今回はSの方々はより楽しめるお話になっています。
やっぱり女の子を苛めるならMの子じゃなくてSの子の方が楽しめるよね。
前回言い忘れていましたが、求めさせるというのは男性器の名称を連呼させるという意味ではないです。
私はノーマルな人間ですから、そういうのは好きじゃないんですよね。
だけど書いている内に近親相姦ものも悪くないかも……とか、ちょっと思ってしまった私がいる……いや、目覚めてはいません……。
ついに訪れた試験の時。
士道の準備は色々な意味で万端だった。
琴里を辱め、屈服させる手段も幾つか用意してある。
義理とはいえ妹と身体を重ねる忌避感も、七罪と四糸乃が辱められたことに対する復讐の炎で燃やし尽くされた。
まだ燃えカスが少し残っているものの、興奮してしまえばそれくらいは気にならなくなる。
僅かな躊躇いを復讐の炎で焼き尽くし、士道は琴里の部屋へと足を踏み入れた。
「……臆病風に吹かれて大好きな七罪と四糸乃のところに逃げ出すんじゃないかって思ってたけど、流石にそこまで腰抜けじゃなかったみたいね。それとも私を犯して日ごろの鬱憤を晴らす機会を逃したくなかったのかしら」
薄闇が満ちた部屋に入るなり、嘲るような笑いが投げかけられる。
声の出所に目を向けると、ベッドに腰かけた琴里が脚を組んで待ち構えていた。
その服装はネグリジェでもパジャマでもなく、普段どおりの格好だ。
学校の制服の上に軍服を羽織り、大好物の飴を口に咥えた格好。
少なくともこれから初めての行為に臨むのに相応しい格好とは思えない。
「琴里……お前、その格好でするのか?」
「あら、女の服装にケチつける気? あなた一体何様のつもりなのかしら」
不機嫌も露に、完全にいつもの調子で答える琴里。
士道でさえ僅かに燻っている忌避感が緊張をもたらしているというのに、琴里からは微塵も緊張が感じられない。
「別にケチつけてるわけじゃねえだろ。ただ七罪と四糸乃はもっと、それなりの格好してたからさ……」
「これから愛し合う女の前で、他の女の名前を出すのは戴けないわね。少なくとも寝室に入った時点で、目の前の女のことしか考えないようにしなさい」
「う、うるせえな……分かってるよ……」
「本当に分かってるのかしら。何度か見た限りではずいぶん怪しく思えたわよ」
緊張が見られないどころか冷静に指摘までしてくる。
ここまでくると本当に琴里に愛されているのか疑いたくなってしまう。
互いの愛を身体で交わらせるなら、もっと恥じらいや緊張があっても良い筈なのだから。
愛情など存在しない、身体を使った単なる試験。
琴里の淡白な様子は、これから行う交わりをその程度に認識しているようにしか見えなかった。
「復讐に燃えてるあなたは忘れてるかもしれないけど、これは試験でもあるのよ。あなたの稚拙なテクニックを確認するために、私は何もしないであなたのされるがままになってあげるわ。復讐を果たして試験に合格したいなら、自分の力で私を感じさせてみなさい」
「何もしないってことは、恥ずかしくても身体を隠したりしないってことだよな。もしやったらお前の負けってことで、俺の命令を何でも一つだけ聞いてくれるんだろ?」
今のところ何か命令したいことはないが、命令権自体は絶対に手に入れておくべきだ。
仮に今回士道を求めさせて屈辱を与えることが適わずとも、その命令権を手に入れることができれば別の方法で辱めて屈辱を味わわせることができるかもしれない。
「ええ、約束は約束よ。でもあなたは私を辱めるだけで満足なのかしら?」
そんな弱気な思考を読んだかのように、見下すような笑みを浮かべる琴里。
余裕綽々の態度は明らかに士道を馬鹿にして挑発している。
忌避感の燃えカスもそのムカつく態度に吹き飛ばされ、士道は躊躇なく挑発に乗って飛び掛った。
そして琴里をベッドに押し倒すと共に、その両腕を押さえつける。
「なわけねぇだろ。覚悟しとけよ、琴里。お前がどれだけ俺を欲しがっても、泣いて謝ったって簡単には応えてやらないからな」
「あなたの方こそ覚悟しなさい。絶対に跪かせて焦らしまくってやるわ。私を落とせるとと思ったら大間違いよ」
余裕を崩さず、自信に溢れた笑みを浮かべる琴里。
その様子に屈服させることが本当にできるのか弱気な考えが戻りかけるも、士道はあるものを見てその余裕が虚勢であることを悟った。
この期に及んで琴里が未だ口に咥えている飴の、白く細い棒の部分。
先ほどまでは指で弄っていたので分からなかったが、両腕を押さえつけられたことで手が離れた今、それは小刻みに震えていた。
まるで怯えに歯の根が合わず、その震えが棒を伝って表れているかの如く。
琴里の両腕を押さえつける手の力をほんの少し抜いてみると、やはり少し震えているのを感じる。
幾ら表面上で冷静を装い強がろうと、琴里も経験のない女の子。
男と身体を重ねることに怯えや羞恥を覚えないはずがなかった。
「……さぁ、私たちの戦争を始めましょう」
琴里が紡いだお決まりの台詞も、やはり微かに震えている。
泣かせるだの辱めるだの色々と口にしたが、士道も鬼ではないので怯えているのなら優しく接してやりたい。
だがそれは、琴里が素直に士道への愛を表せばの話だ。
それができないようなら、宣言どおり羞恥と屈辱を与えてやるしかない。
その前に素直になってくれることを願いながら、士道は最初の一歩を踏み出すために琴里の口から飴を奪い取った。
「ん……ふ……っ……」
まずは唇を重ね、反応を確かめる。
火照りつつも潤いのある琴里の唇は、士道にされるがまま嬲られている。
唇で啄ばもうが甘く噛み付こうが、抵抗はしてこない。
予め宣言した通り、琴里は完全に受けに回って士道の力量を確かめようとしている。
少なくとも、表面上は。
「っ!」
舌先で唇の表面を軽くなぞると、身体を微かに震えさせる。
柔らかな唇の間へ舌先を滑り込ませると、その震えは強張りへと形を変える。
