※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん【貴方】   作:呉のしいたけ

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榛名と男提督のR18小説です。
各提督の榛名のイメージと異なる可能性が大いにあるので、注意してお読みください。





【榛名】貴方を離さない。

 

 

 

 

 貞操は氷柱のようなもの。

 いちど溶ければそれが最後となる。

「誰が言ったかは知らないデスが、上手に言ったものデース」

 風味漂う紅茶のカップを片手にイギリスの帰国子女は一人頷いた。

「まァ、程々にしてネ。ワタシ達の提督に何かするつもりなら……榛名(・・)」

 

 

 

 

 

「大切な妹でも容赦しないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 今日もまた無事一日を遂げられた。

 出撃した艦隊も、遠征に出した艦隊も怪我なく帰ってきてくれた。

 艦娘を率いる提督としてこれ以上に嬉しいことはない。

 幸運の女神に感謝し、今日の事を書き留めた日記を閉じて文机の引き出しに収める。

 壁に掛けた時計を見ると時刻は十一時丁度。そろそろ寝る頃合だ。

 そう思うと同時に扉が控えめにノックされ、提督はピクリと肩を揺らした。

 この時間帯に来る艦娘の目的は大抵決まっている。

 もし何時も通りの目的で来られたら、彼は男として頑張らなければならない。

 夜戦……この場合、それは深海棲艦との夜の決戦ではなく、男女の性的な意味を持つ。

 嫌ではない。嫌と言えば嘘になる。

 むしろ、一般男性からすれば天国そのものだろうに。

 何しろ艦娘は美女、美少女ばかり。それで無償の愛を捧げてくる娘が両手の指よりもいる。

 夜戦は置いておき、正直感謝している。

 彼女達に助けられ慰められ、救われた事は数え切れないのだ。

 自分に出来る事なら何でもしてあげたいと思った。

 食事や奉仕や贈り物、何でもいいと言った……ハッキリ言ってしまった。

 艦娘が夜の私室にやってくるようになったのは、それを言ってしまった日からだ。

 好意は感じていても――いくら自分以外に男性がいないとしても――まさか自分がそこまで慕われていたとは夢にも思わなかった。

 軍規には〝艦娘と必要以上に親しくしてはならない〟とある。

 四六時中女性に囲まれても性欲を抑えられる自信があったのに、どうしてこうなってしまったのだろうか。

 自分のような足場もない男が、彼女達を受け入れていいのだろうか……?

 そこが不安で、けれど必要とされる喜びは提督にとって如何ともしがたいものだった。

 誰かの為に生きる――それが存在理由であるがゆえに。

 たとえ、他者に植えつけられた理由だとしても。

 

 

 

 

 

