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アリアとセフィリアに取り付けられた魔具を鑑定したリスフィールから、思わぬ制御方法を聞かされた二人が落ち着きを取り戻すと、リスフィールは詳細な説明を再開する。
「経緯は分かりませんが、お二人に付けられた魔具は、かなり高度で強力なもので……、他の魔具で干渉しようとしても、ほぼ敵いません。ですが、若干の制御を行うことはできます……」
真黒な壁と天井に覆われた広い部屋の中、まだ驚きと戸惑いは残っているものの、アリアとセフィリアは、魔具の専門家であるリスフィールの説明に真剣に耳を傾ける。
濃厚な口付けを交わしたにもかかわらず、まだアリアに対して気を許せないのか、おどおどしてセミロングの黒髪を揺らしながらリスフィールは言葉を続ける。
「アリア様の装着している魔具は、『淫魔の輪』……、魔物に反応し、女性を辱める能力を持っています。魔物が装着者の力を確実に削ぎ、支配するための魔具ですね……、温度、振動、圧力などで慣れることのない快楽を不規則に与えてくるようです……」
女性の弱点を突いた忌々しい魔具の説明をリスフィールから聞くアリアは、身をもって実感している魔具の効果に改めて悔しげに歯を食いしばる。
そんなアリアに対し、リスフィールの説明は続く。
「魔具をアリア様に装着させた人物から制御権を奪うには、魔具を騙す必要があります……、そのために、最も有効なのが……、アリア様を何度も絶頂させて、アリア様の主人であることを魔具に示す方法なんです……」
アリアを絶頂させることで、魔具に主人を誤認識させるというリスフィールの説明に、アリアは内心納得していた。
盗賊に囚われの身となった時、女調教師は魔具を操り、アリアを辱めていた。
当時は、拘束され犯されていたことから、無意識に女調教師を主人として認めてしまったがゆえに、女調教師が魔具を操作できたのだろうとアリアは思い至る。
「なるほど……、私の主人はセフィリアである、と魔具に認めさせればいいわけですね」
「そのためには、私がアリアを何回もイカせなきゃいけない、ってことね……」
アリアは納得の言葉を呟くものの、セフィリアはなかなか煮え切らない感情を表すように告げる。
セフィリアの悩む表情を見たアリアは、密かに抱いていたセフィリアへの思慕の念に胸が痛むように感じ、拳を胸の前で握り締める。
ちらちらと互いの表情を伺いつつも、しっかりと視線を合わせられないアリアとセフィリアの様子を見たリスフィールは、一息ついて再び二人に告げる。
「制御とはいっても、完全に魔具を抑え込めるわけではありません……、うまくいったとしても、多少効果を薄めるくらいでしょう……、それでも、試してみる価値はあると思いますが……」
仲間であり、友人である関係を壊しかねない行為に、なかなか踏み切れないアリアとセフィリアの心情を察したリスフィールが言いにくそうに説明を終える。
閉鎖された部屋の中では分かりにくかったが、外はもう闇に閉ざされている時間になっていることをリスフィールが告げると、決断は後にすることで三人が一致する。
アリアとセフィリアは、そのまま地下室を寝室として使わせてもらうことにし、家具や調度品などがほとんどない広々とした部屋に毛布を敷き、少し距離を取って並んで床に就く。
「……おやすみなさい、アリア」
「ええ……、おやすみなさい、セフィリア」
二人だけのがらんとした部屋に、就寝の挨拶だけが虚しく響いた。
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目を閉じ仰向けになった体勢で、規則正しい呼吸をするセフィリアだが、一向に寝付けず頭の中ではぐるぐると様々な考えが巡っていた。
(アリアは大事な友人で、仲間……、それだけでいるはずだったのに……)
王都で共に宮仕えをしていたアリアの凛々しく、優しい笑みを浮かべた姿がはっきりとセフィリアの脳裏に浮かぶ。
自分にはないアリアの身体能力や、偉そうな態度に苛立ち、二人で衝突したことが何度もあった過去をセフィリアは思い浮かべる。
しかし、本音をぶつけ合い、背中を安心して任せられるアリアへの思いは、セフィリアの胸中に確実に思慕、恋慕の思いとして募っていた。
(友人、仲間……、そんな、誰からも認められる関係で留めておきたかったのに……、それじゃ、ダメだっていうの……?)
