※この作品はR-18です。

艦隊これくしょん【貴方】   作:呉のしいたけ

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ヴェールヌイと男提督のR18小説です。
各提督のヴェールヌイのイメージと異なる可能性が大いにあるので、注意してお読みください。
いやぁ……見直すと頭が痛くなる内容です。


【ヴェールヌイ】貴方に尽くす。

 

 

 

 

「会議……お疲れ様でした」

「いえ」

「……■■、もう一度確認しますが……まだ人の為に戦えますか?」

「私の意思など関係ありません。戦えと命じられるなら、戦うだけです」

「……貴方は人形じゃないわ」

「三笠元帥。お言葉ですが、私を人形のように育てたのは人間です」

 

 

 

 

 

「そして貴女も、それに加担した」

 

 

 

 

 駆逐艦には幼い子が多いが、大型艦よりも達観している少女も中にはいる。

 例を挙げるなら――時雨、磯風、ヴェールヌイ、天津風などがそうだろうか。

 前世で経験した悲惨な戦争が精神的に作用しているのは疑いようもない。

 当然、彼女たちに限った話ではない。

 彼女たち以外の駆逐艦にもいる。大型艦にも多くいる。

 そういった艦娘は感覚が鋭く、悲壮感、死の気配を敏感に感知する。

 提督も人間相手には隠せているつもりだが、艦娘が相手だと見破られる事があってしまう。

 ヴェールヌイは分けても親密な仲という事もあってか頼りがちだった。

 沈着冷静、常に大局を見失わず、判断を間違える事がない。自然に仲間を気遣うことも出来る。

 提督になれば、さぞかし有能な指揮官として活躍できるだろう。

 今日のように出張している際、彼女に代行役を頼めば心配する必要もない。

 ヴェールヌイもまた誇らしげに受諾してくれる。

 だが、「私の後続は貴女にしてもらおうか」と冗談交じりに言った時は、シベリアの冷たさを味わうこととなった。アレは迂闊な発言だったと深く反省しなければならない。

 誰かを失う辛さ、孤独の冷たさを人一倍知っているヴェールヌイには禁句の言だった。

 私も、提督になるまでの過程で身を以って知ったというのに。

 

 

 

 

 夜の帳に覆われた空から降る雪を見上げ、提督は鎮守府の正門を通過した。

 大本営の召集から戻ってきたのだ。

 玄関には帰宅時間を伝えていたヴェールヌイの他に、姉妹艦の暁、雷、電が立っており、三人は真冬の寒さに身を寄せ合っていた。

 先頭のヴェールヌイだけは凛然とし、敬礼で出迎えた。

 一拍遅れて三人も倣う。

「お帰り、司令官。鎮守府で異常は特に起こらなかったよ。そちらは?」

「私の方も何事もなく。代行役お疲れ様、感謝します。――貴女達もお疲れ様。ヴェールヌイの手伝いをしてくれたんだろう? ありがとう」

「す、少しだけなのです。ほとんどヴェルちゃん一人で終わらせちゃいました」

「雷は執務室を綺麗に掃除したわ! 窓のへりもちゃーんとね。姑に見られたって大丈夫よ!」

「し、しし司令官っ。あ、暁は……えっと……あの、んと……うぅぅぅ」

 唸る暁と膝を曲げて目線を合わせる。

「暁は私たちの為に夜ご飯を考えて作っていたよ。今晩はカレーライスだ」

「あ、ヴェルぅ! まだ言わない約束だったでしょ!」

 頭一つ分は背が高い妹に両腕をぷんぷん振るう長女。

 平穏でなんとも微笑ましい。

 各鎮守府の提督、上層部の方々との対応で張りつめていた心身が解される。

 味方だと理解してはいるのだが、腹に一物を抱えられていては許容し難い。

 馴れ馴れしく粘着質な輩には嫌悪感を隠すのが一苦労である。

「暁が作ってくれたのかい?」

「司令官みたいに美味しくはできて……ないと思うけど……作ったわ」

「美味しくない筈がないよ。私に振る舞ってくれる物は残さず戴かせてもらうとも」

 パアッ、と笑顔の花が咲く。

 提督も憂いなく笑ってみせた。

「場所は司令官の部屋だけど構わないかな?」

 見られて困るような私物はなくはないが、それらは信頼できる者に秘匿してもらっている。

「うん。さ、躰が冷えるといけないから部屋に行こう」

 提督は扉を開いて中に入るよう促し、寒さが苦手な少女三人は素直に従う。

 空調と冬になって炬燵が用意された提督の私室は温かい。

 口元を緩めたヴェールヌイは青年を見上げた。

〝Хорошо(素晴らしい)〟

 前から――そう、提督ではなかった頃の彼を見知っている彼女としては、現状は称賛する他になかった。理想的とすら言えた。不確定要素が多いのは変わっていないが、信じたように成長してくれた。

 感謝しよう――。

 あれほどまでに露骨なやり方をされていながらも、このヒトは人間を見限らなかった。

 聞いただけで吐き気がする鬼畜外道の所業。

 遊興と愉悦の為に彼等の純情は穢され、弄ばれた。

 彼に尽くす艦娘の耳に入れば、元から薄い上層部への信頼は一片も残さず消え失せるだろう。

 護衛の艦娘を付けようとしなかっただけでも、今日の呼び出しでどんな戯言を言われたのか察しがつく。全員が全員、歪んでいると言う気はない。

 しかし、頭に来るのは抑えようがないのだ。

 ……犠牲になるのはどの時代においても心優しい人達だ。

 

