巳さ…ん⁉︎」
亜巳の姿を見て思わずびっくりする。
肌の露出が多いためとてもセクシーな格好だった。普段着なのかはよくわからないが、いつもの服とは違うファッションだった。
「ん?大和、顔が真っ赤だよ?」
「い、いや!似合ってるかな…と。」
「そうかい。ありがと。じゃあ行くわよ。犬。」
ガチャリ。
「え。なんで首輪を?」
「こうしなきゃ落ち着かなくてね。」
「まさか首輪引っ張って出掛けるんですか?」
「そうさ。一応お前は私の犬なんだから。」
「なんか嫌だな…。」
ボソボソ言う大和に亜巳はため息をついた。
「しょうがないね。じゃあ…。」
亜巳は紐を外し、大和の腕を組んだ。
「あ、亜巳さん⁉︎」
「どうだい?辰子のようにしてみたが。」
この感じ、大和は辰子と出掛ける時はいつも腕を組んでいた光景が見えた。
そして2人は川神駅付近を歩く。
「えーと、何処行きたい?」
「おや、年上の私にタメ口かい?」
「あ、ごめんなさい!つい…。」
「ふふっ、よく辰子と一緒にいたからかい?」
「ええ、まぁ…。」
「別にいいさ。気軽に話しかけな。それより私が行きたいのは…。」
亜巳が行きたかった場所、それは路地裏にあったドMドS専門の大人のお店だった。
「こ、ここは…?」
「ここで首輪など買っているのさ。そろそろ古いのは捨てて新しいのに取り替えたくてね。」
「へ、へぇ…。」
『にしても、見たことないSMグッズが多いな…。』
「犬、買い終わったよ。」
「あ、じゃあ次は何処行きたい?」
「もう無いね。私、これが買いたかっただけだし。」
「え。うーん…。じゃあ…。」
大和は亜巳にある店へ連れて行った。
「大和。私に服買うのかい?別に欲しくないわ。」
「そう言わないでよ。あ、これ着て!」
大和は無理矢理亜巳を試着室に連れて行った。
「こら!犬の分際で!」
「着替え終わったら、言ってね。」
「…。これを着るのかい?」
待つこと15分。
「大和、終わったよ。」
「ん?どれどれ?」
試着室のカーテンを開けると黒いデニムのショートパンツにシンプルな白シャツ。
とてもよく似合っていた。
「よく似合ってるよ!亜巳さん!」
「大きな声を出すんじゃないよ馬鹿!恥ずかしいじゃないか!」
照れている亜巳はとても可愛かった。
大和は一発でこれが良いと思い買った。
その後、2人は楽しげにデートを楽しんだ。
あっという間に夕方となった。
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河原。
「ふぁー。遊んだー。」
「大和。」
「ん?どうしたの亜巳さん。」
「今日は楽しかったよ。こんなに遊んだのは初めてかもねぇ…。」
「あ、そうだ。これあげます。」
大和が差し出したのは、赤紫のペンダント。
「試着している間に買ったんだ。」
「ふぅん…。大金持ちねぇ。犬の分際で。」
「あ、気に入らな…。」
その時、亜巳はいきなり大和に口づけをした。
「ん…。ちゅっ…っぱあ…。」
「っぷはぁ…。ふふっ…。じゃあ私はここで失礼するよ。」
大和は急な出来事で状況がはっきりしていなかったが、
大人深いような味わいだった。
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板垣家。
「ええーーーー‼︎‼︎大和君とお出かけしたの⁉︎ずるいよ!」
「しょうがないじゃないか。暇だったんだし。」
「服もペンダントも買って貰って…。ううっ…。仕事のバカァ…!」
余程大和とデートしたかったオーラが、辰子には出ていた。
「まぁ楽しかったねぇ。また誘おうかしら。」
「絶対ダメ!大和君は私のモノ!私の弟!」
「はいはい。」
しかし亜巳は大和と出掛けたことは一番の思い出になったであろう…。
「大和か…。ふふっ。本当に可愛い弟だよ。」