ここから先は琴里にとって未経験の領域であり、経験のある士道の独壇場。
果たして琴里はどこまで強がりを保てるのか。
プライドが打ち崩される瞬間を見逃さないよう、士道は琴里の一挙一動を注意深く観察していく。
「っ……ぅ……ん……」
ある程度身体の強張りが抜けるまで、唇と小さな歯を舌先で弄る。
琴里の口の中に広がっているのは、直前まで口にしていた飴のレモンの味。
二つの意味での食欲を刺激されるも、湧き上がる欲望は必死に抑え込む。
屈服させる前に自身の欲望に屈しては目も当てられない。
琴里の身体が弛緩したところで、軽く舌先を交わらせた。
ただし掠める程度の触れ合いで、決してそれ以上深くはしない。
そんな意地の悪い焦らしを続けられ、流石の琴里も我慢できなかったらしい。
自分からは何もしないと言っておきながら、求めるように微かに舌先を動かしてきた。
「っ……ぁ……?」
その直後、士道は口付けを止める。
満たされない中途半端な口付けによって、儚げに揺れる琴里の瞳。
舌先を掠める程度の口付けでは、士道も心底物足りない。
「あ、あら? もしかして焦らしてるつもりだったのかしら? てっきりド下手なディープキスかと思ったわ」
一瞬で表情を引き締めると、琴里は士道の手から飴を奪い取った。
咥えた口の中で激しく転がしているのか、覗く棒の部分が上下左右に勢い良く揺れている。
まるで先ほどの物足りなさを、必死で埋めようとしているかの如く。
「物足りなくて堪らないんじゃないか、琴里? キスしてください、って丁寧にお願いすれば、ちゃんと最後までしてやるぞ?」
「冗談きついわよ、士道。この程度で勝った気になってるなんて、所詮は先月まで童貞だった男ね。もっとマシなテクニックを見せてみなさい」
琴里はお手並み拝見とばかりに偉そうな瞳を向けてくる。
未だかなりの余裕を見せる姿に、段々と嗜虐心が湧き上がってきた。
絶対に自ら士道を求めさせることを心に誓い、次の段階へと進む。
脱がされているという羞恥を深く感じさせるために、制服のボタンを緩慢な動作で外す。
「ず、ずいぶんぎこちない手つきね。何度も経験しておきながら、女を脱がせるのにそこまで緊張するだなんて……本当に最後まで行けるのかしらね?」
「見てたんだから分かるだろ、お前……お前は初めてなんだから、うんざりするくらいゆっくり優しくしてやってるんだよ」
「ふぅん、それは感心ね……でもあまり時間をかけすぎると雰囲気が壊れるかもしれないから、加減に気をつけなさい」
一応はためになる指摘をする琴里だが、その頬は隠しようも無いほどに赤く色付いている。
瞳はあらぬ方向へ向けられていて、服を脱がされているという現実から逃避しているかのようだ。
ボタンを全て外し終えた制服を左右に開き、露になるのは透き通るような白い肌。
肌を曝け出したのは上半身だけだが、十分に身体の魅力を見て取れる。
四糸乃とほぼ同じくらいの白い膨らみを覆うのは、中々に過激な黒いレースの下着。
胸から腰のラインにかけては、身長と年齢を考えると中々に綺麗な曲線を描いている。
一目見た印象では、痩せている七罪の身体とメリハリのある四糸乃の身体の中間といった具合だ。
二人の魅力を半分ずつ足し合わせた体付きは、贅沢な美しさに輝きを放っている。
美しさを更に瞳に焼き付けるために、そして琴里に羞恥を与えるために、その背中に手を回してホックを外し、下着を取り去ってしまう。
「……っ」
士道の瞳に露となるのは、余裕の表情を恥じらいに引きつらせた琴里の膨らみ。
羞恥に赤く染まった頬とは対象的な透き通るような白さ。
だがその膨らみの頂上には恥じらいを滲ませ、小さな桃色を突き出している。
そんな綺麗で美しい光景を、愉悦に口の端を吊り上げて視線でひたすらに舐めていく。
胸元を襲う執拗な視線責めに、飴の棒を掴む琴里の指先にはかなりの力が込められている。
「……琴里、そろそろ恥ずかしくて我慢できなくなってきたんじゃないのか? 今謝れば許してやるぜ?」
これが最後通牒だ。
兄として妹に送る最後の優しさ。
琴里が素直になってくれるなら、過剰な辱めも屈辱も必要ない。
「は、はあっ? 何馬鹿言ってるのよ、士道。他の精霊たちならともかく、私がこの程度で音を上げるとでも思ってるの?」
だが琴里は躊躇無く優しさを蹴り飛ばした。
士道の警告を無視して、自ら恥辱と屈辱に塗れる道へと最後の一歩を踏み出す。
辛く厳しい道だろうと、愛する妹が自ら選んだ道だ。
どんな惨たらしい結果を招くとしても、全力で力になってやるのが兄というものだろう。
つまりは徹底的に恥辱と屈辱を与えてやる。
「なら遠慮なく苛めてやるからな。お前が泣いて謝る姿が見られるって思うと、何か楽しくなってきたぜ」
「うわっ、とんだサディストね。3Pの時から思ってたけど、あなたベッドの上じゃ最低のクズになるみたいね。七罪たちが気の毒で堪らないわ」
「それよりはお前らに覗かれてたことの方が気の毒だと思うけどな……ていうか、お前だってサディストだろ。何で自分は違うみたいな言い方してんだよ……」
まぁ今はそんな些細なことはどうでも良い。
士道は琴里の耳に軽く歯を立て、サディストらしく苛め始めた。
「っ! ……ふ、ふん……発情した犬みたいな息を、耳に吹きかけないで、貰えるかしら……気持ち悪くて、身体が震えるわ……!」
耳元を舌先でくすぐり、吐息で撫でる。
その度琴里は悔しそうに身体を震わせ、喘ぎを侮蔑の言葉として零す。
必死に快感を堪えながら挑発的な笑みを作る姿は実にいじらしく、それでいて余裕を叩き壊したくなるそそる姿だ。
四糸乃や七罪を苛めるのは理性が吹き飛んでいない限り無理だが、琴里相手なら罪悪感など微塵も湧き上がらない。
恐らく琴里に対してだけサディストに変貌してしまうのかもしれない。
心の変化を素直に受け入れた士道は、容赦なく琴里の首筋へと舌を這わせ吸い付くような口付けを繰り返す。
