幕間的な短編です。
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<追記>お気に入り登録100件突破、ありがとうございます。
魔具に対し、一応の対抗策を見出したアリアとセフィリアは、激しい淫交による心地よい疲れに浸りつつ、リスフィールとともに遅めの朝食をとっていた。
一応使うこともあるかもしれないと作っておいたらしいリスフィール邸の客間……という名の、テーブルといすが置かれただけの薄暗い質素な部屋。
その部屋で、近くの森で採取した植物やキノコを調理した朝食を三人で食べる。
「……昨夜はお楽しみでしたね、なんて言った方が良かったですか?」
「もうその話はいいから! まったく、何も言わずに覗いてるなんて……」
アリアとセフィリア二人の、時間を忘れるほどの濃密な交わりは、二人を起こしに来たリスフィールにほぼすべて目撃されてしまった。
リスフィールは同性同士の関係を特に気にしていない様子ではあるものの、そんなことで羞恥が薄まるわけはなく、セフィリアはリスフィールに怒りの抗議をし、一見平然と食事をとるアリアも頬と耳を赤く染め、かすかに手を震わせている。
人付き合いが嫌いというだけあり、人の感情の機微に疎いらしいリスフィールは、二人の態度に首を傾げつつ会話の口火を切る。
「お二人は王都に向かうという話でしたが……、最近、妙な噂があるみたいで……」
「妙な噂?」
「はい……、近頃、王都に向かった商人が行方不明になったとか、家族が帰ってこないとか……、王都近くの街でも同じようなことが言われているようです……」
リスフィール曰く、王都に向かった人が戻ってこなかったり、王都と連絡がつかなかったりということが頻発しており、噂が噂を呼び混乱しつつある状況らしい。
王都から遠く離れたところではまだ影響が小さかったせいか、噂を耳にしたのが初めてのセフィリアとアリアは深刻な表情で見つめ合う。
「私が王都から出立して大分経ちますが、防衛体制に不備はないはずです。一体、何が起こっているのか……」
「もしかしたら、魔物の出現や治安の悪化も関係してるのかも。王都に急がなくちゃ」
リスフィールの言葉を聞き、朝食もそこそこに今にも出発しそうになるアリアとセフィリア。
そんな二人の様子を見て、リスフィールが口にしていた料理を急いで飲み込み、慌てて制止する。
「あ、あの……、よろしければ、私も途中の街までご一緒してもいいですか? 薬草を採取したくて……」
腕の立つアリアとセフィリアなら護衛として安全だと判断したリスフィールが、少し言いにくそうにもごもごと告げる。
魔具にとって貴重な情報をくれたリスフィールの願いをあっさりと無碍にするはずもなく、アリアと目配せしたセフィリアは笑顔で首肯する。
「勿論。私たちがしっかり護衛して、送り届けてあげる。……その分、少し代金はまけてくれると嬉しいんだけど」
今回の諸々の費用の支払いを約束しているセフィリアが冗談交じりに告げると、三人の間で楽しげな笑いが巻き起こる。
その後、朝食を取りながら詳しく相談した結果、リスフィールの準備が整うまで少々の時間がかかるということで、それを待って出発ということになった。
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個々に自由時間となり、アリアはリスフィールの家の外に出た。
随分久しぶりに感じる木々の香りを肺一杯に取り込むと、リスフィール邸のどこか黴臭く埃っぽい空気が体外に押し出されるような感触を覚え、アリアは自然と表情を緩める。
身に纏う純銀の鎧の下にそっと意識を移したアリアは、女の淫らな三点を静かに締め付ける魔具に思いを馳せる。
昨夜、セフィリアと体を重ねてから、これまでずっと続いていた無意識な振動や温度変化は、頻度がかなり減ってアリアの負担はだいぶ軽くなっていた。