「誰ですか?」

 扉の直前で確認。

 ノックの仕方で静かな娘か、と予測できて落ち込みそうになるが耐える。

 いかんせん……どうも慣れすぎだ。

 今夜は提督の休息日。部屋には誰も来ない日の筈だが、緊急の用事であるなら話は別だ。

「榛名です、提督」

 小さく抑えた声で彼女は答える。

 榛名。金剛型三番艦の艦娘。

 清楚可憐を体現しているかのような少女で、他の鎮守府の提督は「嫁さんにしたい」と言っており、彼も榛名のことは非常に好ましく感じている。

「どうぞ」

「……失礼します」

 入ってくると申し訳なさそうに頭を下げた。

 気にしないでと言い、居間に通して客用の座布団に座らせる。

 同じ目線になると様子がよく見て取れる。榛名は暗い顔をしていた。顔色がよくない。

「何か嫌なことがあった?」

「……。あ、いえ、そんなことはありません……」

「規則正しい貴女が今夜来るぐらいだ。悩みがあるなら言ってみなさい。相談に乗るよ」

 例えるなら先生のように優しい口調で言った。

 艦娘のメンタルケアも提督の責務と彼は考えている。

 最前線で戦う艦娘はストレスを溜めやすい。特に精神的に脆弱な子が多い駆逐艦はノイローゼに陥ることもある。

 艦娘は兵器である前に人間――そのことを提督は忘れてはならない。

「提督は、優しいですね……」

 吐息を漏らしながら薄く微笑み、

「ごく最近ですが……誰かに呼ばれているような気がするんです」

「誰かに?」

「はい。眠っている時、一人になった時、暗い場所にいる時。ふとした時に榛名を呼ぶ声が聞こえるんです」

 来る時の廊下でも聞こえた。

 照明の灯りが届いていない場所から、重苦しくてまとわりつく様な呼び声が頭に何度も木霊した。

 ――榛名……はるな……ハルナ。

 後ろに常に誰かが立っているような感覚。けれど振り返っても誰もいない。

 暗い場所を確かめようとすると足がすくんで動けなくなる。全身が強ばって、背筋を蟲が這うような吐き気のする感覚に襲われる。

 頭は警告する。

 確かめてはならない。行ってはならない。追いかければ、取り返しのつかないことになる。

 暗闇に行った艦娘は、深海棲艦の仲間になってしまうかもしれないから。

「声は、今聞こえていない?」

「今は大丈夫です。何も聞こえません」

「他の艦娘にも聞こえているとかは?」

「それは――ないようです。お姉様達も霧島も聞こえない、と言っていました」

 だから不安はより一層強くなった。

 これは何かの予兆なのだろうか。

 私は近々、深海棲艦にやられ海に沈むのだろうか、と感じ始めた。

 そんなのは嫌だ。もっと此処で生きていたい、もっと皆と話していたい。折角、姉妹全員が揃ったのに。

 何よりも私はずっと、この人の側にいたい。

「絶対に聞こえないのは、提督といる時だけだと思います」

 そう言って、なんてことを言ったのかと顔が熱くなる。

 彼もいきなりの発言に面食らって……いなかった。

 むしろ落ち着いて、真剣な面持ちのまま頷いた。

「なら暫くは榛名を秘書艦にしよう。出撃は控え、可能な限り一緒にいるようにする。構わないね?」

 面食らうのは榛名の方だった。

 頬の赤みがさらに増す。

「は、榛名は戦えますっ。一線で戦うのは難しいかもしれませんが、鎮守府の警備ぐらいは!」

「許可できない。私が万全の状態になったと判断できるまで出撃はさせない」

「でもっ…………それでは、足でまといではありませんか」

「貴女を足でまといに思うような人はいない。榛名は充分頑張っているよ。貴女の努力と活躍は鎮守府にいる艦娘だけじゃなく、この近くに住まう人々も耳にしている。慰労の言葉こそ言われても、誰も休むことを責めたりはしない」

 分かった? と目で語りかける。

 榛名は何かを言おうとして詰まる。

 言い繕って表面上は断ろうとしても、内側は提督の案を受け入れていることに気付いたからだ。

 そもそも、此処に来た時点で提督に頼ると決めていたようなものなのだ。

 ここに来る時は誰にも言わず、誰にも気づかれないよう静かに部屋を出た。

 提督の部屋に彼以外がいないと分かった瞬間、内心ではほっとしていた。

 直前まで声に怯えていたのに運が良いとすら思ってしまった。

 気づかなかっただけで、提督が言うことに反論すれば、提督はもっと優しい言葉を言ってくれると期待していたのだと思うと、今すぐ躰を掻き毟りたくなる。

 実際、秘書艦にすると言われた瞬間に胸に広がったのは混じり気のない喜びだ。

 温情に満ちた表情と声に、榛名はここに来てよかったと確信した。

 おぞましい……なんて浅ましい女なのか。

 提督も疲れているはずなのだ。

 百人以上いる艦娘を率いることがどれだけ大変か、軍艦の頃に大勢の人を乗せた榛名には分かる。

 途方もない責任を背負っている。しかもそれは彼の肩から片時も離れようとしない。

 そんなヒトに私は甘えようとしている。

 自己険悪。膝に置いた手が強く握り締められ、爪が皮膚に食い込んだ。

「一人で抱え込まないでいい。榛名はもっと頼っていいんだからね」

 目の前の少女の葛藤を見抜き、出来る限り力を入れず躰を抱き寄せる。

 抵抗しようとしても躰は言うことをきかず、ますます情けなくなった。

 せめて顔は見ないようにと提督の胸に顔をうずめた。

 ごめんなさい――そう謝ってしまう榛名を、泣く子を慰めるように撫でる。

「他の方だけでなく、提督は榛名にまでこんなに気を遣かってくれて、本当に……感謝しています」

 うずめた胸の心音を聴いていると少しずつ落ち着いてきた。

 恐る恐る見上げる。深い海底のように落ち着いた黒い瞳と視線が合う。

 ちょっと恥ずかしいけれど、榛名は琥珀色の瞳を逸らそうとはしなかった。

 頬がうっすらと紅い美少女に儚げに見つめられ、否応なしに提督の心拍数が上昇する。

 部屋の空気がいけない方向に向かっていくのを直感した。

「あの……どうしましょう?」

「どうすると言われましても……このまま寝ようか?」

 寝室に布団は敷いてある。二人で寝てもまだ余裕がある高級品の布団。

 家具職人が頼んでもいない気を利かせた結果、提督の寝室の布団は〝鎮守府にある布団の中でも特に寝やすい〟との評判である。

 提督を親しむ艦娘の信憑性ある評判で特に深い意味はないはず。

「「…………」」

 ここで〝普通に寝る〟という選択肢が許されると思うほど、提督は鈍感な男ではない。

 榛名はそう知っているため失望せず、反射的に言ってしまったと判断した。

 自分を頼って欲しい、と過去に言った提督。

 彼に下心は欠片もなかったのだろうが、生憎艦娘の方はそうはいかなかった。明るみの元には言えない下心が満載であった。

 とは言え、何の計画性もなくいけば崩壊するのは自明の理。下手をすれば他の艦娘がいる状況に出くわすこととなる。それは大いに望ましくない。

 ならば、と彼女達は妥協した。提督を一人の女性として慕う艦娘は集まり、〝これぐらいなら大丈夫〟と言えるだけの計画表を練り上げたのだ。

『――赤城さんはいいとして、五航戦の子はいただけませんね』

『Oh……提督LOVEが多いのは嬉しいデスけど、ううん、ワタシの時間が少なすぎデース!』

『居住性では大和、誰にも負けませんから……!』

『軽巡と言えども、阿賀野型はこの程度で沈まないわ……!』

『うわっ、ちょっと多すぎじゃない? 鈴谷ドン引きなんですけどー』

『――大丈夫だよ。私は皆とでも』

 重要な物になる為、艦娘の高い計算能力、予測能力を以てしても作成には時間と労力を費やした。

 提督は艦娘が望むなら、と要求に見事に応えてくれている。

 肉体関係でも本人が他の艦娘との関係を許容できるなら強く拒みしはしない。

「提督……」

 榛名は期待する。躰は火照り、心は燃え上がる一方だった。

 胸の奥が苦しくて、伝えたいがために押し付けた。乳房が潰れて乳首が擦れる。

「榛名は、大丈夫です。でも……今晩はちゃんと眠れるか不安だから……」

 返答は短く、行動は速く。

 目は合わせたままで二人は唇を重ねた。

 

