「こんばんは、だーりん。約束通り来てくれましたね?」
深夜、ついに士道は新たな少女を自らの爛れた関係に加えるため、美九の元を訪れていた。
薄暗い寝室で士道を出迎えてくれた美九の装いは、それはもう可憐で妖艶な下着姿だ。というかつい昨晩見た身体のラインが丸分かりの下着姿であり、準備万端といった様子だ。そんな様子でベッドの上で待ち構え、どこか色っぽい目を向けてくるのだから堪らない。
「そりゃ来るに決まってるだろ。むしろ美九は俺が来ないってことも考えてたのか?」
「うーん。そこまでは言いませんけど、だーりんが手を出した女の子って皆私とは正反対って感じの子じゃないですか。なのでもしかしたら美九はだーりんの好みとは違うのかなー、とはちょっぴり思ってました……」
実は意外と不安に思っていたらしく、ほっとした様子を見せる。
もしかすると嫌にエロい下着を身に着けているのも、士道の性癖が不安だったため興奮を煽ろうとしていたのかもしれない。身体を重ね愛し合う約束をしたにも拘わらず余裕に見えていた美九も、やはり繊細な心を持つ乙女だったようだ。
「言っとくけど何かロリ塗れになったのは偶然だからな、偶然。ちゃんと美九みたいな子も好きだぞ?」
「本当ですかぁ? 私の目を見て、はっきりと言ってください」
「ああ、本当だ。大好きだぞ、美九?」
求められるまま、美九の瞳を真っすぐに見つめて口にする。ベッドに上がり、お互いの吐息が感じられるほど至近距離まで顔を寄せて。
間近で眺める美九の面差しは非常に整っており、そのスタイルも相まってどうしようもなく女を感じてしまう。だが極力そんな下世話なことは考えない。考えるのは美九に愛を感じさせ、幸せにしてあげること。それだけだ。
「もう一度お願いします、だーりん……」
誠実な思いを伝えられたのか、美九はうっとりと頬を緩めて再度ねだってくる。
そんな美九の美しい髪の毛を優しく指で梳きながら、士道はもう一度自らの想いを口にした。
「美九、大好きだ。たっぷり愛して幸せを感じさせるから、俺を信じて身を任せてくれるか?」
「はい。だーりんに私の全てを捧げます。私も大好きですよ、だーりん……」
躊躇いなく頷き、ゆっくりと瞼を閉じる美九。さすがにその所作の意味が理解できないような士道ではない。髪を梳いていた指を頬を伝わせ顎先に持っていき、僅かに持ち上げ美九の顔を上向かせた。
「んっ――」
そして、優しく唇を奪う。自らの欲望を満たすためではなく、美九に愛と幸せを感じさせてあげることだけを考え、ひたすらに穏やかに。
士道との淫らでいかがわしい関係に加わる四人目の少女、美九。その始まりとも言える初めての夜が幕を開けた。
「っ、あ……ふあ……ん、あぁ……!」
美九のぞっとするほど艶めかしい喘ぎが、小さく開かれた唇から上がる。だが士道は未だ深い口付けは行っていない。行っているのは微かに唇を触れ合わせ、僅かに食んだ後また遠ざけるという意地の悪い口付けだ。
愛と優しさを感じさせるという決意と矛盾しているようにも見えるが、実際はそうではない。たっぷりと焦らし、美九の心と身体に少しずつ準備をさせようとしているのだ。何せ美九は今回が初めてなのだから、念入りに準備をさせなければ酷く苦しむことになる。
故に士道は徹底的に焦らし、快楽で嬲るつもりでいた。そのためにわざわざ七罪お姉さんに練習台になってもらったのだから。
「だ、だーりん……いじわる、ですぅ……!」
「ははっ、悪いな美九。でも別に訳も無く意地悪してるわけじゃないんだぜ?」
「ふあぁ……だーりいいぃぃぃん……!」
焦れた美九が自ら口づけを求めてくるも、指で顎を押さえ簡単には唇を奪わせない。むしろ唇に吐息を吹きかけ、更に焦らし攻めていく。
ただし焦らし過ぎればさすがに苛立ちが見えてくるので、見極めと加減が肝心だ。興奮が苛立ちに変わるであろう二、三歩手前に抑えておくため、ある程度焦らした士道は美九の求めに素直に応えた。
「はむっ……ん、ふ……ふうぅ……!」
途端にそれはもう熱烈に唇を重ねてくる美九。逃げられないようにしっかりと両腕を士道の背中に回し、自ら唇を幾度も食み啄んでくる。ちょっと想像以上に焦らしが効き過ぎているようだ。
考えてみれば美九は元々欲望を隠さない性質であるし、常日頃からどちらかと言えば甘えん坊だ。ちょっと焦らした程度でこうなってしまうのも仕方ないことかもしれない。
「ははっ、美九は甘えん坊だな? だけどそんな美九も可愛いぞ?」
「ふわぁっ……だ、だーりん……!」
口づけの合間にそう零し、美九のうなじをかき上げ首筋を指先で撫で擦る。ぞくりと来たのか小さな喘ぎが上がり、びくりと身体が震えるのを背中に回された両腕から感じた。
この様子なら何も問題なく進められる。そう判断した士道は美九と深い口付けを交わしながら、その身体を優しくベッドへ横にならせた。
「ん……ちゅ……っ、はぁ……!」
それでも背中に回された両腕を決して解こうとせず、口付けを求めて更に甘えてくる。むしろ向こうから積極的に舌を絡めようと、重ねた唇の隙間から咥内にするりと侵入してくるほどだ。ここまで積極的だと焦らすのもなかなか難しい。
やむなく士道は暖かく湿り気を帯びた淫らな指先に、自らも滑った指先を触れ合わせた。そうして先端を滑らせるようにして美九の舌を満遍なく撫で上げつつ、ゆっくりと絡めていく。ピリピリと舌に伝わってくる美九の味わいは堪らなく甘美で、油断すると理性が焼き切れてしまいそうであった。
「やっ……ふあっ、ぁ……!」
しかし今回は美九を気持ち良くして、幸せにしてあげることが目的。故に鋼の意思で以て理性を保ち、口付けを交わしながら身体の愛撫へと移る。ベビードールの上から、脇腹の辺りをくすぐるように撫で上げて。
