※この作品はR-18です。

士道クリミナル   作:サイエンティスト

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 蓮ディストピアや神獄塔メアリスケルターFinaleなどをプレイしていたのでだいぶ間が開きました。蓮ディストピアは七罪が出たのは大変喜ばしいですが、恋愛エンドじゃなかったのが残念。まあ恋愛エンドだったら私の心は満たされてもうこのSSを書く気力も無くなっていた可能性がありますがね……。


〇琴里メイドプレイ

「なぁ、耶倶矢。急かす気はないけどそろそろそこから出てきてくれよ? じゃないと……始められないだろ?」

 

 お互いの間を塞ぐ扉を目の前に、士道は優しく語りかける。

 鍵はかけられていないからその気になれば中に踏み込むことはできる。ただし耶倶矢は自分の意思でこの部屋の中に逃げ込んだのだ。幾ら士道のマグナムがフル装填で得物を求めているとしても、無理やり入っても良い結果にならないのは明らかであった。

 

「し、士道……でも、私、怖くて……」

 

 部屋の隅に背を預け、縮こまるように動こうとしない耶倶矢。

 怖い気持ちは士道も良く分かった。もし士道のテクニックが耶倶矢に劣っていたら、悲惨な結末を迎えるのは士道の方なのだから。場合によっては顔を合わせた瞬間に結末を迎える可能性もあり得る。

 

「大丈夫だって、俺が優しくリードする。ちゃんと優しく、一発で終わらせてやるから――」

 

 しかしそれでも顔を合わせなければならない。何故なら士道と耶倶矢は――

 

――いい加減トイレに篭城するの止めて戦えよ、耶倶矢! これがFPSの戦い方なのかよ!?」

 

 ――かなり古いFPSゲームで、対戦の真っ最中なのだから。

 

「くっくっく、これも立派な戦術のうちよ。我と戦いたければ正面から踏み入ってくれば良いではないか。特別に素手で相手をしてやろう!」

 

 士道のおふざけに乗ってくれていた耶倶矢だが、それを止めたことでいつもの口調に戻る。ついでに耶倶矢はキャラクターの武器を切り替え、本当に素手に変更した。士道はマグナムを装備したままなのでこれはチャンスと言える。

 

「お前が素手でも後ろの機銃が容赦なく撃ってくるだろ! あと扉にめいいっぱいセンサー爆弾設置してやがるし!」

 

 とはいえそれはトイレに無事に入れたら、そして入った後に耶倶矢のキャラクター目掛けて乱射するまで士道のキャラクターが生きていればの話。奥の壁に敵を自動で攻撃する機銃が設置されている上、扉を開けようと近づいた瞬間に爆発する位置にセンサー式爆弾が設置されていてはまず無理である。

 

「入れるものなら入ってみるが良い、士道! 女子トイレという禁断の園に男が足を踏みいれればどうなるかをとくと教え込んでやろうぞ!」

「指摘。そこは男子トイレです、耶倶矢」

「……あっ!」

 

 ぼそりと夕弦に指摘され、耶倶矢は罰が悪そうに顔を赤く染めた。

 ちなみにこのゲームは現在二対二のチーム戦を行っている。士道と夕弦、耶倶矢と七罪がそれぞれチームだ。トイレの中と外で睨み合っている士道たちは膠着状態のままで面白みの欠片も無い状態だが、チームメイトたちの戦いはなかなかに白熱していた。

 

「うわっ!? わわっ!? ちょっ、何で斜め向いて走ってるのにこっちより早いわけ!?」

「伝統。大昔から伝わる由緒正しき高速走行方法です。ぱーんち」

「あぁぁぁぁぁぁぁっ!? 結局素手でやられたんだけど!?」

 

 ただし、ほぼ一方的な形で。必死に逃げる七罪のキャラクターを夕弦のキャラクターが斜め方向を向きながら高速で走り、的確に頭部を殴打して行くという謎すぎる戦いがそこにあった。しかも結局素手でノックアウトしたらしい。

 

「なあ夕弦、結局これどうすれば良いんだ?」

「返答。放置安定です。士道も二枚目の扉の外側に爆弾を設置してください。そうすれば耶倶矢は出て来れません」

「なるほど。誘爆させられないようにちょっと離した方が良さそうだな。この辺か?」

「あっ!? ちょっと、何すんのよ!? これじゃ出れないじゃん!」

 

 封じ込められた耶倶矢が素を出して怒るも、最早手遅れである。完全に篭城が仇になり、トイレから一歩も出られなくなっていた。まあリスポーン覚悟でやれば出られるが、まだその覚悟はないようだ。

 

「投獄。これで耶倶矢は男子トイレから出られません。あとは二人で七罪をハンティングしましょう、士道」

「ひ、ひいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

 

 リスポーンした七罪のキャラクターを追い掛け回しながら、そんな酷い提案をしてくる夕弦。可哀想だがこれは戦いな以上、何も間違ったことは言っていない。戦力の分断と一点集中は実に戦略的なやり方だ。

 

「よーし、覚悟しろよ七罪――っと、その前に……」

 

 自分も七罪のキャラクターを追い回すことに決めた士道は、改めてコントローラーを構える。しかし白熱した戦いを続けているせいか緊張で喉が渇いてきており、水分補給をしたい気分になっていた。

 こういった場合は一瞬だけコントローラーから手を離して飲み物を素早く呷るか、ポーズをかけてその間に飲むかする場面だ。ただし前者の方法では飲み物をゆっくり味わえないし、後者の方法では他のプレイヤーに迷惑となる。なので選ぶのなら間違いなく前者の方法しかない。

 

「何だか喉が渇いたぜ。なあ、飲ませてくれよ? 俺は今手が離せないからさ?」

 