「く、ぅ……! お、おに――お、大ナメクジが這ってるみたい、ね……おぞましさ、に、身体が震える、わ……!」
指摘から罵倒へ移り変わると共に、その声が艶めきを帯びて震えていく。
琴里はどうしようもなく感じてしまっているようだ。
艶かしい喘ぎに湧き上がる興奮を抑えつつ、士道は意思を強く持って更に苛め抜く。
「あっ、あぁ……も、もっと――ま、ましな相手が良かったわね。な、何で、こんな、下手な、おに――あっ、へ、下手くそな男としないと、いけないんだか……」
円を描きながら白い膨らみに舌先を昇らせ、指先を柔肌に滑らせていく。
責め苦を続けていくと、徐々に琴里の口調にも変化が見られてきた。
黒のリボンで演出する強さが少しずつ剥がれ、本来の琴里が現れ始めている。
「う、ぁ! や、やっぱり、小さい方が、好き、なのね……す、救いようのない、ろ、ロリコン、だわ……っ……え……?」
あえて膨らみの頂上には行かず、その周りの肌しか責めない。
間違いなくその場所を弄られると思っていたらしく、物足りなさに悲しげな声を漏す琴里。
構わず周囲のみを撫でるように責めていき、時折中途半端な口付けを行っていく。
「ほ……本当、下手くそ、ね……な、何一つ、満足に、できないなんて……」
度々切なげな喘ぎを漏らしながらも、意地としか思えないほどの精神で琴里は耐え忍ぶ。
ただ最早その声は震えきっている上に呂律も回っていない。
最後の仕上げに取り掛かるため、士道は身を起して琴里のスカートに手をかけた。
捲り上げて面積の少ない下着を露にすると、琴里は怯えたように身体を震わせる。
だが警告はしたし、琴里はその優しさを蹴った。
なので躊躇いなく黒の下着の縁に手をかけ、静かに引きずり下ろしていく。
「っ!」
自らの秘所を曝け出された羞恥に、琴里は硬く瞳を閉ざして縮こまる。
それでも強気な態度を完全には崩さないあたり、最早尊敬すら覚えてしまう。
だが幾ら虚勢を張ろうと、琴里の身体はすでに士道を求めていた。
「……馬鹿にしてるわりには随分興奮しちまってるみたいだな、琴里?」
「は、はあっ? そ、そんな、わけ、ないでしょう? 何、馬鹿言ってるのよ……」
「へぇ、ならなんでこんなに濡れちまってるんだよ? 身体は正直みたいだぜ?」
そんな定番の台詞を口にしてしまうほど、琴里の身体は士道を迎え入れる準備を終えていた。
陶器を思わせる白さを持つ滑らかな平地は、まるで地下水が染み出たように滑り濡れ渡っている。
太股を伝って流れ落ち、ベッドのシーツを濡らすほどに。
「そ、それは、興奮してるわけじゃなくて、生理的な反応よ……! あ、あなたの、技術とは無関係、なんだから、思い上がったり、しないことね……!」
「……そうか。じゃあ技術を磨くためにも、もっと色々試してみないといけねぇよな?」
堪らなく愉快になってきた士道は、その唾液が零れる唇の如き箇所へ指を伸ばした。
「っ! んっ、うぅぅっ……!」
そして淫らな唇の表面を指で何度も撫で摩る。
僅かに摩られる度に琴里は押し殺した喘ぎを漏らし、身を捩りたくなるのを堪えて震えている。
敏感な部分を執拗に弄られる快感と、手で触れられ目で見られている羞恥。
幾ら琴里でも耐え難い感覚に襲われ、強気の仮面には無数のひびが走っていた。
仮面の一部を砕き屈服させるために、士道はこれ以上ないほどの羞恥を与える方法を実行に移す。
それは一度も日の目を見ていない蕾を、無理やり開花させること。
「――っ!? し、士道!? ま、待ちなさい!」
決して人前では開かれない蕾を抉じ開けられそうになった琴里が、明らかに動揺を示して身を捩る。
幾ら琴里だろうと女の子である以上、これは当然のことだった。
容姿を気にする女の子は肌や髪といった手入れできる部分はともかく、できない部分を見られることに耐え難い羞恥を負う。ましてやそれが本来誰にも見せない箇所ならばなおさらのこと。
嬉々として辱めの手段を提案してくれた『よしのん』や、死ぬほど恥ずかしがりながらもその心理を教えてくれた七罪や四糸乃には、感謝してもしたりない気分だ。
「ん、どうしたんだ琴里? この程度のこと恥ずかしくなんてねぇんだろ?」
「……っ!」
嫌らしく緩んでしまう頬を隠さず、羞恥に身を捩る琴里を笑う。
指摘されて身を捩ることを止めたものの、もう悪態をつく余裕もないらしい。
火が出そうなほどに顔を赤くし、閉じた瞳に涙を溜めて震えている。
未だ咥えていた飴が口の中で砕かれていく音は、歯を強く食い縛っている状態を意味する。
その音に強気の仮面が割れていく様を思い浮かべながら、両の親指で慈悲無く蕾を割り開く。
やがて肉でできた卑猥な花びらと雌しべが、生々しい赤色を余すところなく晒した。
溢れる蜜に滑りを帯びたそれは、朝露に濡れた花の如き美しさ。
だが覗いた光景に抱いた言葉は、琴里を辱めるために飲み込んでおく。
無言でひたすらに視線を注ぎ、全てを見られているという恥辱を与えていく。
羞恥に耐えられず涙を流すかのごとく、開かれた蕾からは絶え間なく蜜が滴り落ちる。
そうして士道は決定打を与えるために、静かにその蕾へと唇を寄せた。
「っ! し、士道……や……やめ、て……っ!」
その直前、ついに琴里は辱めに屈した。
蚊の鳴くような声を上げて脚を閉じ、スカートを引っ張って覆い隠す。
瞳から涙を零しながら羞恥に顔を歪め、懇願してくる琴里の様子は実に愉悦を覚える。
勝利したという事実も手伝って、かなり下種な笑みを浮かべていることが自分でも分かった。
「……俺の勝ち、ってことで良いのか? はっきり言ってくれないと分からねぇぞ?」
「わ、私の……負け、よ……認める、わ……だから……も、もう……これ以上、は……」
強気な琴里が弱々しい声と姿を晒し、明確な敗北を認めた。
獲得した命令権を使って更に続けようかと考えたが、そんな邪な考えが浮かんだのは一瞬だけだ。
