思えばGWにいきなり思いついた話を半年もかけて書くことになるとは思いませんでした。これもひとえに閲覧して頂いた方々のお陰で、本当に感謝の一言しかありません。
これからもネタが湧き次第続きを書いていきたいと思いますので、その時はお付き合い頂けると有難いです。
「ああああああああーーーーーーーっ!!!」
四人で繋がり合い、共に絶頂に達した余韻を楽しんでいたところでいきなりヒュラ子が立ち上がり、すっ頓狂な声を上げる。その声に驚いた他の三人はビクッと体を震わせて彼女を見上げる。
「きゃああっ!?な、何?何っ!?」
「ふにゃにゃーっ!?にゃにゃにゃ、にゃに?にゃにっ?どしたのヒュラ子おっ?」
「び……っくりしたあー!何なのよヒュラ子っ!」
突然の大声に驚く三人は、見る見るうちに血の気が引き顔色が紙のようになったヒュラ子の表情に気がつくと心配そうに立ち上がった。
「一体どうしたんですか?ヒュラ子。何かあったんですか?」
ただならぬ様子を見て恐る恐る近付くとアウラさんがヒュラ子の腕を取り、不安そうな顔で見つめる。腕に触れられてハッと我を取り戻したヒュラ子は、不安げに近寄ってきた皆を見回すと困惑した顔で口を開いた。
「ちょっと見てよこれ!インスタンスダンジョンの残り攻略時間が、あと五分って……。」
「「「なっ、何だってーーー!?」」」
彼女ら光の戦士が様々なダンジョンに挑む際、一定の時間以上を過ぎると彼女達に与えられた光の加護……『超える力』が働いて、強制的にダンジョンを攻略する前の状態に戻されてしまうのだ。
この能力は自分達では制御不能な現象で、ほとんどのダンジョン攻略のタイムリミットはリアルタイムでは90分、彼女達が体感しているエオルゼア時間では約一日半程で『超える力』による巻き戻しが発生する。
……という事は魔科学研究所に進入してハルマキスを倒すまでの時間も考慮すると、彼女らは大体丸一日くらい試作の合成獣と間違えられて捕らえられ、解放されてからも色々と淫らな行為をしていた事になるのだが今の彼女達にそんな事を考察している余裕はない。
「……で、五分っていうのはLT(リアルタイム)か……。急いで行けば間に合わない事もないよね。」
「ええ、グズグズしている暇はないわ。……ミコにゃん、玉ちゃんに仮想空間を解除して装備を返してもらうように言って。全員の装備が整い次第、全速力で行くわよ!」
全裸ではあるものの体じゅうに気力をみなぎらせ、ヒュラ子はいつものキリッとした表情でてきぱきと指示を出す。それを見て他のメンバーも明るい表情で力強くうなずき、指示を出されたミコにゃんはニヤリと笑うとヒュラ子に向かって敬礼した。
「いえっすマーム!まぁ、ちゃんと攻略しないと玉ちゃんをおうちに連れて帰れないしね!……おーい玉ちゃーん、聞こえたでしょ?ちゃちゃっとこれ、解除してにゃー!」
ミコにゃんが顔の横に手を当てて呼びかけた途端、ヴヴヴ……と低い音がしたかと思うと突然周りが白く発光する。
その光が爆発するようにまばゆく輝くと次の瞬間には豪奢な部屋も大勢居たラミア達も消え去り、彼女達はハルマキス戦の後眠らされた場所……生体兵器研究棟の床の上に立っていた。
少し離れたところに居た空中に静止したまま赤い筋を点滅させている玉ちやんの下に四人分の鞄が置いてあるのを見つけると、彼女達は玉ちゃんの側にかけ寄り各々の荷物を手に取ってギアセットを展開する。
装備を整え万全な状態になった彼女達は見つめあって頷き、嬉しそうな顔をしたミコにゃんがおもむろに玉ちゃんをむんずと掴むと自分の鞄の中に放り込む。それを確認した他のメンバーは研究所の奥へと向き直り、一目散に駆け出していった。
『ビビーッ! 本システムノ持チ出シハ 禁則事項ノ第14253760条ニ当タリマス 直チニ本システムヲ解放シテ下サイ』
皆から少し離れた位置でスプリントをかけて走っているミコにゃんの鞄の中からけたたましく警報が鳴り響き、玉ちゃんがモコモコと鞄を押し上げて外へ出ようとする。その様子を見てミコにゃんは優しく微笑むと、走りながら二、三度軽く鞄を叩いた。