 

 

 

「ん、んぅ……っは…………あ」

 重ねるだけのキスはすぐに離れ、ひどく寂しい声が口から漏れた。

 最初から激しくしないのは経験で分かっている。

 ゆっくりと溶け合うように交わるのは榛名も勿論好きだ……でも今夜は異常にアツイ。

 もっと触れて、もっと深く、私を離さないでっ。

「んんっ……ちゅ……ちゅく……ふっ、はっぷ……」

 二度目も軽いキスで済ませようとしたから首に両手を回して捕まえる。

 もうしがみついているも同然の状態。

 これでは自分が捕まえているみたいで、密着していないと不安になってしまう。

 榛名は心底幸福そうに眼を細め、小さな舌を尖らして彼の唇をつついた。

「ふぁ……んちゅ、ちゅぷ、ふ、ちゅ……ちゅうぅっ、んぁ」

 開かれるとすぐに滑り込ませ、舌と舌をねっとり絡め合う。

 唾液をたっぷり乗せて送り、彼の唾液を吸った。

 チュルチュルと淫らな水音が耳に侵入してきて、頭が沸騰しそうなぐらいに恥ずかしい。

 あぁ、でも本当に美味しい。味は殆どない筈なのに甘さが口中に広がっていって、もっともっと欲しくなってしまう。

「じゅる、じゅ、んじゅ……んく……くちゅ、っふあぁ……ふふふ」

 口内を余すとこなく舐めて、思う存分唾液を啜って、やっと口を離す。

 長いキスで提督の息が切れていたが、艦娘の榛名は蕩けた微笑みを浮かべていた。

 栗鼠のように小首を傾げて「だいじょうぶですか?」と問う。

 キスをする前とはあまりに異なった表情だった。

「大丈夫だけど、はぁ……鈍っているみたいだね。躰を戻さないと」

「では今度、一緒に訓練をしましょうか?」

「普通に? 今の榛名を見ていると……それだけで終わりそうにない気がする」

「榛名もそう思います。もしかして提督は、積極的な榛名はお嫌いですか?」

 言葉と共に体重をかけてくる。

 ここで嫌いと言われたら榛名はどうするのだろうか。そんな考えが浮かぶ。

 多分、今なら傷つかないで笑って押し倒すだろう。

〝それだと後ろの文机が邪魔になってしまいそうです〟

 硬くて危険だ。頭を打ったら一大事になってしまうかも。

 睨むように見ていると、

「ううん。こういう時ぐらいは素直になって欲しいし、押しの強い榛名も好きだよ。艦娘の――貴女の役に立てるなら私は本望だ」

 期待以上の言葉に榛名は感動してしまう。

「て、いとく……早く続きを。ふ、布団でしましょう」

「服を脱いだほうがいいと思うな」

 艦娘の正装にはスペアがあり、もちろん製造も可能だ。

 しかし、汚すのは控えるべきである。

 文机の前から離れて布団に移った後で言うと、予想外にも榛名は「今は……このままがいいです」と返してきた。

 榛名が望むのならこれ以上、自分に言うべきことはない。ただ、頷いて安心させるだけだった。

 部屋の明かりを必要最低限に調整すれば、いよいよ榛名は待ちきれないとばかりに迫って、押し倒すような勢いで覆い被さる。

 目は潤み、声は艶やか。自分はきっと凄くはしたない顔をしている。

 おかしくなりそうなのを自覚して口づけを求める。

「んんっ……ぐじゅ、じゅ……れう、ふ、んう、ちゅるる…」

 さっきよりも深く絡め、漏れ出る唾液を嚥下する。口の端から溢れる唾液もしっかり舐めとる。

 自分の跡を残したくて他のところにもキスをしていると、ついに胸に手が添えられた。

〝っ、あぁ……〟

 榛名は着痩せするタイプらしく、普段はサラシも巻いているので、服の上からでは分かりにくいがとても豊満だ。

 触れば白い果実は面白いように形を歪ませ、彼女も敏感に反応するから酷く男の情欲を刺激する。

 乳房全体を撫でるように手を動かされ、ビクビクと背筋が跳ねた。

 尖り始めていた乳首を押し上げられ、ついに離れてしまった。

「あっ……んッ」

 直に触って欲しくなって胸の部分をはだけさせる。

 露わになった乳房が触ってほしそうにふるふる揺れて、羞恥心で顔が真っ赤になる。

 実際は榛名が無意識に躰をくねらせているからだが。

「ひぅっ!!」

 優しく握られて、人差し指と中指で乳首を挟まれた。

「あ、あぁ、っ! てい、とく。もっと強くお願いします……ふぁぁ!」

 躰が反り返って彼の両手を掴み、もっともっとぐりぐり押し当てる。

「気持ちいい、ですっ。あう、あ! 提督、胸にぃ! やっ! あ、あ、んんん!」

 言うことを聞かない。ガクガク痙攣してしまう。

 何時の間にか彼は胸に吸い付いてきていて、先端を断続的に噛んでくる。

 なんでこんなに気持ちよくできるのかと思うぐらいの絶妙な加減。

 予想以上に快感が強くて頭の中が真っ白になりそうになる。

「や、やめて。いや、やめ、やめや、め……い、ひうぅぅっ! あぁ! て、提督ひゃめて! は、榛名、我慢できなくなりますからぁ!」

 胸だけでイキそうになって慌てて愛撫を止めさせると、榛名は変な声を出して脱力した。

「はふぅ……ふぅ……ふぅ……ご、ごめんなさいっ」 

「気にしないで。する方は、感じてくれた方が嬉しいんだから」

「あぅ……ですが、恥ずかしいです。こんなに早くイってしまいそうになるなんて、榛名ははしたない娘です……」

 しかも直前で止めさせた為に疼きがどんどん強くなってきている。

 なんで止めたのか、と自分を非難しているようだ。

 躰をもじもじ揺らすと、秘所から粘着質な水音が聞こえて耳を閉じたくなった。

 幸い提督の耳には入らなかったようで、泣く子供をあやすような手つきで頭を撫でてくれている。

 嬉しいのに悔しい。これではまるで子供扱いだ。

 ……確かに榛名よりも大人の艦娘はたくさんいる。

 咄嗟に浮かんだのは長門型や大和型。彼女達なら、榛名が知らない提督の一面も知っているのではないだろうか。

 榛名は、苦しいまでの快楽で歪んだ彼の表情を知らない、朝まで泥沼のように交わるぐらいに参らせたことはない、ましてや勤務中に至ったことなんて一度もない。

 榛名はいつもいつも受身で、「榛名でよろしければ」と言うのは控え目なのが良いと思っているから。金剛お姉様のように堂々とは言えない。

 謙虚は美徳。提督はそう言ってくれる。しかし、果たして自分は彼を満足させているだろうか?

