士道さんのサンダルフォンが火を噴くぜ!
……と言いつつもあんまりエロくないかもしれません。
こういうシーンや行為を書くのは初めてですし。
あんまり期待はしない方が良いかと……。
目覚ましが鳴らす癇に障る音に、士道は嫌々目を覚ました。
寝起きが悪いので普段なら無視するところだが、今回ばかりはそうもいかない。
苦心して手を伸ばし、やかましい目覚ましを叩き止める。
そうして一息つきつつ、二度寝の誘惑に抗い身体を起こす。
まだ朝日も昇っていないので、部屋の中は薄暗い。
それでもおぼろげに明かりが射しているので、ある程度なら部屋の様子を認識できる。
若干開かれたままの部屋の扉や、床に脱ぎ散らかされた下着を含む衣類や――
「……すぅ……すぅ……」
――隣で安らかな寝息を立てる、一糸纏わぬ姿の七罪を。
この状況を見れば、何があったかなど誰にでも分かる。
「どう考えても犯罪だよなぁ。今更だけど……」
しかし後悔はしていないし、罪悪感もあまりない。
それほどに素晴らしい時間を過ごせたからだ。
起こしてしまわないよう優しく七罪の頭を撫でながら、士道はその日の出来事に思いを馳せた。
あの風呂場での一件から数日。
未だ七罪は心の準備が済んでいないようだった。
実際に尋ねたわけではないが、様子を見れば尋ねるまでもない。
士道と顔を合わせた途端、火が出そうなほどに顔を赤くして脱兎の如く逃げ去っていくのだから。
もちろんその数日、士道は何もしていなかったわけではない。
間違っているのではないかと何度も自問自答をしていた。
だが瞳を閉じる度に蘇ってしまうのだ。
あの時目にした七罪の裸体が、表情が、写真の如く鮮明に。
自問する度に胸が昂ぶり、意識とは無関係に答えを出してしまう。
結論から言えば、自問すること自体が間違っていた。
七罪に襲いかかったあの時から、答えは決まってしまったのだから。
「な、七罪! ちょっと待ってくれ!」
「っ! な、なに……?」
昼頃に精霊用マンションで偶然出くわした時、辛くも逃走寸前に呼び止めることができた。
一応その場に留まってくれたものの、爪先が士道から九十度ほど横を向いている。
隙を見せればすぐにでも逃げ出す構えだ。
その前に言うべきことは言っておくべきだろう。
「まだ、駄目なのか? 急かすわけじゃないけど、そろそろ限界なんだが……」
「あ、明らかに急かしてるじゃない……」
軽蔑の込もった瞳で睨まれるが、仕方ない。
実際そろそろ限界だった。
また密室に閉じ込められれば、たぶん容赦なく襲いかかってしまう。
もしかすると七罪はそれを避けるために逃げるのかもしれない。
「もう……我慢、できないわけ?」
「……ああ」
もう包み隠して話す必要もない相手だ。
若干びくびくしながら見据えてくる七罪に、士道は正直に答えた。
切実な願いを乗せた、少々卑怯な瞳で。
「う、うぅ……」
その視線に耐えかねたのか、伏し目がちに唸り出す七罪。
流石に自分も待たせすぎだと思っていたのだろうか。
しばらく考える素振りを見せた後、はにかみながら頷いた。
「分かった……でも、今日の夜までは、待って……」
「そ、そうか、良かった! あ、いや、すまん……」
つい喜びの声を上げてしまい、士道はすぐさま謝る。
心の準備がまだできていないというのに、無理を言って承知させたのだ。
これはあまりにも失礼だろう。
「喜びすぎでしょ……本当、何で私なんかでそんなに……」
呆れ顔で呟く七罪だが、その瞳には隠しきれない嬉しさが宿っていた。
そして、深夜。
誰もが寝静まった頃。
家をこっそりと抜け出した士道は、七罪の部屋の前へ訪れていた。
持ち物は特に何もない。
普通なら必要になるであろうものも持ってきていない。