 だがそれは自分の手で飲む場合の話。今現在の士道にはその必要は全くなかった。何故なら命令染みたお願いを口にすれば、すぐに士道の口元にコップがあてがわれるから。

 

「……どうぞ、横着者のご主人様?」

 

 かいがいしくコップを差し出している人物の手を辿って視線を向けてみれば、そこには心底嫌そうに眉を顰めた琴里の姿。そしてその口から零れ出たのは嫌味と軽蔑に溢れていることを除けば、まるでメイドが主人にかけるような言葉だ。

 そしてこの場に限ってはまるでではなく、事実そうであった。今の琴里の姿は正真正銘メイドさんのものなのだから。

 琴里の二面性を表現したような黒と白を主体とした、ゴシック調のメイド服。もちろん可愛らしさを忘れることはせず、所々が赤のリボンで彩られている。スカートは長くふんわりとしており、どちからかと言えば身体のラインを見せないタイプのものだ。普段と変わらず髪は二つのリボンでツインテールにしているが、そのリボンの色が黒のためかヘッドドレスやグローブは白。もう少し可愛らしさを追求しても良いかもしれないが、大人な雰囲気のあるメイド服は大人びた琴里に非常によく似合っていた。

 

「――ぐほっ!? や、やめろ、琴里! 誰が鼻から飲ませろって言った!?」

「あら、ごめんなさい。口から飲ませろとも言われてなかったから、どっちにすれば良いか分からなかったのよ。ダメなメイドでごめんなさいね?」

「こ、この……!」

 

 ただし、今の琴里は黒琴里。見た目がメイドでも従順であるわけもなく、執拗な嫌がらせを働いてくる。見下すような笑みを零す様は明らかにメイドのそれではなかった。

 

「……これって罰ゲームでメイドなんかやってるのよね、七罪?」

「え? あ、うん。まあ、そんなところ」

「指摘。普段とあまり変わらない気がします」

「まあ、そう見えるわよね。少なくとも表面上は……」

 

 隣で夕弦と耶倶矢に答える七罪は、どこか複雑そうな顔で言い淀む。

 実際七罪の答えに間違いはない。間違いはないが、口に出せない真実がある。だからこそ七罪は口に出せずにぼかしてしまっているのだ。

 

「……まあ、そうだよな。ちゃんと口から飲ませろって言わなかった俺も悪いからな。今回は許してやるよ、琴里?」

「――っ! そ、それは、ありがたいわね。他に用事が無ければ、わ、私は、元の仕事に、戻らせてもらうわ――ぅ!」

 

 士道が優しく声をかけると琴里は弾かれたように身体を震わせ、顔を赤くしてキッチンの方へと足早に去っていく。不自然に息を切らして、小さな喘ぎを零しながら。

 

「……ド変態」

 

 全てを理解している七罪は、蔑むような目を向けると共に士道にしか聞こえない声で罵ってくる。何のことを言っているのか分からない士道は、何食わぬ顔でゲームに戻るのだった。

 ポケットに忍ばせているとある玩具のリモコンを弄っていた手で、しっかりゲームのコントローラーを握って。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そもそも何故義妹とのメイドプレイに勤しんでいるのか。始まりは昨夜まで遡る。

 その夜は恐らく、琴里にとっては何も変わらないいつもの日常だっただろう。しかし士道にとっては違う。小生意気で天邪鬼な義妹に対してどのような罰ゲームを下すかが決定された、記念すべき夜だった。

 

「琴里、お前への罰ゲームが決まったぜ?」

 

 それを伝えるため、あえてノックもなしに琴里の部屋へと踏み入る。

 ベッドに寝転がり携帯を弄っていたパジャマ姿の琴里は黒琴里。礼儀を無視した行為に軽蔑の眼差しを浮かべるものの、次の瞬間には士道の発言を耳にして怪訝な顔をしていた。

 

「罰ゲーム? 一体何のことかしら?」

「しらばっくれても無駄だぞ。お前だってちゃんと覚えてんだろ?」

「……ちっ、分かってるわよ。全く、あのまま忘れてしまえば良かったものを……」

 

 さすがに誤魔化せないと思ったのか、心底嫌そうな顔をして身体を起こす。

 罰ゲームとは琴里と初めて愛し合う時、お互いに結んだ賭け事の代償のことだ。琴里はあの時、自らを屈服させることができたなら何でも一つだけ士道の命令を聞く、という約束を結んだ。例えそれがどんなに下種で屈辱的な命令であろうとも。

 幾ら表面上は大人ぶって余裕があるようにも見えても所詮は経験のない生娘。対して士道は経験を積み重ねてきた歴戦の猛者。多少手こずったものの琴里はあっさり屈服したために、勝負は士道の勝利となった。

 それによって得た何でも命令できる権利は最近まで忘れかけていたものの、思い出したからには無視することなどできない。しっかりと琴里を辱め、なおかつ自分が楽しめるような内容がついに決定したため、士道はそれを伝えに来たわけである。

 

「それで? あなたはいたいけな妹にどんな非人道的でアブノーマルなプレイを課す気?」

「まあ心配すんなって。さすがにそこまでのプレイじゃねぇよ。ただ明日一日、俺のメイドになってもらうだけだからさ。もちろんメイド服を着て、メイドらしく俺をご主人様って呼んで、だぜ?」

 

 そう、士道が考えたのはメイドさんによるご奉仕である。高圧的で人に命令を下してばかりの黒琴里をメイドに落とし、立場を普段とは逆にして色々と分からせてやるつもりだ。

 本来なら一日ではなく一回だけの命令なのだが、そこは以前に琴里から了承を得ている。映画館で四糸乃を辱めることを強要された苦い思い出は決して忘れない。

 