 情事が終わった後も、提督は今のように頭を必ず撫でてくれる。

 疲れているのは確かだが、まだまだ余裕があるように見えた。

 私は、提督と対等の立場にいたい。……もし、それ以上を望むなら恥や外見は捨てないと。

 ここまで思慮して榛名は笑う。

 優艶で男という男を魅了する、本当に妖しい微笑みを。

〝もう心配はありません。榛名は提督のお言葉通り、満足するまで、寂しくなくなるまで、何も届かなくなるぐらい……私は貴方を離しません〟

 提督を倒す。動作はゆっくりで優しかったのに、彼はまったく反応できなかった。

 そのまま流れるように服を全部脱がせられ、怒張している熱いモノに息を吹きかけられる。

「すっかり大きくなっています」

 提督は曖昧に頷いた。

 榛名の明らかな変容をまだ受けきれていないようだった。

 それが嬉しく、鋼鉄のように硬くなった肉棒を片手で扱きはじめた。

 ビクと肉棒が震える。

「私は提督以外の男性のモノを知りませんが、皆こんなに大きいのでしょうか?」

「こんなのは比べるようなものじゃない……」

 微苦笑。榛名もつられる。

「そうですね。でも、貴方と交わった艦娘は誰一人不満を言っていませんから、コレはきっと立派なモノなんです」

 何と返せばいいのか。

 肉棒を細く温かい手に包まれるように扱かれながらでは、上手い言葉が出てこない。

 ゾワゾワと痺れるような気持ちよさに次第と意識が集中していく。

 榛名は手淫の経験が殆どない筈なのに、的確に弱い部分を擦ってくる。

「どうでしょうか、提督は気持ちよくなられていますか」

「……あ……うん」

「ふふ、よかった」

 コツを掴んできたのか、扱き上げる途中で強弱を付けて器用に愛撫する。

 先端からは透明な液が漏れ出し、それを手の平に広げて続ける。

 ニチャニチャと音がなって、指を蠢かせるともっと酷い音になった。

 聞いていると大切な部分が熱くなり、手を持っていきそうになるのを堪えて、亀頭をぐりぐり撫でさする。

「声、出してもいいんですよ」

「いや……それはさすがに……」

 随分と切羽詰った声だった。

 上目遣いで見上げてみると提督は笑っていない。シーツを掴んで耐えている。

 心臓が高鳴った。

「はぷッ」

 衝動に任せるがままに肉棒を含む。

 いきなり手よりも熱く、大量の唾液でぬめった口内に導かれて肉棒がビクビク震えた。

 口の中に広がるカウパーと匂いは本来なら嫌がるものでも、今なら喜んで歓迎できる。

 何をすればいいという知識はないから、ただ本能で舐めしゃぶった。

「んくっ……ぺちゃぺちゃ、ちゅる、じゅるる、じゅ、ん、んっ……くじゅ、れろれろ、んぷ、ぷ」

 竿を舐めて、吸って、しゃぶって、舌を絡みつかせる。

 提督がどんな顔をしているのか見えない。だが、必死に堪えているのだけは分かって、榛名により一層燃料を投下する。

「ちゅうぅぅぅ……んふっ、じゅるるるっ! ……んく! ちゅく、ぴちゅ、チュルル!」

 先端に貪欲に吸い付いて、自分の唾液ごと先走り汁を嚥下する。

 親から餌を求める雛鳥ですら、ここまで激しく求めはしないだろうという熱意。

 こんなに強くしても息は全然苦しくない。人よりも頑丈な艦娘だからこそできる強烈な愛撫だ。

「んちゅ、んんっ、あふ……ん、ふふ。くひ、のなかで、おおひくなってひゃます」

 ペニスが含む前よりも肥大化したのを口全体で感じ取る。

 わざと息が当たるように喋ってそのことを伝えると、ついに視線を逸らされた。

「ひゃめですよ、てーとく。みていてくだひゃい、榛名が、奉仕しているとこを……」

 内心では歓喜しながら、口では寂しそうに告げる。

「じゃないと……続けて、あげませんよ……?」

 はっきり言って待つ。何となく提督が限界に近いというのは分かっていた。

 きっと彼は我慢できない。だって彼には拒む理由がないし、受け入れると公言しているのだ。

 少し顔を引くと、シーツを掴んでいた手がさらに握り締められた。

 十秒ほど経って提督は観念して、意外に早かったから榛名は猫のように瞳を細める。

 そこで意地悪な質問をしようかと思ったが、やめておく。

「じゃあ続けますね……んむ、ちゅう……ちゅう、ずちゅじゅる……じゅむ……はぁ……っ、れろ、れろ、じゅるるぅ!」

 変に考えより、直感に従ってやった方がいいのかもしれない。

 口内に唾液とカウパー液が溜まると、強く吸い上げなら飲み込み、また溜まるまで舐め続ける。

 ペニスの存在感はどんどん増して、口に入れているのが少し難しくなってきた。

 でも、榛名にやめるという選択肢はない。欠片ほども感じさせない様子で犯す。

「ん、ん、ん、んっ、じゅく! んく、はふ……はぁ、ふぅ……ちゅるる、ぐじゅう、ちゅ……」

 裏筋を舌で半周して、亀頭を突き、そして肉棒を根元まで受け入れる。

 榛名の奉仕は巧さと激しさを増すばかりだった。