精霊相手にそういった問題は起こりえないからだ。
以前琴里が適当に説明していたことなのだが、まさかこの知識が役立つ時がくるとは思わなかった。
まあ完全に人間となったわけではないので、当然といえば当然のことなのかもしれない。
一応七罪にはどちらが良いか聞いておいたが、どちらでも構わないという要領を得ない回答だった。
士道としては買いに行くのも恥ずかしいので、お言葉に甘えてこちらを選ばせて貰った。
士道は緊張から若干震える手で扉をノックする。
扉の向こうから聞こえてきたのは、何かが倒れたり割れたりするような慌しい音。
少し心配に思いつつ待っているとようやく扉が開かれ、七罪が顔を覗かせた。
「えっと……お、おはよう、士道……?」
「おはよう、って……もう夜なんだけどな……」
目の前で散々悩んだ挙句の言葉。
緊張し過ぎて思考にもかなり影響が出ているようだ。
「そ、そっか……じゃあ、入って……」
「あ、ああ……」
とはいえ緊張しているのは士道も同じ。
若干脚が震えるし、喉もかなり渇いている。
士道は七罪の横を通り抜け、部屋の中へと足を踏み入れた。
「……っ」
その際柑橘系の爽やかな香りに鼻腔をくすぐられた。
恐らくシャンプーの類の香りなのだろう。
見れば鮮やかな緑の髪は微かに湿っている。
相当念入りにとかしたのか髪質はかなり滑らかに仕上がっており、艶めいてほのかに輝いている。
肌も同様の湿りと輝きを帯びていることから、直前まで入浴して身体を清めていたのだろう。
自分の容姿を少しでも高めるために。
「た、確か寝室ってこっちだったよな?」
「っ! そ、そう、そっち……」
声をかけただけで驚いた猫の如く飛び上がる七罪。
もう緊張は極限に達しているようだ。
並んで歩く足取りも気の毒になるほど覚束ない。
それでも何とか寝室に辿りつくことができた。
寝室はこれからそういった行為を行うのに適した薄暗さだった。
カーテンの隙間から射し込む月の光が、闇の中に僅かな明るさを与えている。
その光に照らし出されているのは大きめのベッド。
まるで誘蛾灯のような輝きで士道たちを誘っている。
「……じゃあ、その……始めるか……」
何の捻りもなく気も利いていない馬鹿げた台詞。
だが七罪も初めてなので、特に思うところはなかったらしい。
こくりと小さく頷き、士道ともにベッドに座り込んでくれた。
「っ……!」
ベッドの上で向かいあい、正面から七罪の姿を目にする。
薄い水色のパジャマ――ネグリジェというやつだろうか。
身体のラインがうっすらと捉えられるほどに透けており、ただの衣服よりも興奮を煽る。
結び合わせているのは胸元の細いリボンだけ。
薄く緑がかったそれは、勝手に解けそうなほどに頼りない。
月明かりに照らされ部分的に影の落ちたその姿は、息を呑むほどに綺麗で、犯罪的な色気を漂わせていた。
「……本当に、嫌じゃ、ない? 私なんかと、こんなこと……」
怯えた瞳で、最後の確認をしてくる七罪。
士道には分かった。
七罪が怯えているのはこれからの行為ではない。
本当に自分と、その行為をするのかということ。
それだけ自分の姿に、感じるものがあるのかということ。
答えは決まっている。
だが言葉では伝えない。
本能の導くまま、行動で示す。
士道は七罪の頬に静かに手を添えて引き寄せ――
「んっ……」
――後ろ向きな言葉を紡ぐ唇を塞いだ。
手の下で七罪が身を強張らせ、唇の隙間から微かな喘ぎを漏らす。
挟み込むように柔らかな唇を奪うたび、胸に心地よい痛みが広がっていく。
その痛みが飢えにも似た感情を満たしていくのを、士道は確かに感じた。
「っ、ふ……ん、っは……」
優しく、解き解す形で唇を重ねていく。
やがて七罪の身体からは徐々に強張りが抜けていった。
