やっぱり、長文書くと疲れますね……
本当に、夏は大嫌いです。
「……もう大丈夫ですか、セフィリア?」
「そうね……、90%以上は魔力も回復したし、ほぼ万全かな。アリアこそ大丈夫? 私を担いであんな長い距離移動したんだし……」
「無論です。あの程度で疲労が残るような鍛え方はしていませんので」
盗賊と決着をつけ宿に戻ってきたアリアとセフィリアは、まずは交代で休息をとることにし、凌辱や戦闘による疲労を回復することを優先した。
特に、大魔法を行使したセフィリアの魔力、体力的ダメージは大きく、回復するまでに二日ほど要した。
アリアとセフィリアは笑顔で軽口を叩くと、宿の部屋で向かい合って卓に付き、食事をとりながら真剣な面持ちで話し合いを始める。
問題になったのはやはり、魔具の効力についてだった。
「私もアリアも、この魔具をどうにかしないことには、この先の旅は厳しそうね……」
「このような魔具など大した問題ではない、と言いたいところですが……、悔しいことに、私たちの力は魔具によってかなりの部分が制限されているのが現状です。対処策は必須かと」
アリアとセフィリアの二人は、魔具によってそれぞれ体術と魔術にリミッターをかけられた状態だという認識で一致していた。
本来の二人……、元魔術長と王国騎士団長であれば、二人での旅路の安全はほぼ保障されたようなもの。
しかし、実力の半分、それ以下しか発揮できない状態では、有象無象の盗賊たちにすら簡単に御されてしまう始末。
魔具による制限を頭では理解していたものの、実力を過信していた二人は、今回の事態で痛い目を見たということだった。
「やはり、魔具や呪いの類の知識に秀でた者の助けが欲しいところですね」
「んー……、心当たりがなくはないんだけど……」
アリアの言葉に対し、セフィリアが歯切れの悪い言葉を返す。
セフィリアも魔術の知識が豊富ではあるものの、魔具や呪いなど、邪道な道に特化した魔術師に心当たりがあった。
「王都に向かうには少し遠回りになるけど、仕方ないか……、魔具を扱った店をやってる、あの娘を訪ねてみましょう」
魔具の専門店を開いている知り合いがいると告げるセフィリア。
気乗りしない様子を隠し切れないセフィリアの提案にアリアが同意し、翌日の朝の出発に向けて休むことを決めた二人だった。
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翌日、晴れた日の朝、アリアとセフィリアはそれぞれ白ローブと鎧を身に付けて宿を出発する。
徒歩ではなく、用立てた二頭の馬に乗って、王都から外れた方向へと走り出す。
王都から遠く離れた辺境の地まで海道が整備されているはずもなく、道なき道を進み、モンスターへの警戒を怠らずに進むアリアとセフィリア。
二人は野営の危険を鑑みて、交代で短時間仮眠を取るだけで馬を飛ばし、三日間かけて目的地へと到着した。
「ここ、ですか……?」
到着するや否や、アリアは辺りを見回し、信じられないといった様子で呟き、隣のセフィリアに尋ねる。
アリアの疑問はもっともだと苦笑するセフィリアは、草木が生い茂る中にぽつんと置かれたようなボロボロの家に目を向け馬を止める。
店というにはあまりにみすぼらしく、標識や看板もない佇まいにアリアとセフィリアは言葉が出ない。
「結構変わった子だから……、あんまり他人と関わりたくないみたい。とはいえ、こんな有様だとは思わなかったけど……」
何度か手紙を受け取り、所在だけは知っていたセフィリアがアリアに説明すると、数度のノックの後、まったく反応が返ってこない家のドアをゆっくりと開く。
ギギッと耳を塞ぎたくなるような軋む音で木製のドアが開くと、真っ暗な中にぽつぽつと蝋燭が何本か灯っているのを二人が見つける。
「魔術を学ぶと、皆、変わり者になってしまうのでしょうか……」
「ちょっと、それってどういう意味?」
アリアの本音から零れた言葉に、セフィリアが若干の苛立ちを募らせながらも笑顔で答える。
まるで道筋を示すかのように灯る蝋燭をたどり、薄暗く視界がかなり制限される中、二人が軋む廊下を進んでいく。
すると、玄関とは全く違った、立派な装飾が施された重厚なドアの前へとたどり着く。
「……『人間なんて大嫌い』」
扉の前に辿り着いたセフィリアが、ため息をつきながら小さく呟くと、アリアが戸惑う前で扉がゆっくりと勝手に開いていく。
開いた扉の先を覗いた二人に見えるのは、廊下以上に暗い室内で、蝋燭が左右に一本ずつ置かれた机の奥に座る小柄な人物がにやりと笑みを浮かべる姿。
「合言葉を一発で当てるなんて、誰かと思えば……セフィリア先生でしたか。お久しぶりです……、先生」
かすかに震えるような女性の小さな声がアリアとセフィリアに届いたかと思うと、蝋燭の光量が徐々に大きくなり、室内の人物全体を照らす。
