※この作品はR-18です。

暴走戦士とヒーラーちゃん   作:白浜 真砂

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 暴走中の戦士視点です。
 プロローグと同じく結構加筆修正してあります。
 ヒーラーちゃんのジョブは特定していないんですが、原作の仕様上回想の場面では幻術師になっています。学者はlv30以下だと巴術(DPS)になってしまうので、メインストーリーだと実質的にヒーラーは幻術一択なんですよ……。

 これを投下したスレはまだあるんですが、投下した文章を見たらのたうち回りそうで見られません……。orz


Warrior side 1

 ……あれからどのくらいの時間が経ったんだろう?

 薄れ行く意識を必死で保ちながら、この状況から脱しようと足掻いている。

 体の自由を失い意識を保つ事も難しいが、今、俺に何が起こっているのかは分かっている。……その原因と、俺がやらなきゃいけない事も……。

 恐らく俺は今、戦士の力……『原初の魂』が暴走し、敵味方問わずに襲いかかる化け物になっているだろう。そしてそんな俺の暴走を止めようと必死に立ち向かってくれているのは……誰よりも大切な、俺の……相棒だ。

 

 

                      *****

 

 

 思えばあいつと初めて会ったのは、まだ冒険者としては駆け出しの頃だった。

 

 あの時、西ラノシアにある蛮族サハギンと通じ蛮神リヴァイアサンを信奉する海賊のアジト『サスタシャ浸食洞』に行くことになった俺は、これ以上無いほど途方に暮れていた。

 四人構成のパーティ以外での立ち入りが許可されないと言われても、ベテランの冒険者ならともかくつい最近冒険者になったばかりのヒヨッコの俺にはパーティを組む仲間も誘われるほどの腕も無い。それでとりあえずコンテンツファインダーに登録してサスタシャの前で大人しく待ってはみるものの、何時間経っても一向にパーティメンバーが集まる気配すらない。

 サスタシャに着いたのは確か明け方だったはずなのに座ったままボーッとしているうちに日が暮れてきて、何もしていないのに凄く疲れてきた。

 

(今日のところは宿屋に泊まって、ゆっくり寝てからまた改めて挑戦してみよう。どうせこのダンジョンに挑戦しないと先に進めないし……。)

 

 そう思いながらため息をつきつつ立ち上がったその時。

 

「……あの……すいません……。」

 

 という、か細い女の声が聞こえてきた。

 驚いて声がした方を振り返ってみると、そこには質素なローブに身を包んだ女の子が立っていた。腰に木の枝のようなものを差しているから、多分幻術師なんだろう。

 

「あの……その、失礼ですが……お一人ですか……?」

 

 彼女は気を抜いて呆けていたところに突然話しかけられて戸惑っている俺の前に駆け寄ってきて、真っ赤になって震えながら……それでも俺の目を真っ直ぐ見つめてこう言った。

 

「……も、もし良かったら……私と一緒に、パーティを組んで頂けませんか……?」

 

 今にもすがりついて来そうな勢いで涙目になって訴えてくるけれど、こっちにも断る理由はない。というか、よく見たらちょっと好みのタイプなんですけど……。こんな可愛い子とパーティが組めるなんて、諦めずに待ってて良かった……!

 

「え……?ああ、構わないよ。ていうか俺もメンバー待っているところだし。」

 

 心の中で浮かれながらも努めて平静を装ってそう答えた俺の言葉を聞いて、緊張と不安で強張った彼女の顔に安堵と喜びが広がっていく。

 

「うわぁー、ありがとうございます!良かったー!!もう、待っている間に日が暮れてきちゃって、本当どうしようかと思っていたんですよー!」

 

 花が綻ぶ様に笑った彼女は仲間が出来て安心したせいか、そう早口で話しかけながら満面の笑みで俺の両手を取って力いっぱい上下に振り回した。

 

「これから、よろしくお願いしますね!」

 

 少しはにかみながら俺を見つめてそう言った彼女の無邪気な笑顔につられて、突然の事に面食らいっぱなしの俺も自然と笑顔になる。

 

「……ああ、よろしくな!」

 

 

 正直な話それからダンジョンに入るまでにも相当な時間がかかったけれど、彼女と他愛もない話をしているだけでも楽しくて退屈なんて全く感じなかった。初対面のはずなのに、まるで昔から一緒に居るような感じがして……。気がついたら彼女の事を好きになっていた。

 そしてようやく集まったメンバーで何とかダンジョンを攻略した後でフレンド申請を交換して……それ以来あいつは、俺の大切な仲間として側に居てくれている。

 お互いの予定が合わなくて一緒に冒険が出来ない時もあるけれど、大事な時にはいつも側に居てくれた。困難なギミックで挫けそうになった時も、あいつが支えてくれた事でどれだけ救われたか分からない。どんな敵にも臆さずに戦斧を振るえるのも、俺を護ってくれるあいつを守りたいから……。

 

 ……だからこの気持ちもあいつとの関係を壊したくなくて、あいつの仲間としてだけでいいから側に居たくて、ずっと押し殺してきた。

 少しでも俺が戦いやすい様にと頑張るあいつの気持ちに応える為に必死に色々な場所のギミックを覚えて、俺の命綱になろうと一生懸命なあいつの負担を減らす為に立ち回りを研究して……。いつも明るい笑顔で俺の側に居てくれるだけでいい、高望みするなと自分に言い聞かせて……。けれども必死に気持ちを押し殺しても、あいつへの思いは澱の様に心の底に溜まっていく。

 

 ……その結果、俺はあいつへの思いから目を背け、自分を偽り……自分の弱さに呑まれた。

 あいつに振られる事を恐れて、自分を回復してくれるヒーラーを失う事を恐れて、あいつが俺の前から居なくなる事を恐れて……。

 だけど俺を信じて俺の暴走を止めようと立ち向かってくれているあいつから、これ以上逃げるわけにはいかない。己の弱さから抜け出して、自分の心と……あいつに向き合わなければ。




 ルガティン好きの自分は斧術兄妹も戦士兄弟も大好きです。というか好きすぎて斧術クラスが未だに手をつけられずにいます(笑)。なので原初の魂関連の考察は、動画を見たり身内のタンク担当者からさりげなく話を聞いたりしてやりました。

 お互いを思いやって切磋琢磨しながらFF14 のバトルチーム、もといレイドやダンジョンに立ち向かえるパーティっていうのはいいですよね。現実はそう簡単にはいかない事も多いんですけど。
 
 ちなみに作品中でタンクとヒーラーが延々とシャキ待ちをしていますが、新生のサービスがスタートしてしばらく経った時に、低レベルダンジョンはタンクでも1時間待ちしてしまうという事態が実際にあったんです。そういう事があって今のルーレットやメンターシステムなんかがある訳なんですよ。
 色々アレな事もありますが、時間はかかっても地道に改善していっているんですねー。
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