今回は士道が琴里に対してSになってしまう理由が明らかになるとか、ならないとか……。
ちなみに気付いたら変なネタが幾つか入っていましたが、わりと違和感がなかったのでそのままにしておきました。そして微妙に名前ネタ……というか名前と愛称ネタになってる……元ネタが分かってしまった人は秘孔をついて記憶を消します。
「さてと……覚悟しろよ、琴里。今まで暴力を振るわれた分、今からたっぷりお返ししてやるからな」
「くっ……!」
悔しさに頬を歪めつつ反抗心溢れる瞳を向けてくる琴里。
手錠をかけられ腕をベッドの柱に通されているので、できるのはその程度の反抗だけだ。
例え士道が鞭でその身体を打とうがロウソクを使って攻めようが、琴里はされるがままになるしかない。
いつも高圧的な態度の琴里が地べたに這いつくばっている惨めな姿は、嗜虐心と優越感を存分に刺激する堪らない光景だった。
それこそ愉悦に頬が緩んでしまうほどに。
「よし、まずはさっきの鞭打ちのお返しをさせてもらうぜ?」
鞭の感触を手の平に軽く打ちつけて確かめ、そのパシパシという音で琴里の怯えを煽る。
どうせ琴里は平静を装っているだけで内心では怖くて怖くて堪らないに違いない。
「お、女の肌を傷つける気? それは男としてやってはならない最低の行為だって分かってるの?」
「んー? 怖いからやめてぇおにーちゃん、って素直に言ったらどうだ?」
「っ……!」
鞭の先端で白い首筋を撫でると、琴里は怖気を感じたかのごとく身体を震わせる。
やはりただ強がっているだけのようだ。
黒のリボンを解いてやればあっというまに泣きじゃくるだろうが、そんな卑怯かつ簡単な方法で屈服させても面白みにかける。
「だ、誰がそんなこと……大体あなた、言っても止める気なんてないでしょう!?」
「良く分かってるじゃねぇか。流石サディストの司令官様だな」
「くっ……!」
鞭の先端で頬を軽くペチペチと叩き、お褒めの言葉を口にしてやる。
歯を食いしばって怯えと屈辱に耐える強気な様子は実に苛めがいのある姿だ。
その強情さを叩き壊して泣かせてやるのがとても楽しみだった。
どうも琴里相手だとSになってしまうのが困りもの……いや、困りはしない。
「覚悟しやがれ、この小娘! 今まで散々馬鹿にされて痛めつけられた恨み! 今ここで晴らしてやるぜ!」
士道は鞭を構えると、一気に琴里のお尻目掛けて振り被った。
一瞬の風切り音を挟み――バシッ!
「――うあぁっ!」
スカートの上からであるせいか若干鈍い音が上がり、琴里は仰け反って悲鳴を上げた。
直接素肌を叩かれたわけではないにも関わらず、痛みの余韻に激しく身を捩っている。
鞭で軽くお尻を叩かれただけでこんな反応を示すとは、お偉い司令官様の癖になんとも情けない姿だ。
あまりにも情けなくて涙の代わりに笑いが零れてしまう。
「だらしないぜ琴里! おしおきはまだまだ始まったばかりだっていうのにな!」
「うあぁっ! ああぁっ! い、いい加減に――うああぁ!」
気分が最高にノッてきた士道は、感情の赴くままに鞭を振るった。
痛みに身を捩っている所へ再び――スパァン!
悲鳴を上げて身体を震わせた所へ三度――スパァン!
怒りの声を上げかけた所へおまけに――スパァン!
情け? そんな貧弱な言葉は冷酷無比な五河司令の辞書には存在しない言葉だ。
それを見習って何の容赦もなくひたすらに鞭を振り下ろし、琴里のお尻へと日頃の鬱憤を叩き込んでいく。
不思議なことに鞭打つ度に琴里が上げる屈辱に塗れた悲鳴は、今の士道にはとても心地良いクラシック音楽か何かのように思えた。
「ふぅ……ちょっと腕が疲れてきたな。少し休憩するか」
「はぁっ……はぁっ……! 絶対、許さないわよ……士道……!」
肩で息をしながら怒りに燃える赤い瞳を向けてくる琴里。
百獣の王に睨まれているような生命の危機を覚える光景だが、鎖に繋がれていては怖くも何ともない。むしろちょっかいを出して余計に怒らせたくなる姿だ。
「はははっ、今のお前に何ができるっていうんだよ? 反撃できるもんならやってみやがれ!」
「っ……覚えて……なさい……っ!」
鞭を手放した士道が馬鹿にしながら身体に覆い被さると、琴里は恨みがましい声を零す。
交尾中の犬や猫のような体勢で士道に圧し掛かられているのだから、人一倍プライドの高い琴里が屈辱を覚えているのは当然だった。ざまぁみやがれ!