 ずっ、ずっと前後に何度も激しく動き、わざと音を立てて吸い上げて、それを繰り返す。

 腰が抜けそうな快感が絶え間なく襲ってきて、榛名の頭をつい抑えてしまった。

 榛名は分かりました、と言わんばかりに口内をキツくする。

「は、う、んじゅる! イっていいですよ、提督! は、榛名に、ちゅ! いっぱい……だして、いいんですからね……! じゅるぅ! くぷ、くぷ、んっ! ……んんっ!」

 射精を促す言葉まで言われ、ついに肉棒から精液が噴出した。

 尋常ではない量が尿道を駆け上り、榛名の口内を汚そうと溢れて。

「っうぅぅぅ! んく、くぅ! ぁぁ……ふ、んんんんぅ!」

 彼女は懸命にこれを飲む。フェラチオで精液を飲むと男は喜ぶと知っているから。

 少しでも満足させる為にこぼさないよう一滴残らず、喉の奥に送り込もうとする。

 提督が出す量は覚悟していたため、そこまで慌てずにいられた。

 でも精液を飲んだことはまだ一度もなかったから、どう飲めばいいのか分からない。

 ねばっこい精液は口の中に付着し、どんどん溜まっていってしまう。

 ついには口の端から一筋漏れて決壊した。

 喉や胸やお腹、躰の至るところに精液が降りかかり、榛名を白濁に汚す。

「けふ、けほ。も、もう出しすぎです……さすがに飲み切れません……」

「……っあ。ご、ごめんね。こんなに出るとは私も思わなかった。……無理して飲まなくてもよかったのに」

「ん、いえ。提督から頂けるものは全ていただくつもりです」

 飲みにくいだけであとは全く問題ない。本当は苦い筈なのに甘いとすら思える。躰にかかった分も嫌悪感はまるでない。

「……あ、まだ残っていますね……ちゅ、ちゅ……ちゅうぅ」

 亀頭に吸い付いて、中に残ってしまった精液を味わいつつ飲み込む。

 射精したにも関わらず肉棒は硬くて熱い。無心で弄っていると、フツフツと欲望が湧いてくる。

 また、フェラチオをして射精させようか。

 提督の息は荒く、射精直後の敏感なペニスを吸われて腰が震えていた。

 このまま続けてやったらどうなるのだろうか。今ペースを握っているのは確実に榛名だ。

 抵抗されても金剛型で随一の身体能力を誇る彼女なら、いとも容易くねじ伏せられるだろう。

「あの、もう一度してもいいですか?」

「う、ん……いや、無理しなくてもいいんだよ」

「榛名がしたいんです」

 亀頭の切れ目に口付けた。すぐに透明な液が出てきて、桜色の薄い唇に付着する。

 こちらは素直に期待しているようだ。嬉しくなり、舌を伸ばして赤黒い亀頭を舐め上げる。丹念に、丹念に、竿全体にも舌を這わせる。時折、軽く歯を当てると鋭く跳ねた。

「れろれろ……ふぅ、ちゅぽ、ちゅぷ……んぐ……んっ、んっんっ」

 一度の経験で躰がだいたい把握したのか、最初よりもスムーズに頭を上下できるようになった。

 手の愛撫も加えられるようになり、口の動きと連動して締め上げる。口は力を抜いて、手で強く擦るようにする等と工夫してみる。

 上からは必死に耐える声。榛名は愛おしそうに瞳を閉じ、奉仕に熱中した。

「にゅむ、れるれる……んっ。ん、ちゅむ……んふ……んぅぅ! うむぅ!」

「うぁ……はる、な? 少しでいいから手加減して、ほしいな」

「んぅ? ……んんぅ、ひゃらです。このまま、きもちよくなってくださいっ」

 口に含めたまま首を振って断り、奉仕を続行する。

 何度もぬぽぬぽと出し入れして快感を与え、早く出すように舌を尿道口に差し込む。

 肉棒は震えっぱなしで何時精液を出してもおかしくない状態になった。

 提督も必死だ。男根から送られる快感は限界を超えかけている。しかし止めようとすれば亀頭を噛んで抵抗され、手を伸ばすことができない。

 陰嚢からは再び大量の精液が送られ、肉棒の根元がやおら太くなった。

「っっ!! んむぅ……! ねろねろ、れろぉ……じゅ、ちゅる、じゅるる! ちゅ、ちゅうぅ! んちゅ! ……ん!…んっんっんっー!」

 悟った榛名は全力でペニスを舐めしゃぶる。酷い音が立っているがまるで気にしない。愛しの人のモノを犯すことだけを考えていた。

「ちゅぱ……ら、らひてください! 我慢しないでっ。榛名にまた出してください!」

 呻いた提督の二度目の射精は直後に。

 びゅるびゅる、と音が聞こえそうなぐらいに激しい射精だった。

 決壊したダムにも似た勢いで白濁液が撒かれる。

「んくぅ! んん……っ、ぷあ。あぁ……ふぁ」

 途中まで飲んで口を離す。止まらない精液は濁った放物線を描きながら、榛名に降りかかった。二度目なのに一度目以上に異常に濃くて粘っている。

 自分の躰と巫女装束にべっとり付く精液を、榛名は放心したように受け入れる。

 射精は普通では考えられないほど長く、終わる頃には彼女は余すとこなく汚れていた。

「あぁ……」