「メイド、メイドねぇ。どうせその晩は私に奉仕させるのが目的なんでしょう? 四糸乃と七罪にされるだけじゃまだ足りないのかしらね、このケダモノは」

「まあお前には一度もされてないしな。だからこういう時くらい望んだって罰は当たらねぇだろ。まあ、もちろん――その程度じゃ済まさねぇけどな?」

 

 相手が件の四糸乃や七罪ならともかく、琴里だ。奉仕させるだけで済ませる気など毛頭なかった。

 そもそもあの二人は一生懸命に胸や口を使って精いっぱいに健気な奉仕をしてくれるのだが、琴里はそういった行為を一度もしていない。琴里がするのは白でも黒でも決まって士道の上に乗り、極限まで絞りとることだけである。それもある意味奉仕なのかもしれないが、二人に比べると若干というか果てしなく情緒が足りない。

 

「メイドとして性的な奉仕をさせるだけじゃ飽き足らないなんて、一体その中身の詰まってない頭の中でどんな卑猥な妄想を繰り広げているのか、是非とも知りたいところね」

「そんなに知りたいなら教えてやるよ。お前にはメイドとして過ごしている間はこれを身体に仕込んでもらうからな?」

「……なるほど。どうやらあなたは私が思っていた以上に下種な男だったみたいね」

 

 士道が取り出したものを目にして、琴里の視線がいっそう冷ややかなものとなる。

 まあそれも仕方のないことだろう。何故なら士道が取り出したのは振動によって快感を与えるための大人の玩具なのだから。しかも七罪に使用したような有線式ではなく、無線式の幾らでも悪用できそうなタイプ。ただ大人の玩具ということを考えればむしろ悪用することこそが正しい使い方なのかもしれない。

 

「褒めてもらって嬉しいぜ。心配しなくても四六時中電源入れっぱなしにはしねぇから安心しろよ。スイッチはこっちで管理するけどな?」

「……まあ、いいわ。あなたが発情期の猿みたいなケダモノだってことは以前から分かっていたことだしね」

 

 こんな下種な命令をされたにも拘わらず、余裕の笑みを以って答えてくる琴里。その理由を何となく察した士道は当然ながら逃げ道を塞ぐことにした。

 

「あ、言っとくけど白リボンに変えるのは無しだからな」

「なっ!?」

「じゃなきゃお前は喜ぶだけで罰ゲームになんねぇだろ。ま、心配すんなよ琴里。黒リボンのお前でも喜べるくらいにたっぷり辱めてやるからさ?」

「くっ……覚えてなさいよ、士道……!」

 

 素直に快感と責め苦を楽しめる白リボンの琴里になることを禁止され、今度は余裕のない悔しそうな顔をする琴里。

 一定ラインを過ぎれば黒琴里も同じように素直になるものの、そこまでは恥辱と屈辱をたっぷり噛みしめなければならないのだ。七罪ほどではないが本当に難儀な性格の持ち主である。

 

「ははっ、それはこっちの台詞だぜ! 映画館なんかで四糸乃にあんなことさせた恨み、存分に晴らさせてもらうからな!」

 

 しかしだからこそ存分に楽しむことができる。

 徹底的に恥辱と屈辱を味わわせることを心に決めた士道は、抑えきれない愉悦を笑いにしながら琴里の部屋を後にするのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな過程を経て、現在に至る。

 自分から言い出した罰ゲームなせいか琴里はしっかりとメイド服を着用しており、士道に対してもメイドらしくモーニングコールを行ってくれた。抜き打ちで振動を最大にして大人の玩具を動かしたところ、胸と両足の間を押さえながらその場に崩れ落ちたほどだ。しっかりと玩具も装着しているようで何よりである。

 

「帰宅。ではお邪魔虫は退散します。士道は琴里と仲良くメイドプレイに励んでください」

「いや、メイドプレイって……あくまでもただの罰ゲームだからな?」

 

 ただし事情を知らない夕弦たちにはあくまでもただの罰ゲームとしか思われていないし、真実を伝えるわけにもいかない。とはいえしっかり的を射ているのが非常に恐ろしかった。実際これは正に禁断のメイドプレイなのだから。

 

「ククク、主人と従者の禁断の愛というやつか。しかしてその真実の姿は兄と妹……狂おしいほどの背徳に溢れた罪深き遊戯、断罪されるに相応しき所業であるな」

「は、ははは。そ、それほどでもないぜ……?」

 

 無駄にカッコいいポーズを取りながらいつもの調子で口にする耶倶矢であるが、今回に限っては何一つ間違ったことは口にしていないのがまた不思議だ。正直琴里だけでなく四糸乃や七罪にも色々とやらかしている士道は、真面目にそろそろ断罪されてもおかしくない気がした。

 

「翻訳。『私も士道とメイドプレイしてイチャイチャしたいのにずるい!』だそうです」

「ちょっ!? べ、別にそんなこと思ってないし!」

「訂正。『私も士道とメイドプレイしてエッチなおしおきをされたいのにずるい!』だそうです」

「だ、だからそんなこと思ってないし! 本当は夕弦がそういうことしたいんじゃない!?」

「心外。夕弦はそんなことは思っていません。士道と耶倶矢と一緒にメイドプレイをして、士道と一緒に耶倶矢にエッチなおしおきをしたいと思っています」

「完全に予想の斜め上だったんだけど!? えっ、ていうか本当にそんなこと考えてんの夕弦!?」

「黙秘。ではさらばです。シュタタタ」

「あっ、逃げた!? ちょ、待ちなさいよ夕弦!」

 

 しかし士道の内心や事情を知らぬ二人は、完全にいつも通りのかけあいをして風のように去って行った。

 精霊たちと過ごす日々はとても穏やかで楽しいものなのだが、ふとした瞬間に琴里たちとの関係を匂わせてしまいそうになるので気を付けなければいけないのが困りものである。全員とは行かないまでも、そろそろ少しずつ事情を明かしていくべきなのかもしれない。