「うっ……く、っ……! っ、あぁ……!」
背後から耳元へと口付け、痕にならない程度に強く歯を立て噛み付きまくる。
右手は衣服の中へと滑り込ませ、反抗的な弾力を持つ小さな膨らみを握るように弄り倒す。
左手はスカートの中へと射し込み、敏感な太股の根元を指でくすぐり撫で摩る。
「あ、ぁぁ……! っ、くぅぅ……! こ、この、っ……あぁぁ!」
抵抗の意思を見せつつも抵抗できない琴里の身体を、ひたすら好き勝手に責めまくった。
身体を許して全てを受け入れる相手に行うのとはまた異なる趣を感じられる行為だ。
いつも不遜な態度を崩さない琴里を力付くで屈服させていることが、病み付きになるほど愉快で堪らない。
「んー? さっきまでの威勢の良さはどうしたんだー、琴里ぃー?」
「っ! ちょ、調子に乗るんじゃ――くあぁぁっ! あ、う、あぁぁぁ……!」
膨らみを弄る指で乳頭を強めに摘むと、琴里が上げた怒声はたちまち喘ぎへと変化した。
更に秘所を弄る指先を身体の中へと沈めて内側を攻め立てることで、その喘ぎには瑞々しさが滲み始める。
今の琴里はまるで苛められることに快感を見出すMのごとき姿だった。
Sの琴里にとって自分がそんな姿を晒しているなど、これ以上ないほどの屈辱だろう。
「ずいぶん気持ち良さそうな声出してんなぁ、琴里? ひょっとしてお前ドSの癖にこういう風にされるのも大好きなドMなのか?」
「だ、誰が、そんな……うあぁぁっ! あ、あっ、うあぁぁぁ……!」
再び繊細に指を動かし、痛みではなく快感を与える。
苛められることに対して快感を覚えてしまっていると、たっぷり錯覚させてやるために。
初めての夜のときは手加減したので泣かせるところまではもっていかなかったが、今この場では手加減などしてやらない。
妙に黒い感情が渦巻く心の赴くままに、士道は言葉でも琴里に屈辱を与えていく。
「やっぱり気持ち良いんじゃねぇか。いつも偉そうに振舞ってるわりにはこういうのが大好きなんてとんだ変態だったんだな、琴里? 妹のこんなアブノーマルな性癖、おにーちゃん今まで気付かなかったぜ」
「き、気持ちよく、なんて……! っ、あぁぁ……!」
抵抗を示したので三度快感にその身を襲わせた。
快感を拒絶するように激しく身を捩り、髪を揺らして頭を振り乱す琴里。
頑張って屈辱に堪えているようだが、果たしていつまでその強がりを保てるのだろうか。
「ここまで気持ち良さそうにしてる癖にまだ嘘つくか。嘘つきには……またおしおきしてやらねぇとな?」
「は、はぁっ……はぁっ……! ま、また、鞭で打つ気なのかしら……ふん、芸が無いわね……」
息を乱し頬に汗の雫を浮かばせつつ、憎まれ口を叩く琴里。
口では何だかんだ言いつつも士道のことが好きで好きで堪らない琴里の言うことなので、その言葉には何か別の意味があるに違いない。
例えば鞭ではなく他のもので叩いて欲しい、とか。
「……なるほど。つまりは直接手で叩いて欲しいってことか。本当マゾだな、お前」
「だ、誰もそんなこと言ってないわよ……! ちょ、やめなさい!」
士道は身を捩って抵抗する琴里のスカートを捲ると、大人っぽい黒レースの下着を膝のあたりまでずり下ろした。
露になった形の良い綺麗なお尻は、うっすらと赤い線が幾筋も浮かんでいる。
一体誰がこんな酷いことをしたのだろうか……。
「大丈夫か、琴里? ちょっと赤くなってるぞ?」
「くっ……!」
わざとらしく心配そうな顔をして、傷の状態を確かめるために琴里のお尻を撫でてみた。
赤くなっているはいるが肌はすべすべで別段患部が熱を持っているわけでもない。
むしろ胸の膨らみに引けを取らない柔らかさと弾力が手の平に元気良く伝わってくる。
これならもうちょっと誰かが酷いことをしても問題なさそうだ。
なので士道は勢いよく手を振りかぶると、そのまま琴里のお尻めがけて一気に振り下ろし――
「っああぁぁ! っ、くぅ……!」
――パァン!
