美和の喘ぎが広い浴室に反響して、淫靡な水音を掻き消す。
「丈二、丈二ぃ」
「もうイキたいのか?」
「うん、うんっ。も、もうダメっ。大きいの、来るっ」
「いいぞ。美波に見られながらイッちまえ」
「やっ、はっ。み、見ないで姉さん。これ、絶対に出ちゃうっ。くんっ!」
「な、なにが出るのよ?」
「……もうダメっ。イッく━━━っ!」
てのひらに、熱い飛沫がかかる。
パタッ、パタタッ。
そんな音を立て、湯面を潮吹きが叩いた。
立ったままのけ反っていた美和が、荒い息を吐きながら俺の隣、浴槽を出るための段差に座る。
「ビールでいいか、美和?」
「う、ん。ちゃんとイッただろ。ご褒美に口移しでくれ」
「あいよ」
俺が口移しで1杯のビールを飲ませていると、美和とは反対側から生唾を飲む音が聞こえた。
美波だ。
「ああ、勃起チンコ見てたんか」
「こ、こんなになるものなの、男性器って……」
「俺のは特別製だけどな。あ、天斗もか」
「世が世なら大奥に入って、幕府を牛耳る事すら出来そうね」
「やんねえよ、めんどくせえ。それより、今のを見ても俺と寝る気か?」
「ええ。さらにその思いは強くなったわ。美和ちゃんがメス犬なら、うちは丈二くんのメス豚にでもなろうかしら」
「ははっ、それはいいな」
「やめといた方がいいよ、姉さん。今ならまだ間に合う」
「どうしてよ。そんなに独り占めしたいの?」
「違うって。えーっと、例えば」
派手にイッたばかりの美和は酷く気怠そうな話し方だが、知的美人をこうまでしたのが自分だと思うと気分がいい。
ビールを注いだグラスを、美波にも渡した。
「姉さんはセーラー服を着られる?」
「お、男物の?」
「うん」
「そんな変態的な……」
「でもね、それを着ると丈二は喜ぶんだ。いつもよりチンポを大きくして、何度も何度も子宮に精子を注いでくれるんだよ。最初にあたしがセーラー服を着た時なんて、一瞬たりとも膣から抜かないで3時間も腰を振りまくってくれた」
「3時間って。そんなの、おかしくなっちゃうでしょうに……」
「そうだよ。だからあたしはたった3日で、丈二のメス犬に自ら望んでなった。ああ、思い出しただけで濡れる」
「ま、風呂に浸かりながらゆっくり考えな。なんなら、俺と美和の寝る前のセックスを見てから決めてもいい」
美波が頷き、ビールを呷る。
3人で酌をし合い、3本の瓶ビールを空にしてから、俺は立ち上がった。
子供の体になったせいか、長風呂がキツイ。
タバコで噎せないし、酒も美味いと感じ、セックスまでガンガン出来るのに妙なものだ。
「ああ、ビンとグラス。それに端っこに置いたお銚子なんかも片付けねえと」
「必要ないわ、丈二くん」
「なんでだよ?」
「……檜」
「はっ」
突然浴室の隅に現れたのは、和服を着てたすき掛けまでした若い女。
「おいおい。どっから出た」
「式神よ」
「陰陽師とかの?」
「ええ」
「驚いた。美波はそんな特技もあるのか」
「丈二だって分身だけじゃなく、武器を2つも出せるだろ」
「言われてみりゃ、あれもスキルか。熟練度あるし」
「そうなる」
「この美波とタメ張れるってなら、美和も水を操るだけじゃねえのか?」
「さっきまで乗ってた車が、スキルで出した物だよ」
「あの四駆がか。なるほどねえ。道理で道行く車に比べると、あれだけ未来的なデザインな訳だ」
「檜、掃除と片付けをよろしくね」
「はっ」
体を拭いて案内されたのは、5人ほども寝られるんじゃないかというほど大きな布団の敷かれた部屋だった。
俺が布団の上で胡坐を掻くと、ヒノキと呼ばれたのとは違う女がやって来て、膳や酒、灰皿などを置いて下がる。
「今のも?」
「ええ、式神よ。仲良くしてたら、そのうち夜伽もしてくれるかもね」
「俺は博愛主義者でな。どんな存在にも優しいんだ。いやあ、この家に来るのが楽しみになるねえ」
「カクエンをあんな風に始末して、よく言えるな」
「ホントよね」
3人分の膳には、俺の好物の鮎の塩焼きが載っている。
箸を持ち上げてその頭を齧り、日本酒をチビリ。
「かあっ、たまんねえなっ!」
「丸かじりってオマエ……」
「こうして食うのが一番なんだよ。酒も上物だなあ」
「京の屋敷の庭には、清流が流れててね。旬には梁を張って、獲りたてを炙って食べられるわよ」
「そいつはいいな」
「秋の落ち鮎の季節に連休があれば泊まりに来ればいいし、来年の夏休みは京で過ごしてもいいわね。種を仕込むならその時かしら」
「気は変わらねえのか」
「もちろん」
「わかったよ」
隣に座っている美波の浴衣を寛げ、右手をその中に差し込む。
「あんっ」
「おお、姉妹揃っていいおっぱいだ」
「こうなったら仕方ないか。でも姉さんの次はあたしもだぞ、丈二?」
「任せろ」
「ならよし。ほら、酒」
「サンキュ」
こうして美味い酒を舐めながら巨乳の感触を愉しめるんだから、やはり背中の名も知らぬ神には感謝するべきだろう。
タバコもすっかり俺との暮らしに慣れた美和がいいタイミングで火を点けて唇に挟んでくれるので、まるで殿様気分だ。