 

「……何か嵐みたいに去ってったな。いや、あの二人なら当然か」

「上手いこと言ったぜみたいな顔したいんだろうけど、図星突かれたり変な想像したせいで顔赤いわよ」

「し、仕方ねぇだろ? ぶっちゃけプレイなのは事実だし、夕弦と一緒に耶倶矢を苛めるのも楽しそうだなぁって思っちまったんだから」

「知ってたけどやっぱドSね、こいつ……」

 

 夕弦の言葉に覚えてしまった興奮が顔の色に出ていたようで、七罪にジトっとした目で指摘される。

 蔑みの視線を向けられているが、ドSの士道としては実に心惹かれる展開だったのだから仕方ない。できることならいつか美九と一緒に七罪をたっぷりねっとり愛していやりたいと思っているくらいなのだから。

 

「ドSなのはもう否定できねぇけど、琴里には負けるぜ。ま、その琴里は今や俺のメイドになってんだけどな?」

 

 そう答えると共に士道はポケットに忍ばせていた大人の玩具のリモコンを取り出し、これ見よがしにスイッチを入れた。

 

「っ、あ、あぁぁっ……!」

 

 途端に多少離れたところに控えていた琴里が表情を歪め、快感を堪えるように縮こまる。

 八舞姉妹がいた時はほんの数回だけ、それもこっそり隠れてスイッチを入れていたが、今ここにいるのは事情を知っている七罪のみ。隠すことなど何も無かった。

 

「本当悪趣味ね、それ。常時付けっ放しじゃないのが特に……」

 

 七罪も止める気はないらしく、琴里に視線を向けたかと思えば快感に悶える姿を生暖かい瞳で見ていた。琴里と違って七罪は変態ではないので、その瞳に浮かんでいるのは純粋に憐れみや同情の類の感情である。

 

「まあずっと付けたままだと慣れが出てくるってのを誰かさんで学習したからな。あの時はどうもありがとな、七罪?」

「ま、まだ根に持ってるわけ? いい加減許して欲しいんだけど……」

「さすがに俺でもアレは簡単には許せないぞ。送った相手がそれぞれ違う意味で一番知られたくない相手だったのも特にな……」

「っく、うぅぅぅ……!」

 

 強制女体化ファッションショーの撮影会で味わった屈辱を思い出してしまい、そのやり場のない怒りを玩具の振動を強くすることで発散する。

 琴里が苦鳴の声を零してその場に膝をついたがそんなことは関係なかった。どのみち琴里も送られてきた写真をネタに散々からかってきた奴なのだから。

 

「八つ当たりでスイッチ入れてるし……ちなみにどうすれば許してくれるのよ?」

「ん、そうだな。お前も俺の前でファッションショーしてくれるなら考えてやるよ。俺に着せたもの全部お前も着ろ。もちろん大人の姿になるのは無しだぞ」

「ごめん、それは無理」

「お前自分が無理な癖に俺にあんなことしやがって……!」

「ふぎゃっ!? ちょ、やめにゃひゃいよ!?」

 

 迷いのない即答に心底頭に来た士道は、七罪の頬を両手で引っ張って伸ばしてやった。どちらかと言えば痩せ型の七罪だが頬の辺りは幼い少女特有の柔らかさがあり、なかなか気持ちの良い感触であった。具体的には多少は怒りが引いて癒しを得られる程度には。

 

「い、イチャついてないでとっととスイッチを切りなさい! 別に私は何か失敗をしたわけじゃないでしょう!?」

 

 とはいえその間ずっとスイッチを入れっぱなしだったため、玩具でたっぷり攻められている琴里にとっては耐えがたい時間だったらしい。明らかに怒りとは違う理由で顔を赤くしながら唐突に叫びを上げていた。

 しかし琴里は何か勘違いをしているらしい。主人としてメイドの間違いを正すため、士道は多少後ろ髪引かれながらも七罪のもちもちの頬っぺたから手を離した。

 

「何言ってんだ、琴里。別に俺は失敗をした時にだけスイッチを入れるなんて言ってないぜ?」

「な、何ですって!?」

「まあお前が何かメイドの仕事を失敗したらもちろんスイッチは入れるけどな。ただそれ以外の場面でも入れることがあるってだけだ。こんな風にな」

「く、あぁっ……!」

 

 分かりやすくするために更に振動を強めてやると、琴里は噛みしめた喘ぎを零して身を捩る。

 そもそも琴里は意外と何でもそつなくこなしてしまうため、失敗するのを待っていたら日が暮れてしまう。それでは楽しめないのだから、やはり脈絡もなく突然スイッチを入れるべきだろう。特に理由もなく唐突にスイッチを入れられるという緊張感を与えておけば、少しは失敗も多くなるはずなのだから。

 

「ん? どうした、琴里ぃ? ずいぶん気持ち良さそうな声出してんなぁ?」

「うわぁ、すっごいゲスい顔してる……」

 

 士道の指一本で唇を噛みしめ喘ぎを零す琴里の姿が堪らなく愉快で、その愉悦が勝手に表情に出ていたらしい。迸るサディストのオーラにさすがの七罪もドン引きしていた。

 

「っ、く……さ、さすがはご主人様。とんでもないドSだわ。本物の女の身体にしてもらって、あまつさえ撮影会を楽しむ歪んだ性癖を持つに相応しい変態性ね――く、あぁぁっ!

