充血し、はち切れんばかりに肥大した肉棒へとアルテラの唇が触れる。ちゅっ、ちゅっ、と優しく、触れ合うだけの、もどかしい快感を与えてくる口淫。玉袋や根元、裏スジまで全体を味わうような、拙く、ひた向きな彼女の奉仕が理性を溶かしていく。
「……うぁ、んっ……ちゅ……ぇ、あ……れろっ……ぢゅぅっ……ん、むぅ……ぁ……ん、ぺろっ……ッ……っはぁ……っ……あんっ……ぅ……かたく、へ……あ、っつ……」
たっぷりと唾液が乗ったアルテラの舌腹が肉棒を下方から舐め上げ、亀頭へ到達すると最も敏感な部分を柔らかく蠢く舌先が絡まってくる。まるで別の生き物のように肉棒を滑っていく舌、だがその口淫から与えられる微弱な快感は──本能を、性欲を煽ってくる。
舌だけでは足りない、口に含んで、吸い付いて、もっと淫らに、激しく奉仕してほしい。その願望、溢れ出てくる性欲が、つい口から漏れてしまう。すると肉棒へ顔を寄せ舌を這わせるアルテラが、不安そうに瞳だけで見上げてきた。
あまりにも油断していた、いくら物足りないからといって、そのようなことを口走ってしまったことに自責の念が沸き上がってくる。しかし、その言葉を聞いたアルテラは少しだけ動きを止めると──意を決したと同時に大きく口を開け、亀頭を呑み込んでいった。
「……あぁ、んむっ……ん、ぅっ……ぉ、ぁ……ぢゅっ……っ……ぢゅっ、ぢゅぅっ……んっ、ぁ……ん、んんっ……ぉぇっ……んっ、んっ、んぅっ……ぷ、ぁっ……ッ!!」
瞬間、生暖かいアルテラの口内へ埋もれた亀頭を通して強烈な快感が腰から背中にかけて駆け巡る。だが、それだけではない。おぞましい形の肉棒を口に含み言われるままに吸い付き、彼女にとっては異物でしかないソレをくわえたまま舌を絡ませてきた。
熱く弾力のある、それでいて固い、鼻につく生々しい獣臭を漂わせる肉棒がアルテラの口内を蹂躙する。裏スジが容赦なく舌腹を擦り先走りを塗り付け、亀頭が喉を突き、内側から獣臭が鼻腔を焼いた。
アルテラが頭を揺らすたび、むせるたび、じゅぼっ、じゅぼっ、と音を立てる彼女の口端から唾液が溢れ落ちていく。肉棒という異物を口内へ迎えてしまった結果、彼女の小さな口が許容量を超えてしまったのだろう。
「……ん"ん"ん"っ……ぉ、あっ……んう"っ……ぢゅっ……ッ……ぉ、ごっ……ぢゅっ、ぢゅんっ……ぢゅるっ……っ……じゅっ、んっ……んむっ、んっ、んん、んっ……ぉ"……ッ!!」
眼下へ目を向けると、肉棒で喉を突かれる苦悶に顔を歪め目端に涙を浮かべるアルテラが見えた。だが、それでも彼女は決して肉棒から口を離そうとはしない。口元が体液で汚れようが、ままならぬ呼吸に苦しもうが、必死な口淫で奉仕し続けた。
そんなアルテラの姿が、想いが、理性を打ち砕く。
ただ肉棒を通して迸ってくる快感のままに、絶頂への期待のままに腰が揺れる。無意識ではなく本能でアルテラの頭を両手で固定し、肉棒を彼女の喉へ叩き付けようと腰を前後に振った。
「……ん"ん"ん"っ……っぶぁっ……ッ……ぉ、ん"っ……ぢゅっ……ぢゅる、ん"っ……む"ぅ、ん"っ……ぁ"……ん"、ん"っ、ん"ん"っ、ぉ"っ……ぐ、っ……う"ぅ"ぅ"……ッ!!」
激しく腰を振り始めたせいかアルテラの口内を犯す肉棒は容赦なく喉を突き、えぐる。柔らかい舌が滑る感触と、硬い歯に引っ掛かる痛覚、最奥の喉を亀頭でノックするたびに走る罪悪感──その全てが、絶頂への起爆剤となる。そこまで時間を必要とせず、びくんっ、びくんっ、とアルテラの口内で暴れていた肉棒が痙攣を始めた。
もう自制が、我慢が効かない。
腰からせり上がってくる真っ白な欲望を察知すると、スパートとばかりに激しく腰をアルテラの口元へ叩き付ける。そしてトドメとばかりに深く深く肉棒を彼女の喉へ突き立てた瞬間、ぞぞっ、と背中へ悪寒が走り、直後に虚脱感が襲ってくる──それは膨れ上がった欲望、強引に押し止めていたモノが放たれた証。