当然美九は身体を震わせ悶えるが、たっぷり感じるまで逃がしはしない。熱く口付けを交わしながら、脇腹や太もも、首筋といった部分を指でくすぐりこれでもかと攻めていく。まだ胸元や大切な場所は攻めていないにも拘わらず、口付けを中断して荒い呼吸を零し始めるほど激しい反応を示していた。やはり士道のテクニック云々よりも、そもそも女の子の側が感じやすいに違いない。
「だ、だーりぃん……! 私、おかしくなっちゃいますよぉ……!」
「おいおい、まだ指で撫でてるだけだぜ? これくらいでそんなこと言ってたら、最後まで続けられないぞ?」
「か、加減をしてください、お願いしますぅ……!」
かなり余裕が無いというか、だいぶ蕩けた顔で必死に懇願してくる美九。やはり歴戦の猛者たる士道と新兵たる美九では経験に絶望的なまでに差があるようだ。
なので士道としても少しは加減をしてあげるべきだと思ったのだが――
「ヤバいな……美九、何かお前苛めたくなる……」
「ふえっ……!?」
気が付けば、そんなサディスト全開の言葉を口にしていた。琴里とはまた異なるタイプとはいえ、美九はどうにも苛めたくなるタイプだった。
美九のために興奮を抑えないといけないが、今腕の中にあるのは士道も未だ二度しか抱いていない大人っぽい女性の身体。それも今回は初めての相手で、あまつさえ苛めたくなるタイプ。
それだけの条件が揃っていれば、幾ら理性を強く持とうと努めても耐えられるわけがなかった。
「安心しろよ、美九。苛めるって言っても、気が狂うくらいたっぷり気持ち良くしてやるだけだからさ?」
「だ、だーりんったら、女の子みたいな顔をして実はドSですぅ! ひゃんっ!?」
ある種タガが外れた士道はもう堪えられず、美九の可愛らしい反応を更に引き出すためのねちっこい愛撫を開始する。美九の耳元に熱い吐息を吹きかけ、耳朶を幾度も甘噛みして。あまつさえ舌先を耳の奥に滑り込ませるように舐め上げながら。
「あっ、やっ……! ひゃ、う……あぁっ……!」
「可愛いぞ、美九……お前の喘ぎ声が可愛すぎて、俺もおかしくなっちまいそうだ……本当に可愛いぞ、美九。愛してる……」
無論行動だけで攻めるのではなく、言葉でもたっぷり攻めてやる。耳元を攻める合間合間に熱く囁き、愛を伝えることで身体も心も同様に。
上手く行ってはいるが何だか当初の予定とはかなり異なる展開になっていた。これでは練習に付き合ってくれた七罪(お姉さん)も浮かばれないに違いない。
「あっ、あ……だあぁぁりぃぃぃん……!」
ただこれはこれで美九も感じ入るものがあったようで、それはもう幸せそうな声を零していた。この反応からすると琴里ほどではないが美九もMなのかもしれない。
結果的に了承も取れたようなので、士道は何の躊躇いも罪悪感も無くこのまま続けることにした。耳元を弄っていた舌先をそのまま首筋へ伝わせていくと共に、身体を弄っていた指を美九の豊かな胸の膨らみへと持っていく。
「あっ……! や、あっ……ん、ああぁっ……!」
そうして首筋を舐め上げつつ、豊かな膨らみを下着の上から指で撫で擦る。その頂点で固くなっているであろう個所には行かず、その周りを羽で撫でるように穏やかに。艶めかしい声を上げて悶える美九だったが、表面を撫でるだけの刺激が物足りないようでそこにはどこか切なさが混じっていた。
「どうしたんだ、美九? 触るの止めて欲しいのか?」
「ち、違いますぅ……もっといっぱい、触ってくださいぃ……!」
「美九は素直で可愛いな。分かった。お前の望み通り、たっぷり触ってやるよ?」
蕩けた表情で切ないおねだりをしてくる姿に堪らなく劣情を催しつつも、決して欲望のままに襲い掛かりはしない。せめて快楽で溶かしてやることだけが、今の士道にできる精一杯の理性と優しさだった。
なので美九の頬にもう一度口付け、美九のベビードールの肩紐をずらしていく。
「あっ……」
両方ともずらしてしまえば、あっさりと下着は外れ美九の裸の胸が弾みながらまろびだす。男なら誰しも釘付けにしてしまうであろう豊かな膨らみ。そして雪のように真っ白な肌とそこに色付く桃色は、最早芸術品のような美しさ。
さしもの士道もこれを前にして冷静さを保つのは難しく、思わずごくりと息を呑んだ。先ほどと以前と合わせて計二回、七罪お姉さんに相手をしてもらった経験が無ければ欲望のままにむしゃぶりついていたに違いない。
「凄く綺麗だ、美九……もう何も考えずにむしゃぶりつきたいくらいだぜ……」
「……いいんですよ? だーりんなら、何をしても……」
煩悩丸出しの言葉を零す士道に対し、慈愛に満ち溢れた微笑みを向けてくる美九。
顔は恥じらいに真っ赤に染まっていたが、それでも言葉に嘘は無いのだろう。曝け出された胸元を隠す動きなど少しも見せず、むしろ引き寄せるように士道の首の後ろに手を回してきた。
「魅力的な提案だけど、今はお前を気持ちよくしてやる方が大切だからな。今は遠慮しとくよ」
「あんっ……!」
そのまま胸の谷間に顔を埋めたかったものの、根性で欲望を捻じ伏せ美九を感じさせることに専念する。見るからに固みを帯びている桃色に軽く吐息を吹きかけながら、その周りを指先で円を描くように撫で擦って。
「だ、だぁりぃん……もっと、もっとぉ……!」
そろそろ指先で撫でる程度では我慢できなくなったようで、脳髄を蕩けさせそうな甘い声でねだってくる。鳥肌が立つほどの興奮を催すのを感じつつ、求めに応えて豊かな膨らみに舌を這わせていった。同時にもう片方の膨らみに優しく手の平を触れさせ、ふにふにと軽く揉んでいく。
「あっ……あ、やっ……ん、あぁぁ……!」
固くなった桃色を舌先で小突く度、指の間から零れそうな胸肉を揉み解す度、身体を跳ねさせて喘ぐ美九。精霊の能力は使っていないはずなのにその喘ぎ声が異常なまでに悩ましく、耐え難い興奮が続々と沸き上がっていく。
同時にその悩ましい喘ぎが、士道の嗜虐心を容赦なく煽る。優しさと快楽で攻めるという当初の予定は、最早頭の中から完全に消え去っていた。