「そこで挑発する琴里も凄いわ。ていうかわざと煽ってんじゃないの……?」

 

 トラウマになりかけている記憶を抉られたため、更に振動を強めて喘がせる。

 黒琴里はドSでありながらドMであるという非常に難儀な性癖の持ち主のため、わざと煽っている可能性もなくはない。尤もある程度のラインを超えるまではMっ気は薄いため、加減を見極めるのが非常に重要である。

 

「まあこいつは最終的には何やっても喜ぶド変態だからな――っと? 誰か来たみたいだな」

「っ、はぁ……はぁ……!」

 

 お楽しみの最中、八舞姉妹が去った玄関の扉の鍵が開けられる音が耳に届く。

 さすがに他の精霊の前で琴里を辱めることはできないため、士道は渋々スイッチを切った。身を苛む快感の嵐から解放され、琴里は肩で息をしながら衣服の乱れを直す。特に長いスカートを気にしているあたり、恐らく下着はすでにぐっしょりと濡れているのだろう。嫌々言いながらもやはりしっかり感じていたらしい。

 

『はーい、士道くん! こんにちはー! 琴里ちゃんとメイドプレイ楽しんでるー?』

「こ、こんにちは、士道さん……」

 

 訪ねてきたのは女神と小悪魔、もとい四糸乃と『よしのん』。

 実は琴里を辱める方法を『よしのん』と相談したため、二人は今回のメイドプレイのことも知っている。もちろん『よしのん』は反対どころか逆にもっとやれと囃し立てたし、四糸乃も特に反対はしなかった。

 ただ大切に扱われている身としては士道からの容赦ない辱めを受ける琴里が羨ましかったのだろう。反対はしなかったがどこか羨望が滲む表情を浮かべていたのを覚えている。これはその内四糸乃にもメイドをしてもらうべきかもしれない。できれば七罪もセットで。

 

「よう、二人とも。もちろん楽しんでるし、手加減するつもりも一切無いぜ。これは散々四糸乃を辱めることをやらせた琴里への仕返しでもあるんだからな」

『そんなこと言ってー、本当は士道くんも楽しんでたくせにー。ねー、四糸乃ー?』

「あ、ぅ、それは、その……」

 

 映画館で受けた辱めを思い出したのか、四糸乃の頬が真っ赤に染まる。しかしどこか嬉しそうな微笑みを浮かべているのが恐ろしかった。案外四糸乃の中では遠慮のない行為と粗雑に扱われる行為の線引きが曖昧なのではないだろうか。

 

「ま、まあその辺は置いといて……とりあえず四糸乃も上がっていけよ。おい、琴里。四糸乃にお茶を出せ」

「ちっ……分かったわよ、ご主人様」

 

 心底嫌そうに頷いてから立ち上がり、キッチンへと覚束ない足取りで歩く琴里。大人の玩具による快楽攻めはなかなか堪えているようだ。

 この調子でたっぷりねっとり虐めて行けば、夜のご奉仕も実に楽しいひと時になることだろう。ポケットの中で再び玩具のスイッチを入れながら、士道は期待を寄せるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、この状況は何?」

「いや、何となく……」

 

 ソファーに腰かけている士道の左隣から、七罪が呆れ果てたような目を向けてくる。

 別に七罪はメイドプレイのことをとやかく言っているわけではない。すでに五河家に移り住んでいるのだから、琴里とメイドプレイを行うことは昨日の内に伝えておいたのだ。七罪が呆れているのはもっと別のことである。

 

『いやいや、分かるよ士道くん。士道くんはそこのメイドさんに七罪ちゃんと四糸乃とイチャつくご主人様の姿を見せつけたいんだよねー?』

「そ、そうなんですか?」

「それも無いとは言えないけど、純粋に二人と触れ合いたいって気持ちもあるぞ。まあ二人とイチャつきたいっていうのが純粋な気持ちって言えるのかは、自信無いけどな」

 

 右隣から疑問を投げかけてくる四糸乃の肩に腕を回し、左隣の七罪の肩にも腕を回して肩を抱く。

 七罪が呆れているのは恐らく今のこの状況のことだ。正面にメイドと化した琴里を待機させ、士道自身はソファーにどっかり腰を下ろして左右に少女を侍らせているこの状況。しかも琴里は身体の数か所に遠隔式の大人の玩具を仕込まれており、士道が肩を抱いている両隣の少女は毎晩のようにその身体を貪ってきた見た目幼い少女たちだ。これでまだ軽蔑の視線ではないあたり、七罪はまだ優しい方だろう。正面のメイドは軽蔑どころか汚いゴミを見るような、メイドとしてあってはならない視線を向けてきているが。

 

「さぞ気分が良いでしょうね。両手に花、それもまだ開花しきっていない青い花を抱えているご主人様?」

「ああ、罪悪感とか背徳感も相まって最高の気分だぜ」

「わっ……!」

「あっ……」

 

 若干頬を引きつらせている琴里に見せつけるように、左右の七罪と四糸乃をぐいっと抱き寄せる。突然強引に抱き寄せられたことで二人は驚きの声を零していたものの、やはり嫌がることはなかった。

 四糸乃はむしろ嬉しそうに微笑みながら士道に身を預けてきているし、七罪も頬は赤いが満更でもない表情である。違うのは眉も引きつらせ始めた琴里だけだ。

 

『いやー、それにしても琴里ちゃんのメイド姿は本当によく似合ってるよねー。でもまー、よしのん的にはその恰好で縛り上げられて鞭で打たれてる姿が一番良く似合いそうかなー』

「お、いいなそれ。縛り方はどんな風にするのが良いと思う?」

『んー、ここはやっぱり万歳させて腕を頭の上で縛るのが基本じゃないかな。そのまま宙づりにすると一層捗りそうだよねー? ぬふふふ……』

「なるほどな。それもなかなか楽しそうで悩むところだぜ……」

 

 今夜はメイドな琴里に奉仕してもらう予定だったのだが、それはそれで非常に楽しそうだ。メイドに奉仕してもらうか、それともメイドを調教するか。こんな機会は多くないので非常に悩ましい。