 

 部屋に行けば早速夕飯の準備が始まり、五人は卓袱台を囲う。

「む――これは隠し味にチョコレートを使っているね」

 気持ち多めに盛られたカレーライスを一口食べ、提督は言った。

 当たりで、ちなみに入れようと提案したのは甘党の暁だ。もちろん。

 彼女なりに調べた結果、チョコを選んだらしい。分量を間違えて甘くなりすぎてないか心配だったが、提督の反応を見るに杞憂だったようだ。

 そわそわ窺っていた暁は「ふにゃあ」と脱力し、ヴェールヌイが苦笑しつつ抱きとめる。

「カレーにチョコは合わないって思ったけど、意外といけるじゃない」

「トロトロしてて、コクがある感じがするのです」

「カレーの味もしっかりしていて消されていないね。それにしても上手いな。チョコを混ぜて作ったのはこれが初めてだろう?」

「う、うん。でもレシピ通りにやっただけだし、褒められるようなことじゃないわ」

「自己流でするにはまず作れるようになってからでいいんだよ。経験し、学ぶのは大切だ。勉強も料理も公式を見ながらやるのが上達への近道だね」

「べ、勉強は関係ないでしょ」

「暁。そこに反応したら司令官に不真面目だと疑われてしまうよ」

「マジメにやってるわよっ。ほ、ほんとよ司令官。予習も復習も忘れずやってるんだから!」

「偉い偉い。暁はよく頑張っているね」

 駆逐艦の学習状況は主に軽巡の報告書で送られる。

 彼女達がどんな評価を下しているのかは本人達と提督のみが知ること。

 随一の厳しさで高名な鉄血の鬼教官――神通が訓練場の隅で提督と話しでもしていたら、大半の駆逐艦の艦娘は気が気でならず、鍛錬どころではない。

 神通が頬に手を添えて溜息を吐けば気絶しそうになる子もいる。

 ……実のところは、訓練内容が難しすぎるのではないか、もう少しは易しくした方がいいのではないか、と提督に相談しており、涙を禁じ得ないような評価をしているのだが。

 お陰で最初期よりも柔軟かつ丁寧になっている。やりがいを発見できた娘も多い。

 その事実を独自に築き上げた情報網でヴェールヌイは知っているが、暁たちには言っていない。

 厳しい神通、優しい提督の二人で釣り合いは取れている。

「性別的に逆だろうけど提督アレだし些細な問題よね~」とは秋雲の弁だ。

 あれが非公式に書いた本が神通の知るところになれば、泣こうが喚こうが、血を吐こうが、地獄の鬼も顔面蒼白の拷問じみた訓練がひと月は下されるだろう。

 手にした者の評判がこの上なく好評なのは果たして良いのか、悪いのか。

 大人の世界を知らない暁たちが読んだら卒倒は免れまい。

〝……いけない、いけない〟

 諸々はさておき、ヴェールヌイとしては彼が幸せに生きられるのなら満足だ。

 誰が選ばれようと構わない。彼を幸せに出来る者ならば誰でも。

 本音では――もし赦されるなら、皆の司令官のままであって欲しいが、それは甘えだ。

 一人を選んで批難する者は戦艦型だろうと叩くのみ。ロシア風なら粛清である。

 私達は付け入って肉体関係まで結んだのであり、本来なら背負わずに済んだ責任を負わせたのだ。

 まったく、私は止めるべき立場だろうに……我ながら度し難い。

 慰めを建前に近付くとは〝彼女〟に首をへし折られても言い訳できない。

「ヴェルちゃん? 手が止まってるです」

 食事風景を眺めるばかりでいるヴェールヌイを電が覗き込む。

「Извините(すまない)」

「なになに、悩みがあるなら言ってみなさい。雷が相談に乗ってあげるわ。ヴェルはいっつも一人でなんとかしようとするから心配なのよ」

「私も同じ意見――…………、どうして四人とも一斉に見てくるのかな」

「司令官、自覚がないとは言わせないわ」

「最近やっとちょっとは頼るようになってくれたけど、人間関係とかの相談はしてくれないじゃないの」

 愚痴と言いかけて訂正した。

 善人になるよう育てられた彼とて人間だ。対人関係の不満は大いにある。

 だが管理しているのが自分とは言え、戦闘や遠征を任せている艦娘達に不必要な負担を掛けるようでは提督失格である。適材適所。小難しい問題は提督が引き受けるのが正しい。

 あくまで自分は指導する立場なのだから。

 そう言えば、「予想通り」という顔を三人がしてきて、申し訳なくなる。

 でもこう言うしかないなのだ。分かってもらえなくても受け入れてもらうしかない。

 ヴェールヌイだけは「仕方ないな」と頷き、カレーライスを頬張る。

 ぱくぱく早口に、ちゃんと噛んでいるのか心配になる速さで、

「ご馳走様。美味しかったよ」

 ほぼ一分ジャストで完食。コップに注がれていた牛乳もいつの間にか。

 すぐさま台所に直行、流しで食器を洗うと重ねて置き、提督の後ろで膝立ちになる。

 この間、その場から動けた者は一人もいない。

「言葉で無理なら直接行動に移すしかないね」

 声は平常だった。冷静なまま変化は見受けられない。

 肩に両手、細工物のように繊細な指が凝りを丹念にほぐしていく。じんわりと急がず遅くもならず、まさしく望ましい間隔と強さだった。

されている提督は「止めないと」、「いやしかし」と形容し難い表情になる。

「ヴェ、ヴェールヌイ……これだと食べにく」

「三人に食べさせてもらえばいいさ。暁、雷、電、頼むよ」

「む、むむ?」

 せめての抗議はあっさり打ち破られた。

 目の前を向けば大きな瞳をキラキラ輝かせる少女達が。