「こんなに固くなってるぞ? 美九は本当にエッチな子だな?」
「は、はいぃ……美九は、とってもエッチな子ですぅ……! ひゃあんっ!」
言葉で嫌らしく攻めながら、今度はべろりと丹念に舌を這わせる。深い口付けを交わすように、美九の固くなった桃色に舌先を絡めて弄っていく。同時にもう片方の指先は胸元から腹部へと滑らせ、更にその下へと目指して進めていった。
辿り着いたショーツは明らかに若干の湿りを帯びており、性的な興奮を抱いていることは明白だ。しかし美九は今回が初めてなため、まだまだ快楽を与えて濡らした方が賢明だろう。
「あっ、あ……や、あぁぁ……!」
右手で美九の太腿を撫で擦りつつ、豊かな膨らみを舌で丹念に解していく。たっぷり太腿周りを攻め立てた所で、今度はショーツの上から秘部を弄り始める。指先と舌を微かに動かすだけで、びくびくと震え悶える美九の身体。
快感に端正な面差しを歪め、薄い紫の長髪を振り乱しながら身体を悶えさせ喘ぐ姿は、普段の様子からは考えられないほどに受け身で従順に過ぎる姿だ。その姿が堪らなく愛おしく、そして大いに嗜虐心をそそられ、更に士道の攻めは加速していった。
「もうこんなに濡れてるな。でもまだまだ気持ち良くしてやるから、安心してくれ。むしろここからもっと気持ち良くなるぞ?」
「こ、これ以上、気持ち良くなるんですかぁ!? もう、頭が変になっちゃいますよぉ……!」
多少呂律も回っていない言葉を耳にして目を向ければ、美九の表情はもう完全に出来上がっていた。頬は朱色に染め上げられ、瞳は快楽に潤んで涙ぐみ、だらしなく緩んだ口元からは唾液がとろりと流れ落ちる。
そろそろ最後の工程に移っても問題ないかもしれないが、士道は自分の技量を過信してはいない。念には念を入れるべきだと考え、きっちり続けることにした。故にショーツの中に指先を挿し込み、滑らかな肌を直接弄り始めた。
「ひうっ……!? あっ、あ……ん、やあ、あぁぁ……!」
溢れる愛液に滑った入り口を、美九の反応を確認しながら撫で擦っていく。どれほどの強さで触られれば最も艶めかしい声を上げるのか、どれほどの激しさで攻め立ててやれば身体を激しく跳ねさせるのか、それらを確かめながら効率的に。
「はっ……ん、む……ちゅ……!」
「美九、愛してる……気持ちよさそうに喘ぐ声も、可愛いぞ……」
勿論肉体的な快感を与えるだけでは足りないため、精神的な快感と充足も同時に与えていく。何度も優しく唇を重ね、合間合間に愛を囁きながら。
そして十分に身体と心が仕上がっていることを確認してから、指先を僅少しずつ温もりの中へと沈ませていった。指を締め付ける圧迫感を感じながら、今度は内側から撫で擦っていく。
「ふあっ……! だ、だあぁぁりぃぃん……!」
途端に先刻に倍する激しさで身体を跳ねさせ、口付けの合間に艶めかしい声で名を呼んでくる美九。高まる快感に怯えているのか、背中に腕を回してぎゅっと抱き着いてくる。豊かな膨らみが胸の下で形を変え、堪らない柔らかさを伝えてくるのは非常に精神に悪い感触だ。鷲掴みにして欲望のまま貪りたい気持ちを堪えるのは本当に大変なことだった。
「大丈夫だぞ、美九。怖くないからな」
「んっ……! あ、やぁっ……!」
しかし使命感と愛情で以て無理やりに欲望を抑え込み、ただ美九を気持ち良くしてあげるために全霊を尽くす。怖がる美九の耳元で囁き、舌先で以て慰めることで。
もちろんその間も手は休めず、むしろ美九が最も感じるであろう部分を重点的に攻め立てる。美九の身体の震えと喘ぎをしっかりと観察して、少しずつ動きを速めながら。
「あっ! だ、ダメです、だありぃん……! 私、わた、し――っ!!」
やがて美九はぎゅっと瞼を閉じて唇を噛み締めたかと思えば、一段と激しく身体を震わせた。思いのほかあっさり声にならない嬌声を上げて痙攣するその姿は、士道の攻めが完璧だったという事実の現われだろう。
だがそれは女の子が感じやすいだけで、さほど自分の技術は関係ない。やはりその結論に至ったため、まだまだ愛撫を止める気はなかった。
「あ、うぅぅ……私、だーりんの手だけで……イかされちゃいましたぁ……」
恥ずかしそうに口元を両手で隠し、美九は若干淫らな言葉を零す。美九には悪いがその発言も然ることながら、ただでさえ大きな胸が寄せた両腕によって強調されて悩ましいことこの上ない。
「しっかり気持ち良くなってくれたなら俺も嬉しいぜ。でもまだここからだぞ?」
「ふえっ……? ひゃ、わわっ……!」
微かに浮き出た肋骨のラインをなぞる様に舐められ、快楽とくすぐったさに悶える美九。その口から零れる艶めかしい喘ぎにも段々と困惑や恐れが無くなっており、快楽を受け入れつつあるのがはっきりと分かった。やはりだいぶ従順と言うか、かなり素直なところがあるようだ。
だいぶ興が乗ってきた士道は頬を緩めつつ、美九の腰のラインを伝って可愛らしいくぼみのある腹部へと舌を滑らせていった。
「さて、ここからはちょっと恥ずかしいけど、我慢してくれよ?」
「もうすでに恥ずかしいですよぉ……!」
肉付きの良い太腿に一つ口付けをしてから、ぐっしょりと濡れたショーツを引きずりおろしていく。さすがに美九も慌てて両足を閉じるように抵抗していたものの、まだ快感の余韻が抜けないのか力のこもっていない儚い抵抗だ。脱がせるのは非常に容易なことだった。
だがもちろん脱がせて終わるような士道ではない。ショーツを足首まで引きずり降ろして脱がした後、そのまま膝の辺りから唇と舌による愛撫をしながら脚の付け根を目指して進んでいく。結果最後に到達するところは言うまでもない。
「だ、ダメです、だーりん……! そんなとこ舐めちゃ――ん、やっ! ああっ!」
