※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん【貴方】   作:呉のしいたけ

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翔鶴と男提督のR18小説です。
各提督の翔鶴のイメージと異なる可能性が大いにあるので、注意してお読みください。




【翔鶴】貴方と幸せに。

 

 

 

 

 

 

「本日もお疲れ様でした、提督」

 執務机の上に溜まっていた書類が綺麗さっぱりなくなると、正規空母『翔鶴』は提督に労いの言葉をいった。

 壁にかけた時計を見ていた提督の視線が翔鶴に移り、裏のない綺麗な笑みを返す。ただそれだけなのに、彼女はどぎまぎしてしまいそうになる。変な顔になっていないだろうか。

「翔鶴もお疲れ様。思ったより長引いてしまったね、申し訳ない」

 確かに昨日と比べると一時間ばかり遅れていた。

 珍しく提督が寝坊して朝食が遅れてしまったり、作成や整理、本部に提出しないといけない書類も昨日より増えていたのもあるが、最たる原因は翔鶴の妹である瑞鶴だろう。

 西方海域への出撃でMVPを取った瑞鶴は、帰還するなりご褒美をねだったのだ。他の艦娘は傷を負っていたが瑞鶴は無傷。しかも一番多く深海棲艦を倒したのだという。伊達に幸運艦とは呼ばれておらず、そこまでの戦果を得たならMVPが打倒である。

 しかし、だからと言って、提督の仕事の邪魔をするのは、如何なものか。

 金剛さんでなくとも時間と場所を弁えるべきじゃないだろうか。

 買ってもらった間宮さんのアイスを提督に食べさせたり、逆に食べさせてもらったり――まったくどこのカップルですかっ。

 まだ提督と会って間もない頃なら、あの微笑ましい光景も素直に喜べたのだろうが、自分の想いを自覚してからはそうはいかなくなっていた。

 羨ましかったのだ。目の前で二人が仲良くアイスを食べて、食べさせたりするのが。

 

 

『やっぱり間宮さんのアイスは最高! 疲れた時は甘いものだよね。提督さんも一口どう? どう? 食べてみない? 買ってきた報酬だと思ってさ』

『その気持ちだけで充分だよ。でも、もっと個人的な理由を述べると私、甘い――ムグ』

『遠慮しないしない。食べられる時に食べとかないと後で後悔するよ。ね、おいしいでしょ』

『……そうだね。間宮に勧められたバニラを選んでよかった』

『ふふん♪ じゃあ、次は提督さんが私に食べさせる番だからね』

『そうくると思っていました。はい、スプーンを貸して』

 

 

 妹だからか瑞鶴は甘えるのが意外と上手だ。提督も懐が広いから、見ているこっちが恥ずかしくなるようなことを躊躇いなくやってのける。

 自分のアイスを持ったまま絶句する翔鶴に気付いた瑞鶴は青ざめた顔で「翔鶴姉もどう?」と言い、提督も視線をそれとなく送ってきてくれたが、姉としての威厳というか、自分なりに決めた秘書の在り方が承認するのを拒んでしまった。それはもう……意地を張って。

 だって秘書艦は提督を支える存在であって、提督に……甘えていいわけがない。

 では、何故妹を止めなかったのかと問われると、翔鶴は答えられないだろう。

 どちらかといえば徹底できない己に苛立ちを感じる。

 他人を責めるよりも、まず自分に非があると考える。彼女はそんな性格の持ち主だった。

「ハァ……瑞鶴には私から言っておきます。提督は、早くお休みになられてくださいね」

 数少ないチャンスを自ら握りつぶしていると自覚しつつ、頭を下げる。

 でも秘書艦はまだ私……明日からは落ち着くようだから、お酒をたくさん飲んで酔って勢いに任せよう。

 提督は言いさえすれば大抵のことは叶えてくれる。

 言わなくとも気づき、誘ってくれることすらある。

 不満はない。決してない。全然ない。ここで提督が止めてくれたらなんて少しも思って……!!