初めての女の子にそこまでするほど士道も鬼ではない。
もっとも今この場では鬼であること自体は否定しないが。
「……分かった。さっきみたいなことはしないから、手を退けてくれるか?」
まだ完全に屈服させたわけではないし、そもそも隠されていると最後まで進めない。
羞恥に囚われながらもそれを理解しているらしく、琴里は存外素直に手の力を緩めた。
「っ! ぅ……あぁ……あっ!」
再び唇の表面を摩り、琴里の口から瑞々しい喘ぎを零させる。
一度敗北を味わい意思が弱ったのか、快感はあまり抑え込まれていない。
「どうしたんだ、琴里? 気持ち良さそうな声出して……」
「っ……んっ……う、ぁ……あぁ……!」
ニヤニヤと笑いながら尋ねるも、琴里は身を捩って喘ぐばかりで悪態をつこうとしない。
余裕がないのかと思いきや、表情には一切の強がりが見られない。
間違いなく沸きあがる快感を素直に受け入れている。
この様子ならもう、特別なことをする必要はないだろう。
士道は軽く身を起して琴里の身体へ覆い被さり、はだけた胸元へ口付けた。
「あっ! あ、ぁぁ……し、士道……っ、ぁ……!」
先ほど弄られなかった桃色の恥じらいを舌で責め立てると、琴里は恍惚とした吐息を漏らす。
やっと自分の気持ちに素直になってくれたようだ。
素直になっていないなら泣いて謝るまで焦らして敗北と屈辱を味わわせてやるところだが、これならもう自分から求めさせて屈服させる必要は無い。
後は優しく、最後までリードしてあげるだけだ。
中途半端に行っていた口付けも最後まで行うために、琴里の眼前へと顔を寄せる。
「琴里……愛してる……」
「……し、士道……私も……大好き、よ……」
その前に瞳を覗きこみ、心からの愛を囁く。
琴里も士道の愛に応えてくれたが、返した言葉は大好き止まり。
口付けに移ろうとしていた士道は、唇が触れ合う直前にその言葉に違和感を覚えた。
琴里も士道を愛しているはずだというのに、何故大好き止まりの愛の言葉を返してきたのだろうか。
素直になってくれたのだから、士道と同じく愛してると答えてくれるはずだ。
だが実際には大好きと答えた。
つまり愛してると答えてくれないのは――
「琴里、お前……素直になったふりしてやがるな」
「っ! な……何の、こと……かしら……?」
――まだ素直になっていないからだ。
図星を指されたように身体を震わせ、一瞬息を止める琴里。
恐らくこれは琴里の作戦。
完全に屈服することを避けるための苦肉の策。
辱めに屈してしまったことを逆手に取り、素直になったと思わせる。
そして士道から琴里に自分を求めさせる理由を奪い、泣いて許しを乞わなければならない事態は避け、完全に屈服することだけは認めない。
まさか素直を装うのが作戦の内だとは思わず、危うく引っかかるところだった。
完全なる敗北を避けるために屈辱を受け入れるとは、相変わらず恐ろしい妹である。
「……愛してるって言ってくれねぇなら、キスは……してやらないからな」
「っ……!」
唇が触れ合うか触れ合わないかの距離で囁き、吐息をそっと吹きかける。
唇を掠めた一瞬の温もりに、誤魔化しようのない物欲しげな表情を浮かべる琴里。
士道はもう勝利を確信していた。
琴里は敗北を利用するという屈辱的な手法を取っているにも関わらず、愛の言葉だけは徹底していなかった。
どうせ恥辱に塗れているのだから、愛の言葉を一つ口にする程度のことに躊躇いはないはずだ。
にも関わらず、琴里は愛してると言わなかった。
それは恐らく、口にしたが最後――
「……愛……してる……士道……愛してるわ……! だから……キス、して……!」
――自分の想いが、抑えられなくなってしまうからだ。
愛の言葉と共に士道を愛する気持ちが内側から溢れ、虚勢を保つことができなくなる。
そして自分の意思とは無関係に、心が士道の愛を求めてしまうのだ。
どこまでも素直に、純粋に。
「おにーちゃん……愛してる……! お願い、おにーちゃん……いっぱい、キスして!」
ついに自分を抑えられなくなった琴里が、涙を零しながら士道の愛を求める。
琴里の口から士道を求めさせることはできたが、不思議と士道の心には敗北感が漂っていた。
何故なら士道が琴里に勝利して屈服させたわけではないからだ。
琴里を敗北させ屈服させたのは、士道を愛する他ならぬ琴里自身の心だ。
「――んっ……ふ……あ、ぁ……ちゅ……ふぁ……ぁ!」
結局勝利することが適わなかった士道は、敗北者として願いに答え、琴里に熱い口付けを行う。
交わらせた舌先から伝わるレモン味の愛を、互いに余さず胸の奥へと取り込んでいく。
同時に琴里の口の中に残っていた飴の欠片を、絡めあう舌に乗せて奪い合うように二人で味わう。
それは意識を薄れさせるほどに甘く、激しいキスだった。
「あぁ……おにぃちゃん……!」
蕩けるように甘い口付けを終えた時には、琴里の表情は恍惚とした喜びに溢れていた。
それは白リボンの琴里の屈託の無い可愛らしい笑みではなく、黒リボンの琴里の自信溢れる生意気な笑みでもない。
両者の中間に近い、純真でありつつも不思議な色香を漂わす魅惑的な笑み。
その妖しい魅力に、士道はもう堪えることができなかった。
「琴里……そろそろ、やっても良いか……?」
焦らしまくってやるという琴里の言葉を思い出し、念のために尋ねる。
その質問に琴里は眩しい笑みを僅かに変化させた。
見下すように生意気で、しかしどこか優しげな笑みに。
「……駄目よ、おにーちゃん……もう一回、キスしてくれないと……許さない、から……」
「なら……後で二倍キスするから、許してくれよ?」
本来の琴里なら絶対に許すことはないだろう。
だが今の琴里は士道への想いを素直に表してくれている。
小さく嘆息の吐息をつくと、どこか愛しそうに士道の瞳を覗き返してきた。
「……仕方ないわね……三倍してくれるなら、許してあげるわ……」
「……分かった。後で三倍、口の中が乾くまでキスしてやるぜ」