慌てて止めようとした美九の言葉には一切聞く耳持たず、たっぷりと愛液が零れる穢れの無い白い肌に口付けた。途端にこれまで以上に身体がびくりと跳ね、悩ましい喘ぎが零れる。
正直なところ美九のこういった反応は非常に新鮮で好ましく、ますます苛めたくなってくる士道であった。なので何度か口付けた後、滑らかな肌をゆっくりと指で割り開いた。露わになる卑猥な肉の層と、途端に溢れてきたむせ返るような雌の香りに脳髄を貫かれ、一瞬理性が飛びそうになってしまう。
「そ、そんなところ、見ないでくださぁい……!」
「ははっ。大丈夫だぞ、美九。ここも凄く綺麗だ」
「う、うぅ……だーりんが、ドSですぅ……!」
さしもの美九も恥ずかしくて堪らないようで、耳の先まで真っ赤にして両手で顔を覆っていた。とはいえ力いっぱい脚を閉じたりしないあたり、本気で嫌がって抵抗しているわけではないのだろう。
実際露わになった美九の股の間では、快感と興奮によるものか卑猥な赤い肉の層がひくひくと蠢いている。その動きはさしずめキスをねだる舌の動きにも似ていて、求められたなら応えるのが礼儀と言うものである。
「ひゃあっ――!?」
故に士道は愛液と言う名の蜂蜜を零す蜜壺へと、自らの舌先を滑り込ませた。そして濃厚な雌の香りに朦朧となりかけながらも、じっくりと深い口付けを行っていく。
「あっ、あっ……! やっ、あ、ふあぁぁっ……!」
美九の下腹部に顔を埋めた状態なため、どのような表情で喘いでいるかは分からない。しかし舌に吸い付いてくるような下の唇の動きと、蕩け切って全く呂律の回らない喘ぎ声を聞けば、しっかりと感じていることは明白だ。何より大量に零れ舌に纏わりついてくる粘性の高い液体が、快感を催している事実を如実に語っていた。
「あっ、やっ! わ、私、また――ああぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
そして今度は声を抑えず、嬌声を上げて痙攣する美九。口付けを止めると舌先から愛液が糸を引いて零れ落ち、手足や身体以上に淫らな唇が痙攣しているのが見て取れる。
この様子ならそろそろ前戯は終わりにしても良いかもしれないが、念には念を入れてもう少し仕上げておくのも良いだろう。とはいえ士道もそろそろ欲望を抑えるのが限界であり、ズボンの中は先走った興奮で大変酷い有様になっていた。
「はっ、はぁ……だあぁりぃぃん……」
「美九、そろそろ大丈夫か? まだダメそうなら、もっとさっきみたいなの続けてやるぞ?」
「そっちの方が、ダメになっちゃいますよぅ……はやく、だーりんとひとつに、なりたいですぅ……!」
もう息も絶え絶えといった様子に反して、美九は甘えた声でねだってくる。色っぽく汗ばんだ肌を上気させ、乱れた呼吸で豊かな膨らみを揺らしながら。
さすがに欲望を無理やりに抑えつけた今の状態で、向こうからこんな風に求められてしまっては、最早自分を抑えることは不可能であった。
「……分かった。痛くて我慢できなかったら、なるべく早く言ってくれよ? やめられたら止めるからな」
「っ……!」
すでに窮屈に過ぎるズボンを下着ごと無理やりに下ろし、準備万端どころかフライングしかけている己の半身を露わにする。
卑猥極まる男の象徴が目に入り、さしもの美九も息を詰まらせ微かに怯えを見せた。
「そ、そんな大きいの、入るんですかぁ……? 私、壊れちゃったりしませんかぁ……?」
「そこは大丈夫だ。お前より身体が小さい奴にも入ったし」
美九を安心させるためとはいえ、他の少女に関しての発言はこの場に相応しくないものだったかもしれない。愛し合っている最中なので名前こそ出さなかったものの、琴里からは叱責をくらいそうな発言だった。
「七罪さんたちも平気なら、大丈夫そうですね……じゃあ、どうぞ……だーりん……」
しかし美九は安心できたらしく、慈愛に満ち溢れた微笑みを浮かべて頷く。更には恥ずかしそうに頬を染めながらも自ら両脚を開き、魅惑の痴態で以て誘っていた。
ここまでの愛と覚悟を見せられて、応えなければ男ではない。士道は美九に覆い被さるように身体を寄せ、淫らな唾液を零す濡れた唇に己が半身をあてがった。
「……いくぞ、美九?」
「はい……私の全て、だーりんに捧げます……」
下腹部に触れたものの熱さと感触に僅かに怯えを見せつつも、こくりと頷き全てを受け入れる慈愛を見せる美九。
本来ならこちらが幸せを感じさせるはずだったというのに、その健気に過ぎる姿にむしろこちらが凄まじい多幸感に包まれてしまった。何だかんだ言っても美九は年上のお姉さんなのだろう。
「んっ……!」
腰を少しずつ前に突き出し、淫らな唇を割り開いて奥へと押し込む。
これ以上ないほど濡れそぼっていたおかげで美九は悲鳴こそ上げなかったものの、やはりぎゅっと瞼を閉じて怯えるような顔をしていた。それも自らの身体の内側に固く脈動する異物を受け入れるのだから、当然の反応であった。
「くっ、あ……はっ、あ、あぁぁっ……!」
ぎゅっとシーツを握りしめながら、身を振り乱すようにして挿入に耐える健気な姿。身じろぎする度に豊満な胸元が揺れ動いているため、その光景にますます士道の半身は固さを増す。
それでも初めての美九の身を案じて、揺れ動き誘う胸肉を鷲掴みにしたい気持ちを堪え、一気に腰を打ち付けたい欲望も抑えつけて少しずつ奥へと進めていった。薄い膜を破り貫く感覚を覚えながらも、愛を以ってゆっくりと。
「は、あっ……だーりんの、全部……入っちゃい、ましたぁ……!」
そしてついに根元まで達し、完全に繋がりあう。玉の汗が浮かぶ美九の端正な面差しは、今や恍惚とも至福とも取れる喜色にうっすら輝いている。それでもやはり挿入は苦痛だったのか、表情に反して呼吸は酷く乱れていた。
その呼吸が整うまで、士道は繋がりあったまま美九の身体を抱きしめる。しかしどうしても豊かな膨らみが肌に密着してくるため、なかなか劣情を抑えることができなかった。七罪たちならこんなことはないのだが。
