※この作品はR-18です。

THA BEAST ROAD!! 〜ケモノミチ〜   作:アンダーグラウンド

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ただ文章が書きたかっただけなので、続きとかはなにも考えていません。
泳がないと死ぬマグロみたいです。


其れは生命をもつ

『お前、ほんと何やってもダメだよな』

 硬いアスファルト、ブロック塀──。まるで僕を拒んでいるみたいだ。お前の居場所はここじゃない──お前は社会に必要とされていない──。

 

 

 電子レンジが唸りを上げる。パソコンは目を閉じたまま笑う。テレビは小言を言い続ける。部屋の灯りは必要もないのに瞬きを繰り返す。冷蔵庫は冷たくなり、生暖かい息を吐き出す。エアコンは延々と咳をこじらせる。掃除機はさっきから歌い続けている。

「ダメだな、こりゃ」

 父さんは早速ドライバーを取り出して、中古品の電子機器を解体する。プラスドライバー、マイナスドライバー、それぞれ大きさが違う。中には見たことのないドライバーも混じっている。

「父さん、僕も手伝うよ」

「ありがたいけどよ、得意分野ってのは人それぞれだ」

 ──僕はこの〈科学信仰時代〉に於いて、もっとも科学から嫌われた存在だった。

 僕は意識しなくても〈魔法〉を使えてしまう。その魔法は〈生命を与える〉。

「お父さん、僕は何なのかな」

「コウ、おまえ──好きな奴でも出来たのか?」

 イキナリ言われて動揺する。しかしそれ以上は何も言われなかった。

 

 

「──おいっ、コウ、どうなんだよっ!!」

「わわわっ」

 僕は〈休眠中のロボット〉から転げ落ちる。

「いてっ!!」

「ごめん、エクス」

 エクスは黒い鳥の翼を羽ばたかせ、一呼吸置いて着地する。

「なんか最近変だぞ、コウ」

「ちょっと風邪かもしんない」

 とっさに言い訳をするものの、エクスの金の瞳が、疑うように僕を見つめる。

「誰かになんか言われたか?」

「僕に話し掛ける友達なんていないよ」

「俺はおまえに話し掛けてるけどな」

 僕はエクスから目を逸らす。

 ──エクスってば鈍いんだから。──そりゃ、言い出せない自分も悪いけどさ。

「で、こいつはどうなんだ」

 エクスが視線を向ける先に、僕の作った機械人形があった。

  僕の魔法は〈生命を与える〉。正確には、〈人の意思で無機物を操ることができる〉。

「エクスの脳波に合ってるし、動きも自然だよ」

 エクスは動物の姿をしているので、人用に造られた建物では不便なことがある。そこで補助する機械人形を、専門の職人が作る。

「なあ、マジでおまえ、すげえんじゃねえか?」

「い、今更!? もう何年、付き……一緒にいると思ってるの」

「身近に居ると、案外気付かないものなんだなぁ」

 もっと気付いてほしいことがあるけど、男同士の恋愛なんて、あり得ないよね、フツー。

 僕は手袋を脱いで、油まみれの身体を洗いに行く。

 この仕事はやっぱり体力が要るので、油と一緒に男のイメージがこびり付く。母さんがやっていなかったら、全く知ることなく一生を終えていたと思う。

「ふぅー」

 シャワーを浴びているときが一番、女性になれる時間だった。汗も油も流せる。それから男のイメージも洗い流せる気がする。

「入るぞ」

「ちょ、ちょっと!!」

「時々入ると妙に距離を取るよなー」

「誰だって一人になりたい時ぐらい──」

「未だにチンコ隠そうとすんの、おまえだけだぞ」

 じぃっ、と手の甲を見つめるエクスに、僕は思わずゲンコツをぶつける。

「いった!! おいっ、このっ」

「ハ、ハレンチ」

「はぁ?」

「うっ──」

 動揺で随分と古めかしい言葉を使ってしまって、僕はどうでもよくなってしまった。

「はい、目をつむってくださーい」

「やめろって、この」

 僕は頭からエクスにシャワーを浴びせる。

 

 

 高等魔術学学校入学──。

 レベルSクラスの〈特殊な人間〉は、こういう時だけ注目を浴びる。

「おおう、コウ、久し振り」

「なんだ、やっぱり同じになるのね」

 中学で同じ市に住んでいた、レベルSクラスの顔見知り。区が別々だったから、頻繁に会うことはなかったけど。

 魔法を意識的にコントロールできない人を中心に、魔術学学校は建てられる。中学卒業を機に、ほとんどの人が〈普通の人〉になるので、高校は極端に数を減らす。県単位で高校が一桁なんてのがフツーだ。〈金が異常にかかる〉〈偏差値が高い〉〈レベルA以上の生徒が当たり前〉のため、お坊ちゃん学校と言われる。どうせだったら本場イギリスで、という人も多い。

 そんな中、物珍しさだけで僕はここにいる。特別頭がいいとか、特別人より優れた魔法が使えるわけではない。ただ〈人よりズレた〉ところに居て、親もそれでお金持ちなだけだ。

「うふふ、ひがんでる、ひがんでる」

「さすがに知られてるよなー」

 この二人は、レベルSクラスを狙った国際犯罪組織を一網打尽にし、有名どころの話ではない。

 僕はというと、エクスに助けられて──それがきっかけで──。

「全部で7人か」

「エクス──」

 僕らのほかに三人、レベルSクラスを謳う新入生が寄ってきた。

 

 

 ああ、おにぎりが美味しい。

「純日本人って感じね」

「うまそうだな、オレにもくれよ」

 トウマは興味のあることには積極的だ。食堂──なんてレベルじゃない。生徒一人につきシェフが一人居るのに、わざわざ僕の皿から、おにぎりを取ってくる。

「おー、これはうまい」

 確かに庶民から見たら、隔世の美味しさだ。だが所詮は、梅の入っただけのおにぎりだ。よほど酸っぱさが応えたのだろうと納得して、僕は泣くトウマを目の端で見つめる。

「あらこのトリュフ……」

 ミカは何やらトリュフの産地で、シェフと盛り上がっている。

 僕は早くも家に帰りたくなる。汗や油、金属の濃厚な匂いが恋しい。

 ──そうだ、エクス。

 用から帰ってきたエクスは、かじりかけの肉に食らいついている。ガサツな性格とは裏腹に、こんなに綺麗に食べるんだと、毎度感心させられる。

「エクス、どう、美味しい?」

 ぶっきらぼうに喉を鳴らして、エクスは返事を返す。

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