戦いによって、呪いに等しい特異体質を得てしまったというのもセフィリアが王都を離れる一因ではあった。
しかし実際は、アリアとの関係を綺麗な思い出として、そのままにしておきたかったから、という本音を心の中で呟くセフィリア。
薬師として辺境の地で暮らしていた自分の元に突然現れた思い人に対し、嬉しさを感じずにはいられなかったが、セフィリアは悪戯な運命を内心呪っていた。
(魔具を制御するためなんて名目でアリアを抱けば、きっともう戻れない……、自分を制御できる自信なんてない……!)
アリアと再会してからは、仲間、友人としての仮面を被り上手く演じてきた自信が、セフィリアにはあった。
しかし、上手く理由を付けてアリアと一度関係を持ってしまえば、セフィリアは、自分の奥底にしまい込んだドロドロとした感情が一気に溢れ出てしまうと確信している。
必死に隠してきた思いが溢れ出てくるような感覚にセフィリアがギュッと瞼に力を籠めると、仰向けの身体にふと重みと温かさを感じ、ゆっくりとセフィリアが目を開く。
「……明日の朝までなど、待っていられません。私の思い……、考えを言わせてください、セフィリア」
「…っ……、アリ、ア……!?」
すぐ目の前に迫ったアリアの顔に息を飲むセフィリアに、アリアが覚悟の色をはっきりと示した声色で宣言する。
顔の左右に手をついて覆いかぶさってきたアリアと身体が密着し、寝間着の薄いワンピースの生地越しに、互いの体温が伝わるように感じるセフィリア。
そんな感覚にセフィリアは密かに熱い吐息を漏らしつつ、アリアを真っ直ぐに見つめ返してアリアの覚悟に応える。
「セフィリア……、私は、貴女のことを……大切な友人だと、思っています」
当然の事実を告げられただけ、それだけのはずなのに、セフィリアは目の前が真っ暗になり、頭から冷や水をかけられたように感じる。
自分がアリアに抱いている感情は誰にも…、アリアにすら理解されないのだという残酷な事実を突きつけられたように感じたセフィリア。
暗闇のせいか、絶望に染まったセフィリアの表情には気づいていない様子のアリアは、一息の後、再び言葉を紡ぎ始める。
「森で魔樹に出会った時……、盗賊たちの虜となった時……、私はセフィリアを助けたい、セフィリアを失いたくない……そんな気持ちで一杯でした。部下や他の仲間たちとともにいた時には感じることのなかったこの思い……、この感情は、友情、信頼……、それだけでは片付けられません」
修行や職務に専念するばかりで、恋愛に不慣れだったアリアが、セフィリアと再会し旅をする中でようやく気付けた感情について、慎重に言葉を紡いでいく。
その言葉の先を予想したセフィリアは、続きを聞きたいが聞きたくない、という相反し矛盾した思いに囚われる中、無情にアリアの言葉は続く。
「……私は貴女を……、セフィリアを、愛しています。こんな状況で思いを告げる、卑怯な私を許してください……」
身に纏った魔具を制御するためには、セフィリアは否応なくアリアを抱かざるを得ない……、そんな逃げ場のない状況で、愛を告白する自分を卑怯に思うアリア。
無意識のうちにアリアの言葉は震え、恐れと怯えの感情がこもり弱々しくなってしまっていることに気付くセフィリア。
「卑怯なんかじゃ、ない……」
セフィリアの目尻にたまった涙が重力に負けて流れ落ちる中、セフィリアがアリアの言葉に答え囁き返す。
アリアの背に手を回し優しく抱き締め、ゆっくりとセフィリアが頭を上げると、二人の唇がゆっくりと重なる。
二人の唇が軽く触れるだけの口付けに、啄むような音が静かな地下室に響く。
「本当にアリアが卑怯なら……、魔具の制御のために、ってそれだけの理由でいいはず。こんな告白で、私に拒絶させる余裕を与える必要なんてないでしょう?」
「そう、ですね……、その手があるとは、気付きませんでした」
魔具のためだと偽ることができたはずだと告げたセフィリアに、ぽかんとした表情で返すアリア。
すっかりいつも通りの二人に戻ったような感覚に、今までの緊張や躊躇は何だったのかと、二人とも自然と笑いがこみあげてくる。
