「っは。我ながら、呆れるほどの量を吐き出したな。抜くぞ、美和?」
「う、あ。熱いの、たくさん。奥……」
「返事なんて出来ねえか」
肉棒を抜く。
挿入していた時間が短かったし、まだ男を知ったばかりなので膣口はすぐ閉じたが、俺がビールを呷ってタバコに火を点けると、ドロリと精液を吐き出した。
白濁したそれがシーツを汚すが、スキルでどうにでもなるのだろうから、ティッシュペーパーで拭くのは自分の肉棒だけにしておく。
「テレビはまだ時代劇か。こっちの歴史も知りてえが、ドラマじゃなあ」
咥えタバコで立ち上がり、テレビのチャンネルを変えた。
血だらけの女がミニスカートの男の子を庇うアニメ。あちらとあまり変わりない、動物が主人公の人形劇。
丸出しのおっぱいを揺らしながら女が相撲を取っているのには驚いたが、腹肉も凄かったのですぐにチャンネルを変える。
「ニュース専門チャンネルなんて、昭和の公共電波放送じゃあるはずもねえか」
しばらくボーっとアニメを見ていたが美和が動く気配がないので、寝室を出てバスルームを探す。
それはすぐに見つかったのだが、シャワーを出すにも小さなハンドルのような物で釜に火を入れなければならないらしく、使い方がわからない。人様の家で火事を出す訳にもいかないので、水で股間を洗った。
「つめてっ。そういやこの体、風邪とかひくのかねえ。さて、美和が起きるまでどうすっかな」
天斗の部屋に行ってもいいが、勉強中だと悪い。
そういえば美和の寝室には本棚があったなと、部屋に戻ってそこからハードカバーの1冊を抜き出した。
タイトルは、陰陽師の憂鬱。
陰陽寮に所属する男好きだが情に厚い女陰陽師の活躍を3分の1ほど読んだところで、ペチャペチャという音に気付いて振り返る。
美和だ。
「あ、あまり見ないでくれ」
「なら、膣から垂れた精液なんて舐めなきゃいい。どうせなら、搾りたてを味わえよ」
「……ダ、ダメだダメだ。時計を見ろ。そろそろ寿司を取ってやらないと、天斗がかわいそうだろ」
「へいへい。じゃあ、それは夜にすっか」
「ここで寝るつもりなのか?」
「美和が嫌なら、適当な部屋でいい」
「嫌なはずがない。そっちこそ、自分のオマンコから掻き出した精子を舐めるような女は嫌なんじゃないか?」
「エロくて最高じゃねえか。夜は口の中に1回。メガネした顔に1回。それとまた、膣内射精を好きなだけキメてやるからな」
結果、膣内射精は3回だった。
精力が異様に上がっている俺はまだまだ可能だったが、美和が絶叫を枕で押さえながら気を失ってしまったからだ。
朝食の席で顔を合わせた天斗は呆れているようなので、その声は美和の努力虚しく2階にまで届いていたのだろう。
チャイムが鳴ったのは、朝食を終えてすぐだ。
「早っ。丈二さん、体を貸して。お皿だけでも洗っときたい」
「あいよ。着替えを用意してるとは準備がいいな」
「じゃあ、迎えは待たせておくよ」
「3分で玄関に行くっ」
食器を洗う天斗の動きは、熟練の主婦といった感じである。
言葉通り3分ほどで皿洗いを済ませ、特に持って行く物はないのか足が玄関へ向く。
「お待たせしました。って、和音さん!?」
「はい。おひさしぶりですね、天斗様」
そう言いながら微笑むのは、なぜか巫女服を着ている妙齢の美女だ。
美和よりだいぶ若く、抜き身の日本刀のような美貌をしている。その肢体もスレンダーで、まるで俺のいた世界のモデルのようだ。天斗より背が高いから、こちら風の美人を絵に描いたような感じだろう。
「お、おひさしぶりです」
(くくっ。コレに惚れてんのか、天斗?)
「ほっ!」
「ほ?」
「な、なんでもないです。えっと、車ですよね」
「はい」
「それじゃ、行こうか。助手席に乗るかい、天斗?」
「い、いいって」
広い庭を抜けた先の道路には、一瞥しただけで高級とわかる黒塗りの車が停められていた。
天斗と美和が後部座席に乗り込むと、和音という女は巫女服のまま器用にシフトをローに入れてアクセルを踏む。
(そういやここってどこなんだ、天斗?)
(世田谷だよ。喜多見ってトコ。美波おばさんの別宅は成城だから、すぐだね)
(ふうん。世田谷に、あの広さの家ねえ。とんでもねえな。こっからなら遊びに出る時は、やっぱ新宿か渋谷か?)
(僕はそこまで行かないなあ。買い物とかは二子玉川か三軒茶屋。新宿とか渋谷は、すぐナンパされて落ち着いて買い物なんて出来ないし)
(なるほどねえ)
水瀬家の別宅には、たった10分ほどで到着した。こんくらいなら歩こうぜと言いたくなる距離だ。
かなりの豪邸であるらしく、大きな門を潜っても少し走って高級車が止まる。
礼を言いながら降りた美和は、仕草で着いて来いと天斗に示してまるで旅館のような玄関に上がった。
(とんでもねえ豪邸だな)
(だよね)
(ところで天斗)
(うん?)
(あの和音って女を口説いたら、抱けるか?)
(や、やめてよね。和音さんにまで手を出したら怒るよっ!)