 口元近くには一本のスプーンがもう寄せられている。

 なんという素早さ。長女から一人ずつやろうとしているのが最後の救いか。

 青年は引きつった苦笑を浮かべる。前門は虎ではなく子羊に等しいが、後門は狼でも差し支えない。

 だが、ヴェールヌイの気遣いは伝わってくる。

 表情は涼しくても楽しみ、自分を休ませようとしてくれているのだろう。

 今いるこの空間は温もりに包まれて、人を相手にしている時と違って疑わなくていい。

 最低限のラインは守らないといけないけれど、ありのままの自分でいられる安心感。

「あ、あ~んよ司令官っ」

「暁お姉ちゃん手がプルプル震えてます! こぼれそうなのです!」

「カレーは落としにくいからダメ! 落ち着いて、暁。深呼吸よ。こんなチャンス滅多にないんだから失敗しちゃいけないわ!」

 このまま黙って待っていると服が汚れそうなので、頭から湯気が出そうな暁の手を取って食べる。

「ひゃあああ司令官に食べられちゃった……!」

 耳年増な駆逐艦の艦娘が聞けば早とちりしそうな言い方だ。

「私は一向に構わないよ」

 背後の少女は何を言ってくれているのだろうか。

 自分にそんなつもりは微塵もないのに指を妖しく動かすのは止めていただきたい。

 油断したら第六駆逐隊の包囲網が知らぬ内に敷かれそうだ。

「次は雷の番ね」

 自信満々のご様子の雷。

 一部の提督、司令官より熱狂的な人気を得ている彼女。

 なんでも母性が素晴らしいだとか。「小さいのが尚良し!」と真顔で語る同僚もいる。

 彼等が犯罪行動を起こさないか真に心配である。

 カレーを掬い、口元まで運ぶ。

 この幼さで一連の動きによどみが全くないのだから素質はあるのだろう。

 女子として色々な事に果敢に挑んでいるようだし、将来は艦娘全体でも有望か。

「あ、そうだ。喉渇いてない?」

「少し。自分で飲めからね」

「まだ何も言ってないじゃないの」

「私が言う前からコップを構えているじゃないか。貴女のそういう気遣い上手なところは好ましいが、私も一応男だから。限度があるというか、ね?」

「司令官ってば気にしないでいいのよ。休める時は休まないと」

「雷が正しいね。あと、少女四人に囲まれながら言っても説得力はないが?」

「だ、だから、譲れない最低限のラインはあるだろうっ?」

「看病だと思えばいいさ」

 ヴェールヌイは影で人の悪い笑みを広げる。

「求められたら応える――司令官の言葉だ」

「いやいや、おかしい」

 悪用だ。横暴だ。自分が想定している求めと全然違うっ。

 やるのは得意でもやられるのは苦手だというのに……同僚に万が一にでも知られたら、どう言い訳をすればいいのか。ロリコンと呼ばれるのだけは避けたい。自分にそんな性癖などない。成長したヴェールヌイはセーフの範囲内だと思いたい。

「電……貴女はあまり過激な要求はしないでね?」

「はわわ!?」

「……もういいですよ。私は万事を受け入れます」

 敬語。

 追い詰められたり、投げやりになったりすると出てくる提督の癖である。

 この鎮守府にいる艦娘の常識の一つといえよう。

 雷の手でコップに並々と注がれた牛乳が今度は提督の喉に注がれる。

〝ふむ、悪くないな〟

 良しからぬ想像をし、濡れた鴉羽のように艶々としている髪を撫でた。

 男にしてはやはり長めだ。撫で心地は絹糸のようで抵抗がない。

 昔はある元帥からの要望で日本人形さながらに伸ばされ、男女問わず魅了していたものだ。

 ふざけた理由ではあったが、両性どっちつかずの容姿にはよく似合っていた。

 初見で騙された人は数知れないであろう。

 提督と■■は姉妹と間違えられる事もあった。

 いっそ同性であったなら――いや、そうだとしても変わらないか。

 私も彼女も惹かれたのは中身。重要なのは外見ではないのだ。

 仮にこのヒトが女性だったとしても愛するだろうし、女性だったら〝それはそれで〟過激に捻じれ狂う可能性が上昇するだけだろう。

「お風呂はどうする。五人一緒に入るか?」

「勘弁してください……貴女達から先に入ってくれ」

 三人が反応するよりも速く即答。

 安心したような残念のような顔をされても無視、姿勢を正して表情を固くする。

「で。一巡したからいいかな。普通に食べ……え、駄目? 私の分が無くなるまでやるつもりなの? わかった……わかりましたから。お皿に足さないで。いんちきはなしっ」

 一瞬のことで全然守れていなかったが。

 和気藹々とした食事は鍋の底が見えるまで続き、完食した提督は何だかんだ嬉しげだった。

 入浴の交渉は上手くいかず――食器を洗っている間にヴェールヌイは耳打ち――自分だけは後で入り直すことを了承させた。

 提督代行の報酬と、一線を超えた者の特権だ。

「やれやれ」

 脱衣所に向かう際に見せた性的な流し目といったら……。

「しかもお酒、ウオッカを用意しているときた……鳳翔に貰ったのか?」

 本当に駆逐艦なのかと疑いたくなる。

 酔った状態であの落ち着いた声に誘われ、流麗な躰の線、雪と同等に白い肌を惜しみなく見せつけてこられたら、大いに困ってしまう。

 何ら意味のない呼び出しのお詫びに入れられた明日の休暇は、ヴェールヌイに殆んど使われてしまいそうだ。休暇を見越しての準備なら周到だな、と感心するばかり。どれだけ酔おうと半日もあれば治るし、疲労回復のある風呂に入っていれば何分の一にも短縮できる。

