次のバージョンアップまでまだ若干あるんですが、とりあえずレグラさん、三闘神クエが終わっても無事で居て下さい!この小説のネタの供給源として(おい)。
「遅いなー。アウラさん、何やってるんだろ?」
家の庭に置いてあるカーバンクルベンチに腰掛け足をしきりにブラブラさせながら、ララちゃんは不満げに口をとがらせた。
「いつもはむしろ一番早く準備が出来ているのに、今日はどうしたのかにゃ?」
ララちゃんの言葉を受けて隣に座っているミコにゃんも首を傾げ、二人は不思議そうに顔を見合せる。その横で腕を組んで座っているヒュラ子は、何やらニコニコしながら家の入り口を眺めていた。
「ふふふっ、アウラさんは昨日からずっとミラージュプリズムを片手に愛蔵品キャビネットとリテイナーベルの間を行ったり来たりしているからねー。多分、武具投影のコーディネートが決まらないんじゃないかしら?」
「そんなデートに行く訳じゃあるまいし、わざわざ魔科学に行くだけなのにおめかししてるだなんて………。あっ!?」
胡散臭そうにしかめた顔を唐突に上げ、ララちゃんは目を丸くしてヒュラ子を見上げる。するとヒュラ子はララちゃんに向かってニヤリと意味深な笑いを返した。
「なになに?二人ともどうしたのにゃ?仲間外れはイヤなのにゃー!」
何か合点がいった様子の二人が揃ってニヤニヤと笑い始めると、それを見たミコにゃんはじれったそうに手足をばたつかせて駄々をこねる。そうしているうちに勢い良く家の扉が開き、アウラさんが慌てふためいて飛び出してきた。
「ご……っ、ごめんなさい!待ちましたか!?」
息を切らして三人に謝っているいるアウラさんは、ヘルファイアディフェンダーアーマーにスカイパイレーツ・ディフェンダーガントレットを身に付け、黒く染色したウラエウススカートとアダマンディフェンダーソルレットを合わせる。といったいでたちで、彼女の顔をよく見れば薄くアイシャドウと頬紅まで入れている。
普段それほどお洒落装備や美容院に頓着しないアウラさんがかなりの時間をかけてミラプリに悩み、あまり好んで選ばないような大きく胸元の開いた鎧やミニスカートを武具投影しているのを見て、ヒュラ子とララちゃんはニヤニヤ笑いを抑えつつアウラさんに向かって手を振った。
「大丈夫、そんなに待ってないわよ。」
「ていうかどうしたの?ミラプリ、かなり気合い入れてやってたみたいだけど。」
二人が訳知り顔で微笑みつつさりげなく詰め寄ってくるのを察知して、アウラさんは思わず数歩後退ると眉を八の字にした顔を真っ赤にしてうつむいた。
「なっ、何ですか二人ともぉ!……あ、あの………。ミラプリ、やっぱり変ですか………?」
視線を惑わせておろおろするアウラさんの瞳がみるみるうちに潤んでいく。目に涙を溜めて突然後ろを振り返り、再び家の中に入ろうとするアウラさんの手をヒュラ子が咄嗟に掴むと、やれやれと溜め息をつく。
「別に変な所なんてないわよ?それに、これからダンジョンに行くのにそんなに意気込んでおめかししてもしょうがないでしょ?誰に見せる訳でもないのに。」
苦笑しつつ言ったヒュラ子の言葉にアウラさんは一瞬肩を震わせ、複雑な表情をして小さくうなずく。それを見て他の三人は互いに視線を交わすと、ララちゃんが肩をすくめながらコンテンツファインダーの申請を出した。
魔科学研究所に着いた彼女らは、いつものようにララちゃんのかける
行く手には帝国兵の大軍が待ち受けているのだが、レベル
帝国の兵器や兵士を倒して進んでいくうちに心なしかアウラさんの唇が一文字に引き結ばれ、顔を赤くして切なそうに視線を落としていった。
進路を阻む帝国兵を倒し切り、四人はいつものように奥へと駆けていく。すると突然、「木っ端微塵だ!」という気合いの入った声が聞こえ、その声を追うようにアウラさんはハッと顔を上げる。……そして彼女の視線の先には、魔科学研究所を防衛する機械の残骸に囲まれたレグラの姿があった。
(ああっ!……レグラ……さん………!)