「待って、翔鶴」

「きゅい!?」

 席を立とうとした瞬間に肩に手を置かれた。出鱈目な思慮に耽り、現実をあまり見ていなかった翔鶴から海豹のような鳴き声が出てきた。

「ど、どうかした?」

 提督も驚き、きょとんとした顔になっている。

 あまり見られない珍しい顔だ。ちょっと可愛い……じゃないっ。

 空母の中でも落ち着きがある筈の空母は、ズイ、と近づいた。

「お気になさらずに! 少し驚いただけですからっ。わ、私に用があるなら、どうぞご遠慮なく言ってください!」

 翔鶴の慌てっぷりに提督は目を丸くしていた。

 彼女の髪が鶴のように真っ白な所為か、頬の赤味がやけに印象的だった。

「無理なら断って構わないからね?」

「はいっ」

「昨日の夜にパヴェ・オ・ショコラ――まぁ、生チョコだね。それを作ってみたから、翔鶴がいいなら味見をしてみて欲しいんだ」

「生チョコの味見……ですか?」

「うん。お昼の内に頼めばよかったんだけど、アレは一晩ぐらいの時間は寝かせないと駄目だから。つい言うのも忘れてしまった」

「……」

 和菓子と洋菓子。どちらが好きと聞かれれば、翔鶴は和菓子を選ぶ。が、食べられないわけではないし、提督がそれを作った理由を考えると、心が温かくなった。

「もしかして、提督。それはバレンタインデーのお返しの為でしょうか?」

 二月十四日、バレンタインデー。その日は、良い意味でも悪い意味でも強烈に焼きついている。つい昨日のように思い出せるが、今はやめておくことにしよう。

 提督は気恥ずかしげに頷いた。自分の予感が当たり、翔鶴に笑みが広がる。

「駆逐艦みたいに小さな子達なら、クッキーでもいいと思ったんだけどね。大型艦は少し大人っぽいものがいいのかなって」

「今日寝坊したのも、その為なんですね」

「あはは……まさか、あんなに熱中するなんて自分でも思わなかったな。深夜特有のおかしなテンションで我を失っていたみたいだ。気を付けないと」

 まぁ。今度からは眠るまで起きていようかしら。

「無理はなさらないでくださいね。お礼をしようとして提督が倒れては元も子もありません」

「いや、一週間ぐらいなら完徹しても――いえ、肝に銘じておきます」

 凄みのある笑みをされ、提督もそれ以上は言えなかった。

 日々、深海棲艦と戦っている正規空母である。相手を笑顔のまま威圧するなどワケもない。

「こほん。それで、味見はしてくれる?」

「はい。喜んでさせてもらいます」

「ありがとう。……今更だけど、送る人に味見を頼むのも可笑しな話だね」

「わ、私は嬉しいですよ? 提督に頼りにされるのは艦娘として幸せなことですから」

「頼りにしているのは自分かな」

 提督はどう受け止めたのか、少し複雑そうな笑みになって席を立つ。

 もしかして、今のは失言だっただろうか。

 艦娘を戦わせる立場の人に言うべき言葉ではなかったかも知れない。

「すぐ戻ってくるから、ここで待っていて」

 そう言って、提督は出ていこうとする。

 どこか違和感を感じ、それが判明すると翔鶴は慌てて言った。

「あの、提督の私室で食べるのではないのでしょうか……!?」

 数秒後、執務室に頬を思い切り両手で叩く音が響いた。

 可愛らしい初心な少女であった。

 

 

「あ、あらやだ、私ったら……!!」 

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、居間でパヴェ・オ・ショコラなるものを頂くことになった。

 男性の部屋というものが――失礼ながら――整えられている印象は女子にはあまりない。

 でも、ここの主は穏健で几帳面な為かまったくと言っていいほど汚れていなかった。

 主と調度品が醸し出す静穏な雰囲気もあって、ここにいると不思議と安心する。 

 ここには艦娘が〝それなり〟の頻度で来るから、常に綺麗にしておかないと落ち着かないらしい。

 その気遣いは嬉しくもあり、恥ずかしくもある。

 関係を結ぶ前から翔鶴はそれなりに来ているからだ。

「お待たせしました」

 少しして、備え付けの台所から戻ってきた提督がちゃぶ台に皿を置いた。それから紅茶が淹れられたティーカップも。約二cm角に切られた生チョコには茶こしでココアパウダーが振りかけられている。