「こういう事を冷静に考える辺り相当だな」

 指で口に触れる。哂ってしまっていた。

 自分はこんなにも変わった。

 堕落の度合を自覚する。これでは失望されてもしょうがない。

 遅きに失した無意味な独り言をぼやき、報告書を手にしてソファに座った。

 あとは待つだけの状況。三十、四十分もしたら四人は上がってくるだろう。自分がいない間の出来事が書かれた報告書を読んでいたら、瞬く間に経ってしまうぐらいの時間でしかない。

酒事については自分が話すまでもなくヴェールヌイが伝えてくれると思う。

 内容に目を通し、ときどき眦を緩める。

 海域の哨戒任務などは簡潔にまとめられているのに、艦娘の要求は丁寧に細かく、明らかにヴェールヌイが書く流麗な文字ではないものまである。

 語尾に「デース」を付けるあたり隠す気すらないらしい。

 面倒なので着る服を選べ、とある艦娘は果たして女子としていいのか。

 全部を叶えるとなれば費用は掛かるが、幸い、自分の特権なら手配は可能だ。

 背をもたれ、夢想するように考えを巡らす。

 そして、うっかり船を漕ぎだしたのはヴェールヌイが上機嫌に髪を洗っている時だった。

 上がった彼女は口を少し開き、くすり、と笑う。

 三人の姉妹は興味津々と近づいて、まず目に掛かることのない提督の寝顔を観察する。

「触ると起きてしまうかも」

「う」

 頬に指を伸ばした暁が直前で停止した。

 そのままの体勢で提督とヴェールヌイを何度か見比べる。

「三人は寮に戻って寝るんだ。心配はいらない。司令官の面倒は私が見ておくよ」

「こ、ここで寝たっていいじゃない」

「だったら――コレに飲まれても知らないが?」

 冷蔵庫から取り出したウオッカの瓶を揺らす。

 その昔、一口飲んで昏倒した暁は声をつまらせた。

「司令官と付き合うにはまず、酒の一つや二つを嗜めるようになってからだ」

「暁お姉ちゃん。ヴェルちゃんは司令官さんと……」

「わ……かってるわよ」

 頬を膨らませ、プイとそっぽを向く。

 ヴェルと司令官の関係が自分のものより何段階も上なのは承知している。

 暁にはできない事をヴェルは司令官にしてあげられるのだ。

 早く大きくなりたい。一日でも早く一人前のレディになってヴェルを見返してやりたい。

 眩しいこの人に、本当の意味で頼られる女性に。

「っ」

 意思表示――約束のように頬に桜色の唇を当てる。

 まだまだ子供らしい、ささやかな贈り物のようなキスだった。

「~~~~」

 弾けそうになる心を力いっぱい押さえつけながら、暁は部屋を飛び出す。

 雷と電は長女の信じられない行動に呆け、思い思いに顔を紅潮させ、

「おやすみなさいなのですー!」

「わたしもおやすみ! あとはたのんだわ!」

 光速でいなくなった。

 戦闘でもあれだけ速く動ければ回避も楽だろうな、とヴェールヌイは首をすくめる。

「そうは思わない?」

「……貴女の影響じゃないのか」

 重苦しく言い、提督は目前に立つ銀髪の少女を見上げた。

 三人に至近距離で観察されれば意識も覚める。

 それでも起きなかったのは彼女達を思っての事だったが。

「暁が口付けるとは予想外だった。まだ先だと思っていたんだけどね」

 やや粗く酒を側に置くと伸し掛かった。

 胸の内にある高ぶりは予想外なことへの反応。

 今日今夜……貴方にキスをするのは私だけだと愉しみに想っていたんだよ。

 司令官。

「一先ずは飲もうか。話はそれからだね、司令官? グラス持ってくるのを忘れたから貴方の口で飲ませて欲しいな。……してくれるかい?」」

 囁きかけるような蠱惑的な吐息が耳に吹きかけられる。

 寝間着を肌蹴させて胸が視界に入るようにし、小さくも丸みを帯びた臀部をワザとらしく動かす。

 提督は困った表情で嘆息、そして雪のように重さがない肢体を抱え上げた。

 

 

 

 