「……ッ……ぶっ、ん"っ……ぉ"……ん"ん"ん"っ……ッ!!」
絶頂と共に亀頭から迸った欲望、精液がアルテラの喉へと直接流し込まれた。粘性を帯びた精液は彼女の喉へと絡み易々と飲み下すのを許さない、だというのに容赦なく注がれる精液は──あっという間に、彼女の口、その許容量を超えてしまう。
耐えかねたアルテラが咳き込むと、これまで頑なに離すことのなかった肉棒が反動で口から飛び出てしまう。いまだ先端から、煮えたぎる灼熱の白濁を放つソレを。
「……っ……げほっ……ッ……かはっ、んっ……ぶぁっ、ん……ぅ、あ……っ……は、ぁ……ん、はぁ……っ……はぁ、はぁ……ぁ……ぅ……ああぁ……」
痙攣と同時に先端から噴き出す精液は弧を描き、びちゃびちゃっ、と音を立ててアルテラの顔を、頬を、髪を汚していく。自分の顔が、髪が、体が白く染められていくのを黙って見つめる彼女の表情に嫌悪感はない。むしろ蕩けたような表情のまま口を開け、口といわず顔といわず、成されるがままに受け止めようとしていた。
アルテラの唇から、髪から、頬から、生臭い精液が、どろぉっ、と糸を引き垂れ落ちていく。その様を眺めていたくもあったが、ベッドに突いていた膝が言うことを聞いてくれない、絶頂と射精の余韻のまま脱力した体は勝手にベッドへ座り込む形となってしまう。
「……ん、っ……ちゅ……っ……ぢゅるっ……は、ぁ……ます、たぁ……」
すると、ようやく口内へ溜まっていた精液を飲み下せたアルテラが活動を再開した。上半身を寄せ、後ろ手にベッドへ座るこちらへ跨がるように、のしかかってきた。間近にあるアルテラの瞳は劣情に揺れ、生臭い精液に汚れた顔を隠すことなく目を合わせてくるだけ。
蕩けきった表情、熱く焼けるような吐息、鼻を刺激する獣臭に紛れる女性特有の香り、その様、その姿は、まるで発情した獣そのもの。普段、自分のことを機械と言う彼女は居ない。肉体的な快楽だけではなく、己が身を焦がす劣情、尽きない愛情、満たされていく幸福感、数々の感覚と想いの津波に押し流されるアルテラは今、ただの獣へと成り果てている。
「……ん、はぁ……っ……はぁ……すまな、ぃ……ますたぁ……」
耳孔へ、熱い吐息が乗った囁きが響く。
アルテラの意図が分からず、射精によって霧が掛かった脳内が思考を始めた瞬間、突如として肉棒へ刺激が走り背中が粟立つ。目で見て確認することはできないが、感覚だけで股間の肉棒がどうなっているのかは、だいたい予想がつく。
アルテラがのしかかってきたせいで、お互いの性器が触れ合ってしまっているのだ。愛液と潮でドロドロになっている彼女の牝孔は、寸分違わず肉棒の先端を捉えている──そして、こちらが制止の言葉をかけようと口を開いたと同時に、彼女は腰を下ろした。
「……っ……ひっ……ぐ、っ……ぅ……あぁぁぁあッ!!」
アルテラの絶叫を聞きながらも、制止のために開いた口から言葉を放つことは叶わなかった。肉棒が彼女の牝孔を貫いた感覚、一気に呑み込まれていく感覚、千切らんほどに締め付けてくる圧迫感──そして肉棒を通して伝わってくる彼女の体内温度、溶けてしまいそうな蜜壺の熱が叩き付けられた。
密着した下半身、繋がった箇所が火傷を負ったように熱い。だが、痛みは感じない。むしろ痛みを感じているのはアルテラのはず、しかし彼女は破瓜の痛みよりも、肉欲によって理性を焼かれるより──繋がったことを、一つになれたことに悦びを感じていた。
「……う"っ、あ"っ……ん"、ぐう"ぅ……ッ……あぁっ……っ……あぁ、ああぁ……ッ!!」
だが、その悦びは言葉にならない。
その代わり、アルテラは獣のように吠えながら腰を揺らし始める。射精したばかりで固さを失った肉棒を強引に呑み込み、卑猥に腰を捻り、扱く、その行為は先の口淫による奉仕とは対極。贖罪とばかりに言われたことを忠実に行い、気遣っていた奉仕に比べ──ただひたすら貪欲に、貪るように、彼女は腰を振る。