椅子から立ち上がった女性は、ローブのフードを外し、隠れていた顔を二人の前にさらけ出す。
「久しぶり、リスフィール。相変わらずみたいで、安心したわ」
「先生こそ、王都にいた時とまったくお変わりなく……、いえ、違いますね? 強大な魔具の気配が……」
呆れ半分のセフィリアからの挨拶に対し、どこか怯えたようながらも楽し気に聞こえる声で答える女性は、早速、アリアとセフィリアの魔具の気配を察する。
セフィリアの隣に控えていたアリアが指摘に驚いたように目を丸くすると、セフィリアが謎の女性の紹介を始める。
「この子はリスフィール。私が魔術長をやっていた時の教え子……、まあ、弟子みたいなものかな。私の、この体質のことにも相談に乗ってもらったの」
リスフィールと呼ばれた黒ローブの女性はようやく机の奥から出てきて、アリアとセフィリアの前に全貌を表す。
20代のセフィリアとアリアに比べて、若い、というより幼く見える外見にアリアは戸惑いを隠せない。
小さめの体躯にとっては大きすぎるローブを引きずる姿は、リスフィールをより幼く見せるものの、だぶだぶのローブを押し上げる豊かな胸の膨らみは隠し切れない。
リスフィールは、あまりに白く、不健康に見える顔色をローブから晒し、眼鏡の奥の深紅の瞳でアリアを遠慮がちにちらちらと観察しながら、セフィリアの紹介を受ける。
初対面の人物に対して警戒感を示すように、リスフィールはぎこちない笑みを浮かべながら、アリアと自己紹介を交わし握手する。
「セフィリア先輩には、いろいろお世話になりまして……、先輩がいなかったら、私なんてとっくにこの世にいません」
「な、なるほど……」
明らかに人付き合いが苦手そうなリスフィールにとって、王都での暮らしは楽ではなかっただろうと察したアリアが、リスフィールの冷たい手から手を離し苦笑を返す。
リスフィールは以前、魔術長だったセフィリアが講師を務めていた王都の魔術学院で学んでおり、特別にセフィリアの弟子として、魔術を修めていたとアリアに告げる。
「私は、一般の正統な魔術がほとんど使えなかったんです。ですが……、先生が、私の本当の適性を見抜いてくれて……」
普通の授業は全く意味をなさない、落ちこぼれだったリスフィール。
しかし、セフィリアが特別に指導したことで、一般的には黒魔術と呼ばれるような邪法に特化し、精通した魔術師になれたことをリスフィールが懐かしそうに告げる。
その説明に対し、暗い環境に目が慣れてきたアリアが、床に散らばっていたり棚に並んでいたりする様々な禍々しい物体を見て、納得したように頷く。
すると、眠そうだったリスフィールの目が力強い光を帯びたように輝き、アリアとセフィリアの身体を観察し始める。
「わざわざ先生がこんなところまでいらっしゃったのは……、その魔具が理由でしょうか?」
「ええ、そういうこと。魔具の解除の仕方……、最悪、ある程度制御できる方法を教えてもらいたいと思って」
本題を切り出したセフィリアに対し、また表情を眠たげなものに戻したリスフィールがこくりと頷く。
リスフィールが小さく口の中で何かを唱えたかと思うと、軽い爆発音とともに、部屋の隅に突然地下への階段が現れる。
「とりあえず、魔具を鑑定してみないことには……、こちらへどうぞ」
先導するように、のそのそと歩くリスフィールに続き、アリアとセフィリアが階段を下りていくと、無人の部屋には階段などどこにもなくなっていた。
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「これは……!?」
「特別な鉱石で作った魔具の実験部屋です。魔法で破壊するのは、ほぼ不可能です……」
先ほどの真っ暗で不気味な部屋とは打って変わって、四方を真っ黒な壁と天井に囲まれた、柔らかな光に包まれる広い部屋に降り、驚きの声を漏らすアリアに、リスフィールが少し自慢げに答える。
三人が部屋に入り階段が消えると、リスフィールの表情が、再び真剣で生気に満ちたものへと変わる。
「ではお二人とも……、魔具を見せて頂けますか……?」
「ええ……、そうね。分かったわ」
「分かりました。よろしくお願いします、リスフィールさん」
リスフィールの言葉に頷いたアリアとセフィリアは、それぞれ魔具に呪われた肢体を露わにする。
セフィリアは、戦闘で魔力を溜めるために、露出度を高めた白いローブをたくし上げて、ぽっかりと穴が空いているように見える秘所を晒すように足を広げて立つ。
それに対し、アリアは全身を覆う魔法の鎧を解除して虚空に消して、一糸纏わぬ姿を晒し、所在なさげに両手を腹のあたりで組み、恥ずかしそうにうつむきながら、敏感な三点に輝く銀の輪をリスフィールへと晒す。
