※この作品はR-18です。

士道クリミナル   作:サイエンティスト

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 すべては琴里の心が織りなす綾模様。それを美しいと私は思った(黒白二元琴里論)
 本当は琴里ツインズとかがタイトル的には良いかと思いましたが趣味でこっちにしました。まあ元の元の方でも二元論があるっぽいし、完全に無関係ではないか……。

⋇同一人物が含まれる3P表現あり。意味が分からないって? 私にも分からん……。


▲琴里アヴェスター

 愛するおにーちゃんが自分ではなく自分に変身した別の女の子を激しく犯している光景、というトラウマものの衝撃的な光景を琴里に見せてしまった士道。

 経緯や原因はどうあれとんでもない光景を見せてしまったのは事実なので、その贖罪をすること自体には躊躇いは無かった。例えその内容が『夜に部屋へ来ること』という大雑把で不安を煽る内容だとしても。願いの主がSとMの両方の性癖を併せ持ち、底無しの性欲を持つ痴女の琴里だとしても。

 だから士道は琴里の部屋の扉を開ける前に覚悟は決めていた。いきなり鞭の一撃が飛んで来ようと、鳩尾への蹴りが飛んで来ようと甘んじて受ける覚悟があった。

 

「――ようこそ、士道。義理の妹二人と繰り広げる背徳の宴へ」

「歓迎するぞ、おにーちゃん!」

「……は?」

 

 そのため部屋の扉を開けて目の前に広がった光景と、かけられた歓迎の言葉は完全に予想外のものだった。

 薄暗い部屋の中、ベッドに腰かけ不敵な笑みを浮かべている黒琴里。その装いは学校の制服の上に軍服を羽織っているいつもの姿。ここまでは何も問題ないが、何故か黒琴里の背後には同じく制服姿の白琴里の姿があった。そうして黒琴里に背後から抱き着くような形に身を乗り出し、にっこりと無邪気に笑っている。間違いなく現実なのにありえない光景であり、端的に言って酷い矛盾と違和感を覚えてしまう光景であった。

 

「何を呆けた顔をしているのかしら? まさか妹の顔を忘れたとでも言うんじゃないでしょうね?」

「いや、顔は覚えてるぞ。ただ俺の義理の妹は一人だけだったような気がするんだが……あっ!? さてはどっちか七罪だな!?」

 

 ようやくそこに思い至り、士道は本来ありえないはずの光景を現実として受け入れることができるようになる。

 黒と白の琴里、この二人が同時に存在するなど七罪の手によるものとしか考えられなかった。士道が夢とか幻覚とかを見ていない限りは。

 

「うーん、どうかなー? もしかしたら耶倶矢と夕弦みたいに二人に分かれちゃったのかもしれないよー?」

「おいやめろ。嫌な選択肢を増やすな」

「……まあ、それは極めて特殊な事例でしょうけどね。そう何人もホイホイ分裂されたら困るわ」

 

 恐ろしいことを口にする白琴里にぞっとしてしまう士道と、苦い顔をしている黒琴里。

 もしも琴里が八舞姉妹のように二人に分裂したとしたら、七罪や四糸乃にも可能性がありそうでとても恐ろしかった。少なくとも七罪と七罪お姉さん、四糸乃と『よしのん』に分かれるというのはわりと説得力がある。

 尤もそれはそれで賑やかで楽しそうだと思ってしまう士道もいたのだが。

 

「で、それはともかくこの状況は一体何なんだ?」

「その説明はこっちの私がしてくれるわ。頼んだわよ、私」

「うん! 任されたぞ、私!」

「こいつら狂三みたいなやり取りしやがって……」

 

 私、私と呼び合う既視感のある光景の前に、そんな悪態を吐いてしまう。

 狂三の方は間違いなく同一人物とはいえ、目の前にいる二人の琴里も見た目だけは完璧に同一人物なのだから余計にそれらしい。現状どちらが本物の琴里なのかは分からないが、七罪の演技力はかなり高いためそれが拍車をかけている感じだ。

 

「さて、おにーちゃん。おにーちゃんは私があの光景を見た時、一体何を感じたか分かる?」

「それは……まあ、何となくな……」

 

 白琴里にしては真面目な表情で語りかけられ、罪の意識を覚えながら答える。

 愛する七罪や四糸乃が自分にそっくりな自分では無い男と激しく愛し合っている光景を見れば、士道なら吐きそうになるほどの絶望感を覚えることだろう。精霊なら反転しかねないレベルの衝撃を与えてしまったことは想像に難くない。

 

「さすがはおにーちゃん! そう、私はあの光景を見て……すっごく興奮したのだ!」

「……は?」

 

 だが琴里の答えは全くの予想外であった。ちょっと耳を疑ったがどう聞いても興奮したとしか聞こえなかったし、イラっと来るほど得意げな笑みを浮かべて薄い胸を張る様子は、どう見てもやせ我慢とかそういう類のものではなかった。

 

「最初はちょっと驚いたけど、よく考えたらもの凄く興奮する光景だったんだー。だって黒い方の強い私がおにーちゃんに力づくで押さえつけられて、無理やりいっぱいエッチなことされてるんだもん。その光景を見てたらすっごくエッチな気分になってきて、いてもたってもいられなくなっちゃったの……」

 

 興奮を思い出したようにもじもじと脚を擦り合わせ、頬を赤らめて雌の顔を見せる白琴里。

 用を足したわけでもないはずなのにトイレの水を流したのも、つまりはそういうことだろう。途方もない興奮を抱いた白琴里はトイレに駆け込み、ペーパーが必要になるほど一人で致したに違いない。

 

「琴里、お前……お前っ……」

 

 真実が判明し、そのあまりにも酷い内容と自分の想像との乖離、そして可愛い妹の性癖の歪み加減に士道は頭を抱えてしまう。

 あの場面で混ざろうとしなかった事には一定の評価を下したいが、こうして今二人の琴里を用意している時点でプラスマイナスゼロである。むしろまともな性癖を持つため絶対に嫌がっているはずの七罪を付き合わせていることを考えると普通にマイナスだ。

 