様々な感情がこもった涙を流して、大声を上げて苦しくなるほど笑い合った二人は、しばらくして息を整えると、セフィリアがゆっくりと口を開く。
「私も……、愛しているわ、アリア。魔具の制御なんて理由がなくたって、アリアを抱いて……滅茶苦茶にしたい」
「ふふっ……、お手柔らかにお願いしますね、ご主人様?」
獣欲を滲ませながら愛の告白を返したセフィリアに対し、アリアはセフィリアの上に覆い被さったまま、おどけたように肩をすくめて顔をセフィリアに寄せる。
先ほどの軽い口付けとは一転し、ねっとりとした淫猥な水音を長い間響かせる口付けをきっかけに、アリアとセフィリアの気持ちと身体は一つに重なっていった。
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「ああ…っん……、激しすぎます、っ…セフィリア…ああ……!」
「主人に口答えする気? まだまだ躾が必要なようね……」
一糸纏わぬ姿になったアリアとセフィリアは、今まで抑え込んでいた気持ちや欲望を一気に解き放つかのように、濃厚に体を絡め合ってその愛を確かめ合っていた。
魔具の制御のためというのもあるが、セフィリアは淫らな快感を覚えると魔術が暴走してしまう可能性があるため、濃厚なまぐわいは見た目と違って、一方的なものとなっていた。
何度も絶頂を迎えさせられたアリアが弱弱しい抗議の声を上げるも、セフィリアは全く聞く耳を持たない。
仰向けになったアリアの身体に乗り上げたセフィリアは、休息を求める言葉を封じるようにアリアの唇を奪いながら、乳房を揉みしだき、濡れそぼった秘所をしなやかな指で乱暴にかき回す。
「んふう、っん……、んんうっ……!!」
「…っはあ、っ……、えっと……、何回目だったかな? アリアがイった回数、数え切れなくなっちゃった」
アリアの絶頂を身体の跳ねで察したセフィリアが唇を離すと、アリアが何とか息を整える中、楽しくてたまらないといった様子で告げる。
一方のアリアも、容赦のない激しい性行に疲労を感じつつも、盗賊たちの手によるものなどとは違って、そんな疲労すらも心地よく感じ、セフィリアへの思いがより高まるように感じていた。
それでも、自分を好き勝手に犯してくるセフィリアを完全に許せるはずもなく、目の前のセフィリアにじろりと非難の視線を向ける。
「お互いに魔具から解放されたら……、今の倍、イカせてあげますからね……」
「はいはい、覚悟しとく。さて、魔具の制御のためにはもっとイカせてあげないとねー……?」
ささやかなアリアの抵抗は、セフィリアにあっさりと流されてしまい、さらなる行為に欲望を抑えきれないセフィリアが続行を宣言する。
敏感な部分を探るかのように、秘所の中でセフィリアの指が蠢くのをアリアが感じ、嬌声を上げながら体をくねらせる。
セフィリアの愛撫は、そこまで熟練し慣れた手つきには感じられないものの、アリアの快感を引き出そうという思いが痛いほどアリアに伝わってくる。
まさに、愛情をこめて撫でる、といった手つきに、アリアは身体を悩ましくくねらせ、甘い吐息を漏らす。
「今、魔具のことを持ち出すとは……、セフィリアこそ、卑怯ですっ……!」
「また、そんなこと言って……、主人と認めさせるにはまだまだ足りないかしら?」
アリアとセフィリアが軽口を叩き合うと、再び二人の身体は一つに重なり、淫らな水音と嬌声が地下室の中に響き始める。
……とっくに朝を迎え、リスフィールが地下室にやってきたことに気付かないまま、二人の情事は延々と続き、アリアが意識を手放すことでようやく終わりを告げた。
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「アリア様の魔具の制御は後で実験してみるとして……、先生の魔具については話がまだでしたよね?」
情事を目撃されていたことに今更ながら気づいたセフィリアが気まずそうに目を逸らす中、リスフィールはまったく気にしていないといった様子で口を開く。