「ふっ……それ三倍どころじゃないわね。一体どれだけキスする気なんだか……」
満更でもなさそうな笑みを浮かべる琴里。
自分の想いに素直になっただけでなく、欲求にまで素直になっている。
許しを得た士道は、遠慮なく琴里の両脚を開かせた。
そしてこれ以上ないほどに濡れている下腹部の唇へと、熱く脈動する半身をあてがう。
「琴里、少し痛いけど……我慢してくれ」
「……じゃあ……我慢できるように抱いてて、おにーちゃん……」
怯えの代わりに微笑みを見せ、膝立ちの士道に手を伸ばしてくる琴里。
この体勢では少々難しいので、琴里の膝の裏を通して背中を抱く形でその身を抱え上げる。
背中に手を回して脚でしがみついてくる琴里は、最早待ちきれないといった様子だ。
「っ! う、ぁ……あっ! あ、ぁぁ……あぁ……!」
焦らさず抱え上げた小柄な身体を静かに下げていき、少しずつ半身を沈めさせていく。
七罪たちとは違い、琴里が漏らす喘ぎは苦痛ではなく喜びに占められていた。
自身の下腹部を内側から抉られているというのに、あろうことかその感触に感極まっている。
まるでずっと待ち望んでいた、ずっと恋焦がれていた感覚だとでもいうように。
「ぁ……おにぃ……ちゃん……」
完全に半身が沈み込んだところで、琴里が背中から首の後ろへと両腕の位置をずらした。
今まで顔の横で喘いでいた琴里の顔が、今は目と鼻の先から覗き込んできている。
瞳を感激に潤ませ、至福の笑みを浮かべた琴里が。
「琴里……もしかして……ずっと俺と、したかったのか……?」
思い浮かんだ疑問を口にすると、琴里は頬を膨らませて額をくっつけてきた。
「……だって、ずるいじゃない……私が誰よりも、おにーちゃんを愛してるのに……七罪と、四糸乃ばっかり……」
「琴里……」
素直に紡がれる本音に、士道は琴里の心情を理解した。
琴里はたぶん、七罪と四糸乃にやきもちを焼いていたのだ。
冷静に考えてみればそれはごく当たり前のことだ。
自分の愛する人が別の人と愛し合っていたら、やきもちどころか悲しみや怒りを覚えてもおかしくない。
その光景を幾度も鑑賞するうちに、自分の気持ちを抑えられなくなったのだろう。
だから試験という無理やりな理由をつけてまで、士道と愛し合う機会を作ったのだ。
士道を焚きつけて復讐を決意させることで乗り気にさせ、自分が羞恥に塗れることすら受け入れてまで。
「立場的に私は、二人を優先させるしかないから……せめて、この時だけは……二人以上に愛して、おにーちゃん……痛くたって良いから、七罪にするよりも激しく……焦らしたって良いから、四糸乃にするよりも優しく……」
「お前……もの凄い難しいこと言いやがって……」
士道は軽く呆れの吐息を漏らした。
相反する激しさと優しさを求めるなど、矛盾も良い所の難しいお願いだ。
だが琴里に難易度の高い命令をされることは、今に始まったことではない。
できる限り命令を達成するために、できる限り願いをかなえるために、士道は抱えた琴里ごとベッドに倒れこんだ。
「あっ! ふ、あぁ……っ、う……あぁ……!」
そして琴里と繋がった状態で身体を震わせ、最初は優しく刺激を感じさせる。
四糸乃との初めての時のように、優しく。
琴里は士道が動くたび同調するように身を捩り、悩ましい喘ぎを漏らす。
「ん、ぅ……ちゅ……ふぁ……はっ……っ!」
そして琴里と熱く舌を絡めあいながら、吸い上げるように唾液を激しく奪い取る。
七罪との初めてのときのように、激しく。
負けじと強引に奪い返す琴里と、互いが混ざり合った唾液を貪欲に奪い合う。
「あぁっ! うぁ、あぁ! お、おにーちゃん! んっ、あぁぁ! おにー、ちゃんっ!」
胸と下半身に生じる興奮の炎に火をつけられ、唐突に激しく突き動かし始めてしまう士道。
だが琴里は痛みと快感に仰け反り身を振り乱しながらも、歓喜の笑みを浮かべて士道を呼ぶ。
口にするのは妹が兄を呼ぶ時の、互いの関係を表す呼称。
熱く愛を交わしている相手が義理とはいえ妹だということを思い知らされ、胸の中に途方もない背徳感を湧き上がらせる。
年端も行かない少女、それも妹と身体を重ねる背徳感は、今まで抱いたことがないほどに強烈だった。
「ふぁ! ちゅ……ふ、ぅぅ……! あぁっ……ん、うぅぅ!」
だが最早その背徳感に躊躇いや忌避感は生じない。
むしろ興奮と愛の炎に油を注ぎ、更に強く燃え上がらせていく。
ベッドが軋みを上げるほどに激しく腰を打ちつけ、骨に食い込みそうなほどの力で琴里の身体を抱きしめる。
琴里も同様に士道への愛が燃え上がっているのか、締め上げるような強さでしがみついてきた。
蕩けた喘ぎを漏らしながらも更に士道の愛を感じようと、快感に震えつつ再び舌を絡め唾液を奪おうと躍起になっている。
だがわざわざ奪わずとも、琴里には求める以上の愛情を感じさせてやりたい。
身体だけでなく、心にも深く愛情を感じさせてやりたい。
「琴里、愛してる! お前を……愛してるっ!」
「あぁっ! おにーちゃん! 私も、愛してる! 世界で一番、愛してるぅ!」
痛みか喜びか快感か、愛の言葉に涙を零しながら応える琴里。
互いに言葉と身体による愛の炎を燃え上がらせ、焼け付くような幸せと快感に身を焦がしていく。
「くっ、ぅ! 琴里! 琴里っ!」
「はっ、あぁぁ! おにーちゃん! おにーちゃんっ!」
硬く抱き合い耳元で呼び合うたび、炎は激しく燃え盛る。
火傷を起しそうなほどの昂ぶりは、噴火寸前でこれ以上堪えることは不可能だった。
「っ、ふあぁっ! ああぁぁ――ああああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
身体の内へ溶岩の如き熱さを焼き付けられた琴里が、叫びを上げて激しく痙攣する。
背中に深く爪を立てられ鋭い痛みが走ったものの、全身を貫く快感はその痛みすら琴里の愛へと変えていった。