そうしてされるがままだった口付けを、控えめに返してくる。
士道の胸元にそっと手を当てて。
「っ! ……ふぁ、あ……ん、ちゅ……」
微かに開かれた小さな歯の隙間。
そこから口の中へと徐に舌を差しこむ。
互いの濡れた舌先が掠めあい、七罪が身体を震わせて竦み上がる。
だが決して嫌がりはしない。
絡めるように舌を蠢かせても、抵抗はしてこない。
むしろ触れる度に身体の強張りは少しずつ解れていく。
やがて緊張も怯えもなく、士道の動きを真似てくるほどに。
どこかぎこちない動きだが、確かに自分から。
「……ちゅ……はっ、む……」
互いに舌を絡ませ、その味わいを心行くまで堪能していく。
舌を痺れさせるのは仄かな甘みを持つ暖かさ。
喉の奥へと流れ落ちるそれは、焼きつきそうなほどに熱く胸を昂ぶらせる。
沸きあがる熱い想いに身を任せつつも、士道は思いやりを持って七罪をベッドに押し倒した。
身体に覆いかぶさるようにして、熱烈に唇を重ねあいながら。
「ちゅ……ぁ、ふぁ……むっ、ぅ……」
もう倫理や道徳といった概念は頭にない。
そんなものは当の昔に興奮で燃やし尽くされた。
ただひたすらに互いを味わい、互いに想いを重ねていく。
計らずもあの時と同じ体位で。
だがあの時とは違う。
自分の欲求を満たすための一方的な口付けとは違う。
今行っているのは互いの欲求を、互いの心を満たすための口付けだ。
「はっ……ふぁ、ぁ……し、士道ぉ……」
存分に心を満たし、どちらからともなく口付けを終える。
舌先から混ざり合った互いの唾液が糸を引き、乱れた呼吸をする七罪の口元に垂れていく。
その翠の瞳に映るのは興奮。
そして同じ感情に染まった士道の表情。
「……分かっただろ? 嫌じゃないって……」
「……うん」
七罪は幸福に彩られた笑みで頷く。
身を持って完全に理解したのだ。
もうここからは、意思の確認は必要ない。
互いが満たされるまで愛し合うだけだ。
心のままに士道はネグリジェのリボンに指をかける。
「っ……だ、だめ……」
解こうとした瞬間顔を背け、七罪は腕で掻き抱くように胸を隠す。
これは先に進むのを嫌がっているわけではない。
自分の胸の小ささを直に見られるのが恥ずかしいのだ。
「……大丈夫だ、七罪。俺はそんなこと気にしないよ」
心の底から優しく微笑みかける。
硬く縮こまっていた七罪だが、やがてその腕から力を抜く。
士道は覆い隠す腕を外してやり、改めてリボンに指をかけた。
小さな擦れ音を立て、リボンを抜き取るように解く。
前開きとなったネグリジェを少しだけ左右に開き、現れたのは脳裏に焼きついた肢体。
月光に照らされ白く彩られた、なだらかな双丘。
その頂上に芽吹き一身に光を浴びる、桃色の蕾。
儚げな魅力を漂わせるその光景は、息を呑むほどに美しかった。
そして羞恥に耐えるよう硬く瞳を閉じ、震えている七罪の姿も。
「……すごく綺麗だ。卑屈になる必要なんて、どこにもない」
「……ほ、ほんと……?」
「ああ。少なくとも俺は、そう思う」
飾らずに正直な思いを伝え、士道は再び七罪に口付ける。
今度はその指を胸元へ伸ばしながら。
「ん、っ……ぁ、はっ……!」
膨らみに指を滑らせ、緩やかに撫でる。
その度七罪は色めいた喘ぎを上げ、触れ合う唇の隙間から吐息と共に漏らす。
耳に届く悩ましい喘ぎと熱い吐息が、士道の全身の血を滾らせる。
今すぐ貪りつきたい衝動を懸命に抑え、少しずつ段階を踏んでいく。
「あっ……! ん、あぁ……!」
撫で方を強く、揉み解す形へ変える。
膨らみは小さくとも、そこには女の子特有の柔らかさがある。
力を入れずとも指は容易く沈み込む。
手を触れるだけで形が変わる。
手の平に伝わってくるのは、至福に満ちた柔らかな感触。