両手の拳を無意識のうちにギュッと握り、アウラさんは何かを堪えるような表情で目の前に居る青い鎧の男をじっと見据える。
「ようやくガラクタ掃除が終わったかと思えば……やれやれ、ここで再会するとはな。」
いつものように魔科学研究所でレグラの姿を見られた喜びと、その彼と刃を交えなければいけない哀しさに唇を噛み締めると、アウラさんは一、二度頭を振って無言のまま床を蹴り、彼の前に飛び出していった。
「……久しいな。」
レグラに向かってヘイトコンボを繰り出すアウラさんの耳に、いきなり穏やかな声色が飛び込んでくる。その声を受けて悲しげに顔を歪ませたアウラさんを表情の分からない兜越しに見つめながら、彼はいつも通りの掛け声に隠すように、彼女にしか聞こえない声で言葉を続ける。
「蛮族共がッ!…………今回も、適当なところで切り上げて離脱するつもりだ。だから……ここを踏破した後にでも、この場所に戻って来られないだろうか。」
彼の口から出た意外な囁きに驚いて目と口を呆けたように開けるアウラさんを見つめ続けながら、レグラは彼女に囁いた。
「……実は今、お前の忘れ物を返そうと思い、持って来ているのだが……。捕らえた!…………ガンバスタードッ!!」
「きゃああっ!ちょ…ちょっと戦闘中に何て事を言い出すんですかっ!と言うか、今まで適当なところで切り上げていたんですか!?」
思わず武器を取り落としそうになりながらも、アウラさんは自分でもスキルを駆使しつつ会話の最中でも容赦なく繰り出される攻撃を避け、顔を真っ赤にしてレグラに囁く。
「終わりにするッ!…………それはそうだろう。流石にお前達とまともに事を構えては命がいくつあっても足りないからな。……それで、どうだ?来られそうか?」
「ああもうっ!どうして技を出しながら内緒話をしないといけないんですかっ!?………ま、まぁ……多分、来られないこともないと思いますけれど……。」
「わかった。それでは、待っているぞ。…………小賢しい蛮族が!行け、タレット!」
レグラがそう言い放ち部屋の隅に魔導タレットを配置るのと同時に、彼も目にも止まらぬ速さで部屋の隅に移動して長い帯状の範囲攻撃を放つ。
レグラとはこの場所で数え切れないほど戦っているので彼の手の内は分かり切っているのだが、アウラさんは唐突に会話を切り上げて攻撃に移るレグラに面食らいつつ次に取るべき行動に動き、困惑した表情で口を尖らせた。
「ですから、話している途中でそんな物出さないで下さいっ!……っと、そんな事を言ってる場合じゃありませんね。タレットの線を取りに行かないと……。」
口の中で一人文句を言うとアウラさんはタレットから出る線を付けられた味方の間に割って入り、攻撃を引き受ける。その間にもレグラが放つ帯状の攻撃を避け、彼女は仲間と協力しつつ次々と出てくるタレットを破壊していき、彼の攻撃を受け流しつつ
「チッ、さすがに手強いか……。ここは退かせてもらおう……またいずれな!」
いつもの捨て台詞を言い放ち、レグラは隠しを探ると手にしたものを地面に叩き付けて姿を眩ませる。
魔科学研究所の1ボス目が終わると、道中に取れるアイテムも無いただ踏破するだけのダンジョンなので他の三人は振り返りもせずに駆け出していく。
そんな中アウラさんは彼が消えた場所を一瞥すると切なげに顔を臥せ、うつむいたまま走り出した。
(……わたしの下着なんて、捨ててしまっても良かったのに……。)
道中に現れた敵の大群に挑発やフラッシュをかけて走り抜けながら、アウラさんはレグラに優しく抱きしめられ体を貫かれた時の事を思い出す。
あの時とは違って互いに何者なのかが分かっているはずなのに、何故彼はわたしを呼び出すのだろう?という疑問が彼女の頭をぐるぐると巡り、考えついた答えを忘れようとがむしゃらに武器を振るってヘイトを取りつつアラグ文明の機械や不気味に蠢く生体兵器に範囲攻撃を叩き付ける。
(……あの人は、本当にわたしに忘れ物を返す為だけの用事で呼び出したのでしょうか?……いえ、仮にそうではなかったとしても……あの人に逢ったところで、わたしは……何も出来ないし、してはいけないの……。)
やり場のない胸の苦しさをぶつけるようにアウラさんは敵を引き付け、大きな群にまとめて他の三人と共に力の限り吹き飛ばす。
その最中にも関わらず彼女頭の片隅には夢の中やレグラの部屋で体を愛撫され一つになった記憶が留まり続け、封じようとしている気持ちが溢れ出しそうになるのを必死に堪えていた。
(ああ……っ!どうして貴方はあんな事を言うの?わたしは何とか貴方を忘れようと……諦めようとしているのに……!)
心の中でレグラに向かってそう叫んでも、彼と逢う為に一生懸命武具投影の組み合わせを考え、美容師に髪を整えさせて普段はめったにしない化粧までしているという自らの矛盾にアウラさんは気付いていない。
アラグ文明の機械とそれが呼び出す生体兵器を倒しきって前に進み、以前思いもよらない事態に遭遇した生体兵器研究棟でハルマキスと対峙していてもその時の事を思い出しもせずに、アウラさんはタンクとしての技を振るいながら自らの内にある甘い記憶やレグラに対する思いと必死に戦っていた。
他のR-18小説を書いている方々がしている様にエロシーンが含まれている話に印をつけた方が分かりやすいのかな?と思ったけれど、むしろエロシーンがない話の方が少ないのに気がついて震える。