「我が事ながら正直イカれてるって感想しか出てこないわ。どうしてこんなに歪んでしまったのかしらね?」

 

 頭を抱えてその場に膝をついてしまう士道に対し、黒琴里がどこか他人事な呟きを零す。

 この反応からすると本物の琴里は白い方で、黒い方が七罪が変身した姿なのだろう。実際白い方よりは黒い方の琴里の方が、七罪にとっては演じやすいはずだ。平時ならともかく、たっぷり愛し合えば乱れてしまう七罪が『おにーちゃん』呼びを継続できるとは到底思えなかった。

 

「……で、凄く興奮したから今度はちゃんと三人でヤりたいってか?」

「うん! おにーちゃんに犯されるそっちの私を見たいし、私がおにーちゃんに犯される様子をそっちの私にも見てもらいたい!」

 

 僅かな希望を抱いて尋ねるが、返ってきたのは惚れ惚れするほど素直で頭が痛くなるほど捻じ曲がった性癖を反映した言葉。これが愛する妹の口から出ている言葉なのだから、もうおにーちゃんとしては死にたくなるような気分であった。

 

「素直な返事だな、琴里。よし、俺と一緒に病院行こうぜ? 大丈夫だ、俺は毎日面会に行ってやるからな」

「な、なんでー!? というか、もしかしたら私が七罪かもしれないよー!?」

「いや、俺としては絶対お前が本物だと思ってんだけどな……」

 

 泣きそうな顔をして詰め寄ってきた白琴里を受け止め、黒琴里に視線を向ける。バラしていいというお達しは受け取っていないのか答えは返ってこなかったものの、肯定するように深く頷いたのを士道ははっきりと見た。

 

「そもそも七罪は何でこんな馬鹿みたいな事に付き合ってんだ? 嫌なら嫌って言っていいんだぞ。こいつの歪みまくった性癖になんてついていけないだろ?」

「そうね。確かに嫌そうではあったけど、計画を邪魔されたことに対する私の報復が怖かったんでしょうね。どこか怯えながら――いえ、とても素直に頷いてくれたわ」

「ああ、そういう……」

 

 七罪視点ではなく黒琴里視点で語られるため把握に若干時間がかかったが、要は琴里の報復が怖いから付き合うことにしたらしい。確かに媚薬を使って色々画策していた琴里としては、七罪に邪魔された形になりあまり面白くない結果だろう。その結果でとんでもなく興奮して一人で致しまくっていたのはともかくとして。

 

「もちろんあなたが報復を止めろと言っても、止める気は一切無いわ。力づくだろうと何だろうと、その場限りの嘘で誤魔化すに決まってるじゃない。私の邪魔をした者にはそれなりの制裁を加えなければ示しがつかないでしょう?」

「そうそう、悪いことしたら罰が当たるんだぞー?」

 

 例え士道が報復を止めさせても琴里の事だから絶対に止めない。安全の保障が無いから従う。そんな意味合いであろう言葉を黒琴里として口に出す七罪(恐らく)に、その考えで間違いないとでも言うように白琴里が頷く。

 これでは士道が何を言っても怖がっている七罪は止めることはないだろうし、士道が何をしても琴里は報復することを決めているはずだ。結局七罪も士道もこのイカれた性癖のプレイに付き合わなければならないようだった。

 

「はぁ……本当ごめんな、七罪。こんなイカれた事に付き合わせて。後でちゃんとお詫びをしてやるからな」

「おにーちゃんも納得してくれたみたいだね。それじゃー、私たちの戦争を始めよー!」

「本当、何でこんな事になったのかしらね……」

 

 性癖の捻じ曲がった妹のおかしなプレイに七罪を付き合わせることに対する罪悪感に沈む士道。そんな士道の腕を引っ張り、嬉々としてベッドに導く白琴里。そして若干七罪自身が出ているように思える感想を零す黒琴里。

 三者三様の想いを抱える中、極めてアブノーマルな夜の営みが幕を開けるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……ちゅ……ぁ、ふあぁ……!」

 

 薄暗い部屋の中に響く、悩ましい喘ぎ声と水音。それはもちろん士道が愛する少女と熱く口付けを交わしているが故の喘ぎと音だ。

 ただしそれらは一対一の口付けで織りなされる音色であり、今士道の膝に乗って両手両足で抱き着きながら熱烈な口付けを行っているのは白琴里だけであった。黒琴里こと七罪は何故かその様子を隣で見せられており、酷く冷めた表情をしていた。

 

「で、一体私は何を見せられているのかしら?」

「えへへー。それはもちろん、私がおにーちゃんとあつーいキスをしてるところだよ? 私の事だから羨ましくてたまらないでしょー?」

 

 素直に答えたかと思えば白琴里はもう一度士道と唇を重ね、お互いの唾液を塗した舌同士をたっぷり絡めてから唇を剥がす。当然そうなればお互いの舌先から銀色の糸が引き、深く激しい口づけをしていた事実をこれでもかというほど主張する。

 白琴里的にはこの光景を見せて、黒琴里の嫉妬を煽るのが目的なのだろう。確かに黒琴里なら表面上はともかく、内心では嫉妬を抱えてもおかしくない光景だ。

 

「いえ、別に。捻じ曲がった性癖持ちの私と一緒にしないでくれるかしら? 不愉快だわ」

 

 ただしここにいるのはあくまでも七罪が変身した黒琴里。だからこそ返ってきた言葉は嫉妬など微塵も感じられないひたすらに冷たいだけの罵倒であった。

 口調や態度から頑張って黒琴里を演じているのが伝わってくるものの、さすがに闇が深すぎる上に面倒くさい琴里の心までは演じ切れていないようだ。そもそも嫉妬深い琴里とわりと寛容な所のある七罪では演技の相性が悪すぎる。

 

「ふーん、そういうこと言うんだー? よし、おにーちゃん! 生意気な私を一緒に苛めちゃおう!」

「……そういうわけだ。悪いな、琴里?」

「……っ!」

 