この理由は、魔具も自分も、主人がセフィリアであるということを少なかれ認めてしまっているためということを意識すると、自然と体が熱くなり、羞恥とともに幸福感を感じる。
自分の中でしっかりと形になった想いをセフィリアが受け止めてくれたのはおそらく確かなこと。
しかし、アリアの心には若干のわだかまり、しこりが残っていた。
「私が思いを伝えられたのは、この忌々しい魔具がきっかけであり、理由……それは否定できません」
自分の中に残ったもやもやする感情を意識するようにアリアは小さく呟くと、<軽量化>の魔法がかかった状態でも十分に重さを感じる剣で勢いよく空を裂く。
魔具に思いを歪められたかのような屈辱を完全に払拭するためには、この魔具を除去し、取り付けた下手人を罰するしか方法はないのだろうと、アリアはこれからの旅路を思い、セフィリアを守り抜く決意を固めるのだった。
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「はあ……」
一方、アリア、リスフィールと別れたセフィリアは、アリアと一夜を過ごした地下空間へと戻ってきていた。
自分とアリアが激しく交わっていた場所の冷たい黒床に触れると、まだ熱が残っているように感じ、セフィリアは頬をかすかに朱に染める。
「あれで、良かったのかな……」
いつもの自信を感じさせないか細い声は、広い空間に頼りなく響き、セフィリアの耳へと戻ってきた。
頼もしさ、美しさ、凛々しさ……アリアの好きな部分ならいくらでも思い付く。
しかし、その思いをアリアに告げられたのは結果的に魔具のおかげ……そんな気持ちが、セフィリアの胸の底に泥のように沈み堆積していた。
魔具がなければ自分は思いを告げられなかった……、自分の思いはその程度の物だった……、次々と湧き上がる仄暗い感情を抑え込むように拳を握るセフィリア。
「はあ……、こんな顔、アリアに見せられない……」
鏡で確認しなくとも、今にも泣きそうで、同時に怒りそうなみっともない自身の表情は、セフィリアには容易に想像できた。
ないまぜの感情に頭をかき回され、火照った体を覚まそうと床に寝転がったセフィリアは、床の心地よい冷たさを感じつつ、気付かない間に眠りの世界へと堕ちてしまった。
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「……ここ……、地下室じゃ、ない……?」
気付けばセフィリアは、黒い石に囲まれた長い廊下のような場所に立っていた。
身に付けていたはずのローブはなく、一糸纏わぬ姿になっていることに戸惑いつつ辺りを見回すセフィリアは、秘所を貫く魔具はそのまま残っていることに苦笑しつつ周囲を警戒する。
同じような材質でできた床と壁だが、ひんやりとした空気が肌を撫でるのを確認し、先ほどまで自分がいた場所ではないことを察するセフィリア。
「前にも、確かこんなことがあったような……」
ぼんやりとした感覚を確かめるように小さく呟くと、セフィリアの脳裏に、以前、森で意識を失った時に見た映像が一気に蘇ってくる。
なぜ今まで忘れていたのかと疑問に思いつつ、今の光景が以前の夢の物と同じだと確信めいた感情を抱くと、以前と同じように廊下の奥へと進んでいく。
セフィリアがひたひたと裸足で床の冷たさを感じつつ、見覚えのある廊下を歩いていくと、角の向こうにある牢から女性の喘ぎが響いてくる。
「やっぱり……、あの時と同じ、夢……?」
床の冷たさや空気の温度など、夢というには現実感があり過ぎると疑問を抱きながらセフィリアが呟く。
しかし、その現実感とは裏腹に、時折壁に触れようとする自分の手が透けてめり込むことがあり、現実ではないことを確信する。
廊下の角にセフィリアは半身を隠しながら、その先の牢の様子を窺っていると、今回は女性が二人いることに気付く。
「あれは……、魔物……?」