 寝室に向かい、敷布団の上で互いが向かい合うように座る。

 今の状況を愉しむようにヴェールヌイが鼻を鳴らし、持っていたウオッカの瓶を手渡す。

 提督は一口含み――途端、顔をしかめた。

 酒類でもウオッカは度数が高いがコレは破格のレベルではないか。こんな物を飲み続けたら本当に泥酔してしまう。そっちと比べたら自分は強くないのにどういうチョイスだ。

 知っている筈のヴェールヌイを恨めしそうに睨む。

 睨むという子供っぽい仕草は少女を愉しませるばかりで効き目はない。

「酔った方が素直になれる」

 自らの薄い唇に指先を当てた。

 天使のような小悪魔の微笑をしたまま「はやくして」と。

 夕食の風景を眺めていた面影とは一転、少女らしからぬ成熟した女の仕草。

 提督が覚えた高揚感は焦燥感にも似ていた。

 華奢な背中に両手を交差させて引き寄せ、抱き寄せる。

「ちゅ、……んぅ……ぁ、くちゅ、ちゅぴ、はぁ……ぁ」

 触れるだけのフレンチキスを通り越し、互いの舌を強く求めた。

 唾液と混ざった酒がヴェールヌイの口内に送られ、彼女はその甘味とほろ苦さに酔いしれながらも溺れるような愚行は犯さない。むしろ、している側の提督が押されている。

「次、はやく、もう一度……」

 また向かい合えばヴェールヌイは要求し、瞬きもせずに次を待つ。

 一分のズレもなく合った透明な瞳に映っているのは提督一人だけであった。

 顎を上げ、唇をわずかに開き、彼の胸板にやった手の指は緩く丸められていた。

「んぷ……はぷ、つ、ちゅる……ん……ふ……いいな……司令官。これは……いい」

 ヴェールヌイの唇は再び塞がれ、同じことを繰り返す、飽きずに続ける。

 やがては綺麗に飲み干すのを忘れてしまい、顎先からウオッカと二人分の唾液が筋を引いて流れ落ちる。衣服が濡れても二人は止まらない。

 気にしている余裕は提督にはなく、汚れても構わないとヴェールヌイは思っていた。

 そして何度目か――離れた彼女は提督のズボンのファスナーを下げ、素早く逸物を取り出す。

 半勃起のモノは少女の細い指に触れられ、支えられ、これから与えられる快楽への期待に震えあがった。

 提督の意思とは関係なしに張りつめていっているのだろう。

 制止の言葉こそないが紅色の顔を見れば明白。けれど責めたりなどしない。

 あくまでヴェールヌイは穏やかに、潔白の愛情を抱いたまま、確固な理性で覆い隠された彼の素顔を引き出そうとする。

 ゆっくりペニスの幹全体を優しく上下に擦り始めた。途端、提督が強張る。

 声を上げないように口を閉じている懸命な姿に愛嬌を感じ、でもそれでは駄目だと、ウオッカを取り上げて多量に飲む。

 うわの空でいた彼が名前を呼ぶよりも速く、空いている手を後頭部に伸ばす。

「んむ、ちゅむ、んっ、はぁむ、ちゅぱ」

 両腕の抵抗を――とても弱弱しいが――強引に押し退け、流し込む。

 終わっても唇は離さない。吐き出されては困る。飲んで酔ってもらわないと楽にはなれない。

 彼が四苦八苦しながらも飲み干せられたら、ヴェールヌイは満足げに頷く。

 小言の一つでも言ってやりたいが、喉をじくじく焼かれるような感覚に息をするのも一苦労。

「まだ終わりじゃない。始まったばかりだよ」

 未だに半分程残すボトルを見せ、ペニスが勃起を維持できる程度に愛撫し、飲ませ続ける。

 執拗で入念なやり口だった。提督はされるがまま、身体の力が抜けかけている。

 ヴェールヌイは一旦モノから手を放し、青年が身に纏う軍衣を剥がしにかかった。

 自分で脱げるから、と嫌がられたらペニスの亀頭を撫で摩り、無言の微笑で受領させる。

「何をするつもり……?」

 上半身を裸に剥かれた提督が尋ねる。

 肩、胸板、腹部等に少し冷たい手を流す少女は「さぁ?」とクスクス笑うだけ。

 なにがそこまで愉しいのやら。ヴェールヌイが寄せてくる愛情には矢張り、何か特殊なものが混ざっているように思えてならない。信徒が信仰対象に捧げるかのような――信愛とでも云えばいいのか。

 普通の艦娘とは異なった絶対的な信頼と愛心。一線を画する特異な存在だった。

「見ていて」

 法悦としたヴェールヌイは焦らすように口を開いた。

 服を脱ぎ捨て自らも裸体になり、ボトルを首元のすぐ近くで傾け、ゆっくり透明の液体を垂らす。

 当然ながら細く脆そうな肢体は酒に塗れてしまう。少女自身の香りに酒精の匂いが溶け合い、この場にいるだけで酔ってしまいそうなまでに、より濃厚な芳甘になる。

「こういうのは嫌い?」

 両手を提督の首に巻きつけ密着する。冷めたくなった身体に彼の体温が心地良い。

 提督は言葉による返事を拒み、上機嫌なヴェールヌイを押し倒す。

 絹のような銀髪が褥に広がった。

「さあ……好きにして、司令官」

 平坦でありながら誘引してくる声、自分だけに見せる優しい微笑、全てを知っているが故の包容力。

 何もかも忘れて委ねたくなる……必要としているのはいったいどちらなのか。

「Люблю Тебя(愛してる)……ん……んん」

 首筋や鎖骨に舌を這わると甘さと苦味が混じった味が広がる。ヴェールヌイはくすぐったいのか身を震わせ、くぐもった笑い声を上げ、全身を舐められても嫌がるどころか喜んでいた。

 いくら姿形が女子に酷似していようが提督もまた男であった。

 雄々しい逸物をいきり立たせ、まだ発育途上のいたいけな少女を舌で侵す――軍人として個人として、してはならない性的倒錯に分泌される唾液の量が増し、塗りたくられるヴェールヌイも提督との許されざる行為に下腹部が疼き、熱くなっていく。