「やっぱ痛かったよな。ごめんな、美九。大丈夫か?」
「はい、大丈夫ですよぉ……だーりんと、一つになってる感覚がします……」
しばらくして落ち着いたのか、美九も両腕を背中に回して抱き着いてくる。より胸の下に押し付けられる柔らかさがまた魅惑の感触であり、どうしても下半身が反応してしまうのを抑えられない。
もちろんその反応する箇所が身体の内に挿し込まれている以上、美九にはその反応が手に取るように分かったのだろう。どこか悪戯っぽい微笑みを浮かべ、背中に回していた腕を首の後ろへと持ってきた。
「安心しましたぁ……だーりんもちゃんと、おっきいのが好きなんですね……?」
「それは最初に言ったろ? まだ信じてなかったのか、お前?」
「だって、だーりんは全然ガツガツしなかったじゃないですかぁ……もっと激しく乱暴に、むしゃぶりついてくるのを想像してたんですよぉ……?」
「美九は今回が初めてだから、俺の事よりお前のことを最優先にしたんだよ。できるかぎり痛くないように、気持ち良くしてやれるようにな。本音を言えばもの凄くやりたかったし、何なら揉んだりしゃぶる他にも色々したかったけどさ……」
今更本音を隠すような仲では無くなったので、躊躇いなく本音をぶちまける。何せ美九の乳房は掌に収まらず零れんばかりの素晴らしい大きさなのだ。鷲掴みにして心行くまで揉み回し、赤子に戻ったようにしゃぶりつきたくなるのは男なら当然の欲求である。そしてあらん限りの方法で魅惑の膨らみを堪能したいと思うのもまた当然だ。
やはりその答えに安堵したようで、美九は悩ましい微笑を浮かべていた。
「良いですよ、だーりんなら何をしても……でも今だけは、優しく抱いてくださいね……?」
「ああ、分かってる。美九、愛してる……」
「私も愛してます、だーりん……んっ――」
しばしの間見つめ合い、どちらからともなく口付けを交わす。そうして士道は身体を起こし、美九の身体の両脇に手を付いてゆっくりと腰を動かし始めた。
「あっ! ん、あっ……やっ……!」
最初は軽く身体を揺する程度でも、ぞっとするほど甘い声を零して悶える美九。同時に半身を襲う締め付けもまた強くなり、士道は耐え難い快楽に襲われる。それでも美九のため、本能のままに腰を打ち付けたい欲求を抑えつけてペースを本当に少しずつ、段階を踏んで徐々に早めていく。
「あっ、あっ……! やっ、あ、あぁぁっ……! だ、だぁりいぃぃん……!」
ぎゅっとシーツを掴んでいた美九の指先が士道の腕に這わされ、縋りつくように力がこめられる。
言葉が無くとも意図は十分に伝わっている。望み通り、ベッドについていた掌を美九の掌に重ね、指先を絡めて互いに繋げ合う。それは下腹部ほど深い繋がりではないものの、どこかいじらしく愛しさが胸に沸いてくる繋がりであった。
「ん、ああぁぁっ! は、あっ! や、あ、うあぁぁ……!」
快感が高まってきたのか、美九の身体が時折跳ねるように震えを催し始める。表情も快楽に悩ましく乱れており、普段とはまた違うベクトルで間違ってもアイドルが見せて良い顔ではない。
美九のこのような痴態を見られるのが自分だけという途方もない優越感。加えてお互いに両手を重ね合っている故、一突きする度に豊かな膨らみが嫌らしく弾む堪らない光景。更には美九の初めてを自分のものとした征服感。さしもの士道もこれほど凄まじく感情と快楽を昂らせる要素に煽られては、堪えることなどできなかった。
「っ、く……! 美九……美九っ!!」
「あっ、や、あ――ああぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
鋭い一突きと共に、迸った愛情を注ぎ込む。下腹部の内側へと濃厚な精を注がれる初めての感覚に、嬌声を上げて身体を痙攣させる美九。そんな美九の身体を抱きしめ、一滴も残さず中へと注ぎ込んでいく。
七罪たちとはまた違った意味で抱き心地の良い身体のためか、迸った精が途切れるまではかなり長い時間がかかっていた。絞り取るような締め付けに加え、美九自身も両手両足でしがみついてきたのが原因と言えば原因である。胸の下に感じる魅惑の膨らみの破壊力は抜群であった。
「あ、ぁ……だーりんの、熱いのを……お腹の中に、感じますぅ……!」
抱きしめていた身体を離してみれば、恍惚に満ちた至福の表情が目に入る。どうやら十分に幸せを感じさせてあげられたらしい。それなら士道としても一安心だ。
下腹部の繋がりを解くと、破瓜の証が混じる粘性の白濁がどろりと零れ出て、士道自身も薄暗い欲求を存分に満たすことができた。ドSの士道にとって、女の子の初めてを奪ったという優越感や達成感は堪らないものだった。
「美九、身体は大丈夫か?」
「はい、平気です……だーりんにたっぷり愛してもらって、何だかふわふわしていますよぉ……」
額の汗や口元の唾液を拭ってやりながら尋ねると、若干焦点の合わない視線が返ってくる。それでも疲弊しきっていないあたり、しっかり加減ができたおかげで体力はまだ残っているらしい。
「そっか。じゃあもうちょっと続けても大丈夫だな?」
「は、はい? え、まだ続けるんですかぁ!?」
これならまだまだ続けられる。そう結論付けた士道に対し、美九は完全に目を丸くしていた。どうやらたった一度で終わりだと思っていたようだ。
しかし士道が抱く性的興奮の度合いはたった一度達した程度で収まるようなものではないし、何より七罪との約束がある。愛する少女の可愛らしいお願いとして、美九をヒィヒィ言わせなければいけないのだ。
「そ、それは無理ですよぉ! これ以上続けられたら、美九はおかしくなっちゃいますぅ!」
「大丈夫だ。例えおかしくなっても、俺の気持ちは変わらないからな。愛してるぞ、美九」