毛布を掛けられて、淫らな肢体を隠され深い眠りに落ちたままのアリアを尻目に、白いローブを身に付け身支度を整えたセフィリアに対し、リスフィールが話し始める。
「先生の魔具については、そこまで詳細に分析することが出来ませんでした……、これほど強力で高度な魔具は、見たことがありません。魔具というよりは、呪いの類に近いような……」
「呪い、ね……」
アリアの身体を乗っ取り、自分に忌々しい魔具を取り付けた謎の人物を頭に思い浮かべながら、セフィリアはリスフィールの言葉に頷く。
呪いということは、アリアの魔具のように制御することは不可能で、解呪する以外に方法はないことをセフィリアは悟る。
「先生の特異体質を封じて、強力な魔術を妨害するためのこの魔具は……、先生が抵抗して、魔術を使うたびに成長するようです。先生も感じているんじゃないですか……?」
リスフィールが恐る恐る告げたような言葉に、図星を突かれたセフィリアは身体をこわばらせ苦笑し、アリアがまだ眠りに落ちていることを横目で確認する。
確かに、盗賊たちとの一戦で無理矢理魔術を行使した後、セフィリアは秘所だけでなく、乳房にも違和感を感じるようになっていた。
まるで、自分の秘所を肉棒で犯す魔物に加え、乳房を背後から鷲掴みしてくる魔物が現れたような感覚に、セフィリアは時折悩まされている。
支配を打ち破る度に、より強力な封印を施してくるかのように魔具が成長していると感じていたセフィリアの勘が、リスフィールによって裏付けられてしまった。
「だからといって、魔術を使わないわけにはいかない……、アリアと一緒に王都に行くためには、どんなことがあるか分からないから」
「先生なら、そう仰ると思っていました……、自分のためでなく、人のために全力を尽くすのが先生ですよね……」
大切な仲間であり恋人であるアリアとともに王都に行き、魔具を解除する……、その覚悟の光が輝くセフィリアの眼差しを眩しそうに見たリスフィールは、一見首輪のようにも見える金色に輝く輪をセフィリアに差し出す。
「これは、私が持っている中で最強の力を持つ魔具……、『服従の首輪』です。その名前通り、この首輪を着けた人物の意思や感情を無視して、身体を操る魔具です……」
金色の眩しい輝きを放つ魔具を受け取ったセフィリアは、リスフィールの考えを読み取ることができず、説明の続きを待つ。
強力な魔具を手渡したリスフィールは、真剣な面持ちで言葉を続ける。
「毒を以て毒を制す……、『服従の首輪』で、先生の魔具の効果を妨害するんです。先生が先生自身を服従させることで、絶頂を強制的に封じる……、これで何とか、ある程度は強力な魔術が可能になるはずです……」
効果的に思えるリスフィールの提案だが、どこか自信がないようにセフィリアには聞こえる。
リスフィールもおそらく思い付いているのであろう、この案の欠点について、セフィリアが口を開く。
「魔具二つ分の魔力が流れ込む身体には、かなりの負担がかかるはず……、何とか魔術を使えたとしても、魔具の更なる成長は抑えられない、か……」
「はい……、それに、『服従の首輪』の制御権を奪われでもしたら、先生はなすすべがありません……、ここまで危険を冒しても、魔具に対する妨害の効果は限定的なものになります」
リスクを上げればきりがないが、未知の敵に対抗できるような強力な魔術を使うためには、他に案はないと思い至るセフィリアとリスフィール。
特に合図もなく、セフィリアとリスフィールが同時に深いため息をつくと、セフィリアはゆっくりと『服従の首輪』を首へと装着する。
まるで生きているかのような魔具は、セフィリアの首をそっと優しく締め付けるように縮み、新たな寄生主を認識したようにどくんと不気味に脈打つ。
「……ありがとう、リスフィール。大切に使わせてもらうわ」
「特別に代金はツケにしておきますから……、また、いつか絶対に支払いに来てくださいね……?」
セフィリアにそっと抱きついたリスフィールが、代金である口付けを将来に約束すると、互いに笑みを零す。
いつの間にか目を覚ましていたアリアは、セフィリアの覚悟を受け取り、横たわったまま毛布の下で拳を握り締めていた。