 しかしそんな黒琴里の反応をいつものツンデレだと思うことにしたのか、むしろノリノリで提案をする白琴里。

 正直あまり気が乗らなかったがヤバい薬でその気にさせられても困るので、仕方なく黒琴里の腕を掴むとそのまま抱き寄せてベッドに引き倒す。士道に正面から押し倒された形となるため、さすがにこれには七罪の演技も鈍るのではないかと思ったのだが――

 

「ふぅん? 二人がかりで私を攻めるだなんて、あなたたちは随分と自分に自信が無いのね? 一人じゃ私をイかせることもできないの?」

 

 そこは演技派の七罪。むしろ正に黒琴里のような余裕たっぷりの生意気な笑みを浮かべ、士道と白琴里の二人を同時に嘲笑ってくる。

 白琴里はちょっとムッとしていたものの、士道としては怒りが沸くよりもむしろその演技力に舌を巻く他になかった。

 

「おにーちゃん、あんなこと言われて悔しくないのかー!? 押さえつけて乱暴に犯してやりたくならないのー!?」

「アレが本物の琴里ならそりゃ悔しいぞ。けどアレが七罪だって思うと、ただただ不憫で申し訳なくなってきてな……何か萎えそうだ……」

 

 気が乗らない狂ったプレイに付き合わされているにも拘わらず、一生懸命自分の役割を果たそうと他者を演じるその姿。四糸乃に匹敵するほど健気な姿であり、そのような暴挙を七罪に強制させていると思うと性欲が減退しそうな気分であった。というか気分以前に下半身が反応を示さないレベルだ。

 

「た、大変だー!? 大丈夫、おにーちゃん!? お薬持ってくる!?」

「やめろ! 分かった、やるよ! やればいいんだろ!?」

 

 しかし必死な表情の白琴里に予想通りの恐ろしい提案をされたため、気が乗らなくともヤることを決める。実際ここで拒めば白琴里は本当にあのイカれた媚薬を持ち出し、嬉々として士道の鼻先に吹き付けてくるだろう。

 相手が白琴里だけならともかく、ここには黒琴里に変身した七罪もいるのだ。完全に発情して加減すらできなくなってしまっては、七罪の身体を壊してしまいかねなかった。それならまだ加減できる今の状態で襲い掛かる方が幾分マシである。

 

「そういうわけで、本当ごめんな……?」

「んっ……!」

 

 謝りつつも両手を黒琴里の胸に這わせ、衣服の上から仄かな膨らみを揉み回す。

 しっかり興奮は覚えたものの、申し訳なさがあるせいかあまり強い興奮ではなかった。これが見た目も七罪であるか、あるいは中身も黒琴里であればそれはもう下半身が大変活力に満ち溢れるはずなのだが。

 

「ふん。まあ精々頑張れば? 七罪と四糸乃ならともかく、私をあなたの稚拙な攻めで篭絡できると思ったら大間違いよ」

 

 胸を揉まれながらも黒琴里は余裕綽々の笑みを零し、何だか前にも聞いたことがあるような罵倒を零してくる。少なくとも初めての時の琴里はその稚拙な攻めで簡単に堕ちてしまったので、まだこんなセリフを口にするとはやはりこちらが七罪なのだろう。あるいは分かっていて口にしている本物の琴里か。

 悩んで手を止めてしまう士道だったが、黒琴里はその一瞬の隙を突いて士道の胸倉を掴み引き寄せ――

 

「こっち! こっちが偽物だから! ちゃんと加減してよね!? 琴里と同じ激しさでやられたら私絶対死ぬわよ!?」

「あ、ああ、分かってる。やっぱこっちがお前なんだな……」

 

 耳元で演技をかなぐり捨てた必死の囁きを零してきた。

 声だけは琴里なので正直かなり違和感があったものの、その口調と含まれる焦りはどう考えても七罪のものである。実際琴里と間違えて抱いた時はほんの三十分程度で動けないほど疲弊していたのだから、必死になるのも無理はない。

 七罪が間違いなく黒琴里の方だと分かったため、多少安心した士道は行為を再開することにした。相変わらず七罪が不憫なのは変わらなかったが。

 

「よし、琴里。こいつの腕を押さえとけ」

「いいよー。でもどうせならこれ使った方が良いんじゃないかなー?」

「お前本当闇深いよなぁ。使うけどさ……」

 

 白琴里がどこからか手錠を出してきたため、呆れ果てながらもそれを受け取る。

 正直闇の深さにドン引きしそうなところだが、七罪に配慮してか手首の当たる内側は柔らかな素材の作りになっていた。どうやら頭が色に狂っていても最低限の思いやりはあったらしい。

 

「ふん。そんな物を使わないと女一人屈服させられないなんて、底が知れるわね?」

 

 士道の手により無理やりうつ伏せにされ、手錠を後ろ手に嵌められながらも気丈に振舞う黒琴里。しっかり演技できているようだが果たしてこれがいつまで続くのか。興奮よりむしろ不安と心配の方が大きい士道であった。

 そのせいか両手を戒めた黒琴里を仰向けにしたまでは良いものの、そこからいまいち手が出せなかった。興奮していないわけではないが、やはり七罪が不憫でどうしても心から楽しめないのだ。

 

「ほーら。脱ぎ脱ぎしよー、私ー?」

「ちょっ……! じ、自分を脱がせて興奮するなんて、正直どうかと思うわよ、私?」

 

 やがて焦れたのか白琴里自ら黒琴里の衣服を脱がしにかかる。ちょっと素が出た気がしないでも無いが、演技力の高い七罪はすぐさまカバーして余裕溢れる笑みを浮かべていた。

 とはいえ衣服の前をはだけさせられ、ブラジャーを捲られて仄かな膨らみが露わな状態である。変身しているため外見上は七罪自身の身体ではないが、それでもかなり恥ずかしそうに頬を染めていた。

 

「えぇー? だって強いはずの私が、私とおにーちゃんに好き放題されてるんだもん。すっごくドキドキしてきて、私もう我慢できないよー……はぁ、はぁ……!」

「お前……」

 

 どういった視点から興奮を催しているのか非常に分かり辛い反応をする白琴里。以前から性癖が捻じ曲がっているのは知っていたが、ここまで酷いものだとは正直想像していなかった。