「んっ、や――ああぁぁぁぁぁぁああぁあん!!」
優しく口付けた後、再び美九の股を開かせて覆い被さる。無理だと首を横に振っていた美九だが、その口から零れたのはやはりぞっとするほどに艶めかしい喜びの喘ぎだった。
「ふわあぁぁぁ……」
「だ、大丈夫か、美九? 色んな意味で……」
七罪からのお願いを笠に着て、調子に乗って計三回ほど美九を攻め立てた後。心地良い疲労に包まれた士道の横には、心ここにあらずといった感じの美九の姿があった。瞳は夢心地で、表情は恍惚と至福に彩られた微笑み。どう見ても半分くらい夢の世界に逝ってしまっている姿である。
「はぁい……美九は大丈夫ですよぉ……うふふふ……」
「駄目みたいだな。やっぱりちょっとやりすぎたか……?」
返答もかなりぽやぽやしていて、最早寝言に等しい答え。これにはさすがに士道も調子に乗ってしまったことを自覚し、深く反省するのであった。お詫びの代わりに美九の身体をそっと抱き寄せ、頭を胸に抱いて優しく撫でる。
「うふふふ……だーりぃぃん……」
すると美九は甘えた声を出しながら、背中に手を回して抱き着いてくる。魅惑の柔らかさを持つ膨らみが胸の上でむにゅりと形を変えているものの、欲望はある程度発散したのでこの程度の事で動揺するような士道ではなかった。尤も下半身が多少反応してしまったのは男として仕方のない事である。
「……もしかして、本当に俺のテクニックってそこそこ凄いのか?」
「凄すぎですよぉ……美九も女の子をペロペロすることに関しては自信がありますけど、だーりんには敵いません……」
相手が幼女ばかりだったせいか、それとも七罪たちが敏感過ぎると勘違いしていたせいか、どうやら自らの技術の向上具合を把握できていなかったらしい。完全にふにゃふにゃになっている美九の様子を眺めて、士道はここで初めて自らの技術が洗練されたものだということに気が付くのであった。
とはいえ美九が非常に気になる発言を零していたので、感動よりも疑念の方が多少大きかった。果たして美九は本当にこれが初めての行為だったのだろうか。とりあえず男相手の行為は士道が初めての相手に違いないため、それで問題は何もないので深く追求するのはやめておいた。
「そうなのか。けど舌技に関しては俺より四糸乃、四糸乃よりよしのんの方が凄いんだぜ?」
「そうなんですかぁ……うふふふ……」
「あー。本当にダメだな、これ……」
興味を示しそうな話題を出したと言うのに、美九は腕の中でひたすらに夢心地に微笑んでいる。
あの大人しくて愛らしい四糸乃が舌技に関しては抜きん出たものを持っているという、極めてギャップを感じるエロい情報。それを教えてあげたのにこの反応だ。普段の美九ならグイグイ食いついてくるはずなので、今の状態は完全に士道に弄ばれた結果だろう。
「……ところで美九、お前さえ良ければ七罪が抱かれてる時にどんな反応するのか教えてやるぞ?」
「――詳しくお願いします、だーりん」
「一瞬で元に戻ったな、お前……」
しかしやはり美九にとって七罪は特別な存在のようで、耳元でボソリと囁けばあっという間にいつもの美九が戻ってきた。というか普段よりも瞳は鋭く、声にもどこか気圧されそうな覇気を感じるほどだ。どうやら何としても七罪の痴態が知りたいらしい。
「いやいや、さすがにこんな場面で他の女の子の話を出すなんて不誠実だからな。やっぱり話すわけにはいかないぜ」
「そんなー!? 意地悪せずに教えてくださいよー!」
悲し気に表情を歪め、必死に縋りついてくる。後で七罪にマジギレされそうなので本当に話す気はなかったものの、縋りついてくる美九の豊満な膨らみがそれを許してはくれない。これでもかと胸に押し付けられ、形を変えつつ柔らかさを伝えてくる水鞠のような物体が持つ魔性の魅力に、男である士道が抗うことなど到底不可能であった。
それに遅かれ早かれ、七罪は美九に自らの痴態を晒す時がやってくるのだ。そう考えると今のうちに羞恥に慣れておいた方が賢明に違いない。
「……分かったよ。けどその代わり、七罪がどんな風に匂いの理由を誤魔化したのか教えてくれるか? 俺の身体から七罪の匂いがしたり、七罪の身体から俺の匂いがする理由を何かそれっぽい理由を付けて誤魔化したんだろ?」
「そうですよー。七罪さんはだーりんがいない時を見計らって、だーりんのベッドに忍び込んで優しい匂いに包まれながら、火照る身体を一人慰めていた――って言ってましたぁ」
「それは確かに恥ずかしくて俺に言えないのも納得だな。本当かどうかはともかく……」
そんな恥ずかしい誤魔化しをするしかなかった七罪の心情を思うと、何だかとても申し訳なくな思ってしまう。そして同時に恥じらう七罪の姿を楽しみたいと思ってしまうあたり、やはり士道は真正のドSに違いなかった。今度目の前で実際に自分を慰めてもらうのも良いかもしれない。
「実際のところはどうなんですかぁ? やっぱり七罪さん、本当にだーりんの匂いに包まれながら……!」
「半分だけ本当だな。確かに気が付いたら俺のベッドに潜り込んでたことはあるけど、何かエロいことしてたような形跡は無かったぜ。そもそもベッドに潜り込んでくる理由が俺がいなくて寂しいからって理由だったしな」
「えっ、何ですかその可愛らしい理由。本当に七罪さんがそんなことを言ったんですか?」
「ああ。そもそもあいつ、本当はお前に負けず劣らず甘えん坊だからな。特にたっぷり愛して理性を無くしてやるともう凄いぜ? 満面の笑みで猫みたいに甘えてくるんだぞ」
最近は落ち着いてきたのか比較的大人しめな甘え方になってきているが、本質はさほど変わっていない。七罪が愛に飢えているのは今も昔も変わらないのだ。
それに最近は身体を気遣って本気の欲望をぶつけていないため、さほど見られなくなっているという節もある。たぶん本気で愛してやればまた見られるに違いない。尤もその場合、七罪の身体がだいぶ心配なことになるのだが。
