ソードアート・オンライン《かさなる手、つながる想い》【特別編】ないて…… 作:ほしな まつり
原作:ソードアート・オンライン
タグ:R-18 R-15 キリト アスナ キリアス キリト×アスナ オリキャラ オリジナル設定
ご本家(原作)様の第17巻発売を祝し4月9日に『ソードアート・オンライン《かさなる手、つながる想い》』へ連載としてアップした作品の単独再投稿です。「R−18」に該当すると思い、あらためて別枠で投稿させていただきます。
ハウス)……年が明けて、そのログハウスにお馴染みの面々が集う前日に《現実世界》の
和人の部屋で肌を寄せ合う二人のお話です。
「R−18」をつけていますが、あからさまな性的描写はしていないつもりです。
逆に物足りなかったらスミマセン。
二階にある和人の私室には窓から冬の午後のやわらかい日差しが差し込んでいる。
そんな陽の光があるとはいえさすがに照明を付けなければ薄暗さを感じる室内で、それすら
気づく余裕もないほどベッドの上で互いの存在を確かめ合うふたりがいた。
ほんの少し前まで明日奈の内(なか)と外を劣情のままにかき乱していた和人の熱が収縮して
いく。この熱を自分で制御できていた時は体重をかけすぎないよう彼女の脇に肘をついた体勢で
肌を触れ合わせていた和人だったが、徐々にその余裕もなくなり最後にはこれ以上ないほど
密着して明日奈の細い身体を掻き抱くように腕の中に閉じ込め、彼女の内(なか)に想いを
放った。明日奈の震えが収まり、しゃくり上げる声が多少落ち着きを取り戻したのを耳元で
認めてから、やおら顔をおこしていつものようにクチャクチャに泣き乱れた顔を眺める。
額にはりついた前髪をはらってやり、ヘイゼルの瞳に堪った涙を唇で吸い取ってから未だ小刻みに
息を吐き出している唇に触れるだけのキスをして自分の身体を引きはがした。
同時に彼女の内(なか)からも己を抜き出そうとして腰を動かせば、それさえ刺激になったのか
「んっ」と鼻にかかる微かな声が耳に届き、更なる充足感を得る。
自分も整わない息のまま彼女の壁側に身体を横たえた和人は、それでも完全に離れる気はない
ようで片方の手でしっかりと傍らにある細い腰を引き寄せた。
しっとりとした肌に触れ、短く吐き出す息にのせて「アスナ」と口にしてからあやすような動きで
ゆっくりと撫でる。
「……ひ……っく……、んン、だい……じょぶ……」
洟をすすり上げながらも舌足らずの口調で明日奈から気遣いの言葉を聞かされると、無理を
させたかも、という思いが確信に変わり、和人は少し前までの己の所業を思い返して苦笑いを
浮かべた。
しかしそれ以上に目の前に晒された泣き顔にある種の加虐心を刺激される。
異性の泣き顔を見て「もっと……」という衝動に自分が駆られるなど、明日奈に出会うまでは
想像すらしなかった。ついさっきまで誘うように耳に侵入してきた彼女の啼き声もそそられるが、
泣き顔はまた違った意味で煽られる。
しかし早急に再び彼女を求めるのはあまりにも身勝手というものだろう。
年末は明日奈が結城家の本家である京都に赴いていたため、実際に肌を重ねるのはもちろん、
こうやってすぐ近くで顔を見て、声を聞くのさえ十日ぶりだ。
明日は年が明けて初めて《ALO》の森の家にメンバーが集まる日だったが、今まで散々携帯
ごしの声と画像だけで我慢してきたというのに、久しぷりに会うのが他のメンバーと一緒という
状況に耐えられそうもないと判断した和人は昨日の夜、明日奈にメールを送った。
『明日の午後、誰もいないからうちに来ないか』と。
メールにしたのは、これ以上の説明を求められると困るからだ。
どうして、明後日には《ALO》で会えるのに……なぜ、わざわざ「誰もいないから」なん
て……。
そこは察してほしい、と思うのは自分の我が儘である事は十分に承知していたが、そんな心配は
杞憂に終わり、明日奈からの返信には理由を問う言葉など一切なく、ただ了解の旨の簡単な文章と
待ち合わせの時間が記してあった。