 

「士道、前から思ってたけどあんた絶対碌な死に方しないわよ?」

「そんなこともう分かってるって。どうせ碌な死に方しないなら今を楽しんだって良いじゃねぇか。こんな風に」

「く、あぁ……!?」

 

 どうせもう冥府魔道に半ば以上落ちている士道だ。遠慮なくポケットから大人の玩具のリモコンを取り出し、スイッチを入れて琴里を喘がせる。

 目の前でいとも容易く行われる外道行為に七罪は最早何も言わなかったが、どうやら四糸乃は違うようだ。唇を噛みしめて快感を堪える琴里の姿をしばし眺めると、士道の方に視線を向けてきた。 

 

「あ、あの、士道さん。私も士道さんのメイドさんになったら、琴里さんと同じような目に合うんですか?」

「えっ、そんなわけ……い、いや。まあ、その可能性はあるな。うん」

 

 反射的に否定しかけるものの、最近の四糸乃の行動理念や目的を思い出したためにぼかしておく。何か間違っている気もしないが、四糸乃はそういった仕打ちを期待している節があるのだ。

 

「そう、ですか……」

 

 予想通り、どこか安心したような表情で頷いている四糸乃。これはやはり四糸乃とメイドプレイをするなら同じように大人の玩具を仕込まなければならないのだろうか。琴里相手には毛ほども罪悪感が湧かない士道も、さすがにそれは考えるだけで胸が痛くなってきた。

 尤も同時に強い興奮も覚えているあたり、やはり七罪の言う通り碌な死に方はしないのかもしれない。

 

「え、マジ? 四糸乃が、あんな目に……ごくり……」

「何興奮してんだよ、七罪……」

「へ!? いや、してないしてない! 疚しいことは一切考えてないわよ!?」

 

 しかしその宣告をした当人がかなりヤバい表情で息を呑んだため、先の宣告の説得力は薄れるのであった。疚しいことを一切考えていない奴は顔を赤くして息を呑んだりはしない。

 

『えー、本当? 四糸乃が快楽に悶える姿を想像してエッチな気分になっちゃったんじゃないー?』

「そ、そうなんですか、七罪さん……?」

「なっ!? ち、ちが――」

「何でも良いから早くそれを止めなさい! は、早く!」

 

 慌てて誤魔化そうとする七罪の言葉を遮り、かなり必死な様子の琴里が声を上げる。やはり朝から何度も何度も刺激を加えられているせいでだいぶ答えているようだ。

 自分で処理することも普段ならできただろうが、生憎と今は士道のメイドとして働いている真っ最中。さすがにそんな暇を与えてやるわけがなかった。

 

「ん? 誰に向かってそんな命令口調してるんだ、琴里? 俺はお前のご主人様だぜ?」

「くっ、あ、あぁ……! こ、こうなったら……七罪! それを奪って、止めなさい!」

「へっ!? あ、は、はい!」

「おっと。考えたな、琴里」

 

 鬼気迫る表情で命じられたせいか、半ば反射的にそれを実行してしまう七罪。確かに今の琴里はメイドなので主人である士道には強く出られないし命令を聞くしかないが、七罪たちは別だ。それに今士道の腕の中にいる二人はどちらかと言えば従順な方である。その二人に助けを求めることで、この状況を乗り切ろうとしているのだろう。

 

「ふぅ、助かったわ……」

 

 スイッチが切られたことで刺激が止み、琴里は安堵の吐息を零して佇まいを直す。

 それでもまだむずがるように身体を気にしているあたり、肉体的には物足りなさを感じているのかもしれない。ならばもっと快感を与えてやるのが優しさというもの。

 大人の玩具のリモコンを手にしている七罪に向けて、士道は『よしのん』と共にスイッチを押せというジェスチャーを無言で送った。

 

「え、えーっと……ごめん……」

「なっ、あっ!? く、うぅぅ……!」

 

 しばし士道たちと琴里の間で視線を揺れ動かしていたものの、最終的にはこちらに傾いたらしい。七罪も一言断ってから申し訳なさそうな顔でスイッチを入れた。そうして琴里は再びその場に崩れ落ちる。

 

「良くやった。それでこそ七罪だ」

『いいねいいね! よしのんもびっくりの悪戯っ子が戻ってきてるよ!』

「何か褒められてんのか貶されてんのか分かんないけど、満更でもない自分がいる……」

 

 『よしのん』と共に頭を撫でてやると、本人の申告通りどことなく嬉しそうな顔をする七罪。

 嫌われたりするのが怖くて鳴りを潜めただけで、七罪は本来は悪戯好きだ。幾ら士道と『よしのん』からプレッシャーを受けたとはいえ琴里にこんな悪戯をするあたり、随分前向きになってきているのだろう。表面的にどんな反応をしていても最終的には琴里は喜ぶと知っているからかもしれないが。

 

「よ、四糸乃! なら、あなたが止めなさい!」

「え? あ、あの……えっと……す、すみません、七罪さん……」

 

 七罪が駄目だと知ったせいか、今度は四糸乃に頼る琴里。やはり気迫に負けたのか四糸乃も七罪の手からリモコンを取りあげた。もちろん奪うようにではなく、あくまでも優しく。

 そうして再びスイッチが切られたことで、琴里は安堵の吐息を零して立ち上がる。朝から何度もこんな調子で攻め立てられて、スカートの下は一体どのような状態になっているのだろうか。

 

「ふぅ……全く、酷い目にあったわ。ありがとう、四糸乃。助かったわ」

「あ、は、はい……」

 

 頷く四糸乃は何やら微妙な顔で手の中のリモコンに視線を注いでいる。わりと悪戯好きな七罪ならともかく、慈愛の女神である四糸乃も同じように琴里に悪戯してくれるかは未知数だ。