 可愛い妹がどこか遠い世界に行ってしまったような悲しみを感じ、士道は慰めを求めて黒琴里の唇を奪った。

 

「んっ……っ、ちゅ……ふ、うぅ……!」

 

 どうせ白琴里からは重ねている唇しか見えないので、優しく愛情深く舌を絡めて口付けを交わす。激しさこそないが七罪はむしろこういったキスを好むため、少しでも心の癒しになってくれればと思い丹念に行っていく。

 その甲斐あってか黒琴里も応えるように舌を絡め、互いの唇の隙間からどこか幸せそうな吐息を零していた。ここからはお互いを深く求めあい、熱く肌を重ねて愛し合うのが常。しかし今、ここには捻じ曲がった性癖を持つ頭のおかしい義妹がいる。

 

「どうしたのー、私? おにーちゃんにキスされただけで、こんなに濡らしちゃって――ない!? あれー!?」

 

 その頭のおかしい義妹は、見れば黒琴里のスカートの中に手を突っ込み驚愕の表情を浮かべていた。

 性欲が爆発している上に欲望に極めて素直な白琴里としては、熱く口付けを交わしているにも拘わらず濡れていないというのは信じ難いことなのだろう。挿し込んでいた手を目の前に持ってきて凝視したかと思えば、再びスカートの中に突っ込んで確認するという行為を何度も繰り返していた。

 

「むー、しょうがないなぁ。じゃあ私が気持ち良くしてあげよー!」

「はっ? え、ちょ、待っ――っ!!」

 

 そしてあろうことか、今度は黒琴里のスカートの中に自ら顔を突っ込んだ。一瞬素に戻っていた黒琴里こと七罪だが、スカートの中がもぞもぞ動いた途端に声にならない悲鳴を上げて悶える。

 一瞬止めるべきかと思ったものの、琴里と違って七罪は痛いのが嫌いなため、痛くならないように身体の準備をさせる必要がある。しかしこの狂ったプレイでは七罪の心と身体を真っ当な方法で解してやるのは極めて難しいだろう。

 

「……悪いな、琴里。ちょっと激しくなるけど我慢してくれよ?」

「し、士道? 何を――あっ!? や、あ、うあぁぁっ……!」

 

 そのため多少荒療治になるのも仕方ないと割り切り、白琴里に続いて快楽で攻める。具体的には剥き出しの胸の膨らみに舌を這わせ、くすぐるように舐め上げて。

 七罪が特に快感を覚える弄り方をするべきかと思ったが、冷静に考えてみれば今七罪の身体は完全に琴里のそれだ。となると弱い部分なども変化している可能性もあったため、とりあえず琴里なら感じるであろう弄り方で攻め倒していった。

 

「はっ、ひゃ……!? ふあ、ああぁぁ……!」

「えへへー、どうしたの私ー? そんなに身体をびくびくさせちゃってー?」

「台詞だけ聞くとSなんだけどな、これ……」

 

 幸い考え方は間違っていなかったようで、黒琴里は酷く悩ましい喘ぎを上げて身体を震わせていた。

 むしろ慣れ親しんだ自分の身体ではない分、かなり新鮮で激しい快楽を得ているのかもしれない。ちょっと黒琴里とは思えないほど表情がだらしなく蕩けており、中身が七罪だと分かっていても抑えられない興奮を覚えてしまうほどであった。もちろん罪悪感は消えなかったが。

 

「よし、これで私もしっかりエッチな身体になった! さあ、おにーちゃん! この淫乱な私のお口に、おにーちゃんの太くて固いものを突っ込もう!」

「突っ込もう、って言われてもなぁ……」

 

 ある程度身体の準備ができたためか、白琴里は黒琴里の上半身を起こしてこれみよがしに口元に指を突っ込んで開かせる。

 何だかレイプ紛いのことをしているようで気が乗らない士道であったが、黒琴里の悩ましい喘ぎと表情のせいで確かにそれが可能な程度には下半身も反応している。とはいえ見た目が黒琴里でも七罪の口に捻じ込むことを考えるとやはり躊躇いが捨てきれなかった。

 

「ふぁ……ふ、太くて固い? あなたのそれが? そんな粗末なものを相手にするなら、人参やバナナでも相手にした方が幾らか楽しめそうだわ」

「ほら! こんなこと言ってるぞ、おにーちゃん! 早くおしおきしてあげなきゃ!」

 

 しかし当の黒琴里が再び表情を引き締め演技を再開する。恐らくこれは七罪なりの構わないという合図なのだろう。それに演技を続けられるのならばまだ余裕があるということ。

 意を決した士道は自らズボンを下ろし、絶賛起立中の下半身を露わにした。目の前にいきなりそんなグロテスクなものを突き付けられたせいか、二人の琴里は揃って目を丸くして頬を赤くする。

 だがその後の反応は対照的であり、ちょっと苦い顔をする黒琴里に対して白琴里はどこか嬉しそうに頬を緩めていた。この場合正しい反応はどちらとも言えないだろうが、発情したように呼気を荒げている白琴里の反応は若干違う気もする。

 

「よ、よし。ほら琴里? 俺のをたっぷりしゃぶってくれよな?」

「む、ぐっ……!」

 

 それっぽい台詞を口にしながら、黒琴里の口の中へとゆっくり捻じ込んでいく。

 口いっぱいに士道のモノを突っ込まれ、苦し気な声を上げて表情を歪める黒琴里の姿には仄暗い欲望を刺激されてしまう。だが実はこれが七罪だと思うと、やはり同時に罪悪感が込み上げてくる複雑な心境の士道であった。

 

「おにーちゃん! もっと俺様って感じの台詞で乱暴に!」

「うるせぇ! もうお前ちょっと静かにしてろ、このドMの変態妹が!」

「あっ! そうそう、そんな感じ!」

「今のはお前に言ったんだよ! あー、もうっ! いいからお前ちょっと来い!」

「わっ!? お、おにーちゃん、大胆!」

 

 もう正直狂った性癖についていけず、一度黙らせるために白琴里の腕を掴んで引き寄せる。そしてどこか期待に満ちた目をしているドMの変態妹の腰を抱き――

 

