※この作品はR-18です。

MFO   作:たみち

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2話

その場にいた全員が戦闘そっちのけで現れた男に注目する…

そして誰かが呟いた

 

「イノシシ狩り…」

 

うおおおおおおおおお!!

レジェンダリープレイヤーの登場にフロアが揺れる勢いの喚声があがった

 

いのっちが初期装備の剣

「ロングソード」

を取りだし低く構える

そこへ空気を読んだかのようにBOSSが突進をしかけた

全員が息を飲み、衝突の瞬間を刮目して見守る……

 

カウンターのタイミングは完璧…

彼の剣は寸分の狂いもなくBOSSの目玉をとらえていた…

 

しかしダメージを受けたのはいのっちだった、彼はHPゲージの3/4を失い、壁に叩きつけられた

 

「ぐあっ…………!!」

 

予想外の出来事に混乱が起きる…

隊長のマンフェスが苦虫を噛み潰したような顔をして言った

 

「初期武器であるロングソードの耐久値で80層のBOSSなんか攻撃したら壊れるに決まってる……あいつはその辺のシステムをまるで理解してないんだ…!」

 

そう…

ズルズルと腰を落とす彼は何が起きたのかまるで理解していない

 

「……こんな時にバグかよ…!」

 

もちろんバグではない

説明書に書いてあるレベルの仕様だ

 

BOSSがディレイから回復し、とどめを刺さんとばかりにいのっちに狙いを定める

「くっ……このポンコツ…!こいつを使え!!」

 

マンフェスが手にもっていた黒い長剣をいのっち向かって投げた

エリュシデータ…

かつてキリトというプレイヤーが使っていたその剣は攻略組の隊長に引き継がれ、彼の魂は死してなお、共に戦い続けていたのだ

 

いのっちが剣を取り、ストレージに追加されると同時に装備画面を呼び出す

 

だがBOSSは既に彼の目の前まできていた…

そして衝突…

 

……………………沈黙……間に合わなかった…

再びフロアを絶望が覆う

 

そんな中で剣を投げた男はニヤリと笑った

 

「ギリギリセーフってとこだな」

 

そう、間に合っていたのだ

彼の剣はBOSSの目玉に今度こそ突き刺さり、HPゲージを一気に撃破寸前まで削った……恐らくそこが弱点だったのだろう

 

全員の瞳に光が戻った

しかし…大抵のBOSSはHPゲージが1/4を切ると攻撃パターンが変化、或いは強化される…それはこいつも例外ではないらしく、スピードが更に上昇…もはや目で追うことすら困難になり、気づいたら隣のプレイヤーが死んでるという最悪な事態に陥った

 

犠牲者が更に増え続け、パニック状態の中…伝説の男は静かに剣を構え、目を閉じる…

ゆっくりとその剣は光を帯びていく…彼は何らかのソードスキルを発動しようとしているらしい

 

…………………………ここだ!

 

目を見開き、剣を地面に突き刺す

すると巨大なイノシシは体を痙攣させ、悲鳴のような鳴き声とともに崩れ落ちた

 

……ソードスキル、パラライズ

対象に確率で5秒間の麻痺効果を与える

確率は発動者のレベルに応じて1%~99%に変動する

 

「やれえええええええ!!!」

 

伝説の男が吠えた

他のプレイヤーがそれに応じる前に既にマンフェスがしかけていた

 

「うおおおおおおおお」

 

……………決着

BOSSが砕け散った

今日一番の喚声が上がり、男女関係なく抱き合い、その喜びを分かち合った

 

「………なん……だと…!?」

 

何処かでよく聞くセリフを吐く隊長…

その視線のさきにいたのは全身安物装備のナイフ使い…

 

「くくく……ふはははははは………!!」

 

その男の前にはラストアタックボーナスという画面が表示されていた

 

「ラストアタックボーナスは与ダメージ量に関係なく…最後の一撃を決めた者に与えられる」

 

装備画面を開き、ドロップした黒いコートのような装備を纏う

 

「俺はアカツカ…ビーターだ、俺はお前らカスと違ってベータテストでソロで3層まで登った…レジェンダリープレイヤーの称号は俺にこそふさわしい」

 

ちなみにベータテストのソロでの最高到達層は28層である

 

アカツカは81層への扉を開き

ニヤリと笑い、去っていった

 

しかしフロアの歓喜はいまだ収まっておらず、それを見ていたのは精々5人と言ったところだった

 

「……………犠牲者は?」

 

いのっちが問う

 

「………21人だ…」

 

「すまない………俺が無知なばかりに…」

 

マンフェスがポン、と肩を叩いた

 

「あんたはよくやってくれた、あんたが来てくれなかったら俺たちは全滅しいぇいただろう……どうだ?今後もBOSS攻略に参加してくれるか?」

 

彼らはふっと笑いあった

 

 

「やだね」

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