 そのため士道は『よしのん』に視線を向ける。返ってきたのは小さな頷き。表情がさっぱり分からないので推測でしかないが、たぶん押せば行けるという意味だろう。そんなわけで士道は再び『よしのん』と共に、押せというジェスチャーを無言で送った。

 

「えっと、その……ご、ごめんなさい……!」

「なっ!? く、あぁぁ……!」

 

 決して短くない時間逡巡していたものの、二人がかりのプレッシャーに加えて七罪もやったという事実が効いたのだろう。四糸乃は謝罪しながらもしっかりとスイッチを押しこむ。

 さすがに四糸乃にまでこんな仕打ちを受けるとは思っていなかったらしく、琴里は驚愕に目を見開きながらその場に崩れ落ちていた。自分でこんな状況を招いておきながら何だが、今日の琴里は散々である。

 

「良くやった、四糸乃! 信じてたぜ!」

『どうしたのー、琴里ちゃん? 何だかとっても気持ちよさそうに喘いじゃってるよー?』

「あなたたち、後で覚えてなさ――っ、うぅぅ……!」

 

 最早味方は誰もいない孤立無援の状態。そんな状態で屈辱と快楽に塗れたメイドプレイを行わなければいけない琴里の心情はどんなものか。ドSの士道としては大変気になる所であった。

 

「あー、どうしよう……ちょっと調子に乗りすぎたかもしんない……」

「わ、私も、そう思います……」

 

 ただ士道のように心が汚れていない二人はそうは思わなかったらしい。快楽に唇を噛みしめて堪えながらも怒りのこもった瞳を向けてくる琴里の姿に、士道の腕の中で心底怯えて小さくなっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それからというもの、士道は心のままに琴里を虐め続けた。あえて高いところの掃除をさせ、スカートの中を覗き見ながら大人の玩具のスイッチを入れたり。少なくとも表面上はメイドに相応しい働きをしている琴里に対し、お尻や太ももを触ったりというセクハラを繰り返したり。

 夕食を終えた頃には士道の数々の仕打ちに七罪が完全にドン引きし、四糸乃が羨望の眼差しを琴里に向けていたが、まだまだ終わりではない。むしろここからが楽しいところである。

 

「それで? 今度はいったい何をこのか弱いメイドにさせる気なのかしら、ご主人様?」

 

 だいぶ夜も更けてきた頃、四糸乃が精霊用マンションに帰り七罪も戦々恐々としながら部屋に引っ込んでしまったため、残されたメイドと主人は寝室(士道の部屋)に移動する。

 余裕綽々な口調で煽ってくる琴里であるが、さすがに朝から度々玩具で攻め立てられたせいか表情には口調ほどの余裕がない。頬も赤くなって息も上がっており、一目で仕上がっていると分かってしまう。

 

「んー、そうだな……」

 

 そんな様子を眺め、士道はこの後の予定を考える。

 欲を言えばまだまだたっぷり攻め立ててやりたいのだが、この様子ではあまり攻めすぎると感情が振り切れて従順で素直になってしまう可能性がある。夜は生意気な琴里に嫌々という感じで奉仕してもらいため、それを考えるとそろそろ控えた方が賢明だろう。

 となるとここは純粋にメイドとして奉仕してもらうべきかもしれない。あるいは普段の琴里がやってくれないようなことか。

 

「……よし。じゃあちょっとマッサージでもしてくれ。最近どうも腰が凝っててな」

「そりゃあ毎晩発情した犬みたいに腰を振ってるんだから当然でしょう。まあいいわ。そこに横になりなさい」

 

 何だかちょっと棘のある言葉を返してくるものの、今の琴里は士道のメイド。別段命令を拒否はせず、ベッドに横になるよう促してきた。

 その言葉に従い士道がうつ伏せになったところで、琴里もスプリングを軋ませてベッドに上がってくる。一瞬激しいモーニングコールが如く士道の上でタップダンスを踊るのではないかと危惧したものの、大人しくマッサージを始めてくれたので一安心であった。

 

「あー、そこそこ。さすが俺のメイド。マッサージ上手いな」

「ふふっ。お褒めに預かり光栄よ、ご主人様?」

 

 意外にも素直、かつ優しくマッサージをしてくれる琴里。強すぎず、しかし弱すぎずの絶妙な力加減によるツボを押さえた揉み解し。これには何だかイケナイお店で変なプレイをさせている気分だった士道も、普通に極楽の気分だ。

 

「……そういえば、何か前にもこんなことあったよな。あの時は俺とお前の立場が逆だった気がするけど」

 

 思い出すのは少し前の、琴里にマッサージを命令された時のこと。

 どうもあの時は士道がやたら七罪に対して極度の興奮を抱く理由や原因、及び他の少女に抱く興奮との違いを確かめるためにやらせたらしいが、その時は意図を全く知らなかった士道にはかなり辛い仕打ちであった。七罪が創り出した特殊なフェロモンによって素の性欲も亢進させられていたのだから、本当に良く耐えられたものである。

 

「ああ、あの時ね。全く、女にあれだけ誘惑されておきながら襲ってこないなんて、ご主人様はとんでもない鈍感だったわね」

「お、誘惑してたってのは認めるのか?」

「勘違いしないでもらえるかしら。あれはあくまでもご主人様が七罪に抱く興奮との差異を確かめるための誘惑よ。別にご主人様の貧相なモノが欲しくて誘惑していたわけじゃないわ」

「へぇ。それが本当かどうかはともかく、あえて言わせてみるのも面白いかもな……」

 

 普段の黒琴里なら口が裂けても言わないだろうが、生憎と今の黒琴里は士道の従順な性奴隷――もとい、メイドだ。命令すれば従ってくれるのは確実である。そしてもちろんゴミを見るような目を向けられるのも確実だ。 