「美味しそうですね」

「そう言われると、頑張った甲斐があるよ」

 互いに微笑む。勧められて翔鶴はフォークで一つショコラを刺し、口に運んだ。

 しっとりして柔らかい。すぐに溶けて生チョコの濃厚な甘さが広がる。けれど思ったよりしつこくない。噛んでも歯に融け付かない。非常に食べやすい食感だ。

「どうかな。甘すぎだとか、食べにくいとか、不味いところはある? あるなら遠慮なく言ってね」

「いえ、とても美味しいです。これを皆さんに送ったら、きっと喜んでくれる筈ですよ」

 お世辞抜きで店に売り出してもいい質の一品である。

 よかった、と無邪気に両手を合わせる提督。

 普通に女子より可愛らしい、

「提督も食べてみてはどうです? 私だけ食べるのは」

「昨日の夜にたくさん試食したから遠慮しておくよ。翔鶴が食べられる分だけ食べて――と言っても五個しかないんだけどね……」

「……」

 残りは五個。これならすぐに食べられると自己分析する。ただ、このまま食べてしまうのは勿体無い気がした。いや、気がではない、確実に勿体無い。

 昼に妹がアイスを食べさせて貰っていたから。あれは羨ましかった。本当に。

 翔鶴にとってこの状況は願ってもないもの。

 ここで逃がすようなら、私はどこで彼に近寄ればいいのか。

 カチリ、と。頭のどこかで、ようやくスイッチが押された。

 クルリ、とフォークを回して柄を向ける。

 私は求めたくても我慢する。彼は求められたら応える。

 それなら、私が求めるしかないじゃありませんか。

 貴方が、そんなにも優しいのがいけないの。

 今は誰もこの〝お菓子〟を知らないなら、見ていないなら、私が全部頂いてしまおう。

「なら、食べさせてください」

 隣まで寄って言った。

 彼は断らない。無防備に疑いもしなかった。こういうところは危なっかしい。

 そっとフォークを受け取るとショコラを刺し、差し出してくる。表情は見守るように穏やかだ。

 咥える。受け取る。舌の上で転がす。さっきよりも甘い。

 頭が溶けそうな多幸感に侵される。

 気の持ち方次第で、ここまで味が変わるなんて、ヒトは身勝手だ。

 そう言えば、確証はないがチョコには媚薬効果があるらしい。普通にキスをするよりも、何倍も興奮するとか。面白い話だ。

 バレンタインデーにチョコを送るのは、純粋な想いだけじゃなく、性的な意味も含めている女性もいるということである。

 じゃあ、最後の一つは私一人が食べないようにしよう。

 バレンタインデーでは、チョコを渡すので精一杯だったから。

 秘書艦は私ではなかったし、あの日は行ってはいけなかったから。

 翔鶴の小さな口が二つ目、三つ目と食べる。目尻は下がり、艶が増していた。

 四つ目、五つ目。口の中は甘い匂いでいっぱいだ。怪しまれないよう一回紅茶ですっきりさせる。

 もう最後の一つになってしまった。

 どうするかは決めてある。考えるのは楽しかった。

 提督がこれを口に入れてくれたら動こう。

「最後の一個だね。どうぞ」

 飲み込まない。口の中でよく溶かして液状にする。提督にバレないだろうか。

 とくとくと胸が高鳴ってきた。

「お粗末さまでした。翔鶴に頼んでよかった。これで今夜はよく眠られそうだよ」

 肩の荷が下りたように息を漏らす。

 笑いたくなるのを我慢して、じーと見つめる。

 彼の顔に疑問符が浮かぶ。

「どうかした?」

 言おうとした言葉はきっとこれだろう。

 翔鶴は口が開かれた瞬間を狙い、飛びつくようにキスをした。

 そのまま躰を密着させて覆い被さり、カーペットの上に倒す。倒れ込む直前に右手は後頭部に回し、左手は肩を掴んでいた。

 唇を咥え込むと、唾液とたっぷり混ぜた生チョコを舌で送り始める。

 いきなりキス。更には口内にチョコを流し込まれて、考えるよりも先に彼は翔鶴を引き離そうとした。

「ん? ……ふ……ちゅ、んく」

 普段は羽毛のように軽いのに、今は重石かなにかのようにピクリともしない翔鶴。

 艦娘の筋力ならば人一人押さえ込むなど簡単だ。

 日本軍艦の中で最大の馬力を誇る翔鶴にしてみれば、気にもならない程度である。

 どうやっても敵わない。提督は反抗するのをやめ、送られたチョコをおとなしく嚥下した。

「ちゅく……っふ、んっ……こく……はふ。飲み込んでくれましたね、提督」

「しょ、翔鶴っ。せめて、言ってからやってくれないか。私にも心の準備が必要で」

「ここに来た時点で察してください……私すごく、恥ずかしかったんですからね」

「いやでも……う」

 私室で食べたいと言った、翔鶴の真っ赤な顔が思い出される。

 アレには自分と夜伽もしたいという意味も含められていたらしい。

「それに今日は瑞鶴が目の前で甘えていましたし、正直、羨ましかったです」

 視線を外して、頬を少し膨らませる。提督は困った風に笑う。

 珍しく食べさせてほしいと言ってきたのはそういうことだったのか。

 矢張り、瑞鶴とのやり取りで気を損なわせてしまっていたようだ。 

「提督には妹がいらっしゃいますか?」

「……いない。私は一人っ子だ。けれど、上に立つ者の不自由さは知っているつもりだよ」

 誰かに頼りづらい。兄と姉は頼られる存在で、困っても一人でなんとかしないといけない。周囲が大丈夫だと言っても、理屈のつけられない自意識が気にしてしまう。

 提督は肩を掴んでいる手に触れた。そして摩るように上っていくと、翔鶴の頬に辿り着いた。

 期待にしっとりした吐息が、発熱し始めた肢体が身悶えそうになった。

「翔鶴は人一倍優しい人だよ。貴女自身がそうは思ってなくても私は知っている。秘書艦の務めはきちんとしてくれる上に、こうして試食にも付き合ってくれた」

「……甘かったです」

「甘かったね。バレンタインデーと昨日で胸焼けがするぐらい食べたのに」

 どこまでも深みがある優しい声で、相手の秘めたものを曝け出す、惹くような声で。

「私でいいなら貴女の相手になりたい」

 いいんだよ、と提督は言ってくれている。

 胸の内に熱くドロドロしたものが滾ってきて、唇を引き締める。

 翔鶴は着ている服をゆっくり脱ぐ。指先が興奮で震えていて、手間取ってしまう。

 武具は最初からつけてない。白い胴着、赤い袴。頭の鉢巻だけを残して、あとは全て脱いでしまった。

 ほぼ完璧な、生まれたままの裸体が明るみのもとに晒される。

 充分に大きく、それでいて形の良い乳房。折れそうなぐらいに細い腰。適度に柔肉が付いた脚。小さめながら、柔らかさを感じさせる臀部。産毛も生えていない陰部。

 女として気になる箇所全部が、愛する男の人に見られている。

 その人にこれから触れられようとしていると思うと、全身が燃えるように熱い。

 情欲で瞳は潤み、感情が高ぶりすぎてどうにかなってしまいそう。

 一枚の絵画に見惚れたように「綺麗だ」と彼が言ってくれた。

「ずるいヒト……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 暗闇の寝室が咽るような甘い空気に満たされていた。