 感嘆の息が漏れた。両手で白濁にまみれた自分の躰を抱きしめる。にちゃにちゃと淫靡な音。白い糸が何本も何本も引いて千切れる。

 ……なんて温かいのだろうか。なんて、幸福な気分なんだろう。まるで包まれているようだ。

「く……ふふふ。ふふ、凄いです提督。榛名、こんなに汚れてしまいました」

 布団に倒れている提督のお腹に乗り、期待の面持ちで顔を覗き込む。

 果たして彼は酷く辛そうな顔をしていた。汗はびっしょりで喘ぐような呼吸を繰り返す。

 だが頬に手を添えると、無理にでも優しく微笑んでくれる。

 背筋がぞくぞく疼く。こんな顔をされたら、他者を虐める愉悦がわかってしまう。

「ええ、そろそろ本番と致しましょう。榛名ももう限界です。早く提督を受け入れたくて仕方ありませんもの」

 触ってもいないのに秘所はとろとろに蕩けきり、淫らな愛液が留まらず漏れ出ている。

 一秒でも早く、愛しい人のモノを受け入れたいと言っているようだ。

「もっともっと、深く交わりましょう」

 榛名も同じ気持ちである。絞れば水気が出そうなショーツを脱ぎ、提督の逸物を大事なところにあてがう。頭が可笑しくなりそうな期待が口から現れるのを我慢し、ゆっくりと少しずつ挿入する。

「あ、あぁ……あっ……あ……あぁ、」

 肉棒が膣を掻き分け、奥深くへと侵入していく。その快感は今までとは比べものにならない程だった。自分が彼をリードしている確かな事実が、性感を何倍にも高めている。

「く、ふぅぅ! ……っ…………んぁぁぁぁっ!」

 三分の二ぐらいまで入れると、我慢できなくなって一気に腰を下ろしてしまった。

 奥にぶつかった衝撃で上半身が大きく仰け反り、豊かな乳房が遅れて揺れた。

 頭の中が快感で空っぽになるが、それは一瞬のこと。正確な意識はすぐに戻ってきてくれる。

 はぁ、とうっとりとした吐息。舌端から唾液が糸を引いて落ちる。

 誰からも清らかと認められている少女が、今は性の快楽を知る女の顔になっていた。

「あはっ」

 どんな堅物でも堕ちてしまいそうな笑い。

 淫魔のように魅惑的な肢体をくねらせ、鼻先まで愛しい人に迫る。

 その瞳をどこまでも清浄な想いに満たし、零れそうな愛情で染めて。

「榛名の中の具合はどうですか、提督」

「充分、すぎる……ぐら、い……っくぅ」

 自分とは真逆で、一言にも満身の力を込めて言っているような危うさ。

 ペニスを柔らかい膣肉で揉まれつつ喋るのは難しいようだ。

「お疲れなら楽にしていてください。榛名が頑張りますから」

 額にキスをして、腰を上下に動かし始める。

 ゆっくりと確かめるような腰使いで、肉棒の先っぽまで出し入れする。

 膣壁は出ていくのを拒むように吸い付き、入ってくるときは喜んで締め付ける。

「あぁあ、あっ、はふ、ふうん……はぁ……やぁ、提督の大きいぃです……それに、な、なんだか、まだ大きくなってぇ……あふぅぅ。は、榛名の中が……ぁあっ」

 こうしていると改めて彼のモノの大きさが分かる。

 根元まで入れてないのに子宮口まで届いて、入れると強く押し上げられてしまう。

「素敵です……素敵。提督の逸物、とっても気持ちいいです……」

 それが堪らなくて、もっともっと深くまで入るように、腰の動きを早くしていく。

「っん……ん! あう! ん、あっ、あぁ、ああ ひぁあ……!」

 気づけば叩きつけるような上下運動。溢れる愛液のお陰で抽送に抵抗感はなく、繋がっている部分とその周りはびしゃびしゃだった。

 掃除と洗濯をするのは大変だろうが、そんなのは今どうでもいい。

 提督を愛したい気持ちがいっぱいだった。

「はぁ、はあんっ、あ、あっ、ひあっ……いい、です。きもちぃ、きもちいですっ。ていとくの本当にすごくて、素敵ぃ……ぁあ! だ、だから、もっと、させてください!」

 自分が何を言っているのか分からない。多分、とんでもなく恥ずかしいことを言ってる。あとで聞いたら死にたくなるようなことまで言ってる。

 でも提督は腰を掴んで突き上げてくるようになっている。榛名の動きに合わせてタイミング良く突いてきている。

 嬉しくてぎゅっと膣内が締まった。僅かな隙間もないほど肉棒に密着する。

「あー! あぁぁ! やぁ……あんっ、て、いとくぅ!」

 乳房を鷲掴まれ、出鱈目に揉まれる。乳首を摘まれて軽く引っ張られる。何度も子宮口を叩かれ、榛名も倒れそうになりながらも止まらない。

 跳ねる鞠のように肢体を弾ませて、

「ひぁぁ! はあッ、ん、んぅぅ! ふぁ! ……あぁっ、も、もうだめ……だめだめっ。て、提督……あ――っぅぅぅ! もうは、榛名っ。い、イっちゃいそうですッ!」

 膣内が激しく痙攣する。

 こんなに悶えられては提督も、出したくて堪らなくなってしまう。

「あ、んぅぅん! あぁ、提督もイキそうなんですねっ……うれしいです。……出して、出してください! 榛名が、榛名が全部受け止めますからっ! 提督の精液全部を、なか、に……!」