その罪深いほどに素晴らしい柔らかさは、容易く理性を焼き焦がしていく。
士道は口付けを中断し、七罪の胸元に顔を寄せ――
「――っ!? ふぁ、あぁぁっ! んあぁぁぁぁ!」
――その柔肉に食らいついた。
流れる汗に濡れ渡る柔肌は、乾いた喉に刺激的な味わいをもたらす。
自身の胸元を襲う責め苦に、激しい喘ぎを漏らす七罪。
だがやはり抵抗はしてこない。
むしろ士道の頭に手を回し、受け入れるかの如く掻き抱いてくる。
「っはぁ、ああぁぁ! あ、ああぁぁ……」
士道は蜜を集めるかの如く蕾に吸い付く。
だがそれだけでは足らない。
舐りながら舌先で表面を嬲り、もう片方は指先で弄る。
ほんの僅かに弄る度、七罪の身体は何度も引きつる。
その口から上がるのは快感の滲む妖艶な喘ぎ。
それは強く早く、心臓の鼓動を昂ぶらせる。
耳の奥で煩く聞こえるほどに、どこまでも激しく。
「はっ、あぁぁ……あ、ぁ……し、しどぉ……」
存分に心を満たし、顔を上げる士道。
その目に映るのは、蕩けた表情で瞳に涙を溜めた七罪。
呼吸を荒く乱し、僅かに身体を痙攣させている。
恐ろしい程に艶かしさに満ち溢れた姿。
抑え込むことなど不可能な激情に駆られ、レースで彩られた七罪の可愛らしい下着に手をかける。
純白だが部分的に染みのできたそれを脱がし終え、現れたのは脚の根元へ曲線を描く滑らかな肌。
自身も破るように衣服を脱ぎ去り、本能に突き動かされるままその脚の間へ身体を捻じ込む。
「……いくぞ……七罪」
「……っ!」
震えながら小さく頷き、硬く瞳を閉ざして備える七罪。
士道はそれを確認してから、熱く滾った自身の一部を挿し込んだ。
「あぐっ! ひっ、ぐうぅぅぅ! うぅ、ああぁぁ!」
凄まじい締め付けを感じながら、少しずつ奥へと進めていく。
士道の方は強い快感に見舞われているものの、七罪の方はとてもそうは思えない。
食いしばった歯の間から、悲鳴に近い喘ぎを漏らしている。
苦痛に表情を歪めながら、シーツを拳が白くなるほど握り締めている。
「っ! だ、大丈夫か……七罪……」
「だ、だいじょう、ぶ……っ! だか、らっ……つづ、け、て……!」
目尻に涙を溜めながら、精一杯の笑みを向けてくる。
明らかなやせ我慢。
士道に心配をかけないために、懸命に堪えているのは明白だった。
少しでも痛みが紛れるよう、士道は七罪の両手に自らの手を重ねる。
握り返してくるその小さな手には、絡めた指が潰されそうになるほどの力が込められていた。
その痛みを受け止め、七罪を襲う苦痛をほんの僅かに肩代わりする。
「っ、ぐっ! う、うぅぅ……は、あぁ……」
抵抗が感じられる深さまで陰部を沈み込ませ、動きを止める士道。
自身を苛む苦痛が途切れたことから、七罪の痛々しい喘ぎは収まる。
それでも表情から苦痛は消えていない。
士道はその身を気遣い、緩やかに腰を前後させた。
「あっ! ふあっ……あ、あぁぁ……は、あぁぁ……!」
下腹部を突かれる度、七罪の声音が艶めきを帯びていく。
同時に士道も身体の芯から沸きあがるような快感に襲われる。
気を抜くと喘ぎを漏らしそうなほどの熱さだ。
やがて七罪の声音から苦痛が完全に消え去る。
それを確認してから徐々に強く激しく腰を動かしていく。
最早七罪は嬌声を上げ、快感に身を震わせていた。
「あぁぁぁっ! はあぁぁ! んあ、あぁぁっ! し、どぉ! 士道ぉ!」
襲い来る激しさに耐えられないのか、背中に手を回し抱きついてくる。
身体を締め付けるその細い腕は、信じられないほどに力強い。
「ふぁうぅ! ちゅっ、んっ! はっ、むうぅ!」
繋がった状態で熱く抱きあい、更に口付けを求めてくる。
互いに昂ぶった今、口付けは貪るように激しい。