「んっ……ちゅ……ふぁ……!」

 

 口付けをして黙らせる。これで少なくとも唇を重ねている間は頭がおかしくなりそうな狂った発言を聞かずに済む。

 

「ん、ぐ……む、う……っ、ふ……!」

 

 実際それで黒琴里も多少は安心したのか、口いっぱいに士道の半身を頬張らされながらも舌を動かし、吸いついて奉仕をしてくれている。本物の黒琴里なら間違ってもこんなに健気な奉仕はしてくれないので、これは演技ではなく七罪自身の意思に違いない。

 尤もそれが士道を気持ち良くさせてあげたいという気持ちからではなく、さっさとこのイカれたプレイを終わらせたいという気持ちからなのは何となく士道にも分かっていた。そして同じ気持ちを抱いているのも確かだ。

 

「ふぁ……おにぃ、ちゃぁん……ん、はぁ……!」

「ん……ちゅ、く……ぐ、うぅ……!」

 

 だが悲しいことに男という生き物はとても素直で単純であり、欲望に忠実。気が乗らないという態度を示していたにも拘わらず、現在進行形で士道は猛烈に興奮していた。黒琴里が健気に口で奉仕しつつも、上目遣いに軽い非難の視線を向けてくるくらいには肉体的な反応を示すほどに。

 とはいえそれも仕方のない事。白琴里の身体を左腕で抱き淫らで激しい口づけを交わしながら、右手で黒琴里の頭を掴んで半身をたっぷりしゃぶらせているのだ。二人の琴里を同時に楽しむという本来実現し得ないあまりにも贅沢な営みに、ついに士道の興奮は罪悪感を上回ってしまうのであった。

 

「――んっ!? ぐ、む、うぅぅ……!」

 

 抑えきれず弾けた欲望が黒琴里の咥内へと流れ込み、苦し気な喘ぎを零させる。固く目を瞑り苦しさと精の味わいに必死に耐えるその姿は、堪らなく興奮を催す素晴らしい姿だった。

 ただし中身が七罪だということを忘れたわけではないため、興奮しながらも酷く胸が痛む矛盾した状況である。気持ち良いのに吐きそうな気分で、控えめに言って頭がおかしくなりそうなほどだ。

 

「げほっ、ごほっ……! うっ……ゲホッ!」

「あぁ……! 強い私が、おにーちゃんのすっごく濃いのを口に出されて苦しそうにしてるぅ……! はぁ……はぁ……!」

「えっと……大丈夫か、お前ら……?」

 

 注ぎ込まれたものが気管に入ってしまったのか咳き込む黒琴里と、そんな黒琴里の様子に荒い呼吸を零しながら身を捩る白琴里に声をかける。勿論心配しているのは前者が普通に身体や苦しさ、後者はイカれた頭である。

 

「ふ、ふん。この程度で私を屈服させられると思ったら大間違いよ。大好きな四糸乃や七罪を犯して腕を磨いて出直してきたら? ……ゲホッ」

「おにーちゃん、私が生意気なこと言ってるぞ! これはもういっぱい犯して分からせてやるしかないよね! というわけで、さぁどうぞ!」

 

 未だちょっと咳き込んでいるが余裕ぶった笑みを浮かべる黒琴里と、その背後に回り無理やりうつ伏せにさせて期待に満ちた目を向けてくる白琴里。両腕を後ろで戒められているため、四つん這いではなく頬をベッドに押し付けお尻を上に突き上げた状態だ。

 もう何が何だかよく分からない状況だが、少なくとも白琴里が大いに楽しんでいるのは確かだろう。反面黒琴里こと七罪の心情は最早士道には想像もできないレベルだ。それでも演技を続けているのだから泣きそうになるほど健気である。

 

「何か、もう、本当にごめんな? 絶対後で何かお詫びしてやるから……」

「……その言葉、忘れるんじゃないわよ?」

 

 黒琴里としての言葉か七罪自身としての言葉かは分からないが、そんな言葉が返ってくる。実際何かしらのご褒美やお詫びが無ければ、こんな狂ったプレイに付き合わされている七罪は割に合わないだろう。

 

「んっ……! あっ、や、うぅぅ……!」

 

 とりあえずどのようなお詫びをするかは後で考えることにして、さっさとこの馬鹿げたプレイを終わらせるために遠慮なく黒琴里の中へ滾った半身を突き入れる。もちろんいきなり根元まで突っ込むという真似はせず、少しずつ慣らしていきながら。

 不思議なことに見た目は琴里でも締め付けはどちらかと言えば七罪のものであり、激しい快感を堪えるのが非常に難しかった。元々士道を繋ぎとめるために七罪自身の身体でも若干作り替わっている個所なので、外見を変えようともここは変わらないのかもしれない。

 

「どうしたのー、私? すっごく気持ちよさそうだよー? おにーちゃんに後ろから無理やりされるのがそんなに好きなのー? はぁ……はぁ……!」

 

 沈み込んでくる士道を受け入れ、悶え喘ぐ黒琴里の姿に嫌らしい笑みを浮かべる白琴里。

 さすがにそろそろ何か言ってやろうかと思ったが、後ろ手に戒められたまま背後から挿入されて喘ぐ自分の姿を眺めつつ、自らの下着の中に手を入れ自分で下腹部を弄る姿を目にしてもう何も言えなくなってしまった。すでにこいつは手の施しようがなく、完全に手遅れである。

 

「あっ、や……! ふあ、あっ……あぁぁぁっ!」

 

 黒琴里の身体を気遣い、犯すという言葉が不釣り合いなほどゆっくり突き犯していく。

 そのせいか快感が強くて演技できないのか、黒琴里にしては非常に素直で可愛らしい喘ぎが上がっている。恐らく表情も普段の黒琴里とは異なるものなのだろうが、体勢的に見えないのが残念で堪らない。

 

「あっ……! 私、あんなに気持ち良さそうな顔してるぅ……!」

 

 しかし代わりに正面で黒琴里の痴態を眺めながら、激しく自分を慰めている白琴里の姿が目に入る。かなり残念な妹の姿にやるせない気持ちになってしまうが、それでも興奮を得るには十分すぎる淫らな姿。