 隅に置かれた置行灯の光が、布団の上で接吻をする男女をぼんやり照らしている。

 白銀の髪を伸ばした少女が舌を伸ばして、青年は少女を撫でながら受け入れる。

「ん……ちゅ………ふ、ぁ、ちゅ、……あ、ん」

 翔鶴は躰にまるで力を入れていない。でも、提督が自分を抱きかかえているから、安心してキスに集中できる。

 唇は不定期に離れ、熱い吐息が首筋にかかる。「してください」と言葉や目でおねだりをすると、優しく彼の方からしてくれる。

 ぬるりとした舌を絡ませ合うのは、快感は弱くても気持ちよく、翔鶴は恍惚とした表情になっていた。

「んん……あふ……んぁ……あっ……ひぁっ」

 キスに夢中になっていると意地悪みたいに乳首を弄られ、ピクンと躰が少し跳ねる。

 どうせならもっとして欲しいから、彼の手首を握って、胸にくりくり押し付けた。

 大きさと柔らかさを確かめるように撫でられ、卑猥な形になるように揉まれる。

「ひぅ……んっ……あむぅ、ちゅる……くちゅ……んく」

 大きな嬌声が出るのを必死に堪える。両方の乳首をきゅっと捻られると、危ういほどの快感が襲ってきて、手足が勝手に震えて止まらない。

 翔鶴もやられてばかりはいられなかった。先ほどから下腹部に当たっていた提督の股間の一物に手を伸ばし、しなやかな五指の腹で張った部分を擦る。亀頭を撫で摩り、根元から扱き上げた。求めていた刺激に、潤滑液となる粘液が割れ目から出てくる。

 それを見た翔鶴はクスクスと嬉しそうに笑う。提督も興奮しているのだ。

「くす、こちらは何時もお元気ですね」

「なんとも情けないことに……せっかちな自分だ」

「いえいえ。勃ってくれないよりは全然いいですよ」

 自分が彼を悦ばしている。彼が悦んでくれている。それが堪らなく嬉しい。

 男性器の見た目はお世辞にも良いとは言えないけれど、コレは提督の躰の一部だから、とても大切に思える。それにコレは意外にも可愛らしい反応をするのだ。

 ピクピク震える肉棒を翔鶴は両手で包み、その可憐な口をゆっくり近づける。

「んー、んむ……ぢゅ……ちゅる、れる」

 薄い唇が亀頭に重ねられ、太い胴回りを舌が舐めていく。性器の匂いが鼻を突き抜け、翔鶴の秘所も更に熱を帯びていく。確かめると愛液が指に絡みついてきた。中に入れると蕩けた肉が吸い付いてくる。

「くちゅ……ちゅうぅ、ん、ん……ちゅ、んぁ……ぢゅるる、ふ、ん、あ……あふ」

 肉棒に唇を前後させながら、自らの秘所をいじる少女は酷く艶かしい。

 元来の性格もあってか、誰かの為に動くのが上手な翔鶴は、相手がしてもらいたい事がそれとなく分かる。相手が愛する男なら尚更だった。彼女の口奉仕はどんどん上達しており、提督は釘付けになっていた。

「じゅる……んふぁ。ちゅむ、っぷちゅ、ちゅるぅ、んぁ……ん……ぢゅる、んぷ、っあ」

 彼が好きなところ、弱いところ。そこを舐め、甘噛みをして、じわじわと溜まるような快感を少しずつ与える。

「はぷ、ちゅぷちゅぷ……んふ……。提督」

「……はい?」

「胸を使ってもいいですか?」

 この嫋やかな少女に喜んで奉仕されているのに断れる男がいるなら見てみたいものだ。

 万が一にもいるなら、その人は間違いなく同性愛者だろう。

 是非ともと頼む。するとすぐに一物がどこまでも柔い乳房に包まれた。

「れる……ん……提督のとても熱いです。火傷しちゃいそう……」

 髪を掻き上げ、獣のような――四つん這いに近い体勢で奉仕をする翔鶴。

 たぷたぷと乳房を揺らしながら、谷間から顔を見せる一物に唾液を垂らし、尿道口を穿る。

 舌端より落ちる唾液が潤滑液となって、ぎこちなさは欠片もなく、好きなように愛撫ができた。

 ぐじゅぐじゅと一物を含む度にいやらしい音がする。

「ちゅむ……ちゅぱ、れろれろ、ん、ぴちゃ……ぴちゅ、んぷ、ちゅる……」

 瑞鶴にこういった奉仕ができるだろうか。多分、できないだろう。妹の胸はあまり大きくないから。ちょっとした優越感がある。

 胸が大きいのは決して良いことばかりじゃないが、提督にしてあげられることが多いのは素直に嬉しい。

 こうして一物を乳房で包み込んでいると、彼はどこか嬉しそうな表情を浮かべるのだ。

 例え艦娘が真っ当な人間でなくとも、庇護欲や母性愛がくすぐられる。

「はむ、んん、ぁむ。ぷちゅ、ちゅる……いい、ですか?」

「……上手だよ、翔鶴」

 髪を撫でられる。

 その行為と言葉に歓喜する。

「ふふ、出したくなったら、何時でも出していいですからね。

 ……んっく、ぢゅ、じゅぷ……ぢゅるる……んく、れろ、ちゅ、ちゅ、んっ」

 ストロークを短く速くする。白い乳房はみっちりと押し当て、よがる肉棒をしっかり固定する。

 唾液が漏れ、胸に滴る。濡れた一物がより一層大きくなったかのような錯覚を覚えた。

 ――くじゅ、じゅう、じゅるる……ぐじゅう!