気持ちの良い甲高い音が手の平の下で鳴り響き、衝撃の強さを物語るように琴里のお尻が微かに揺れる。
叩かれた琴里は鞭で打たれた時よりも大きな喘ぎを零すと、うっすらと涙を滲ませた反抗的な瞳で睨んできた。
どうやらまだまだ今までの悪行を反省していないようだが、そうでなくては面白くない。
簡単に倒せる弱いモンスターと戦うよりも、倒すのが困難な強いボスと戦った方が面白さも達成感も大きい。
「さーて、今からたっぷりお尻ペンペンしてやるからな。今まで暴力を振るったり酷いこと言ってすみませんでした、って謝るまで止めてやらねぇぞ?」
「誰がそんなこと、言うもんですか……絶対、あなたに何か負けないわ……!」
自分でフラグを建てにいった琴里を冷たくあざ笑いながら、士道は再び手を振りかぶる。
「へぇ、一体いつまでそんなに強がっていられるか――なっ!」
「ああぁっ! く、ああぁぁ! んっ、くぅぅ!」
パァン! パァン! パァン!
動けない琴里のお尻を右も左も容赦なく叩きまくり、屈辱に塗れた悲鳴を上げさせる。
肌を打つ甲高い音も悲鳴も完全防音の部屋の中にしか響かないので、誰も助けにきてくれる人などいない。
それに今日のベッドでの相手は元々琴里なので、真夜中にもつれ込もうが全く問題はない。
まぁ人をいたぶることに快感を覚えるサディストである琴里が、逆に自分が痛めつけられるという屈辱極まる仕打ちを受けているのだから、真夜中どころか十分も経たずにすぐ折れるだろう。
「ほら、さっさと謝った方が身のためだぜ!? まだまだ時間はたっぷりあるんだからな!」
「あぁぁぁっ! こ、このっ、サディストっ! うああぁぁっ!」
折れる前にたっぷり楽しませてもらうために、手錠で繋がれ無様に身を捩る琴里をあざ笑いながら手加減なしにひたすらお尻を叩きまくった。
小生意気で聞き分けのない可愛い妹におにーちゃんとしておしおきをする楽しさ。
暴力を振るう高慢で尊大な司令官に部下として反逆の制裁を加える愉悦。
「はははははっ! いつも痛めつける相手に痛めつけられる気分はどうだ琴里~!? さあ、何発目で謝るかな~!?」
性的な興奮よりも強い嗜虐心に支配された状態の士道は、それらの感情に調子付いて高笑いしながら夜を過ごしていった。
――そして、琴里のおしおきを始めてから数十分後。
「はぁっ……は、ぁ……はぁっ……!」
「お、お前……ここまでされてもまだ謝らないのか……流石に俺も疲れてきたぞ……」
数十分休みも手加減もなしにお尻をめった打ちしたというのに、琴里は一向に屈しなかった。
もう叩きすぎて士道も手の平がヒリヒリして肩も痛むし、白いお尻を余す所なく真っ赤に腫れあがらせた琴里は息も絶え絶えだ。
閉じた膝を抱え込むような形で四つんばいになり、縮こまってビクビクと震えている。
「……ふ、ふん……も、もう終わりなの、かしら? あれだけ、大口を叩いておいて……この程度……?」
「くっ……!」
だがそんな状態でも未だ小馬鹿にするような瞳を向けて挑発すらしてくる。
確かに琴里はプライドが高いので屈するのに抵抗はあるだろうが、サディストなのに自分が痛めつけられる屈辱と腫れあがったお尻の痛みにまで勝るものではないはずだ。
にも関わらず余裕を崩さない琴里に、流石の士道も焦りを覚えてきた。
「ま、まだまだ! ここからが本番だぜ!」
「っ! や、やめっ……!」
「ん……?」
一旦お尻を叩くのを中断して再び身体へ覆い被さろうとした時、琴里は初めて動揺を見せて激しく身を捩った。
先ほどまでは鞭で打たれようが手の平で叩かれようが動揺など見せなかったというのに、一体どういう心境の変化だろうか。
「そ、それより、もう私のお尻を叩いて……屈服させるのは、諦めたのね? 自分でやると、決めておいて……途中で、投げ出すなんて……情けない男ね……」
更には痛みに涙を滲ませている癖に、また叩いてみろとでもういうような挑発をしてくる。
まるで身体に触られると何か不都合があるとでも言うように。
「お前、もしかして……」
「……っ! や、やめ――!」
あるひとつの可能性が思い浮かんだ士道は、それを確かめるために琴里が硬く閉ざしている膝を無理やりこじ開け、指で太股の内側をなぞってみる。