上半身を密着させたまま、跨がって獣の如く腰を振り続けるアルテラの顔には恍惚の表情が浮かんでいる。ばちんっ、ばちんっ、と肉打つ激しい音を部屋へ響かせ、歓喜と悦びの咆哮を上げ続けた。
「……ひっ、ぎっ……あ"ぁ"、ん"ん"っ……ぉ"、あ"……はっ……ん"ん"っ……ぁんっ……ぁ、っ……あ"ぁ"ぁ"ッ……ん"、ぉ"……ぁ、あっ、あぁ、んんっ……ッ!!」
後ろ手を突き、ベッドへ座り、アルテラを支えながら、肉棒を貪る彼女の牝孔、膣壁の締め付けに抗うのは苦行に近い。先ほど絶頂し、敏感になっている肉棒なら尚更だ。気を抜けば意識を持っていかれそうなほどの快楽、それを理性で繋ぎ止め──ようやく、彼女の肩へ手を掛けることができた。
そのまま肩を押し、密着していたアルテラと少しだけ距離を取る。
──すると驚いたことに、アルテラは泣いていた
獣のように腰を振り、言葉にならない咆哮を上げるアルテラの瞳からは大粒の涙が溢れている。痛みによるものなのか、涙腺の弛緩によるものか、真意は定かではない。だが、恍惚とした蕩けるような表情には──その涙は、あまりにも不釣り合いだ。
「……ん、ぃ……んっ……ぁ……ます、たっ……ぃ、やっ……はなれるっ、のっ……や、らぁ……も、ぉ……おま、ぇ……が、っ……いな、ひのっ……ッ……たえら、れっ……なひ……ッ!!」
ようやく、アルテラは言葉を吐けた。
熱に脳髄を焼かれ、理性を砕かれ、肉欲に溺れながらもアルテラは孤独を恐れている。そこで、ようやく彼女の真意を察することができた。彼女は体だけではなく、もっと根源的な意味の孤独を恐れているのだと──簡単に言えば心の繋がり、縁、絆を求めているのだと。
ならば、応えなければならない。
肉欲に溺れる体に鞭打ち、アルテラの上半身を支えてやる。いまだ片手はベッドへ後ろ手を突いたままで、彼女の肩を掴んでいた腕を背中へ回す──正面から、抱き抱えるように。
そして性器同士で繋がった下半身だけでなく、上半身までも密着させる。互いが互いの肩へ顎を乗せる形となり、互いの口元が耳元へと来るように──飾りもなく、物怖じもなく、ただただ、アルテラの耳元で一言だけ囁いてやった。
──愛してる、と
「……………っ………」
すると、一心不乱に腰を振り乱していたアルテラの動きが止まった。言葉を通して想いが、彼女に浸透していく。それを見定め、後ろ手に突いていた腕も彼女の背中へ回す──離れていかないように、相手の体温を確かめるように、包み込むように、優しく抱き締めてやる。
「……ぁ……んっ……ます、たぁ……っ……あっ……ん……」
先に比べ、だいぶ落ち着きを取り戻したアルテラの吐息が耳へ当たり、くすぐったさを感じた。その感覚に、つい身を捩ってしまいたい衝動に駆られるが、なんとか耐えた──ここからは、肉欲だけを求める獣同士の交尾ではない。
言葉で心を通わせ、互いの体を寄せ合い体温を共有し、二人で果てようと囁いた。どちらかが欠けることはない、ここに居る、そう言い聞かせるように、諭すように言葉を選びながらアルテラを包み込んでいく。
「……っ……あぁ……ずっと……ずっと……いっしょ、だ……」
涙が滲む声と共に、背中へアルテラの両手が回される。
それを合図として、ベッドの上へ座りながら腰を上下に揺らす。柔らかく弾力のあるベッドの反動を利用して、下方からアルテラの牝孔を穿つ肉棒を、さらに奥へ奥へと押し込むように。
「……ひっ……んんっ……ぁ……は、ぁ……ぁんっ……うぅっ……ひゃ、ぁ……ん、ぃ……ッ……こ、れぇ……んんっ……ふ、っか……いぃ……ッ!!」
ぎしっ、ぎしっ、とベッドを軋ませ、何度も何度も肉棒の先端をアルテラの最奥を目掛けて打ち上げる。身を捻り逃げようとする彼女を強く抱き締め、もっと深く、もっと強く、もっと激しく、何度も何度も腰を跳ねさせた。