 より深く唇を亀頭に密着させ、擦るように噛む。先走り汁を、奥にある精液ごと飲み込むように吸い上げる。ジュルル、と淫靡な水音が繰り返し少女の口から立てられた。

 なのに、胸で感じる一物の熱がどんどん増して、翔鶴は夢見るような表情になっている。

〝なん、だか……んっ。かわいいかも、ですね〟

 心中ではそんなことを呟きながら、日常の彼女からは想像がつかない濃厚な性技で射精を誘う。

 グロテスクな見た目の肉棒を躊躇いもなく含む。そして息が続く限りは可愛がってあげた。

 ――ちゅ、れろぉ、ちゅるっ、くちゅう……。

「はぁ……私の胸にっ、射精して、ん……かけていいですよ……提督のなら私、構いません。貴方が好きだから、貴方に汚されてもいいです」

 そう言いながら、見上げてくる翔鶴に愛しさがこみ上げる。

「あ。上がってきてます。暴れて、大きくなって……ちゅぷ、ぢゅるるる、ちゅく、ちゅく、れるれる……んちゅぅ……ちゅうぅ、むぅ――――きゃっ」

 ――びゅる、びゅ、びゅく、びゅるる。

 亀頭が膨れ上がったかと思うと、ついに多量の白濁液が出てきた。直前に口を離した翔鶴に、どろどろした精液が襲いかかる。それを避けないで少女は受け入れる。肉棒を包んでいた胸は当然汚され、半開きの口にも容赦なく入ってきた。ねっとりと喉の深くに絡みつく。

「んっ、んん、んく……んふ……こくっこくっ」

 射精が弱まるまで給仕のように粛々と飲み込み、収まると男根を咥えてしゃぶり、残さないよう精液を吸い出す。両脇から胸で揉み上げるのも忘れない。射精の快感に震える一物が、感謝するように残り物を吐いた。