そこでやっと、琴里が決してお尻を叩かれる痛みに屈さなかった理由を理解した。
「ああ、なるほど。そういうことだったんだな、琴里……へぇー、どうりで……」
「……っ!」
ニヤニヤと笑いながら視線を向けると、琴里はいっそ殺せというほどの屈辱を滲ませ顔を伏せた。
あろうことか太股を撫でた指にはたっぷりと滑りが纏わりついてきている。
見れば太股を伝って膝の辺りにまで流れ落ちていて、すでに床にもいやらしい水溜りを作っている。
琴里が膝を閉じて縮こまっていたのはこの事実を隠すためだったのだろう。
自分が本当は士道のお仕置きにたっぷりと快感を覚え、喜びを感じてしまうほどのMであるということを。
「いつもドSのお偉い司令官様がまさか本当はドMだったなんて、おにーちゃんちょっとびっくりだ。こんなになるまでお尻を叩かれて感じちまってるのかよ」
この上司にしてあの部下あり、ということなのだろうか……まぁペットは飼い主に似るとも言うし、類は友を呼ぶとも言うのであながち間違いではないのかもしれない。
しかし決してそれを認めたくないらしい琴里は、いっそいじらしいほどの意志力で鋭く反抗的な瞳を向けてきた。
「か、感じてなんか、いるわけないでしょう……! こ、これは……!」
「また生理的な反応ってやつか? 素直に言っちまえよ、琴里ぃ? おにーちゃんに叩かれるの気持ち良かった、ってな」
目的どころか自分のキャラすら見失いつつある士道だが、テンションが最高に上がってきているのでこれは仕方ない。
というかお仕置きを始めてからというもの、妙に自分を見失って心がSに染まってきている。
まるで普段の黒琴里のサディスティックさが徐々に乗り移ってきているようにも思える変化の仕方だった。
もしや琴里がMに染まっていったせいで、抜けた分のSが霊力のパスを通って士道に回されているのではないだろうか……。
「ば、馬鹿言ってんじゃ、ないわよ……! むしろ、不快で堪らないわ……!」
「ほう……」
身体はたっぷり感じてしまっているというのに、あくまでも強情にそれを認めようとしない琴里。
しかしお尻が腫れあがるほど叩かれて感じるほどのドMであることが判明した今、その反応はもっと叩いてもらうために士道を煽っているようにしか見えない。
今まで決しておしおきに屈して謝ろうとしなかったのも、謝ってしまうともう叩かれなくなってしまうからだろう。
凄まじいドSでありながらとんでもないドMであるとは、三人の幼女を頂いた士道と同じく業が深い妹である。やはり似たもの兄妹のようだ。
「気持ち悪いならこれ以上やっても不愉快なだけだろうし、もうおしまいにするか? 琴里?」
ドMであることが分かった今、琴里に対してのおしおきはもう逆効果だ。
なので士道は発想を変えておしおきをやめることにした。
「え……お、おしまい……? こ、ここまでしておいて、途中で止めるっていうの……!?」
一瞬だけ悔しさを忘れたように、呆然として肩越しに寂しげな瞳を向けてくる琴里。
琴里にとって先ほどまでのおしおきは快感を得られる行為だったのだから、ここまで濡れた状態でそれを取り上げられることになれば当然の反応だ。
「まぁお前が正直になるならちゃんと最後までやってやるけどなぁ? ほら言えよ琴里。『お願いしますもっとやってください。おにーちゃんにお尻を叩かれるのは気持ちよかったよー』ってな?」
「こ……このっ……ゲス野郎……っ!」
今夜一番の軽蔑を声音に乗せ、涙目で睨みつけてくる琴里。
今は性欲よりも嗜虐心が爆発している士道はともかく、幾らプライドが高くとも床を濡らしてしまうほど快感と興奮を覚えさせられた琴里が耐えられるわけがなかった。
「何とでも言いやがれ! さぁどうするんだ琴里!? 言わないなら俺は四糸乃のとこにでも行っちまうぞ!? それとも七罪のところにでも行くかなー!?」
「っ……!」
ギリギリという音が聞こえるほどに強く歯軋りしながら、最早殺意すら感じられる瞳で睨んでくる琴里。
溢れるSの衝動に支配された今の士道には、そんな視線はそよ風のごとく心地よく受け流せる。
ついにもう逆らう術がないと悟ったらしく、琴里はやがて顔を伏せて血を吐くような苦々しい呟きを零した。
「……お……お願、い……し、ます……っ」