恋焦がれていた初めての感覚を一身に味わったことで、琴里は夢心地の笑みを浮かべて息を荒くしている。
「はぁ……はっ……おにー、ちゃん……もっと……もっと、激しくして……!」
だがずっと夢見ていたこの時間を、琴里が一度で終わらせる気がないのは分かっていた。
「ああ……痛くて我慢できないくらい、激しくしてやるからな」
「あっ! あぁっ! う、あぁ! おにーちゃんっ!」
だから士道は願いに応え、今度は琴里の身体を抱え上げて激しく突き上げ始める。
身体の重さが下腹部を襲う衝撃を段違いに強めているにも関わらず、琴里は苦痛の叫びではなく歓喜の叫びを上げていた。
何故なら士道たちが愛し合う様を鑑賞していた琴里は知っているからだ。
この激しさと痛みは、士道が七罪や四糸乃には与えていない自分だけのものだということを。
「おにーちゃん! 愛してる! 愛してるぅ!!」
「ああ、分かってる……! 俺も、愛してる……琴里! 愛してる……!」
士道はひたすらに愛を言葉で表し、身体で烈火の如く示し続けた。
琴里だけの特別な愛を、魂の奥底にまで焼き付けてやれるように。
互いに興奮を愛の炎で燃やしつくし、昂ぶった気持ちが鎮火するまでには数時間もかかった。
ずっと想いを燻らせていた琴里が、簡単には満ち足りてくれなかったことが大きな要因である。
とはいえそれを差引いても、初めてであるにも関わらずあの激しい数時間を最後まで共に駆け抜けられるとは驚きだ。
自分から激しさを求めてきたあたり、琴里も士道に負けず劣らず旺盛なのかもしれない。
今は心から満足したようで、どこまでも穏やかな微笑みを浮かべていた。
愛し合っている時の琴里が燃え盛る炎のような激しい愛情を感じさせてくれたなら、今感じるのは揺れる青い炎のような静かな愛情。
それは激しさこそないものの、愛の大きさそのものは身体で愛し合っている最中よりも強い。
「……なぁ、琴里」
身を寄せるどころか身体の上で寝そべっている琴里に、士道は優しく囁きかけた。
「ん……なぁに、おにーちゃん」
胸にべったりと頬をくっつけていた琴里が、両手で頬杖をつくようにして顔を上げる。
流石に熱くて堪らなかったために、今は琴里も衣服を纏っていない。
そのため腕で形作られた三角形の間から桃色が覗きそうになり、興奮が去った後だというのに一瞬心臓が跳ねてしまう。
もっとも理由はそれだけではなく、琴里の様子も関係している。
変わらず髪だけは黒のリボンでツインテールにしているというのに、普段の刺々しさや高慢さは感じられない。
その癖大人びた様子だけが残っていて、浮かべている微笑みはあり得ないほどに妖艶で大人の色香を感じてしまうほどだ。
「素直になってる間に聞いておきてぇんだけどさ、一応これは他の精霊とも関係を築けるかどうか見極める試験、だったんだよな? 合格させる気、あったのか?」
そもそも琴里は七罪たちへのやきもちを募らせてしまい、自分の気持ちを抑えられず士道をこの行為へ走らせてしまったのだ。
本当に試験も兼ねていたのかどうかは非常に疑わしい。
素直になった琴里は誤魔化しも躊躇いも見せず、テールを揺らしながら首を横に振った。
「ううん。最初から無いわよ……だって合格させなければ、おにーちゃんはまた私としてくれるでしょう?」
「はっきり言ったな……やっぱり、お前も七罪と同じタイプか……」
素直になるのが恥ずかしいせいで、甘い雰囲気の漂う場面とベッドでだけ自分の想いに素直になるタイプ。
たぶん七罪と同じく、琴里もこれに該当するのだろう。
それを示すように七罪の名前を出した途端、琴里は頬を膨らませて軽く睨んできた。
「他の娘の名前出すなって言ったでしょ、おにーちゃん? 今だけは、私のことだけ考えて……」
「……おっと、わりぃ。ごめんな、琴里」
琴里は七罪たちを優先しなければならないのだから、二人でいられる時間は必然的に少なくなる。
二人きりの貴重な時間を無駄にするなどもっての外だ。
お詫びに琴里の頬へ手を添えて、軽く唇を重ねてやった。
「ふふっ、分かれば良いのよ、分かれば……」
頬に添えた士道の手に、琴里は撫でるように自分の手を重ねてきた。
その温もりがとても貴重なものであるかのように、目を細めて深く酔いしれている。
いつもは強気で偉そうな琴里が、幸せそうに士道の手の平に頬擦りする姿。
それはそこはかとなく優越感を生じさせると共に、再び苛めたい衝動を沸々と湧き上がらせていく。
「……そういや約束、忘れてないよな。琴里?」
「約束……?」
温もりに酔うのを止めて、小首を傾げて士道を見る琴里。
惚けているわけではなく本当に何のことか分かっていないらしい。
なので士道は容赦なく残酷な現実を思い出させてやった。
「俺の命令を一つだけ聞いてくれるって言ってただろ? どんなに下種で、屈辱的な命令でも」
「あ……! あ、ああ、そのことね……え、ええ、もちろんよ。約束は、守るわ……」
微笑みをはっきりと不安に崩し、琴里は答えた。
幾ら士道を乗り気にさせるための手段だったとはいえ、約束は約束だ。
例えどんなに下種で屈辱的で変態的な命令だろうと、ちゃんと従って貰わなければ困る。
「そうか、安心したぜ。さてと、どんな恥ずかしいことさせてやるかな……やっぱ、さっきの辱めの続きをしてやるのが一番だよな……」
「っ……!」
命令する前から屈辱に塗れた悔しそうな顔をして睨んでくる琴里。
そんな顔をされると本当に辱めの続きをしたくなるが、流石に今はその時ではない。
「……冗談だって、琴里。今はそんなことしねぇよ。初めてだったからキツかっただろうし、ちゃんとゆっくり休ませてやるから」
「あ、あら、そう……今は、ってことは、いつかはするのね……」
「そりゃあな。お前が自分から言い出したことだしよ」
「……分かったわ。それで良いから、今はゆっくり休ませて。おにーちゃんの、腕の中で……」