 まして今犯しているのは見た目は生意気な黒琴里でありつつも、最高の快感を得られる少女。早漏というわけでもないが達するにはあまりにも十分過ぎる要素に溢れていた。

 

「う、くっ……! ああ、もう駄目だっ……!」

「あっ、や、あ――ふああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 堪えることができるわけもなく、生じた興奮を勢い良く黒琴里の中へと注ぎ込む。琴里の声で上がる、しかし七罪そのものの途方もなく悩ましい嬌声。

 酷く違和感があるがそれでも即座にもう一回注げるほど劣情を煽られてしまい、正直なところ士道は自ら理性を焼き切りたい気分であった。尤もそんなことをしてしまえば黒琴里の身体を気遣うことができなくなるため、苦しくとも理性を保つしかないのが何とももどかしい。

 

「は、あぁ……! もう私、我慢できない……おにーちゃん、私もこっちの私も、いっぱい犯してぇ……!」

 

 そうして明らかに最初から何一つ我慢していなかった白琴里が、快感に身悶えしている黒琴里の身体を仰向けにして自らその上に寝そべる。そんな状態で発情した雌の如き顔をこちらに向け、丸いお尻を振って誘ってくるのだからもう反則である。

 

「この、ド変態がっ!」

「ひゃああぁぁう!?」

 

 こっちは加減する必要は全くないため、遠慮なく一息に根元まで突き入れる。狂ったプレイに七罪と士道を付き合わせている怒りと、可愛い妹の性癖が手の施しようが無いほど歪んでいる悲しみを込めて。

 無論こんな真似をすれば普通はとんでもない苦痛の悲鳴が上がるところだが、やはり白琴里が上げたのは快感に塗れた歓喜の悲鳴であった。そもそも愛撫の必要も皆無なくらいに濡れていたため、むしろ今の挿入だけで感極まったかのようにびくびくと身体を震わせていた。

 

「お前性癖歪んでるのにも限度があるだろ! 自分に変身した七罪が犯されてる姿を見て興奮するとかSなのかMなのかはっきりしやがれ!」

「あっ、やっ! ああぁぁっ! わ、私はっ、Sじゃないよぉ……!」

 

 そのまま先程の黒琴里に対しての緩慢な動作とは対照的に、全く加減なく腰を打ち付けていく。肉と肉がぶつかり合い、粘膜同士が絶え間なく擦れあう卑猥極まる水音が鳴り響く。

 自分でSではないと申告しているあたり、少なくともこの狂ったプレイの根幹にあるのはMっ気であるらしい。やはり白い方はサディストではないようだ。尤もこれが本物の黒琴里なら絶対SとMの両方が混じるカオスな様相になるだろうが。

 

「あ、あんた――じゃなくて、あなたたち……ちょっと、その、激しすぎじゃない……?」

 

 そんな激しい営みを白琴里の身体の下から眺めさせられていた黒琴里は、頬を引きつらせて演技がぶれぶれな問いを零す。

 一度僅かな時間体験したこととはいえ、実際に間近で見る士道の本気の抱き方に空いた口が塞がらないのだろう。見れば黒琴里にはありえないほど呆けた表情を晒しており、完全にドン引きしている様子であった。

 

「いいや、むしろお前がいるからこれでも控えめな方だ――ぜっ!」

「や、あ、ああぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 そう答えつつ、白琴里の中へと弾けた興奮を注ぎ込んだ。捻じ込むように一層深く突き入れながら、一滴残らず胎内へぶちまける。

 嬌声を上げる白琴里が一体どのような表情を晒しているのかは体勢の問題で分からないが、その下に組み敷かれている黒琴里が頬を染めて気まずそうに視線を逸らしたあたり、相当ヤバい顔をしているのは考えるまでも無かった。

 

「はぁ……はぁ……! どこ見てるのぉ、私ぃ……ちゃんとおにーちゃんに犯されて感じてる私を見て、冷たい目で睨んでよー……?」

「――むぐっ!?」

 

 無論頭の中がヤバいのも考えるまでもなく、黒琴里の顔を強制的に自らに向かせたかと思えば流れるようにその唇を奪っていた。

 

「ふぁ……おにーちゃんの味がするぅ……!」

「んっ……く、ちゅ……っ、あ……!」

「お、おぉ……これは、何ていうか、とにかくアレな光景だな……」

 

 その光景を横から覗き込んで胸に抱いた感情は、正直なところ非常に言葉にし難いものであった。何せ琴里が琴里にキスしている光景なのだから違和感やら何やらが尋常ではない。

 これが元々そっくりの双子とかだったならともかく、片方は変身しているだけの七罪なのだから余計に複雑な感情を抱いてしまう。何だかもう自分が罪悪感を覚えているのか堪らなく欲情しているのかも判別がつかなくなってくる士道だった。

 

「あー、もういい。もう難しいこと考えるのは止めて欲望に身を任せる……」

「やったー! おにーちゃんが堕ちた!」

「か、加減っ! 欲望に身を任せるのは別にいいけど、加減忘れないでよ!?」

 

 もう考えるのが苦痛になってきたので、難しいことは何も考えず快感を貪ることに決める士道。兄がケダモノになることに歓喜の笑みを浮かべ、喜びはしゃぐ白琴里。そして演技をかなぐり捨て、必死に手加減を強調してくる黒琴里こと七罪。

 明らかに心から楽しんでいるのが一人しかいない狂った交わりに三人で耽りながら、士道は淫らな夜を過ごしていった。もちろん黒琴里に対して加減することだけは、決して忘れないようにして。

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ……やっと、終わった……!」

「本当ごめんな、七罪……こんなイカれたプレイに付き合わせて……」

 

 たっぷり数時間後、やっと白琴里が満足した頃には士道も七罪(元の姿に戻った)も疲労困憊であった。七罪は心身共に、そして士道は心の方。

 途中からは欲望に身を任せていたので難しいことはさほど考えなかったものの、黒琴里には加減しなければいけないので、どうしてもそのことを刻みつけるように考え続けなければならなかったのだ。七罪や四糸乃、またはこの二人を同時に相手にする時は常にやっていることだが、今回は七罪の姿が黒琴里だったのが問題だ。興奮に沸いた頭では見たまま黒琴里として扱ってしまいそうになる上、隣には白琴里がいるという極めて違和感のある状況なのだ。正直なところ頭がオーバーヒートして爆発しそうになったほどである。