「ん~? 今何か言ったか琴里~?」
もちろんばっちりと聞こえたが、こんな頼み方では一生願いを叶えてやるつもりはない。
這いつくばって震える琴里の口元に耳を寄せ、わざとらしく聞き返す。
「っ……ひっ、く……う、うぅ……!」
屈辱がついに限界を迎えたらしく、琴里はしゃくり上げて涙を零し始めた。
その様子に微塵も罪悪感を感じないどころか堪らない愉悦を覚えるあたり、やはり黒琴里のサディスティックさが流れ込んできているのかもしれない。
「う、ぅ……お、お願い……っ……しま、す……!」
「なに~? 聞こえんなぁ~? その程度で俺の心が動くと思ってんのか!」
「っう……ぐすっ……! ……お……おね、がい……っ!」
黒リボンをつけているにも関わらず、完璧に泣きじゃくりながらお願いしてくる琴里。
まだまだ満足行く頼み方ではないので、世紀末的な煽りを行い更に心を追い詰めた。
琴里は一段と大きなぐずりを零すと、突如吹っ切れたように顔を上げて瞳を向けてきた。
悔しさも屈辱も掻き消えた、興奮と切なさに揺れる悩ましい瞳を。
「お願い、おにーちゃん……! もっと……最後まで、して! おにーちゃんにお尻叩かれるの……気持ちよかったわ……!」
「よしよし、やっと素直になったな。いつもの生意気で偉そうな琴里も好きだけど、こういう風に素直になったお前も好きだ――ぜっ!」
――パァン!
「ああぁぁぁっ! あ、ぁぁ……!」
望みどおり思いっきり手の平をお尻に叩きつけると、琴里は天を仰ぐように顔を上げて気持ち良さそうに喘いだ。
Sだった先ほどまでは屈辱と羞恥が滲んだ喘ぎだったが、屈してMとなった今は完全に快感に零す喘ぎだった。
「はぁっ……はぁ……お、おにーちゃん……も、もっと……」
そして肩越しに士道へと切なげな瞳を向け更にねだってくる。
あれだけ悔しそうに侮蔑と怒りを込めた罵倒を零していたというのに、完全にMと化した今は自分から求めてくるほどに心変わりしてしまっていた。女の心変わりは恐ろしいのぉ!
「はははっ! 叩かれるのがそんなに気持ち良いのかよ? どうだ琴里!? 俺にお尻を叩かれるのは嬉しい――かっ!」
――パァン!
「ああぁぁぁっ! っ……え……ええ……嬉しい、わ……!」
「もしかして俺に前から辛く当たったりしてたのは、こうやっておしおきして欲しかったからなの――かっ!」
――パァン!!
「うあぁぁぁっ! ぁ……す、少し……だけ……!」
「やっぱりマゾだな琴里! ほら言ってみろよ! 私はおにーちゃんにお尻を叩かれるのが大好です、って――なっ!」
――スパァン!!
「ああぁぁぁっ!! っ……わ、私は……おにーちゃんに、お尻を叩かれるのが……大好き、です……っ!」
「ふはははははっ! お前が俺の命令に従って何でも言うことを聞くなんてな! 最高の気分だぜ!」
猛獣を手懐けて思いのままに操っているような征服感を存分に感じ、本音を吐露させながら琴里のお尻を叩きまくる士道。
最早完璧にMと化しひれ伏している琴里に比べ、士道は完璧に最低最悪のSと化してしまった。
傍から見るともうどうしようもないSM兄妹かもしれないが、どちらも心から楽しんでいるので誰にも文句は言わせない。
「ふぅ……流石にこれ以上叩くと消えない痕になっちまうかもしれないから、叩くのはここまでな。お前が正直におねだりするなら、また今度やってやるよ」
「あっ……」
十数回ほど叩いた後慈しむようにお尻を撫で摩ってやると、どことなく切ない呻きを漏らす琴里。
再生能力を持つ琴里ならそんな傷はすぐに治ってしまうだろうが、あくまでもこれはおしおきでありハードなSMなどではない。
自分でも驚くほどSになってしまった士道でも、そこまで非道なことをする気はなかった。
「う……うん……じゃあ、おにーちゃん……」
「分かってる、俺もそろそろ我慢できなくなってきた……」
悔しさを失くした琴里が快感に染まった悩ましい喘ぎを零し続けたことで、欲望の箍は外れてきている。
いつも偉そうにして士道を見下している琴里が、興奮と快感に揺らぐ瞳でねだってくる様子もその要因の一つだ。
だが今の士道は過剰なまでにサディストへと変貌しているせいか、ただ純粋に愛し合うという選択肢が出てこなかった。
「そういやマジックミラーにしたって言ってたな……よし、来い琴里」