この体ならいつか、夢だった狭い部屋に女体を敷き詰めてローションを部屋中にぶちまけ、その上を滑って止まった女の上で腰を振るという事まで可能なのかもしれない。
「おい、丈二。顔がエロいぞ?」
「失敬な」
「あかん。うち、もう……」
「蕩けてるなあ、姉さん」
「ははっ。セックスに慣れたら、風呂でショタコンの喜びそうなプレイでもしてやろうか。お姉ちゃん、お姉ちゃんのハダカ見てたら、僕のおちんちんこんなになっちゃった。病気なのかなあ、とかよ」
「あきまへん。そんなん、想像しただけで……」
苦笑しながら美和が俺の子供用の浴衣を脱がす。
早く済ませて、自分もかわいがれという事だろう。
子供の股間にあるにしては異様すぎる屹立した肉棒を見て、美波は吐く息を震わせている。
「天斗も今頃、こんな感じでよろしくヤッてんのかねえ」
「どうだろうな。でも夕食の時、和音がまだ勃起はしないって言ってただろ」
「まあなあ。あ、そうだ。こっちにゃ、家庭用のビデオカメラってねえのか?」
「それくらい、この家にならあると思うが」
「じゃあ、いつも澄まし顔の美波おばさんがイキ膜を破られる瞬間を撮影して、天斗の教材にするか」
「いやぁ。そ、そんなのかんにんえ……」
「おおっ、それはいいな。ついでに、カメラに向かってメス豚宣言もさせよう。セーラー服がないのが残念だよ」
「おぬしも悪よのう」
「いえいえ、飼い主が飼い主なだけでおます」
美波が逃げようと動いたので、素早く唇を奪う。
衣擦れが聞こえたので、美和はビデオカメラを取りに行ったようだ。
「やっ。口吸い、染みっ」
美波はキスの経験もないのか、歯を閉じたまま身を固くしている。
なので美しい歯並びに、歯茎と唇の間に、丹念に舌を這わせた。
そうしながら浴衣の帯を解き、飲みながらわざと触れていなかった乳首を優しく抓む。
「いいっ!」
思わず出た美波の言葉を、深いキスで止める。
「唾液、染みて。も、もう……」
「知ってるか? 唾液よりガマン汁、ガマン汁より精液で女は粘膜がより強い性感帯になるらしい。そうなるともう、精液を子宮に注ぎ込まれるまでセックスの事しか考えられなくなるんだってよ」
勃起した肉棒の先に指で触れると、思った通り先走りがしっかりと滲んでいた。
指の腹でそれを掬い、美波の口を犯す。
「んうーっ!」
「ガマン汁は美味しいなあ、美波?」
「あかん。お口の中、ジンジンしてもうて……」
「カメラが来たら、チンコを咥えさせてやる。ガマン汁は後から後から溢れて、だんだんと濃くなるんだ。ほら、握ってみろ」
「……かとうて、熱い」
「これで性感帯になった口を気持ち良くするんだよ。そうしながら、オマンコを舐めまくってやる」
「そんなん……」
「最高だろ?」
返事はないが、過呼吸を心配してしまうほどに美波の息は荒い。
肉棒を握る手の力も、天斗なら悲鳴を上げそうなほどだ。
ここは父親代わりとして、キッチリと美波を仕込んでおいてやらねば。
ジリリリーンッ!
そんな黒電話の音が、盛り上がっていた雰囲気をぶち壊す。
部屋の隅に向かって機敏に動いた美波の横顔は、息を荒げながら男のモノを待ち望む女の表情でなく、戦う人間のそれだ。
奥多摩に着て行った子供用のジーンズとTシャツは持って来てあるので、受話器の向こうと話す美波の声を聞きながらそれを身に着ける。
「ビデオカメラを出してもらったぞ。って、あれ?」
「どうやら厄介事らしい。美和も準備しとけ」
「わ、わかった」
俺達が着替えを終えると同時に美波は受話器を置いたが、すぐにそれを持ち上げてダイヤルを回す。
タバコに火を点けながら聞いていると、どうやら相手は和音のようだった。
「おいおい。出かける準備をしとけって言ってんぞ。天斗まで連れてくらしい」
「まさか……」
美和の眉根が寄せられたので、一口だけ吸ったタバコを唇に寄せる。
「ああ、ありがとう」
「そのまさかよ、美和ちゃん」
「能力者一斉招集、か」
「ええ。急いで着替えるから、美和ちゃんの家に寄ってから日枝神社ね」
「赤坂の? 陰陽寮のすぐ隣じゃないか」
「そうよ。玄関前に車を」
美波が部屋を出ると、すぐに式神と思われる女がその後ろに付く。
タバコを消した美和と玄関から出て、俺は出された四駆の荷台に跳び乗った。
「へえ、床にゃゴムが張ってあんのか。滑り止めだよな?」
「言っておくが、その体じゃ使えないぞ」
「いざとなりゃ、やって見せるさ」
「そんな事態にならないといいがな」
「どうなる事やら」
助手席には美波が座るだろうから、荷台から降りて後部座席に乗る。
すぐに美和が運転席に上がってエンジンをかけた。
「コイツの燃料なんかは?」
「書き物をすると走れる距離が増える」
「俺の銃弾と同じか」
「ああ。それにしても、何があったんだろうな」
「道中、美波が教えてくれるだろうさ。ほら、来たぜ。美人揃いの式神を引き連れて」
美波が式神達に何事かを言い、四駆に乗り込む。
すぐに四駆は動き出したが、美波は口を開かない。