唾液を強引に奪い合い、自らの内へと満たしていく。
「好きぃ……大好き! 大好きいぃ!」
合間にもたらされるのは、七罪の熱い気持ち。
飾りも偽りもない心の底からの言葉。
コンプレックスの塊であった七罪が、包み隠さずに本心を口にしたことが堪らなく嬉しい。
同時にそこまで自分を深く想っていることが、何よりも嬉しかった。
「ああ……俺も好きだ七罪!」
「あっ、はあぁ! 嬉、しい……士道が、私を……好き、って……ふあぁ!」
歓喜に満ちた声を上げ、一段と強く身体を震わせる七罪。
まもなく快楽が極致へ至ろうとしているのだ。
だがそれは士道も同じ。
今にも迸りそうな熱さを、七罪と共に至るため必死に抑え込む。
そうして限界まで互いに快感を高めていく。
限界を迎える寸前、七罪の身体を強く抱き返し――
「くっ、う……七罪!」
「あっ、ああぁ、ああぁぁぁ――ふあああああああぁぁぁ!!」
――渾身の一突きであらん限りの愛情を注いだ。
幸福に染まった悲鳴を上げ、七罪は仰け反るように身体を震わせる。
共に至った、経験したことのない快感と喜びの境地。
士道は冷静になった今、荒げた呼吸と猛る鼓動を整えようとした。
「はっ……はっ……し、どぉ……もっと……もっとぉ!」
だがそれを許さなかった。
蕩けた表情で小刻みに震える腕を伸ばし、士道を求める艶かしい七罪の姿が。
「七罪……七罪!」
「あぁっ……士道! 士道ぉ!」
情熱的に名を呼び合い、士道は再び身体を重ねる。
互いが求めるままに、互いが満たされるまで。
そうして愛と快楽の波の中に、二人で身を投げていった。
「……大丈夫か?」
「……あんまり……正直、身体痛い……」
「やっぱり、少しやりすぎたよな……ごめん、七罪」
互いに心行くまで愛し合い、訪れた平穏の時。
どうやら七罪にはかなりキツかったらしい。
僅かに身じろぎする度、痛みに顔を顰めている。
正直士道も腰の辺りが痛くて堪らない。
だがそれを差引いても、得られたものは途方も無く大きい。
興奮が鎮まり凪ぎとなった胸の中は、溢れそうなほどの幸福に満ちている。
「別に謝らなくて良いわよ。それだけ私のこと、魅力的に思ってくれたってことだし……」
汗の雫が浮かぶ顔に、嬉しそうな微笑みが広がる。
ここまで感情を露にした表情を見るのは初めてかもしれない。
その可愛らしさに、士道は七罪の頭を愛でるように撫でた。
「ん……ふふっ」
くすぐったそうにしながらも、笑みはより嬉しそうな形へ変わっていく。
「なあ七罪……これからも、していいか?」
共に最高の快感と至上の喜びを感じ、互いの暖かい愛情と強い幸せに包まれる。
こんな素晴らしい体験、一度きりにするなど絶対にありえない。
七罪も同じ気持ちだったらしい。
幸せそうに目を細めて頷いてくれた。
「うん……でも、士道こそ良いわけ?」
「まだそんなこと言うのか。もう嫌ってくらい分かっただろ?」
気遣うような瞳で尋ね返してきた七罪に、最早呆れ果てる。
士道が七罪のことを疎ましく思っていないことなど、文字通り身体に教えたはずだ。
ひょっとするとまだ教え足りないのかもしれない。
頑張れば今からでももう少し教えてやれるだろう。
第二回戦を始めることを視野に入れて、士道は七罪の答えを待った。
「そっちじゃないわよ。それはもう、十分過ぎるくらい分かったし……私が言ってるのは、士道の体裁とか、世間体とかのことなんだけど……」
「ああ何だ、そういうことか……」
七罪の優しさに感銘を受けつつ、身体から力を抜く。
今更そんなことを気にしても仕方ない。
既に後の祭りなのだから。
「どうせもう落ちるところまで落ちたしな。もう気にする必要なんてないだろ」
「完全に開き直ったわね。いっそ清々しいくらいに……」