「お、おにーちゃん……?」
Sに染まった士道には辱めと屈辱を与える手段が腐るほど沸いてくる。
その内の二つを実行するために、士道は琴里の両腕をベッドの柱から抜き去ると無理やり立たせて窓に手をつかせた。
無論カーテンは全開であり、薄いガラスの向こう側には開放感溢れる夜の街並みが広がっている。
それは人に見られる可能性のある野外で行為に及ぼうとしているような錯覚を覚えさせ、緊張と羞恥を感じさせるには十分な光景だった。
「お、おにーちゃん……っ! こ、これ……恥ずかしいわ……!」
「どうせ向こうからは見えないんだから気にする必要ねぇだろ? ほらいくぞ、琴里?」
「ま、待っ――ああぁぁぁっ! っあ、あぁぁぁっ!」
身を捩って逃れようとする琴里の腰をホールドし、秘所へと容赦なく半身を突き入れた。
黒のリボンで結われたツインテールを振り乱し快感に喘ぐ琴里の身体の内へ、激しく鞭打つかの如く打ち付けていく。
強い羞恥を覚えているせいか半身を包む締め付けはきつく、恍惚の吐息すら漏らしそうになってしまうほどの快感を覚える。
「んぁっ! っ、ううぅぅぅ! く、うぅぅ……! わ、私……こ、こんな、表情……して……ああぁぁっ!」
窓ガラスに映りこんでいる自分の姿を蕩けた瞳に収めた琴里は、震えた羞恥の声を漏らして一段と強く喘ぎ始めた。
琴里が目にしているのは士道に力で押さえつけられ背後から突かれながら、表情を喜びと快感に嫌らしく乱した自分の姿だ。
自分が今完全に士道に屈服しているという事実に、琴里の被虐心は大いに満たされていることだろう。
そして士道も琴里の嫌らしい様子に堪らない嗜虐心と快感を覚えさせられる。
だがまだ満たされるには僅かに足りない。
士道は琴里の腰を掴む両手を離すとその身体を後ろからかき抱いた。
「琴里……っ!」
「――んっ……! む、ぅぅ……ふぁ、うぅぅ! ちゅ……あ、はぁぁぁ!」
快感と羞恥に涙目となっている琴里の顔を右手でこちらに向かせて唇を熱く奪い、下腹部を突かれる衝撃に微かに揺れる乳房を左手で執拗に弄くる。
唇と手の平を同時に襲う柔らかさと温もりが心臓を強く締め付け、生じた熱さは下半身へと駆け巡り――
「あ、あぁぁ、お、おにぃぃ、ちゃ――うああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
――凄まじい勢いで琴里の下腹部へと流れ込み、歓喜の悲鳴を上げさせた。
天を仰ぐように仰け反り快感に打ち震えている琴里だが、未だ窓に手をついたままでその身体を支える力は全く抜けていない。
このドSでドMで発情期の妹は、たった一度で体力を失くしてしまうようなか弱い少女ではないからだ。
「はっ、あぁ……お、おにー、ちゃん……! まだ……足りない、わ……!」
そしてたった一回で満足するような無垢で純真な少女でもない。
肩越しに振り返り快感に緩みきった嫌らしい顔で催促してくるのがその証拠だ。
「……ああ、まだまだ終わらせねぇからな! もっともっとおしおきしてやる!」
「あっ! お、おにーちゃんっ!」
押し倒すように琴里の身体を乱暴に窓に押し付け、士道は再び愛情のあるおしおきを再開した。
両手を拘束されている上に窓ガラスに押し付けられて後ろから容赦なく突かれているにも関わらず、やはりドMの琴里は幸せそうに喘いでいた。
「……おにーちゃん、私以上にサディストね。今度は神無月と楽しんだらどうかしら? きっと相性抜群よ?」
士道の身体の上に寝そべった琴里が、瞳をすぐ近くから覗きこみながら語りかけてくる。
やはり最近やたらに性欲が強まっている士道と、引けを取らないほど盛っている琴里が共に満足するまでには相当の時間がかかった。
確かおしおきを始めたのが午後八時で、今は午後零時をだいぶ回っていることから費やした時間は……まぁ、あまり考えない方が健康に良いだろう。
「俺にそんな趣味はねぇよ……ていうかあの人と楽しんでるのはお前だろ。お前らも相性抜群ってことになるぞ? 実際抜群だろうし」
「なっ……! こ、ここまでの侮辱を受けたのは生まれて初めてだわ……」
「さっきのよりも屈辱だって言いたそうな顔してるな、お前……相性抜群って言われたのそんなに嫌だったか?」