返事を読んでから、今日の午後、明日奈を迎えに家を出るまで、ごく普通に過ごしていたように
思うが、よく覚えていないというのが正直なところだった。いつもの様に最寄り駅まで迎えに
行き、いつもの待ち合わせ場所で顔を合わせれば幾分久しぶりのせいか少々ぎこちなく年始の
挨拶を交わした。
そしていつもの様に手の指をからませ、桐ヶ谷家までの道のりを並んで歩く。
隣にいる互いの存在がどうにも愛おしくて、口から出る言葉より繋がっている手からその想いを
感じるだけで胸がつまってしまい、道中ほとんど会話らしい会話はせず、代わりにいつもより
きつく指をからませた。
桐ヶ谷家に着くと誰もいないとわかっているのに、明日奈は律儀に「おじゃまします」と告げて
から靴とコートをぬぎ、和人に手をひかれるまま二階へとあがる。
和人の部屋は暖房がつけっぱなしになっていたため、ドアを開けた途端に暖かい空気が廊下へと
流れ出た。その暖気に明日奈の気がふっと抜けた瞬間、つないでいた手をぐっと引き寄せられ、
躓きそうになりながら和人の部屋に足を踏み入れると、ドアが乱暴に閉まる音と同時に腰を
ホールドされて荒々しく唇を塞がれる。
口づけをしたまま部屋の奥へと導かれる間に段々と力が入らなくなり、コートとバッグが
足下に落ちた。明日奈が自由になった両手を震わせながらも和人の背中に回すと、口内を犯す
和人の舌がより激しく彼女を味わう。
和人が一旦唇を離し息を切らして耐えきれないように「アスナ」と呟けば彼女はそれで全てを
理解したのか、和人と同様に肩で息をしながらも真っ赤に染め上げた顔を小さく上下
させて了承の意を表した。和人は一時も離れていられないと言わんばかりに再び明日奈の唇を
貪りながら彼女の胸元のボタンに手をかける。
そこから先は熱に浮かされたように夢中で互いを求め合った。
暖房が効いた室内でも今は一月の初旬、互いのぬくもりを失えば先刻まで上気していた肌も
心許なさを覚え、和人はベッドの足下にあった毛布を引っ張り上げて明日奈にかけた。
そのまま横から自分も身体を滑り込ませる。
先程までの性急な求めが多少乱暴とも言える自覚もあって、明日奈が受け入れてくれたとは
言え、やはりいつもに比べての彼女の泣きの激しさに自分の所業を自嘲した。
後ろめたい気持ちも手伝って再び彼女の腰に伸ばした手を殊更優しく這わせれば、明日奈も和人の
首元に頬をすり寄せ、ようやく鎮まってきた息遣いにのせて少々掠れた声で「キリトくん」と
囁く。そうして再び彼女を抱き寄せて栗色の髪に口づけを落としてから、ここ数日ずっと心に
ひっかかっていた言葉を口にした。
「アスナ……京都で何かあった?」
ほんのわずかな動揺だったが、素肌が触れ合っている状態では隠しきれるはずもなく、その反応に
和人の顔つきが険しくなる。
「……なにも、ないよ……久しぶりに祖父母や親戚の人達と会っただけ」
胸元から聞こえるくぐもった声は明らかに落ち着きを欠いていた。
「アスナ、ちゃんとオレを見て」
ゆっくりと顔をあげて見つめてくるその瞳には不安と困惑が入り交じっている。躊躇いがちに
開かれた唇が微かに震えていた。声に戸惑いを見え隠れさせながら、それでも何とか平静を装い
和人に問いかけてくる。
「どうして、そんなこと聞くの?」
「京都から帰ってくる前日の電話が少し変だったから。あの時だけだろ、音声のみだったの」
「それは……疲れが溜まってきてたから、ひどい顔を見せたくなかったの。でも、あの夜、早めに
休んで十分睡眠をとったお陰で……」
「アスナ」
遮るように名を呼んで、そんな言葉がただの言い訳にしかすぎないことなどお見通しだと言わん
ばかりに和人が明日奈を睨んでいる。
「そんな表情(かお)でそんな事言って……信じると思ってるのか?」
叱られた子供のように眉をハの字に曲げた明日奈は和人の視線を受け止めたまま泣き出しそうに
瞳を潤ませて「だから声だけにしたのに」と小さく落とした。
その言葉はしっかりと和人の耳にまで届いたらしく、一旦視線をはずし、ふぅーっ、と息を天井に