〝おいしい……〟

 温かい口内から解放されたのは数十秒も経過してからだった。

「ちゅ、ふぅ……不思議です」

「なにがだい?」

「提督の精液、苦いのに甘いんです。お酒みたいです。それに、躰のどこにかけられても気持ち悪くありません」

「男にしてみると嬉しいと同時に複雑だよ……。本当は精液なんて飲む物ではないからね」

「お気遣い感謝します。……あ、でも確かにキスは気になりますね。私は気になりませんが、提督はどうで……」

 言い終わる前に返答をされた。言葉ではなく行動で。

 ふんわりと躰を引き寄せられたかと思ったら次には唇を塞がれていた。

 あぁ、やっぱりこの人は優しい。

 彼の方から舌を差し入れてきて、届く範囲で汚れた口内を洗うように舐め回される。

 翔鶴も甘えるように躰をすり寄せて縋り付き、喜んで舌を絡める。

 息も忘れてしまいそうなぐらい濃密な時間。

「ぷぁっ」

 深いキスを心ゆくまで堪能したら二人はようやく離れた。透明の糸が橋を作り、一瞬して途切れる。

 提督の手が滑らかなお腹を渡って指が秘所に触れた。愛液は充分出ている。太ももを伝い、シーツを濡らすほどだった。これならもう。

「っ……て、提督。あの、私もうダメみたいなので、その……提督のを入れてもらっても……」

 手の甲で口を隠しながら懇願した。

 腰の奥がとても切ない。奉仕のお返しをされたいと、彼のモノで満たされたいと子宮が言っている。

 提督は恥ずかしがらないよう多くは語らず、一度だけ額に口づけを落とした。

 そして壊れ物を扱うような丁寧さで翔鶴を横にさせる。

 待っている秘所に自分のモノを添えて、壊さないよう穏やかに挿入していく。

 内部がざわめき、異物を優しく包み込む。

「っ……んんっ」

 ぎゅう、と目を瞑り入ってくる異物の質量と熱に呻く。

 痛くはなく、怖いほど気持ちが良い。蕩けた声が自然に漏れて、彼の首に両手を回した。

 待ちわびた挿入に膣内が歓喜していた。自分でもハッキリとそれが判ってしまった。

「あぁ、提督のが入ってきています……あふっ」

 一度や二度出した程度で萎えるようなモノではない。だから、どうしても期待してしまう。

 これから長い時間、愛される、愛せる、愛し合えると感じ、膣内が反応した。

 愛液で満たされた蜜壷の強烈な締めつけに堪らず、提督は動き出した。

「ひぅっ! あ、はぁっ! んぁ! っうぅ!」

 熱い棒が中を抉って、とてつもない快感が叩きつけられる。

 自分の指と舌では絶対に得られない、男が女に与える暴力的なまでの快楽。

「っく、やッ、んー! はひっ! あっ! あぁん!」

 奥の奥、子宮口にまで叩きつけられ素早く入口まで抜かれる。その繰り返しを何度もやられる。

 腰が当たる度に、ぱんぱんと乾いた音が部屋に響く。

 ガチガチになった肉棒で愛液が掻きだされ、飛び散り、腹部まで届く。

 翔鶴は眉根を寄せながら、彼の動きに合わせて腰を振っていた。彼が引いたら自分も引いて、押し込んできたら自分も押す。そうした方が気持ちよくなれるから。

 顔を真っ赤にした乙女が恥も外見もなく、嬉しそうな嬌声を上げる。

「提督、提督! きもちいいですっ。貴方のが、奥を突くたびに、わ、わたし!」

 軽くイっちゃってる。その証に愛液がおかしなぐらい出て、頭が真っ白になりかけている。

 制御できない。走るように絶頂が近づいてきている。

「や、やだっ。まだイキたくないのにっ……! ひ、ひゃう! あんんっ! あはっ!」

 でも止まらない。やめられない。

 とても気持ちよくて、本当に気持ちよくて、腰が浅ましくも動いてしまう。

 もっと突いて欲しい。乱暴でもいいから、貴方が愛してくれた証を私に刻んで欲しい。

「っ? あ、提督っ、もしかして……んくっ!」

 強く抱きしめられる。恐らく二度目が近いのだろう。

「もう出ますかっ? はっ……いいですよ、出してくださいっ。わ、わたしも、イキますからぁ!」

 精一杯力を入れて膣内の締まりを強くする。提督は奥歯を食いしばり、子宮口を突き上げた。

「あ……っあぁ…ぁあああーーーー!!」

 ――どぷっ! どくっ、びゅぶっ、びゅるびゅる!

 熱い塊が子宮内にぶちまけられた。翔鶴は涎を垂らした口で歓喜の悲鳴を絞り出す。

 ホースから発射されるように肉棒から精液が送られてくる。まだまだ続く射精感に提督は細い腰を掴んで、肉棒を押し付ける。

「ひいあ……あたたかい、わたしのなか、あたたかくなってます……」

 子種が送られて子宮も喜んでいる。

 お腹を触ると幸せな気分になって、少し強く押すと肉棒の存在を感じられた。

 嬉しいことにまだまだ硬い。翔鶴も足りていない。二人共絶頂を迎えても、情欲が盛っているようだった。

 本番はこれからのようだ。

「ねぇ、提督。もう少しだけ、甘えてもよろしいですか?」

「貴女のもう少しはどれぐらいかな?」

 苦笑され、艶然と微笑み返す。

「察してください」

 頬と頬をくっつけて、耳元で囁く。

 すると脇の下から背中に両腕が回され、そのまま抱き起こされる。

 彼が選んだのは対面座位だった。対面座位は動きやすくはないけれど、相手と躰が密着するから翔鶴は好きだ。唇も胸もお尻も好きなように触ってもらえる。少し上から提督を見下ろせるのもまたいい。

「これでいい?」

「はい……この体位、私好きです……」

 言いながら腰をより深く落とす。肉棒が埋まって膣内が満たされていく。亀頭が子宮口とキスをする。彼と繋がっている実感が強くなって、吐息が湯気のように熱っぽくなる。

「あぁ……ん、ゃ、はぅ……あ、あ……うくっ……ふぁん……ぁん」

 緩く躰を揺すられる。漏れた精液と愛液が混ざってぱちゅ、ぱちゅ、と跳ねていった。

 絶頂してから時間を置かずに移ったからか、こんな穏やかな抽迭でも力が抜けてしまいそうになる。支えられてなかったら一緒に腰を動かすのも難しく、後ろに倒れてしまいそうだ。

「やぁ……て……とく。離れるの、いやです……んっ、あぁあ……ふぁ」

 ぎゅう、と。

 乳房が歪むぐらいの深い抱擁をされた。提督の体温が伝わってきて、翔鶴は安堵した。

 寂しさからそこに至るまでの過程に提督は魅せられる。

 ここまで素直に可愛らしく振舞われては、誰か一人を〝特別扱い〟してはいけないと戒めていても、どうしても胸に来るものがあった。

 翔鶴という少女に、夢中になりそうになる。

「や、んあ、はぅ、あんん……あ、あ、ふあぁ……んんっ。あ、あの……提督……?」

「……なに、翔鶴」

「て、いとくは……ひぅ……っは、き、気持ちよく、なれてっ……いますか」

「そんなこと……翔鶴の中はとても気持ちいいよ。心配しないで」

「よかったぁ……っん、私だけ気持ちよく、ぁ、なっていたら、うんん……悲しい、ですから」

 ゆっくりと飛ぶように上下しながら、翔鶴は思い浮かんだ言葉を言っていく。

 提督と二人きりの今だからこそ言える、拙く、だから心に響く愛の言葉を。

「私も……はぁ、んっ……提督と、ずっとこうしてられたら、って思います。あ……んぁ、はぁ、はぁ……っ、朝になっても、昼になっても、また夜になっても愛されたいなって……あふ。ん……あ、あっ……は、はしたないのは承知していますけど……我が儘だってことも、ひうぅ……あはっ……でも。提督には、んっっ。わ、私を……翔鶴を見て欲しいから。加賀さんよりも、赤城さんよりも、瑞鶴よりも……んぁっ……私が、一番愛していたいから……」