「私と相性抜群なのはおにーちゃんしかいないでしょう? 今更違うとは言わせないわよ?」
唇の端を吊り上げ、含みのある微笑みを向けてくる琴里。
確かにこんな異常としか思えないほど長時間、それも激しく共に愛し合える時点で相性はぴったりだ。
おまけに士道がドSに、琴里がドMに豹変してしまうので互いに求め合うものの相性もばっちりである。
ただ琴里に関しては豹変するというよりも元々の嗜好が表に表れたと言うべきかもしれない。
SとMという相反する嗜好を持っていると考えるよりは、白琴里がMで黒琴里になるとそれにSが加わると考えた方がしっくりくる。
その仮説が正しいかどうかは、白琴里を苛めて後々確かめてみるべきだろう。
「ああ、そうだな。お前と相性抜群なのは俺だけだ」
満足のいく答えを聞けて嬉しかったのか、琴里の顔にはごく普通の可愛らしい微笑みが広がる。
「……それで? どうしておにーちゃんは私の誘惑に屈しなかったのかしら? まさか何も感じなかったってわけじゃないでしょう? そんなこと言ったら地獄を見せるわよ」
「な、何も感じなかったわけないだろ……けどお前の思い通りになるのはちょっと悔しかったからな。お前が素直になるまで我慢しといたんだよ」
「ふぅん……発情期の狼みたいなおにーちゃんでも、そういう理由があれば我慢できるのね……」
何かを深く思案しているような真面目な顔をして目を伏せる琴里。
実際にはそんな理由だけでは到底我慢などできなかっただろう。
我慢できた最大の理由は、一緒に育ってきた時間が長いせいか七罪たちに比べると琴里では興奮しにくいからだ。
そのおかげで琴里の誘惑もギリギリ乗り越えることができた。
まぁあくまでも七罪たちに比べると興奮しにくいだけであり、普通かそれ以上に興奮してしまうのは確かだ。
「……ああ、そうだ。おにーちゃん、いい加減これを外してくれないかしら? つけられてる気分は悪くないけど、おにーちゃんに抱きつけないのは辛いわ」
若干辛そうな表情をして、未だ手錠に拘束された両手を差し出してくる琴里。
忘れかけていたが士道も琴里もまだ手錠を外していなかった。
琴里の方はともかく士道の方の手錠は短いチェーンが半ばから千切れているので、ほとんど気にならなかったせいだろう。
「手錠つけられてるのに気分悪くないって、お前性癖がだいぶ歪んでるよな。手錠の鍵はどこにあるんだ?」
「私の服の胸ポケットに入ってるわ。おにーちゃんのも同じ鍵で外せるわよ」
琴里は両手が拘束されているせいで脱げなかった服の胸ポケットを視線で示した。
士道も当初は何とか脱がそうと考えていたのだが、その内着せたままでもなかなか趣があることに気がついたので脱がせなかった。
何というか琴里は学校の制服を着ているので、明らかにアウトな年齢の子と身体を重ねてしまっている背徳感が凄かった。まぁ制服がなくともアウトそのものなのだが。
「ああ、これか……よし、外れたぞ」
「ふぅ……外れたら外れたでちょっと寂しいものがあるわね……」
「お前もしかして縛られたりするのも好きだったり……ん?」
琴里の胸ポケットに手を突っ込んで(それなりにムラっときた。まだ元気があるらしい)取り出した鍵で琴里の手錠を外し、自分の手錠も外した士道はそこで違和感を覚えた。
チェーンが千切れた理由は錆びるなどして劣化していたせいと思っていたのだが、錆び一つなく光沢を放っていてとても劣化しているようには見えない。
外した自分の手錠を琴里が枕元に放る傍ら、疑問に思って千切れた箇所に目をやるとそこにも違和感があった。
チェーンの破断面は左右共に千切れたというよりも切断されたようで、まるで知恵の輪に刻まれた裂け目を思わせるほどに綺麗だった。
たぶんこの手錠、知恵の輪と同じく最初から外すための裂け目が出来ていたのだろう。
もしかすると誘惑に屈しなかった士道を本気の鞭打ちでもって復讐に焚きつけ、何が何でも自分を襲ってもらおうとしていたのかもしれない。
相変わらず賢く計算高く、そして超がつくほどのマゾである妹だ。またしてもしてやられた。はっきり言って超悔しい。
「これでやっとおにーちゃんに抱きつけるわね。だけど、その前に――」
「……っ!」