ずんっ、ずんっ、と重力と自重で亀頭がアルテラの最奥、子宮口を突き上げる。彼女の
「……んんんぅっ……ぁ、はっ……あんっ……ぉ、あ……こ、れぇ……ら、めっ……こわれ、りゅ……おかひく、なりゅ……ッ……んんっ……あ、ひっ……んんっ……ぉ、くぅ……わらひ、のっ……いちば、ん……おくぅっ……ぁ……っ……あた、って……りゅうぅ……ッ!!」
抱き締めているアルテラを肉棒で突き上げるたびに、びくんっ、びくんっ、と体の痙攣で反応を返してきた。それが絶頂への秒読みであることを感じ、一気に責め立てる。先ほど以上にベッドを軋ませ、激しく、深く肉棒を彼女の牝孔へ捩じ込んでいく。
ぐぢゅっ、ぐぢゅっ、と結合部から響く生々しい音に耳孔を犯され、肉棒が膣壁に締め付けられる快感に震えながらも、腰を振るのは緩めない。むしろ速度を上げ、強さを増し、アルテラを挿し貫かん勢いでベッド上を跳ね回った。
「……んんんっ……ぉ……あああっ……きも、ちっ……いいぃっ……あたま、っ……びりびり、してぇ……も、ぉ……なに、もっ……ッ……あ、ひっ……かんがえっ……られ、にゃ……ッ……ぁ……んんっ……あっ、あっ、あぁっ、んっ……も、っ……がま、ん……でき、なっ……ひっ……ッ!!」
肉棒から感じる快感という肉欲、耳元で響くアルテラの喘ぎ声、そして通じ合う心は、あっという間に互いの限界を振り切ってしまった。ぞぞっ、と絶頂による荒波が彼女の全身を襲うと無意識のうちに膣壁が締め付けを増し、伸縮を繰り返し始める。
背中を仰け反らせようとする彼女を逃がすまいと抱き締め、突如として不規則に伸縮し始めた膣壁の締め付けに逆らうように腰を跳ね上げ、思いっきり肉棒をアルテラの子宮口へ叩き付けた──瞬間、堰を切って真っ白な欲望が迸っていく。
「……っ……ぁ……く、りゅうぅ……うぅ、っ……んっ……ぁっ……あぁ……ッ……くるっ……すご、ひのっ……がっ……、……ぁ……ッ……ん、っ……ぃ、っ……い、っくうぅぅッ!!」
びゅるるっ、と二度目とは思えないほどの量の白い欲望、精液がアルテラの膣内、子宮口へと注がれていく。勢いよく撃ち込まれる精液は肉棒の痙攣に合わせ、どくんっ、どくんっ、と、何度かに分けて彼女の体内を満たしていく。
溶けてしまいそうな熱を持つ精液を注がれていく感覚に、アルテラは目を見開き、絶頂しながらも受け止めることしかできない。だが、彼女は確かに感じていた。自身の体内、子宮へ精液が満たされていくと同時に、心が満たされていくのを。
「……ぁ……ぅ……あ、あぁ……で、て……りゅ……ッ……おまへ、の……あつ、ひの、で……わらひ、が……みたされ、へ……くっ……んっ……ぉ……ぁ……あぁ……」
長い長い射精が終わると、とてつもない疲労感と倦怠感が襲ってきた。おまけに、激しい眠気まで。その誘惑は立つことはおろか、ベッドへ座っていることさえ気怠さを感じるほど。意識を失うのも、おそらく時間の問題だろう。
だが、それでも、アルテラを離さない。
吸い込まれるようにアルテラと抱き合ったままベッドへ倒れても、彼女の背中へ回した両手を解くことはない。その想いは彼女も同じだったのか、背中へ感じるアルテラの細腕の感触が、とても心地よく、嬉しかった。
──色々と思うことはある、やらなければならないことがある
──でも、それでも、今はただ、眠りたかった
──隣で満足そうな寝顔を浮かべる、
◆ ◆ ◆
「──ああ、これは夢か……」
アルテラは、これが夢であることに気付いている。
その理由は、大きく分けて二つ。
一つは、その光景。
あまりにも、現実場馴れしている。なぜなら自身が立つのは大きな十字架の膝元、ふと振り返れば十字架と対面できるよう均等に併設された長椅子の数々、顔を上げれば色鮮やかなステンドグラスから柔らかな日差しが降り注いでいるという幻想的な世界。