向けて吐き出してから「声だけでも、わかるし」とこぼして再び明日奈を見つめる。不機嫌そうな
声色から一転、わざとらしく細めた目と楽しそうに口元を緩ませたその表情に明日奈の顔が
強張った。そんな反応も楽しんでいるのか益々笑みを深め、と同時に明日奈の腰に回した手を
ゆっくりと移動させ始める。
「それに……いつもなら印を付けるの嫌がるくせに、今日は全然だったろ」
「それはっ……その……そんな余裕なかったし……それに、京都に行く前に付いていたのが段々
薄くなってくの……少し、淋しかったんだもん」
「うん、オレも東京に帰ってくるまで残るように強めにつけたつもりだったんだけど、やっぱり
ダメだったな」
言いながらも毛布の下では今しがた明日奈の身体につけたばかりの所有印の上を和人の手が
這い回っていた。明日奈が少し視線をきつくして和人を睨む。
「もうっ……撫でまわさないで……」
どうやら明日奈の両手が和人の手を捕獲したらしい。彼女の胸のふくらみの近くに拘束を逃れ
ようとする手とそれを抑え込もうとする手が重なり合いモゾモゾとうごめいている。
「だって……まだアスナが足りない……アスナが《こっちの世界》に戻ってきてから、こんなに
長く離れてたことなかったし」
「うそ、夏休みだって会えなかった日、結構あったじゃない」
気丈に返してくる明日奈を見て、楽しげだった和人の顔からスッと笑みが消えた。
「会おうと思えば会える所にいるのと、会いたいのに会えないのじゃ違うだろ。オレ、京都の
本家の場所なんて知らないし……アスナがどこにいるのかわからないのは……」
そこまで言うと素早く彼女の拘束から逃れた手が毛布から抜け出して、今度は栗色のしなやかな
髪をなで始める。丁寧に梳くように何度も指を動かして仕上げにその髪を耳にかけ、そのまま
耳のふちを軽く挟むように擦れば明日奈が恥ずかし気に眉を寄せつつも、うっとりと瞳を閉じ
かけていた。今度は窘める言葉を口にすることもなく、むしろされるがままに、その蕩け
そうな面差しを和人に差し出ている。言葉が途切れた和人は自分に向けられた甘い表情に
誘われるように上半身だけを起こし、そっと明日奈の唇に自分のそれを上から押し当てた。
存在を確かめるようにゆっくりと舌で彼女の唇をなぞってから、上唇と下唇を交互に啄む。
触れ合うだけの軽いキスなのに和人からの想いがじわじわと染み込んでくるようだった。
「キリトくんも……淋しかった?」
唇から和人の存在感が消えると明日奈はそっと瞼を持ち上げ、見上げた視界に映ったその
瞳の色を代弁するかのように問いかける。
「淋しいって言うより、辛い。だから……アスナに提案があるんだけど」
素直に本心を告げてから、和人は探るような視線を明日奈に向けた。
「なに?」
「アスナの携帯のGPS座標、オレの携帯端末でサーチできるようにしていいか?」
「えぇ?!……そ、それは……」
「もちろん、アスナの操作で位置を不可視にすることも出来るから」
「うう〜……そんな事したら……心配するくせに……」
「うん、それは否定しない」
自分の発言に微苦笑をしつつ思案顔の明日奈に覆い被さり、再び口づけをすると今度はそのまま
するりと唇の隙間から侵入してそっと舌を絡める。
「んンっ」
それ以上はせずに明日奈の中から抜き出して下唇を軽く食んでから一旦離れ、すぐに角度を
変えて再び唇を合わせ、寸刻前に触れたばかりの彼女の舌を舐め上げた。
そんな風に深まらないキスを何回も繰り返していると、じらされた明日奈が次第に自ら求めて
くるようになる。最後に思うままに彼女の口内を激しく犯した後、少し顔を離して見れば明日奈は
すっかり朱に染まった顔で短い呼吸を繰り返しながら瞳を潤ませていた。
「だから、いい?、アスナ」
「はぁっ……っん、もう、ズルイ……」
「それは了承を得た……って事だよな?」
「ちがっ」
反論の異を唱えようとした時だ、ベッド近くの床に置きっ放しになっていた明日奈のバッグから
携帯の着信音が鳴った。
「あっ……と、ごめんね。出ていい?」