諦めの溜息を吐くと、琴里は吹っ切れたような清々しい微笑みを浮かべ再び士道の胸へと頬を埋めてくる。
琴里の命令、もといお願い通り、士道はその小柄な身体を抱きしめてやった。
妹と裸で抱き合っている背徳感が堪らない幸せに思えるようになったあたり、もう士道は色々な意味で駄目かもしれない。
「……愛してるわ、おにーちゃん。世界で一番、愛してる……」
「ああ。俺も愛してる、琴里。世界で一番、愛してる……」
「……特別扱いはいけないわ。ちゃんと七罪たちも平等に想ってあげなさい……でも……そう言ってくれるだけで嬉しいわ……ありがとう、おにーちゃん……」
注意してきたかと思えば嬉しそうな声を漏らした琴里は、疲労からかすぐに士道の胸の中で眠りに落ちた。
相当疲れていたので士道もすぐに後を追いたかったが、その前にやっておくべきことがある。
結んだままでは髪を痛めるかもしれないので、すでに可愛い寝息を立てている琴里のリボンを解いてやった。
ベッド脇に置く前に何となく確認してみると、やはり紛れもない黒のリボンだった。
これを付けていながらも琴里は素直になってくれたのだから、幾ら七罪と同じタイプでも少しは士道に対する接し方が変わるのではないだろうか。
できればもう少し優しく接してくれるようになることを願って、士道も目蓋を閉じて眠りに落ちていった。
「うっ……!」
突如腹の辺りに鈍い痛みを感じ、士道は夢の中から現実に引き戻された。
覚醒しきっていない意識でも、この断続的に生じる痛みが何なのかは分かる。
これはたぶん、誰かが士道の腹の上で激しく踊っている痛みだ。
その誰かとはもちろん義理の妹であり、真夜中の相手であった琴里だ。
「おはよう、愛しのおにーちゃん! 今日はとっても気持ちの良い朝チュンだー!」
「ああ。おはよう、愛しの妹――って、女の子がそんな格好で飛び跳ねるんじゃありません」
腹部を襲う重さよりも重い目蓋を開けて目に映ったのは、うっすらと射す朝日を浴びて士道を足蹴にしている琴里の姿。
そこまでは予想の範囲内だったのだが、琴里がまだリボンをつけておらず、身に纏っているのが士道のワイシャツ一枚という点は予想外だった。
一応ボタンを留めて下着(新しいものを出してきたらしく水色の縞パン)を履いているものの、何故か裸に近い悩ましさを感じる。
そんな状態で腹の上で飛び跳ねまくって下着を晒すなど、琴里は朝から誘っているとしか思えない。
そして今までは特に何も感じなかったその光景にムラムラしてくるなど、士道はもう人として終わっているとしか思えない。
「ふふん、そんなこと言って本当は嬉しいんじゃないのー? ほらほら、おにーちゃんの大好きな裸ワイシャツだぞー?」
「いつからそれが俺の好みになってるんだよ……まぁ、確かに嫌いじゃないな……」
「えへへー、やっぱりー」
飛び跳ねるのを止めてその場に女の子座りすると、見せ付けるように腕を広げて笑う琴里。
特に残念というわけではないが、こちらの琴里はあまり目だった変化が見られなかった。
まぁこちらは元からわりと素直なので、今更変わりようがないのかもしれない。
もう一方がどう変わったのかが気になり、士道はベッド脇から黒のリボンを手にとって差し出した。
「ほら、琴里。リボン付けてみてくれるか?」
「おー、良いぞー」
やはり素直に受け取る琴里。
その可愛らしさに癒されそうになった瞬間、油断した士道をあざ笑うかのように琴里の瞳に危険な光が走った。
「でもその前に、こうだー!」
「うあっ!? ちょ、琴里、やめっ――うひゃあっ!?」
身構える間もなく琴里に飛び掛られ、首筋に口付けられた。
可愛い愛情表現、と表現するには少々優しさが足りない。
どちらかと言えば吸血鬼のお食事、という表現の方が近いキスだ。
百歩譲っても甘噛みと言えないくらい、がっつり歯を立てられている。
「あはははー、どうだ! 参ったか、おにーちゃん!」
無邪気な笑みを浮かべて勝ち誇るように胸を張ると、琴里は黒のリボンで髪を結び始める。
直前まで可愛らしい暖かみのある笑みが浮かんでいた表情は、結び終わった時<氷結傀儡>も真っ青な冷たさに満ちていた。
もしかすると真夜中の一時は夢だったのかもしれない。
「……昨日は散々私を辱めた挙句、あることないこと喋らせてくれたわね。どうもありがとう、士道。これはそのお礼よ?」
「お礼……? って、おい、これ……!」
皮肉たっぷりに言いながら、琴里はベッド脇から手鏡を取って士道を写す。
見れば今しがた琴里に噛み付かれた首筋が赤くなっていて、紛れもないキスマークとして浮かび上がっていた。
噛まれた強さを考えると、簡単には消えてくれないだろう。
「な、何考えてんだよ、琴里……! 皆にバレないようにしないといけないんだろ!?」
「へぇ、あなたがそんなまともなことを言うとは思わなかったわ。私にこんなことをした奴と同じ人物だとは到底思えないわね」
「あ……」
あざ笑いながらワイシャツのボタンを上から外していく琴里。
そして露になった胸元から覗いた幾つものキスマークに、士道は沈黙を余儀なくされた。
しかも琴里が首を傾けると耳元から首筋に至るまでも同じ痕が点々と残っている。
士道の首筋の痕は虫刺されで誤魔化せそうだが、琴里の首筋や胸元はどう頑張っても虫刺されでは誤魔化せない数だ。
「よくもこんなに痕をつけてくれたわね。隠すのにどれだけ苦労するか分かってるの?」
「そ、それは……すまん……」
「おまけに少しは優しくしたかと思えば、独りよがりでしかない激しさでするなんて……」
「いや、それはお前が――」
「黙りなさい、士道」
激しくすることを望んだのは他ならぬ琴里自身で、その結果が首筋や胸元に残った痕である。
そのことを指摘しようと口を開くも、有無を言わさず遮られた。
最早反論も弁護も異議も一切無視の、琴里による完全独裁裁判である。
「これじゃあ他の精霊と関係を結ばせるわけにはいかないわね。私が良いというまでは、絶対に肉体関係を持つことは許さないわ」