「な、な、な……! 何ですか、その夢のような光景はっ! 美九もそんな七罪さんに甘えられたいですぅ!」
「それはちょっと難しそうだな……」
羨望と喜び、そして期待に満ち溢れた笑顔を向けてくる美九に対して、士道は思わず眉を寄せてしまう。
七罪がかなりの苦手意識を持っている美九に対して、猫のようにごろごろ甘える光景は全く想像できなかった。逆に美九が甘えて七罪をギャーギャー言わせる光景なら、あっさりと想像できてしまうのが悲しい。
そんな調子で何か雰囲気的に間違っている気がしないでもないが、女の子についてのピンク色な話を美九と繰り広げていく。しかし幾ら元気ではしゃいでいるように見えても、身体はしっかり疲労を訴えているらしい。徐々に美九は眠気に負けて、テンションが少しずつ下がっていった。
「ふああぁ……うーん、さすがにそろそろ眠くなってきましたぁ。もっとだーりんと可愛い女の子の話で盛り上がりたいんですけど、もう限界ですぅ……」
「だったら無理せずもう寝ろよ。別に今夜限りってわけじゃないんだからさ……ない、よな?」
眠たげに目を擦る美九を宥めるも、不意に不安を抱いて問いを投げかけてしまう。
美九との一夜がこれで終わり、などということになったらちょっと士道は耐えられそうになかった。色々と(主にサドな部分が)弾けてしまったとはいえ、終始美九のことを考えて可能な限り優しく攻め立てていたのだ。士道の中にはもっとあんなことやこんなことをしたいという爛れた欲望が、それはもう大量に深く渦巻いているのである。にも拘わらずこれが最初で最後になったら立ち直れない。
「ふふふ、もちろんですよー。だーりんにしてあげたいことや、だーりんとしたいこと、まだまだいっぱいあるんですから。だから安心していいですよー、エッチなだーりん?」
「そ、そっか。それは良かった……」
幸いその不安は杞憂に終わったが、美九にクスクスと笑われ鼻先をつんと突かれてしまう。
こちらはすでに数えきれないほど経験を重ねたベテランのはずだというのに、何だか初心な気恥ずかしさを覚えてしまう士道だった。普段の様子や言動がアレなので忘れがちだが、曲がりなりにも美九は年上のお姉さんということなのだろう。
「楽しみにしとくよ。それじゃあもう寝ようぜ、美九?」
「はい、だーりん……おやすみのキス、してくれますよね?」
少しは年上のお姉さんらしいところを見せてきたと思ったら、今度は腕の中で甘えるような目を上目遣いに向けてくる。そのギャップにどきりとするよりも、まず苦笑してしまったのは仕方のない事だった。もちろん可愛らしくて大いに胸が高鳴ったのは言うまでもないが。
「ああ、もちろん。おやすみ、美九。愛してるぞ」
「はい、私も愛してますよ。だーりん……んっ――」
そうしておやすみの口付けを交わし、固く抱き合いお互いの温もりに浸ったまま瞼を閉じる。
美九の方はすぐに規則正しい寝息を立て始めたものの、残念ながら士道の方はまだまだ時間がかかりそうだった。何故なら七罪お姉さんと熱い夜を過ごした経験があっても、行為が終わると元の姿に戻ってしまうため、ナイスバディの裸の女の子を抱いて眠るのはこれが初めてだったから。
「くっ……我慢だ、我慢……!」
それでも美九のため、欲望のままに揉みしだきたい気持ちを抑え込み、根性で眠りにつくのであった。七罪たちのようなロリっ子とは決定的に異なる、肉感的な身体の感触を必死に意識の外に追いやりながら。
そんないきさつで、美九も正式に爛れた関係の仲間入りを果たした。これをめでたい出来事と評するかどうかは、受け取り手によって違いがあることだろう。少なくとも士道にとってはめでたい事だが、琴里にとっては決して喜ばしくない出来事に違いない。
七罪に関しては正直なところどちらに傾いているのか不明である。七罪自身は他の子も幸せにしてあげて欲しいと言っていたものの、関係に加わった相手が苦手な美九では素直に喜びづらいと思われる。普通に受け入れてくれそうなのは四糸乃くらいだろう。やはり四糸乃は慈愛に満ちた心のオアシスだ。
「おはよう、美九。その様子だと身体は大丈夫みたいだな。昨日はちょっとやりすぎたから心配だったけど、元気そうで何よりだぜ」
ぎゅっと抱き着いてきた美九を抱き返し、頭を撫でてあげる。
思いのほか元気そうに見えるのは、やはりアイドルという職業のせいかもしれない。歌って踊るにはかなりの体力が必要になるだろうし、大人気アイドルの美九なら体力があるのも納得だった。
「だーりんったら、顔に似合わずすっごく意地悪でしたぁ……もう限界ですって何度も言ってるのに、構わず嫌らしく責めてきて……」
「悪い。何かお前はつい苛めたくなってさ……」
どこか不満げに瞳を細めて見上げられ、素直に謝罪する士道。
美九の場合は苛めたくなるというか、どうにも悪戯をしたくなる感じである。若干方向性は違うが七罪と似たようなタイプだろう。少なくとも黒琴里のように激しく手酷く攻め立てたいわけではなかった。
「まったくもうっ。だーりんは好きな子を苛めちゃうタイプだったんですね?」
「別に皆苛めるってわけじゃないけどな……幻滅したか?」
「ふふっ、そんなわけありませんよぉ。だーりんの新たな一面を見られて、とっても嬉しい気分ですー」
幸いにも士道のドSな部分を問題なく受け入れてくれたようで、美九は本当に嬉しそうに笑っていた。誰も知らない愛する人の隠された一面を知ることができて、ご満悦といった様子だ。
尤もすでに三人(と一匹?)くらい、その内二人は身を以って理解しているので誰も知らないわけではないが。
「なら良かった。これからはもっと色んな俺を見せてやるから、覚悟しとけよ?」
「きゃー! だーりんったら鬼畜ですぅ!」
キザっぽく笑いながら指でくいっと顎先を持ち上げてやると、美九は満面の笑みを浮かべ身を振り乱して喜びを露わにする。