「いいけど、間違えてビデオチャットにするなよ」
「しないわよっ」
「こんな格好なのに……」とブツブツ言いながらも赤らめた頬のまま毛布を胸の上で押さえつつ
片手をバッグの中に伸ばす。和人に背中を向けた状態で横になった体勢のまま携帯を取り出すと
「あ、リズからだ」と小さな声をあげた。
「リズ……どうしたの?……うん、明日ね。時間?」
明日奈の背後で肘を付いて手のひらに頭を乗せ、横向きに寝転がって携帯の応答を耳を
そばだてて聞いていた和人は話の内容が明日の《ALO》での集まりの件だと見当をつける。
ならばそう深刻なものではないだろう、と判断しニヤリと微笑んだ。
和人の目の前には先刻までの行為ではベッドのシーツに押し付けられていて全く手つかずの無垢な
ほどに真っ白な背中が無防備に晒されている。
「うん、うん……えっ?、そうなの?……ひゃんっ」
ガバッと明日奈が振り返ろうとするが、その前に和人の指が再び明日奈の背筋をツツーッと
なぞった。
「んんッ……あ、ごめんね、リズ……うううん、なんでもないよ……ふっ……ンッ」
咎められるすべがないのをいいことに和人の手は白い肌を縦横無尽に撫でまわし、しまいには
携帯が音を拾わないよう細心の注意を払って静かに唇で吸い付く。前身だけでなく後身にも
所有の花印が咲いた。かたや明日奈は嬌声を噛み殺してリズとの会話を必死に続けている。
「うッ、ん、じゃあ明日ね」
通話を切った途端にサッと携帯をバッグに押し込み「もうっ」と眉を吊り上げて和人に振り
返ろうとした瞬間、素早く後ろから伸びた二本の腕に抱きすくめられた。
「ンっ」
背中にぴたりと密着した和人の肌から熱が伝わって勢いがそがれる。肩ごしに平然とした声が
聞こえた。
「リズ、何だって?」
「んっ、明日の集合時間の確認。ちょっと遅れるかもっ……って、そうじゃくてっ、通話中に、
もうっ」
「ふーん、それだけか?」
まるで何事もなかったかのように両腕を回した明日奈の身体を更にギュッと引き寄せて、肩口に
唇を押し付ける。
「ぅンっ……あと、冬休みの宿題をやる予定だったけど、リズはもうほとんど終わったみたい。
私は京都に行っている間、何も出来なかったからまだ少し残ってるの。キリトくんは?」
「オレ?、オレは誰かさんに会えなかったから気を紛らわす為にやったんで、もう終わった」
「ホントに!?、なら終わってないの私とシリカちゃんだけかなぁ」
「かもな、スグも友達と勉強会やったって言ってたし。なら明日、オレはのんびり居眠りでも
するか……」
「ふふっ、キリトくんが揺り椅子で居眠りしてるの見るの、ちょっと久しぶり」
「アスナが京都に行っている間もダイブして寝てたけどな」
その告白に明日奈はくすり、と笑って自分のウエストの上で交差している和人の腕を両手で
かぶせるように包み込んだ。
「あったかいな、アスナ……それに」
そこまで言うと彼女の首筋に鼻を押し付ける。
「アスナの匂い……」
「匂い?……自分じゃ、よくわからないけど……うん、でもこうやってるとキリトくんの匂いも
わかるよ。やっと自分の場所に帰ってきたって感じ」
「もっと……アスナの匂いかがせて……声も、聞きたい」
「声って……」
「アスナが甘く啼く声」
「えっ……」
言うと同時にひとつの手は這い上がり柔らかいふたつの膨らみの一つを手中に収める。もう
片方の手は逆方向に下がって、少し前まで自分の欲望が侵入していた秘所の入り口をそっと
弄れば完全に冷め切っていない明日奈の身体はすぐさま熱を宿した。
「ふぁンっ……やっ、やだっ」
「なんで?」
幾分不機嫌な声を明日奈の耳元でくすぐるように吐き出しながら、それでもそれぞれの手は
彼女の肌を堪能し続けている。
「そうやって……ンッ……どさくさに、さっきの……アッ……携帯の話、OKにする……つもりで
しょ……」
「バレたか……でも、もう一度明日奈を感じたいのも本当だから」
「あッ……ダメっ、いきなり、そんな……」
「ん、大丈夫だろ……ほら、もうこんなだし」