「では……、<鑑定>…、<魔術追跡>…、<魔術解析>……」
アリアとセフィリア二人の正面に立ち、様々な魔術を一斉に唱えたリスフィールの紅眼が、きらりと輝きながら、二人の身体を射抜く。
魔術を唱えたリスフィールが何分かアリアとセフィリアを観察していると、リスフィールの頬を脂汗が流れ落ち、簡単な作業ではないことを二人に伝える。
それからさらに何分か経つと、リスフィールが苦し気に息を乱しながら床に崩れ落ちる。
「解析、完了です……」
「ありがとう、リスフィール。お疲れ様」
解析完了を告げたリスフィールにセフィリアが駆け寄ると、身体を抱き留めて感謝の言葉を告げる。
しかし、その後のリスフィールの言葉にセフィリアの表情が一気に強張る。
「解析結果をお伝えするには……、先生といっても、報酬は先払いで頂きますよ……?」
「え、っと……、この魔具の関係上、私はちょっと難しいから……アリアがまとめて払ってくれるわ。ね、アリア?」
焦りを隠しきれないセフィリアに、突然報酬の支払いを求められたアリアは戸惑いつつもすぐに頷く。
「勿論、報酬はお支払いします。このような魔具を鑑定していただけるなら、言い値で支払いましょう」
「言い値、ですか……、では遠慮なく、頂きますね……♪」
王国騎士らしく凛と告げたアリアに対し、ぐったりとセフィリアに体を預けていたリスフィールが、妖しい笑みを浮かべながら体を起こす。
すると、アリアが反応する間もなく、アリアの裸の身体はリスフィールに押し倒され、仰向けになったアリアの唇がリスフィールによって奪われる。
「んん、っ…あ……、んんんっ……!」
リスフィールからの不意の口付けに戸惑うアリアは、すぐに我に返ってリスフィールの身体に手を添えてどかそうとする。
しかし、アリアのその考えは、あっという間に圧倒的な快楽に塗り潰され、凛としたアリアの表情は、一瞬で見る影もなく蕩ける。
同様に蕩けた淫らな表情を浮かべるリスフィールは、巧みにアリアの口内に舌を忍び込ませ、濃厚な口付けを交わす。
舌を絡め合い、口内を舐めしゃぶられ蹂躙されるアリアは、身体を内側からドロドロに溶かされるような悦楽に身体を脱力させ、身を任せる。
「うわぁ……、ごめんね、アリア」
アリアとリスフィールの濃厚な絡み合いを見せつけられ頬を赤らめるセフィリアが、申し訳なさそうに謝罪する。
しかし、その声がアリアに届くことはなく、リスフィールの舌に口内を蕩けさせられる快楽にアリアはびくびくと体を震わせ、何度も絶頂するばかりだった。
魔具の鑑定の倍以上の時間をかけた口のみの性行が終わり、満足げにリスフィールが体を起こすも、アリアは息を荒くしながら顔を真っ赤にし、蕩けた表情を戻せずにただ床に横たわる。
「ふう……、アリア様、ご馳走様でした。報酬は十分頂きましたよ……」
今までにない明るい笑顔でリスフィールが告げると、少し余裕を取り戻したアリアは、セフィリアとリスフィールに恥ずかしそうで恨みがましい視線を向ける。
そんなアリアに再び申し訳なさそうな謝罪を返したセフィリアは、アリアに対してリスフィールの告げた『報酬』の説明をする。
「リスフィールは、『キスをした相手の身体能力や魔法能力を少しだけ学び取ることができる』、という特殊能力を持っているの。だから、魔具の代金や相談料は全部キス、ってこと」
「はあ、っ……、…それは、事前に言っておいてください……」
もちろん相手が学び取る価値のある能力を持った場合に限る、というセフィリアの追加説明に、アリアがようやく体を起こしながらセフィリアをたしなめる。
アリアの身体能力を少しとはいえ身に付けたリスフィールは、先ほどまでに比べて、目に見えて軽やかな動きでアリアとセフィリアに再び歩み寄る。
「報酬もいただきましたし、先ほどの鑑定結果をお伝えします……」
リスフィールの言葉に、アリアとセフィリアの表情は引き締まり、二人とも服装を整え、一字一句聞き逃すまいと耳に神経を集中させる。
それを感じ取ったリスフィールも、表情を引き締めて再び口を開く。
「結論から言えば、魔具の解除は今のところ不可能です……、が、ある程度の制御なら、できないことはありません」
「制御なら、ね……、一体どうすればいいの?」
解除できないと聞いたセフィリアとアリアは落ち込むものの、制御可能という言葉に僅かな希望を見出し、セフィリアがリスフィールに尋ねる。
少し言いにくそうな表情を見せるリスフィールは、軽い咳払いをして、セフィリアの質問に答える。
「まず、アリア様の魔具を制御するには……、先生と、アリア様が……、その……、セックス、して下さい」
思わぬ制御方法を聞かされたアリアとセフィリアは固まり、お互いに顔を見合わせる。
聞き間違いでないことを何度も確認した二人は、広々とした部屋いっぱいに絶叫を響かせるのだった。