「あ……そ、こ……は、司令官……」

 明かりが点いていない暗闇でも秘所から染み出てくる愛液を目ざとく発見し、両脚を少し開かせてから顔を寄せ、噛り付くように唇を当てた。

 ヴェールヌイは駄目だとは言わず、その逆に、白い肌を紅潮させて期待していた。

 お酒を飲ませる方法を選んで正解だった。特注の酒精はこの短時間で彼の意識を薄れさせ、大胆な行為にも抵抗を感じている様子がない。そう、これでいいのだ。好きなように犯してくれないと。

 にゅる、じゅ、ちゅぷぷ……ぴちゃ、ぬぷ……ちゅる。

「ひ、っ、あっ、っあぁ、はっ、うぅ、ああぁ……!」

 舌がクレパスの周りを舐め上げると裂け目に挿し込まれた。身を砕きたくなるような恥ずかしさと、内側の膣壁をほぐす愛撫にヴェールヌイは大きくのけ反り、喘ぎ声を上げた。

 チュルル……くじゅ、じゅる、ちゃぷ……ちゅく……じゅぷぅ……。

「んあっ、くぅ、あん……しれいか、ん。あっっ! そ、そんなにされると……でっ……で!」

 ジュルジュルとあまり耳にしたくない水音を立てられながら秘所を啜られ、陸に打ち上げられた魚のように上半身が跳ねる。軽度だが抑えきれずに達してしまう。

 漏れる声は段々と甘くなり、膣内に侵入している舌の形が細部まで知覚できるようになった頃、

「ひあっああぁぁ……ッ‼」

 一際高く喘ぐと愛液が吹きだした。それに構わず口をつけたまま提督は飲み込み、飲み干すとヴェールヌイをようやく解放し、横たわり天井を仰視する彼女を眺めおろした。

 この次にどうするのかを考えているのか、視線は少女の肢体のいたるところを彷徨い、思考は性欲のままに犯すか、或いは彼女に求めさせるかの二極に収束しつつあった。

「好きにしていいって言ったのに……」

 中途半端な手淫で放っておかれた男根は小さな秘唇をこじ開け、膣内を満たせとでもいうように腹まで反り返り自己主張し、起きたヴェールヌイは握ると頬ずりで幹を擦る。

「んっ……はぁ…………すごい、匂い……だね」

 鼻腔を突き抜ける雄の強烈な性臭に頭がクラクラした。彼の唯一つの汚点とも評せるソレに愛おしげに寄り添い、股を熱くさせて、誘うように淫水を垂らす浅ましい姿には、己自身も恥じ入るしかなかった。

 しかし……一度と二度と三度と、一線を越えてしまったらやめるなどという考えは吹き飛んだ。

 偽りであっても彼となら構わなかったのだ。

 私は尽くすという面目で付け入り、彼に応えさせた。

 愛し合う悦びは深く刻み付けられ、夜な夜な自分を慰める回数も多くなってしまった。

 本当に最低だ――ああそれでも、歪んでいても私は司令官に尽くしたかったんだ。

 亀頭の切れ目に舌が当てられ、氷菓子を弄りながら食べるように舐められる。

 ようやっとの快楽に脈動し、限界まで膨張した筈の肉棒が数瞬前までよりも膨れ上がり、少女の指で作った輪っかでは囲いきれない。

奉仕をしようにもコレだと困ったな、と目を細めて笑い、

「くふ……あむ、んぅ……んく」

 れろれろ、ちゅぷ、ちゅぷ! ちゅうゅ、れる、んちゅ、くちゅ、ずちゅ……!

 舌と唇は集中的に亀頭だけを狙い、幹を握り締める右手が前後に扱く。

 提督から空気が抜けるような声。両肩に手が乗せられる。どうせなら頭にやって、イマラチオをやってくれてもいいのに。ここまできたんだから遠慮しなくてもいいのだ。

 空いている左手で導こうとすると名案が浮かんできた。

「あっ……ヴェ、ル……っ!」

 大きく口を開いて根本まで頬張ってきたかと思えば、ヴェールヌイはすぐさま前後運動をし始めた。それも手加減抜きで素早いものである。じゅるる! と卑しい音が部屋に響き、耳を侵す。提督がやった愛撫よりも遥かに大きく、それだけに刺激も強い。

 じゅずずっ! ぢゅぽっ、ぢゅぽっ、ふっ、ぢゅ、ぢゅる! じゅるっ、ぐじゅじゅっ……‼

 繋がりを持った艦娘の中でも性感帯を熟知したヴェールヌイならではの口奉仕は、逸物の性感をこれ以上なく高める。提督を追い立て、責め立て、腰が引きそうになると両手を回してホールドする。生じて股間に顔が近づく。飲み込みが深くなり、喉の奥を先端が叩く。

肉棒の尿道口から出る腺液と自らの唾液で口内はいっぱいに満たされ、息が苦しい筈だろうに銀髪の少女の瞳は、奉仕の愉悦にどこまでも蕩けていた。

 だが献身的というには些か以上に激しすぎる。度が過ぎて痛いぐらいだった。

無理をしているのではないか、と心配した提督が手を伸ばせば、頬張ったまま顔を振られ、頬肉の内側にコリコリ擦りつけられる。歪み、膨らんだ頬が目に痛い。

「あむぅ、んぷ、んぽっ、ぐじゅ、ん、んっ、んっ! じゅるるぅ……っぷぷ、んぐ……はぁ……! 先端が膨らんできたよ。射精、しそう……?」

 止める事も避ける事も出来ず、朦朧としてきた頭では案が作れず、結局は流されるままに受け続ける。自分の優柔不断ぶりに嗚咽さえ出そうになっているのに、男根は歓喜の悲鳴をあげるように痙攣してしまう。