和人の言葉を証明するかのように、秘所から潤った恥音が耳を刺激した。
「ひゃっ……んんっ……アっ……やだやだ……そこ、ダメっ……ああっ」
自分の指が明日奈の内(なか)の一点を緩急をつけて擦る度に、ピクピクと震えながら嬌声を
上げる姿を見て和人は思わず背後から耳朶に甘噛みをする。更なる刺激に唇を噛みしめて
声を殺していた明日奈は段々と涙が堪えきれなくなり、浅い息づかいに混じってグスグスと
ぐずりはじめた。
和人と触れ合っている部分全てから熱情を受けて彼女の全身が次第に上気し始める。
耐えられず身体を小さく丸めようとする度に、させまいと和人の舌が背後から首筋やうなじを
舐め上げた。同時に和人の息づかいも荒さが隠せなくなっている。
彼女の柔らかく豊かな量感の膨らみを揉みしだいていた片手を一旦引き抜くと、もう片方の手は
そのまま刺激を止めることはせず、ゆっくりと仰向けにさせて和人はその上にかがみ込んだ。
かけていた毛布がとさりと床に落ちる。
「っ……アスナ、いい?」
涙ですっかり潤んだ瞳が薄く開いて目の前の和人の瞳に宿る欲望を視認した。黒曜石を
思わせるそれは既に抑えることの出来ない熱を孕んでいる。明日奈は先刻よりは穏やかな
間隔でひっく、ひっくとしゃくり上げながら、それでも既に言葉を発する余裕はない様子で
一旦ギュッと強く目を瞑った後、ふるふると首を横に振った。瞳からポロポロと幾筋もの
涙がこぼれ落ちる。それを見た和人が薄く息を吐いた。
「っとに、変なところで意地を……まあ、そんなところが……アスナらしいんだけど……」
小さく「なら……」と言うやいなやその唇が今度は明日奈の前身の肌に密着した。
「ひぁッ……あンっ……」
自分以上に自分の身体を知り尽くしている和人に執拗に責め立てられガクガクと痙攣が止まら
ない。それでも自分の一番深いところまでは彼がきてくれず、もどかしさからも涙が溢れた。
和人が聞きたいと願った啼き声に、更にすすり泣く声が混ざり、息も体温も上がってどこも
かしこもトロトロに溶けていく。
まともな思考は働かず本能的にただ和人が欲しい一心で潤んだ瞳を向けた。
涙の意味に気づいてくれたのか、再び和人が顔をあげて舌で自らの唇を舐める仕草に
ドキリと心臓が跳ねる。
「はっ……アスナ……」
頬に手を当てられ、息の上がった艶めく声で名前を呼ばれたら、もう頷くしかなかった。
唇を噛みしめたまますっかり火照った泣き顔がゆっくりと一回だけ上下に揺れる。和人は
すぐさま満足げに笑って軽くキスをしてから「あとで携帯貸りる」と耳元で囁いた。それに
応えるように涙を溢れさせながら「きて」の二文字を唇を動かすだけで請うと、和人は
明日奈を愛おしげに見つめてもう一度微笑む。
「オレも、も……限界」
言いながらゆっくりと明日奈の内(なか)に侵入すれば益々彼女の痙攣と喘ぎが激しさを
増した。それを抑え込むように和人の手がシーツを掴む明日奈の手の指間に割り込む。
彼女の内なる熱を感じて和人が一瞬苦しそうに目を瞑った後、何かをやりすごしたように
ハァッ、と息を吐き出してから眼下の明日奈に小さくも少々固い声を落とした。
「京都の……親戚って、歳の近い従兄弟も……いるんだろ……」
触れられたくない話題をいきなり突きつけられ明日奈は僅かながら理性を取り戻して、
自分の内(なか)にある和人の存在に意識を残しながらも瞳を見開く。
「ふぇっ?……う、うん……」
その表情と言葉に宿った怯えを取り去るように、和人は上体を屈めて明日奈の顔のすぐ隣に
自分の顔を寄せて頬同士をくっつけた。彼女の内(なか)をゆっくりと摩りながら同じ
ように頬を摺り合わせる。
「ッん……」
堪らずに甘い吐息が和人の耳を掠めた。そっと撫でられるような感覚に嗚咽も一旦おさまって
優しい心地よさにうっとりと安堵感を得た時、触れ合っている頬のすぐそばから再び和人の
問いが聞こえる。
「何か……言われたのか?」
咄嗟に首を横に振ろうとしたがピタリと寄せられた頬から離れたくなくて息を整えつつ、
か細く「何も、ないよ」と返した。和人のぬくもりだけを感じていたいのに記憶の底から