 

「すっごく楽しかった! またやろうね、おにーちゃん! 七罪!」

 

 しかしベッドに身体を投げ出す士道の右隣では、白琴里がそれはもう至福に満ちた会心の笑みを浮かべていた。どうやらこのプレイに心底大満足の様子だ。

 

「え、嫌だけど……?」

「悪いな琴里。俺もこれはちょっとな……」

「えー!? な、何でー!?」

 

 珍しくも素のまま士道の身体の上に身を乗り出し、ぎゅっと抱き着いてきた七罪を抱き返しつつ同意する。

 七罪は元々気乗りしない様子であったし、話を聞く限りでは今回のプレイを行ったのも琴里に対するお詫びだったはず。お詫びをした今となってはもうやる理由など無いのだろう。

 

「何でって、士道はちゃんと私自身を愛してくれてるのに、何が悲しくてわざわざ他人の姿で愛されなきゃいけないのよ? ぶっちゃけ凄い虚しくて全然楽しくなかったわよ? 自分が苛められる姿で興奮できる琴里には分からないだろうけど」

「結構キレてるな、お前……」

 

 かなり心労が溜まったせいなのか、わりと遠慮も容赦もなく言い放つ七罪。

 やはり不憫になったので優しく頭を撫でてやると、それはもう可愛らしい笑顔を浮かべて頭を手に擦りつけてきた。ちょっと下半身が反応してしまったのは秘密である。

 

「えー……で、でも、ほら! おにーちゃんも結構楽しんでたよね!」

「言っとくけど、俺も内心じゃかなり複雑だったからな。確かに興奮はしたけど七罪があまりにも不憫で罪悪感が凄かったし、それなのにどうしても興奮しちまうしで頭おかしくなりそうだったぞ……」

「あー、何かやたら苦々しそうな顔してたのはそういうことね……」

 

 黒琴里が七罪だということは頭では理解しているのだが、身体はどうしても琴里本人だと思ってしまう。そうして得た興奮が七罪に対してではなく琴里に対してのものだと思うと何だかとても申し訳なく、かといってギンギンに興奮するのは事実であり、結果良心の呵責に苦しみながら興奮するという訳の分からない状態に陥ってしまうのだ。こんな状況で心から楽しめるわけがない。

 

「そういうわけで、こんなイカれたプレイはもうおしまいだ。分かったな、琴里?」

「えーっ、やだ! それじゃあ今度は七罪がこっちの私でいいから、またやろー?」

「えっ、もっと嫌なんだけど? 何されるか分かったもんじゃないし……」

「そ、そんなー!?」

 

 目に見えてがっかりした様子を見せる琴里だが、七罪の反応は至極当然のもの。何せM気質しか存在しないはずの白琴里とのプレイでさえ、本当はSなのではないかと疑うほどサディスティックな発言に溢れていたのだ。

 この上ドSでありドMでもある本物の黒琴里にやらせてしまえば一体どうなるかなど、最早想像したくもなかった。

 

「いい加減にしろよ、琴里。お前のぶっ飛んだ理解できない性癖に七罪はわざわざ付き合ってくれたんだぞ。文句言ってないでお礼くらい言ったらどうだ?」

「うー……ありがとう、七罪……」

「あ、いや、うん……どういたしまして……?」

 

 頬を膨らませてどこか不満そうにしているが、存外素直にお礼を口にする琴里。しかし言われた方もプレイの内容が内容だっただけに、疑問形の言葉を返していた。

 

「本当にごめんな、七罪。こんな気の狂ったプレイに付き合わせちまって……」

「いや、士道のせいじゃないわよ。結果的に私が琴里の邪魔をしたのは事実だし、これでチャラになったならまあ安い方なんじゃない?」

「お前案外寛大っていうか、心が広いな。まるで四糸乃みたいだぜ……」

「そ、そう? さすがに四糸乃とは次元が三つか四つくらい違うけど、そう言われて悪い気はしないかも……」

 

 考えられ得る限り最大限の賞賛を口にすると、満更でもない微笑みが返ってくる。

 黒琴里に変身した状態で琴里と士道との3Pという頭がイカれているとしか思えないプレイを受け入れ、あまつさえ可能な限り黒琴里を演じていたのだ。本人は次元が数個違うと口にしているものの、間違いなく四糸乃レベルの心の広さと健気さであった。

 

「でも、このままだと白い方の琴里にはちょっと恨まれそうよね……あっ、そうだ。ねぇ琴里、私はもうやらないけど協力はしてあげても良いわよ?」

「ちょっ、おい七罪、お前――」

「――本当!? 協力って、どんなこと!?」

 

 何を思ったのかそんなことを口にする七罪と、止めようとした士道の言葉を遮る形で声を上げる琴里。やはりこのプレイに味を占めたのかかなり食い気味であり、今にも七罪にキスしかねないほど顔を近づけ尋ねていた。

 

「ちょ、近いって……あ、相手の合意も取れたなら、私が琴里の姿に変身させてあげるわよ……私と四糸乃以外なら、だけど」

「七罪と四糸乃以外、っていうことは……えーっ!?」

「お前、それって……!」

 

 七罪の提案に対して琴里は驚愕に目を丸くする。それは士道でさえ開いた口が塞がらない提案だった。

 何故なら七罪は言外にこう言っているのだ。もう一度あんなプレイをしたいなら、自分たちの士道との関係に新たに誰かを加えろ、と。無意識とはいえ士道を自らに依存させ、繋ぎ止めるために自らの身体や分泌物さえ作り変えているあの七罪が。何だか感動で目頭が熱くなってくる士道であった。

 

「ふふん。士道と深い仲になってる子の人数を増やせば今日みたいなことができるけど、人数が増えればそもそも士道と一緒に過ごせる時間が減るわよ。琴里はどっちを選ぶ?」

「む、むむむっ……!」

 