こんな歪なモノ、いっそ切り落としてしまいたい。

「司令官は悪くないんだから……私のことを気にしないで」

 ヴェールヌイの少し冷えた手が腰の辺りを穏やかにさする。

その反面、五指は亀頭の裏を撫でていた。

「好きに犯して、好きに使ってくれていい。今日は特に、大本営の呼び出しもあったしね……辛い目に遭った鬱憤はちゃんと晴らしておかないと身体に毒だ。私達がしている事は間違いじゃないんだよ? 明石の修理とどこも変わらない。だから、そう……司令官が思うがままに……ちゅぷ」

 ずじゅずるるるるっ。ちゅぽ、ずずっ、ぢゅぷ、ぢゅぅぅぅぅぅ……‼

 再度唇で挟み、そのまま加減なしで啜りあげ、カウパー液諸共に溜まった精液を出させようとする。

 脳髄を響かせた甘言に若干、我慢の紐を緩めてしまった提督は堪える機会も与えられず、肉棒の暴走を許してしまった。

 尿道を駆け上がり、飛び出す直前の瞬間、ヴェールヌイは手の平で出口を閉じた。

「あっぅ――――――――うっっっあ!?」

 予想だにしなかった暴挙に理解が追い付かなかった。

 絶頂には達したが肝心の射精が出来ていない。出る筈の白濁液が狭い尿道で溢れ逆流し、量が量だけに破裂しそうな感覚すら起きる。膝立ちの体勢が崩れそうになるが、あまりの刺激に逆に身動き一つ取れなくなってしまい、上目使いで艶やかに微笑っているヴェールヌイに「出させて」と懇願しようとする。

 だが、絶頂したことで受け入れた提督にとって邪魔でしかなくなった、一欠片の矜持がそれを拒む。

言ったら退かしてくれるだろうに口が頑なに閉ざされる。

 意識は暗転しかけ、思考が空白になっていく……それはつまり、提督が獣のように単純になっていく事を意味していた。

 もういいかな……頃合いを見計らったヴェールヌイは手をやっと退ける。肉棒からは一筋の濁った液体が引っ付くだけであった。名残の一滴も出ず、射精が遠のいたのを見ると亀頭を舐め回す。

「ごめんね司令官。けど、こうでもしないと貴方は好き放題してくれないだろうから」

 言っている間にも肩を押されて寝床に倒される。

 深海色の瞳が激情を宿してヴェールヌイを睨んだまま外れない。

これが本性ではないにしても、今の彼を目にしたら艦娘はどう思うだろうか? 

 白銀の少女は怖くはなかった。あるのは、これから犯されることへの期待感と隠しきれない愛情だった。

 欲望のはけ口になることを望んでいた。

 両手でしっかりと腰を掴まれる――後背位ではないらしい。

 挿入しやすいように少し上げ、淫裂に押し当てられる男根の質量と熱と硬さに、コクリと喉を鳴らす。

 準備は万端。あとは犯されるのを手伝うだけである。

 ぬちゅ、にゅぷ……ずぷぷっ!

「んくぅぅっ……あああぁぁっ……‼」

 亀頭が入ったら全体を押しこまれる。閉じていた膣内を無理矢理こじ開けた肉棒が我が物顔で占領し、居場所を奪われた愛液が次から次へと吐き出されてしまう。逸物のサイズにまったく見合わない狭い膣がメリメリと苦しげに振動し、腹を圧迫される息苦しさが少女を襲う。だがそれも最初の数秒だけであり、既に何度も受け入れた膣内は伸縮自在に絡みつき、呼吸も次第に楽になる。

 耐えきった提督は射精しなかった。奥まで挿れた状態で静止し、ヴェールヌイの反応を愉しんでいるのか、顔だけを見据えている。

「ふあぁっ、あ、くっ、いきな……り、なんだね……!」

 と思いきや前触れもなくヴェールヌイを揺すり始めた。射精直前のスパンの短い抽迭だ。抵抗をする気のない少女はシーツを握って命じられるよりも前に自らも腰を使い、往復運動を手伝う。

 ズパンッ! と肉を棒で叩いたような音が数え切れないほど弾かれる。

 荒々しく強烈だった。ピンと起った乳首が、ささやかな乳房と共に乱れる。互いが感じる性感も一押しで提督の逸物が中でますます猛る。知覚したヴェールヌイの口が笑みを形作った。

 ぢゅずず、ずぷっ、ずぷっ、ぢゅぐ、ぱんッぱんッ! 

「くぅんっ! あンっ。あっ、あっ!……すごい……激しいぃっ! こ、こんなっ。こんなの耐えられ……! はうあああぁ!」

 高い声で淫蕩にふける彼女に普段の冷静さは残されておらず、今や絶対的な優位に立った提督は更なる昂りを叩き込もうと体勢をやや高くし、上から子宮口に突き下ろす。

ズブッ! ずぐ! じゅぼ、ぱん、ジュボ、じゅぷう! 