本家の一室で従兄弟と二人きりにされた時のもどかしい感覚が蘇ってくる。
「もう……聞かない……で……」
従兄弟達に久々に再会した時や個室に二人きりにされた時、あの城の虜囚となる前の自分が
持っていた価値観を浴びせられ、過去の自分と対峙しているようないたたまれなさと情け
なさがない交ぜになって思い返す度に心が重くなった。気づかず流した涙が和人の頬までも
濡らし、それに気づいた和人がゆっくりと顔を起こして明日奈を見つめる。
「……アスナ?」
自分の名が耳に届いた途端、明日奈はキツく目を瞑って激しく首を横に振った。これ以上は
言いたくなかったが、それを許してはくれない視線が目を瞑っていてもわかるほど痛い
くらいに注がれている。堪えていた感情が涙となって溢れ出た。
「……話を……しただけ……彼が、喋っているのを……ただ……」
その告白を聞いて和人は訝しげに眉根を寄せる。
「はっ?……ちょっと待ってアスナ、それって……男と二人きり……?」
まさか京都でそんな状況に陥っていると思っていなかった和人は思わず声を荒げた。彼が
心配していたのは《仮想世界》に囚われていたことで偏見の目で見られたり、屈辱的な言葉を
耳にしたかもといった事で、あくまでも明日奈を囲む複数の人間を想定しての事だ。
「……ごめん……なさい」
「怒ってないよ。アスナの意志じゃ、どうしようもなかったんだろう?」
ポロポロと涙を流し続けながら必死に頷いている彼女を見て、苛立ちより所有欲が膨れあがる。
「話を、しただけ?」
短く問えば明日奈はすぐに頷いた。
「触れられて、ないんだな?」
今度も泣きながら無言で首肯する。
「こんな泣き顔も、見られてないよな?」
当然だと言いたげに泣き濡れた睫毛を震わせてヘイゼルの瞳で和人を見上げた。微かに眉根を
寄せて薄い唇を噛みしめつつゆっくりと首を縦に振れば、ほくそ笑んだ和人がすぐさま一層
深く侵入し、最奥にたどり着く。
「ッんん……あぁ……っ」
「そんな啼き声も、オレだけに聞かせて、アスナ」
「……はぁっ、はっ……私は、キリトくんのもの……だから」
「だから、いつも言ってるだろ……そうやって煽るなっ……て……」
「アッ……やんっ……煽ってなんて……」
両手を明日奈の背中に差し入れ身体をきつく抱けば、同じように彼女の両手も目の前の肩を
縋るように掴んできた。さらに所有欲を満たそうと、言葉以上のものを求める。
完全に重なり合い繋がった感覚に二人とも目眩を起こしそうな程の幸福感に包まれた。
それから和人は上がった息の合間に誓う。
「今度、あんな表情(かお)、するような事があったら、すぐに行く、から」
それを聞いて和人の腕の中の明日奈が嬉しそうに頷いた。
それから再三再四明日奈を求めた後、意識を手放した彼女をそのままベッドに休ませて、
ひと足先にシャワーを浴びた和人はデスクライトだけをつけ、自分のPCに明日奈の携帯を
接続していた。GPS情報を取り込み終わると傍らにあった自分の携帯端末を操作して
マップ表示に切り替える。画面には手にしている携帯が存在している桐ヶ谷家を中心に
半径三キロメートルの地図が展開していた。そして和人は新たな追加表示を確認して軽く
頷く。そこには和人の携帯位置を示す赤い光点(ブリップ)ともうひとつ……青く輝く
光点(ブリップ)が先刻までの自分達のようにピタリと重なり合っていた。
お読みいただき、有り難うございました。
世の男性の皆さん、自分の願いを彼女に聞き入れてもらう方法として、今回のキリトのような
色仕掛け(?)はほぼNGです。もし彼女が首を縦に振ってくれたとしても、後日もめる
可能性、大です(苦笑)……これはキリアスだから通用する手段であるとご理解ください。
そしてアスナ(の携帯端末)の位置情報をサーチできる権利をゲットしたキリトですが、
それだけで見合い阻止は無理ですよね。いくら「すぐに行く」と言っても……そこは、まあ
十代の勢いというものなのでしょう。
次は今回のおまけ的な小話です。