「大丈夫だって!アラグの人はもうアジス・ラーには居ないんだから、玉ちゃんを役目に縛りつけるヤツもアタシ達を取り締まるヤツもいないよ!……まぁもしそんなのが居たとしても、力ずくで連れて帰っちゃうけどね!」
全速力で走り抜けてメンバーに追い付いたミコにゃんの言葉を受けて、ララちゃんもエレベーターの端末を操作しつつ無邪気に笑って相槌をうつ。
「そうそう。誰が何と言おうと、玉ちゃんはもうあたし達の仲間なんだからさ!……っていうか、玉ちゃんが居ないとあたし達、元の体に戻れないし。」
「えっ?改造された体……元に戻せるの!?」
「ああ、ヒュラ子は気絶していたから知らないんですね。私達、カプセルから解放された後に玉ちゃんに案内してもらって、改造されてしまった体を元に戻す方法が記録されているアラガントームストーンを探していたんですよ。そしてそのトームストーンを見つけ出して、玉ちゃんの中に入れてあるんです。……だからその為にも、絶対に玉ちゃんを連れて帰らないといけません。」
エレベーターの中でもパーティはアラグの防衛機構に襲われているのだが、会話をしながらでも彼女らは雑作もなく攻撃の範囲を避け敵を打ち倒していく。
「そう。なら尚更頑張らないといけないわ………ねっ!」
瞳を輝かせ、楽しそうに笑って呟くとヒュラ子は渾身の力で魔法を放った。
ハイアラガン装備に身を包んだクローン達を、巨大なケースから現れて襲いかかってくる彼女らの身の丈の倍もありそうな合成獣を、受け止め、捻じ伏せ、吹き飛ばす。
屠った敵を一瞥もせずに、彼女達は血煙を纏った一陣の
普段から強力な装備を手にする為にアラガントームストーンを稼ぐべく数えきれないほどの回数を様々なダンジョンに入り、事も無げに生還している彼女達にとってはこの魔科学研究所ですら幾度もクリアしている勝手知ったる道のりだった。
そんな彼女らが一丸となって進んでいるのだ。立ちはだかる敵などものの数ではない。……そしてそれは、ダンジョンの最奥で待ち構えている者ですら例外ではなかった。
「さてと……皆さん行きますよ?ララちゃん、強化をお願いします。」
「分かってるって!……んじゃあ、おっ始めるとしますか!」
ララちゃんが
アウラさんが敵の注意を引き付け軽々と範囲攻撃を避けつつ得物を振るい、その周りではミコにゃんが的確に位置を取り、強化スキルを使いながら猛ラッシュをしかける。
少し離れた場所ではヒュラ子が緻密に計算されたスキル回しで魔法を詠唱し、ララちゃんがメンバーの体力や状態に気を配りながら
敵の攻撃範囲も次にどんな行動をするのかも、彼女らは考えるまでもなく体に染み付いた感覚で分かっていた。
何しろ今まで幾度となく足を運んで戦ってきた相手なのだ。今回のような予測の出来ない事態がなければ、リアルタイムではレベル
何より彼女らはこの星の加護を受けた『光の戦士』達なのだ。彼女らの行く手を阻む者は、例え魔物や妖異、果ては神や世界の理の外に居る者だとしても容赦なく打ち倒し自分達の道を切り開いてきた歴戦の冒険者らの前には、手の内を知り尽くした周回用ダンジョンの敵など赤子も同然だった。
「うおおおおおおお!さっさとそこをどけるのにゃーーー!!」
体力が僅かになった敵に向け、ミコにゃんが渾身の力を込めた一撃を放つ。四人の力を集結させたリミットブレイクが命中し、敵が倒れ煙のようにかき消えると彼女らはラストの敵を倒した後にいつもしている勝鬨すら上げずに、現れた光の柱の中へ飛び込んだ。
*****
光の柱の中に入った途端、潮の香りが鼻をつく。気がつくと四人はミスト・ヴィレッジにある彼女達の家の庭先に立っていた。
自分達が何事もなくダンジョンをクリアし無事に戻ってきた事を実感すると彼女達の体から力が抜け、へなへなとその場に座り込む。
「ふわぁー、間に合ったー!!」
庭の芝生に寝転がりつつミコにゃんは鞄を探り、赤い筋を点滅させ続けている玉ちゃんを取り出すと大きな声で笑いながら玉ちゃんを抱き締めて、表面に熱烈なキスをした。
「ふぅー……。どうなる事かと思いましたが、何とかなりましたねぇ。」