「いやお前、許さないとか言う前にはなから合格させる気ないって言って――うぐぁ!?」
つい許可を求めずに発言すると、鳩尾に拳が降ってきた。
完全に図星だったせいで、琴里は赤みの差した頬を隠すように視線を逸らしている。
とはいえ本当に誤魔化したいなら、頬を隠すよりも士道の腹の上から降りたほうが良いだろう。
先ほど髪を黒リボンで結ってからも、座り込んだまま動いていない。
「と、とにかく! 私が良いと言うまでは、七罪と、四糸乃……と……その……私で、我慢しておきなさい……」
「……ははっ」
歯切れ悪く本音を漏らす琴里。
やはり少しは素直になっているようで嬉しい限りだ。
頬の緩みが抑えられず、ついつい士道は笑いを漏らしてしまった。
「な、何変態みたいな気持ち悪い笑い方してるのかしら? い、言っておくけど、別に私はあなたとセックスしたいわけじゃないのよ? ただ、それであなたが我慢できなくなって他の精霊に手を出すと困るから、仕方なく付き合ってあげるだけよ。勘違いしないことね」
「……我慢できるなら、お前とする必要はないってことだよな。俺は七罪たちだけで十分満足してるし、お前は俺としたいわけじゃないみたいだし、心配しなくてももうお前とやったりしないから安心しろよ」
「そ、それは駄目よ! あっ……!」
やはり本音を口走ってしまう琴里に、再び笑いが込み上げてくる。
今の琴里が幾ら誤魔化したり虚勢を張ろうと、本当の気持ちや望みはすでに知っているのだ。
嘘や強がりは表情を見ずとも手に取るように分かった。
「……こういう時くらい素直になっちまえよ、琴里。もう隠さなくたってお前の気持ちは分かってるんだからさ」
「……ふ、ふん。変に邪推しないでもらえるかしら? 別にあなたとしたいわけじゃなくて……その……快楽に耽りたいだけよ」
「そっち認める方が恥ずかしくないか……? 変に誤魔化したりしないで、素直になってくれよ。それともお前、俺のこと愛してるっていうのも嘘だったのか?」
「っ……!」
やはりその言葉が虚勢と強がりを打ち崩すワードなのか、琴里が息を詰まらせる。
自分の想いを否定したくないのか、自分の想いに負けてしまったのか、琴里は悔しげな表情を穏やかに崩していく。
完全に微笑みへと表情が変化したところで、琴里は再び士道の身体の上へと寝そべってくる。
「……そんなわけ、ないでしょ……愛してる、おにーちゃん……愛してる」
「ああ。俺も愛してる、琴里……だから、素直に言ってくれ。愛する人の願いは、できる限り叶えてやりたいからさ……」
愛する人という言葉を使うのはどうしても慣れないが、違和感があろうと何だろうと言わない訳にはいかない。
愛しているのは間違いなく事実なのだから。
「そ、そうね……せめて……七罪たちと同じくらい、して欲しいわね……それくらいじゃなきゃ、もう私が我慢できなくなりそうよ……」
再び羞恥に頬を染め、視線を逸らして答える琴里。
今度は虚勢などが混じっていない純粋な恥じらいから視線を外したようだ。
七罪たちとは違い積極的に行為を求めているのは、抑えていた気持ちが大きすぎたせいか、あるいは可能な限り密度の濃い二人だけの時間を過ごしたいからか。
いずれにせよ愛情だけでなく快感を貪欲に欲している辺り、男としてどうしても求めてしまうものが多い士道とまるっきり同じだ。
愛情だけがあればほとんど満足な七罪たちとは大違いだ。
血が繋がっていないとはいえ、似たもの兄妹ということなのかもしれない。
「ああ、分かった……その代わり、もう覗くのは止めろよ? 七罪と四糸乃、相当ショック受けてたぞ」
「まぁ、ある程度データは取れたから構わないわ……だけど、前例の無い特殊な状況とか、意図的に作り出した状況ではデータの採取も兼ねて鑑賞させてもらうわよ。これは幾らおにーちゃんの頼みでも、譲れないことだから……」
「……どうしても必要なことなら、俺もそれで良い。その辺は二人には、言わないようにしておくけどな」
どうやらこれ以上誰かに士道を奪われないようにしつつも、その辺りのことは忘れていないらしい。
もしも必要な時がくれば、琴里は隠さず自分たちの関係を皆に話すだろう。
自分や七罪たちだけで独占するために黙っていることはしない。
だから琴里が何か指示を出してくるまでは、琴里たちだけは深く愛することができる。
皆平等に想ってはいるが、今のところ深く愛することができる関係なのは琴里たちだけなのだから。
「……言わないようにっていえば、七罪も似たようなことを言ってたけど……こういう状況以外で、私の様子の変化を話題にしたら、どうなるか……覚悟しておいてね、おにーちゃん」
「お、おう……」
その時がくるまでは琴里や七罪、四糸乃に可能な限り愛情を感じさせてやろう。
そう心に固く誓った矢先、一転して恐怖を誘う低い声で紡がれた琴里の言葉に、士道は怯えながら頷くしかなかった。
おにーちゃんには勝てなかったよ……。
今回かなり士道が鬼畜に仕上がりましたが、下書きの段階に比べると鬼畜度は半分くらいです。下書きでは本当に泣いて謝らせていました。どうしてああなった。
琴里が加わった理由は好きなキャラ第三位であり、加わった方が話の自由度が高くなり、そもそもバレない方がおかしいという理由から。
次回はたぶん非エロ話です。
また、次回からのエロ話は少し特殊なものになる予定。
どう特殊かはたぶんタグとかに追加されていきます。
私自身がノーマルなので、アブノーマルなものはない……はず。
更新停止期間の執筆状況の進捗はどれくらいの頻度で活動報告に載せるべきか
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1ヵ月
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3ヵ月