 

「羞恥プレイの強要なんてさすがはご主人様。そのあまりのSっぷりに恐れ入るわ」

「そう言うお前もなかなかのもんだけどな。あー、それにしても良い気持ちだ。このまま眠っちまいそうだぜ……」

 

 口では色々反抗的なことを言いながらも、行動はしっかり命令に従っている。そのためマッサージもとても気持ち良く、士道は軽い睡魔に襲われていた。

 きっとこのまま目蓋を深く閉じれば、極楽気分のまま眠りにつくことができるだろう。非常に魅力的な夢の世界に惹かれ、士道はゆっくりと瞼を下ろし――

 

「――って! もしかしてお前、マッサージで俺を眠らせて今夜をやり過ごそうとしてるんじゃないだろうな!?」

 

 ――寸前で琴里の企みに気が付き、跳ね起きた。

 冷静に考えてみれば琴里がメイドとして尽くしてくれるのは今日一日だけだ。つまり零時を過ぎればメイドではなくなり、士道の命令に従う必要が無くなる。そのため琴里は大変心のこもった優しいマッサージにより、士道を夢の世界に誘って終わりの時が来るまでやり過ごそうとしたのだろう。

 

「……ちっ。そのまま眠っていれば良かったものを」

 

 やはりその考えは正解だったらしい。琴里は士道が跳ね起きる前にひらりと身を翻して床に降り立つと、酷く不快気な表情を浮かべて悪態を吐いていた。従順なメイドと思いきや、その実態はご主人様をさり気なく操る悪女メイド。妹ながら本当に末恐ろしい奴である。

 

「全く、油断も隙も無い奴だな……仕方ない。ちょっと勿体ねぇけどそっちがその気なら今から始めちまうか」

「……ちっ!」

 

 もう夜の営みに入ることに決めた士道に対し、それはもう見事な舌打ちと侮蔑の表情を見せてくれるメイド黒琴里。そんな反抗的な反応を目にすると、堪らなく興奮を煽られてしまうドSな士道であった。やはり妹が妹なら兄も兄らしい。

 

「さーて、まずはどんな風になってるか見てやるか。琴里、スカートたくし上げてパンツ見せてみろ」

「いたいけなメイドが逆らえないのを良いことにこんな不埒な命令を下すなんて、ご主人様は本当に下劣な最低の屑ね。見下げ果てたゲス野郎だわ」

「何とでも言いやがれ。ほら、さっさとやれよ」

 

 メイドとは思えない悪態の数々を零す琴里だが、それはいつものことなので驚くには値しない。そのため士道は容赦なく命令を下し、スカートをたくしあげることを促す。朝からひたすら玩具で攻められた琴里の下半身がどうなっているのかとても気にかかっていたのだ。

 

「はいはい、かしこまりました。人間の屑のご主人様?」

 

 最早兄に向けるものとは思えないほどの軽蔑の眼差しを浮かべながらも、琴里は素直に長いスカートをたくし上げていく。

 両脚を包むソックスがどんどんと露わになっていき、太ももの半ばで微かに肉に食い込むようにして途切れている。なかなかに肉欲をそそる光景だが、士道が注意深く観察したのはそこではない。ソックスと太腿の間に捻じ込まれた複数の大人の玩具と、そこから上に伸びたコードである。

 

「どれどれ……ん? 何か、思ったよりも濡れてないな」

 

 やがて赤色のショーツが露わになったものの、そこに広がっていた光景は予想とは全く異なるものであった。

 確かに大人の玩具から伸びたコードはショーツの下に潜り込んでいるし、布地もしっかり湿っている。しかしただ湿りを帯びているだけだ。最早下着の体を為していないほど濡れているわけではなく、琴里にしては非常に珍しいことだった。

 

「……お前、これ何枚目だ? 正直に言え」

「……………………七枚目」

 

 どうやら下着の体を為さなくなった下着は六枚あったらしい。それなら今、ほどほどに湿っているだけの下着の惨状も納得だ。問題は使用不能になったのが六枚というのは多いのか少ないのかということくらいである。たぶん琴里にしては少ない方だろう。

 

「六枚もダメになるほど濡らしたのか。本当やらしいメイドだな、お前は?」

「仕方ないでしょう? こんな玩具で直接敏感な場所を刺激されれば、誰だって肉体的な反応を催して当然よ。私が嫌らしい女という証明にはならないわ」

 

 などと涼しい顔でのたまう琴里だが、どことなく頬は赤くなっており、呼吸もわずかに荒い。見れば玩具のスイッチも押していないのに、先ほどよりも下着の湿りが広がっている気がした。

 考えてみれば七罪のフェロモンによって性欲が亢進されている士道に素の性欲で渡り合える琴里だ。表面上はまだ反抗的だが朝から数えきれないほど大人の玩具で攻め立てられたことで、すっかり身体は正直になっているらしい。

 

「へぇ、そうか。もう我慢できないだろうしいきなり突っ込んでやろうかと思ったけど、だったらそんな必要もなさそうだな? それじゃあメイドらしくたっぷりご奉仕してもらうぜ、琴里?」

「はいはい、分かりました。屑で下種なご主人様?」

 

 身体は正直に快感を求めているというのに、それを堪えさせてひたすらに奉仕させる。それもメイドと主という関係性を付加したプレイで。

 今夜は実に楽しい夜になりそうだ。興奮に荒く呼気を乱しながらも侮蔑の表情を浮かべる琴里の姿を眺めながら、士道はそう確信するのであった。 

 

 

 





 小生意気な女の子に無理やりご奉仕させるのは大変興奮します。はい。
 次回はもちろんメイド琴里によるご奉仕プレイですね。士道さんのサドっ気が爆発しそうだ……。
 

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