「ちょっ、何で引き気味なんだよ……」
若干軽蔑を湛えた冷たい瞳を向けられる。
そんな反応をされても事実なのだから仕方ない。
一回だろうと千回だろうと、どうせ同じ罪なのだから。
まあ七罪も本心から軽蔑したわけではないらしく、すぐに微笑みを戻した。
「……して良いから、私といっぱいデートしてくれる? 一緒にいて、抱きしめたり、手を繋いだり、キスしたりしてくれる?」
「……ああ、分かった。約束する」
わがままとも言える頼みごとに、士道は二つ返事で答えた。
全くと言って良いほど頼みごとなどしてこなかった七罪が、こんなあまりにも自分の気持ちに素直な願いを口にしたことが、何よりも嬉しかったから。
「絶対よ? 破ったら小さな女の子に乱暴したって、警察に通報してやるから」
「お、おい……それは洒落にならないぞ。本当に捕まるかもしれないだろ……」
「絶対捕まること、いっぱいしたでしょ……ロリコン。変態」
言葉とは裏腹に暖かな瞳を向けてくる七罪。
やはり嬉しいのだろう。
変態やロリコンかはともかく、自分にそれをしてくれたという事実が。
それほどに自分が愛されていることが。
「……分かったよ。破らなければ良いんだろ? ほら」
頷き、士道は七罪の小柄な身体を抱き寄せる。
裸の肌から伝わる温もりは、言い様のない安心感を覚えさせた。
「ん……もっと、強くしてよ……」
「ははっ、やっぱり意外とわがままだな。これで良いか?」
「っ……うん……」
自身の身体に押し付けるような強さで抱きしめると、七罪は幸せそうな吐息をもらした。
恐らくは疲労と安心感からなのだろう。
胸に顔を埋めるようにして、すぐにまどろみ始める。
「……おやすみ、七罪」
「うん……おやすみ……士道……」
それだけ口にして、糸が切れたように眠りに落ちた。
士道も後を追おうと目蓋を閉じる。
「っ! あ、危ねぇ……」
しかしその寸前で何とか思いとどまった。
目覚ましをかけずに眠りにつくのはマズイ。
もしも家に士道の姿がないことを琴里に気付かれれば、この事態が発覚する可能性がある。
目覚ましをかなり速くセットしてから、士道はほっと一息つく。
腕の中に視線を落とすと、七罪はまだ眠ったままだった。
気持ちよく眠っているところを邪魔せずに済んだらしい。
その代わり微かに身じろぎして、胸に耳を押し当てるような格好となった。
慌てたことで強く速まった士道の鼓動を、子守唄のように聞いているのかもしれない。
「おやすみ、七罪……」
微笑ましさに笑みを零してから、士道も意識を睡魔に委ねていった。
睡眠から目覚めたばかりの頭で冷静に思い返してみると、あの夜の営みはお世辞にも上手いものとは言えないだろう。
士道は欲望に突き動かされるままの行為しかしていない。
七罪は満足していたようだが、これからも情事を重ねるのだからある程度の技術や知識は身につけておくべきだろう。
七罪の頭を撫でながら、士道はそんな結論を出した。
目覚ましは鳴ったものの、ある程度早めの時間にセットしてある。
まだ時間には余裕があるので、服を着た士道は七罪の寝顔を見て過ごすことにした。
満たされたような幸せな寝顔が、こちらへ向けられている。
激しい夜を過ごしたせいなのか、単なる寝癖なのかは分からないものの、髪は相当に乱れている。
しかしその肌は妙に綺麗だ。
化粧品の類で誤魔化せるレベルではないほどに。
女の子は恋をすると綺麗になると言うが、ここまで綺麗になるのだろうか。
七罪の乱れた髪を直すように撫でながら、何となくそんなことを考えていた。
「……う……んっ……」
やがて感触に気づいたのか、七罪が身じろぎして目蓋を開く。
「おはよう、七罪。身体は大丈夫か?」