一人は浅黒い肌を惜しげもなく晒しながら、要所は黒革の際どい衣装で隠した、銀髪のショートカットの女性。
もう一人は、以前も目撃した、白く透き通るような肌をすべて露わにし、翠玉色の眼を苦しげに細め、長い金髪を垂らす女性。
しかし、その二人の背には、それぞれ漆黒の翼が折り畳まれた状態で備わっており、人間ではないとセフィリアは悟る。
「貴女の娘、なかなか見つからないわね……、探してるこっちが飽きてきちゃうくらいよ、シルフィー」
「そう……、それは、朗報ね…っ…んん……!」
退屈そうにため息を吐く黒革の衣装を纏った魔物の言葉に、もう一人の女性が喘ぎ交じりに答える。
どうやらシルフィ―と言う名らしい魔族の女性は、宙に浮いているように見える。
しかし、セフィリアが良く目を凝らすと、半透明のスライムがシルフィーの身体の表面を這うように動き、触手が四肢を拘束していることに気付く。
「協力してくれれば、貴女の役目も早く終わるのよ? 二人並んで、たっぷりと魔力を絞ってあげられるんだから」
「本音が透けて見えるわよ、クロディア。あの子と一緒に私を辱めて遊びたいだけ……、役目が終わったとしても、二人とも解放する気はないんでしょう?」
「ご名答~。ご褒美に、一回だけイカせてあ・げ・る♪」
茶化すようなクロディアという魔物の軽い声色と、強気ながらも苦しげな色を隠し切れないシルフィーという魔物の声が牢から廊下に響く。
会話は聞こえてくるものの、内容はよく理解できないセフィリアの目の前で、シルフィーと呼ばれる女性の乳房がぐにぐにと強引に形を変えられ、ぐちゅぐちゅと淫らな水音が響いてくる。
間もなく、スライムと触手に責め立てられたシルフィーの口から、大きな嬌声が漏れるとともに体が跳ね、絶頂を迎えたらしいとセフィリアが推測すると、急激な魔力の高まりを感じる。
「これって、もしかして……!?」
絶頂と同時に魔力が発せられるという、まるで自分の身体のような現象が、シルフィーという魔物にも起こったらしいという事実に、セフィリアは戸惑いを隠しきれない。
あまりの驚きに、身を隠すことを忘れて身を乗り出し、ふらふらと牢に近付いていくセフィリアをよそに、魔物二人の会話は続く。
「久しぶりのご褒美の味はどう? これからまた我慢させられる励みになったでしょ?」
「…そう、ね……、貴女の玩具になり続けるには、これくらいの励みはなくちゃ、ね……」
楽しげなクロディアに対し、絶頂に乱れた吐息を整えながら強がった様子で告げるシルフィー。
くすりと蠱惑的な笑みを零したクロディアが指を一度鳴らすと、澄んだ音と共にシルフィーの身体表面を這うスライムが瞬時に消え失せた。
「じゃあ、可愛い玩具で遊ばせてもらおうかしら。とりあえず、軽く1000回はお預けしてみる?」
耳をくすぐるようなクロディアの言葉は、どこか冷酷な響きを帯びており、シルフィーが表情をこわばらせる。
四肢を触手に絡め取られ宙に浮いたシルフィーに、ゆっくりと歩み寄ったクロディアはそのまま包み込むようにシルフィーを抱き締め、クロディアの顔の位置にあるシルフィーの乳房に唇を這わせる。
「んん、あっ…、……んふう、っんっ……!」
すっかり固く尖った胸蕾を甘噛みされ、強く吸引されたシルフィーは、スライムごときとは比べ物にならない快楽に甘く切ない時を漏らし身震いする。
そんな様子に満足げに目を細めたクロディアは、右手をシルフィーの秘列に向かわせ優しく何度も撫で付ける。
くちゅくちゅと愛液が奏でる水音にシルフィーが羞恥を煽られ歯噛みするのを見たクロディアは、本格的な侵攻を開始する。
「まずは一回目……、貴女の悔しい悔しい喘ぎ声を楽しませて頂戴……?」
「んんっ……、くうっ……!」
勝利宣言のように言い放ったクロディアの指が、まるで蛇のように蠢き始めると、シルフィーはもはや表情を取り繕う余裕などなく、強烈過ぎる快楽に悶え喘ぎ始める。