いまだに力の入らない足で立ち上がると庭に置いてあるベンチに腰掛け、アウラさんは伸びをして長くため息をつく。
「本当にそうね。とりあえず家の中に戻って、休憩がてら話し合いましょうか。」
「おっけー。……ていうかあたしのブラジャー、ララフェルサイズだからきつくてしょうがないし中が母乳でべちゃべちゃだから気持ち悪いんだよねー。だからさっさと体を元に戻したいんだけど……。」
そう言うとララちゃんはぴょこんと立ち上がって玉ちゃんに視線を送り、可愛らしく小首を傾げる。それに続いて他の三人も玉ちゃんを見つめると、玉ちゃんは表面を一瞬フラッシュさせて無機質な機械の声で話し出した。
『ソレニハ先程セットサレタ アラガントームストーンノデータニ記載サレテイル設備ガ必要デス 設計図ヤ必要ナ素材 及ビ素材ノ入手方法等ハ全テ把握シテイマスノデ 再ビ魔科学研究所ニ赴キ必要素材ノ調達ガ出来次第製作ガ可能デス』
その言葉に四人は顔を見合せていると玉ちゃんは球体の一部から光を放ち、何かの設計図らしき立体映像を空中に映し出す。
「えっ?ちょっとこれ……私達が捕まっていたカプセルじゃない?」
「……やっぱり、そうですよねぇ?」
「まぁ改造されたのもこの中だし妥当だとは思うけどね。……でもこれって、あたし達のクラフトスキルで何とかなるものなの?」
映し出された立体映像を凝視しつつヒュラ子とララちゃんとアウラさんが難しい顔をして話し合う。それを見ていた玉ちゃんを抱き抱えたままのミコにゃんは、玉ちゃんの表面を撫でながらニンマリと笑った。
「きっと大丈夫にゃ!だって照明システムも滅菌システムもアラグ文明のものでしょ?それなら前に作った事あるじゃん。玉ちゃんだって居るし、アタシらが力を合わせたら出来ない事なんてないって!」
にゃははははーと笑い声をあげ、何も考えていないような底抜けに明るい笑顔につられて三人は力が抜けたように苦笑いをすると、芝生に座っていたヒュラ子は疲れを忘れたかの様に立ち上がり、膝を払ってゆっくりと家の入り口へ向かって歩き始める。
「それもそうね。じゃあ早速家に入ってお風呂と食事。あとはぐっすり眠って、難しい事は明日みんなで話し合う!っていうのでどうかしら?」
「うわーいお風呂お風呂ー!もちろんみんなで入るんだよね?ねっ?ねっ?」
「……ミコにゃん、一緒にお風呂に入るのは構わないけど変な事はしちゃダメよ!?みんな疲れているんだし、大人しく体を洗って温まったらご飯食べて、きちんと歯磨きをしてから寝るのよ?分かった?」
お風呂と聞いて目を輝かせるミコにゃんをヒュラ子は軽く睨み付け、行儀の悪い子供をたしなめる様に言い含める。しかしヒュラ子の小言はミコにゃんの耳には入らずに、彼女は玉ちゃんを抱き抱えたままピョンピョンと跳び跳ねて家の中へと入っていった。
その後彼女らは玉ちゃんを使って様々なアラガントームストーンに入っているデータを読み取り、そのデータを頼りに魔科学研究所を始めとするアラグ文明の遺跡や施設を捜索して素材を集めては最初に捕らえられていたカプセルのみならず色々なアラグ文明のアイテムの復元を秘密裏に試みるのだが………その話はまた別の機会にするとしよう。
思い返してみたらこの作品を書いているうちに、面倒くさいとしか思っていなかったはずなのに魔科学研究所に妙な愛着のようなものを感じるようになっていた自分にビックリしています。
それだけではなくいつの間にか、「これ見よがしに蛮神武器を鬼の首を取ったように自慢してくる奴等と同レベルになりたくない!」と思って敬遠していた三闘神関係のクエストを(真だけですが)ストーリーを見る為とは言えCFを回してやるようになるとは……。
色々あって引退しようと思った時もありますが、何だかんだでFF14が好きなんだなーとしみじみ思っていたりします。
話の長さは無いと思いますが次の話も考えてはいますので、また書きあがり次第アップしたいと思います。
基本的に作品を披露する場というよりは自分の落書き帳をネット上で公開していると言った方が正しいので、仮に誰も待っていなくてもネタがある限りアップし続けると思いますけどねw