実に可愛らしい反応であるが、今の美九は裸なので大変凶悪で破壊力のある反応であった。曝け出されている豊かで真っ白な膨らみが、身体の動きに合わせてゆさゆさ揺れる様は目の毒以外の何物でもない。
朝の生理現象による下半身の変化に拍車がかかりそうなので、士道は多少残念に思いながらも目を逸らすのであった。
「さて、と。身体も大丈夫そうなら、シャワーを浴びて着替えてきた方がいいぞ。たっぷり汗かいて、お互いに匂いが染みついてるだろうからな」
「そうですねー。私にも分かりましたから、十香さんあたりには無駄な抵抗な気もしますけど」
「それはお前らの鼻がおかしいだけだ。何でしっかりシャワーで流してるのに分かるんだよ……」
「うふふ、それはもちろん愛の力ですよー?」
鼻がいいとかそういうレベルではない嗅覚の鋭さに、最早呆れるしかない。尤も一番呆れるべきなのは十香に匂いを指摘された過去があるにも拘わらず、何の対策も講じなかった士道自身の怠慢かもしれない。
とはいえ洗い流しているはずの匂いを十香以外の人物に嗅ぎ分けられるなど、あの琴里ですら予想していなかったはずだ。たぶん士道自身の怠慢が原因というよりは、避けられない異常現象に遭遇したようなものなのだろう。本人は愛の力と言い張っていたが。
「それじゃあだーりん、一緒にシャワーを浴びましょうか? だーりんに背中を流して貰いたいですぅ」
「えっ……いや、ちょっと待った。シャワーは一人で浴びてくれ」
「えーっ!? 何でですかぁ!? もしかしてだーりんは事が終わったら、後は女の子の事なんてどうでもいいんですかぁ!?」
まさか提案を無下にされるとは思わなかったのか、一度腕の中から離れていた美九は目を丸くして詰め寄ってきた。
もちろん士道としては一緒にシャワーを浴びるのも大いに楽しみな触れ合いだ。しかし美九は控えめに見ても、というか控えめに見ることができないほどメリハリのある凄まじいスタイルの持ち主。そしてまだ一回しか身体を重ねていない少女。そんな美九と一緒にシャワーを浴びるなど、最早秒で襲い掛かる自信すらあった。これならまだ七罪や四糸乃とシャワーを浴びた方が幾分マシである。
「そんなわけないだろ。俺だってできれば一緒にシャワー浴びたいぞ。ただ、それすると絶対我慢できずに襲っちまうからな……」
「あー……だーりん、昨晩あんなに激しかったのに、まだ元気いっぱいなんですねー?」
「あれでも抑えた方だぞ。俺が本気で欲望ぶつけたら、アレより激しいのが朝まで続くからな?」
「あ、アレより激しいのが、朝まで!? ごくり……!」
ドン引きするかと思いきや、何やら息を呑んで戦慄した様子を見せてくる。微かに瞳が期待に輝いている気がしないでもないが、さすがに士道の本気について来られるとは到底思えなかった。アレについて来られるのは現状では琴里くらいだ。
「うーん……美九的にはむしろ望むところなんですけど、昨日の今日でまたあんなに激しいことをされたら、さすがに身体が壊れちゃいますぅ……」
「だろ? だからシャワーは一人で浴びてきてくれるか? 雰囲気ぶち壊しなのは分かってるけど、美九の身体が心配だからさ」
「はーい、分かりましたぁ。その代わり、いつか美九と一緒にお風呂に入ってくださいねー?」
「ああ、もちろん。ただその時はたぶん――というか絶対に風呂場でエロいことすることになるから、心の準備しておけよ?」
「ふふふ、それはもうできてますよー?」
一緒に入浴すれば風呂場でエロい行為に励むのは自明の理。特に美九の場合はそれはもうメリハリのある大変美味しそうな身体をしているため、実に楽しみがいがありそうである。
もうエロいことしか考えていない気もするが、すでに美九も爛れた関係に加わって後戻りできなくなった以上、士道は完全に楽しむことを心に決めていた。どのみち美九の事も真摯に愛することに変わりはないのだから、難しいことを考えずに楽しんだ方が皆幸せというものだろう。決して士道自身が爛れたクソ野郎になったわけではない。はず。
「それじゃあだーりん、美九はシャワーを浴びてきますね?」
「あ、ちょっと待った。何か忘れてないか?」
「えっ? 何か……はっ!? そうですね、大事なことを忘れてましたぁ」
脱ぎ散らかしたままの士道のシャツをさりげなく羽織る美九の手を取り、引き留める。一瞬首を傾げられたものの、すぐに何のことか思い至ったのだろう。にっこり微笑んだかと思えば、ゆっくりと目を閉じて静かに待ちの体勢に入っていた。
順応が早いというか何というか、とにかく美九もこの関係に適応しているようで何よりである。
「んっ――」
そして士道は美九の頬に手を添えて、大事なこと――おはようのキスをした。暖かな幸福感が胸を満たし、一日の始まりを喜びで彩ってくれる。美九が寝ている間に一回キスした気もするが、それは一方的だったのでノーカウントだ。
「……おはよう、美九」
「はいっ! おはようございます、だーりんっ!」
口でもしっかり挨拶を済ませると、美九はそれはもう眩しい満面の笑みを浮かべてもう一度抱き着いてきた。
しっかりと受け止め抱き返しながら、士道は二つの事実を確信するのであった。美九もかなりの甘えん坊だということ。そして、やはり胸に押し付けられ形を変えている豊かな胸の膨らみは、魔性の魅力を持つとんでもない危険物だということを。
だいぶ性に奔放になってきた士道さん。まあ前からそうだったような気がしなくもない。現状一番心配なのは士道さんと美九の両方から狙われてる不憫な七罪。でも関係隠してたからそれくらいの罰はね?
更新停止期間の執筆状況の進捗はどれくらいの頻度で活動報告に載せるべきか
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