(嫁の枠はまだ3つもあるんだから、手を付けるなら早めがいいぞ。のんびりしてて結婚でもされたら、どうすんだよ)
(そ、それは……)
話はそこで途切れた。
美和が見るからに高そうな襖を開け、畳敷きの大広間に入ったからだ。
100人ほどが飲み食いして、カラオケのステージまで作れそうな広間にいるのは、和服を着た1人の女。
結婚式や成人式でよく見る紋付き袴ではなく、まるで平安貴族のような服を着た女は、美和と天斗を見て上品そうな笑みを浮かべた。
「ひさしぶりね。美和ちゃん、天斗ちゃん」
「お、おひさりぶりです」
「変わらないわねえ、姉さん」
「たった数年で老け込むものですか。和音、まずはお茶を」
「すぐに」
美和と天斗の後ろを歩いていた和音が素早く動き、茶の用意を始める。
促されて2人は座布団に座ったのだが、水瀬家の当主に向かい合う形で置かれたそれは、3つあった。見れば和音が用意している高そうな茶碗も4つある。
使用人が座布団に座って茶を飲むとは思えないので、それは俺の分なのだろう。
「天斗ちゃん、はい」
「えと、これって」
「子供服よ」
「やっぱそうなりますか」
「まずは、話を聞かない事にはね。2人に」
「はあ。じゃあ、スキルを使って着替えて来ますね。お手洗いをお借りします」
「あら。ここでいいのに」
「そ、それはちょっと……」
「うふふ、冗談よ。廊下に出て正面の部屋は誰もいないから、そこでお着替えなさい」
「はい」
天斗が立ち上がる。
(やれやれ。和音ってのにイチモツを見せつける、せっかくのチャンスだってのに。ここで分身すりゃ、あっちから口説いてくれっかもしんねえぞ?)
(初恋の人にそんなんで口説かれたくないっ! ……あ)
(ふうん。初恋、ねえ。あまじょっぺえな)
(それを言うなら甘酸っぱいでしょ。いいから行くよっ)
(へいへい)
何もない20畳ほどの部屋で分身しても、天斗はまだ顔を赤らめていた。
俺が子供用の甚平、天斗がミニスカートとブラウスに着替えて大広間の襖を開け放つと、水瀬家の当主の視線が俺を射抜く。
「ったく。俺みてえなチンピラじゃ、軽く捻られそうだな」
俺の小さな呟きを耳で拾ったのか、当主が微笑んだ。
その目を見ながら、座布団まで歩く。
「はじめまして、別嬪さん。八和田丈二だ。あっちじゃ、40まで生きたんでね。出来るなら子供扱いはしないでいただきたい」
「お上手ですこと。水瀬美波、美和ちゃんの姉で天斗ちゃんの叔母になるわ」
頷き合う。
俺が座布団で胡坐を掻くとその前に和音が茶を置いたので、軽く頭を下げておいた。
その横に美和がタバコとライターを置くと、灰皿も出される。
「まずは、俺のいた世界の説明かな」
「そうね。美和ちゃんから軽くは聞いたけど、詳しく教えて欲しいわ」
「了解。そんじゃ……」
俺の説明に天斗が補足を入れる形で、大雑把にだがこちらとの違いを語り終える。
当主と和音はもちろん、美和も興味深そうに話を聞いていた。
「世界は科学特化の男尊女卑世界。まあ、珍しくはないわね」
「でも姉さん」
「ええ。興味深いのはスキルよ。使役系の能力は数あれど、人間、それも異世界人を使役するなんて」
「美波おばさん、使役なんて言い方は」
「ああ、ごめんなさいね。それで八和田さん」
「丈二でいい。この見た目ですしね」
「そう。なら丈二くん、武器を出してみてくれる?」
「了解。念じれば出るって説明にはあったな。……出ろ」
音もなく、両手に拳銃とナイフが現れる。
ナイフは特に変わった物ではなく、どこにでもありそうな刃渡り12センチほどの物だ。
それを畳の上に置き、拳銃をいろいろな角度から眺める。
モデルガンで遊ぶ趣味などなかった俺だが、その使い方はなぜか理解できた。
小さなレバーを押し下げ、マガジンを抜いて畳に置く。
スライドを引いて、飛び出した薬莢をキャッチ。
そのまま薬室に弾が入っていないのを確認し、銃を置いてマガジンから弾を抜いた。
4発を畳に並べると、それでマガジンは空になってしまう。
「大人なら、てのひらで隠せるくれえ小せえからな。4発ならまだいい方か」
「ずいぶんと手慣れてるわね。軍にでもいたの?」
「まさか。なぜか、使い方が理解できるんですよ。知らねえはずの知識が頭にあるってのは、気味の悪いもんですね」
「そう。この家の地下には、射撃場もあるわ。夜にでも誰かに案内させて、実際に使えるか確認しておくといいわ」
「ええっ!?」
「うふふ。天斗ちゃん、陰陽寮に籍を置く能力者は銃を持ち歩けるのよ」
「問題は、天斗がそれでいざって時に身を守る事が出来るのかだな」
「大丈夫よ。いい教師がいるから」
「美波おばさん、教師って?」
「和音」
「は」
「あの件、本当にいいのね?」
「もちろんです」
「なら、昼まで天斗ちゃんをお願い。丈二くんと違って、みっちり座学からね」
「はっ」
「え? え?」
わかっていない天斗の手を取り、和音が立ち上がらせた。
それだけで真っ赤になってしまった天斗だが、手を引かれると熱に浮かされでもしているような足取りで廊下へと向かう。
「おいおい。聞いてないぞ、姉さん!」
「まあまあ。昼は銃の扱いに、陰陽寮手帳を提示しなければいけない状況や、何を許されて何が許されないのかなんて感じの座学だけよ」
「昼はって」
「うふふ。それなんだけど、今日から和音は天斗ちゃんの所有物にするわ」
口笛。
つい出てしまったそれを聞いて、美和が俺を睨む。