まだ元気があるので悔しさからもう一戦始めようかと思ったところで、琴里が上体を起して大人の色香を漂わす微笑みを浮かべた。
相変わらず反則的な琴里にしかない魅力に胸の高鳴りを覚えさせられ、心に隙を作ってしまう士道。
その隙を狙ったのか士道の両手に自らの手を重ね合わせて指を絡めると、琴里はゆっくりと唇を重ねてきた。
「んっ……っ……ふ……ぁ……」
興奮に火がついて燃え上がりやすい琴里にしては珍しい、とても穏やかな口付け。
じっくりと味わうように何度も唇を食み、青い炎の如く静かで熱い愛情を感じさせてくれる。
あまり無い機会なので逃すわけにはいかず、士道はされるがままになってみた。
「っ……ちゅ……おにぃ……んっ……ちゃん……ふぁ……」
琴里は握り合う両手をベッドの縁にぶつかるほど奥へ滑らせ、甘えるような声と吐息を零しながら身を乗り出して更に深い口付けを行ってくる。
やはり琴里にしてはとても珍しいキスだ。
士道は心地よい痛みを胸に覚えながら、唇と口内を愛でる感触と愛情にどっぷりと浸った――カチャリ、という音が頭の上で聞こえ、両手が動かせなくなるまでは。
「……くそっ! またやられた!」
頭の上なので位置的に見ることはできないが、再び手錠をかけられたことは明らかだった。
あんなキスをしてきたのは違和感なく士道の両手をベッドの枠まで持っていくためだったのだろう。
またしても琴里の手の平の上で転がされてしまい、あまりの悔しさに歯軋りしてしまう。
「ふぅ……今度は私の番ね。理由はどうあれ噛み付いて人に怪我をさせた犬は、それ相応のおしおきを受けるものよ? 手で軽く叩いて叱り付けるだけのときもあるけど、怪我の程度によっては……分かるわよね、おにーちゃん?」
再び鞭を手にした琴里が、士道の不安を煽るように手の平に何度も軽く打ちつけている。
その表情には少しずついつも通りのサディスティックさが溢れてきていた。
どうやらMとして満足したせいで今度はSが欲求不満になってきたようだ。
気のせいか士道の中からS成分が抜けてしまっているような気もする。
「よし。冷静に話し合おうぜ、琴里。お前はあれが気持ちよかったんだしおしおきをする必要はないはずだ」
「大丈夫よ、おにーちゃん。怖がらなくてもすぐに気持ちよくなってくるから安心して私に身を任せると良いわ」
「安心できるか! あと俺はお前と違ってそっちの趣味はねぇ!」
鞭の先端で士道の頬を愛しそうに撫でてくる琴里。
残念ながら愛しそうなのは動作だけで、Mではない士道には肌の上を滑る革の感触からは恐怖しか感じられない。
身を捩って逃れようにも今度ばかりは逃れられないので、覚悟を決めるしかなかった。
「なら私が新しい世界への扉をこじ開けて目覚めさせてあげるわ。一緒に楽しみましょう、おにーちゃん? きっとすぐに私みたいに感じられるようになるわ」
「……くそっ! 絶対感じたりなんてするか!」
「ふふっ、その強がりがいつまで保つか見物ね。さあ、私たちの戦争を始めましょう?」
何故か自分でフラグを建ててしまった士道に対し、お決まりの言葉で会話を締めくくる琴里。
その大人っぽいエロさと子供っぽい可愛らしさが同居していたはずの愛らしい面差しには、普段どおりの毛ほどもMっ気を感じさせないサディスト特有の冷たい笑みが広がっていた。
その後、士道は新しい扉こそ開きはしなかったが、代わりに想像を絶する地獄を垣間見ることとなった。
こんなもの書いているので言わなくとも分かると思いますが、私はSです。特にSをいじめるのが大好きなタイプです。
ただ今回これがどの程度のSMにあたるのかいまいち分かりませんでした。やりすぎなのか生ぬるいのかも良く分からない……できればそのあたりについての感想をいただけると嬉しいです。たぶん今度SMがある時は今回と似たような雰囲気になってしまうかもしれませんし……。
次回はちょっと特殊な非エロ話です。前話の琴里の行動理由や心情を予想してから読むとより楽しめるかも……? そして今までのお話の中に何かの伏線がないか探してみるというのも……?。
更新停止期間の執筆状況の進捗はどれくらいの頻度で活動報告に載せるべきか
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