――地獄が広がっていた。
狩る側はデス・ナイトというアンデットただ一つ。生きとし生ける者はすべて死の暴風に晒される。身構えた騎士も、その騎士に捕らえた村人も。
皆、デス・ナイトの大剣によって砕かれ、割かれ、そして死んでいく。
臓物の悪臭が周囲に広がり、飛び散る内臓が村を赤く染める。
村人は悲惨であった。身動きが取れない状態のまま、なぶるようにして殺された。
少なく残った騎士が小刻みに震えている。死にたくない。死にたくない。
だが、誰もが認識している事実がある。生き物としてどうしようもなく理解できてしまっていた。どうあっても自分たちの命運はここで尽きるということを。
「――なんだ。まだ片付いていなかったのか」
場違いな声が響いた。まるで、今日の昼飯はまだか、というような気安さ。
モモンガであった。
騎士達は、呆然とした目でモモンガを……モモンガによって一方的に抱かれている少女を見つめた。年端もゆかぬ幼い娘二人が玩具のように犯されていた。
人間には不可能な速度で少女の秘部が禍々しい肉棒で蹂躙されていた。少女へのいたわりなど一片たりとも感じることができない。結合部から垂れる細かい気泡を含んだ桜色の白濁液が、長い時間犯されていることを物語っており、ひどく艶めかしかった。
少女は性の玩具そのものだった。事実として、彼女の秘部は幾度となくモモンガの凶悪な肉棒によって引き裂かれ、子宮も内臓も穢れた精液で侵されていた。しかし、どれだけ、モモンガが酷い扱いをしても《リジェネート/生命力持続回復》の魔法によって死ぬことを許されないのだ。
「――ぁ――ッ――ぅ、く―」
「どうした? もっとよい声で、啼け」
モモンガはエンリの首を締め、性器への締めつけを強要する。おぞましい性交であった。
しかし、半生半死の少女があげる淫らな声は、モモンガに対する狂信的な愛情に他ならない。心の底から愛した相手とお互いのバージンを棒げる初夜にあげるような……熱い嬌声をあげていた。
「……神よ、神よ」
狂気が伝染した。
騎士は甲冑を外し……一人また一人と、あろうことか逃げ惑うことを止め、自慰に耽りはじめたのである。自己の死を確信し、自分の種を残さんと本能が発狂したような……異様で惨めで愚かなことだった。
騎士ロンデス・ディ・グランプも隊長のベリュースも自慰を始めてしまった一人だった。なぜ、自分達は今自慰を始めているのだ。
(びゅるる! びゅくん! どく、どく)
モモンガの肉棒が脈動する。大量の精液がエンリの子宮に注ぎ込まれるが、モモンガはエンリを犯す動きを止めない。まるで萎えることなくエンリを犯し続ける。
(ぐちゅ! ぐちゅ! ぶちゅ! ちゅ!)
「――ぁあ、すこい、のォ――い、ぁあ、ぁあ――」
ぶびゅ、ぶちゅちゅと卑猥な音をたてながらエンリの子宮を犯され、溜まった濃厚な精液がぼたぼたと垂れ落ちる。
「ひひっ、お、俺は、こんなところで死んでいい人間では――!」
隊長ベリュースは、自分でもよくわからないが、ともかくわめいていた。
自分だけでも逃げるため周囲の騎士を罵倒したかったのだが、かくいう自分は自慰に必死であった。いますぐにでも逃げだしたい本能と、いますぐ女を犯したい本能とがせめぎ合っていた。ベリュースは殺されている村人を死姦することさえ考えた。
股間を擦りながら蟲のように這いまわったが、しかし、ついには呆気無くデス・ナイトに潰された。
モモンガとアルベドがまき散らす強い死の気配はまったく常軌を逸していた。
特に、アルベドが纏うどす黒いオーラがすさまじかった。しかし、それも当然だった。
(自分を差し置いて)下等生物ごときがモモンガ様の情けをこれだけ頂くなど、憎悪の念など生ぬるい。カタカタと震える美しいその口から、言葉にならない呪詛が漏れ出していた。
人知を超えたアルベドの憎悪の一念。騎士達は人が耐えうる精神の上限を超えてしまったのである。もっとも、不幸なことに騎士らは自分が狂った理由さえ理解することができなかったのだが。
「ひっ、ひっ――」
死の直前にロンデスは己の不運を呪った。
それは、このアンデット等と遭遇した不運だけではない。死を直前にして、あれだけ軽蔑し下種であるとしていたベリュースと、同じ醜態を晒していたのである。
死を前にして、白痴のように自慰しながら虫のように這いまわる。
自分とは、ロンデスとは、いったいなんだったのだ。
不名誉な命に従い、こんなにも理不尽に殺される人生になるのだ。
せめて、自分は下種ではないべリュースとは違う存在なのだと自分を慰め騙すことを許してくれてもいいではないか。こんなにも惨めな最後しかなかったのか。
「ふっ、ふは、ふははは―――ッ!! ふ――」
ロンデスの視界がくるくると回る。眼下には頭を失い、崩れ落ちる自らの体。それと、醜く勃起した自分の性器。
死んだロンデスの首は、醜悪な性の快楽に溺れた濁った瞳をしていた。