 支えたい。支えられたい。側にいて、側にいられたい。

 貴方と嬉しいことも、怒りそうなことも、悲しいことも、楽しいことも共有したい。

 それはきっと幸せなことだから。

 辛いことがあっても、貴方となら乗り越えられる筈だから。

 

 

 

 ……どう言えば、いいのだろうか。

 提督の頭には翔鶴と違って何も浮かばなかった。何か返さないと、という思いばかりが先走って空回ってしまって、答えに迷った生徒のように狼狽える。

 翔鶴が求めている答えは誰が見ても明らかなのに。 

 互いの息がかかる距離で、目を逸らさないでいるのが、精一杯だった。

 時々……こうやって、彼女の言葉は心の奥にまで届いてきて悩ませてくる。

「愛するでも愛されるでもなくて……愛し合う、が、正しいと思う」

 やっと出たのは、自信のない言葉。もっとマシな言葉が言えないのだろうか。

 それでも翔鶴には、百万の喝采よりも勝るものだった。

「提――んんんんっ! っ、っ! あッ、はぁッ! はぁッ! やうぅっ……あぁぁぁっ!!」 

 唐突に激しく突き始められて、翔鶴は力づくで喘がせられる。

 打ち鳴らされる水音は倍増し、叩きつけられる強さは正常位の時を上回っていた。

 突き刺さされる……その表現が正しかった。槍のように真っ直ぐな肉棒が、奥の敏感な場所を乱暴に突いてくる。

「あッ、あッ、んぁぁ、んくぅッ、あぁっ! はんんッ!」

 恥ずかしさを払拭するための抽迭だと知っていなかったら、強姦しているかのようにすら見えるだろう。

 けれど動いている彼と、段々と動きを合わせるようになってきている少女にあるのは、お互いを気持ちよくしたいという純粋な熱情だけ。どれだけ激しくても、これは愛ある性交だった。

 最初は驚いた翔鶴も、提督の上で一心不乱に腰を振っている。彼が与えてくる快感に淫らなで美しい笑みを浮かべ、長い銀髪を振り乱し、乳房を揺らす。

 間近で乱れ踊る翔鶴の艶姿が、提督のオスとしての本能をさらに強く疼かせる。

「あぁッ! はあっ! あン! きもちいいです、きもちいいです! こ、んなのッ、すぐにイってしまいます……ッ!」

「ならっ……っ、止めようかっ」

「いやですッ。やです! あぁ……んんん! こ、このままがいいですッ! このままイカせてください……!」  

 イヤイヤと首を振って媚びる。ここで止められるなんて絶対に嫌だ。おかしくなってしまう。

 提督だってやめるつもりはないのに、そんなことは言わないでください。

 意地悪なことを言った仕返しにキスを何度もして、少しだけ提督を困らせた。

 笑うとお尻を握られて、もっと激しく突き上げられるようになってしまった。

「あ、あ! や、きちゃ……! きちゃう、きちゃいます! あうぅッ! またイクッ、私、またイっちゃ……あッ、あー! あ、あッ、んあんっ! ……ん、っぁぁぁぁ!!」

 荒々しく壊れそうな快楽の波に飲み込まれ、翔鶴は限界に達した。

 そして絶頂して次に感じたのは、また一番奥に精液をドクドク吐き出されていること。

 継続的に出され、膣内と子宮内にたくさん精液が溜まっていく。

「ふゃぁぁ……やぁ、あ、んく……っあ、あ、ん……あ、もう……」

 射精をしている間も揺らされて軽くイってしまう。

 余韻を味わう暇もなく、中のモノは抜き取られず、硬さと長さはまるで変わらない。

 躰が溶け合うような充実感を得ながらも二人は満足できない。

 もう少ししたら自分達はまた激しく求め合ってしまうに違いない。

 時間が許す限りはひたすらに愛欲に溺れる。

 乱れに乱れる様は、どちらがより強く相手を想っているかを語るように。

 幸福の象徴と呼ばれる鶴の名を背負った少女の嬌声は鳴り止まない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 気がつけば、朝を迎えていました。

 私――翔鶴は目を開けると、提督の寝顔が間近にあったので、思わず声を上げそうになりました。

 口を両手で押さえなかったらきっと大声が出ていたでしょう。

 それで提督が起きるのは望ましくありません。彼には心地よく起床していただきたいのです。

 い、いえ……アレだけエッチなことをしたから、普通に起きられるのかも怪しいですが。

 想像していた以上に体力があった提督でも艦娘には劣ります。しかも彼は一昨日の夜まったく寝ていない筈ですから……うぅ、今更ですが申し訳次第もありません……。

 自責の念による溜息が出そうになるのを堪えて起きます。

 布団に近くに用意していた服を静かに着ると厨房がある居間に移動しました。

 勿論、朝食を作るためです。

 私が秘書艦を勤めている時は、私が提督の朝食をなるべく作ると決めているのです。

 少しでも彼のお役に立ちたいのと、二人の時間を増やしたいのと……あと、夫婦みたいな感じがするからです。

 朝食を作って、愛している人を起こすシチュエーションは、とても素敵です。

 そこまでしなくても、と言っていた提督も今では受け入れてくれています。

 初めて作った時は心臓が破裂しそうなぐらいドキドキしました。

 美味しいよ、と朗らかな笑顔で言ってくれた時、どれだけ嬉しかったことでしょう。

 逆に私が起こされて、提督が朝食を用意してくれていたこともあります。

 二人で並んで作ったことも何回かあります。

 幸福で満ち足りた思い出です。……はっ。いけません。惚気話が過ぎました。

 思い出に浸っている場合ではありません。

 早く朝食を作らないと。

 髪を結び、割烹着を身につけて準備にかかります。

 