そう、それは一般的に教会と呼ぶ場所。
そんな場所に自分が立っている、ということ。
そして、もう一つの理由は──
「……この服装だな」
今、彼女が着ている衣服。
アルテラが着ているのは布面積が少ない、彼女が普段から着慣れている戦闘衣装ではない。わずかな装飾が施され、どこか気品溢れる肌触りの良い材質で作られた純白のドレス──俗に、ウエディングドレスと呼ばれる衣装だ。
女性ならば誰もが一度は身に纏うことを夢見る衣装、だがアルテラは自身には無縁なものであると思っていたし、そもそも衣服に執着などない──だというのに、わざわざ"このような礼装"を自身が身に付けている。これを夢と自覚してしまうのも、仕方のないことだった。
「……まさか、人の夢にまで干渉してくるとは、な」
アルテラは、苦笑を浮かべる。
そう、彼女は夢見た。
大王でも、戦士でもない自分を。
ただの人であったなら、という夢を。
だが、彼女は知らない。
今までの彼女は間違いなくフンヌの大王であり歴戦の戦士、もはや完結した自分は何者にも成れない、成れようはずがない。だというのに、夢の中とはいえ自分には縁のない
ならば、自ずと答えが見えてくる。
──そう、これは一人の人間の願い
──お人好しで、掴み所のない雲のような
──それでいて寄り添いたくなる大樹を思わせる
──そんな、彼女にとって
「ああ、夢の中とはいえ、いつか見た夢を本当に体験する機会があろうとは思ってもいなかった。いや、夢の中だからこそ、叶えることができたと言うべきか……いや、いま言うべきは、このような言葉ではないな──」
たとえ夢の中とはいえ、アルテラがいつか見た夢、"大王でも戦士でもない自分"という願いは叶った。いや、叶えてもらったと言うべきかもしれない。
おそらくは無意識なのだろうが、"マスター"は自身が持つイメージを彼女の夢に投影することによって"この状況を"作り上げたのだろうから──とはいえ、なんとも強引な上に、この状況はアルテラの願いの斜め上を行っていた。
でも、それでも──
アルテラは只人となる夢を見た。
たとえ目覚めれば消えてしまう泡沫だとしても──
「──ありがとう、マスター」
~おまけ~
「結婚、婚姻を結ぶ。それは愛する者同士を公に夫婦として認める制度、か──ふむ、婚姻とは良い文明なのだな、破壊しない」
とある日の午後、エントランスで珍しい光景を見た。ソファーへ腰掛け、広げた雑誌の活字を真剣な面持ちで追っていくアルテラの姿だ──どうやら"あの一夜"で体験した夢のおかげで、"結婚"というものに興味を示し始めているらしい。
何事にも無関心、興味を示さなかった彼女が──
そう思うと、どこか感慨深いものがある。
これを機に、もっと多くのことに興味を持って欲しい。嬉しいことを当たり前のように喜び、辛いこと、悲しいことを当たり前のように悲しみ、サーヴァントとして第二の人生を楽しんでほしい──
ここは一つ結婚を話の種に会話を広げて、もっと多くのもの、色んなことに興味を持ってもらおう。そう思い至り、アルテラへ声を掛けようとした、その時──
「ふむふむ、"既婚した身で他の女性に手を出すのは禁忌であり、絶対に許されざる行為"──なるほど、これが"不倫"というものか。これは駄目だ。悪い文明だ。不倫するような者は許さん、破壊する」
──あ、これだめだ
──なんかもう、嫌な悪寒しかしない
三十六計、逃げるが勝ち。
踵を返し足早にエントランスからの離脱を試みる。
「む、マスター、ちょうど良いところに居たな。少し話がある──」
だが、背後から
\残念、ぐだ男の冒険はここで終わってしまった/
ネロだけ花嫁衣装とかズルい(唐突)
他の女性鯖にも着させてあげてください神様!
お願いします、何でもしますから!┏○