 したり顔の七罪に対し、それはもう苦渋に満ちた表情で唸る琴里。

 色々と残念極まるところがあり性癖もねじ曲がっている琴里だが、最も好んでいるのは士道との一対一の交わりである。今回はかなり特殊なプレイだったので例外とはいえ、基本的には士道を独り占めにしたい欲求があるのだろう。だからこそこんな運命の二択を突き付けられたような苦し気な顔をしているに違いない。

 

「やっぱ結構キレてるな、お前。久しぶりに何か黒いところを見た気がするぜ」

「いいでしょ、少しくらいキレたって。こんなおかしなプレイをさせられたんだし……」

「まあそりゃそうだ。何度も言ってるけど本当にごめんな、七罪? 俺の妹がとんでもないド変態で……」

 

 白い方では真正のドM、黒い方では生粋のドSでありながら真正のドMとしての側面も持っている。それだけならまだしも凌辱染みた乱暴なプレイすら好み、果ては自分に変身した別の女の子が犯されている姿を第三者視点で眺めて興奮するという訳の分からない性癖まで持っているのだ。

 あまりにも常軌を逸していて、いくら可愛い妹とはいえその捻じ曲がり具合はちょっと擁護できなかった。

 

「いや、何か自分は違うみたいな言い方してるけど、士道も相当じゃない?」

「え、マジかよ。俺、こいつと同レベルなのか? 嘘だろ?」

 

 しかしそこで七罪がとんでもない発言を口にしたため、耳を疑ってしまう。

 確かにちょっと色々と罪深いことをやらかしてる気はしないでもないが、性癖自体は至って普通の範疇に留まっていると自負しているのだ。なのにアレと一緒にされるとはひどく心外であった。確かに少し前までは似た者兄妹だと思っていたが、それは妹の性癖の歪み具合いが尋常ではないことを思い知る前の話だ。

 

「まあこの兄にしてこの妹ありって言うか、その逆っていうか……あれ? そういえば士道にはもう一人妹いたわよね? もしかしてあっちも似たような有様だったり……?」

「お、おい、やめろ。琴里がこんな有様なんだからせめて真那にはまともでいて欲しいぞ……」

 

 更には余計に恐ろしい事を口にされ、恐怖に震え上がってしまう。真那までコレと似たような性癖を持っていたら、士道の中で妹という存在が歪み切った恐怖の塊と化してしまうところだ。

 なのできっと真那はまともな女の子。そう願うことで士道は自らの精神の安定化を図るのであった。

 

「むー……分かった。今は我慢する……」

「いや遅すぎだろ。どんだけ悩んでんだ、お前……」

 

 そこでようやく結論を出したらしく、渋々と言った様子で琴里が頷く。

 どうやら捻じ曲がった性癖よりも士道を独占していたいという気持ちがかろうじて勝ったようだ。尤も独占と言っても七罪と四糸乃を含めて三人での共有という形なため、本当に独り占めできるならもう少し結論を出すのは早かったかもしれない。

 

「その代わり、そこは私の場所ー! おにーちゃんをベッドにしていいのは本物の妹だけなんだからー!」

「その理論で言うと義妹の琴里も資格はないんじゃない……?」

 

 しかし願いが叶わずご機嫌斜めになったようで、士道の身体の上に寝そべる形で抱かれている七罪を退かそうと躍起になっている。

 七罪も七罪で普段ならともかく、やはり気の狂ったプレイで疲れて甘えたい気分らしい。少し微妙な表情をしていたが退く気は全く無さそうで、むしろより固く士道に抱き着いてきた。

 

「あーもう、いい加減うるさいぞ琴里。さっきまで七罪も琴里だったんだし別にいいだろ?」

「わあっ!?」

「わっ……!」

 

 どちらも譲る気は無さそうなので、琴里の身体を引っ掴んで七罪共々身体の上に乗せる。さすがに二人も乗せるとちょっとはみ出てしまうが、そこは士道が抱きしめることでカバーした。

 

「むー、しょうがないなー。今日はこれで勘弁してやろー。というわけでおやすみのキスだぞ、おにーちゃん!」

「何か色々言いたいことはあるけど、凄く疲れて正直眠いしもう今夜はこれでいいわ……おやすみ、士道……」

 

 多少不満げな顔を見せたが、すぐに天真爛漫な笑みを浮かべて口づけをしてくる琴里。酷く眠た気な目をしつつも、琴里に続いて自ら口付けをしてくる七罪。

 おやすみのキスを交わした後、二人は体勢を変えるように腕の中でもぞもぞと動いていたものの、結局は士道の胸板に頬を埋める形で落ち着いていた。

 

「ああ、おやすみ。琴里、七罪」

 

 そんな二人を優しく抱きしめ、温もりに浸りながら士道も目を閉じる。

 色々と琴里の性癖を狂っているだのイカれているだのと評しはしたが、士道自身今夜の営みは実に満足の行くものであった。何せ黒と白の二人の琴里を同時に貪れたのだ。これで楽しくないわけがない。

 とはいえ終始七罪が不憫であり、にも拘わらず大いに興奮してしまっている自分がいるせいで精神的な疲労は相当なものだった。実際士道はかつてないほど精神がすり減っているのを感じていた。

 

「……やっぱさすがに二人いっぺんに乗られると重いよな」

 

 それこそ幼いとはいえ、女性に対しての禁句をついつい口にしてしまうくらい。

 次の瞬間には二発の手刀が容赦なく顔面に繰り出され、士道はその鏡合わせのようなタイミングも息もピッタリの一撃に、再び二人の琴里を幻視してしまうのであった。

 




 いよいよ性癖が極まってきた琴里。どうしてこんなになるまで放っておいたんだ!
 ちなみに七罪は普通に嫌がっていて、できればもう二度とこんなプレイはしたくないと思っていますが、普通に白琴里との3Pならまあいっか程度には思ってたりします。だいぶ感覚が麻痺している模様。なお、黒い方とは全力で嫌がります。
 実は当初の予定では普通に黒と白のダブル琴里が士道さんにご奉仕する予定だったんですが……どうしてこうなった……?

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