尋ねると、何が何だか分からないという顔をされた。
まだ覚醒しきっていないのか、少しぼんやりした瞳をしている。
その瞳で士道を一瞥してから、シーツに覆われた自身の身体を見下ろす。
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「うおおおおおぉぉぉぉ!?」
一拍置いて突然悲鳴を上げられ、士道も驚きの声を上げた。
七罪は物凄い速さでシーツを手にすると、自身の身体を隠しながら半身を起こして後ずさった。
火が出そうなほどに顔を赤くして、今にも失神しそうなほどに混乱しながら。
「な、ななななな!? な、何で士道、私の部屋に!? それに何で、何で裸なわけ!? ていうか私もはだ、はだ……!?」
「お、落ち着け七罪! 昨日のこと思い出せ!」
「き、昨日!? 昨日、昨日、きの、う……あっ」
ようやく思い出したのか、空気が抜けるように七罪は大人しくなった。
どうやら頭がぼんやりしていたせいで、記憶が混濁していたらしい。
「そ、そっか……私、士道と……」
納得した呟きを漏らすものの、顔は相変わらず赤いまま。
まあ冷静になった頭で昨夜の行為を思い出せば、女の子としては当然の反応かもしれない。
「お……おはよう……士道……」
それでも躊躇いがちにこちらを見据え、口を開いた。
別に今更恥ずかしがる必要もないと思うのだが、そこはたぶん乙女心というやつだろう。
どのみち士道には理解できないが。
「ああ。おはよう。まだ身体痛むか?」
「ん……まだ、ちょっと……」
思い出したように顔を顰める七罪。
しばらくベッドから動かさず、安静にさせるべきだろう。
とはいえあれだけ無理をさせたのだ。
空腹や喉の渇きは相当なものに違いない。
「ならそこでしばらく休んでろよ。今何か食べ物とか持ってきてやるからな」
「ま、待って……」
ベッドから腰を浮かせた途端、服の裾を引っ張られて再びベッドに座らされる。
見れば七罪は羞恥に染まった顔で視線をそらしていたが、やがて半眼でこちらに向けてきた。
「そんなのいいから……もう少し、傍にいてよ……」
たったそれだけの願いを、控えめに口する七罪。
士道の前でコンプレックスを抱かなくなったとはいえ、基本的な性格はあまり変わらないようだ。
まあ、ある意味七罪らしいと言うべきだろう。
「……ああ」
士道は苦笑しつつも、七罪の身体を後ろから抱き寄せた。
シーツの上からなので温もりはあまり感じられない。
それでも七罪を抱きしめているという事実に胸が暖かくなってくる。
七罪も同様にその暖かさを感じているらしく、腕の中で身を委ねるように身体の力を抜いていた。
「……士道」
「……ん?」
囁くような声で名を呼ばれ、士道は穏やかに尋ねる。
「……大好き」
そう口にした七罪は、決して自分から離れようとはしなかった。
どうだったでしょうか。
一応エロくしようと色んな意味で頑張ったんですけど……。
ちなみに情事を行う話では毎回こんな雰囲気(?)だと思います。
まあ、ある種のプレイとかは当てはまらないかもしれませんが。
念のため言っておくと、作者の性癖は(ロリコンを除けば)基本的にノーマルです。
あとタグに付けていませんでしたが、割と不定期更新です。
更新停止期間の執筆状況の進捗はどれくらいの頻度で活動報告に載せるべきか
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1ヵ月
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2ヵ月
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3ヵ月