「うぁ! ふぁぁ! あぅう! っああぁぁ!! しれいかんっつっっっ――――‼」

 きつく締まり離そうとしない膣壁を引き剥がされ、ゴツゴツと動かれるのが気持ちいい。

 降りてきた子宮に怒張の先端を心無くぶつけられるのが、堪らなく気持ちいい。

 ヴェールヌイは細い身体をくねらせながら喘がせられる。既に何度か達しているが止められず、快楽の頂点は低くなって狂ったような気分にさせられる。

 それが十分、十五分と続けば呂律も怪しくなってしまう。

「しれい、かんっ。だしてっ? だしてっ? わたしのなかに……なかにっ!」

 はやく、もう、精液を子宮に注いでほしい。私はもう限界だ。

 司令官だって限界は来ているはずなんだから。

 はやく、はやくはやくはやくはやくはやくぅ……私の中でイって‼

「ああッッ!? ん……くあっ! あああああぁ――――――――ッ‼」

 ドプププッ、ビュルルル――――ッ‼ ビュブブ――‼ ドプゥゥゥゥ‼

 口から言葉が出なくとも通じてくれたのか、提督は最奥で射精してくれた。

 沸騰した水のように熱く煮えたぎった精液を直に浴びせかけられ、瞬時に絶頂し、絶叫した。

 我慢に我慢を重ねた逸物はどれだけ絞っても継続して吐き出し続け、子宮内を満杯にしようとする。

 あまりにも長く、終わるのを待っていられなくなった提督が「動く」と言ってピストンを再開。またもやヴェールヌイを揺さぶる。

 思いやりがなければ、大切に扱う言動もしない。下の少女を自慰用の人形さながらに扱い、自分の性欲を残らず消化しようとしていた。

 一見ではいたいけな少女を強姦する悪人に見えるだろうが、少女の喜悦に浸った顔を目にすれば、これが合意のものであると嫌でも看破できるだろう。

 ヴェールヌイは悦んでいた。誰よりも愛しいヒトに犯しつくされ、虐められるのを。

「あ……あ……あっ、はンンっ! うんぅ、はぁぁん……!」

 一度出してから正常位で二回ほど終えると騎乗位にさせられて突き上げられる。

 前後左右に腰をグラインドしたり回したりした。乳房を握られながら上下に激しく動き、絶えず射精を促す。汗を撒き散らし、涙を零れさせ、愛液が飛び散る。

「ああ、司令官っ。気持ち良くなってくれてる? 私で満足できてる……? これでいいかな?……ならいいんだ。よかった……あんんっ……ふふふ。また、出てるね……っ」

 騎乗位に満足したら今度は後背位だった。

「すごく、いいけど……ああでも、だめッ。これ強すぎてっ、イクの抑えられな……! あぅ、ぅぅあぁ! おく、おくが熱い! し、司令官のモノと精液でっ……あー! あぁーっ! あーっ! ひぅぅ‼」

 どこまでも過激かつ長く続けられたので倒れ伏してしまう。

すると両腕を掴まれて引っ張り起こされ、散々に膣内を抉られ、好きなだけ精液を注がれる。

 耐久性には自信があるヴェールヌイでも今の提督の相手を務めるのは厳しかった。

 それでも――彼女は満たされていた。

 どんなに乱暴に突かれようが、どれだけ子宮に出されようが、それが提督なら全然構わない。

 彼の純潔を穢した己の罪の重さを想えば――この程度どうでもないのだ。むしろ歓迎しよう。

「ぁ……っ、っ……ぁ……うん……わかった……」

 ゴボリと膣から抜かれ、唇の近くまで男根を持って来られた。

 半ば気絶しかけ、瞳は虚ろになっても微笑みだけは忘れず、ヴェールヌイはソレを口に躊躇いなく含んだ。そして優しく丁寧に綺麗にし、次はどの体位にしようか? と首を傾げる。

 拒絶、制止の言葉を一言でも言えば彼は正気に戻り、浴室で気遣いながら身体を洗ってくれるというのに。

「司令官……」

 提督の憑き物が満足するのは程遠くなっていく……。

 

 

 

 

 入渠している時のような感覚を覚え、ヴェールヌイは目覚めた。

 輪郭がぼやけた視界でも前に提督がいるのは判別でき、触れようと手を伸ばそうとするも、疲労が蓄積した躰は言うことを聞いてくれない。

〝ここは……司令官のお風呂か……〟

 首だけを動かして確かめる。暁たちと洗い合った浴室だ。

 考えるに彼が汚れた躰を綺麗にする為、入れてくれたのだろう。

 膣内に残滓はあるものの、見る限りでは数時間もの情事をしたとは思われまい。

「……ありがとう」

 礼を言われ、提督は気まずそうに瞳を伏せた。

 物のようにヴェールヌイを犯していた最中の深さと暗さは失われていた。

 それに、勘付かれることなく安堵する。

「このくらいはしないと……」

「忘れよう。考えるだけ貴方は自分を責めてしまう」

「けど、ヴェル……」

「自己責任に囚われるのは司令官の悪い癖だ。それに、言ったよね?

 私は貴方に尽くす――って」

 あの日に、あの場所で、泣き腫らした貴方を慰めようと誓った。

 誰でもなく、他でもなく、ただ貴方一人だけに従い尽くす。

 ――側に寄り、提督の頭を胸に抱き寄せる。

「私は……私だけは……何があってもいなくなったりしない」

 この世界の全てが深き海に染まろうとも。

 深き海を討ち払い、その果てに人類を敵に回そうとも。

 かつて夢を魅せてくれた貴方の為ならば。

 新たな天敵になってもいい。

 

 

「君を一人にはしない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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