白く透き通る身体と、黒く引き締まった肉体が絡み合う姿は芸術的ですらあった。
無防備に晒されたシルフィーの肉芽を摘まみ、しごき、押し潰したかと思えば、秘所に潜り込んだ指が中を撫で回しかき混ぜる……、一人が行っているとは思えない熟練し過ぎた責めに、シルフィーの身体はなすすべなく絶頂まで高められる。
しかし、クロディアはシルフィーの絶頂を許さない。
牢に響いていた淫らな水音は途端に止み、シルフィーの荒い息遣いと切なげな吐息だけが空間を支配する。
「あっという間の一回目……、あと999回我慢すれば、またイケるの。嬉しいでしょ?」
「ええ……、嬉しいわ。死ぬほどね……」
絶頂を味合わせてからの寸止め宣告という女性にとっては辛く、屈辱的な仕打ちを楽し気に強いるクロディアに対し、強気な態度を崩さないシルフィー。
いつの間にか牢の前まで来ていたセフィリアは、シルフィーの姿がどこか自分と重なり、はっと我に返る。
どうやら魔物二人は行為に夢中なせいか、一切自分に気付いていないようで、セフィリアは安堵する。
もしくは、自分は実体ではないために気付かないのか、などと仮説を組み立てていると、牢の中でクロディアが口を開く。
「まあ、新しい玩具探しはじっくりやるわ……、人間で遊ぶのもなかなか面白いし。貴女に敵う玩具はまだいないけど」
絶頂寸前のシルフィーの身体を両手で愛おしそうに撫で回すクロディアは、時折、乳房の頂点や肉芽を軽く指先で転がし、シルフィーに休息を許さず告げる。
まるで片手間のような愛撫に身体を高ぶらせたままの状態を強いられるシルフィーは、今までで最も不敵に、大胆に笑みを浮かべた。
「それは光栄ね……、精々、玩具や玩具候補に寝首を書かれないよう、気を付けなさい?」
「ふうん……? そうね、楽しみにしておくわ」
そんな強気な言葉に嗜虐心をそそられたのか、シルフィーへの責めを再開するクロディア。
人間で遊ぶ……、クロディアの言葉を真実とするなら、近頃の魔物騒動に関わっているのかと頭を回転させるセフィリア。
目の前で繰り広げられる陰惨な辱めに意識を反らされつつも、現状を何とか整理しようとしているセフィリアと、辱めに耐えるシルフィーの視線が交錯する。
その瞬間、ガツンと頭を殴られたような衝撃とともに、セフィリアの意識は再び暗転していった……
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「……リア、…て下さい、セフィリア。そろそろ出発ですよ、セフィリア」
「……ん…、アリ、ア……?」
肩を軽く揺すられるような感覚と、自分の名を呼ぶ声に、徐々に意識が覚醒してくるセフィリア。
ゆっくりと目を開いていくと、自分が地下室でいつの間にか眠りに落ちており、アリアが起こしに来たのだと頭が現状を整理する。
「リスフィールの準備が整ったようです。セフィリアの準備も終わっているなら、そろそろ出発しましょう」
「そうね……、わざわざごめんなさい。私ならもう準備万端だから」
わざわざ自分を探しに来てくれたアリアに、セフィリアが感謝の言葉を口にしてゆっくりと起き上がる。
よく休めたようで何よりというアリアの言葉に微笑むセフィリアは、何か夢を見ていたような気がするのだが、内容をよく思い出せずにいた。
「んー……、牢屋で、二人の魔族が……」
床の冷たい感触に、夢の内容が断片的に思い浮かぼうとした瞬間、先に歩き出していたアリアが振り返り、声をかけて急かしてくる。
またぼんやりしてしまっていたことを反省し、セフィリアは苦笑しながらアリアの元に駆け寄る。
「さて、と……目指せ、王都ってことで。頑張りましょう、アリア」
「ええ、勿論です。セフィリアは絶対に守ってみせますから」
関係の変化を素直に飲み込めない二人だったが、互いが大切な存在には変わりない。
これからの旅への決意を共に固め、表情を緩め朗らかに笑うセフィリアとアリアだった。