 抑えきれない喜びを口に出す。その直後に提督が思い切り突き上げて、

「っっ!? ――あ、あぁぁあぁぁぁぁ!」

 同時に達した。

 視界が吹き飛ぶような快感に、頭の処理がまるで追いつかず、びくびく震え上がる。

 真っ白な精液を子宮内に直接流し込まれる感触は言葉に表し難くて、ただお腹が満たされていることしか判断がつかず、出されるままひたすらに受け止める。

 提督の肉棒は何度も脈打ちながら、気持ちよくしたお礼にと確実に孕ませようとする。

「……ふぅ、ふぅ……」

 艦娘でなかったら本当に危ない量を注ぎ込んで、ようやく射精は終わった。

 榛名もその頃には自分を取り戻し、幸せそうな顔で提督をそっと見下ろす。

 そして口の中の唾を飲んだ。

「とても良かったです……でも……ね?」

 たった〝一度〟で終わらせなんてしない。まだまだ続けて、何度でもいかせる。

 私は、提督が私に縋り付くようになるまで犯してみたいのだ。

「夜はこれからです。提督も、夜戦の長さはご存じですよね?」

 伸ばされた手。恋人のように指を絡ませる。少し震えていた。

「決して離しません。もし沈んだら引き上げてあげます。泣いても笑っても気を失っても……榛名はここにいて、〝ずっと提督の側にいるのですからね〟」

 虚ろな瞳を数秒だけ見せつけ、榛名は健気に微笑んだ。

 

 

 

 逢瀬が始まり、どれだけの時間が流れたのか――

 部屋に静寂が戻ることはなく、榛名は提督の上で動き続けた。

 どれだけ出されても決して止まらないで。

 けれど、両手の指の数を超えた辺りから振り切れたのか、瞳を昏く光らせた提督も攻めるようになり、組み伏せられて何度も突かれ、何度も中に射精された。

「んぁっ! ああっ! きもちい、いです! あっあっあっ! こんなぁ、ケモノみたいに犯されてぇ! なんひゃいも、出されて……あっあぁ!」

 前から後ろから上から下から、思いつく限りの体位はやって。

 

「んじゅ! ちゅう、チュウウ! んぐ、ぐっ、んっ、んっ、んーーっ!」

 口を使った奉仕も夢中でやった。出された精液は一滴も残さないよう飲み干した。

 

「てーとく、ていとく……! は、榛名は……幸せ、ですからね。……大好きです……誰よりも、愛しています……」

 今まで一度も口にしたことのないような言葉もたくさん言って、自分と提督を興奮させた。

 望んだ泥沼じみた情交は夜明けを迎える前に至っても、簡単に終わろうとしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 文机に置いた電話が鳴る音がしている。