 

 

 

 ちゃぶ台に和食系の朝ご飯を並べ終わると起こしにいきます。

 私が起きた時と特に変わりなく、提督は布団の中で熟睡していました。

 寝顔はその人の本当の顔を見せる、と私は思います。

 恐らく、本人が安心しているからでしょう。

 普段は艦隊を指揮する提督として相応しい振る舞いをする彼ですが、寝顔は少しばかり幼く見えます。年相応……いえ、提督の年齢は知りませんから見た目相応が正しいのでしょうか。あの戦争の頃の提督を基準にすれば、些か以上に彼は若い殿方です。

 でも、私達は気にしません。

 ある日の午後の執務室で膝枕をしていた時、妹の瑞鶴と妹分の大鳳は揃って「かわいい」と言いました。

 私も同感です。見ているだけでも戦いで荒ぶった心が癒されます。

 これは秘密ですが、昨日、提督が起きる半刻前には枕元にいました。本当は起こさないといけなかったのに、つい見とれてしまいました……ですのでっ、反省して今朝は頑張ります。心惹かれますが我慢しないといけません。

「提督。朝ですよ。起きてください」

 安眠を妨害したので、むずかるようにそっぽを向かれました。

 ただ違和感はあったようで、突然、提督は掛け布団を跳ねて起きました。

 そして隣を、私が眠っていた場所を確認し、周囲を見回した後に目が合います。

 私は微笑み、彼は暫く寝ぼけ眼のままでした。

「おはようございます、提督」

「……おはよう、翔鶴」

「気分は如何でしょうか?」

「まだ頭は寝ぼけているけど――」

 何度か手の平を閉じたり、開いたりしてから。

「疲れは残っていないよ。翔鶴のお陰か普段より快眠できたみたいだ。うん、今日も一日頑張れそう」

「……」

「……良い匂いがするね。朝ご飯はもう作ってあるのかい?」

「あ、はい。もう出来ています」

「そっか。じゃあ早く食べよう。折角、貴女が作ってくれたのに冷めてしまったら勿体ない」

 そう言って、提督は私の胸に倒れ込んできました。流れるように、ぽすん、と。

 言っていることと、やっていることの真逆さに受け止めた体勢で固まってしまいます。

 これ――は、どういうことなのでしょうか。

 提督自身も困惑しているのか動けないようです。

「あれ?」

「て、提督?」

「…………なんてこと。こんな……私が……?」

 消えてしまいそうな声。

 その後に深い息をついて躰の力を抜いていきましたから、私は急いで抱き止めました。

 こうしないと彼は落ちていたに違いありません。

「ごめんなさい……もう少しだけ、このままでいさせて欲しい」

「あっ。や、やっぱり疲れが残っているのですね」

 私達の性交は常識的に考えると濃密すぎるようです。

 同類の艦娘も揃いも揃って言うのですから間違いないでしょう。

 そうですよね……普通はあんなに長くしません。

 提督が大事なら自重しなければならないのに、私はずっと求めてしまいます。

 何時までも何時までも繋がっていたいと言ってしまいます。

「疲れてない。本当に……ただ翔鶴とこうしていたいだけ。あと十分、いや五分」

 駄目なら起きます――最後に小さくそう付け加えられました。

 彼の言葉は私にとっては願ってもないものです。

 先ほど述べたように私は頼って受け入れられてばかりの女です。嬉しくない筈がありません。涙が出そうになります。でも、ここで流したらきっと気を遣わせてしまいます。

 私は、この人を守る為にも強くならないといけません。

 グッと堪えて頷き、親鳥が翼で雛鳥を守るように包み込みます。

「温かいですね」

「うん……翔鶴は温かいね。安心する」

「温かいのは提督です」

「……翔鶴だよ」

「提督です」

「いいや、翔鶴だよ」

「いいえ、提督です」

 しばし言い返し続け、結論は〝二人共体温が高いから〟に落ち着きました。

 合っているようで違うと言いたいですが、高望みが過ぎます。

 彼は提督。私は艦娘。本来なら抱きしめるどころか、触れることも憚れる間柄なのですから。

 二人で朝を迎えられる。これ以上を求めるのは罰当たりと言えましょう。

「提督――なんだか、とっても幸せです」

「私も……この感じはいいな。ずっと、こうしていてもいいぐらい」

「……ありがとうございます」

 提督の言う通り、この時間がずっと続けばいいのに。

 静かで安らかで満たされたこの空間がずっと続けばいいのに。

 私などには過ぎた願いですが、そう願わずにはいられませんでした。

 躰を預けてきた愛しい人をもう一度確かめるように、やさしく両手で抱き寄せます。

 そして、胸の内で呟きました。

 

 

 

 

 

 いつかの静かな海で、貴方と比翼連理の関係になれたら――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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