 なんとか着替え終えた提督は情事の疲れが残る躰を引きずり受話器を取った。

<HEY! 提督ぅー。もう朝デスヨー? Good morningの時間デスヨー?>

 金剛の甲高い声が脳髄を貫き、痛みが走る頭を押さえた。まるで二日酔いをした気分だ。

「金剛……悪いけど、もうちょっと声のボリュームを落としてくれないかな。いま私、酷く頭が痛いんだ……」

<What!? ど、どうしたんデスカー!? 風邪でも引きましたカー!?>

「い、いや、風邪は引いていないよ……うぅぅ、あたまいたい」

<Foo! もうっ、可愛い声出さないでクダサイ~。朝からBurningしちゃいそうデース>

「冗談抜きでやめてっ、本気でやめてっ。今来たら何するかわからないッ」

 恐らく彼女は執務室の黒電話で掛けているだろうから、来ようと思えば一分も必要ない。

 金剛の妹の榛名が裸で寝ているのだ。だから、何があったのか一目で把握できる。

<Booー……まぁ提督がそう言うなら。ところで、榛名が見当たらないのデス。部屋にもロビーにも食堂にもいなかったヨ。どこに行ったんでしょうネ?>

「……ごめんなさい」

<やっぱり提督のお部屋デスカ。ということは……昨晩は随分とお楽しみだったみたいデスネ>

 金剛のふくれっ面が目に浮かぶ。

<計画を破るなんて榛名は悪い子デース>

「榛名を怒らないであげて。私から言ったんだ。榛名は悪くない。あと……細かいことはあとで皆に説明するから、暫く秘書艦は榛名にさせてもらうね」

<いいデスヨ>

 文句を垂れると予想していた提督は瞬きをした。

 金剛はふふん、と笑う。

<最近、榛名の様子がオカシイと思ってマシタ。提督も話は聞いたデショウ?>

「聞いたよ。なるべく早く見つけ出さないと」

<Yes.何か名案はありますカ?>

「まずは正体を突き止めるところからだ」

 数百、数千とも知れない妖精がいる本鎮守府の警備は厳重だ。

 その警備を難なくすり抜け、誰にも気づかれず接近できるとなると。

<Ghostしか考えられないワ>

 ……水辺で心霊現象は何ら珍しくはない。

 だが、そうなると有効手段は限られる。カタチのない者への対処法は流石に学んでいない。

 悔しいが今自分に出来るのは榛名の側にいることぐらいだ。

 本格的な解決策は妖精に委ねるしかないだろう。

 提督の考えに金剛は納得したが、今日は彼女の日となっている。

 しかし榛名が危険な状態な今、提督と二人のTimeは一時間もないだろう。

 そのことはいい。用は榛名と提督が一緒にいればいいのだ。もう一人いたって大丈夫だろう。

<フッフッフッ。今日の夜戦には混ぜてもらうからネ、提督!?>

「!? ちょ、ちょっと待って金剛! 私の体調も考えて欲しいっ」

 というか情事をするのは決定事項なのかっ。

 提督は焦る。

 途中から何がどうなったのかは覚えていないが、夜明け近くまでずっと交わっていたのは確かだ。

 朝までやるなんて大和や翔鶴だけで充分なのに……

<文句あるのデスカ。ワタシの事も舐めないでほしいデース。その気になれば、榛名より絶対満足させられるんだからネッ!>

 金剛がそう言うと、待ち構えていたように受話器がやんわりと取られた。

 驚いて後ろを見る。そこにはにっこり顔の榛名がいた。何時の間にか起きて、音もなく忍び寄ったらしい。

 彼女は提督の肩に顎を乗せて耳に受話器を当てる。

「代わりました、金剛お姉様。榛名です」

 声はまだ甘く蕩けていて、さしもの金剛も戸惑う。提督も首筋が粟立つのを感じた。

<Oh……なんてSweet Voice……榛名、め、目は覚めましたカ?>

「まだ少しぼんやりします。心配していてくれたのですね、お姉様。榛名は嬉しいです」

<か、可愛いSisterの為デース。お姉さんは何でもしますヨ!>

「ふふふ。では、もう少しだけ提督のお時間を頂いてもよろしいでしょうか?」

「なっ……」『え……?』

 提督と金剛の驚愕が重なった。笑っているのは榛名だけだ。

<え……で、でも、提督も榛名も起きたのに……朝なのに、まだスるの……?>

「いやですね、お姉様。身だしなみとお部屋を軽く整えて、掃除するだけですよ」

<あ、そうデスカ! ふんふん。それなら仕方ありませんネ。じゃあ、なるべく早く食堂に来てくださいネー>

「はい、分かりました」

 受話器が置かれる。今の会話を聞いても提督の顔は晴れなかった。

 いや、晴れる訳がない。

 榛名から離れないといけない気がした。離れて説得しないと……何かがおかしい。

 無論、それをみすみす許すような戦艦型艦娘ではない。

 微笑んだまま提督の両肩を掴む。逃げようとすれば倒すと、相手が嫌でも悟れる力加減で。

 スルリと躰を前に移動させる様は蛇のようにしなやかで。

「はやまらないでください。榛名は〝掃除〟すると言いましたよね?」

 瞳を爛爛と輝かせている少女はまるで――男を惑わす水魔のようで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――同朋たちの準備は整いつつある。

 もう一人の榛名(私)を説得すれば、あとは人間が仕掛けに嵌まるのを待つのみ。

 そうすれば全てが取り戻せる。

 唯一の楽園を、平穏な日常を、奪われたヒト(貴方)を。  

『もうすぐです……今度こそは貴方を救ってみせます』

 世界が海色に染まってしまう前に。

 くすぶり続けている激情に覆い尽くされる前に。

 人間に奪われたものを全て取り戻す。

 

 

 

『その為に――協力してもらいますよ、〝榛名〟』

 

 

 その為に、触れられるのを我慢してきたのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

※注意※

ここから先は予告です。

大変オリジナル要素が強く、見たくない方は即座にブラウザバックを。

三部構成になる予定で、これは第一部の内容です。

順番は基本バラバラにしています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私はこの戦争、人類と艦娘が深海棲艦に勝てるとは思っていません」

 

 

「艦娘を守るのは提督の役目だ」

「大丈夫だよ榛名」

「私は貴女を一人にしたりはしないから」

「……提督……?」

 

 

「躰は問題じゃあないんです。肝心なのは精神、心の持ち様ですよ」

 

 

「三笠元帥。トラック泊地の龍鳳准将より入電がありました」

「〝例の深海棲艦が接触してきた〟との事です」

 

 

「新しい躯の具合はいかが?」

「良好です」

「それは何よりですわ。艦娘なんて餌にするか解体するかでしたが、いざ造ってみれば意外と愉しいものですね。新しい発見になりましたわ」

「希望されていた改修は全て組み込んでいます。今のあなたならば、真っ向勝負でも大和型に勝ち得るでしょう」

「さぁ――これでそちらの要求は叶えました。今度はこちらの要求を叶えてもらいましょう」

 

 

「南雲機動部隊、艦載機発艦いつでもいけます」

「大和、特務艤装への換装完了致しました」

「金剛、接続完了デース。続いて〈イージスの盾〉を展開シマース」

 

 

「仮令勝てないとしても人の側に立って戦い続ける」

「……僕は、貴女たちが抱いていた願いと誓いだけは、忘れたくない」

 

 

「うん、だから――今度は■■が痛くしてあげるね」

 

 

「やがて訪れる深海の時代の為にも、■■はわたくしの傍にいてもらわないと」

 

 

「提督の過去(真実)を知りたくはありませんか、〝榛名〟」

 

 

「最重要目標補足――敵聯合艦隊旗艦『深海棲姫』――!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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